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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110897
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】蒸気加熱システム及び蒸気加熱方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 3/04 20060101AFI20220722BHJP
   C01B 5/00 20060101ALI20220722BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B01J3/04 D
C01B5/00 Z
C04B40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006612
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】窪 英範
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112RA03
4G112RB03
4G112RC01
(57)【要約】
【課題】蒸気を有効活用すると共に、対象物の加熱効率を向上させる。
【解決手段】蒸気加熱システム100は、蒸気による対象物の加熱工程を順次行う第1容器1A及び第2容器1Bと、蒸気を第2容器1Bへ供給する蒸気供給部2とを備えている。蒸気供給部2は、第2容器1Bにおける加熱工程の開始時に、第1容器1Aにおいて対象物の加熱に使用された蒸気を第2容器1Bへ供給する1次供給を実行し、1次供給を停止すると共に第2容器1Bを密閉することによって、第2容器1B内の蒸気の凝縮により第2容器1Bを真空状態にして対象物から空気を放出させる真空生成を実行し、真空生成後に蒸気を第2容器1Bへ供給する2次供給を実行する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気による対象物の加熱工程を順次行う第1容器及び第2容器と、
蒸気を前記第2容器へ供給する蒸気供給部とを備え、
前記蒸気供給部は、
前記第2容器における前記加熱工程の開始時に、前記第1容器において対象物の加熱に使用された蒸気を前記第2容器へ供給する1次供給を実行し、
前記1次供給を停止すると共に前記第2容器を密閉することによって、前記第2容器内の蒸気の凝縮により前記第2容器を真空状態にして前記対象物から空気を放出させる真空生成を実行し、
前記真空生成後に蒸気を前記第2容器へ供給する2次供給を実行する蒸気加熱システム。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気加熱システムにおいて、
前記蒸気供給部は、
前記第1容器と前記第2容器との圧力差によって前記第1容器内の蒸気を前記第2容器へ供給する第1供給部を含み、
少なくとも前記第1供給部によって前記1次供給を実行する蒸気加熱システム。
【請求項3】
請求項2に記載の蒸気加熱システムにおいて、
前記蒸気供給部は、
蒸気エゼクタによって前記第1容器の蒸気を吸引して前記第2容器へ供給する第2供給部をさらに含み、
少なくとも前記第2供給部によって前記2次供給を実行する蒸気加熱システム。
【請求項4】
請求項3に記載の蒸気加熱システムにおいて、
前記蒸気供給部は、前記2次供給を前記第1供給部によって実行した後に、前記2次供給を前記第2供給部によってさらに実行する蒸気加熱システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の蒸気加熱システムにおいて、
前記蒸気供給部は、
蒸気供給源からの蒸気を前記第2供給部を介さずに前記第2容器へ供給する第3供給部をさらに含み、
前記2次供給を前記第2供給部によって実行した後に、前記2次供給を前記第3供給部によってさらに実行する蒸気加熱システム。
【請求項6】
蒸気による対象物の加熱工程を第1容器及び第2容器で順次行う蒸気加熱方法であって、
前記第2容器における前記加熱工程の開始時に、前記第1容器において対象物の加熱に使用された蒸気を前記第2容器へ供給する1次供給と、
前記1次供給を停止すると共に前記第2容器を密閉することによって、前記第2容器内の蒸気の凝縮により前記第2容器を真空状態にして前記対象物から空気を放出させる真空生成と、
