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特開2022-110942タイヤ状態監視システム及びタイヤ状態監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110942
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】タイヤ状態監視システム及びタイヤ状態監視方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
B60C23/04 160A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006697
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】市川 洋光
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タイヤ内部の圧力低下の判定精度を向上させることができる、タイヤ状態監視システム及びタイヤ状態監視方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るタイヤ状態監視システムは、取得装置と制御装置とを備える。取得装置は、タイヤ内部の圧力及び温度を繰り返し取得する。制御装置は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率に基づいて、第1の期間における比率の代表値を算出し、第1の期間よりも後の第2の期間に取得された圧力と温度との比率を、代表値と比較して、タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得装置と制御装置とを備える、タイヤ状態監視システムであって、
前記取得装置は、タイヤ内部の圧力及び温度を繰り返し取得し、
前記制御装置は、
第1の期間に取得された圧力と温度との比率に基づいて、前記第1の期間における比率の代表値を算出し、
前記第1の期間よりも後の第2の期間に取得された圧力と温度との比率を、前記代表値と比較して、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定する、タイヤ状態監視システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率が最も小さい値を、前記代表値とする、請求項1に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率が最も小さい値から順に所定の範囲までの値に基づく統計値を、前記代表値とする、請求項1に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率の昇順で、最も小さい値を含まない所定の範囲の値に基づく統計値を、前記代表値とする、請求項1に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、最も低い温度における前記圧力と温度との比率を、前記代表値とする、請求項1に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力及び温度の数が所定数以上の場合に、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定する、請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力及び温度の取得時刻の散らばり度合いが所定の閾値よりも大きい場合に、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定する、請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度の取得時刻のうち、最も古い取得時刻と最も新しい取得時刻とに所定の時間差がある場合に、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定する、請求項7に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、前記温度が所定の温度を超えない前記比率に基づいて、前記代表値を算出する、請求項1から8のいずれか一項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項10】
前記所定の温度は、摂氏80度である、請求項9に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記第2の期間において取得された前記圧力と温度との比率が、複数回、前記代表値に基づく範囲から外れた場合に、前記タイヤ内部の圧力が低下したと判定する、請求項1から10のいずれか一項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項12】
タイヤ状態監視方法であって、
タイヤ内部の圧力及び温度を繰り返し取得することと、
第1の期間に取得された圧力と温度との比率に基づいて、前記第1の期間における比率の代表値を算出することと、
前記第1の期間よりも後の第2の期間に取得された圧力と温度との比率を、前記代表値と比較して、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定することと、を含む、タイヤ状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ状態監視システム及びタイヤ状態監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤに設置されたセンサで取得された情報に基づいて、タイヤの状態を監視するタイヤ状態監視システムが知られている。