(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110920
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】樹脂組成物及び樹脂組成物充填済みシリンジ
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20220722BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220722BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20220722BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20220722BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20220722BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220722BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20220722BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/013
C08K5/54
B29C43/18
H01L23/30 R
H01L23/12 501P
H01L23/12 501B
H01L21/56 E
H05K1/03 610H
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006651
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪内 啓之
【テーマコード(参考)】
4F204
4J002
4M109
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AB03
4F204AC06
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF05
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4F204FJ30
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ01
4F204FQ15
4J002CD011
4J002CD021
4J002CD031
4J002CD041
4J002CD051
4J002CD061
4J002CD131
4J002CD171
4J002DE076
4J002DE096
4J002DE116
4J002DE136
4J002DE146
4J002DE186
4J002DE266
4J002DE286
4J002DF016
4J002DH036
4J002DJ006
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4J002DK006
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4J002EX037
4J002EX057
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4J002EX087
4J002FD016
4J002FD140
4J002FD150
4J002FD207
4J002GQ00
4M109AA01
4M109BA04
4M109BA07
4M109CA04
4M109CA22
4M109DA02
4M109EA02
4M109EA11
4M109EA12
4M109EB02
4M109EB03
4M109EB04
4M109EB06
4M109EB07
4M109EB08
4M109EB12
4M109EB15
4M109EB19
4M109EC20
5F061AA01
5F061BA04
5F061BA07
5F061CA21
5F061CA22
5F061CB03
5F061GA03
(57)【要約】
【課題】ディスペンス性、吐出作業性及び樹脂フロー性が良好な樹脂組成物充填済みシリンジの提供。
【解決手段】シリンジと、シリンジ内に充填された樹脂組成物とを備える樹脂組成物充填済みシリンジであって、樹脂組成物が、水平に設置したシリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成し、樹脂ドームの形状変化を測定する樹脂組成物の評価試験において、ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH
1、ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH
2とした場合、下記式(1)の条件を満たす、樹脂組成物充填済みシリンジ。
0.15<H
2/H
1<0.90 ・・・(1)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジと、シリンジ内に充填された樹脂組成物とを備える樹脂組成物充填済みシリンジであって、
樹脂組成物が、
水平に設置したシリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成し、樹脂ドームの形状変化を測定する樹脂組成物の評価試験において、
ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH2とした場合、
下記式(1)の条件を満たす、樹脂組成物充填済みシリンジ。
0.15<H2/H1<0.90 ・・・(1)
【請求項2】
前記評価試験が、
シリコンウエハ表面から高さ5cmの位置に設置した吐出口より、シリコンウエハ表面上に、23℃条件下、2g/秒の速度で23℃の樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスし、ディスペンスを停止して、樹脂組成物の樹脂ドームを形成することを含む、請求項1に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
【請求項3】
前記評価試験において、
樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームとが接触していない場合、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスした時点を前記ディスペンス完了時点とし、
樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームが接触している場合、ディスペンスの停止後に吐出口を引き上げて、吐出口を樹脂ドームから引き離す操作を行い、吐出口が樹脂ドームから離れた時点を前記ディスペンス完了時点とする、請求項2に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
【請求項4】
ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径をL1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径をL2とした場合、
下記式(2)の条件をさらに満たす、請求項1~3の何れか1項に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
0.40<L1/L2<0.96 ・・・(2)
【請求項5】
樹脂組成物の25℃における粘度が、100Pa・s以上500Pa・s以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
【請求項6】
樹脂組成物が、(A)熱硬化性樹脂を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
【請求項7】
樹脂組成物が、(B)無機充填材を含む、請求項1~6の何れか1項に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
【請求項8】
樹脂組成物が、(C)シランカップリング剤を含む、請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
【請求項9】
水平に設置したシリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成し、樹脂ドームの形状変化を測定する樹脂組成物の評価試験において、
ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH2とした場合、
下記式(1)の条件を満たす、樹脂組成物。
0.15<H2/H1<0.90 ・・・(1)
【請求項10】
前記評価試験が、
シリコンウエハ表面から高さ5cmの位置に設置した吐出口より、シリコンウエハ表面上に、23℃条件下、2g/秒の速度で23℃の樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスし、ディスペンスを停止して、樹脂組成物の樹脂ドームを形成することを含む、請求項9に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記評価試験において、
樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームとが接触していない場合、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスした時点を前記ディスペンス完了時点とし、
樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームが接触している場合、ディスペンスの停止後に吐出口を引き上げて、吐出口を樹脂ドームから引き離す操作を行い、吐出口が樹脂ドームから離れた時点を前記ディスペンス完了時点とする、請求項10に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径をL1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径をL2とした場合、
下記式(2)の条件をさらに満たす、請求項9~11の何れか1項に記載の樹脂組成物。
0.40<L1/L2<0.96 ・・・(2)
【請求項13】
樹脂組成物の25℃における粘度が、100Pa・s以上500Pa・s以下である、請求項9~12の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
(A)熱硬化性樹脂を含む、請求項9~13の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
(B)無機充填材を含む、請求項9~14の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
(C)シランカップリング剤を含む、請求項9~15の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項17】
半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための請求項9~16の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
回路基板の絶縁層を形成するための請求項9~16の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項19】
半導体チップパッケージの半導体チップを封止するための請求項9~16の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項20】
請求項9~19の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
【請求項21】
請求項9~19の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む回路基板。
【請求項22】
請求項21に記載の回路基板と、当該回路基板に搭載された半導体チップと、を含む半導体チップパッケージ。
【請求項23】
半導体チップと、当該半導体チップを封止する請求項9~19の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物と、を含む半導体チップパッケージ。
【請求項24】
請求項22又は23に記載の半導体チップパッケージを備える半導体装置。
【請求項25】
水平に設置したシリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成し、樹脂ドームの形状変化を測定する樹脂組成物の評価方法であって、
ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH2とした場合、
下記式(1)の条件を満たすか否かを判定することを含む、樹脂組成物の評価方法。
0.15<H2/H1<0.90 ・・・(1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及び樹脂組成物充填済みシリンジ等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット型デバイスといった小型の高機能な電子機器の需要が増大している。これら小型の電子機器には通常半導体チップパッケージ用の封止材料が用いられる。このような封止材料として、樹脂組成物を硬化して形成されるものが知られている(特許文献1~3)。
【0003】
封止材料を成型する方法としては、溶融注型法、トランスファー成型法、インジェクション成型法、圧縮成型法などが知られている。圧縮成型法では、例えば、シリンジを用いて基板上に樹脂組成物をディスペンスし、型締めして、樹脂組成物に圧力と必要に応じて熱を加えて、圧縮成型する。シリンジを用いて樹脂組成物をディスペンスする際には、作業性を高める観点から、ディスペンス性や吐出作業性の良さが求められる。また、圧縮成型時における型からの樹脂漏れ等を防止するために、樹脂フロー性が良好であることが求められる。しかし、現在のところこれらの課題は、樹脂組成物のチキソ性や粘度を調節するのみでは十分に解決できるというところまでは至っていない。
【0004】
なお、これまでに、間欠吐出の原因となる空気混入を抑制することが可能なボイドを含有する樹脂組成物充填済みシリンジが知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-137370号公報
【特許文献2】特開2012-188555号公報
【特許文献3】特開2016-74920号公報
【特許文献4】特開2020-127919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ディスペンス性、吐出作業性及び樹脂フロー性が良好な樹脂組成物及び樹脂組成物充填済みシリンジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を達成すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、シリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成した後、樹脂ドームの形状の経時的変化が所定の条件を満たす場合に、意外にも、ディスペンス性、吐出作業性及び樹脂フロー性が良好となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] シリンジと、シリンジ内に充填された樹脂組成物とを備える樹脂組成物充填済みシリンジであって、
樹脂組成物が、
水平に設置したシリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成し、樹脂ドームの形状変化を測定する樹脂組成物の評価試験において、
ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH2とした場合、
