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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110992
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】外観検査用撮像システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006772
(22)【出願日】2021-01-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000207816
【氏名又は名称】大豊精機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514173744
【氏名又は名称】輝創株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100174713
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧川 彰人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕志
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 丈三
(72)【発明者】
【氏名】堀野 真広
(72)【発明者】
【氏名】葉山 智
(72)【発明者】
【氏名】前田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】神谷 哲行
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB02
2G051BA02
2G051BA20
2G051BB02
2G051BB03
2G051BB17
2G051CA04
2G051CA08
2G051CB01
2G051CB02
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】被検査体に貫通孔がある場合でも当該貫通孔の内周面を含む被検査体の表面を精度良く撮像でき、且つ撮像作業時間の短縮が可能な外観検査用撮像システムを提供する。
【解決手段】本発明は、側面210から入射された光を屈折させて第1照射面211から出射する透過型の第1導光板21及び第1導光板21の側面210から第1導光板21に光を入射させる第1光源部22を有する第1照明装置2と第2導光板31及び第2光源部32を有する第2照明装置3と、第1裏面212に対向配置され、第1導光板21を介して被検査体Wを撮像可能な第1撮像装置4と、第2裏面312に対向配置され、第2導光板31を介して被検査体Wを撮像可能な第2撮像装置5と、互いに対向配置された第1照射面211と第2照射面311との間に被検査体Wを配置する位置決め部6と、第1撮像装置4及び第2撮像装置5の撮像結果を記憶する記憶部81と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面から入射された光を屈折させて第1照射面から出射する透過型の第1導光板、及び前記第1導光板の側面から前記第1導光板に光を入射させる第1光源部を有する第1照明装置と、
側面から入射された光を屈折させて第2照射面から出射する透過型の第2導光板、及び前記第2導光板の側面から前記第2導光板に光を入射させる第2光源部を有する第2照明装置と、
前記第1照射面の反対側の面である第1裏面に対向配置され、前記第1導光板を介して被検査体を撮像可能な第1撮像装置と、
前記第2照射面の反対側の面である第2裏面に対向配置され、前記第2導光板を介して前記被検査体を撮像可能な第2撮像装置と、
互いに対向配置された前記第1照射面と前記第2照射面との間に前記被検査体を配置する位置決め部と、
前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置の撮像結果を記憶する記憶部と、
を備える、外観検査用撮像システム。
【請求項2】
前記第1照明装置、前記第2照明装置、前記第1撮像装置、及び前記第2撮像装置を直線状に配置させる、請求項1に記載の外観検査用撮像システム。
【請求項3】
前記被検査体を把持するロボットハンドである前記位置決め部を制御し、前記被検査体を回転させる角度制御部を備える、請求項1又は2に記載の外観検査用撮像システム。
【請求項4】
前記第1照明装置及び前記第2照明装置が前記被検査体を照射している状態で、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置により前記被検査体を撮像させる撮像制御部を備える、請求項1~3の何れか一項に記載の外観検査用撮像システム。
【請求項5】
