(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110944
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】布基礎の型枠、およびその施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20220722BHJP
E04G 11/06 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
E02D27/01 C
E04G11/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006699
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】三幣 涼子
(72)【発明者】
【氏名】松原 由幸
(72)【発明者】
【氏名】住友 義則
【テーマコード(参考)】
2D046
2E150
【Fターム(参考)】
2D046BA11
2E150AA33
2E150BA27
2E150HC00
(57)【要約】
【課題】フーチング型枠が嵩張らず、且つ地盤の地耐力に応じたフーチングの接地圧を調整可能な布基礎の型枠を提供すること。
【解決手段】布基礎の型枠100は、ベース110と、ベース110に支持される立ち上がり型枠130と、湾曲可能な平板形状のフーチング型枠140と、ベース110から両側方へそれぞれ延びるガイド部材120と、を備える。フーチング型枠140は、上端部がベース110又は立ち上がり型枠130に固定され、下端部がガイド部材120に固定されることによって、上方へ膨出するように湾曲した状態となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
上記ベースに支持される立ち上がり型枠と、
湾曲可能な平板形状のフーチング型枠と、
上記ベースから両側方へそれぞれ延びるガイド部材と、を備える布基礎の型枠であって、
上記フーチング型枠は、上端部が上記ベース又は上記立ち上がり型枠に固定され、下端部が上記ガイド部材に固定されることによって、上方へ膨出するように湾曲した状態となる布基礎の型枠。
【請求項2】
上記ガイド部材は、上記フーチング型枠の下端部を固定するための複数の貫通孔が、延出方向に沿って並ぶ請求項1に記載の布基礎の型枠。
【請求項3】
上記フーチング型枠の下端部に、上記ガイド部材の複数の貫通孔に対応した複数の固定位置を示す複数のマークが記されている請求項2に記載の布基礎の型枠。
【請求項4】
上記フーチング型枠の上端部は、上記ベースと上記立ち上がり型枠との間に位置する請求項1から3のいずれかに記載の布基礎の型枠。
【請求項5】
上記フーチング型枠は鉄製であり、布基礎と共に地中に埋設されるものである請求項1から4のいずれかに記載の布基礎の型枠。
【請求項6】
地業にベースを載置して、当該ベースから両側方へガイド部材を延出させ、
平板形状のフーチング型枠を上方へ向かって膨出するように湾曲させつつ、当該フーチング型枠の上端部を上記ベースに固定し、且つ、当該フーチング型枠の下端部を上記ガイド部材に固定し、
立ち上がり型枠を上記ベース上に載置する布基礎の型枠の施工方法。
【請求項7】
上記フーチング型枠の上端部を上記ベースと上記立ち上がり型枠との間に挟み込む請求項6に記載の布基礎の型枠の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布基礎の型枠、およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、布基礎の型枠が記載されている。特許文献1における型枠の施工手順は下記の通りである。まず、転圧された地盤上に、多目的台形スペーサが配置される。次に、基礎配筋と平行して、多目的台形スペーサ上に薄板打込みベース型枠が重ねふせ込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、薄板打込みベース型枠は、工場出荷時点で折り曲げ加工済みであるため、輸送車両や建築現場で嵩張る。また、薄板打込みベース型枠は、布基礎におけるフーチングの長さを容易に調整できるものの、その幅を調整できない。そのため、地盤の地耐力に応じたフーチングの接地圧を得るには、フーチングの幅ごとの薄板打込みベース型枠を製造する必要がある。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フーチング型枠が嵩張らず、且つ地盤の地耐力に応じたフーチングの接地圧を調整可能な布基礎の型枠、およびその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る布基礎の型枠は、ベースと、上記ベースに支持される立ち上がり型枠と、湾曲可能な平板形状のフーチング型枠と、上記ベースから両側方へそれぞれ延びるガイド部材と、を備える。上記フーチング型枠は、上端部が上記ベース又は上記立ち上がり型枠に固定され、下端部が上記ガイド部材に固定されることによって、上方へ膨出するように湾曲した状態となる。
