(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111026
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220722BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115786
(22)【出願日】2021-07-13
(62)【分割の表示】P 2021006171の分割
【原出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】506201518
【氏名又は名称】株式会社ラーニングエージェンシー
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】眞▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏志
(72)【発明者】
【氏名】土屋 典子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 佳純
(72)【発明者】
【氏名】青山 結
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】企業等の組織への人材配置を適切に行う情報処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、サーバ10は、テスト部121と、バランス判定部131と、項目判定部132を備える。テスト部121は企業の従業員の候補者のビジネス基礎力を、例えば5つの項目を夫々含む4つのカテゴリに分けて評価するものとし、4つのカテゴリの合計得点及び夫々のカテゴリの各項目についての点数でビジネス基礎力を夫々評価した評価値を取得する。バランス判定部は、取得する各カテゴリの評価値が、予め設定された所定範囲内にあるか否かを判定する。項目判定部は、カテゴリの評価値が所定範囲内にあると判定された場合、少なくとも3つのカテゴリの評価値が3/5項目以上クリアし、かつ、残りの各カテゴリの各項目の評価値が項目の下限値-1点以内である場合、候補者は組織の構成員としての基礎適性を有していると判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の構成員の候補者についてのビジネス基礎力を、M(Mは2以上の整数値)の項目を夫々含むN(NはMとは独立した2以上の整数値)のカテゴリに分けて評価するものとし、前記Nのカテゴリについての第1単位、及び夫々のカテゴリの各項目についての第2単位で前記ビジネス基礎力を夫々評価した評価値を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得される前記ビジネス基礎力の各カテゴリの評価値が、予め設定された所定の範囲内にあるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により前記評価値が前記所定範囲内にあると判定された場合、少なくともP(Pは、N-1以下の任意の整数値)のカテゴリの前記評価値が第1基準を満たし、かつ残りのカテゴリの各項目の評価値が第2基準を満たした場合、前記候補者は前記組織の構成員としての基礎適性を有していると判定する第2判定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第2判定手段は、
前記Nのカテゴリの全ての前記評価値が前記第1基準を満たした場合に、前記候補者は前記基礎適性を有していると判定する第2-1判定手段と、
前記第2-1判定手段の判定で前記基礎適性を有していると判定されなかった場合、少なくとも前記Pのカテゴリの前記評価値が前記第1基準を満たし、かつ前記残りのカテゴリの各項目の評価値が前記第2基準を満たした場合、前記候補者は前記基礎適性を有していると判定する第2-2判定手段と、
を有する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2判定手段により前記基礎適性を有していると判定された前記候補者のうち、前記Nのカテゴリの得点傾向が、前記組織の既存の構成員の前記Nのカテゴリの得点傾向と類似する特性を有する前記候補者は前記組織における適性を有していると判定する第3判定手段、
をさらに有する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
組織の構成員の候補者についてのビジネス基礎力を、M(Mは2以上の整数値)の項目を夫々含むN(NはMとは独立した2以上の整数値)のカテゴリに分けて評価するものとし、前記Nのカテゴリについての第1単位、及び夫々のカテゴリの各項目についての第2単位で前記ビジネス基礎力を夫々評価した評価値を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得される前記ビジネス基礎力の各カテゴリの評価値が、予め設定された所定の範囲内にあるか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにより前記評価値が前記所定範囲内にあると判定された場合、少なくともP(PはN-1以下の任意の整数値)のカテゴリの前記評価値が第1基準を満たし、かつ残りのカテゴリの各項目の評価値が第2基準を満たした場合、前記候補者は前記組織の構成員としての基礎適性を有していると判定する第2判定ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
情報処理装置を制御するコンピュータに、