当該システムにおいて、タイヤ内部の温度を利用して、タイヤ内部の圧力低下の判定精度を向上させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、タイヤ内部の温度ごとに設定された空気圧の閾値に基づいて、タイヤ内部の空気圧低下を検出するタイヤ空気圧監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-254018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、例えば、タイヤにおけるセンサの設置位置によっては、タイヤ内部の温度を正確に取得できないことがあり、その結果、タイヤ内部の温度を利用しても、タイヤ内部の圧力低下を適切に判定できない場合があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、タイヤ内部の圧力低下の判定精度を向上させることができる、タイヤ状態監視システム及びタイヤ状態監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタイヤ状態監視システムは、取得装置と制御装置とを備える。前記取得装置は、タイヤ内部の圧力及び温度を繰り返し取得し、前記制御装置は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率に基づいて、前記第1の期間における比率の代表値を算出し、前記第1の期間よりも後の第2の期間に取得された圧力と温度との比率を、前記代表値と比較して、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定する。
かかる構成によれば、制御装置は、取得装置がタイヤ内部の温度を正確に取得できない場合であっても、タイヤ内部の温度を利用したタイヤ内部の圧力低下の判定精度を向上させることができる。
【0007】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率が最も小さい値を、前記代表値とすることが好ましい。かかる構成によれば、取得装置によって取得された温度が実際のタイヤ内部の温度よりも低くなる場合において、タイヤ内部の温度を利用したタイヤ内部の圧力低下の判定精度を更に向上させることができる。
【0008】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率が最も小さい値から順に所定の範囲までの値に基づく統計値を、前記代表値とすることが好ましい。かかる構成によれば、取得装置によって取得された温度が実際のタイヤ内部の温度よりも低くなる場合において、タイヤ内部の温度を利用したタイヤ内部の圧力低下の判定精度が低下しにくい。
【0009】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率の昇順で、最も小さい値を含まない所定の範囲の値に基づく統計値を、前記代表値とすることが好ましい。かかる構成によれば、取得装置によって取得された温度が実際のタイヤ内部の温度よりも低くなる場合において、タイヤ内部の温度を利用したタイヤ内部の圧力低下の判定精度が低下しにくい。
【0010】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、最も低い温度における前記圧力と温度との比率を、前記代表値とすることが好ましい。かかる構成によれば、取得装置によって取得された温度が実際のタイヤ内部の温度よりも低くなる場合において、簡易な方法により、タイヤ内部の温度を利用したタイヤ内部の圧力低下の判定精度を低下しにくくすることができる。
【0011】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力及び温度の数が所定数以上の場合に、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定することが好ましい。かかる構成によれば、制御装置が誤ってタイヤ内部の圧力が低下したと判定することを未然に防ぐことができる。
【0012】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力及び温度の取得時刻の散らばり度合いが所定の閾値よりも大きい場合に、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定することが好ましい。かかる構成によれば、制御装置が誤ってタイヤ内部の圧力が低下したと判定することを未然に防ぐことができる。
【0013】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度の取得時刻のうち、最も古い取得時刻と最も新しい取得時刻とに所定の時間差がある場合に、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定することが好ましい。かかる構成によれば、制御装置が誤ってタイヤ内部の圧力が低下したと判定することを簡易な方法で未然に防ぐことができる。
【0014】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第1の期間に取得された前記圧力と温度との比率のうち、前記温度が所定の温度を超えない前記比率に基づいて、前記代表値を算出することが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ内部の温度を利用したタイヤ内部の圧力低下の判定精度が低下しにくい。
【0015】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記所定の温度は、摂氏80度であることが好ましい。かかる構成によれば、一般的なタイヤにおいて、タイヤ内部の温度を利用したタイヤ内部の圧力低下の判定精度が低下しにくくなり、タイヤ状態監視システムの汎用性を向上させることができる。
【0016】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記制御装置は、前記第2の期間において取得された前記圧力と温度との比率が、複数回、前記代表値に基づく範囲から外れた場合に、前記タイヤ内部の圧力が低下したと判定することが好ましい。かかる構成によれば、制御装置が誤ってタイヤ内部の圧力が低下したと判定しにくくなる。
【0017】
本発明に係るタイヤ状態監視方法は、タイヤ内部の圧力及び温度を繰り返し取得することと、第1の期間に取得された圧力と温度との比率に基づいて、前記第1の期間における比率の代表値を算出することと、前記第1の期間よりも後の第2の期間に取得された圧力と温度との比率を、前記代表値と比較して、前記タイヤ内部の圧力が低下したか否かを判定することと、を含む。