前記真空生成後に蒸気を前記第2容器へ供給する2次供給とを含む蒸気加熱方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、蒸気加熱システム及び蒸気加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象物が収容された容器内に蒸気を供給して対象物を加熱する蒸気加熱システムが知られている。例えば、特許文献1には、2つの容器で交互に対象物を加熱するシステムが開示されている。特許文献1のシステムでは、一の容器で対象物の加熱が終わった後(具体的には、対象物の冷却時)に、一の容器内の蒸気が他の容器へ供給される。他の容器では、一の容器からの蒸気に加え、それとは別に供給される蒸気も使って、対象物の加熱を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56-130216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムのように、複数の容器のそれぞれで蒸気によって対象物を加熱する構成においては、一の容器で対象物の加熱に使用された蒸気を他の容器でも利用する試みが行われている。しかしながら、蒸気の有効活用の観点からは、まだまだ改良の余地がある。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蒸気を有効活用すると共に、対象物の加熱効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された蒸気加熱システムは、蒸気による対象物の加熱工程を順次行う第1容器及び第2容器と、蒸気を前記第2容器へ供給する蒸気供給部とを備え、前記蒸気供給部は、前記第2容器における前記加熱工程の開始時に、前記第1容器において対象物の加熱に使用された蒸気を前記第2容器へ供給する1次供給を実行し、前記1次供給を停止すると共に前記第2容器を密閉することによって、前記第2容器内の蒸気の凝縮により前記第2容器を真空状態にして前記対象物から空気を放出させる真空生成を実行し、前記真空生成後に蒸気を前記第2容器へ供給する2次供給を実行する。
【0007】
ここに開示された蒸気加熱方法は、蒸気による対象物の加熱工程を第1容器及び第2容器で順次行う蒸気加熱方法であって、前記第2容器における前記加熱工程の開始時に、前記第1容器において対象物の加熱に使用された蒸気を前記第2容器へ供給する1次供給と、前記1次供給を停止すると共に前記第2容器を密閉することによって、前記第2容器内の蒸気の凝縮により前記第2容器を真空状態にして前記対象物から空気を放出させる真空生成と、前記真空生成後に蒸気を前記第2容器へ供給する2次供給とを含む。
【発明の効果】
【0008】
前記蒸気加熱システムによれば、蒸気を有効活用すると共に、対象物の加熱効率を向上させることができる。
【0009】
前記蒸気加熱方法によれば、蒸気を有効活用すると共に、対象物の加熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、蒸気加熱システムの概略的な構成図である。
図2図2は、制御装置のブロック図である。
図3図3は、第2容器における加熱工程のフローチャートである。
図4図4は、加熱工程中の開閉弁の状態を示す表である。
図5図5は、加熱処理中の第2容器の圧力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、蒸気加熱システム100の概略的な構成図である。蒸気加熱システム100は、蒸気による対象物の加熱工程を順次行う第1容器1A及び第2容器1Bと、蒸気を第2容器1Bへ供給する蒸気供給部2とを備えている。蒸気供給部2は、第2容器1Bに加えて、第1容器1Aに蒸気を供給してもよい。
【0013】
各容器では、対象物の加熱処理が行われる。加熱処理では、対象物の加熱工程及び冷却工程が順番に行われる。この例では、蒸気加熱システム100は、対象物の加熱処理を第1容器1Aと第2容器1Bとで交互に行うバッチ処理を行う。対象物は、例えば、コンクリートである。
【0014】
第1容器1Aは、開閉可能な密閉容器である。第1容器1Aは、加熱の対象物を収容することができる。第1容器1Aは、蒸気を貯留可能であり、例えば、圧力容器である。
【0015】
第1容器1Aには、第1ドレン管10が接続されている。第1ドレン管10には、ドレントラップ(スチームトラップともいう)11及び逆止弁12が上流側から順に設けられている。第1容器1Aにおいて、蒸気の凝縮により発生したドレンは、第1ドレン管10を介して第1容器1Aから排出される。
【0016】
また、第1容器1Aには、第1排気管13が接続されている。第1排気管13には、第1排気管13の開通及び遮断を切り替える第1開閉弁v1が設けられている。第1開閉弁v1は、第1容器1Aに蒸気が供給される際に必要に応じて開かれ、第1容器1A内の空気が第1排気管13を介して排出される。
【0017】
第2容器1Bの構成は、基本的には、第1容器1Aと同じである。第2容器1Bには、第2ドレン管14が接続されている。第2ドレン管14には、ドレントラップ15及び逆止弁16が上流側から順に設けられている。第2容器1Bにおいて、蒸気の凝縮により発生したドレンは、第2ドレン管14を介して第2容器1Bから排出される。