前記撮像制御部は、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置により同時に前記被検査体を撮像させる、請求項4に記載の外観検査用撮像システム。
【請求項6】
前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置の撮像結果に対して複数の領域を設定し、前記領域に対して重みづけを設定する領域設定部を備える、請求項1~5の何れか一項に記載の外観検査用撮像システム。
【請求項7】
前記第1照明装置、前記第2照明装置、前記第1撮像装置、及び前記第2撮像装置を固定する光学レールを備える、請求項1~6の何れか一項に記載の外観検査用撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査用撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属加工品などの表面(外観)を検査するために、当該表面に光を照射して当該表面を撮像し、撮像結果を解析する方法が採られている。外観検査装置は、例えば特開2004-279236号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-279236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば被検査体に貫通孔が形成されており当該貫通孔の内周面を検査したい場合、従来の撮像装置では、貫通孔内が暗くなり、貫通孔の内周面を精度良く撮像する観点で改良の余地がある。また、従来の撮像装置では、被検査体の片面ずつ撮像しており、撮像時間(ひいては検査時間)の面でも改良の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、被検査体に貫通孔がある場合でも当該貫通孔の内周面を含む被検査体の表面を精度良く撮像でき、且つ撮像作業時間の短縮が可能な外観検査用撮像システム。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の外観検査用撮像システムは、側面から入射された光を屈折させて第1照射面から出射する透過型の第1導光板、及び前記第1導光板の側面から前記第1導光板に光を入射させる第1光源部を有する第1照明装置と、側面から入射された光を屈折させて第2照射面から出射する透過型の第2導光板、及び前記第2導光板の側面から前記第2導光板に光を入射させる第2光源部を有する第2照明装置と、前記第1照射面の反対側の面である第1裏面に対向配置され、前記第1照射面及び第1裏面を介して被検査体を撮像可能な第1撮像装置と、前記第2照射面の反対側の面である第2裏面に対向配置され、前記第2照射面及び第2裏面を介して前記被検査体を撮像可能な第2撮像装置と、互いに対向配置された前記第1照射面と前記第2照射面との間に前記被検査体を配置する位置決め部と、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置の撮像結果を記憶する記憶部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像装置が透過型の照明装置を介して被検査体を撮像する。このため、被検査体全面に均一な強度の光を照射可能となり、ハレーションが抑制され、且つ例えば被検査体の角度(姿勢)を変えた場合にも被検査体全面の輝度変化が少なく、安定して精度良く被検査体の外観を撮像することができる。また、第1照明装置及び第2照明装置が被検査体を照射した状態で、第1撮像装置及び第2撮像装置の少なくとも一方が被検査体を撮像することで、一方側の照明装置が他方側の撮像装置に対してバックライトとして機能する。これにより、被検査体に貫通孔があり、当該貫通孔の内周面を検査したい場合でも、貫通孔内の輝度が上がり、より精度良く(明瞭に)内周面を撮像することができる。さらに、第1撮像装置及び第2撮像装置により一度に(同様のタイミングで)被検査体の両面を撮像することができ、全体の撮像作業時間(ひいては検査時間)の短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の外観検査用撮像システムの構成図である。
図2】本実施形態の第1照明装置の構成図である。
図3】本実施形態の位置決め部及び被検査体を表す概念図である。
図4】本実施形態の撮像結果の一例と比較対象とを表す写真である。(上の写真は撮像側の照明装置のみで被検査体を照射して撮像した撮像結果であり、下の写真は両方の照明装置で被検査体を照射して撮像した撮像結果である。)
図5】本実施形態の変形態様を説明するためのコンピュータの構成図である。