かかる構成によれば、タイヤ内部の温度を正確に取得できない場合であっても、タイヤ内部の温度を利用したタイヤ内部の圧力低下の判定精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タイヤ内部の圧力低下の判定精度を向上させることができる、タイヤ状態監視システム及びタイヤ状態監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システムを概略的に示す、概略図である。
図2図1に含まれる、取得装置の構成を概略的に示す、機能ブロック図である。
図3】取得装置の動作を示すフローチャートである。
図4図1に含まれる、制御装置の構成を概略的に示す、機能ブロック図である。
図5】制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6】第1の期間に取得されたタイヤ内部の温度及び圧力の散布図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0021】
(タイヤ状態監視システムの構成)
図1を参照して、本実施形態に係るタイヤ状態監視システム1の概要について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1を概略的に示す、概略図である。タイヤ状態監視システム1には、取得装置2と、制御装置3と、が含まれる。
【0022】
タイヤ状態監視システム1は、車両4のタイヤ5の状態を監視するために用いられる。本実施形態では、タイヤ5の状態には、タイヤ5内部の圧力が含まれる。しかしながら、タイヤ5の状態には、タイヤ5内部の圧力に限られず、タイヤ5の温度、或いは、破損又は歪みの有無等が含まれてもよい。
【0023】
車両4は、例えば、乗用車、トラック、バス、及び二輪車等の自動車である。ただし、車両4は、自動車に限られず、タイヤ5を有する任意の車両4であってもよい。
【0024】
タイヤ5は、例えば、空気入りタイヤである。かかる場合、タイヤ5はホイール6のリム6Aに装着され、規定内圧まで空気が充填される。ただし、タイヤ5には、空気に限られず、窒素等の気体、或いは液体又はゲル状物質等を含む、任意の流体が規定内圧まで充填されてもよい。
【0025】
取得装置2は、タイヤ5内部の圧力及び温度を取得可能な位置に設置されている。本実施形態では、取得装置2は、車両4のホイール6のリム6Aに設置されている。例えば、取得装置2は、タイヤ5がホイール6のリム6Aに装着された際に、タイヤ5の内部空間に面するように、ベルト等により、ホイール6のリム6Aのホイール径方向外側に固定される。本明細書において、ホイール径方向とは、ホイール6の回転軸と直交する方向と称する。そして、ホイール径方向に沿ってホイール6の回転軸に近い側を「ホイール径方向内側」と称し、ホイール径方向に沿ってホイール6の回転軸から遠い側を「ホイール径方向外側」と称する。
【0026】
取得装置2は、タイヤ5内部の圧力及び温度を繰り返し取得し、無線により送信する。取得装置2は、複数の動作モードで動作してもよい。例えば、複数の動作モードには、車両4の走行中など、タイヤ5の状態に変化が生じやすい状況において、タイヤ5内部の圧力及び温度を繰り返し送信する通常モードと、車両4の停止中など、タイヤ5の状態に変化が生じにくい状況において、タイヤ5内部の圧力及び温度を通常モードよりも長い時間間隔で送信する省電力モードとが含まれる。取得装置2の動作モードを変更することで、取得装置2がタイヤ5内部の圧力及び温度を取得及び送信する時間間隔を変更することができる。
【0027】
制御装置3は、車両4の車体4Aに設置されている。制御装置3は、例えば、車両4のECU(Electronic Control Unit)、カーナビゲーションシステム等の、車両4に設置された任意のコンピュータであってもよい。
【0028】
制御装置3は、取得装置2から送信されたタイヤ5内部の圧力及び温度を受信し、受信したタイヤ5内部の圧力と温度との比率に基づいて、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定する。
【0029】
具体的には、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かの判定において、タイヤ5内部の圧力と温度とがボイル・シャルルの関係式に従うことが利用される。ボイル・シャルルの関係式は、以下の式(1)で表わされる。
PV=kT 式(1)
ここで、
P:絶対圧力(ゲージ圧力+100kPa)、
V:体積、
k:定数、
T:絶対温度(摂氏温度+273℃)
である。
【0030】
ボイル・シャルルの関係式において、タイヤ5内部の流体の体積が一定であると仮定すると、タイヤ5内部の圧力と温度との比率が一定であるとみなすことができる。当該仮定の下、制御装置3は、タイヤ5内部の圧力と温度との比率に基づいて、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定する。
【0031】
なお、図1に示される車両4における、取得装置2、制御装置3、タイヤ5、及びホイール6の位置及び数は一例であって、それらの用途等に応じて、それぞれ任意に定めることができる。例えば、車両4が備えるタイヤ5の数に応じて、複数の取得装置2がタイヤ状態監視システム1に含まれてもよい。
【0032】
次に、タイヤ状態監視システム1の取得装置2及び制御装置3について、詳細に説明する。
【0033】
(取得装置の構成)
図2を参照して、本実施形態に係る取得装置2の構成を説明する。図2は、取得装置2の構成を概略的に示す、機能ブロック図である。図2に示されるように、取得装置2は、圧力センサ21と、温度センサ22と、通信部23と、記憶部24と、制御部25と、を備える。圧力センサ21、温度センサ22、通信部23、記憶部24、及び制御部25は、有線又は無線により互いに通信可能に接続されている。
【0034】
圧力センサ21は、タイヤ5内部の圧力を取得する。タイヤ5が空気入りタイヤである場合、圧力センサ21は、タイヤ5の気室内の空気圧を取得する。
【0035】
温度センサ22は、タイヤ5内部の温度を取得する。タイヤ5が空気入りタイヤである場合、温度センサ22は、タイヤ5の気室内の温度を取得する。
【0036】