下記式(1)の条件を満たす、樹脂組成物充填済みシリンジ。
0.15<H2/H1<0.90 ・・・(1)
[2] 前記評価試験が、
シリコンウエハ表面から高さ5cmの位置に設置した吐出口より、シリコンウエハ表面上に、23℃条件下、2g/秒の速度で23℃の樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスし、ディスペンスを停止して、樹脂組成物の樹脂ドームを形成することを含む、上記[1]に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
[3] 前記評価試験において、
樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームとが接触していない場合、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスした時点を前記ディスペンス完了時点とし、
樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームが接触している場合、ディスペンスの停止後に吐出口を引き上げて、吐出口を樹脂ドームから引き離す操作を行い、吐出口が樹脂ドームから離れた時点を前記ディスペンス完了時点とする、上記[2]に記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
[4] ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径をL1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径をL2とした場合、下記式(2)の条件をさらに満たす、上記[1]~[3]の何れかに記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
0.40<L1/L2<0.96 ・・・(2)
[5] 樹脂組成物の25℃における粘度が、100Pa・s以上500Pa・s以下である、上記[1]~[4]の何れかに記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
[6] 樹脂組成物が、(A)熱硬化性樹脂を含む、上記[1]~[5]の何れかに記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
[7] 樹脂組成物が、(B)無機充填材を含む、上記[1]~[6]の何れかに記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
[8] 樹脂組成物が、(C)シランカップリング剤を含む、上記[1]~[7]の何れかに記載の樹脂組成物充填済みシリンジ。
[9] 水平に設置したシリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成し、樹脂ドームの形状変化を測定する樹脂組成物の評価試験において、
ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH2とした場合、
下記式(1)の条件を満たす、樹脂組成物。
0.15<H2/H1<0.90 ・・・(1)
[10] 前記評価試験が、
シリコンウエハ表面から高さ5cmの位置に設置した吐出口より、シリコンウエハ表面上に、23℃条件下、2g/秒の速度で23℃の樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスし、ディスペンスを停止して、樹脂組成物の樹脂ドームを形成することを含む、上記[9]に記載の樹脂組成物。
[11] 前記評価試験において、
樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームとが接触していない場合、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスした時点を前記ディスペンス完了時点とし、
樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームが接触している場合、ディスペンスの停止後に吐出口を引き上げて、吐出口を樹脂ドームから引き離す操作を行い、吐出口が樹脂ドームから離れた時点を前記ディスペンス完了時点とする、上記[10]に記載の樹脂組成物。
[12] ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径をL1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径をL2とした場合、
下記式(2)の条件をさらに満たす、上記[9]~[11]の何れかに記載の樹脂組成物。
0.40<L1/L2<0.96 ・・・(2)
[13] 樹脂組成物の25℃における粘度が、100Pa・s以上500Pa・s以下である、上記[9]~[12]の何れかに記載の樹脂組成物。
[14] (A)熱硬化性樹脂を含む、上記[9]~[13]の何れかに記載の樹脂組成物。
[15] (B)無機充填材を含む、上記[9]~[14]の何れかに記載の樹脂組成物。
[16] (C)シランカップリング剤を含む、上記[9]~[15]の何れかに記載の樹脂組成物。
[17] 半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための上記[9]~[16]の何れかに記載の樹脂組成物。
[18] 回路基板の絶縁層を形成するための上記[9]~[16]の何れかに記載の樹脂組成物。
[19] 半導体チップパッケージの半導体チップを封止するための上記[9]~[16]の何れかに記載の樹脂組成物。
[20] 上記[9]~[19]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物。
[21] 上記[9]~[19]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む回路基板。
[22] 上記[21]に記載の回路基板と、当該回路基板に搭載された半導体チップと、を含む半導体チップパッケージ。
[23] 半導体チップと、当該半導体チップを封止する上記[9]~[19]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物と、を含む半導体チップパッケージ。
[24] 上記[22]又は[23]に記載の半導体チップパッケージを備える半導体装置。
[25] 水平に設置したシリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成し、樹脂ドームの形状変化を測定する樹脂組成物の評価方法であって、
ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH1、
ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さをH2とした場合、
下記式(1)の条件を満たすか否かを判定することを含む、樹脂組成物の評価方法。
0.15<H2/H1<0.90 ・・・(1)
【発明の効果】
【0009】
本発明の樹脂組成物によれば、ディスペンス性、吐出作業性及び樹脂フロー性が良好な樹脂組成物及び樹脂組成物充填済みシリンジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物充填済みシリンジの一例を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物充填済みシリンジに装着するノズルの一例を概略的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の評価試験におけるディスペンス完了時点のシリコンウエハ上に形成した樹脂ドームを樹脂組成物充填済みシリンジの一部と共に模式的に示す水平方向から見た断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の評価試験におけるディスペンス完了時点のシリコンウエハ上に形成した樹脂ドームを模式的に示す鉛直方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
【0012】
<樹脂組成物充填済みシリンジ>
本発明の樹脂組成物充填済みシリンジは、シリンジと、シリンジ内に充填された樹脂組成物とを備える。
【0013】
本発明の樹脂組成物充填済みシリンジとそれに装着するノズルの構成について一例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物充填済みシリンジの一例を概略的に示す断面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物充填済みシリンジに装着するノズルの一例を概略的に示す側面図である。
【0014】
図1に示すように、樹脂組成物充填済みシリンジ10は、シリンジ11と、シリンジ11内に充填された樹脂組成物12とを備え、シリンジ11内には、樹脂組成物12を押し出すためのプランジャー13を備える。また、樹脂組成物充填済みシリンジ10は、シリンジ11の縮径された側の一端の内表面にノズル20を装着するためのねじ山からなる雌ねじ部14を備え、当該一端の先端に樹脂組成物を吐出するための吐出口15を有し、吐出口15とは反対側の他端に、プランジャーロッドが挿入される開口部16を備える。吐出口15は、吐出口15を閉塞し、使用時に除去する先端キャップ17を有し、開口部16は、開口部16を閉塞し、使用時に除去するエンドキャップ18を有する。
【0015】
シリンジ11は、一実施形態において、本発明の樹脂組成物を充填できる封止材料のディスペンス用シリンジとして用いることができるものであればよいが、とりわけ、製品規格「12Ozシリンジ」を用いることが好適である。「12Ozシリンジ」の市販品の例としては、例えば、サンエイテック社製「5194C」等が挙げられる。「12Ozシリンジ」は、吐出口15の内径が14.22mm、外径が19.30mm、開口部16の内径が40.26mm、シリンジ11の吐出口15から開口部16まで長さが311.40mmであり得る。
【0016】
樹脂組成物充填済みシリンジ10は、ノズル20を装着して用いる場合がある。樹脂組成物充填済みシリンジ10にノズル20を装着する場合は先端キャップ17を除去する。
図2に示すように、ノズル20は、チューブ部21とシリンジ連結部22とからなり、チューブ部21は、その一部がシリンジ連結部22に差し込まれ固定されている。チューブ部21側の先端には、樹脂組成物を吐出するためのノズル吐出部23を有し、シリンジ連結部22側の他端には、ノズル20を樹脂組成物充填済みシリンジ10に固定した場合にシリンジ11内から樹脂組成物12を送り込むためのノズル開口部24を有し、全体として管状をなす。シリンジ連結部22側の他端の外表面には、樹脂組成物充填済みシリンジ10にノズル20を装着し固定するための雌ねじ部14と噛み合うねじ山からなる雄ねじ部25を有する。チューブ部21は、軟質材料で形成され、外圧により押し、樹脂組成物を堰き止めることでディスペンスを停止することができる構造となっている。
【0017】
<樹脂組成物及びその評価試験(評価方法)>
本発明で使用する樹脂組成物は、下記で説明する樹脂組成物の評価試験の結果において下記で説明する式(1)の条件(好ましくはさらに式(2)の条件)を満たす。
【0018】
以下、樹脂組成物の評価試験(評価方法)について説明する。
【0019】
樹脂組成物評価のための評価試験では、水平に設置したシリコンウエハ表面上に、樹脂組成物をディスペンスして、樹脂組成物の樹脂ドームを形成し、樹脂ドームの形状変化を測定し、下記で説明する式(1)の条件(好ましくはさらに式(2)の条件)を満たすか否かを判定する。
【0020】
評価試験ではシリンジを使用し、シリンジの吐出口より、ディスペンスしてもよい。評価試験において使用するシリンジは、例えば、
図1に示すような樹脂組成物充填済みシリンジ10であり得る。ディスペンス時は、シリンジの先端キャップ17及びエンドキャップ18は除去する。また、樹脂ドームの形状に関する下記で説明する所定の条件を測定する際のディスペンス時にはノズル20は装着してもよいし、しなくてもよい。評価試験ではディスペンス時に通常ディスペンサーを用いる。評価試験で使用するディスペンサーの市販品の例としては、アピックヤマダ社製「液状マニュアルディスペンサー」等が挙げられる。
【0021】
評価試験において使用するシリコンウエハとしては、算術平均粗さ(Ra)が10Å以下のシリコンウエハを使用することができ、サイズは評価試験が可能な限りにおいて特に限定されない。
【0022】
一実施形態の評価試験におけるディスペンスによる樹脂ドームを形成について模式図を用いて説明する。
図3は、一実施形態の評価試験におけるディスペンス完了時点のシリコンウエハ上に形成した樹脂ドームを樹脂組成物充填済みシリンジの一部と共に模式的に示す水平方向からの断面図である。
図4は、一実施形態の評価試験におけるディスペンス完了時点のシリコンウエハ上に形成した樹脂ドームを模式的に示す鉛直方向からの平面図である。
【0023】
当該実施形態では、評価試験においてノズル未装着のシリンジを使用する。当該実施形態では、下記試験例3と同様ノズル20は装着しない場合について説明する。
図3に示すように、まず、水平に設置したシリコンウエハ40表面から吐出口15までの高さH
sが5cmとなるように先端キャップ17及びエンドキャップ18を除去した樹脂組成物充填済みシリンジ10を設置する。
【0024】
次に、当該実施形態では、樹脂組成物充填済みシリンジ10における吐出口15から、シリコンウエハ表面上に、23℃条件下、2g/秒の速度で外気と同一の23℃の樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスし、40g±1.5gディスペンスした時点でディスペンスを停止し、樹脂組成物の樹脂ドーム20を形成する。ディスペンスの停止とは、プランジャーの停止、吐出口(ノズル吐出口)の遮断、ノズル使用時にはノズルのチューブ部の堰き止めなどにより、シリコンウエハ表面上への樹脂組成物の供給を断つことを意味する。当該実施形態では、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスした時点で、ディスペンスを停止するため、樹脂ドーム20の樹脂組成物量は40g±1.5gとなる。
【0025】
また、当該実施形態においては、樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームが接触している場合、ディスペンスの停止後に吐出口を引き上げて、吐出口を樹脂ドームから引き離す操作を行う。
【0026】
また、当該実施形態では、樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームとが接触していない場合、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスした時点をディスペンス完了時点とし、樹脂組成物のディスペンスを停止した時点で吐出口と樹脂ドームが接触している場合、ディスペンスの停止後に吐出口を引き上げて、吐出口を樹脂ドームから引き離す操作を行い、吐出口が樹脂ドームから離れた時点をディスペンス完了時点とする。
【0027】
樹脂組成物の樹脂ドーム30は、
図3に示すように、液状の樹脂組成物のドーム状の塊であり、通常樹脂組成物の落下点を中心に円状に樹脂組成物が拡がるため、
図4に示すように、シリコンウエハ40との接触面は円形となり得る。
【0028】
樹脂組成物の樹脂ドーム30は、通常、ディスペンス後、経時的に、樹脂組成物の落下点を中心に円状に拡がる。したがって、樹脂ドーム30のシリコンウエハ40との接触面から樹脂ドーム頂点までの高さH0は、経時的に低くなる。これにより、本発明における樹脂組成物は、樹脂ドーム30の形状の経時変化を示す所定の第一の条件として、ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドーム30のシリコンウエハ40との接触面から樹脂ドーム頂点までの高さ(シリコンウエハ40の面に対して垂直方向の距離)をH1、ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドーム20のシリコンウエハ30との接触面から樹脂ドーム頂点までの高さ(シリコンウエハ40の面に対して垂直方向の距離)をH2とした場合に、下記式(1)の条件を満たす。