【0018】
また、第2容器1Bには、第2排気管17が接続されている。第2排気管17には、第2排気管17の開通及び遮断を切り替える第2開閉弁v2が設けられている。第2開閉弁v2は、第2容器1Bに蒸気が供給される際に必要に応じて開かれ、第2容器1B内の空気が第2排気管17を介して排出される。
【0019】
第1容器1Aには、第1容器1A内の圧力を検出する第1圧力センサ61が設けられている。第2容器1Bには、第2容器1B内の圧力を検出する第2圧力センサ62が設けられている。第1圧力センサ61及び第2圧力センサ62は、負圧から正圧まで検出することができる。
【0020】
第1排気管13には、第1排気管13を流通する流体、即ち、第1容器1Aから排出される気体の温度を検出する第1温度センサ63が設けられている。第2排気管17には、第2排気管17を流通する流体、即ち、第2容器1Bから排出される気体の温度を検出する第2温度センサ64が設けられている。
【0021】
蒸気供給部2は、対象物の加熱工程のために蒸気を供給する。蒸気供給部2は、第1容器1A及び第2容器1Bのそれぞれに蒸気を供給するように構成され、第1容器1A及び第2容器1Bのうち対象物の加熱工程を行う容器に蒸気を供給する。
【0022】
蒸気供給部2は、第1容器1A及び第2容器1Bの一方で対象物の加熱工程が終了すると、第1容器1A及び第2容器1Bの他方へ蒸気を供給して対象物の加熱工程を開始する。例えば、第1容器1Aで加熱工程が終了し、第2容器1Bで加熱工程が開始される場合、蒸気供給部2は、第2容器1Bにおいて蒸気の1次供給、真空生成及び蒸気の2次供給を順番に実行する。
【0023】
具体的には、1次供給では、蒸気供給部2は、第2容器1Bにおける加熱処理の開始時に第1容器1Aにおいて対象物の加熱に使用された蒸気を第2容器1Bへ供給する。真空生成では、蒸気供給部2は、1次供給を停止すると共に第2容器1Bを密閉することによって、第2容器1B内の蒸気の凝縮により第2容器1Bを真空状態にして対象物から空気を放出させる。2次供給では、蒸気供給部2は、真空生成後に蒸気を第2容器1Bへ供給する。
【0024】
尚、第2容器1Bで加熱工程が終了し、第1容器1Aで加熱処理が開始される場合、蒸気供給部2は、第2容器1Bの場合と同様に、第1容器1Aに対して蒸気の1次供給、真空生成及び蒸気の2次供給を順番に実行する。この場合、1次供給、真空生成及び2次供給は、前述の説明において「第1容器1A」と「第2容器1B」とを入れ替えた処理となる。
【0025】
この例では、蒸気供給部2は、第1供給部2A、第2供給部2B及び第3供給部2Cを含んでいる。第1供給部2A、第2供給部2B及び第3供給部2Cは、第2容器1Bへの蒸気の供給方法がそれぞれ異なる。
【0026】
具体的には、第1供給部2Aは、第1容器1Aと第2容器1Bとの圧力差によって第1容器1A内の蒸気を第2容器1Bへ供給する。第2供給部2Bは、蒸気エゼクタ41によって第1容器1Aの蒸気を吸引して第2容器1Bへ供給する。第3供給部2Cは、蒸気供給源からの蒸気を第2供給部2B(具体的には蒸気エゼクタ41)を介さずに第2容器1Bへ供給する。
【0027】
尚、第1供給部2A、第2供給部2B及び第3供給部2Cは、第1容器1Aへも蒸気を供給できるように構成されている。その場合、第1供給部2A、第2供給部2B及び第3供給部2Cは、前述の説明において「第1容器1A」と「第2容器1B」とを入れ替えた蒸気の供給を行う。
【0028】
第1供給部2Aは、第1容器1Aと第2容器1Bとを連通させる連通管31と、連通管31の開通及び遮断を切り替える第3開閉弁v3及び第4開閉弁v4とを有している。第1供給部2Aが蒸気を供給する場合には、第3開閉弁v3及び第4開閉弁v4が開かれ、第1容器1Aと第2容器1Bとが連通管31を介して連通した状態となる。尚、後述する第2供給部2B及び第3供給部2Cの各種開閉弁は閉じられている。この状態においては、第1容器1Aと第2容器1Bとの圧力差によって、第1容器1A及び第2容器1Bの一方から他方へ蒸気が流れる。つまり、第1容器1Aと第2容器1Bとが均圧するように、第1容器1A及び第2容器1Bのうち圧力の高い方から第1容器1A及び第2容器1Bのうち圧力の低い方へ蒸気が流れる。
【0029】
尚、第1供給部2Aの機能の観点からは、第3開閉弁v3及び第4開閉弁v4は何れか一方だけであってもよい。第1供給部2Aは、第2供給部2Bの一部でもある。第2供給部2Bの機能上、連通管31には第3開閉弁v3及び第4開閉弁v4の2つの弁が設けられている。
【0030】