組織の構成員の候補者についてのビジネス基礎力を、M(Mは2以上の整数値)の項目を夫々含むN(NはMとは独立した2以上の整数値)のカテゴリに分けて評価するものとし、前記Nのカテゴリについての第1単位、及び夫々のカテゴリの各項目についての第2単位で前記ビジネス基礎力を夫々評価した評価値を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得される前記ビジネス基礎力の各カテゴリの評価値が、予め設定された所定の範囲内にあるか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにより前記評価値が前記所定範囲内にあると判定された場合、少なくともP(PはN-1以下の任意の整数値)のカテゴリの前記評価値が第1基準を満たし、かつ残りのカテゴリの各項目の評価値が第2基準を満たした場合、前記候補者は前記組織の構成員としての基礎適性を有していると判定する第2判定ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザの技能(スキル)を診断し、診断結果に基づく人材育成の支援を図る人材育成支援システムは存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の人材育成支援システムによるユーザのスキルの診断結果は、ユーザ個人のスキルのさらなる向上に役立つものの、それ以外の用途として活用がなされていないのが現状である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザのスキルの診断結果を、当該ユーザが属する又は属する可能性のある組織への人材配置の支援用途として活用させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態である情報処理装置は、
組織の構成員の候補者についてのビジネス基礎力を、M(Mは2以上の整数値)の項目を夫々含むN(NはMとは独立した2以上の整数値)のカテゴリに分けて評価するものとし、前記Nのカテゴリについての第1単位、及び夫々のカテゴリの各項目についての第2単位で前記ビジネス基礎力を夫々評価した評価値を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得される前記ビジネス基礎力の各カテゴリの評価値が、予め設定された所定の範囲内にあるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により前記所定範囲内にあると判定された場合、少なくともP(Pは、N-1以下の任意の整数値)のカテゴリの前記評価値が第1基準を満たし、かつ残りのカテゴリの各項目の評価値が第2基準を満たした場合、前記候補者は前記組織の構成員としての基礎適性を有していると判定する第2判定手段と、
を備える。
このように、サービス提供者が予め複数のカテゴリに分けて設定したビジネス基礎力という統一された基準で評価した評価結果に基づいて、まずは、第1判定手段で、例えば3以上のカテゴリの評価値が所定の範囲内にあるもの、つまりカテゴリバランスがとれているものを基礎適性ありと判定し、次に、第2判定手段で、カテゴリの夫々の項目の評価値が一定項目以上条件を満たすもの、例えば3/5項目が閾値の範囲内であるという条件をクリアしているものを基礎適性ありと判定する。このように候補者を異なる視点で段階的に選別することで、採用や異動を含む組織への人材配置を適切に行うことができるようになる。
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザのスキルの診断結果を、当該ユーザが属する又は属する可能性のある組織への人材配置の支援用途として活用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理装置の全体構成を示している。
【
図2】
図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアの値とを円領域にプロットし夫々を折れ線グラフ(レーターチャート)として重畳表示した例を示す図である。
【
図5】
図3のサーバにおいて、各カテゴリの基準値の範囲(上限値、下限値)を決定するための適性バランス閾値テーブル(中途用)の一例を示す図である。
【
図6】
図3のサーバにおいて、各カテゴリの基準値の範囲(上限値、下限値)を決定するための適性バランス閾値テーブル(新卒用)の一例を示す図である。
【
図7】
図3のサーバにおける採用又は異動の判定動作を示すフローチャートである。
【
図8】基礎適性ありの複数の候補者の中から基準をより多く満たしているものを適性が高いとして判定する一例を示す図である。
【
図9】基礎適性ありの複数の候補者の中から総合点の高いものを適性が高いとして判定する一例を示す図である。
【
図10】基礎適性ありの複数の候補者の中から業種、職種、企業のうちで優先順位の上位のものを適性が高いとして判定する一例を示す図である。
【
図11】企業規模100名以下で技術職を採用するIT業の基準に候補者を適用した場合の
図7のステップS12(カテゴリバランス評価)の比較例を示す図である。
【
図12】企業規模100名以下で技術職を採用するIT業の基準に候補者を適用した場合の
図7のステップS13(項目評価)の比較例を示す図である。
【
図13】技術職を採用する所定の企業の基準に候補者を適用した場合の
図7のステップS12(カテゴリバランス評価)の比較例を示す図である。
【
図14】候補者の業種、職種、企業のカテゴリ適性の判定結果を示す図である。
【
図15】候補者の配属先を3つの営業部門の中から決定する際の比較例を示す図である。
【
図16】業種、職種、企業の基準は満たしているが、職種における特殊要件を含めて判定する事例を示す図である。
【
図17】候補者のうちリーダー候補の人材を採用する際の事例を示す図である。
【
図18】新卒応募者の中から、一定の基準を満たす候補者を振るいにかけ、二次選考に進む候補者を一定数に絞り込む事例を示す図である。
【
図19】営業部門に配属する同職種他部門の社員の中からカテゴリ適性のある候補者を絞り込む事例を示す図である。
【
図20】
図19の事例でカテゴリ適性があるとされた候補者の中から営業部門に適する人材を絞り込む事例を示す図である。
【
図21】技術部門に適性のある人材を該当部門の上司との相性から選定する事例を示す図である。
【
図22】営業部門に所属している社員から、企画部門にカテゴリ適性のある社員を選定するために、企画部門のカテゴリ特性と候補者群の夫々のカテゴリの得点を比較する事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システムの全体構成を示している。
図1に示す情報処理システムは、サーバ10と、u台(uは1以上の任意の整数値)の候補者端末20-1乃至20-uとが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることによって構成されている。
候補者端末20-1は、候補者Aにより操作される。候補者端末20-2は、候補者Bにより操作される。候補者端末20-uは、候補者Uにより操作される。
