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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110931
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】水中油型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20220722BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220722BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220722BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20220722BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/33
A61Q19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006674
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】513244753
【氏名又は名称】カーリットホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山野辺 進
(72)【発明者】
【氏名】梅山 晃典
(72)【発明者】
【氏名】瀬野 勝之
(72)【発明者】
【氏名】高田 照久
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB282
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC432
4C083AD162
4C083AD641
4C083AD642
4C083BB11
4C083CC03
4C083CC05
4C083DD01
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE16
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸を安定に含有し、乳化安定性が良好で、経時での黄変を生じない化粧料の提供。
【解決手段】
〔1〕(A)5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸、並びに(B)分子量200~500のエーテル化合物及びエステル化合物から選ばれる油性成分0.001~3質量%を含有し、油滴の平均粒子径が200nm以下である透明又は半透明の水中油型乳化組成物。
〔2〕成分(B)の油性成分を、油相中に25質量%以上含有する〔1〕記載の水中油型乳化組成物。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸、並びに(B)分子量200~500のエーテル化合物及びエステル化合物から選ばれる油性成分0.001~3質量%を含有し、油滴の平均粒子径が200nm以下である透明又は半透明の水中油型乳化組成物。
【請求項2】
成分(B)の油性成分を、油相中に25質量%以上含有する請求項1記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
油相が25℃で液体である請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
成分(A)と成分(B)の質量比率が100/1~1/2である請求項1~3のいずれか1項記載の水中油型乳化組成物。
【請求項5】
成分(B)が、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル及び2-(パーフルオロヘキシル)エチル1,3-ジメチルブチルエーテルから選ばれるものである請求項1~4のいずれか1項記載の水中油型乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
L-アスコルビン酸(ビタミンC)は美白効果などが知られ化粧品材料として有用であるが、不安定で酸化されやすいため、種々のL-アスコルビン酸誘導体の研究開発がなされており、1990年代には安定でかつ体内で分解吸収される誘導体として2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸(L-アスコルビン酸-2-グルコシド)が開発された(特許文献1~3)。
【0003】
2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸はL-アスコルビン酸よりも酸化されにくく安定性に優れる一方で、体内では容易に加水分解されL-アスコルビン酸と同等の生理活性を有することが知られており(特許文献2及び3)、化粧品、食品及び医薬品など、広い応用が期待される。また、さらに保湿性を高めたL-アスコルビン酸誘導体として、2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸中のL-アスコルビン酸残基のヒドロキシル基にアシル基が導入された化合物が開発された(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2832848号公報
【特許文献2】特開平03-135992号公報
【特許文献3】特開平03-183492号公報
【特許文献4】特開平11-286497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アスコルビン酸は酸化されやすいため、外観が透明又は半透明の化粧料、例えば化粧水、美容液などに配合すると、経時的な着色(黄変)が生じ、安定に配合することが難しい。そこで、容器で遮光したり、また黄変を抑制するための抗酸化剤、キレート剤等を配合するなどの安定な配合方法が検討されたり、更に安定性の高い誘導体の検討が行なわれているが、未だ十分に満足できるものではない。本発明の目的は、透明又は半透明な外観の特徴を損なうことなく、アスコルビン酸誘導体に由来する経時での黄変を抑制した乳化組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸とともに、特定の油性成分を特定の割合で用いることにより、5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸が安定に含有され、外観の特徴を損なうことなく、黄変が抑制された水中油型乳化組成物が得られることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は以下に示すとおりである。