0.15<H2/H1<0.90 ・・・(1)
【0029】
上記式(1)の条件において、H2/H1は、0.15<H2/H1を満たし、好ましくは0.20<H2/H1、より好ましくは0.25<H2/H1、さらに好ましくは0.30<H2/H1、特に好ましくは0.33<H2/H1である。一方で、H2/H1は、H2/H1<0.90を満たし、好ましくはH2/H1<0.85、特に好ましくはH2/H1<0.82である。
【0030】
本発明における樹脂組成物は、上記式(1)の条件を満たすことにより、一実施形態において、ディスペンス性が良好であるという特徴を有し得る。ディスペンス性が良好であることから、樹脂組成物充填済みシリンジ10における吐出口15(ノズル吐出部23)から円滑に吐出でき、バックフロー現象が生じ難くいため、作業性が良好となり得る。
【0031】
また、本発明における樹脂組成物は、上記式(1)の条件を満たすことにより、一実施形態において、吐出作業性が良好であるという特徴を有し得る。吐出作業性が良好であることから、液切れが良好であり、液離れや樹脂ダレが生じ難く、精確な樹脂供給量で樹脂組成物をディスペンスでき得る。液切れとは、ディスペンスを停止した時に、速やかにノズル吐出部23からの樹脂組成物の吐出が停止する性質を表す。また、液離れとは、ノズル吐出部23から出た樹脂組成物が、吐出口15に付着せずに容易に離れる性質を表す。
【0032】
また、本発明における樹脂組成物は、上記式(1)の条件を満たすことにより、一実施形態において、樹脂フロー性が良好であるという特徴を有し得る。樹脂フロー性が良好であることから、型内で未充填部分が生じ難く、また、圧縮成型時の型からの樹脂漏れが生じ難いため、圧縮成型性に優れ得る。
【0033】
また、樹脂ドーム30のシリコンウエハ40との接触面の直径L0は、ディスペンス後、経時的に大きくなる。これにより、本発明における樹脂組成物は、樹脂ドーム30の形状の経時変化を示す所定の第二の条件として、ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドーム30のシリコンウエハ40との接触面の直径をL1、ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドーム30のシリコンウエハ40との接触面の直径をL2とした場合、下記式(2)の条件をさらに満たすことが好ましい。
0.40<L1/L2<0.96 ・・・(2)
【0034】
上記式(2)の条件において、L1/L2は、0.40<L1/L2を満たし、好ましくは0.45<L1/L2、特に好ましくは0.48<L1/L2である。一方で、L1/L2は、L1/L2<0.96を満たし、好ましくはL1/L2<0.94、より好ましくはL1/L2<0.92、特に好ましくはL1/L2<0.90である。
【0035】
本発明における樹脂組成物は、上記式(2)の条件を満たすことにより、一実施形態において、樹脂組成物のディスペンス性、吐出作業性及び樹脂フロー性をより一層向上させることができる。
【0036】
なお、ディスペンス完了時点から180秒後までは、ディスペンス時同様23℃条件下である。
【0037】
本発明における樹脂組成物の25℃における粘度は、樹脂フロー性をより向上させ、圧縮成型時の型からの樹脂漏れをさらに防止する観点から、通常1Pa・s以上、好ましくは2.5Pa・s以上、10Pa・s以上、より好ましくは30Pa・s以上、50Pa・s以上、さらに好ましくは80Pa・s以上、90Pa・s以上、さらにより好ましくは100Pa・s以上、110Pa・s以上、特に好ましくは120Pa・s以上、130Pa・s以上である。また、樹脂組成物の25℃における粘度の上限は、ディスペンス性をより向上させ、バックフロー現象をさらに防止する観点から、通常2000Pa・s以下、好ましくは1000Pa・s以下、900Pa・s以下、好ましくは800Pa・s以下、700Pa・s以下、好ましくは650Pa・s以下、600Pa・s以下、好ましくは500Pa・s以下、450Pa・s以下、特に好ましくは400Pa・s以下、380Pa・s以下である。前記の粘度は、E型粘度計を用いて測定し得る。
【0038】
本発明において樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂、(B)無機充填材、(C)ラジカル重合性化合物、(D)ラジカル重合開始剤、(E)熱可塑性樹脂、(F)硬化促進剤、(G)その他の添加剤、及び(H)有機溶剤から選ばれる成分を含んでいてもよい。当業者は、これらの成分の選択及び含有量の変更により、樹脂組成物を上記式(1)及び(2)の条件を満たすように調整することが可能である。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0039】
<(A)熱硬化性樹脂>
本発明において樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂を含んでいていてもよい。熱硬化性樹脂としては、電子機器の封止材料として使用可能な熱硬化性樹脂を用いることができる。(A)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0040】
<(A-1)エポキシ樹脂>
本発明において樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂として、(A-1)エポキシ樹脂を含んでいていてもよい。(A-1)エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する樹脂を意味する。
【0041】
(A-1)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
本発明において樹脂組成物は、(A-1)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(A-1)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0043】
(A-1)エポキシ樹脂には、温度25℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度25℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。本発明において樹脂組成物は、(A-1)エポキシ樹脂として、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を組み合わせて含んでいてもよいが、液状エポキシ樹脂を含むことがより好ましく、(A-1)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂のみを含むことが特に好ましい。
【0044】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0045】
液状エポキシ樹脂としては、グリシロール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族グリシジルエーテル、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシロール型エポキシ樹脂、環状脂肪族グリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0046】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製の「EX-992L」、三菱ケミカル社製の「YX7400」、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-991L」(アルキレンオキシ骨格含有エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「EG-280」(フルオレン構造含有エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製「EX-201」(環状脂肪族グリシジルエーテル)等が挙げられる。
【0047】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0048】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、フェノールフタレイン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0049】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
(A-1)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0051】
(A-1)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0052】
樹脂組成物中の(A-1)エポキシ樹脂の含有率は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下であり、樹脂組成物中の(B)無機充填材以外の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、1質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、特に好ましくは80質量%以下である。
【0053】
<(A-2)エポキシ硬化剤>
本発明において樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂として(A-1)エポキシ樹脂を含む場合、さらに任意成分として(A-2)エポキシ硬化剤を含んでいていてもよい。(A-2)エポキシ硬化剤は、(A-1)エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させるエポキシ樹脂硬化剤としての機能を有する。
【0054】
(A-2)エポキシ硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、チオール系硬化剤等が挙げられる。(A-2)エポキシ硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(A-2)エポキシ硬化剤は、活性エステル系硬化剤、及びフェノール系硬化剤から選ばれるエポキシ硬化剤を含むことが好ましい。
【0055】
活性エステル系硬化剤としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。
【0056】
活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。
【0057】
活性エステル系硬化剤としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0058】
具体的には、活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤、及びナフタレン型活性エステル系硬化剤から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤が好ましい。
【0059】
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤として「EXB-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」(DIC社製);りん含有活性エステル系硬化剤として、「EXB9401」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
【0060】
フェノール系硬化剤としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する硬化剤が挙げられる。中でも、ベンゼン環に結合した水酸基を有する化合物が好ましい。
【0061】
フェノール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、「MEH-8000H」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;DIC社製の「TD-2090」、「TD-2090-60M」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」、「HPC-9500」、「KA-1160」、「KA-1163」、「KA-1165」;群栄化学社製の「GDP-6115L」、「GDP-6115H」、「ELPC75」;シグマアルドリッチ社製の「2,2-ジアリルビスフェノールA」等が挙げられる。
【0062】
カルボジイミド系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド構造を有する硬化剤が挙げられ、例えば、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。
【0063】
カルボジイミド系硬化剤の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
【0064】
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられ、1分子内中に2個以上の酸無水物基を有する硬化剤が好ましい。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」、三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」、日立化成社製の「HN-2200」、「HN-5500」等が挙げられる。
【0065】
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
【0066】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
【0067】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0068】
チオール系硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0069】
(A-2)エポキシ硬化剤の反応基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。反応基当量は、反応基1当量あたりの硬化剤の質量である。
【0070】
樹脂組成物中の(A-2)エポキシ硬化剤の含有率は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下であり、樹脂組成物中の(B)無機充填材以外の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。
【0071】
<(B)無機充填材>
本発明において樹脂組成物は、任意の成分として(B)無機充填材を含んでいていてもよい。
【0072】
(B)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。無機充填材の材料の例としては、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。(B)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
(B)無機充填材の50%累積径D50は、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.3μm以上、特に好ましくは0.4μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。(B)無機充填材の50%累積径D50が小さすぎると、ディスペンス性が低下し、バックフロー現象が生じ易くなり得る。