候補者A乃至Uは、企業等の組織に既に属し他部門へ異動する可能性のある者(人事異動の対象者)、又は企業に今後属する可能性のある者(求職者)であり、少なくともサービス提供者が提供するビジネス基礎力診断テスト(以下「テスト」と称す)を受検した経験がある者をいう。
なお、以下、候補者端末20-1乃至20-uの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「候補者端末20」と呼ぶ。
候補者端末20は、候補者A乃至Uの夫々により管理される情報処理装置であって、例えばタブレット端末やスマートフォン等で構成される。
【0010】
サーバ10は、サービス提供者により管理される。サーバ10は、候補者端末20-1乃至20-uの夫々の各動作を制御しつつ各種処理を実行する。
【0011】
サービス提供者は、例えば人材トレーニング会社等であり、企業からの申し込みにより社員を受講者として講座に参加させて受講させたりオンライン研修等を行う。企業以外でも個人が講座に参加することもある。また、サービス提供者は、受講者が受講した講座やオンライン研修の内容の理解度や習得度を確認するために当該受講者に対してテストを行い、そのテストの結果を評価して当該受講者に対して今後のアドバイスを行う。
企業によっては、この企業への就労を希望する求職者が個人で講座に参加しテストを受けた評価結果を採用の参考にする企業もある。
さらに、本サービス提供者は、企業或いはその企業内の部署等に属する複数の社員(受講者)の夫々のテストの結果に基づいて、当該企業或いは当該部署等に対し人材の採用や異動の支援を行うとともに、今後の人材の採用や人事異動の際の人材配置の最適解を提示し、社会の発展に貢献できるようにする。
【0012】
具体的には、本実施形態では、サーバ10は、次のように候補者端末20と連携して動作する。
即ち、サーバ10は、先ずサーバ10等に予め記憶されている複数の問題のうち1以上からなるテストを、候補者端末20に送信し、これら1以上の問題の夫々に対して受講者が入力した解答を受信する。
【0013】
テストは、サービス提供者により実施される。当該テストの問題は、受講者のビジネスにおける基礎的な力(ビジネス基礎力)を評価するためのものであり、サービス提供者により1以上のビジネスの評価対象のカテゴリ毎及び夫々のカテゴリの1以上の項目毎に出題される。ビジネス基礎力とは、社会人として仕事を行う上で役に立つ技術又は能力をいう。
【0014】
ビジネス基礎力を評価するためのカテゴリと項目との関係について説明する。
カテゴリは、N個(Nは2以上の任意の整数値)に定義され、さらに2以上のカテゴリの夫々にM個(Mは、Nとは独立した2以上の任意の整数値)の項目が定義されている。
テストでは、当該項目の夫々に関連する内容の問題が項目毎に出題される。
【0015】
候補者端末20は、サーバ10が送信したテストを受信する。そして、受講者は、候補者端末20を操作して、当該テストを構成する複数の問題の夫々について回答を入力する。
候補者端末20は、受講者が入力したテストの回答(各問題の回答の集合体)を、サーバ10に送信する。
【0016】
サーバ10は、候補者端末20-1乃至20-uの夫々からテストの回答が送信される毎に、当該回答を順次取得し採点を行う。また、サーバ10は、採点結果を前記項目毎に正規化し、これをスコアとして受講者毎に記憶し管理する。
【0017】
サーバ10は、受講者毎に管理しているスコアから、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件を設定し記憶する。
なお、所定の母集団は、特に限定されず、例えば、受講者に関する各種属性情報のうち、所定の1以上の属性情報が一致する受講者からなる集団や、スコアが一定範囲内の受講者からなる集団等各種各様な集団を採用することができる。なおその前提として、サーバ10は、各受講者毎に、採点結果を示すスコアとともに、当該受講者の各種属性情報を対応付けて管理しているものとする。
この場合、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件としては、例えば、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、過去のスコアの値や範囲等を採用することができる。
【0018】
サーバ10は、所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとを抽出し、両スコアを比較する。
具体的には、例えば当該所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアの平均値、最大値又は最小値とを比較することができる。
【0019】
また、サーバ10は、当該所定の受講者のスコアと当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとをプロットしたグラフを、当該所定の受講者の候補者端末20の画面に表示させる。
【0020】
これにより、受講者は、候補者端末20の画面に表示されたグラフの、各カテゴリの各項目夫々についての当該受講者自身のスコアの値と、当該受講者が含まれる所定の母集団のスコアの値との分布から、当該受講者の現在のスキルと、過去のスキルとを比べた成長の度合いや企業の教育効果を容易に視認することができる。
受講者(従業員や社員等)が属する組織や集団(企業やその企業内の部署)に関する情報(採用又は異動の判定の内容)を、組織や集団を管理する者(社長や部署の長が)視認することができる。
【0021】
図2は、
図1の情報処理システム1のうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0022】
サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、バス104と、入出力インターフェース105と、出力部106と、入力部107と、記憶部108と、通信部109と、ドライブ110と、を備えている。
【0023】
CPU101は、ROM102に記録されているプログラム、又は、記憶部108からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0024】
CPU101、ROM102及びRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インターフェース105も接続されている。入出力インターフェース105には、出力部106、入力部107、記憶部108、通信部109及びドライブ110が接続されている。