[1](A)5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸、並びに(B)分子量200~500のエーテル化合物及びエステル化合物から選ばれる油性成分0.001~3質量%を含有し、油滴の平均粒子径が200nm以下である透明又は半透明の水中油型乳化組成物。
[2]成分(B)の油性成分を、油相中に25質量%以上含有する請求項1記載の水中油型乳化組成物。
[3]油相が25℃で液体である請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。
[4]成分(A)と成分(B)の質量比率が100/1~1/2である請求項1~3のいずれか1項記載の水中油型乳化組成物。
[5]成分(B)が、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル及び2-(パーフルオロヘキシル)エチル1,3-ジメチルブチルエーテルから選ばれるものである請求項1~4のいずれか1項記載の水中油型乳化組成物。
[6](A)5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸に、(B)分子量200~500のエーテル化合物及びエステル化合物から選ばれる油性成分を、成分(A)と成分(B)の質量比率が100/1~1/2の割合で含有させる5,6-アシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の黄変抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の乳化組成物は、5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸を安定に含有し、乳化安定性が良好で、経時での黄変を生じないものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の構成について説明する。
【0010】
(A)5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸
本発明の一つの実施形態において、(A)5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は、2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の5,6位にアシル基を有している下記一般式(1):
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、Rは炭化水素基を示す。nは前記と同じ。)
で示される化合物である。
前記一般式(1)中のRで示される炭化水素基は、直鎖、分岐又は環状の、飽和又は不飽和の炭化水素基であってよく、好ましくはアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基であり、より好ましくは直鎖のアルキル基である。前記炭化水素基の炭素数は、アシル基すなわち-C(=O)R基の炭素数として数えたときに、炭素数が3~24、4~20、8~20、12~18であることが好ましく、14~16であることが特に好ましい。
【0013】
本発明の一つの実施形態において、5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は、不純物として未アシル化体の2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸を含んでいてもよい。5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は90モル%以上、95モル%以上、98モル%以上、99モル%以上、99.5モル%以上、99.9モル%以上の純度であることが好ましい。不純物としての、未アシル化体である2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は10モル%以下、5モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、0.1モル%以下であることが好ましく、実質的に含まないことが好ましい。
【0014】
5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は、2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の5,6位にアシル基を置換させる方法によって製造することができ、5,6位にアシル基を置換させる方法としては、公知の方法によることができる。5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の製造方法としては2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸に有機酸、酸ハライド、酸無水物、酸エステルなどのアシル化剤を用いて化学反応させる方法が挙げられる。前記アシル化剤としては、炭素数が3~24、4~20、8~20、12~18、好ましくは14~16である飽和若しくは不飽和の脂肪酸又はその無水物が好ましく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリシノレイン酸並びにその無水物などが好ましい。
【0015】
本発明の一実施形態では、5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は遊離酸又は塩のいずれであってよく、塩は無機又は有機陽イオンの塩であってよい。無機陽イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオンのような第一族元素の金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオンのような第二族元素の金属イオン;鉄イオン、銅イオンのような遷移金属イオン;及び亜鉛イオン、アルミニウムイオンなどのその他の金属イオンからなる群より選ばれる金属イオン又はその組み合わせであってよい。5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸を塩とすることにより、pHが中性となり、他の物質と混合したときに他の物質を分解しにくくすることができる。
【0016】
5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸は、全組成中に0.5~5.0質量%、更に1.5~2.5質量%含有されるのが、化粧料の使用感の観点から好ましい。
【0017】
本発明で用いる成分(B)の油性成分は、分子量200~500のエーテル化合物及び
エステル化合物から選ばれるものである。