【0074】
(B)無機充填材の90%累積径D90は、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、特に好ましくは3.5μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。90%累積径D90がこのように小さいことは、(C)無機充填材が巨大粒子を含まないことを表す。(B)無機充填材の90%累積径D90が小さすぎると、ディスペンス性が低下し、バックフロー現象が生じ易くなり得る。
【0075】
(B)無機充填材の50%累積径D50と90%累積径D90との比D50/D90は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.35以上であり、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.65以下である。
【0076】
(B)無機充填材の50%累積径D50と90%累積径D90との差(D90-D50)は、好ましくは2μm以上、より好ましくは2.5μm以上、特に好ましくは3μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、さらに好ましくは16μm以下である。
【0077】
(B)無機充填材の50%累積径D50及び90%累積径D90は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、(B)無機充填材の粒径分布を体積基準で作成する。そして、その小径側からの累積頻度が50%である粒子径(即ち、メディアン径)を50%累積径D50としうる。また、その小径側からの累積頻度が90%である粒子径を90%累積径D90としうる。測定サンプルは、(B)無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で(B)無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布から50%累積径D50及び90%累積径D90を算出できる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0078】
(B)無機充填材の比表面積は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、特に好ましくは3m2/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m2/g以下、50m2/g以下又は40m2/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
【0079】
(B)無機充填材の市販品としては、例えば、新日鉄住金マテリアルズ社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;デンカ社製の「UFP-30」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;などが挙げられる。
【0080】
(B)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0081】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0082】
表面処理剤による表面処理の程度は、(B)無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、(B)無機充填材100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
【0083】
表面処理剤による表面処理の程度は、(B)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。(B)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、(B)無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及び樹脂シート層での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下が更に好ましい。
【0084】
(B)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の(B)無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された(B)無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて(B)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0085】
樹脂組成物中の(B)無機充填材の含有率は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、本発明の所望の効果をより顕著に得る観点から、例えば0質量%以上、1質量%以上、好ましくは10質量%以上、20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、60質量%以上、さらにより好ましくは65質量%以上、70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上、78質量%以上であり、上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは92質量%以下、さら好ましくは90質量%以下、特に好ましくは89質量%以下である。(B)無機充填材の含有率が高すぎると、ディスペンス性が低下し、バックフロー現象が生じ易くなり得る。
【0086】
<(C)シランカップリング剤>
本発明において樹脂組成物は、(A)及び(B)成分以外の任意成分として(C)シランカップリング剤を含んでいてもよい。
【0087】
(C)シランカップリング剤としては、例えば、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などが挙げられる。中でも、エポキシ基を含有するエポキシシラン系カップリング剤、及び、メルカプト基を含有するメルカプトシラン系カップリング剤が好ましい。また、シランカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0088】
(C)シランカップリング剤としては、例えば、市販品を用いてもよい。シランカップリング剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM503」(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM5783」等が挙げられる。
【0089】
(C)シランカップリング剤の量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下であり、樹脂組成物中の(B)無機充填材以外の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
【0090】
<(D)硬化促進剤>
本発明における樹脂組成物は、(A)~(C)成分以外の任意の成分として(D)硬化促進剤を含んでいてもよい。(D)硬化促進剤は、樹脂組成物の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
【0091】
(D)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
【0093】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7,4-ジメチルアミノピリジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
【0094】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
【0095】
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200-H50」、四国化成工業社製の「キュアゾール2MZ」、「2E4MZ」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「Cl1Z-A」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」等が挙げられる。
【0096】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
【0097】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0098】
樹脂組成物中の(D)硬化促進剤の含有率は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下であり、樹脂組成物中の(B)無機充填材以外の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
【0099】
<(E)ラジカル重合性化合物>
本発明における樹脂組成物は、(A)~(D)成分以外の任意の成分として(E)ラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。
【0100】
(E)ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を用いうる。このような(E)ラジカル重合性化合物としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フマロイル基、マレオイル基、ビニルフェニル基、スチリル基、シンナモイル基及びマレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)等のラジカル重合性基を有する化合物が挙げられる。(E)ラジカル重合性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】
(E)ラジカル重合性化合物の具体例としては、1個又は2個以上のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する(メタ)アクリル系ラジカル重合性化合物;芳香族炭素原子に直接結合した1個又は2個以上のビニル基を有するスチレン系ラジカル重合性化合物;1個又は2個以上のアリル基を有するアリル系ラジカル重合性化合物;1個又は2個以上のマレイミド基を有するマレイミド系ラジカル重合性化合物;などが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系ラジカル重合性化合物が好ましい。
【0102】
(E)ラジカル重合性化合物は、ポリアルキレンオキシド構造を含むことが好ましい。ポリアルキレンオキシド構造を含む(E)ラジカル重合性化合物を用いることにより、本発明における樹脂組成物の硬化物の柔軟性を高めて、硬化物の反りを低減し、または、硬化物と導体層との密着性を向上させることができる。
【0103】
ポリアルキレンオキシド構造は、式-(RfO)n-で表されうる。当該式において、nは、通常2以上の整数を表す。この整数nは、好ましくは4以上、より好ましくは9以上、さらに好ましくは11以上であり、通常101以下、好ましくは90以下、より好ましくは68以下、さらに好ましくは65以下である。式(4)において、Rfは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。前記のアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下であり、特に好ましくは2である。ポリアルキレンオキシド構造の具体例としては、ポリエチレンオキシド構造、ポリプロピレンオキシド構造、ポリn-ブチレンオキシド構造、ポリ(エチレンオキシド-co-プロピレンオキシド)構造、ポリ(エチレンオキシド-ran-プロピレンオキシド)構造、ポリ(エチレンオキシド-alt-プロピレンオキシド)構造及びポリ(エチレンオキシド-block-プロピレンオキシド)構造が挙げられる。
【0104】
(E)ラジカル重合性化合物が1分子中に含むポリアルキレンオキシド構造の数は、1でもよく、2以上でもよい。(E)ラジカル重合性化合物が1分子中に含むポリアルキレンオキシド構造の数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは9以上、特に好ましくは11以上であり、好ましくは101以下、より好ましくは90以下、更に好ましくは68以下、特に好ましくは65以下である。(E)ラジカル重合性化合物が1分子中に2以上のポリアルキレンオキシド構造を含む場合、それらのポリアルキレンオキシド構造は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0105】
ポリアルキレンオキシド構造を含む(E)ラジカル重合性化合物の市販品の例を挙げると、新中村化学工業社製の単官能アクリレート「AM-90G」、「AM-130G」、「AMP-20GY」;2官能アクリレート「A-1000」、「A-B1206PE」、「A-BPE-20」、「A-BPE-30」;単官能メタクリレート「M-20G」、「M-40G」、「M-90G」、「M-130G」、「M-230G」;並びに、2官能メタクリレート「23G」、「BPE-900」、「BPE-1300N」、「1206PE」が挙げられる。また、別の例としては、共栄社化学社製の「ライトエステルBC」、「ライトエステル041MA」、「ライトアクリレートEC-A」、「ライトアクリレートEHDG-AT」;日立化成社製の「FA-023M」;日油社製の「ブレンマー(登録商標)PME-4000」、「ブレンマー(登録商標)50POEO-800B」、「ブレンマー(登録商標)PLE-200」、「ブレンマー(登録商標)PLE-1300」、「ブレンマー(登録商標)PSE-1300」、「ブレンマー(登録商標)43PAPE-600B」、「ブレンマー(登録商標)ANP-300」等が挙げられる。このうち、ポリアルキレンオキシド構造(詳細には、ポリエチレンオキシド構造)を有する「M-130G」(nが平均13);及び、ポリアルキレンオキシド構造(詳細には、ポリエチレンオキシド構造)を有する「M-230G」(nが平均23)が好ましい。
【0106】
(E)ラジカル重合性化合物のエチレン性不飽和結合当量は、好ましくは20g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~2500g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~2000g/eq.、特に好ましくは90g/eq.~1500g/eq.である。エチレン性不飽和結合当量は、エチレン性不飽和結合1当量あたりのラジカル重合性化合物の質量を表す。
【0107】
(E)ラジカル重合性化合物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは150以上、より好ましくは250以上、更に好ましくは400以上であり、好ましくは40000以下、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下、特に好ましくは3000以下である。
【0108】
樹脂組成物中の(E)ラジカル重合性化合物の含有率は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であり、樹脂組成物中の(B)無機充填材以外の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。
【0109】
<(F)ラジカル重合開始剤>