【0007】
上記構成によれば、フーチング型枠のガイド部材における固定位置で、フーチングの寸法を変更できる。フーチング型枠は、平板形状であるため嵩張らない。
【0008】
(2)上記ガイド部材は、上記フーチング型枠の下端部を固定するための複数の貫通孔が、延出方向に沿って並ぶ。
【0009】
上記構成によれば、貫通孔の位置により、フーチングの寸法を簡単に把握できる。
【0010】
(3)上記フーチング型枠の下端部に、上記ガイド部材の複数の貫通孔に対応した複数の固定位置を示すマークが記されている。
【0011】
上記構成によれば、完成後のフーチングの寸法を適切にできる。これにより、生コンクリートの無駄を省いたり、フーチングの下端の面積を適切にしたりできる。また、1つのフーチング型枠で様々な形状のフーチングを施工できる。
【0012】
(4)上記フーチング型枠の上端部は、上記ベースと上記立ち上がり型枠との間に位置する。
【0013】
上記構成によれば、フーチング型枠の上端部がベースと立ち上がり型枠とにより挟持されるため、フーチング型枠がベースから離れにくい。これにより、生コンクリートの打設時に、生コンクリートの圧力により、フーチング型枠の上端部から生コンクリートが漏れ出すことが抑制される。
【0014】
(5)上記フーチング型枠は鉄製であり、布基礎と共に地中に埋設されるものである。
【0015】
上記構成によれば、フーチング型枠は、埋設されたままでもやがて砂鉄になる。即ち、フーチング型枠が環境に負荷を与えない。
【0016】
(6)本発明の布基礎の型枠の施工方法は、地業にベースを載置して、当該ベースから両側方へガイド部材を延出させ、平板形状のフーチング型枠を上方へ向かって膨出するように湾曲させつつ、当該フーチング型枠の上端部を上記ベースに固定し、且つ、当該フーチング型枠の下端部を上記ガイド部材に固定し、立ち上がり型枠を上記ベース上に載置する。
【0017】
上記施工方法によれば、フーチング型枠が嵩張らないので、工事現場まで運搬し易い。また、1種類のフーチング型枠を用いて、様々なフーチング寸法の型枠を実現できる。
【0018】
(7)上記施工方法では、上記フーチング型枠の上端部を上記ベースと上記立ち上がり型枠との間に挟み込む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フーチング型枠が嵩張らず、且つ地盤の地耐力に応じたフーチングの接地圧を調整可能な布基礎の型枠、およびその施工方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】布基礎の型枠100の組み立て前の状態を示す模式図。
【
図4】布基礎の型枠100の組み立て後の状態を示す模式図。
【
図5】ガイド部材120に固定されたフーチング型枠140を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更できることは言うまでもない。
【0022】
[延伸方向X,幅方向Y,高さ方向Z]
各図には、互いに直交する矢印X,Y,Zが示される。矢印Xは、完成後の布基礎が延びる延伸方向Xを示す。矢印Y,Zは、完成後の布基礎の幅方向Yおよび高さ方向Zを示す。幅方向Yは、人の視方向を延伸方向Xに一致させたときの左右方向を示し、ガイド部材120がベース110から延出する延出方向でもある。
【0023】
[布基礎の型枠100の構成]
図1,
図4において、布基礎の型枠(以下、単に「型枠」とも称する)100は、住宅の建築現場で組み立てられる。型枠100は、地業天端200(
図4参照)に設置され、布基礎をコンクリートにより打設する際に用いられる。布基礎は、フーチング部および立ち上がり部を有する。
【0024】
詳細には、型枠100は、複数のベース110、複数対のガイド部材120、複数の立ち上がり型枠130、および複数のフーチング型枠140を備える。
【0025】
[ベース110]
図1において、各ベース110は、互いに同じ樹脂成型品である。各ベース110は、延伸方向Xにおいて薄い厚さを有する。詳細には、各ベース110の延伸方向Xにおける寸法は、フーチング型枠140の延伸方向Xにおける寸法よりも十分に小さい。
【0026】
図2(A),
図2(B)は、各ベース110の正面図および平面図である。
図2において、各ベース110は、端面111B,111T、および側面111L,111Rを有する。端面111B,111Tは、ベース110の下端面および上端面であり、互いに平行で平坦である。端面111Bは、ベース110を地業天端200(