第2供給部2Bは、蒸気エゼクタ41を有している。蒸気エゼクタ41のノズルには、蒸気供給管42が接続されている。蒸気供給管42には、図示省略のボイラ又は蒸気ヘッダ等の蒸気供給源から供給される蒸気が流通している。蒸気供給管42には、蒸気供給管42を開通及び遮断を切り替える第5開閉弁v5が設けられている。蒸気エゼクタ41の吸込口には、蒸気吸引管43が接続されている。蒸気吸引管43の上流端は、連通管31のうち第3開閉弁v3と第4開閉弁v4との間の部分に接続されている。蒸気吸引管43には、蒸気吸引管43の開通及び遮断を切り替える第6開閉弁v6が設けられている。蒸気エゼクタ41のディフューザには、蒸気流出管44が接続されている。蒸気流出管44の下流部分は、第1分岐管44aと第2分岐管44bとに分岐している。第1分岐管44aは、連通管31のうち第4開閉弁v4と第2容器1Bとの間の部分に接続されている。第2分岐管44bは、連通管31のうち第3開閉弁v3と第1容器1Aとの間の部分に接続されている。第1分岐管44aには、第1分岐管44aの開通及び遮断を切り替える第7開閉弁v7が設けられている。第2分岐管44bには、第2分岐管44bの開通及び遮断を切り替える第8開閉弁v8が設けられている。
【0031】
第2供給部2Bが蒸気エゼクタ41によって第1容器1Aの蒸気を吸引して第2容器1Bへ供給する場合には、第3開閉弁v3、第5開閉弁v5、第6開閉弁v6及び第7開閉弁v7が開かれ、第4開閉弁v4及び第8開閉弁v8が閉じられる。尚、後述する第3供給部2Cの各種開閉弁は閉じられている。これにより、蒸気エゼクタ41の吸引口は、連通管31及び蒸気吸引管43を介して第1容器1Aと連通する。蒸気エゼクタ41のディフューザは、蒸気流出管44の第1分岐管44aを介して第2容器1Bと連通する。この状態で、蒸気エゼクタ41のノズルに蒸気供給管42を介して蒸気が供給される。蒸気エゼクタ41のノズルからの蒸気の吐出により発生する吸引力によって、第1容器1Aの蒸気が蒸気エゼクタ41に吸引される。第1容器1Aからの蒸気と蒸気供給管42からの蒸気とが混合され、蒸気エゼクタ41のディフューザから吐出される。ディフューザから吐出された混合蒸気は、蒸気流出管44を流通し、第1分岐管44aを介して第2容器1Bへ流入する。
【0032】
一方、第2供給部2Bが蒸気エゼクタ41によって第2容器1Bの蒸気を吸引して第1容器1Aへ供給する場合には、第4開閉弁v4、第5開閉弁v5、第6開閉弁v6及び第8開閉弁v8が開かれ、第3開閉弁v3及び第7開閉弁v7が閉じられる。尚、後述する第3供給部2Cの各種開閉弁は閉じられている。これにより、蒸気エゼクタ41の吸引口は、連通管31及び蒸気吸引管43を介して第2容器1Bと連通する。蒸気エゼクタ41のディフューザは、蒸気流出管44の第2分岐管44bを介して第1容器1Aと連通する。この状態で、蒸気エゼクタ41のノズルに蒸気供給管42を介して蒸気が供給される。蒸気エゼクタ41のノズルからの蒸気の吐出により発生する吸引力によって、第2容器1Bの蒸気が蒸気エゼクタ41に吸引される。第2容器1Bからの蒸気と蒸気供給管42からの蒸気とが混合され、蒸気エゼクタ41のディフューザから吐出される。ディフューザから吐出された混合蒸気は、蒸気流出管44を流通し、第2分岐管44bを介して第1容器1Aへ流入する。
【0033】
第3供給部2Cは、蒸気供給管42から分岐する第1蒸気管51及び第2蒸気管52と、第1蒸気管51の開通及び遮断を切り替える第9開閉弁v9と、第2蒸気管52の開通及び遮断を切り替える第10開閉弁v10とを有している。第1蒸気管51は、第2容器1Bに接続されている。第2蒸気管52は、第1容器1Aに接続されている。第3供給部2Cは、蒸気供給源からの蒸気を第1容器1A又は第2容器1Bへ直接供給する。
【0034】
詳しくは、第3供給部2Cが第2容器1Bへ蒸気を供給する場合には、第9開閉弁v9が開かれ、第10開閉弁v10が閉じられる。このとき、第3開閉弁v3、第4開閉弁v4、第5開閉弁v5、第7開閉弁v7及び第8開閉弁v8が閉じられる。これにより、蒸気供給管42を流通する蒸気が第1蒸気管51を介して第2容器1Bへ流入する。
【0035】
一方、第3供給部2Cが第1容器1Aへ蒸気を供給する場合には、第10開閉弁v10が開かれ、第9開閉弁v9が閉じられる。このとき、第3開閉弁v3、第4開閉弁v4、第5開閉弁v5、第7開閉弁v7及び第8開閉弁v8が閉じられる。これにより、蒸気供給管42を流通する蒸気が第2蒸気管52を介して第1容器1Aへ流入する。
【0036】
第1開閉弁v1、第2開閉弁v2、第3開閉弁v3、第4開閉弁v4、第5開閉弁v5、第6開閉弁v6、第7開閉弁v7、第8開閉弁v8、第9開閉弁v9及び第10開閉弁v10(以下、これらをまとめて「第1開閉弁v1等」という)は、例えば空動弁等の自動弁である。
【0037】
蒸気加熱システム100は、第1開閉弁v1等を制御する制御装置7をさらに備えている。図2は、制御装置7のブロック図である。制御装置7は、制御部71と、記憶部72と、メモリ73とを有している。
【0038】