【0025】
出力部106は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部107は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0026】
記憶部108は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部109は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(
図1の例では候補者端末20)との間で通信を行う。
【0027】
ドライブ110には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア111が適宜装着される。ドライブ110によってリムーバブルメディア111から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
また、リムーバブルメディア111は、記憶部108に記憶されている各種データも、記憶部108と同様に記憶することができる。
【0028】
図3は、
図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ10の記憶部108(
図2)の一領域には、受講者DB151と、受検DB152と、企業DB153とが設けられている。
受講者DB151には、受講者に関する情報が記憶されている。
受講者に関する情報は、例えば企業の従業員や企業に就労を希望する求職者が、自身のスキル向上のために、サービス提供者が開催する講座や研修等を受講するための情報と、講座や研修等を受講した受講履歴の情報とを含む情報である。
【0029】
具体的には、受講者DB151には、講座や研修を受講する従業員の氏名、年齢、社内における所属部署(部門等)、役職、受講する講座や研修に関する情報(講座名や講座番号、研修名や研修番号、受講日、受講履歴)等が、受講者個人を識別する情報(受講者ID又は受講者番号等)に対応して記憶されている。
【0030】
受講者が受講する講座や研修のうち例えば講座としては、複数の講座が記憶されている。講座とは例えば研修プログラムを実施する研修会や講習会等であり、複数の講座に複数の受講者が参加することが可能である。研修についても同様である。
講座の情報は、複数の講座夫々に1つ以上の評価要素が対応した情報である。
1つ以上の評価要素は、特に限定されないが、以下においては、項目又はサブ項目が採用されているものとして説明する。即ち、以下の例では、1つの講座に1以上(主に1つ)の項目又はサブ項目が対応付けられているものとする。
項目は、ビジネスの技能要素の夫々をネーミングした主題であり、講座名と対応付けされる。サブ項目は、項目の中に含まれる小項目をいい、小項目だけの講座も設定される。研修についても同様である。
【0031】
ビジネス基礎力を評価するカテゴリは、例えば
図4に示すグラフに示されるように、「ビジネス知識」(Business knowledge)、「プランニング&コントロール」(Planning & Control)、「シンキング」(Thinking)、「コミュニケーション」(Communication)の4つ等に定義(区分)される。項目は、夫々のカテゴリの評価要素の1つである。各カテゴリには、2以上の項目が含まれる講座が設定されている。
【0032】
例えば「ビジネス知識」のカテゴリのビジネス基礎力を図る項目は、時事問題、法務・人事・労務、財務・経理、マーケティング、経営等がある。
【0033】
「プランニング&コントロール」のカテゴリのビジネス基礎力を図る項目は、目的及び目標、計画、業務管理、振り返り・評価、改善等がある。図示しないが、目的及び目標という項目には、目的思考というサブ項目が含まれる。
【0034】
「シンキング」のカテゴリのビジネス基礎力を図る項目は、数的処理、思考法活用、情報収集、課題設定、解決策立案等がある。
【0035】
「コミュニケーション」のカテゴリのビジネス基礎力を図る項目は、ネゴシエーション、文書伝達、口頭伝達、傾聴、ビジネスマナー等がある。
【0036】
ここでビジネススキルを評価するためのカテゴリの分け方について説明する。
カテゴリは、人材育成において成長するために必要なスキルを体系化して大きく4つに分けられる。
人が成果を出すためには、計画性・実行力「プランニング&コントロール」が必要となる。この計画性・実行力を上げるためには意思や判断等の考え方「シンキング」、人間関係を構築するコミュニケーション力「コミュニケーション」、前提となる知識「ビジネス知識」が同時に必要である。
このように4つのカテゴリに分けてビジネス基礎力を診断することで、診断対象者の持っているスキルの特長が見え易くなる。
【0037】
ビジネス基礎力は、個々の項目の単位、又は複数の項目で1つ設定される講座の単位で、受講者が講座や研修を受講することにより、受講者のビジネススキルの向上が図られる。
受講者が講座や研修を受講するにあたり、受講前と受講中及び受講後等にビジネス基礎力診断テストが実施される。
【0038】
受検DB152には、サービス提供者が実施するテストに関する情報が記憶されている。テストに関する情報は、例えばテストの問題と回答の対、個々の受講者のテスト結果(項目毎の得点)や評価結果(得点を正規化したスコアや総評、コメント等)が受講者IDに紐付けて記憶されている。ここで、受講者とは、会社の従業員やその候補者(求職者や人事異動対象者等)が含まれる。
スコアは、テストの項目毎の得点を、例えば5段階等で評価した数値(“1”から“5”)であり、1カテゴリ毎に合計した数値も記憶されている。1カテゴリ5つの項目とした場合に1カテゴリ25点満点とし、この場合の個々の項目のスコアを合計した値等で、受講者のカテゴリ毎の評価が示される。
【0039】
企業DB153には、企業の情報(企業規模(人数)、組織構成(階層等)、部署、部門の配置等)が記憶されている。また、企業DB153には、企業における従業員夫々の情報(例えば従業員の氏名、年齢、入社年月日、在職年数、組織上の部門、職位、役職、社員番号等の従業員の個人特定情報)が受講者IDに紐付けて記憶されている。
【0040】
この他、精度を上げるため、在籍年数、退職者データ、役職者データ、スコアの経年データ等を利用する。