図4参照)に載置したときに地業天端200と接触する。端面111Tには、2つの立ち上がり型枠130(
図4参照)が載置される。端面111Tは、2つの立ち上がり型枠130を下方から支持する。
【0027】
各ベース110は、突片112L,112Rを有する。突片112L,112Rは、高さ方向Zに薄い板状形状である。突片112Lは、ベース110の左上隅から左方に突出する。突片112Lの上端面は、端面111Tと面一(即ち、段差無く平行)である。突片112Rは、ベース110の右上隅から右方に突出し、突片112Lと左右対称な形状を有する。
【0028】
突片112L,112Rには、型枠100の組み立て中にフーチング型枠140(
図4参照)を固定するために釘150が打ち込まれる。突片112Lと、側面111Lとの間には、補強のために三角リブ113Lが設けられている。突片112Rと、側面111Rとの間には、三角リブ113Rが設けられている。
【0029】
[ガイド部材120]
各ベース110は、一対のガイド部材120を有する。一対のガイド部材120は、ガイド部材120L,120Rを有する。ガイド部材120L,120Rは、樹脂成型品であり、ベース110と一体である。ガイド部材120Lは、ベース110の左下隅から左方に延出する。ガイド部材120Rは、ベース110の右下隅から右方に延出する。各ガイド部材120L,120Rは、高さ方向Zに薄く、平面視で幅方向Yに細長い矩形形状である。また、各ガイド部材120L,120Rの下端面は、端面111Bと面一である。
【0030】
各ガイド部材120L,120Rには、フーチング型枠140の下端部を固定するための複数の貫通孔121が幅方向Yに沿って並んでいる。本実施形態では、複数の貫通孔121は、貫通孔121A~121Cを含む。貫通孔121A,121B,121Cは、例えば、フーチングの幅が410mm、520mmおよび600mmとなる位置にそれぞれ形成される。
【0031】
[立ち上がり型枠130,フーチング型枠140]
各立ち上がり型枠130は、立ち上がり部の型枠であり、ステンレスや鉄等の金属製である。各立ち上がり型枠130は、延伸方向Xに長い略矩形状を有する。詳細には、各立ち上がり型枠130は、平板131、複数の縦リブ132、および複数の横リブ133を有する。平板131は、延伸方向Xおよび高さ方向Zに拡がり且つ延伸方向Xに長い略矩形形状を有する。複数の縦リブ132および複数の横リブ133は、平板131の一方主面上に格子状に配置される。詳細には、複数の縦リブ132は、高さ方向Zに延び且つ延伸方向Xにおいて間隔をあけて配置される。複数の横リブ133は、延伸方向Xに延び且つ高さ方向Zにおいて間隔をあけて配置される。
【0032】
図1,
図3に示すように、各フーチング型枠140は、型枠100の組み立て前には、薄くて平坦な鉄板であり、外部から加えられた曲げ力により弾性変形する。各フーチング型枠140は、矩形形状の2つの主面141A,141Bを有する。主面141Aには、複数のマーク142と、マーク143とが記されている。各マーク142,143は、主面141Aが有する各長辺と平行に記された線である。各マーク142は、主面141Aにおいて一方の長辺に近い位置に記される。ここで、一方の長辺は、型枠100の組み立て後に地業天端200に実質的に接触する辺である。マーク143は、主面141Aにおいて他方の長辺に近い位置に記される。他方の長辺は、型枠100の組み立て後にベース110に実質的に接触する辺である。
【0033】
複数のマーク142は、本実施形態では、3つのマーク142A~142Cである。マーク142A~142Cは、貫通孔121A~121C(
図2参照)に対応する主面141A上の位置にそれぞれ記される。詳細には、マーク142A,142B,142Cは、フーチングの幅が410mm、520mmおよび600mmとなる主面141Aにおける位置にそれぞれ記される。
【0034】
図5に示すように、各フーチング型枠140においてマーク143がある部分は、後述の施工方法でも説明するが、ベース110の突片112Lまたは突片112Rの一方に重ね合わせられ釘150で固定される。
【0035】
また、
図5(A)に示すように、地盤の地耐力に応じたフーチングの接地圧を得るために、フーチングの幅を410mmとする場合、フーチング型枠140においてマーク142Aがある部分は、ベース110から延びるガイド部材120Lまたはガイド部材120Rの一方が有する貫通孔121Aに重ね合わせられた後、釘150で地業に固定される。
【0036】
また、所望の接地圧を得るために、フーチングの幅を520mm(
図5(B)参照)または600mm(
図5(C)参照)とする場合、フーチング型枠140においてマーク142B,142Cがある部分は、ガイド部材120Lまたはガイド部材120Rの貫通孔121B,121Cにそれぞれ重ね合わせられ釘150で地業に固定される。