図6】本実施形態の変形態様における領域の一例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、説明に用いる各図は概念図である。図1は、外観検査用撮像システム1を上から見た平面図であり、図面の表現上、後述する各導光板21、31は各光源部22、32を透過して実線で表示され、被検査体Wも位置決め部6を透過して実線で表示されている。
【0010】
本実施形態の外観検査用撮像システム1は、図1に示すように、透過型の第1照明装置2と、透過型の第2照明装置3と、第1撮像装置4と、第2撮像装置5と、位置決め部6と、光学レール7と、コンピュータ8と、を備えている。第1照明装置2は、透過型の第1導光板21と、第1光源部22と、を備えている。本実施形態の被検査体Wは、1つ以上の貫通孔W1を有する金属加工品(例えば円盤状部品)である。
【0011】
第1導光板21は、図1及び図2に示すように、光を透過する板状(この例では四角板状)且つ透明な導光板である。第1導光板21は、側面210(この例では4つの側面)と、平面状の第1照射面211と、第1照射面211の反対側の面である平面状の第1裏面212と、を備えている。
【0012】
第1導光板21は、側面210から入射された光を内部で屈折させて第1照射面211から出射するように構成されている。換言すると、第1導光板21は、側面210から入射された光を正面である第1照射面211から第1照射面211の法線方向に照射するように構成されている。第1導光板21は、第1照射面211から面状の光を出射する。
【0013】
第1光源部22は、第1導光板21の側面210から第1導光板21に光を入射させる光源装置である。より詳細に、第1光源部22は、光源221と、光源221を内側に収容する枠状部材222と、を備えている。光源221は、例えばLEDで構成されている。枠状部材222は、枠状(この例では四角枠状)に形成されており、第1導光板21の周囲を囲むように第1導光板21に固定されている。枠状部材222の内部には、複数の光源221が第1導光板21を囲むように且つ第1導光板21の側面210に対向するように配置されている。
【0014】
第2照明装置3は、側面310から入射された光を屈折させて第2照射面311から出射する透過型の第2導光板31、及び第2導光板31の側面310から第2導光板31に光を入射させる第2光源部32を備えている。第2照明装置3は、第1照明装置2と同じ構成であるため適宜説明は省略する。
【0015】
第2導光板31は第1導光板21に相当し、第2光源部32は第1光源部22に相当している。第2導光板31は、側面310(側面210に相当)、第2照射面311(第1照射面211に相当)、及び第2裏面312(第1裏面212に相当)を備えている。第2光源部32は、光源321(光源221に相当)及び枠状部材322(枠状部材222に相当)を備えている。
【0016】
第1照明装置2及び第2照明装置3は、ユーザの操作又はコンピュータ8の制御信号に応じてオン/オフされる。第1照明装置2及び第2照明装置3は、第1照射面211と第2照射面311とが対向するように、共通の光学レール7に設置されている。本実施形態において、第1照射面211と第2照射面311とは互いに平行になるように配置されている。
【0017】
第1撮像装置4は、第1照射面211の反対側の面である第1裏面212に対向配置され、第1照射面211及び第1裏面212を介して被検査体Wを撮像可能なカメラである。第1撮像装置4は、ユーザの操作又はコンピュータ8の制御信号に応じて、被検査体Wを撮像し、撮像結果(撮像データ)をコンピュータ8に送信する。第1撮像装置4は、光学レール7に設置されている。
【0018】
第2撮像装置5は、第2照射面311の反対側の面である第2裏面312に対向配置され、第2照射面311及び第2裏面312を介して被検査体Wを撮像可能なカメラである。第2撮像装置5は、ユーザの操作又はコンピュータ8の制御信号に応じて、被検査体Wを撮像し、撮像結果(撮像データ)をコンピュータ8に送信する。第2撮像装置5は、光学レール7に設置されている。
【0019】
位置決め部6は、互いに対向配置された第1照射面211と第2照射面311との間に被検査体Wを配置する装置である。本実施形態の位置決め部6は、被検査体Wを把持するロボットハンドである。位置決め部6は、ユーザの操作又はコンピュータ8の制御信号に応じて作動する。図3に示すように、位置決め部6は、被検査体Wを挟み込んで把持する把持部61を備えている。
【0020】
光学レール7は、第1照明装置2、第2照明装置3、第1撮像装置4、及び第2撮像装置5を固定(位置決め)するレール部材である。光学レール7は、装置2~5を直線状に(同軸的に)配置させる。光学レール7上には、軸方向一方から他方に向けて(図1の右端から左端に向けて)、第1撮像装置4、第1照明装置2、第2照明装置3、及び第2撮像装置5が取り付けられている。第1照明装置2と第2照明装置3の間における光学レール7の上方には、位置決め部6及び被検査体Wが配置されている。被検査体Wは、位置決め部6により、他の装置2~5と同軸的に配置される。