在籍年数は、企業、部門、職種との高いマッチングを見つけ出すのに利用できる。退職者データは、企業、部門、職種とのミスマッチを見つけ出すのに利用できる。役職者データは、スコアの上位者群(High performer)の傾向を見つけ出すのに利用できる。スコアの経年データは、一定期間毎にテストを受ける度に記録されるテストの履歴データであり、スコアが経年によって上がっているのか、フラットなままなのかがわかる。
【0041】
この他、企業DB153には、1社の情報だけではなく、サービス提供者が実施する講座や研修を受講しテストを受検する企業の上記評価結果の情報が同業他社と比較可能に記憶されている。
【0042】
サーバ10のCPU101(
図2参照)においては、処理を実行する際に、テスト部121、適性判定部122、表示制御部123が機能する。
テスト部121は、企業の従業員の候補者についてのビジネス基礎力を、M(Mは2以上の整数値:明細書では“5”)の項目を夫々含むN(NはNとは独立した2以上の整数値:明細書では“4”)のカテゴリに分けて評価する。
即ち、テスト部121は、例えば求職者や異動対象者等の企業の従業員の候補者についてのビジネス基礎力を、例えば5つの項目を夫々含む4つのカテゴリに分けて評価するものとする。
具体的には、テスト部121は、受検DB152に予め記憶されている、受講者のスキルを評価するための問題の中から、受講者が候補者端末20を操作して回答するための問題を、各項目の項目毎に作成する。このようにして作成された各カテゴリの夫々の項目毎の問題と解答の集合体がテストである。
【0043】
テスト部121は、テストを、通信部109を介して候補者端末20に表示させることにより、受講者に対しテストを出題する。
受講者は、候補者端末20を操作することにより、テスト部121が出題したテストに対する回答(各問題毎の回答)を入力する。受講者が入力した回答は、候補者端末20からサーバ10に対して送信される。
【0044】
テスト部121は、候補者端末20から送信されたテストの回答(各問題毎の回答の集合体)を、通信部109を介して取得する。
テスト部121は、取得したテストの回答を、所定の採点基準に基づいて各問題毎に採点する。
テスト部121は、各問題毎の採点の結果を、各カテゴリの各項目毎に正規化(スコア化)し、当該スコアを評価結果として各項目の項目名と紐付けて受検DB152に記憶し受講者毎に管理する。
【0045】
テスト部121は、候補者端末20からの評価提示要求(作表指示)に応じて受検DB152で管理されている1以上の受講者のスコアの中から、所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとを取得し表示制御部123へ出力する。なお、所定の受講者を第1受講者と言い換えてもよい。
【0046】
なお、当該所定の母集団は、受検DB152に予め記憶されている所定の抽出条件によって抽出される。具体的には例えば、上述したように、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、又は所定の受講者本人の過去のスコアのうち、任意の数(1も含む)の任意の組合せを所定の抽出条件とした母集団を抽出することができる。
【0047】
テスト部121は、選定候補の受講者の4つのカテゴリについての第1単位(合計得点)、及び夫々のカテゴリの各項目についての第2単位(点数)でビジネス基礎力を夫々評価した評価値を取得する。なお、以下では選定候補の受講者を候補者という場合がある。
具体的には、テスト部121は、受検DB152にアクセスし、選定候補として指定された受講者の受講者IDに紐付けられた評価結果に含まれるスコアを受検DB152から取得する。なお、人事異動等の候補者の選定の際は、比較対象の他の社員(受講者)のスコアについても取得される。
スコアは、4つのカテゴリ夫々についてのカテゴリ毎の得点、及び夫々のカテゴリの項目の夫々の点数でビジネス基礎力を夫々評価したカテゴリ毎の得点を正規化し合計した総合点と、項目毎の点数を正規化した数値等である。個々の数値は、“1”~“5”までの値である。
【0048】
適性判定部122は、テスト部121により取得される候補者や既存の受講者の評価値(スコア)と予め設定された閾値(カテゴリ毎の上限値や下限値の範囲)や基準(第1基準、第2基準等)に基づいて、採用又は異動に適する候補者を選定する。
第1基準は、例えば4つのカテゴリのうち3つのカテゴリで3/5項目以上が所定範囲内にあるという条件をクリアしたという条件である。
第2基準は、残りの1つのカテゴリの項目の夫々の評価値が、項目毎に設定される下限値マイナス1点以内であるという条件である。
【0049】
適性判定部122は、バランス判定部131、項目判定部132、特性判定部133、等を備える。
【0050】
バランス判定部131は、テスト部121により取得される選定候補の受講者(候補者)の各カテゴリのスコア(1カテゴリ毎に合計点25点満点のうち何点得点したか)が、予め設定された所定の範囲内(例えば
図11の例ではビジネス知識のカテゴリでは、上限値19.5から下限値11.5の間)にあるか否かを判定する。即ち、バランス判定部131は、候補者のカテゴリ適性の有無を判定する。
【0051】
所定範囲としては、例えば
図5に示す中途採用用の適性バランス閾値テーブル60又は
図6に示す新卒採用用の適性バランス閾値テーブル61により、夫々の採用毎に閾値が設定される。
夫々の適性バランス閾値テーブル60、61の上限値は、候補者を選定する側の属性(どういった組織か)における上位者群(High performer)の得点から導き出される数値であり、上位者群のカテゴリ平均値にそれぞれの係数をかけたものとする。
【0052】
また、下限値は、候補者を選定する側の属性で選出された人全体の平均(Ave)の得点から導き出される下位者群(Lo performer)の数値であり、カテゴリ平均値にそれぞれの係数をかけたものとする。
上限値や下限値は、選定候補の受講者のテストと同じ回のテストを受けた全受講者のスコアを用いるものとする。ここに示したテーブルの例は一例であり、他の方法で上限値や下限値を設定してもよい。
【0053】
カテゴリ毎に定められた上限値を導き出すための係数は、上位者群の得点分布や役職者の傾向、在籍年数が長いもののスコア傾向等から導き出されるものである。
