(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110985
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】多用途ジョイント板紙パーツ
(51)【国際特許分類】
F16B 5/07 20060101AFI20220722BHJP
B65D 8/04 20060101ALI20220722BHJP
A47B 96/20 20060101ALI20220722BHJP
A47G 27/02 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
F16B5/07 E
B65D8/04
A47B96/20 A
A47B96/20 C
A47G27/02 106A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006760
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100206139
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 匡
(72)【発明者】
【氏名】大根田 真也
(72)【発明者】
【氏名】畠山 知也
(72)【発明者】
【氏名】青木 義弘
(72)【発明者】
【氏名】奥村 寛之
(72)【発明者】
【氏名】川真田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 慎吾
【テーマコード(参考)】
3B120
3E061
3J001
【Fターム(参考)】
3B120AC03
3B120BA16
3B120BB02
3B120DA27
3B120EA20
3B120EB30
3E061AA01
3E061AB15
3E061DB11
3J001FA07
3J001GA05
3J001GB01
3J001HA04
3J001HA08
3J001HA09
3J001JD35
3J001KA05
3J001KA06
3J001KA19
3J001KB03
(57)【要約】
【課題】 地震、台風、大雨等の自然災害時における使用に便利な種々の設備や物品を容易に組み立てるのに適した多用途ジョイント板紙を得る。
【解決手段】 多角形の板紙パーツ本体2の各辺2aに、多角形の板紙パーツ本体2の各辺2aを切り欠いて形成した複数の凹部3と、凹部3の間に形成され、凹部3間に密に嵌入可能な凸部4とで構成される連結部5を備え、凹部3と凸部4は、各辺2aに対し直角に交わる切り欠き辺6を有する矩形状に形成し、板紙パーツ本体2の各辺2a同士を相互に連結可能とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形の板紙パーツ本体の各辺に、多角形の板紙パーツ本体の各辺を切り欠いて形成した複数の凹部と、前記凹部の間に形成され、前記凹部間に密に嵌入可能な凸部とで構成される連結部を備え、前記凹部と前記凸部は、各辺に対し直角に交わる切り欠き辺を有する矩形状に形成され、前記板紙パーツ本体の各辺同士を相互に連結可能としたことを特徴とする多用途ジョイント板紙パーツ。
【請求項2】
前記板紙パーツ本体の各辺に備えた前記連結部を構成する前記凹部と前記凸部は、前記板紙パーツ本体の各辺の一端から他端に向かって、一端側が前記凹部あるいは前記凸部で始まり他端側が前記凸部あるいは前記凹部で終わるように、回転方向同一パターンで配置したことを特徴とする請求項1に記載の多用途ジョイント板紙パーツ。
【請求項3】
前記凹部の深さ寸法は、前記板紙パーツ本体の厚さ寸法と同寸としたことを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の多用途ジョイント板紙パーツ。
【請求項4】
前記板紙パーツ本体は、正方形であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の多用途ジョイント板紙パーツ。
【請求項5】
前記板紙パーツ本体は、段ボールであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の多目的ジョイント板紙パーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の使用目的に応じた設備や物品を容易に組み立てるのに適した多用途ジョイント板紙パーツに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地震、台風、大雨等の自然災害などが発生した場合、各所に避難所が設置され、避難所での生活ができるような対策が採られている。避難所では、プライバシーを守り、また、避難所での生活に必要な設備や物品を用意しなければならない。しかし、必要な設備や物品を揃えるとなると数が膨大になり備蓄スペースがたらなくなるといった問題が常に存在し、また、災害の発生後に外部から取り寄せる場合、避難所へ届くまでのタイムラグが生じる。
そこで、備蓄に場所を取らず、また各所設備や物品を容易に組み立てることができるようにしたジョイントパーツがあると便利である。
【0003】
従来、物品を組み立てるジョイントパーツとして、矩形状のマットの4辺に複数の凸部と、凸部が嵌入し得る形状の凹部からなる連結部を備えたジョイントマットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載されたジョイントマットは、部屋や廊下やホールなどの床などに敷設するマットを組み立てるものであって、二次元に連結されるようになっており、三次元な連結はできず、地震、台風、大雨等の自然災害などが発生した場合に、避難所生活で必要とされるような設備や物品を組み立てるようにはなっていない。また、ジョイントマットは樹脂、木材、金属等の材料により構成されており、災害時に簡易に組み立てるジョイントパーツの材料としては適していない。