制御装置7には、第1圧力センサ61、第2圧力センサ62、第1温度センサ63及び第2温度センサ64の検出結果が入力される。制御装置7は、第1開閉弁v1等のそれぞれに制御信号を出力し、第1開閉弁v1等を制御する。図1では、制御装置7に接続される信号線の一部を省略している。図2では、制御装置7に接続される開閉弁の一部を省略している。
【0039】
制御部71は、蒸気加熱システム100の全体を制御する。制御部71は、各種の演算処理を行う。例えば、制御部71は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで形成されている。制御部71は、MCU(Micro Controller Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)、システムLSI等で形成されていてもよい。
【0040】
記憶部72は、制御部71で実行されるプログラム及び各種データを格納している。記憶部72は、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等で形成される。
【0041】
メモリ73は、データ等を一時的に格納する。例えば、メモリ73は、揮発性メモリで形成される。
【0042】
続いて、蒸気加熱システム100の動作について説明する。図3は、第2容器1Bにおける加熱工程のフローチャートである。図4は、加熱工程中の開閉弁の状態を示す表である。図5は、加熱処理中の第2容器1Bの圧力を示すグラフである。制御部71は、記憶部72からプログラムをメモリ73に読み出して展開することによって各種処理を実行する。
【0043】
ステップS1において、制御部71は、第1容器1Aにおける加熱工程が終了したか否かを判定する。例えば、加熱工程が終了したか否かは、加熱時間が所定の時間に達したか否かによって判定することができる。加熱工程が終了していない場合には、制御部71は、ステップS1を繰り返し、加熱工程の終了まで待機する。
【0044】
第1容器1Aにおける加熱工程が終了する直前の状態では、第1開閉弁v1が閉じられ、第1排気管13を介した排気が停止されている。また、第1供給部2Aの第3開閉弁v3及び第2供給部2Bの第8開閉弁v8は閉じられている。これにより、第1供給部2A及び第2供給部2Bによる第1容器1Aからの蒸気の流出は、停止した状態となっている。この状態で、第3供給部2Cの第10開閉弁v10が開いている。第1容器1Aには、第3供給部2Cによって蒸気が供給され、この蒸気によって対象物が加熱されている。一方、第2容器1Bでは、第1容器1Aにおける加熱工程が終了する前に、対象物が搬入される。第2開閉弁v2が開かれ、第2排気管17が開通している。第1供給部2Aの第4開閉弁v4、第2供給部2Bの第7開閉弁v7及び第3供給部2Cの第9開閉弁v9は閉じられている。つまり、第1供給部2A、第2供給部2B及び第3供給部2Cによる第2容器1Bへの蒸気の供給は、停止されている。
【0045】
第1容器1Aにおける加熱工程が終了すると、第10開閉弁v10が閉じられ、第2容器1Bにおける加熱処理、即ち、加熱工程が開始される。制御部71は、ステップS2において、第1供給部2Aによって第2容器1Bへ蒸気の1次供給を実行する。詳しくは、制御部71は、第1供給部2Aの第3開閉弁v3及び第4開閉弁v4を開く。第1容器1Aにおける加熱工程の終了時においては、第1容器1A内は蒸気が供給されて比較的高圧になっている一方、第2容器1Bは大気に開放されている。そのため、第3開閉弁v3及び第4開閉弁v4が開かれると、高圧の第1容器1A内の蒸気が低圧の第2容器1Bへ連通管31を介して供給される。第2容器1Bでは、第2開閉弁v2が開かれ、第2排気管17が開通している。そのため、第2容器1B内の空気は、連通管31から流入する蒸気に押し出され、第2排気管17から排出されていく。この1次供給の際の第2容器1Bの圧力は、図5に示すように、大気圧で一定である。
【0046】
制御部71は、1次供給を開始した後は、ステップS3において、第2容器1Bからの排気温度Tが所定の閾値α以上となったか否かを、第2温度センサ64の検出結果に基づいて判定する。1次供給によって第2容器1Bに蒸気が供給されると、第2容器1B内の温度が上昇し、第2排気管17からの排気温度も上昇する。つまり、制御部71は、第2容器1B内に蒸気が或る程度まで供給されたか否かを判定する。排気温度Tが閾値α以上となるまで、制御部71は、1次供給を継続する。
【0047】
第2容器1Bからの排気温度Tが閾値α以上となった場合には、制御部71は、ステップS4において、真空生成を実行する。詳しくは、制御部71は、第2排気管17の第2開閉弁v2及び第1供給部2Aの第4開閉弁v4を閉じる。これにより、第2容器1Bは密閉状態となる。第2容器1B内の蒸気は、冷却され、凝縮する。第2容器1Bは、真空状態となる。その結果、対象物中に含まれる空気が第2容器1B内に放出される。この真空生成によって、第2容器1Bの圧力は、図5に示すように、減少して負圧になる。