【0021】
コンピュータ8は、CPUやメモリ等を備える演算装置である。コンピュータ8は、第1照明装置2、第2照明装置3、第1撮像装置4、第2撮像装置5、及び位置決め部6に有線又は無線により通信可能に接続されている。コンピュータ8は、記憶部81と、角度制御部82と、撮像制御部83と、を備えている。
【0022】
記憶部81は、第1撮像装置4及び第2撮像装置5の撮像結果を記憶する。角度制御部82は、位置決め部6を制御して、被検査体Wを回転させる。角度制御部82は、ユーザの操作又は所定のプログラムに応じて、被検査体Wの角度(姿勢)を制御する。撮像制御部83は、第1照明装置2及び第2照明装置3が被検査体Wを照射している状態で、第1撮像装置4及び第2撮像装置5により被検査体Wを撮像させる。
【0023】
ここで撮像の流れの一例を説明する。以下、説明において、光学レール7の軸方向(延伸方向)をY軸方向とし、Y軸方向に直交し鉛直方向に平行な方向をZ軸方向とし、Y軸方向とZ軸方向とに直交する方向をX軸方向とする。
【0024】
位置決め部6は、角度制御部82の制御により、被検査体Wを把持した状態で、第1照明装置2と第2照明装置3の間の所定位置に、所定の姿勢で被検査体Wを配置する。所定位置は、第1撮像装置4及び第2撮像装置5により被検査体Wを撮像可能な位置である。所定位置は、例えば、被検査体Wの中心位置と、第1撮像装置4及び第2撮像装置5の撮像範囲の中心位置と、第1照明装置2及び第2照明装置3の中心位置とが直線状に並ぶように設定される。初期の所定位置は、例えば被検査体Wの表面が第1照射面211及び第2照射面311に平行になる位置に設定される。
【0025】
第1照明装置2と第2照明装置3とがオンされて、被検査体Wが軸方向の両方から照射される。第1撮像装置4及び第2撮像装置5は、撮像制御部83の制御により、同時に被検査体Wを撮像する。記憶部81は、両方の撮像結果を記憶する。
【0026】
続いて、角度制御部82は、位置決め部6を制御して、被検査体WをZ軸回りに(Z軸を中心軸として)所定角度回転させて姿勢を変更する。Z軸は、例えば被検査体Wの中心位置を通り上下方向に延びる直線である。この状態で、第1撮像装置4及び第2撮像装置5は同時に被検査体Wを撮像し、記憶部81は両方の撮像結果を記憶する。
【0027】
続いて、角度制御部82は、位置決め部6を制御して、被検査体Wの姿勢を元に戻し、その後、被検査体WをX軸回りに(X軸を中心軸として)所定角度回転させて姿勢を変更する。X軸は、例えば被検査体Wの中心位置を通り且つZ軸方向及びY軸方向に直交する方向に延びる直線である。この状態で、第1撮像装置4及び第2撮像装置5は同時に被検査体Wを撮像し、記憶部81は両方の撮像結果を記憶する。これにより、被検査体Wの両面が3つの姿勢で撮像される。なお、回転の順番(撮像姿勢の変更順)は、変更可能である。
【0028】
記憶部81に記憶された撮像結果は、傷の有無などを解析する解析装置(例えば画像解析ソフトウェアがインストールされたコンピュータ)により解析される。解析装置を構成するソフトウェア(アプリケーション)は、コンピュータ8又は別のコンピュータにインストールされている。解析装置(画像解析ソフトウェア)としては、市販のソフトウェアを利用できる。
【0029】
(本実施形態の効果)
本発明によれば、各撮像装置4、5が透過型の照明装置2、3を介して被検査体Wを撮像するため、ハレーションが抑制され、精度良く被検査体Wの外観を撮像することができる。また、第1照明装置2及び第2照明装置3が被検査体Wを照射した状態で、被検査体Wが撮像されることで、第1照明装置2が第2撮像装置5の撮像に対してバックライトとして機能し、第2照明装置3が第1撮像装置4の撮像に対してバックライトとして機能する。これにより、図4に示すように、被検査体Wに貫通孔W1があり、当該貫通孔W1の内周面を検査したい場合でも、貫通孔W1内の輝度が上がり、より精度良く(明瞭に)内周面を撮像することができる。さらに、第1撮像装置4及び第2撮像装置5により一度に(同様のタイミングで)被検査体Wの両面を撮像することができ、全体の撮像時間(ひいては検査時間)の短縮が可能となる。なお、図4の写真は、いずれも、被検査体Wを正面(初期位置)からZ軸回りに所定角度回転させた状態で撮像した撮像結果である。
【0030】
このように、本実施形態によれば、バックライト効果により貫通孔W1の内周面を精度良く撮像できるとともに、被検査体Wの両面を位置や姿勢の変更なく撮像することができる。つまり、本実施形態によれば、撮像精度の向上と作業時間の短縮との両立が可能となる。また、照明装置2、3によって対向照明が構成されることで、被検査体Wは両方向から均一的に照明を受ける。これにより、被検査体Wの角度(姿勢)を変えても測定面の輝度変化が少なく、撮像精度ひいては検査精度の向上が可能となる。この構成と位置決め部6が被検査体Wの姿勢を変更する構成とを合わせると、より効果的に撮像精度の向上と作業時間の短縮を両立させることができる。