【0006】
本発明者等は、ジョイントパーツの材料に板紙を使用することに着眼し、そして三次元な連結を可能な連結を見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の目的は、地震、台風、大雨等の自然災害時における使用に便利な種々の設備や物品を容易に組み立てるのに適した多用途ジョイント板紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、多角形の板紙パーツ本体の各辺に、多角形の板紙パーツ本体の各辺を切り欠いて形成した複数の凹部と、前記凹部の間に形成され、前記凹部間に密に嵌入可能な凸部とで構成される連結部を備え、前記凹部と前記凸部は、各辺に対し直角に交わる切り欠き辺を有する矩形状に形成され、前記板紙パーツ本体の各辺同士を相互に連結可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、多角形の板紙パーツ本体の各辺に、多角形の板紙パーツ本体の各辺を切り欠いて形成した複数の凹部と、前記凹部の間に形成され、前記凹部間に密に嵌入可能な凸部とで構成される連結部を備え、前記凹部と前記凸部は矩形状に形成されているので、板紙パーツ本体を二次元に連結できるだけでなく、三次元に連結することができ、マットとしての組み立ては勿論のこと、立体的な構造物である、例えば、簡易なパーティーション、ベッド、椅子、机、収容箱、台等、使用目的に応じた設備や物品を容易に組み立てることができる。しかも特別な技術を要することもなく、誰もが容易に組み立てることができる。
また、材料として板紙を使用しているので、備蓄に場所を取らず、また安価に用意することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記板紙パーツ本体の各辺に備えた前記連結部を構成する前記凹部と前記凸部は、前記板紙パーツ本体の各辺の一端から他端に向かって、一端側が前記凹部あるいは前記凸部で始まり他端側が前記凸部あるいは前記凹部で終わるように、回転方向同一パターンで配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記板紙パーツ本体の各辺に備えた前記連結部を構成する前記凹部と前記凸部は、前記板紙パーツ本体の各辺の一端から他端に向かって、一端側が前記凹部あるいは前記凸部で始まり他端側が前記凸部あるいは前記凹部で終わるように、回転方向同一パターンで配置したので、前記板紙パーツ本体の各辺に、他の前記板紙パーツ本体の辺が一致した状態に連結することができ、使用目的に応じた多種の設備や物品の組み立てに適したものとなり、特に、筒状や箱状の設備や物品を確実に且つ用意に容易に組み立てることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の、前記凹部の深さ寸法は、前記板紙パーツ本体の厚さ寸法と同寸としたことを特徴とすることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記凹部の深さ寸法は、前記板紙パーツ本体の厚さ寸法と同寸としたので、前記板紙パーツ本体を三次元に連結したとき、1の前記板紙パーツ本体の前記凸部の先端面が他の前記板紙パーツ本体の外表面と同一面となり、1の前記板紙パーツ本体の前記凸部の先端が他の前記板紙パーツ本体の外表面から外に突出しないことから、組み立てられた設備や物品の使い勝手がよく、また、前記板紙パーツ本体で組み立てられた他の設備や物品との併用も容易となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の、前記板紙パーツ本体は、正方形であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記板紙パーツ本体は、正方形であるので、前記板紙パーツ本体の連結による形状の自由度が高く、多種の設備や物品を使用環境に応じた形状に組み立てることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の、前記板紙パーツ本体は、段ボールであることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記板紙パーツ本体は、段ボールであるので、製造が容易であり、圧縮強度の大きい前記板紙パーツ本体を安価に得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係る多用途ジョイント板紙パーツによれば、板紙パーツ本体を三次元に連結することができるので、立体的な構造物である、例えば、簡易なパーティーション、ベッド、椅子、机、収容箱、台等、使用目的に応じた設備や物品を容易に組み立てることができる。
この組み立てには別な技術を要することもなく、誰もが容易に組み立てることができ、また、材料として板紙を使用しているので、備蓄に場所を取らず、また安価に用意することができるので、地震、台風、大雨等の自然災害時における使用に便利な種々の設備や物品を容易に組み立てる備品として便利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る多用途ジョイント板紙パーツの実施の形態の一例を示す平面図である。
【
図3】
図1に示す多用途ジョイント板紙パーツを二次元に連結した状態を示す説明図である。
【
図4】
図1に示す多用途ジョイント板紙パーツを三次元に連結する説明図である。
【
図5】多用途ジョイント板紙パーツの形成に既存の紙製包装箱を利用した一例を示す説明図である。
【0020】
以下、本発明に係る多用途ジョイント板紙パーツの実施の形態の一例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1から
図4は本発明に係る多用途ジョイント板紙パーツの実施の形態の一例を示すものであり、