【0048】
制御部71は、真空生成の後に2次供給を開始する。例えば、制御部71は、第2圧力センサ62によって検出される圧力P2が所定の負圧まで低下した場合に2次供給を開始する。まず、制御部71は、ステップS5において、第1供給部2Aによって第2容器1Bに蒸気を供給する。詳しくは、制御部71は、第1供給部2Aの第4開閉弁v4を開く。第3開閉弁v3は、ステップS2から開いた状態のままである。尚、ステップS4において第3開閉弁v3が閉じられた場合には、制御部71はステップS5において第3開閉弁v3も開く。1次供給では第1容器1Aの蒸気の一部が第2容器1Bへ供給されただけで、真空生成の段階では第1容器1Aの圧力が第2容器1Bの圧力よりも十分に高い可能性がある。そのため、2次供給の開始時には、制御部71は、まず第1供給部2Aによって蒸気を供給する。ただし、1次供給とは異なり、第2開閉弁v2が閉じており、第2容器1Bは密閉状態となっている。第4開閉弁v4が開かれると、高圧の第1容器1A内の蒸気が低圧の第2容器1Bへ連通管31を介して供給される。この第1供給部2Aによる2次供給によって、第2容器1Bの圧力は、図5に示すように、上昇する。第1容器1Aと第2容器1Bとの圧力差は、しだいに減少していく。
【0049】
制御部71は、第1供給部2Aによる2次供給を開始した後は、ステップS6において、第1圧力センサ61によって検出される第1容器1Aの圧力P1と第2圧力センサ62によって検出される第2容器1Bの圧力P2との圧力差ΔP(=P1-P2)が所定の閾値β以下となったか否かを判定する。閾値βは、圧力P1と圧力P2とが略等しいとみなせる値であり、0に近い値である。圧力差ΔPが閾値β以下となるまで、第1供給部2Aによる2次供給が継続される。
【0050】
圧力差ΔPが閾値β以下となった場合には、制御部71は、ステップS7において、第1供給部2Aによる2次供給から第2供給部2Bによる2次供給へ移行する。詳しくは、制御部71は、第1供給部2Aの第4開閉弁v4を閉じ、第2供給部2Bの第5開閉弁v5、第6開閉弁v6及び第7開閉弁v7を開く。これにより、蒸気エゼクタ41の吸引口は、連通管31及び蒸気吸引管43を介して第1容器1Aと連通する。蒸気エゼクタ41のディフューザは、蒸気流出管44の第1分岐管44aを介して第2容器1Bと連通する。この状態で、蒸気エゼクタ41のノズルに蒸気供給管42を介して蒸気が供給される。蒸気エゼクタ41のノズルからの蒸気の吐出により発生する吸引力によって、第1容器1Aの蒸気が蒸気エゼクタ41に吸引される。第1容器1Aからの蒸気と蒸気供給管42からの蒸気とが混合され、蒸気エゼクタ41のディフューザから吐出される。ディフューザから吐出された混合蒸気は、第1分岐管44aを介して第2容器1Bへ供給される。この第2供給部2Bによる2次供給によって、第2容器1Bの圧力は、図5に示すように、さらに上昇する。
【0051】
制御部71は、第2供給部2Bによる2次供給を開始した後は、ステップS8において、第1容器1Aの圧力P1が所定の閾値γ以下となったか否かを判定する。閾値γは、蒸気エゼクタ41による第1容器1A内の蒸気の吸引が困難となる圧力である。圧力P1が閾値γ以下となるまで、第2供給部2Bによる2次供給が継続される。蒸気エゼクタ41によって、第1容器1A内のできる限りの蒸気が第2容器1Bへ供給される。
【0052】
圧力P1が閾値γ以下となった場合には、制御部71は、ステップS9において、第2供給部2Bによる2次供給から第3供給部2Cによる2次供給へ移行する。詳しくは、制御部71は、第2供給部2Bの第5開閉弁v5、第6開閉弁v6及び第7開閉弁v7を閉じ、第3供給部2Cの第9開閉弁v9を開く。これにより、蒸気供給源からの蒸気が第2容器1Bへ直接供給される。尚、第3開閉弁v3は、閉じられても、開いたままでもよい。この第3供給部2Cによる2次供給によって、第2容器1Bの圧力は、図5に示すように、さらに上昇する。
【0053】
制御部71は、第3供給部2Cによる2次供給を開始した後は、ステップS10において、加熱工程の終了条件を満たしたか否かを判定する。この例では、加熱工程の終了条件は、第3供給部2Cによる2次供給後に第2容器1Bの圧力P2が所定の圧力に達してから所定時間経過することである。終了条件が満たされるまで、第3供給部2Cによる2次供給が継続される。
【0054】
終了条件が満たされた場合、制御部71は、第2容器1Bにおける加熱工程を終了する。
【0055】
この第2容器1Bにおける加熱工程の間、第1容器1Aでは対象物の冷却工程及び搬出、さらには次の対象物の搬入が行われる。第2容器1Bにおける加熱工程の終了時には、第1容器1Aでの次の対象物の搬入が完了している。そのため、第3供給部2Cによる2次供給が開始された後に、第1開閉弁v1が開かれ、第1容器1Aは大気に開放される。
【0056】