【0037】
ここで、所望の接地圧を得るには、フーチングにおいて地業天端200と接する下端面の幅が重要である。換言すると、フーチングにおいて下端面を除く部分は、所望の接地圧を得るという観点では重要ではない。もし、フーチング型枠140が、ベース110の突片112Lとガイド部材120Lとの間において、上方向に膨らみ過ぎると、生コンクリートが無駄になる。従って、フーチング型枠140は、ベース110の突片112Lとガイド部材120Lとの間において、延伸方向Xからの平面視で、
図5において仮想線Vで示すように直線に近い方が好ましい。この観点で、各マーク142のフーチング型枠140における位置は定められる。
【0038】
なお、フーチング型枠140と地業天端200との間の劣角が約45度に定められている場合がある。この規定を満たすためには、ベース110の高さが変更される。しかし、フーチング型枠140と地業天端200との間の劣角は、45度に限らず、他の角度でもよい。
【0039】
[型枠100の組み立て(施工方法)]
施工方法は、ベースの設置工程、フーチング型枠の取付工程、および立ち上がり型枠の取付工程を含む。フーチング型枠の取付工程は、第1固定工程と、第2固定工程とを含む。
【0040】
作業者は、ベースの設置工程を実施する。ベースの設置工程では、
図4に示すように、地業天端200上に、複数のベース110が、延伸方向Xにおいて間隔をあけて地業天端200に載置される。詳細には、各ベース110において、端面111Bは、地業天端200に直接接触し、端面111Tは上方を向き、側面111L,111Rは、左方および右方をそれぞれ向く。間隔は、フーチング型枠140の長さより若干短い。以下、地業天端200において延伸方向Xに隣り合う2つのベース110を隣接ベース110とも称する。
【0041】
また、ベースの設置工程により、各ベース110の左下隅および右下隅からは、ガイド部材120L,120Rが左方および右方(即ち、両側方)に向かって地業天端200に沿って延びる。その結果、ガイド部材120L,120Rにおいて、貫通孔121A,121B,121C(
図1,
図2参照)は、ベース110から見てこの記載順で幅方向Yに並ぶ。各貫通孔121A~121Cは、釘150によりフーチング型枠140を地業天端200へと固定するための固定位置を示す。ここで、ガイド部材120L,120Rの貫通孔121A間の距離は、約410mmである。貫通孔121B間の距離は、約520mmであり、貫通孔121C間の距離は、約600mmである。
【0042】
その後、作業者は、各ベース110上に鉄筋を組み立てる配筋を行う。なお、
図4では、鉄筋の図示は省略している。
【0043】
作業者は、第1固定工程を実施する。第1固定工程では、フーチング型枠140と、隣接ベース110との位置合わせが行われ、その後、フーチング型枠140が隣接ベース110に固定される。詳細には、マーク143の両端部が隣接ベース110の各突片112L上に位置合わせされる。その後、フーチング型枠140において各突片112L上でマーク143の位置から、釘150でフーチング型枠140および各突片112Lが打ち抜かれる。同様の手順で、別のフーチング型枠140が、隣接ベース110の各突片112Rに釘150で固定される。
【0044】
作業者は、第2固定工程を実施する。第2固定工程では、2つのフーチング型枠140と、ガイド部材120L,120Rとの位置合わせが行われ、その後、2つのフーチング型枠140がガイド部材120L,120Rに固定される。詳細には、作業者は、各フーチング型枠140に記された3つのマーク142の中から1つを、建築される住宅全体の荷重や地業の地耐力に基づき選択する。次に、一方のフーチング型枠140において、選択されたマーク142の両端部が、隣接ベース110の各ガイド部材120Lにおいて対応する貫通孔121上に位置合わせされる。その後、フーチング型枠140において各ガイド部材120L上で、選択されたマーク142の位置から、釘150でフーチング型枠140が打ち抜かれる。これにより、フーチング型枠140は、ガイド部材120Lを介して地業に固定される。同様の手順で、別のフーチング型枠140が、隣接ベース110の各ガイド部材120Rに釘150で固定される。
【0045】
フーチング型枠の取付工程により、フーチング型枠140の上端部は、隣接ベース110の突片112L,112Rの一方に固定される。フーチング型枠140の下端部は、ガイド部材120L,120Rの一方に固定される。詳細には、
図5(A)に示すように、フーチングの幅を410mmとする場合、フーチング型枠140の下端部は、マーク142Aおよび貫通孔121Aを用いて固定される。
図5(B)に示すように、フーチングの幅を520mmとする場合、フーチング型枠140の下端部は、マーク142Bおよび貫通孔121Bを用いて固定される。