通信部23は、1つ以上の無線通信モジュールを含む。無線通信モジュールは、例えば、無線LAN(local area network)又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に対応した通信モジュールである。これにより、取得装置2は、通信部23を介して、制御装置3等と無線通信することができる。通信部23は、無線通信モジュールに加え、有線LAN通信モジュール等の有線通信モジュールを含んでもよい。
【0037】
記憶部24は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部24は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部24は、取得装置2の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部24は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、又は組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。
【0038】
制御部25は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部25は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよい。
【0039】
制御部25は、上述した、取得装置2の機能を実現させるために、圧力センサ21、温度センサ22、通信部23、及び記憶部24等の構成要素を制御する。更に、制御部25は、取得装置2の機能として、処理を実施した時刻を取得し、或いは所定の時間間隔で処理を実施するために、RTC(リアルタイムクロック)又はタイマ等の計時機能を備えている。
【0040】
図3を参照して、制御部25により取得装置2の各機能を制御して実現される、取得装置2の動作について、説明する。図3は、取得装置2の動作を示すフローチャートである。本動作は、タイヤ状態監視方法における、取得装置2を用いて実現される方法に相当する。制御部25は、例えば、取得装置2の電源がオンにされた場合、或いは制御装置3から本処理を開始する制御命令を受信した場合に、本処理を開始する。
【0041】
ステップS101において、制御部25は、タイヤ5内部の圧力及び温度を取得する。
【0042】
具体的には、制御部25は、圧力センサ21により、タイヤ5内部の圧力を取得する。制御部25は、温度センサ22により、タイヤ5内部の温度を取得する。制御部25は、取得したタイヤ5内部の圧力及び温度を、当該圧力及び温度の取得時刻と関連付けて記憶部24に記憶させてもよい。
【0043】
ステップS102において、制御部25は、取得したタイヤ5内部の圧力及び温度を送信する。
【0044】
具体的には、制御部25は、通信部23を制御して、取得したタイヤ5内部の圧力及び温度を含む取得データを送信する。取得データには、タイヤ5内部の圧力及び温度に加え、当該圧力及び温度の取得時刻が含まれていてもよい。
【0045】
ステップS103において、制御部25は、本処理を継続するか否かを判定する。
【0046】
例えば、制御部25は、取得装置2の電源がオフにされたか否か、或いは制御装置3から本処理を終了する制御命令を受信したか否かにより、本処理を継続するか否かを判定することができる。制御部25は、本処理を継続すると判定した場合(ステップS103-Yes)、所定の時間間隔で、ステップS101から本処理を繰り返す。所定の時間間隔は、例えば、5分間隔又は10分間隔とされる。所定の時間間隔は、上述した取得装置2の動作モードに応じて変更されてもよい。例えば、制御部25は、制御装置3から受信した制御命令に基づいて取得装置2の動作モードを判定し、動作モードに応じた時間間隔で本処理を繰り返してもよい。
【0047】
ただし、所定の時間間隔は、上述した例に限られず、任意に定められてもよい。例えば、所定の時間間隔は、詳細は後述するが、制御装置3において、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かの判定が行われる、判定サイクルに応じて定められてもよい。例えば、長期的なタイヤ5内部の圧力低下であるスローリークの判定において、判定サイクルは長くされ、それに応じて、所定の時間間隔も長くされてもよい。例えば、判定サイクルが1ヶ月の場合には、所定の時間間隔は、6時間間隔とされてもよい。これにより、取得装置2の消費電力は抑えられる一方で、各判定サイクルにおいて100件以上の十分なサンプル数のデータを取得することができる。
【0048】
制御部25は、本処理を継続しないと判定した場合(ステップS103-No)、本処理を終了する。
【0049】
(制御装置の構成)
図4を参照して、本実施形態に係る制御装置3の構成を説明する。図4は、制御装置3の構成を概略的に示す、機能ブロック図である。図4に示されるように、制御装置3は、通信部31と、報知部32と、記憶部33と、制御部34と、を備える。通信部31、報知部32、記憶部33、及び制御部34は、有線又は無線により互いに通信可能に接続されている。
【0050】
通信部31は、1つ以上の無線通信モジュールを含む。無線通信モジュールは、例えば、無線LAN又はBluetooth等の通信規格に対応した通信モジュールである。これにより、制御装置3は、通信部31を介して、取得装置2等と無線通信することができる。通信部31は、無線通信モジュールに加え、有線LAN通信モジュール等の有線通信モジュールを含んでよい。
【0051】
報知部32は、画像、音、又は振動等で情報を報知する。報知部32は、例えばディスプレイ、スピーカ、又は振動子等を含んでもよい。
【0052】
記憶部33は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部33は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部33は、制御装置3の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部33は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、又は組み込みソフトウェア等を記憶させてもよい。
【0053】