これらのうち、エーテル化合物としては、例えば、オクチル-1,3,5-トリメチルオクチルエーテル(M.W.284)、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル(M.W.326)、1,3-ジメチルペンチル-1,3-ジメチルブチルエーテル(M.W.200)、イソオクチルオクチルエーテル(M.W.242)、2-(パーフルオロヘキシル)エチル-1,3-ジメチルブタチルエーテル(M.W.448)等が挙げられる。
【0018】
また、エステル化合物としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル(M.W.271)、パルミチン酸イソプロピル(M.W.298)、イソノナン酸イソノニル(M.W.284)、イソノナン酸イソトリデシル(M.W.340)、モノイソステアリン酸ポリグリセリル(M.W.416);ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(M.W.412)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール(M.W.356)等が挙げられる。
【0019】
成分(B)としては、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル、2-(パーフルオロヘキシル)エチル1,3-ジメチルブチルエーテルが、組成物の安定性、使用感の点から好ましい。さらに、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル、2-(パーフルオロヘキシル)エチル1,3-ジメチルブチルエーテルが、使用感及び黄変抑制効果の点から好ましい。
【0020】
成分(B)は1種以上を用いることができ、全組成中に0.001~3質量%、好ましくは0.025~0.5質量%含有されることが、黄変の抑制効果と外観の透明性及び化粧料の安定性の観点から好ましい。0.001質量%未満では、黄変を十分に抑制することができず、3質量%を超えると、外観の透明性、安定性及び使用感が悪くなる。また、成分(A)に対する質量比率が、(A)/(B)=100/1~1/2、更に30/1~1/1であるのが、5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸の黄変を十分に抑制できるので好ましい。
【0021】
本発明の水中油型乳化組成物は、成分(B)以外の油性成分を含有することができる。かかる成分としては、通常の化粧料等に用いられる、液状、半固型及び固型状の、合成及び天然由来の油性成分、例えば炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油、フッ素油等が含まれる。
【0022】
液状油としては、例えば、ホホバ油、オリーブ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。
【0023】
固型又は半固型状の油性成分としては、例えばホホバワックス等の植物油;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;セラミド類などが挙げられる。セラミド類としては、例えばRobsonK.J.etal.,J.LipidRes.,35,2060(1994)や、WertzP.W.etal.,J.LipidRes.,24,759(1983)等に記載されているタイプ
I~VIIのセラミドや特開昭62-228048号公報記載のセラミド類似化合物が含まれ、前者の市販品としては、セラミドIII、セラミドIIIB、セラミドIIIA、セラミドIV、フィトセラミドI(以上、デグサ社)、セラミドII(セダーマ社)、セラミドTIC-001(高砂香料社)等が挙げられる。
【0024】
水中油型乳化組成物における油相成分の総含有量は、全組成中に0.001~3質量%、更に0.025~0.5質量%であるのが好ましい。油相中には、成分(B)の油性成分を25質量%以上、更に30質量%以上含有するのが、黄変の抑制効果と外観の透明性及び化粧料の安定性の観点から好ましい。油相は、25℃で液体であるのが好ましい。
【0025】
本発明の水中油型乳化組成物には、更に界面活性剤を含有する。界面活性剤としては、通常の化粧料等に用いられるものであれば特に制限されず、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;高級脂肪酸塩、スルホン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル等のアニオン界面活性剤;4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤;アミドアミン型、アルキルベタイン型等の両性界面活剤などが挙げられる。特に、非イオン界面活性剤が好ましい。
【0026】
界面活性剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1~2.0質量%、更に0.2~1.0質量%含有するのが、化粧料の安定性及び使用感の観点から好ましい。
【0027】
本発明の水中油型乳化組成物において、水相の主成分は水であるか、又は水と炭素数1~4の低級アルコール及び水溶性多価アルコールから選ばれる1種以上のアルコール類の混合物として構成される。
【0028】
炭素数1~4の低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール等が挙げられ、水溶性多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジグリセリン、ポリオキシエチレンメチルグルコシド等が挙げられる。ポリエチレングリコールの平均分子量は、400~300,000、特に400~10,000であるのが好ましい。
【0029】
水は全組成中に70~99質量%、特に72~95質量%、更に75~90質量%含有されるのが好ましい。また、水相が水とアルコール類の混合物の場合、水以外のアルコール類の含有量は、2~25質量%、特に5~20質量%、更に5~15質量%であるのが好ましい。
【0030】
また、基剤に所望の粘度を付与するため、例えば、水溶性高分子化合物、水膨潤性鉱物
等の水溶性増粘剤を含有させることができる。
【0031】
水溶性高分子化合物としては、例えば、アラビアゴム、グァーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)等の植物系高分子化合物;キサンタンガム、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子化合物;ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン等の動物系高分子化合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の変性セルロース系高分子化合物;カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のアクリル酸系高分子化合物;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸類;ヒドロキシプロピルグアーガムなどが挙げられる。また、水膨潤性鉱物としては、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヘクトライト等のスメクタイト、無水ケイ酸等の無機物が挙げられる。