本発明における樹脂組成物は、さらに任意の成分として(F)ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。(F)ラジカル重合開始剤としては、加熱時にフリーラジカルを発生させる熱重合開始剤が好ましい。(F)ラジカル重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0110】
(F)ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。中でも、過酸化物系ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0111】
過酸化物系ラジカル重合開始剤としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド化合物;tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジ-tert-ヘキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,4-ビス(1-tert-ブチルパーオキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシン等のジアルキルパーオキサイド化合物;ジラウロイルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のジアシルパーオキサイド化合物;tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシラウレート、(1,1-ジメチルプロピル)2-エチルパーヘキサノエート、tert-ブチル2-エチルパーヘキサノエート、tert-ブチル3,5,5-トリメチルパーヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシマレイン酸等のパーオキシエステル化合物;等が挙げられる。
【0112】
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチル-バレロニトリル等のアゾニトリル化合物;2,2’-アゾビス[2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]-プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)ジハイドレート、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾアミド化合物;2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)等のアルキルアゾ化合物;等が挙げられる。
【0113】
(F)ラジカル重合開始剤は、中温活性を有するものが好ましい。具体的には、(F)ラジカル重合開始剤は、10時間半減期温度T10(℃)が、特定の低い温度範囲にあることが好ましい。前記の10時間半減期温度T10は、好ましくは50℃~110℃、より好ましくは50℃~100℃、更に好ましくは50℃~80℃である。このような(F)ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、アルケマ富士社製「ルペロックス531M80」、日油社製「パーヘキシル(登録商標)O」、及び、富士フイルム和光純薬社製「MAIB」が挙げられる。
【0114】
樹脂組成物中の(F)ラジカル重合開始剤の含有率は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下であり、樹脂組成物中の(B)無機充填材以外の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。
【0115】
<(G)ポリエーテル骨格含有化合物>
本発明における樹脂組成物は、(A)~(F)成分以外の任意の成分として(G)ポリエーテル骨格含有化合物を含んでいてもよい。(G)ポリエーテル骨格含有化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0116】
(G)ポリエーテル骨格含有化合物は、ポリエーテル骨格を有するポリマー化合物である。(G)ポリエーテル骨格含有化合物に含まれるポリエーテル骨格は、エチレンオキシド単位及びプロピレンオキシド単位から選ばれる1種以上のモノマー単位で構成されたポリオキシアルキレン骨格であることが好ましい。よって、(G)ポリエーテル骨格含有化合物は、ブチレンオキシド単位、フェニレンオキシド単位等の、炭素数4以上のモノマー単位を含むポリエーテル骨格を含まないことが好ましい。
【0117】
(G)ポリエーテル骨格含有化合物は、シリコーン骨格を含有していてもよい。シリコーン骨格としては、例えば、ポリジメチルシロキサン骨格等のポリジアルキルシロキサン骨格;ポリジフェニルシロキサン骨格等のポリジアリールシロキサン骨格;ポリメチルフェニルシロキサン骨格等のポリアルキルアリールシロキサン骨格;ポリジメチル-ジフェニルシロキサン骨格等のポリジアルキル-ジアリールシロキサン骨格;ポリジメチル-メチルフェニルシロキサン骨格等のポリジアルキル-アルキルアリールシロキサン骨格;ポリジフェニル-メチルフェニルシロキサン骨格等のポリジアリール-アルキルアリールシロキサン骨格等が挙げられ、ポリジアルキルシロキサン骨格が好ましく、ポリジメチルシロキサン骨格が特に好ましい。シリコーン骨格を含有する(G)ポリエーテル骨格含有化合物は、例えば、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、アルキルエーテル化ポリオキシアルキレン変性シリコーン(ポリエーテル骨格末端の少なくとも一部がアルコキシ基のポリオキシアルキレン変性シリコーン)等でありうる。また、(G)ポリエーテル骨格含有化合物は、ヒドロキシ基を含有していてもよい。
【0118】
(G)ポリエーテル骨格含有化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の直鎖型ポリオキシアルキレングリコール(直鎖型ポリアルキレングリコール);ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテル、ポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテル、ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレントペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシプロピレンソルビット、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンソルビット等の多鎖型ポリオキシアルキレングリコール(多鎖型ポリアルキレングリコール)等のポリオキシアルキレングリコール(ポリアルキレングリコール);ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンモノエステル、ポリオキシエチレンジエステル、ポリプロピレングリコールモノエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジエステル等のポリオキシアルキレンエステル(酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル等を含む);ポリオキシエチレンモノエステル、ポリオキシエチレンジエステル、ポリオキシプロピレンモノエステル、ポリオキシプロピレンジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルエステル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルエステル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル等を含む);ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン等のポリオキシアルキレンアルキルアミン;ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミド等のポリオキシアルキレンアルキルアミド;ポリオキシエチレンジメチコン、ポリオキシプロピレンジメチコン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジメチコン、ポリオキシエチレンポリジメチルシロキシアルキルジメチコン、ポリオキシプロピレンポリジメチルシロキシアルキルジメチコン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリジメチルシロキシアルキルジメチコン等のポリオキシアルキレン変性シリコーン;ポリオキシエチレンアルキルエーテルジメチコン、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルジメチコン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルジメチコン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリジメチルシロキシアルキルジメチコン、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルポリジメチルシロキシアルキルジメチコン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルポリジメチルシロキシアルキルジメチコン等のアルキルエーテル化ポリオキシアルキレン変性シリコーン(ポリエーテル骨格末端が少なくとも一部がアルコキシ基のポリオキシアルキレン変性シリコーン)等が挙げられる。
【0119】
(G)ポリエーテル骨格含有化合物の数平均分子量は、好ましくは500~40000、より好ましくは500~20000、さらに好ましくは500~10000である。(G)ポリエーテル骨格含有化合物の重量平均分子量は、好ましくは500~40000、より好ましくは500~20000、さらに好ましくは500~10000である。数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0120】
(G)ポリエーテル骨格含有化合物は、25℃において液状であることが好ましい。(G)ポリエーテル骨格含有化合物の25℃における粘度は、好ましくは100000mPa・s以下、より好ましくは50000mPa・s以下、更に好ましくは30000mPa・s以下、更に好ましくは10000mPa・s以下、更に好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは4000mPa・s以下、更に好ましくは3000mPa・s以下、更に好ましくは2000mPa・s以下、特に好ましくは1500mPa・s以下である。(G)ポリエーテル骨格含有化合物の25℃における粘度の下限は、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、更に好ましくは30mPa・s以上、更に好ましくは40mPa・s以上、特に好ましくは50mPa・s以上である。粘度は、B型粘度計により測定して得られる粘度(mPa・s)でありうる。
【0121】
(G)ポリエーテル骨格含有化合物の市販品としては、例えば、日油社製の「プロノン#102」、「プロノン#104」、「プロノン#201」、「プロノン#202B」、「プロノン#204」、「プロノン#208」、「ユニルーブ70DP-600B」、「ユニルーブ70DP-950B」(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール);ADEKA社製の「プルロニックL-23」、「プルロニックL-31」、「プルロニックL-44」、「プルロニックL-61」、「アデカプルロニックL-62」、「プルロニックL-64」、「プルロニックL-71」、「プルロニックL-72」、「プルロニックL-101」、「プルロニックL-121」、「プルロニックP-84」、「プルロニックP-85」、「プルロニックP-103」、「プルロニックF-68」、「プルロニックF-88」、「プルロニックF-108」、「プルロニック25R-1」、「プルロニック25R-2」、「プルロニック17R-2」、「プルロニック17R-3」、「プルロニック17R-4」(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール);信越シリコーン社製の「KF-6011」、「KF-6011P」、「KF-6012」、「KF-6013」、「KF-6015」、「KF-6016」、「KF-6017」、「KF-6017P」、「KF-6043」、「KF-6004」、「KF351A」、「KF352A」、「KF353」、「KF354L」、「KF355A」、「KF615A」、「KF945」、「KF-640」、「KF-642」、「KF-643」、「KF-644」、「KF-6020」、「KF-6204」、「X22-4515」、「KF-6028」、「KF-6028P」、「KF-6038」、「KF-6048」、「KF-6025」(ポリオキシアルキレン変性シリコーン)等が挙げられる。
【0122】
樹脂組成物中の(G)ポリエーテル骨格含有化合物の含有率は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、特に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下であり、樹脂組成物中の(B)無機充填材以外の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下である。
【0123】
<(H)その他の添加剤>
本発明における樹脂組成物は、上述した(A)~(G)成分以外の不揮発成分として、任意の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等の有機充填材;ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤等が挙げられる。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0124】
<(J)有機溶剤>
本発明における樹脂組成物は、揮発性成分として、さらに(J)任意の有機溶剤を含有していてもよい。(J)有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。溶剤は、量が少ないほど好ましい。溶剤の量は、本発明における樹脂組成物中の全不揮発成分100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下であり、含まないこと(0質量%)が特に好ましい。
【0125】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明における樹脂組成物は、例えば、上述した成分を混合することによって、製造することができる。上述した成分は、一部又は全部を同時に混合してもよく、順に混合してもよい。各成分を混合する過程で、温度を適宜設定してもよく、よって、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、各成分を混合する過程において、撹拌又は振盪を行ってもよい。
【0126】
<樹脂組成物の用途>
本発明における樹脂組成物は、有機EL装置及び半導体等の電子機器を封止するための樹脂組成物(封止用の樹脂組成物)として好適に使用することができ、特に、半導体を封止するための樹脂組成物(半導体封止用の樹脂組成物)、好ましくは半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)として好適に使用することができる。また、樹脂組成物は、封止用途以外に絶縁層用の絶縁用途の樹脂組成物として用いることができる。例えば、前記の樹脂組成物は、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための樹脂組成物(半導体チップパッケージの絶縁層用の樹脂組成物)、及び、回路基板(プリント配線板を含む。)の絶縁層を形成するための樹脂組成物(回路基板の絶縁層用の樹脂組成物)として、好適に使用することができる。