制御部34は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部34は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA、又はASICであってもよい。
【0054】
制御部34は、上述した、制御装置3の機能を実現させるために、通信部31、報知部32、及び記憶部33等の構成要素を制御する。更に、制御部34は、制御装置3の機能として、処理を実施した時刻を取得し、或いは所定の時間間隔で処理を実施するために、RTC(リアルタイムクロック)又はタイマ等の計時機能を備えている。
【0055】
図5を参照して、制御部34により制御装置3の各機能を制御して実現される、制御装置3の動作について、説明する。図5は、制御装置3の動作を示すフローチャートである。本動作は、タイヤ状態監視方法における、制御装置3を用いて実現される方法に相当する。
【0056】
制御部34は、本動作を所定の判定サイクルごとに繰り返すことで、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定する。本動作の説明では、制御部34は、第1の期間(過去の判定サイクル)が終了した後、第1の期間よりも後の第2の期間(現在の判定サイクル)において、第1の期間で取得された情報を利用して、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定するものとして説明する。第1の期間及び第2の期間の長さは、例えば、1ヶ月とされる。また、第1の期間及び第2の期間は、互いに時間的に連続していてもよく、或いは時間的に離散していてもよい。
【0057】
ステップS201において、制御部34は、タイヤ5内部の圧力及び温度を受信する。
【0058】
具体的には、制御部34は、通信部31を介して、タイヤ5内部の圧力及び温度を含む取得データを取得装置2から受信する。取得データに当該圧力及び温度の取得時刻が含まれる場合には、制御部34は、圧力、温度、及び取得時刻を、第2の期間において取得された取得データの1つとして記憶部33に記憶する。一方で、取得データに取得時刻が含まれない場合には、制御部34は、当該取得データを受信した時刻を取得時刻として、圧力、温度、及び取得時刻を、第2の期間において取得された取得データの1つとして記憶部33に記憶してもよい。
【0059】
ステップS202において、制御部34は、第1の期間に取得された、タイヤ5内部の圧力と温度との比率に基づいて、第1の期間における比率の代表値を算出する。
【0060】
具体的には、制御部34は、第1の期間に取得された複数の取得データに含まれる圧力と温度との比率を算出する。本実施形態では、圧力と温度との比率は、温度に対する圧力の比率であって、以下の式(2)で表わされる。
PT=P/T 式(2)
ここで、
PT:圧力と温度との比率(温度に対する圧力の比率)、
P:絶対圧力(ゲージ圧力+100kPa)、
T:絶対温度(摂氏温度+273℃)
である。
【0061】
制御部34は、算出された第1の期間に取得された圧力と温度との比率に基づいて、第1の期間における比率の代表値を算出する。第1の期間に取得されたタイヤ5内部の温度及び圧力の散布図の一例を図6に示す。例えば、制御部34は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率が最も小さい値を、第1の期間における比率の代表値とする。温度に対する圧力の比率が最も小さい値は、RPTの最小値である。図6において、それぞれの取得データと原点とを結んだ直線のうち、傾きが最も小さくなる直線(RPTが最小になる直線)が示されている。この直線の傾きが第1の期間における比率の代表値とされる。このように代表値を算出することは、車両4の走行中に外気に触れて冷やされるホイール6のリム6Aに取得装置2が設置された場合など、取得装置2の設置位置の影響により、取得装置2によって取得された温度が実際のタイヤ5内部の温度よりも低くなる状況において有効である。
【0062】
ただし、第1の期間における比率の代表値を算出する方法は、上述した方法に限られない。例えば、制御部34は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率が最も小さい値から順に所定の範囲までの値に基づく統計値を、第1の期間における比率の代表値としてもよい。統計値は、統計的手法により算出される値であって、例えば、平均値、中央値、又は最頻値である。所定の範囲は、例えば、第1の期間における取得データの総数の10%であってもよい。より好ましくは、所定の範囲は、第1の期間における取得データの総数の5%である。このように代表値を算出することによって、取得装置2によって取得された温度に極端な値が含まれる場合であっても、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度が低下しにくくなる。
【0063】
さらに、制御部34は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率の昇順で、最も小さい値を含まない所定の範囲の値に基づく統計値を、第1の期間における比率の代表値としてもよい。最も小さい値を含まない所定の範囲は、例えば、温度に対する圧力の比率の昇順で取得データの総数の5%から20%までの範囲であってもよい。具体的には、取得データの総数が100件であった場合、温度に対する圧力の比率が小さいものから順に5番目から20番目までの値を用いて、第1の期間における比率の代表値を算出する。より好ましくは、最も小さい値を含まない所定の範囲は、温度に対する圧力の比率の昇順で取得データの総数の5%から10%までの範囲である。このように、代表値を算出する際に、最も小さい値を対象外とすることで、取得装置2によって取得された温度に極端な値が含まれる場合であっても、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度が低下しにくくなる。
【0064】