【0032】
これらの水溶性増粘剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.001~1質量%、更に0.005~0.5質量%含有されるのが、化粧料の使用感の観点から好ましい。
【0033】
さらに、水相中には、例えば、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、色素、香料、抗酸化剤等を含有させることができる。
【0034】
本発明の水中油型乳化組成物は、通常の方法により製造される。油滴の平均粒子径は200nm以下、好ましくは50~150nmである。粒子径は、動的光散乱測定機(HORIBA製作所、LB-500)により、25℃にて測定したものである。
【0035】
また、本発明の水中油型乳化組成物は、透明又は半透明のものである。透明又は半透明とは、組成物を光路1cmのセル(屈折率67.741)に入れ、550nmの光の透過度(T%)が、50%以上のものをいう。化粧水及び美容液として用いる場合は、審美的観点から、70%以上であるのが好ましい。
【0036】
本発明の水中油型乳化組成物は、透明又は半透明の化粧料、特に化粧水、美容液等として好適である。
【実施例0037】
実施例1~5
下記に示す組成の水中油型乳化化粧料を製造し、pH、透過度及び平均粒子径を測定し、外観の状態及び経時での黄変について評価した。結果を表1に示す。
【0038】
(製法)
成分2~4を、80℃において均一に攪拌し、80℃に加温した精製水(成分9)の一部を加えて乳化物を調製する。調製した乳化物に、5,6-ジパルミトイル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸(成分1)を含む残りの水相成分を加え、均一に攪拌して水中油型乳化化粧料を得た。
【0039】
(評価方法)
調製した化粧料を、25℃になるまで静置した後、以下に示す方法により評価した。
(1)pH:
pHメーターF-22(HORIBA製作所)により測定した。
【0040】
(2)透過度:
分光光度計(島津製作所、UV-160)を用い、各化粧料を光路1cmのセルに入れ、25℃にて測定した。
【0041】
(3)平均粒子径:
動的光散乱測定機(HORIBA製作所、LB-500)を用い、25℃にて測定した。
【0042】
(4)外観の状態:
各化粧料を、50mLガラス容器(直径38mm)に満量入れ、通常光下で目視により評価した。
【0043】
(5)経時での黄変:
各化粧料について、調製直後の黄色み(b*初期)と、60℃で2週間保存した後の黄色み(b*60)の差を求めた。b*値は、色差計Σ90(日本電色社、SZOpticalSensor)を用い、光路長1cmの石英セルに化粧料を入れ、透過光から計測した。b*の変化量が、3.0未満で効果あり、3.0以上で効果なしと判断した。
【0044】
実施例1
(成分) (%)
1.5,6-ジパルミトイル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸2.0
2.イソノナン酸イソトリデシル 0.2
3.ポリオキシエチレン(20)イソセチルエーテル 0.18
4.ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)
シロキサン共重合体 0.12
5.86%グリセリン 10.0
6.リン酸2ナトリウム 0.15
7.リン酸2水素1ナトリウム 0.18
8.水酸化カリウム 0.34
9.精製水 残量
【0045】
実施例2
(成分) (%)
1.5,6-ジパルミトイル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸2.0
2.ミリスチン酸イソトリデシル 0.2
3.ポリオキシエチレン(20)イソセチルエーテル 0.36
4.ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)
シロキサン共重合体 0.24
5.86%グリセリン 20.0
6.リン酸2ナトリウム 0.15
7.リン酸2水素1ナトリウム 0.18
8.水酸化カリウム 0.34
9.精製水 残量
【0046】
実施例3
(成分) (%)
1.5,6-ジパルミトイル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸2.0
2.ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 0.2
3.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
5.86%グリセリン 10.0
6.リン酸2ナトリウム 0.15
7.リン酸2水素1ナトリウム 0.18
8.水酸化カリウム 0.34
9.精製水 残量
【0047】
実施例4
(成分) (%)
1.5,6-ジパルミトイル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸2.0
2.セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル 0.2
3.ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)
シロキサン重合体 0.3
5.86%グリセリン 10.0
6.リン酸2ナトリウム 0.15
7.リン酸2水素1ナトリウム 0.18
8.水酸化カリウム 0.34
9.精製水 残量
【0048】
実施例5
(成分) (%)
1.5,6-ジパルミトイル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸2.0
2.2-(パーフルオロヘキシル)エチル1,3-ジメチルブチルエーテル 0.2
3.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
5.86%グリセリン 10.0
6.リン酸2ナトリウム 0.15
7.リン酸2水素1ナトリウム 0.18
8.水酸化カリウム 0.34
9.精製水 残量
【0049】
【表1】
【0050】
以上の結果より、実施例1~5は5,6-ジアシル-2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸を安定に含有し、乳化安定性が良好で、経時での黄変を生じない優れた化粧料であった。