【0127】
本発明における樹脂組成物の硬化物層上に形成される感光性樹脂組成物の層の解像性を改善できるという利点を活用する観点では、本発明における樹脂組成物は、半導体チップパッケージの封止層又は絶縁層を形成するための在ろうとして用いることが好ましい。半導体チップパッケージとしては、例えば、FC-CSP、MIS-BGAパッケージ、ETS-BGAパッケージ、Fan-out型WLP(Wafer Level Package)、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP(Panel Level Package)、Fan-in型PLPが挙げられる。
【0128】
また、前記の樹脂組成物は、アンダーフィル材として用いてもよく、例えば、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUF(Molding Under Filling)の材料として用いてもよい。
【0129】
さらに、前記の樹脂組成物は、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、ダイボンディング材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が用いられる広範な用途に使用できる。
【0130】
<樹脂シート>
樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層と、を有する。樹脂組成物層は、本発明における樹脂組成物により形成される層である。
【0131】
樹脂組成物層の厚みは、薄型化の観点から、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下である。樹脂組成物層の厚みの下限は、好ましくは1μm以上、5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは100μm以上でありうる。
【0132】
また、この樹脂組成物層を硬化させて得られる硬化物層の厚みは、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下である。硬化物層の厚みの下限は、好ましくは1μm以上、5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは100μm以上である。
【0133】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0134】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル;ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。);ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と略称することがある。)等のアクリルポリマー;環状ポリオレフィン;トリアセチルセルロース(以下「TAC」と略称することがある。);ポリエーテルサルファイド(以下「PES」と略称することがある。);ポリエーテルケトン;ポリイミド;等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0135】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。中でも、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0136】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面に、マット処理、コロナ処理、帯電防止処理等の処理が施されていてもよい。
【0137】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型剤の市販品としては、例えば、アルキド樹脂系離型剤である、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」等が挙げられる。また、離型層付き支持体としては、例えば、東レ社製の「ルミラーT60」;帝人社製の「ピューレックス」;ユニチカ社製の「ユニピール」;等が挙げられる。
【0138】
支持体の厚さは、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0139】
樹脂シートは、例えば、本発明における樹脂組成物を、ダイコーター等の塗布装置を用いて支持体上に塗布して、製造することができる。また、必要に応じて、本発明における樹脂組成物を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを塗布して樹脂シートを製造してもよい。有機溶剤を用いることにより、粘度を調整して、塗布性を向上させることができる。有機溶剤を含む本発明における樹脂組成物又は樹脂ワニスを用いた場合、通常は、塗布後に本発明における樹脂組成物又は樹脂ワニスを乾燥させて、本発明における樹脂組成物層を形成する。
【0140】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル溶剤;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤;等を挙げることができる。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0141】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。本発明における樹脂組成物又は樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む本発明における樹脂組成物又は樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0142】
樹脂シートは、必要に応じて、支持体及び樹脂組成物層以外の任意の層を含んでいてもよい。例えば、樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムが設けられていてもよい。保護フィルムの厚さは、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって樹脂シートは使用可能となる。また、樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。
【0143】
樹脂シートは、半導体チップパッケージの製造において絶縁層を形成するため(半導体チップパッケージの絶縁用樹脂シート)に好適に使用できる。例えば、樹脂シートは、回路基板の絶縁層を形成するため(回路基板の絶縁層用樹脂シート)に使用できる。このような基板を使ったパッケージの例としては、FC-CSP、MIS-BGAパッケージ、ETS-BGAパッケージが挙げられる。
【0144】
また、樹脂シートは、半導体チップを封止するため(半導体チップ封止用樹脂シート)に好適に使用することができる。適用可能な半導体チップパッケージとしては、例えば、Fan-out型WLP、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP、Fan-in型PLP等が挙げられる。
【0145】
また、樹脂シートを、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUFの材料に用いてもよい。
【0146】
さらに、樹脂シートは高い絶縁信頼性が要求される他の広範な用途に使用できる。例えば、樹脂シートは、プリント配線板等の回路基板の絶縁層を形成するために好適に使用することができる。
【0147】
<回路基板>
回路基板は、樹脂組成物の硬化物を含む。通常、回路基板は、樹脂組成物の硬化物で形成された硬化物層を含み、この硬化物層は、絶縁層又は封止層として機能しうる。この回路基板は、例えば、下記の工程(1)及び工程(2)を含む製造方法によって、製造できる。
(1)基板上に、樹脂組成物層を形成する工程。
(2)樹脂組成物層を熱硬化して、硬化物層を形成する工程。
【0148】
工程(1)では、基板を用意する。基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板(ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)、シリコンウエハなど)、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられる。また、基板は、当該基板の一部として表面に銅箔等の金属層を有していてもよい。例えば、両方の表面に剥離可能な第一金属層及び第二金属層を有する基板を用いてもよい。このような基板を用いる場合、通常、回路配線として機能できる配線層としての導体層が、第二金属層の第一金属層とは反対側の面に形成される。金属層の材料としては、銅箔、キャリア付き銅箔、後述する導体層の材料等が挙げられ、銅箔が好ましい。金属層を有する基板としては、例えば、三井金属鉱業社製のキャリア銅箔付極薄銅箔「Micro Thin」が挙げられる。
【0149】
また、基板の一方又は両方の表面には、導体層が形成されていてもよい。以下の説明では、基板と、この基板表面に形成された導体層とを含む部材を、適宜「配線層付基板」ということがある。導体層に含まれる導体材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む材料が挙げられる。導体材料としては、単金属を用いてもよく、合金を用いてもよい。合金としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性の観点から、単金属としてのクロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅;及び、合金としてのニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金;が好ましい。その中でも、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属;及び、ニッケル・クロム合金;がより好ましく、銅の単金属が特に好ましい。
【0150】
導体層は、例えば配線層として機能させるために、パターン加工されていてもよい。この際、導体層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は、特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは10/10μm以下、さらに好ましくは5/5μm以下、よりさらに好ましくは1/1μm以下、特に好ましくは0.5/0.5μm以上である。ピッチは、導体層の全体にわたって同一である必要はない。導体層の最小ピッチは、例えば、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
【0151】
導体層の厚さは、基板のデザインによるが、好ましくは3μm~35μm、より好ましくは5μm~30μm、さらに好ましくは10μm~20μm、特に好ましくは15μm~20μmである。
【0152】
基板を用意した後で、基板上に、樹脂組成物層を形成する。基板の表面に導体層が形成されている場合、樹脂組成物層の形成は、導体層が樹脂組成物層に埋め込まれるように行うことが好ましい。
【0153】
樹脂組成物層の形成は、例えば、圧縮成型法によって行うことができる。圧縮成型法では、例えば、シリンジを用いて樹脂組成物をディスペンスした基板を型に配置し、その型内で樹脂組成物に圧力及び必要に応じて熱を加えて、基板上に樹脂組成物層を形成する。
【0154】
圧縮成型法の具体的な操作は、例えば、下記のようにしうる。圧縮成型用の型として、上型及び下型を用意する。また、シリンジを用いて基板上に樹脂組成物をディスペンスする。樹脂組成物がディスペンスされた基板を、下型に取り付ける。その後、上型と下型とを型締めして、樹脂組成物に熱及び圧力を加えて、圧縮成型を行う。
【0155】
成型条件は、樹脂組成物の組成により異なり、良好な封止が達成されるように適切な条件を採用できる。例えば、成型時の型の温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、特に好ましくは90℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下、特に好ましくは150℃以下である。また、成型時に加える圧力は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上、特に好ましくは5MPa以上であり、好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下、特に好ましくは20MPa以下である。キュアタイムは、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、特に好ましくは3分以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、特に好ましくは20分以下である。通常、樹脂組成物層の形成後、型は取り外される。型の取り外しは、樹脂組成物層の熱硬化前に行ってもよく、熱硬化後に行ってもよい。
【0156】
また、樹脂組成物層の形成は、例えば、樹脂シートと基板とを積層することによって行ってもよい。この積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを基板に加熱圧着することにより、基板に樹脂組成物層を貼り合わせることで、行うことができる。樹脂シートを基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ということがある。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール等)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0157】
基板と樹脂シートとの積層は、例えば、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲である。加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲である。加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
【0158】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。なお、積層と平滑化処理は、真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0159】
基板上に樹脂組成物層を形成した後、樹脂組成物層を熱硬化して、硬化物層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なりうるが、硬化温度は通常120℃~240℃の範囲(好ましくは150℃~220℃の範囲、より好ましくは170℃~200℃の範囲)、硬化時間は5分間~120分間の範囲(好ましくは10分間~100分間の範囲、より好ましくは15分間~90分間の範囲)である。
【0160】
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層に対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、通常50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を、通常5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間)、予備加熱してもよい。
【0161】