カテゴリ毎に定められた下限値を導き出すための係数は、下位者群の得点分布と平均点の関係性から導き出されたものである。上位者群とはその属性(上位者群がどういった集まりか)における合計スコアの上位10%のものをいう。下位者群とはその属性における合計スコアの下位10%のものをいう。
候補者を選定する側の業種、職種、企業、部門、役職等といった属性によって上位者群のカテゴリ平均値や属性全体のカテゴリ平均値は異なるが、上限、下限を導き出すための係数は全ての属性に共通して利用するものとする。
【0054】
なお、既に企業で就労した経験のある転職者と、大卒等の新卒者とでは、テストの評価結果であるスコアの出方が異なる。新卒者は社会人経験のある候補者と比較したときにスコアが低くなる傾向があるため下限値に幅を持たせる必要がある。このため中途採用用の適性バランス閾値テーブル60とは別に、新卒採用用の適性バランス閾値テーブル61を別に設けている。
図5に示す適性バランス閾値テーブル60では、4つのカテゴリの夫々のスコアの上限値プラス10%(例えばあるカテゴリの上限値のスコアが20点であればその10%増しの22点迄)、下限値マイナス5%(例えば下限値が10点であれば5%減の9.5点迄)である。
図6に示す適性バランス閾値テーブル61では、4つのカテゴリの夫々のスコアの上限値プラス10%(例えばあるカテゴリの上限値のスコアが20点であればその10%増しの22点迄)、下限値マイナス10%(例えば下限値が10点であれば10%減の9点迄)である。新卒者は、スコアが下振れし易いため、下限値にゆとりを持たせている。
【0055】
このようにバランス判定部131がカテゴリバランスの判定を行うことにより、夫々の候補者の企業経験や採用条件等の属性から求められるカテゴリバランスと類似する傾向にある候補者を見つけ出すことが可能になる。
なお、カテゴリバランスは、相互補完の関係よりも類似傾向の方が好ましい。カテゴリバランスが類似傾向にあることで、学びや経験、身につけてきたこと、思考等が近い傾向にある。カテゴリバランスが補完関係にある場合、相互効果を期待することもできるが、補完関係を立証するためには比較対象者にスコア以外の要素が必要になるため、補完関係については立証ができてからとすることが好ましい。
【0056】
項目判定部132は、バランス判定部131により選定候補の受講者のスコアが所定範囲内にあると判定された場合、少なくともM(Mは、N-1以下の任意の整数値:この実施形態では3)のカテゴリの評価値が第1基準(実施形態では3/5項目以上クリア)を満たし、かつ残りのカテゴリの各項目の評価値が第2基準(項目の下限値-1点以内)を満たした場合、候補者は、企業の従業員や会社の社員(組織の構成員)としての基礎適性を有していると判定する。基礎適性を有しているとは、ビズネス基礎力があるとする評価の合格ラインを超える能力を持つことを言う。
【0057】
項目判定部132は、優位判定部141と基礎判定部142とを有する。
優位判定部141は、4つのカテゴリの全てのスコアが第1基準(3/5項目以上クリアしているとの条件)を満たした場合に、その選定候補の受講者(候補者)は、基礎適性を有していると判定する。
具体的には、優位判定部141は、受検DB152から読み出した当該受講者のスコアにおいて、ビジネス知識、プランニング&コントロール、コミュニケーション、シンキングといった4つのカテゴリの全てで、各カテゴリに含まれる項目毎のスコアが3/5項目以上、閾値の範囲内である(クリアしている)との条件を満たした場合に、その候補者は、基礎適性を有していると判定する。
【0058】
基礎判定部142は、優位判定部141の判定で基礎適性を有していると判定されなかった場合、少なくとも3つのカテゴリのスコアが例えば3/5項目以上クリアという第1基準を満たし、かつ残りの1つのカテゴリの各項目のスコアが項目の下限値-1点以内という第2基準を満たした場合、その候補者は、基礎適性を有していると判定する。
具体的には、基礎判定部142は、受検DB152から読み出した当該受講者のスコアにおいて、3つのカテゴリのスコアが3/5項目以上、閾値の範囲内である(クリアしている)との条件を満たし、かつ残りの1つのカテゴリの5つの項目のスコアが項目の下限値-(マイナス)1点以内であるとの条件を満たした場合、その候補者は、基礎適性を有していると判定する。
【0059】
特性判定部133は、項目判定部132により基礎適性を有していると判定された候補者のうち、4つのカテゴリの得点傾向が、企業の既存の従業員の4つのカテゴリの得点傾向と類似する特性(レーダーチャート)を有する候補者は、組織における適性を有すると判定する。組織における適性とは、例えば会社の職種、役職、部門、上司や部下等に順応する適性である。
【0060】
表示制御部123は、テスト部121により取得される1以上の従業員の夫々のスコアを円形の表示領域(例えば
図4参照)にプロットした折れ線グラフと、当該従業員が含まれる母集団のスコアを円形の表示領域にプロットした折れ線グラフとを重畳させて、通信部109を介して候補者端末20の画面に表示させる制御を行う。
【0061】
表示制御部123は、テスト部121から出力されるスコアをプロットしたビジネス基礎力診断結果の評価値をグラフとして表示する。
具体的には、表示制御部123は、テスト部121から出力される所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとをグラフ(
図4参照)にして、通信部109を介して候補者端末20の画面に表示させる制御を行う。
【0062】
表示制御部123は、適性判定部122により適性ありと判定された選定結果を表示する制御を実行する。選定結果としては、選定した1以上の候補者の氏名を表示する他、選定候補全員の選定結果を表示してもよい。
【0063】
図4は、所定の受講者のスコアの値と、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアの値とを円領域にプロットし夫々を折れ線グラフ(レーダーチャート)として重畳表示した例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態において、受講者のビジネス基礎力を評価する指標を、例えばビジネスの実務能力という面で人を評価するように4つのカテゴリに分けて定義し、各カテゴリ毎に5つの項目名で項目が設定されている。
具体的には、ビジネス基礎力を評価する上で定義される4つのカテゴリとして、例えばビジネス知識、プランニング&コントロール、コミュニケーション及びシンキング等がある。