加熱工程の終了後、制御部71は、冷却工程を開始する。第2容器1Bから蒸気が排出され、その結果、図5に示すように第2容器1Bの圧力は低下していく。この第2容器1Bから排出される蒸気は、第1容器1Aにおける加熱工程の1次供給に利用される。つまり、第2容器1Bでの加熱工程の終了後は、前述の説明における第1容器1Aと第2容器1Bとの立場を入れ替えて、第1容器1Aでの加熱工程が開始される。具体的には、例えば、第1開閉弁v1と第2開閉弁v2とで開閉状態が異なる状況においては、前述の説明とは反対の動作を行う。第1供給部2Aの第3開閉弁v3と第4開閉弁v4とで開閉状態が異なる状況においては、前述の説明とは反対の開閉状態となる。第2供給部2Bの第7開閉弁v7と第8開閉弁v8とで開閉状態が異なる状況においては、前述の説明とは反対の開閉状態となる。第3供給部2Cの第9開閉弁v9と第10開閉弁v10とで開閉状態が異なる状況においては、前述の説明とは反対の開閉状態となる。その結果、前述の第2容器1Bにおける加熱工程と同様の加熱工程が第1容器1Aにおいて実行される。
【0057】
このような加熱工程によれば、第1容器1Aにおいて対象物の加熱に使用された蒸気が第2容器1Bにおける加熱工程に利用される。具体的には、第1容器1Aの蒸気は、少なくとも第2容器1Bへの1次供給に利用される。1次供給は、それに続く真空生成のために行われる処理である。真空生成によって対象物から空気が放出され、その後の2次供給による対象物の加熱効率が向上する。つまり、第1容器1Aの蒸気は、対象物の加熱効率を向上させるために利用される。
【0058】
それに加えて、第1容器1Aの蒸気は、第2容器1Bへの2次供給にも利用され得る。つまり、空気が放出されて加熱効率が向上した対象物を加熱するための蒸気の一部として、第1容器1Aの蒸気が使用される。これにより、第1容器1Aの蒸気は、対象物の加熱にさらに有効に活用される。
【0059】
以上のように、蒸気加熱システム100は、蒸気による対象物の加熱工程を順次行う第1容器1A及び第2容器1Bと、蒸気を第2容器1Bへ供給する蒸気供給部2とを備え、蒸気供給部2は、第2容器1Bにおける加熱工程の開始時に、第1容器1Aにおいて対象物の加熱に使用された蒸気を第2容器1Bへ供給する1次供給を実行し、1次供給を停止すると共に第2容器1Bを密閉することによって、第2容器1B内の蒸気の凝縮により第2容器1Bを真空状態にして対象物から空気を放出させる真空生成を実行し、真空生成後に蒸気を第2容器1Bへ供給する2次供給を実行する。
【0060】
換言すると、蒸気による対象物の加熱工程を第1容器1A及び第2容器1Bで順次行う蒸気加熱方法であって、第2容器1Bにおける加熱工程の開始時に、第1容器1Aにおいて対象物の加熱に使用された蒸気を第2容器1Bへ供給する1次供給と、1次供給を停止すると共に第2容器1Bを密閉することによって、第2容器1B内の蒸気の凝縮により第2容器1Bを真空状態にして対象物から空気を放出させる真空生成と、真空生成後に蒸気を第2容器1Bへ供給する2次供給とを含む。
【0061】
この構成によれば、第2容器1Bにおける加熱工程の開始時に第1容器1Aの蒸気が1次供給によって第2容器1Bに供給され、1次供給の後に第2容器1B内の蒸気の凝縮によって第2容器1B内が真空状態となる真空生成が実行される。これにより、対象物から空気が放出され、対象物が蒸気で加熱しやすい状態となる。その後、2次供給によって第2容器1Bへ蒸気が供給されるので、対象物は効率良く加熱される。このように、第1容器1Aの蒸気は、第2容器1B内の対象物の加熱効率の向上に有効に活用される。
【0062】
また蒸気供給部2は、第1容器1Aと第2容器1Bとの圧力差によって第1容器1A内の蒸気を第2容器1Bへ供給する第1供給部2Aを含み、少なくとも第1供給部2Aによって1次供給を実行する。
【0063】
この構成によれば、1次供給は、少なくとも第1供給部2Aによって実行される。第1供給部2Aは、第1容器1Aと第2容器1Bとの圧力差によって第1容器1A内の蒸気を第2容器1Bへ供給するため、第1容器1Aの蒸気を第2容器1Bへ供給するために特別な駆動源が不要である。つまり、エネルギ消費を低減しつつ、第1容器1Aの蒸気を有効に活用することができる。
【0064】
さらに、蒸気供給部2は、蒸気エゼクタ41によって第1容器1Aの蒸気を吸引して第2容器1Bへ供給する第2供給部2Bをさらに含み、少なくとも第2供給部2Bによって2次供給を実行する。
【0065】
この構成によれば、第1容器1Aの蒸気を1次供給に加えて2次供給においても第2容器1Bへ供給して有効に活用することができる。このとき、蒸気エゼクタ41を含む第2供給部2Bによって2次供給が実行されるので、第1容器1Aと第2容器1Bとの圧力差が小さくて第1供給部2Aが機能しない場合であっても、第1容器1Aの蒸気を第2容器1Bへ供給することができる。つまり、第1容器1Aの蒸気をできる限り活用することができる。