図1は本例の多用途ジョイント板紙パーツを示す平面図、
図2は
図1の一部拡大図、
図3は
図1に示す多用途ジョイント板紙パーツを二次元に連結した状態を示す説明図、
図4は
図1に示す多用途ジョイント板紙パーツを三次元に連結した状態を示す説明図である。
【0021】
本例の多用途ジョイント板紙パーツ1は、多角形の板紙パーツ本体2の各辺2aを切り欠いて形成した複数の凹部3と、凹部3の間に形成され、凹部3間に密に嵌入可能な凸部4とで構成される連結部5を備えている。
【0022】
多角形の板紙パーツ本体2は偶数の画数を有する多角形であることが好ましい。特に矩形であることが一層好ましく、本例では正方形に形成されている。
また、板紙パーツ本体2の大きさにあっては、特に限定されるものはなく、後述する設備や物品に応じて適宜設定することができる。また、大きさの異なる複数の板紙パーツ本体2を用意することもできる。
板紙パーツ本体2の厚さにあっては、使用目的に応じた設備や物品に求められる強度が得られる厚さであれば特に限定されないが、成形性、強度といった観点から厚さが3mmから15mmが好ましく、強度に重点を置いた場合は、厚さが5mmから15mmが特に好ましい。本例では、板紙として段ボールシートが使用されている。
【0023】
多角形の板紙パーツ本体2の各辺2aを切り欠いて形成した複数の凹部3と凸部4は、各辺2aに対し直角に交わる切り欠き辺6を有する矩形状に形成されている。
本例では、凹部3の深さ寸法(凸部4の高さ寸法と同意)L1は、板紙パーツ本体2の厚さ寸法と同寸となっている。
【0024】
また、本例では、板紙パーツ本体2の各辺2aに備えた連結部5を構成する凹部3と凸部4は、板紙パーツ本体2の各辺2aの一端から他端に向かって、一端側が凹部3あるいは凸部4で始まり他端側が凸部4あるいは凹部3で終わるように、回転方向同一パターンで配置されている。本例では、時計回り方向に、各辺2aの一端から他端に向かって、一端側が凸部4で始まり他端側が凹部3で終わるように配置されている。
各辺2aの他端に配置されている凹部3は、L字状に切り欠かれた形状となっており、L字状に切り欠かれた凹部3の横寸法L2は、他の凹部3の横寸法L3に板紙パーツ本体2の厚さ寸法を加えた寸法となっている
【0025】
また、板紙パーツ本体2の各辺2aに備えた連結部5を構成する凹部3と凸部4の数にあっては特に限定されるものではなく、板紙パーツ本体2の各辺2aの長さに応じて適宜設定される。
【0026】
このように構成した多用途ジョイント板紙パーツ1によれば、多角形の板紙パーツ本体2の各辺2aを切り欠いて形成した複数の凹部3と、凹部3の間に形成され、凹部3間に密に嵌入可能な凸部4とで構成される連結部5を備えており、凹部3と凸部4は、各辺2aに対し直角に交わる切り欠き辺6を有する矩形状に形成されているので、板紙パーツ本体2を
図3に示すように二次元に連結できるだけでなく、
図4に示すように三次元に連結することができ、マットとしての組み立ては勿論のこと、立体的な構造物としての組み立てが可能となる。
【0027】
そして、本例では、板紙パーツ本体2の各辺2aに備えた連結部5を構成する凹部3と凸部4は、板紙パーツ本体2の各辺2aの一端から他端に向かって、一端側が凹部3あるいは凸部4で始まり他端側が凸部4あるいは凹部3で終わるように、回転方向同一パターンで配置されているので、
図3、
図4に示すように、板紙パーツ本体2の各辺2aに、他の板紙パーツ本体2の辺2が一致した状態に連結することができ、使用目的に応じた多種の設備や物品の組み立てに適したものとなり、特に、筒状や箱状の設備や物品を確実に且つ用意に容易に組み立てることができる。
【0028】
また、本例では、凹部3の深さ寸法(凸部4の高さ寸法と同意)L1は、板紙パーツ本体2の厚さ寸法と同寸となっているので、
図4に示すように、板紙パーツ本体2を三次元に連結したとき、1の板紙パーツ本体2の凸部4の先端面が他の板紙パーツ本体2の外表面と同一面となり、1の板紙パーツ本体2の凸部4の先端が他の板紙パーツ本体2の外表面から外に突出しないことから、組み立てられた設備や物品の使い勝手がよく、また、板紙パーツ本体2で組み立てられた他の設備や物品とを安定した状態で重ね合わせることができ、併用が容易となる。
【0029】
また、本例では、多角形の板紙パーツ本体2は正方形に形成されているので、板紙パーツ本体2の連結による形状の自由度が高く、多種の設備や物品を使用環境に応じた形状に組み立てることができる。
【0030】
また、本例では板紙パーツ本体2は、板紙として段ボールシートが使用されている製造が容易であり、圧縮強度の大きい前記板紙パーツ本体を安価に得ることができる。
【0031】
さらに、板紙パーツ本体2にあっては、
図5に示すように、紙製包装箱7、例えば備蓄品包装箱を利用し、箱材に予め多用途ジョイント板紙パーツ1の形のミシン目8を入れておき、必要時に切り抜いて形成することができる。
【0032】
以上のように、多用途ジョイント板紙パーツ1によれば、板紙パーツ本体2を三次元に連結することができ、マットとしての組み立ては勿論のこと、立体的な構造物としての組み立てが可能となるので、例えば、簡易なパーティーション、ベッド、椅子、机、収容箱、台等、使用目的に応じた設備や物品を特別な技術を要することもなく、誰もが容易に組み立てることができる。
【0033】
材料として板紙を使用しているので、備蓄に場所を取らず、また安価に用意することができるので、例えば、地震、台風、大雨等の自然災害時における使用に便利な種々の設備や物品を容易に組み立てる備品として便利である。
また、災害時の備品としてだけではなく、日常の生活の中でも、種々の設備や物品を容易に組み立てる備品としても用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 多用途ジョイント板紙パーツ
2 板紙パーツ本体
2a 辺
3 凹部
4 凸部
5 連結部
6 切り欠き辺
7 紙製包装箱
8 ミシン目