【0064】
また、4つのカテゴリの夫々には、5つの項目が設定されている。5つの項目としては、例えばビジネス知識というカテゴリには、時事問題、法務・人事・労務、財務・経理、マーケティング、経営という項目名で項目が設定されている。
プランニング&コントロールというカテゴリには、目的及び目標、計画、業務管理、振り返り・評価、改善という項目名で項目が設定されている。
コミュニケーションというカテゴリには、ネゴシエーション、文書伝達、口頭伝達、傾聴、ビジネスマナーという項目名で項目が設定されている。
シンキングというカテゴリには、数的処理、思考法活用、情報収集、課題設定、解決策立案という項目名で項目が設定されている。
【0065】
そして、サーバ10のテスト部121は、受講者に対し、各カテゴリ毎に設定した項目毎に個別のテストを課し、当該テストの結果を取得し、各カテゴリ毎に設定した項目毎の所定の採点基準に基づいて採点をした上で、当該採点結果を正規化(スコア化)し、これをスコアとして取得し、当該スコアを所定の表示領域にプロットしたグラフを候補者端末20に表示させる。
【0066】
具体的には、
図4に示す同心円状の表示領域(円領域又は円グラフという)に、4つのカテゴリを表示領域の外周上に均等に割り当て表示し、各カテゴリ毎に設定した各項目の夫々を、カテゴリとの関係がわかるようにして円領域の外周上に均等間隔で配置し、正規化により取得したスコアの最低値“0”(ゼロ)を同心円状の中心に割り当て、中心から遠ざかる方向に一定間隔で数値(“1”乃至“5”)を配置する。当該スコアの最高値“5”は円領域の外周上に配置される。また、スコアが取り得る値(“1”乃至“5”)の夫々に同心円が配置される。
【0067】
そして、サーバ10は、受講者毎に管理しているスコアから、所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団であって、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、又は本人の過去の結果の母集団のスコアとの1又は2以上の組合せを、前記表示領域にプロットしたグラフを候補者端末20に表示させる。
即ち、
図4の表示領域には、受講者個人の今回スコア、前回スコア、前々回スコアという3つのスコアについて、線種を分けたレーダーチャートで描かれる。チャートどうしは、同一領域に重ねて表示されており、変化した項目(スキル)が一目で比較可能になっている。
各カテゴリの項目名の位置には、そのカテゴリの総点数に対する受講者の取得点数が提示される。レーダーチャートの外側のカテゴリ名、例えば「ビジネス知識」というカテゴリ名の枠の位置には、そのカテゴリにおける受講者の獲得スコア(点数)が示される。この例では、カテゴリの合計点(25満点)に対する獲得スコア(19得点)として、例えば19/25等という表示形態で提示される。
【0068】
このように、当該所定の受講者の4つのカテゴリの夫々の5つの項目のスコアの分布状態と、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団(当該所定の受講者と同年齢、同職種の受講者群)の平均のスコアの分布状態とを可視化して重ねて表示することで、当該所定の受講者は、現状のスキル及び過去のスキルと比べた成長の度合い、並びに企業の教育効果を容易に視認することができる。また、同年齢、同職種の受講者の平均のスキルと比べたスキルの差異を容易に視認することができる。
【0069】
このように、受講者は、受講者自身のビジネスにおけるスキルの高さを容易に視認できるとともに、受講者と同年齢の受講者や、受講者と同職種かつ同年齢の受講者のビジネスにおけるスキルの水準についても視認できるため、受講者自身のビジネスにおけるスキルの高さを相対的に把握することができる。
したがって、受講者は、受講者自身の強みとして伸ばすべきスキルや、弱みとしてフォローすべきスキルを容易に把握することができる。
【0070】
続いて、
図7乃至
図10を参照してこの情報処理システムにおけるサーバ10の採用又は異動の判定動作を説明する。
図7は、サーバ10の採用又は異動の判定動作を示すフローチャートである。
図8は、基礎適性ありの複数の候補者の中から基準をより多く満たしているものを適性が高いとして判定する一例を示す図である。
図9は、基礎適性ありの複数の候補者の中から総合点の高いものを適性が高いとして判定する一例を示す図である。
図10は、基礎適性ありの複数の候補者の中から業種、職種、企業のうちで優先順位の上位のものを適性が高いとして判定する一例を示す図である。
【0071】
サーバ10では、テスト部121が、テストや適性判定のための画面を候補者端末20や企業端末30に提供する。
例えば企業端末30に表示された画面において、企業の担当者から採用又は異動の対象の候補者の適性判定のための指示が入力されると、テスト部121は、採用又は異動に関する候補者の選定処理を実行するための画面(図示せず)を表示する。
【0072】
この画面において、企業の従業員の候補者又は従業員の中の他の職場や部署への転属候補者等を含む1以上の候補者の情報と選定目的(新卒者を採用、転職者を採用、人事異動等)が入力されると、テスト部121は、
図7のステップS11において、候補者についての5つの項目を含む4つのカテゴリの夫々についての合計得点(第1単位)、及び夫々のカテゴリの各項目についての得点(第2単位)等のスコアを取得する。
【0073】
具体的には、テスト部121は、受講者DB151、受検DB152及び企業DB153を参照して夫々の候補者に関する情報(受講者ID、氏名、社員の場合は所属部署等)、候補者のカテゴリ毎のスコアの合計点や項目毎のスコア、企業に関する情報(配属先の部署や配属先の社員(上司や同僚)の情報等)を取得する。
【0074】
次に、適性判定部122では、ステップS12において、バランス判定部131が、テスト部121により取得されたカテゴリの夫々のスコアの合計得点が、
図5又は
図6の適性バランス閾値テーブル60、61の夫々のカテゴリの上限値及び下限値の範囲内にあるか否かを判定する。
【0075】
判定の結果、合計得点が上限値及び下限値の範囲内にあるカテゴリの数が4つ、つまり全てのカテゴリで合計得点が上限値及び下限値の範囲内にある場合、次に、項目判定部132が、カテゴリの夫々の項目の夫々のスコアについて、予め設定されている基準を満たしているか否かを判定する。