図5(C)に示すように、フーチングの幅を600mmとする場合、フーチング型枠140の下端部は、マーク142Cおよび貫通孔121Cを用いて固定される。これにより、フーチング型枠140は、突片112Lとガイド部材120Lとの間で、延伸方向Xからの平面視で概ね直線的であるが、湾曲して斜め上方に向かって若干膨出する。
【0046】
なお、第1固定工程および第2固定工程の順序は入れ替わってもよい。
【0047】
作業者は、フーチング型枠の取付工程の実施後に、立ち上がり型枠の取付工程を実施する。詳細には、立ち上がり型枠の取付工程では、2つの立ち上がり型枠130は、
図4に示すように、隣接ベース110の各端面111Tに載置され、これらの間に、幅方向Yにおいて間隔をあけて正対するように架け渡される。この時、各立ち上がり型枠130は、フーチング型枠140の上端部に載置される。その結果、フーチング型枠140の上端部は、立ち上がり型枠と、隣接ベース110の端面111Tとの間で、これらにより挟持される。また、各立ち上がり型枠130の各ベース110に対する位置は、図示しない巾止め材等の治具により定められる。
【0048】
以上で型枠100の施工方法の説明を終わる。型枠100の組み立て後、フーチング型枠140の埋め戻しが行われ、その後、生コンクリートの打設が実施される。
【0049】
[型枠100の作用効果]
型枠100によれば、フーチング型枠140は、型枠100の組み立て前では、平板形状であるため嵩張らない。即ち、フーチング型枠140を運搬し易い。
【0050】
また、フーチング型枠140の固定に用いる貫通孔121によりフーチングの幅を変更できる。作業者は、フーチング型枠140を地業天端200に釘150で固定するが、この時にガイド部材120が無いと、釘150をどこに打ち込めばよいのか分かり難い。その結果、フーチングの幅にばらつきが生じうる。しかし、実施形態に係る型枠100によれば、ベース110がガイド部材120を有するため、作業者は、釘150をどこに打ち込めばいいのか分かりやすい。その結果、フーチングの幅にばらつきが発生し難い。
【0051】
また、フーチング型枠140は、フーチング型枠の取付工程の後、上方に膨出している(
図5を参照)。この形状により、組み立て後の型枠100に強度を持たせることができる。詳細には、フーチング型枠140は、型枠100の組み立て後、生コンクリートの打設するまでの間に、上方に膨出することで、埋め戻しによる土等の上方からの荷重に耐えることができる。
【0052】
また、各ガイド部材120には、予め定められている複数個所に複数の貫通孔121が形成されている。各フーチング型枠140には、予め定められている複数個所に複数のマーク142が記されている。これらにより、作業者は、所望のフーチング幅を得るために、フーチング型枠140において釘150をどこに打ち込めばよいかをさらに把握し易いし、完成後のフーチングの寸法を適切にできる(
図5参照)。これにより、生コンクリートの無駄を省いたり、フーチングの下端の面積を適切にしたりできる。また、1つのフーチング型枠140で様々な形状のフーチングを施工できる。
【0053】
また、型枠100の組み立て後、フーチング型枠140の上端部は、立ち上がり型枠と、隣接ベース110の端面111Tとの間で、これらにより挟持される。フーチング型枠140がベース110から離れにくい。これにより、生コンクリートの打設時に、生コンクリートの圧力により、フーチング型枠140の上端部から生コンクリートが漏れ出すことが抑制される。
【0054】
また、フーチング型枠140は鉄製であり、布基礎と共に地中に埋設される。フーチング型枠140は、埋設されたままでもやがて砂鉄になる。即ち、フーチング型枠140が環境に負荷を与えない。なお、ベース110は樹脂製であるが、布基礎内に残るため、環境負荷になることを考慮せずともよい。
【0055】
[変形例]
実施形態では、フーチング型枠140の上端部は、ベース110に固定されていた。しかし、これに限らず、フーチング型枠140の上端部は、立ち上がり型枠130に固定されてもよい。
【0056】
実施形態では、ガイド部材120L,120Rは、ベース110と一体であった。しかし、これに限らず、ガイド部材120L,120Rは、ベース110とは別体であってもよい。
【0057】
実施形態では、マーク142および貫通孔121の各個数は3つであった。しかし、マーク142および貫通孔121の各個数は、少なくとも1つでよい。また、これらの位置は、410mm、520mmおよび600mmに限らず、必要に応じて適宜定められる。
【符号の説明】
【0058】
100…布基礎の型枠
110…ベース
120…ガイド部材
121…複数の貫通孔
121A~121C…貫通孔
130…立ち上がり型枠
140…フーチング型枠
142…複数のマーク
142A~142C…マーク
143…マーク