以上のようにして、樹脂組成物の硬化物で形成された硬化物層を有する回路基板を製造できる。また、回路基板の製造方法は、更に、任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、樹脂シートを用いて回路基板を製造した場合、回路基板の製造方法は、樹脂シートの支持体を剥離する工程を含んでいてもよい。支持体は、樹脂組成物層の熱硬化の前に剥離してもよく、樹脂組成物層の熱硬化の後に剥離してもよい。
【0162】
回路基板の製造方法は、例えば、硬化物層を形成した後で、その硬化物層の表面を研磨する工程を含んでいてもよい。研磨方法は特に限定されない。研磨方法の例としては、化学機械研磨装置による化学機械研磨方法、バフ等の機械研磨方法、砥石回転による平面研削方法、等が挙げられる。
【0163】
回路基板の製造方法は、例えば、導体層を層間接続する工程(3)、例えば、硬化物層に穴あけをする工程を含んでいてもよい。これにより硬化物層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。ビアホールの形成方法としては、例えば、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられる。ビアホールの寸法や形状は回路基板の出デザインに応じて適宜決定してよい。なお、工程(3)は、硬化物層の研磨又は研削によって層間接続を行ってもよい。
【0164】
ビアホールの形成後、ビアホール内のスミアを除去する工程を行うことが好ましい。この工程は、デスミア工程と呼ばれることがある。例えば、硬化物層上への導体層の形成をめっき工程により行う場合には、ビアホールに対して、湿式のデスミア処理を行ってもよい。また、硬化物層上への導体層の形成をスパッタ工程により行う場合には、プラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。さらに、デスミア工程によって、硬化物層に粗化処理が施されてもよい。
【0165】
また、硬化物層上に導体層を形成する前に、硬化物層に対して、粗化処理を行ってもよい。この粗化処理によれば、通常、ビアホール内を含めた硬化物層の表面が粗化される。粗化処理としては、乾式及び湿式のいずれの粗化処理を行ってもよい。乾式の粗化処理の例としては、プラズマ処理等が挙げられる。また、湿式の粗化処理の例としては、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、及び、中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
【0166】
ビアホールを形成後、硬化物層上に導体層を形成してもよい。ビアホールが形成された位置に導体層を形成することで、新たに形成された導体層と基板表面の導体層とが導通して、層間接続が行われる。導体層の形成方法は、例えば、めっき法、スパッタ法、蒸着法などが挙げられる。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の適切な方法によって硬化物層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成してもよい。また、例えば、樹脂シートにおける支持体が金属箔である場合、サブトラクティブ法により、所望の配線パターンを有する導体層を形成してもよい。形成される導体層の材料は、単金属でもよく、合金でもよい。また、この導体層は、単層構造を有していてもよく、異なる種類の材料の層を2層以上含む複層構造を有していてもよい。
【0167】
ここで、硬化物層上に導体層を形成する実施形態の例を、詳細に説明する。硬化物層の表面にマスク層を形成し、このマスク層の一部にマスクパターンとして開口部分を形成する。その後、スパッタによって金属層を形成した後、マスク層を除去する。これにより、所望の配線パターンを有する導体層を形成できる。前記のマスク層は、通常、感光性樹脂組成物の層によって形成される。また、マスク層の開口部分は、感光性樹脂組成物の層に露光及び現像を施すことにより、形成されうる。
【0168】
回路基板の製造方法は、基板を除去する工程(4)を含んでいてもよい。基板を除去することにより、硬化物層と、この硬化物層に埋め込まれた導体層とを有する回路基板が得られる。この工程(4)は、例えば、剥離可能な金属層を有する基板を用いた場合に、行うことができる。
【0169】
<半導体チップパッケージ>
半導体チップパッケージは、樹脂組成物の硬化物を含む。この半導体チップパッケージとしては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0170】
第一の例に係る半導体チップパッケージは、上述した回路基板と、この回路基板に搭載された半導体チップとを含む。この半導体チップパッケージは、回路基板に半導体チップを接合することにより、製造することができる。
【0171】
回路基板と半導体チップとの接合条件は、半導体チップの端子電極と回路基板の回路配線とが導体接続できる任意の条件を採用できる。例えば、半導体チップのフリップチップ実装において使用される条件を採用できる。また、例えば、半導体チップと回路基板との間に、絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
【0172】
接合方法の例としては、半導体チップを回路基板に圧着する方法が挙げられる。圧着条件としては、圧着温度は通常120℃~240℃の範囲(好ましくは130℃~200℃の範囲、より好ましくは140℃~180℃の範囲)、圧着時間は通常1秒間~60秒間の範囲(好ましくは5秒間~30秒間の範囲)である。
【0173】
また、接合方法の他の例としては、半導体チップを回路基板にリフローして接合する方法が挙げられる。リフロー条件は、120℃~300℃の範囲としてもよい。
【0174】
半導体チップを回路基板に接合した後、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填してもよい。このモールドアンダーフィル材として、上述した樹脂組成物を用いてもよい。
【0175】
第二の例に係る半導体チップパッケージは、半導体チップと、この半導体チップを封止する樹脂組成物の硬化物とを含む。このような半導体チップパッケージでは、通常、樹脂組成物の硬化物は封止層として機能する。第二の例に係る半導体チップパッケージとしては、例えば、Fan-out型WLPが挙げられる。
【0176】
このような半導体チップパッケージの製造方法は、
(A)基板に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(D)基板及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基板及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層を形成する工程、
(F)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程、並びに、
(G)再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程、
を含む。また、前記の半導体チップパッケージの製造方法は、
(H)複数の半導体チップパッケージを、個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程
を含んでいてもよい。
【0177】
(工程(A))
工程(A)は、基板に仮固定フィルムを積層する工程である。基板と仮固定フィルムとの積層条件は、回路基板の製造方法における基板と樹脂シートとの積層条件と同様でありうる。
【0178】
基板としては、例えば、シリコンウエハ;ガラスウエハ;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR-4基板等の、ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板;などが挙げられる。
【0179】
仮固定フィルムは、半導体チップから剥離でき、且つ、半導体チップを仮固定することができる任意の材料を用いうる。市販品としては、日東電工社製「リヴァアルファ」等が挙げられる。
【0180】
(工程(B))
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、例えば、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体チップパッケージの生産数等に応じて適切に設定できる。例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に半導体チップを整列させて、仮固定してもよい。
【0181】
(工程(C))
工程(C)は、半導体チップ上に封止層を形成する工程である。封止層は、樹脂組成物の硬化物によって形成しうる。封止層は、通常、半導体チップ上に樹脂組成物層を形成する工程と、この樹脂組成物層を熱硬化させて封止層としての硬化物層を形成する工程とを含む方法で形成する。半導体チップ上への樹脂組成物層の形成は、例えば、基板の代わりに半導体チップを用いること以外は、前記<回路基板>で説明した基板上への樹脂組成物層の形成方法と同じ方法で行いうる。
【0182】
半導体チップ上に樹脂組成物層を形成した後で、この樹脂組成物層を熱硬化させて、半導体チップを覆う封止層を得る。これにより、樹脂組成物の硬化物による半導体チップの封止が行われる。樹脂組成物層の熱硬化条件は、回路基板の製造方法における樹脂組成物層の熱硬化条件と同じ条件を採用してもよい。さらに、樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層に対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。この予備加熱処理の処理条件は、回路基板の製造方法における予備加熱処理と同じ条件を採用してもよい。
【0183】
(工程(D))
工程(D)は、基板及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離方法は、仮固定フィルムの材質に応じた適切な方法を採用することが望ましい。剥離方法としては、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法が挙げられる。また、剥離方法としては、例えば、基板を通して仮固定フィルムに紫外線を照射して、仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法が挙げられる。
【0184】
仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃~250℃で1秒間~90秒間又は5分間~15分間である。また、紫外線を照射して仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。
【0185】
前記のように基板及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離すると、封止層の面が露出する。半導体チップパッケージの製造方法は、この露出した封止層の面を研磨することを含んでいてもよい。研磨により、封止層の表面の平滑性を向上させることができる。研磨方法としては、回路基板の製造方法で説明したのと同じ方法を用いうる。
【0186】
(工程(E))
工程(E)は、半導体チップの基板及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程である。通常、この再配線形成層は、半導体チップ及び封止層上に形成される。
【0187】
再配線形成層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。樹脂組成物の硬化物によって封止層を形成した場合、この封止層上に形成される再配線形成層は、感光性樹脂組成物によって形成することが好ましい。
【0188】
再配線形成層を形成した後、半導体チップと再配線層とを層間接続するために、通常、再配線形成層にビアホールを形成する。再配線形成層が感光性樹脂で形成されている場合、ビアホールの形成方法は、通常、再配線形成層の表面を、マスクを通して露光することを含む。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。露光方法としては、例えば、マスクを再配線形成層に密着させて露光する接触露光法、マスクを再配線形成層に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法、などが挙げられる。
【0189】
前記の露光により、再配線形成層には潜像が形成されうるので、その後、現像を行うことにより、再配線形成層の一部を除去して、再配線形成層を貫通する開口部分としてビアホールを形成できる。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれを行ってもよい。現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられ、解像性の観点から、パドル方式が好適である。
【0190】
ビアホールの形状は、特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。ここで、ビアホールのトップ径とは、再配線形成層の表面でのビアホールの開口の直径をいう。
【0191】
(工程(F))
工程(F)は、再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程である。再配線形成層上に再配線層を形成する方法は、回路基板の製造方法における硬化物層上への導体層の形成方法と同様でありうる。また、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、再配線層及び再配線形成層を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
【0192】
(工程(G))
工程(G)は、再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。ソルダーレジスト層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。中でも、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましい。また、熱硬化性樹脂として、樹脂組成物を用いてもよい。
【0193】
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなどの方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は、工程(E)と同様に行うことができる。
【0194】
(工程(H))
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)~(G)以外に、工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されない。
【0195】
<半導体装置>
半導体装置は、半導体チップパッケージを備える。半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【実施例0196】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。特に温度及び圧力の指定が無い場合の温度条件及び圧力条件は、それぞれ、室温(25℃)及び大気圧(1atm)である。
【0197】
<実施例1~9及び比較例1~4>
下記表1に示すように所定量の各成分を混合して、樹脂組成物を調製した。表1に示す各成分の詳細は、下記の通りである。
【0198】
(A-1)エポキシ樹脂:
セロキサイド2021P:エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂(ダイセル製「セロキサイド2021P」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量126g/eq.)