また、制御部34は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、所定の条件を満たす比率のみを用いて、第1の期間における比率の代表値を算出してもよい。一例として、制御部34は、第1の期間に取得されたタイヤ5内部の圧力と温度との比率のうち、温度が所定の温度を超えない比率に基づいて、第1の期間における比率の代表値を算出してもよい。これにより、温度センサ22の誤動作などの理由により取得装置2によって取得された温度に異常値が含まれる場合であっても、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度が低下しにくくなる。所定の温度は、想定されるタイヤ5の到達温度の上限値とされてもよい。所定の温度は、例えば、摂氏80度である。これにより、車両4の走行中にタイヤ5内部の温度が摂氏80度を超えない一般的なタイヤ5において、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度が低下しにくくなり、タイヤ状態監視システム1の汎用性を向上させることができる。一方で、レース用タイヤなど、タイヤ5内部の温度が摂氏80度を超えることが想定される場合には、そのタイヤ5専用の所定の温度が設定されてもよい。
【0065】
他の例として、制御部34は、第1の期間に取得されたタイヤ5内部の圧力と温度との比率のうち、最も低い温度における圧力と温度との比率を、第1の期間における比率の代表値としてもよい。タイヤ5内部の温度が最も低くなる状態は、車両4が停止して時間が経過した状態など、タイヤ5内部の温度が外気と略等しい状態とみなすことができる。すなわち、タイヤ5内部の温度が最も低くなる状態は、取得装置2によって取得された温度が外気の影響を受けにくい状態とみなすことができる。これにより、取得装置2によって取得された温度が実際のタイヤ5内部の温度よりも低くなる場合において、簡易な方法により、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度を低下しにくくすることができる。
【0066】
再び図5を参照して、ステップS203において、制御部34は、第1の期間よりも後の第2の期間(現在の判定サイクル)に取得された、タイヤ5内部の圧力と温度との比率を、第1の期間における比率の代表値と比較して、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定する。
【0067】
具体的には、制御部34は、ステップS201において受信した、タイヤ5内部の圧力と温度との比率を算出する。制御部34は、算出した比率を、第2の期間におけるタイヤ5内部の圧力と温度との比率の1つとして記憶部33に記憶する。制御部34は、算出した比率が、第1の期間における比率の代表値に基づいて設定される範囲から外れた場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したと判定する。本実施形態では、制御部34は、取得した比率が、第1の期間における比率の代表値よりも低い場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したと判定する。
【0068】
制御部34は、第2の期間において取得されたタイヤ5内部の圧力と温度との比率が、複数回、第1の期間における比率の代表値に基づく範囲から外れた場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したと判定してもよい。これにより、制御部34が誤ってタイヤ5内部の圧力が低下したと判定しにくくなる。
【0069】
制御部34は、所定の条件が満たされている場合にのみ、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定してもよい。例えば、制御部34は、第1の期間に取得されたタイヤ5内部の圧力及び温度の数が所定数以上の場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定してもよい。所定数は、例えば、100件である。これにより、制御部34は、十分なサンプル数の取得データに基づかず算出された第1の期間における比率の代表値を用いることで、誤ってタイヤ5内部の圧力が低下したと判定することを未然に防ぐことができる。
【0070】
或いは、制御部34は、第1の期間に取得されたタイヤ5内部の圧力及び温度の取得時刻の散らばり度合いが所定の閾値よりも大きい場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定してもよい。これにより、制御部34は、偏った取得データに基づいて算出された第1の期間における比率の代表値を用いることで、誤ってタイヤ5内部の圧力が低下したと判定することを未然に防ぐことができる。具体的には、制御部34は、第1の期間に取得されたタイヤ5内部の圧力と温度の取得時刻のうち、最も古い取得時刻と最も新しい取得時刻とに所定の時間差がある場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定する。所定の時間差は、例えば、判定サイクルの長さの半分以上とされる。ただし、取得時刻の散らばり度合いは、上述の具体例に限られず、取得時刻の分散又は標準偏差などの統計的手法により算出される値とされてもよい。
【0071】
ステップS203においてタイヤ5内部の圧力が低下したと判定された場合(ステップS203-Yes)、ステップS204において、制御部34は、報知部32を介して、タイヤ5内部の圧力が低下した旨を報知する。例えば、制御部34は、タイヤ5内部の圧力が低下した旨をディスプレイに表示させる。これにより、車両4の利用者は、タイヤ5の交換又は整備を行うことができる。
【0072】
ステップS203においてタイヤ5内部の圧力が低下していないと判定された場合、或いは、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かの判定が行われなかった場合(ステップS203-No)、制御部34は、ステップS205の処理を実行する。制御部34は、報知部32を介して、タイヤ5内部の圧力が低下していない旨を報知してもよい。
【0073】
ステップS205において、制御部34は、本処理を継続するか否かを判定する。
【0074】
具体的には、制御部34は、現在の時刻が現在の判定サイクルの終了時刻を経過したか否かに基づいて、本処理を継続するか否かを判定する。制御部34は、現在の時刻が現在の判定サイクルの終了時刻を経過していない場合、本処理を継続すると判定し(ステップS205-Yes)、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0075】