【0066】
また、蒸気供給部2は、2次供給を第1供給部2Aによって実行した後に、2次供給を第2供給部2Bによってさらに実行する。
【0067】
この構成によれば、2次供給はまず第1供給部2Aによって実行され、次に第2供給部2Bによって実行される。つまり、2次供給を開始する際に、第1容器1Aと第2容器1Bとの圧力差が大きい場合には第1供給部2Aによって第1容器1Aの蒸気が第2容器1Bへ供給される。第1容器1Aと第2容器1Bとの圧力差が小さくなって第1供給部2Aによる蒸気の供給が難しくなった場合には、蒸気エゼクタ41を含む第2供給部2Bによって第1容器1Aの蒸気が第2容器1Bへ供給される。このように、第1供給部2Aをできる限り使用することによってエネルギ消費を低減しつつ、第2供給部2Bによって第1容器1Aの蒸気をできる限り活用することができる。
【0068】
さらに、蒸気供給部2は、蒸気供給源からの蒸気を第2供給部2Bを介さずに第2容器1Bへ供給する第3供給部2Cをさらに含み、2次供給を第2供給部2Bによって実行した後に、2次供給を第3供給部2Cによってさらに実行する。
【0069】
この構成によれば、第2供給部2Bによる2次供給の後に、第3供給部2Cによる2次供給が実行される。第2供給部2Bは、蒸気エゼクタ41によって第1容器1Aの蒸気を第2容器1Bへ供給するため、第1容器1A及び第2容器1Bの圧力によっては蒸気エゼクタ41による蒸気の供給が困難になり得る。その場合であっても、蒸気供給源からの蒸気を供給する第3供給部2Cによって第2容器1Bへの蒸気の供給を実行することができる。つまり、第3供給部2Cによって第2容器1Bへ十分な蒸気を供給することができる。
【0070】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0071】
蒸気加熱システム100の対象物は、コンクリートに限定されない。対象物は、空気を放出することによって蒸気による加熱効率が向上する物であれば任意の物が対象物となり得る。例えば、対象物は、リネン類の繊維製品、木製品又は紙製品等であってもよい。
【0072】
蒸気加熱システム100は、第1容器1Aと第2容器1Bとで加熱処理のバッチ処理を行っているが、これに限定されない。蒸気加熱システム100は、第1容器1Aでの加熱処理に続いて第2容器1Bでの加熱処理を実行すればよい。
【0073】
蒸気加熱システム100は、第1容器1A及び第2容器1B以外の容器を備えていてもよい。例えば、蒸気加熱システム100が第3容器及び第4容器をさらに備えている場合、蒸気加熱システム100は、第1容器1A、第2容器1B、第3容器、第4容器の順に加熱工程を実行してもよい。その場合、第1容器1Aでの加熱工程で使用された蒸気が第2容器1Bの加熱工程で活用され、第2容器1Bの加熱工程で使用された蒸気が第3容器の加熱工程で活用され、第3容器での加熱工程で使用された蒸気が第4容器の加熱工程で活用されてもよい。
【0074】
1次供給は、第1供給部2Aによる蒸気の供給に限定されない。第1容器1Aでの冷却工程又は第2容器1Bでの真空生成の条件しだいでは、第1供給部2Aに代えて第2供給部2Bによる1次供給が実行されてもよいし、又は、第1供給部2Aによる1次供給に続いて第2供給部2Bによる1次供給が実行されてもよい。あるいは、第1供給部2A及び/又は第2供給部2Bによる1次供給に、第3供給部2Cによる蒸気の供給が追加されてもよい。
【0075】
2次供給は、第1供給部2Aによる2次供給、第2供給部2Bによる2次供給及び第3供給部2Cによる2次供給が順番に実行される形態に限定されない。第1供給部2A、第2供給部2B及び第3供給部2Cの少なくとも1つによる2次供給が実行されればよい。
【0076】
蒸気供給部2は、第1供給部2A、第2供給部2B及び第3供給部2Cの3つが必須ではない。蒸気供給部2は、第1容器1Aにおいて対象物の加熱に使用された蒸気を第2容器1Bへ供給する1次供給を実現するための供給部と、真空生成後に蒸気を第2容器1Bへ供給する2次供給を実現するための供給部とを含んでいればよい。
【0077】
図3に示す加熱工程のフローチャートにおけるステップは、本開示における技術の作用機序を逸脱しない範囲で適宜変更又は省略することができ、さらにはステップの順番の入れ替え又はステップの並行処理等を行うことができる。
【0078】
第1開閉弁v1等は、自動弁ではなく、手動弁であってもよい。その場合、第2容器1Bでの加熱工程が開始される際に、1次供給、真空生成及び2次供給が順番に実行されるようにユーザが第1開閉弁v1等を適宜操作すればよい。
【符号の説明】
【0079】
100 蒸気加熱システム
1A 第1容器
1B 第2容器
2 蒸気供給部
2A 第1供給部
2B 第2供給部
2C 第3供給部
41 蒸気エゼクタ
図1
図2
図3
図4
図5