HP4032D:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製の「HP4032D」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量151g/eq.)
EX-991L:アルキレンオキシ骨格含有エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製「EX-991L」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量450g/eq.)
EG-280:フルオレン構造含有エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル社製「EG-280」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量460g/eq.)
YX7400:ポリアルキレンオキシ構造含有樹脂(三菱化学社製「YX7400」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量440g/eq)
EP-3950L:グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ADEKA社製「EP-3950L」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量95g/eq.)
EP-3980S:グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ADEKA社製「EP-3980S」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量115g/eq.)
EP-4088S:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(ADEKA社製「EP-4088S」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq.)
ZX1059:ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1(質量比)混合品(日鉄ケミカル&マテリアルズ社製「ZX1059」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量169g/eq.)
JP-100:ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(日本曹達社製「JP-100」、液状エポキシ樹脂、エポキシ当量210g/eq.)
【0199】
(A-2)エポキシ硬化剤:
2,2-ジアリルビスフェノールA:フェノール系硬化剤(シグマアルドリッチ社製、活性基(フェノール性水酸基)当量154g/eq.)
カヤハードA-A:アミン系硬化剤(4、4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、日本化薬製の「カヤハードA-A」、活性基(アミノ基)当量64g/eq.)
MH-700:酸無水物系硬化剤(新日本理化社製「MH-700」、活性基(酸無水物基)当量164g/eq.(酸無水物基(-COOCO-)1当量につき活性基2当量として換算))
【0200】
(B)無機充填材:
シリカA:シリカ粒子(50%累積径D50=1.5μm、D90=3.5μm、比表面積2.78m2/g、KBM573(信越化学工業社製)で表面処理したもの)
シリカB:シリカ粒子(50%累積径D50=4μm、D90=12μm、比表面積3.01m2/g、KBM573(信越化学工業社製)で表面処理したもの)
【0201】
(C)シランカップリング剤:
KBM-803:(信越化学工業社製「KBM803」、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)
KBM-403:(信越化学工業社製「KBM403」、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
【0202】
(D)硬化促進剤:
2E4MZ:イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製「2E4MZ」)
2MA-OK-PW:イミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製「2MA-OK-PW」)
【0203】
(E)ラジカル重合性化合物:
M-130G:メタクリロイル基とポリエチレンオキシド構造とを有する化合物(新中村化学工業社製「M-130G」、メタクリロイル基当量:628g/eq.)
M-230G:メタクリロイル基とポリエチレンオキシド構造とを有する化合物(新中村化学工業社製「M-230G」、メタクリロイル基当量:1068g/eq.)
【0204】
(F)ラジカル重合開始剤:
パーヘキシルO:ラジカル重合開始剤(日油社製「パーヘキシル(登録商標)O」)
【0205】
(G)ポリエーテル骨格含有化合物:
ポリエーテルポリオールA:以下のように合成した樹脂である。反応容器にε-カプロラクトンモノマー(ダイセル社製「プラクセルM」)22.6g、ポリプロピレングリコール、ジオール型、3,000(富士フィルム和光純薬社製)10g、2-エチルヘキサン酸すず(II)(富士フィルム和光純薬製)1.62gを仕込み、窒素雰囲気下130℃に昇温し、約16時間攪拌させ反応させた。反応後の生成物をクロロホルムに溶かし、その生成物をメタノールで再沈殿させたのち乾燥させ、脂肪族骨格からなるヒドロキシル基末端のポリエステルポリオール樹脂Aを得た。GPC分析からMn=9000であった。
L-64:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ADEKA社製「L-64」)
KF-6012:ポリオキシアルキレン変性シリコーン樹脂(信越化学工業社製「KF-6012」、粘度(25℃):1500mm2/s)
【0206】
<試験例1:粘度の測定>
実施例又は比較例で得られた樹脂組成物の粘度を、粘度校正用標準液JS52000で校正したE型粘度計RE-80U(東機産業社製)コーンローター3°×R9.7を用い、温度25℃および回転数1rpmの条件にて測定した。
【0207】
<試験例2:ディスペンス性、吐出作業性、及び樹脂フロー性の評価>
実施例又は比較例で得られた樹脂組成物(室温(23℃))を200g充填した12Ozシリンジ(サンエイテック社製5194C、エンドキャップA605、先端キャップ5192RT、プランジャー5196PRS、シリンジの吐出口の内径14.22mm、外径19.30mm、開口部の内径40.26mm、吐出口から開口部まで長さ311.40mm)を用意し、シリンジの吐出口にノズル(チューブ部の材質シリコン製、シリンジ連結部の材質ポリプロピレン製、チューブ部の全長52mm、チューブ部のシリンジ連結部から露出している部分の長さ25mm、シリンジ連結部の全長52mm、ノズル吐出部(チューブ部側)の外径12mm、内径9mm、ノズル開口部(シリンジ連結部側)の外径14.22mm)を装着し、シリンジをディスペンサー(アピックヤマダ社製「液状マニュアルディスペンサー」)に装着した。水平に設置した12インチシリコンウエハ(Ra10Å以下)表面からノズル吐出口までの高さ(シリコンウエハの面に対して垂直方向の距離)を3cmに設定し、ノズル吐出口から、12インチシリコンウエハ上に、室温(23℃)下、2g/秒の速度で、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスし、40g±1.5gディスペンスした時点でディスペンスを停止し、樹脂組成物の樹脂ドームを形成した。
【0208】
ディスペンス性の評価:ディスペンス途中に樹脂組成物がプランジャー脇から漏れるバックフロー現象が発生した場合を「×」、発生しなかった場合を「〇」とした。
【0209】
吐出作業性の評価:樹脂組成物とノズル吐出口との液離れが悪いことにより、ディスペンス停止時にノズル吐出口とディスペンスした樹脂組成物とがつながって離れない状態が生じた場合、又はディスペンス終了後にノズル吐出口からの樹脂ダレが生じた場合を「×」、これらが生じなかった場合を「〇」とした。
【0210】
樹脂フロー性の評価:ディスペンス後、コンプレッションモールド装置で120℃、6MPaの条件でモールドし、金型内で未充填部分なくモールド出来た場合を「〇」、樹脂が金型から漏れ装置を汚した場合を「×」とした。
【0211】
<試験例3:H2/H1値及びL1/L2値の算出>
実施例又は比較例で得られた樹脂組成物(室温(23℃))を200g充填した12Ozシリンジ(サンエイテック社製5194C、エンドキャップA605、先端キャップ5192RT、プランジャー5196PRS、シリンジの吐出口の内径14.22mm、外径19.30mm、開口部の内径が40.26mm、吐出口から開口部まで長さが311.40mm)を用意し、シリンジにノズルを装着せずに、シリンジをディスペンサー(アピックヤマダ社製「液状マニュアルディスペンサー」)に装着した。水平に設置した12インチシリコンウエハ(Ra10Å以下)表面からシリンジの吐出口までの高さ(シリコンウエハの面に対して垂直方向の距離)を5cmに設定し、シリンジの吐出口から、12インチシリコンウエハ上に、室温(23℃)下、2g/秒の速度で、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスし、40g±1.5gディスペンスした時点でディスペンスを停止し、樹脂組成物の樹脂ドームを形成した。また、比較例3においては、ディスペンス停止時に吐出口と樹脂ドームが接触していたため、ディスペンスの停止後に吐出口を引き上げて、吐出口を樹脂ドームから引き離す操作を行った。
【0212】
樹脂ドームの形成後、室温(23℃)下にて樹脂ドームの形状変化を観察し、ディスペンス完了時点から60秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さH1、樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径L1、ディスペンス完了時点から180秒後の樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面から樹脂ドーム頂点までの高さH2、樹脂ドームのシリコンウエハとの接触面の直径L2を測定し、H2/H1値、及びL1/L2値を算出し、下記の式(1)及び(2)を満たす場合を「〇」、満たさない場合を「×」と評価した。
【0213】
なお、比較例3以外の実施例及び比較例では、樹脂組成物を40g±1.5gディスペンスした時点をディスペンス完了時点とし、比較例3では、吐出口を樹脂ドームから引き離す操作の後、吐出口が樹脂ドームから離れた時点をディスペンス完了時点とした。
0.15<H2/H1<0.90 ・・・(1)
0.40<L1/L2<0.96 ・・・(2)
【0214】
実施例及び比較例の樹脂組成物の不揮発成分の含有量、試験例の測定結果及び評価結果を下記表1に示す。
【0215】
【0216】
表1に示す通り、条件(1)を満たす場合にディスペンス性、吐出作業性及び樹脂フロー性が良好であることがわかる。