一方で、制御部34は、現在の時刻が現在の判定サイクルの終了時刻を経過した場合、本処理を終了すると判定し(ステップS205-No)、本処理を終了する。制御部34は、本処理を終了した後、新たな判定サイクルで本処理を開始してもよい。
【0076】
以上述べたように、本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1は、取得装置2と制御装置3とを備える。取得装置2は、タイヤ5内部の圧力及び温度を繰り返し取得し、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率に基づいて、第1の期間における比率の代表値を算出し、第1の期間よりも後の第2の期間に取得された圧力と温度との比率を、代表値と比較して、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定する。かかる構成によれば、制御装置3は、タイヤ5又はホイール6における取得装置2の設置位置などの影響により、取得装置2がタイヤ5内部の温度を正確に取得できない場合であっても、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度を向上させることができる。
【0077】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率が最も小さい値を、代表値とすることが好ましい。かかる構成によれば、取得装置2がホイール6のリム6Aに設置された場合など、取得装置2の設置位置の影響により、取得装置2によって取得された温度が実際のタイヤ5内部の温度よりも低くなる場合において、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度を更に向上させることができる。
【0078】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率が最も小さい値から順に所定の範囲までの値に基づく統計値を、代表値とすることが好ましい。かかる構成によれば、取得装置2によって取得された温度が実際のタイヤ5内部の温度よりも低くなる場合において、取得装置2によって取得された温度に極端な値が含まれたとしても、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度が低下しにくい。
【0079】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、温度に対する圧力の比率の昇順で、最も小さい値を含まない所定の範囲の値に基づく統計値を、代表値とすることが好ましい。かかる構成によれば、取得装置2によって取得された温度が実際のタイヤ5内部の温度よりも低くなる場合において、取得装置2によって取得された温度に極端な値が含まれたとしても、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度が低下しにくい。
【0080】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、最も低い温度における圧力と温度との比率を、代表値とするとすることが好ましい。かかる構成によれば、取得装置2によって取得された温度が実際のタイヤ5内部の温度よりも低くなる場合において、簡易な方法により、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度を低下しにくくすることができる。
【0081】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力及び温度の数が所定数以上の場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定することが好ましい。かかる構成によれば、制御装置3は、十分なサンプル数の取得データに基づかず算出された第1の期間における比率の代表値を用いることで、誤ってタイヤ5内部の圧力が低下したと判定することを未然に防ぐことができる。
【0082】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力及び温度の取得時刻の散らばり度合いが所定の閾値よりも大きい場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定することが好ましい。かかる構成によれば、制御装置3は、偏った取得データに基づいて算出された第1の期間における比率の代表値を用いることで、誤ってタイヤ5内部の圧力が低下したと判定することを未然に防ぐことができる。
【0083】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力と温度の取得時刻のうち、最も古い取得時刻と最も新しい取得時刻とに所定の時間差がある場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定することが好ましい。かかる構成によれば、制御装置3は、タイヤ5内部の圧力低下の判断に、偏った取得データに基づいて算出された第1の期間における比率の代表値を用いることを、簡易な方法で未然に防ぐことができる。
【0084】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第1の期間に取得された圧力と温度との比率のうち、温度が所定の温度を超えない比率に基づいて、代表値を算出することが好ましい。かかる構成によれば、取得装置2によって取得された温度に異常値が含まれる場合であっても、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度が低下しにくい。
【0085】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、所定の温度は、摂氏80度であることが好ましい。かかる構成によれば、車両4の走行中にタイヤ5内部の温度が摂氏80度を超えない一般的なタイヤ5において、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度が低下しにくくなり、タイヤ状態監視システム1の汎用性を向上させることができる。