【0031】
また、各装置2~5が光学レール7上に配置されるため、直線状の配置(同軸的な配置)や互いの離間距離などの位置合わせが容易となる。本実施形態では、第1照明装置2と第1撮像装置4との離間距離は、第2照明装置3と第2撮像装置5との離間距離と同じである。また、第1照明装置2と被検査体Wとの離間距離は、第2照明装置3と被検査体Wとの離間距離と同じである。光学レール7により、このような距離調整も容易となる。
【0032】
また、角度制御部82及び位置決め部6により被検査体Wの姿勢(角度)を変更できるため、容易に、あらゆる角度で被検査体Wを撮像することができる。例えば貫通孔W1の内周面全周に対する撮像も容易となる。また、各撮像装置4、5及び撮像制御部83により被検査体Wの両面を同時に撮像することができるため、さらなる撮像時間の短縮が可能となる。
【0033】
(変形態様)
本実施形態の変形態様として、コンピュータ8は、図5に示すように、さらに領域設定部84を備えてもよい。領域設定部84は、第1撮像装置4及び第2撮像装置5の撮像結果に対して複数の領域を設定し、当該領域に対して重みづけを設定する。
【0034】
例えば大面積で微小な空間分解能を確保するには大きな画素数のカメラを用いる必要がある。そして、当該画像(撮像結果)を用いてディープラーニングにより検査を行う場合には、非常に膨大な演算が必要となり、検査時間が長時間となりやすい。そこで、領域設定部84が撮像結果を幾つかの領域に分割し、領域ごとに重みづけを変えることにより演算の負荷を低減することが可能となる。領域設定部84は、撮像結果に対して、領域分割機能、及び領域ごとの重みづけ機能を備えている。領域設定部84は、例えば図6に示すように、撮像結果を複数の所定領域A1、A2、A3に分割する。領域設定部84は、各領域A1~A3に対して重みづけを設定する。
【0035】
別の例では、領域設定部84は、撮像結果を、例えば被検査体Wの表面を含む領域、中央の貫通孔W1を含む領域、小さい貫通孔W1の端部(縁部)を含む領域、及び小さい貫通孔W1の内周面を含む領域に分割する。そして、領域設定部84は、各領域に対して重みを設定する。例えば小さい貫通孔W1の内周面の傷の有無を重点的に検査したい場合、領域設定部84は、当該内周面を含む領域の重みを相対的に大きくするために、例えば他の領域の重みを小さく設定する。これにより、重点的に検査したい領域以外の領域ではデータが軽くなり検査速度は向上する。
【0036】
このように、外観検査用撮像システム1が領域設定部84を備えることで、撮像装置の視野が大面積であっても、大画素数のカメラを用いて画像取得を行い、当該画像に対してディープラーニングによる高速検査が可能となる。
【0037】
(その他)
本発明は、上記実施形態及び変形態様に限られない。例えば、位置決め部6は、ロボットハンドではなく、ロータリーテーブル又は単純な固定治具等であってもよい。また、第1撮像装置4と第2撮像装置5との撮像タイミングは同時でなくてもよい。また、各装置2~5の配置について、光学レール7を用いなくてもよく、例えば撮像作業場所に本構成となるように配置するだけでもよい。各装置2~5は、カメラ(撮像範囲)の中心と導光板の中心とが同軸的(直線状)となるように配置されることが好ましいが、必ずしも同軸的でなくてもよい。装置2~5の直線状の配置は、例えば設置面に印を付ける等により、光学レール7を用いずとも可能である。また、各照明装置2、3の形状は、四角形状でなくてもよい。
【0038】
また、被検査体Wの配置、各照明装置2、3のオン/オフ、及び撮像装置4、5の撮像操作は、作業者の手動で行われてもよい。また、コンピュータ8は、複数のコンピュータで構成されてもよい。また、位置決め部6であるロボットハンドは、被検査体Wを回転させるだけでなく、(XYZ座標上で)移動させてもよい。被検査体Wの形状は、上記に限らず、例えば角柱状であってもよい。本実施形態では、被検査体Wの一例として表面が鏡面仕上げされた金属加工品を挙げているが、撮像装置と被検査体Wとの間に照明装置が介在することで、撮像結果に撮像装置が写りこむことが防止される。
【符号の説明】
【0039】
1…外観検査用撮像システム、2…第1照明装置、21…第1導光板、211…第1照射面、212…第1裏面、22…第1光源部、3…第2照明装置、31…第2導光板、311…第2照射面、312…第2裏面、32…第2光源部、4…第1撮像装置、5…第2撮像装置、6…位置決め部、7…光学レール、81…記憶部、82…角度制御部、83…撮像制御部、84…領域設定部、W…被検査体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6