【0086】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、制御装置3は、第2の期間において取得された圧力と温度との比率が、複数回、代表値に基づく範囲から外れた場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したと判定することが好ましい。かかる構成によれば、制御装置3が誤ってタイヤ5内部の圧力が低下したと判定しにくくなる。
【0087】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視方法は、タイヤ5内部の圧力及び温度を繰り返し取得することと、第1の期間に取得された圧力と温度との比率に基づいて、第1の期間における比率の代表値を算出することと、第1の期間よりも後の第2の期間に取得された圧力と温度との比率を、代表値と比較して、タイヤ5内部の圧力が低下したか否かを判定することと、を含む。かかる構成によれば、タイヤ5内部の温度を正確に取得できない場合であっても、タイヤ5内部の温度を利用したタイヤ5内部の圧力低下の判定精度を向上させることができる。
【0088】
本発明を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本発明に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態又は各実施例に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態又は他の実施例に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0089】
例えば、上述した実施形態において、取得装置2の機能又は制御装置3の機能として説明された機能又は処理の全部又は一部は、プログラムにより実現され得る。プログラムは、コンピュータで読取り可能な非一時的記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な非一時的記録媒体は、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(digital versatile disc)又はCD-ROM(compact disc read only memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することにより行われる。或いは、プログラムを所定のサーバのストレージに格納しておき、所定のサーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させることができる。プログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0090】
取得装置2又は制御装置3のプロセッサは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又は所定のサーバから転送されたプログラムを、一旦、メモリに格納する。そして、プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。プログラムには、プロセッサによる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、プロセッサに対する直接の指令ではないがプロセッサの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0091】
或いは、上述した実施形態において、制御装置3の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、取得装置2の機能又は処理として実現されてもよい。かかる場合、実施形態に係る制御装置3の機能又は処理を記述したプログラムを、取得装置2が備えるメモリ等に記憶させ、取得装置2のプロセッサ等によって当該プログラムを読み出して実行させてもよい。同様に、取得装置2の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、制御装置3の機能又は処理として実現されてもよい。
【0092】
上述した実施形態において、取得装置2が車両4のホイール6のリム6Aに設置されるものとして説明したが、これに限られない。例えば、取得装置2は、車両4のタイヤ5の内部、或いはタイヤ5のバルブなど、タイヤ5又はホイール6の任意の位置に設置されてもよい。
【0093】
上述した実施形態において、制御装置3が車両4の車体4Aに設置されるものとして説明したが、これに限られない。例えば、制御装置3は、取得装置2と同様に、車両4のタイヤ5又はホイール6に設置されてもよい。或いは、制御装置3は、車両4の外部に設置され、SaaS(Software as a Service)等のサービスとして制御装置3の機能又は処理を利用者に提供してもよい。かかる場合、制御装置3は、報知部32を介して、タイヤ5内部の圧力が低下した旨を報知する代わりに、通信部31を介して、利用者が所有するスマートフォン等のコンピュータと通信を行い、当該コンピュータにてタイヤ5内部の圧力が低下した旨を報知してもよい。
【0094】
上述した実施形態において、圧力と温度との比率は、温度に対する圧力の比率であるものとして説明したが、これに限られない。圧力と温度との比率は、圧力に対する温度の比率とされ、以下の式(3)で表わされてもよい。
TP=T/P 式(3)
ここで、
TP:圧力と温度との比率(圧力に対する温度の比率)、
P:絶対圧力(ゲージ圧力+100kPa)、
T:絶対温度(摂氏温度+273℃)
である。
かかる場合、上述した実施形態における、温度に対する圧力の比率が最も小さい値は、RTPの最大値である。例えば、制御装置3の制御部34は、第2の期間に取得された圧力と温度との比率RTPが、第1の期間における比率RTPの代表値よりも高い場合に、タイヤ5内部の圧力が低下したと判定してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1:タイヤ状態監視システム、 2:取得装置、 21:圧力センサ、 22:温度センサ、 23:通信部、 24:記憶部、 25:制御部、 3:制御装置、 31:通信部、 32:報知部、 33:記憶部、 34:制御部、 4:車両、 4A:車体、 5:タイヤ、 6:ホイール、 6A:リム
図1
図2
図3
図4
図5
図6