【0076】
判定の結果、基準を満たしている場合、項目判定部132は、基礎適性ありと判定し、基準を満たしてない場合、項目判定部132は、基礎適性なしと判定する。
項目判定部132では、以下に示す2つの判定ステップ(第1判定ステップS13、第2判定ステップS14)により候補者の基礎適性の有無を判定する。これにより、基礎適性のある候補者に優先順位を付けつつ候補者をより広い範囲で絞り込むことができる。
【0077】
第1判定ステップS13において、バランス判定部131により上限値及び下限値の範囲内にあると判定された場合、優位性判定部141は、4つのカテゴリの全てのスコアの合計得点が第1基準(3/5項目以上クリア)を満たした場合に、その候補者は企業の社員又は配属先の部署における社員としての基礎適性を有していると判定する。
【0078】
第1判定ステップS14において、バランス判定部131により上限値及び下限値の範囲内にあると判定された場合、基礎判定部142は、4つのカテゴリのうち少なくとも3つのカテゴリのスコアが第1基準(この例では3/5項目以上クリア)を満たし、かつ残りのカテゴリの各項目のスコアが第2基準(項目の下限値-1点以内)を満たした場合、その候補者は企業の社員又は配属先の部署における社員としての基礎適性を有していると判定する。
【0079】
項目判定部132では、ステップS13及びS14の判定処理において、複数名の候補者がいずれも基礎適性を有していると判定された場合、以下の優位性(優先度)の点から候補者が絞り込まれる。
【0080】
例えば
図8に示すテーブル63のように、複数名の候補者A、Bが存在し、候補者Aは、ステップS11、S12の判定で基準を満たし基礎適性ありと判定された。
また、候補者Bは、ステップS11の判定で基準を満たしてはいるが、ステップS12の判定では、基準を満たさず、ステップS13の判定で基準を満たしたため、基礎適性ありと判定されたものとする。
【0081】
このように候補者A、Bが共に基礎適性ありとなった場合、項目判定部132は、ステップS12、S13の基準を共に満たしている方を、より適性が高いと判定する。
この例の場合、候補者Aは、ステップS11、S12の判定で基準を満たしており、候補者Bは、ステップS11とステップS13の判定で基準を満たしたもののステップS12の判定で基準を満たしていないため、高い基準を満たした方の候補者Aが採用又は異動の候補者として選定される。この結果、複数名の候補者A、Bの中から1人を選定することができる。
【0082】
次のステップS15では、特性判定部133は、項目判定部132により基礎適性を有していると判定された候補者の中から、候補者の特性に基づいて配属先に適する人材を選定する。
この場合、特性判定部133は、項目判定部132により基礎適性を有していると判定された候補者のうち、4つのカテゴリの得点傾向が、企業の既存の従業員の4つのカテゴリの得点傾向と類似する特性(レーダーチャート)を有する候補者は組織における適性を有していると判定する。組織における適性とは、組織が例えば企業であれば、その特性(職種、役職、部門等)に順応する能力である。
【0083】
これにより、スコアにおける基礎適性を有していると判定された候補者の中から、現実的に配属先の従業員の1人としてより順応する人材を選出することができる。
例えば企業という組織では、企業の特性(職種、役職、部門等)に、より適応する人材を選出できる。また組織が例えば企業内のある部署であれば、部署の特性(営業部、開発部等)に、より適応する人材を選出できる。
【0084】
特性判定部133では、ステップS15の判定処理において、複数名の候補者が何れも適性を有していると判定された場合、以下の優位性(優先度)の点から候補者が絞り込まれる。
【0085】
例えば
図9に示すテーブル64のように、複数名の候補者A、Bが存在し、候補者A、B共に、業種、職種、企業等の各属性で基礎適性あり(〇)と判定された場合、特性判定部133は、夫々のスコアの総合点が高い方を、より適性が高いと判定する。この例の場合、候補者Aのスコアの総合点は70点であり、候補者Bのスコアの総合点は65点のため、総合点の高い候補者Aが採用又は異動の候補者として選定される。
【0086】
この他、例えば
図10に示すように、複数名の候補者A、Bが存在し、候補者A、B共に、スコアの総合点が同じであったものとする。候補者Aは、業種の判定で基準を満たさず基礎適性なしと判定され、職種と企業の判定で基準を満たし基礎適性ありと判定された。候補者Bは、業種と職種の属性判定で基準を満たし基礎適性ありと判定され、企業の属性判定で基準を満たさず基礎適性なしと判定された。
【0087】
候補者A、Bが3つの属性判定のうち夫々異なる2つの属性判定で基準を満たしている場合、属性判定の優先順位を、職種>企業>業種と設定する。
この場合、特性判定部133は、優先順位に従い、業種の基準を満たしていなくても企業にとっての基準を満たしている候補者Aの方が採用又は異動の候補者としての適性が高いと判定する。この結果、複数名の候補者A、Bの中から1人を選定することができる。
【0088】
以下、図面を参照して本サービス提供者が実施した受講及び受検結果(統計上の数値)に基づく企業の採用又は異動の判定のいくつかの例を説明する。
まず、
図11乃至
図13を参照して企業における従業員の中途採用時の候補者と企業のマッチングの事例を説明する。
図11は、企業規模100名以下で技術職を採用するIT業の基準に候補者を適用した場合の
図7のステップS12(カテゴリバランス評価)の比較例を示す図である。
図12は、企業規模100名以下で技術職を採用するIT業の基準に候補者を適用した場合の
図7のステップS13(項目評価)の比較例を示す図である。
図13は、技術職を採用する企業の基準に候補者を適用した場合の
図7のステップS12(カテゴリバランス評価)の比較例を示す図である。
【0089】
この事例は、業界、職種に応じて設定された基準を満たしている(カテゴリバランスと項目の判定で基礎適性を有すると判定された)候補者に対し、企業特有の特性を満たしているか否かによって、候補者が中途採用で企業に属することができか否かの適性を判定する事例である。
前提として、人材を中途採用する企業の業種は、IT業であり、例えばZ社等と称す。
Z社の企業規模は100人未満であり、中途採用の人材の職種は、技術職とする。
中途採用する人材の候補者は、候補者Aと候補者Bの2名とする。
【0090】
図11に示すテーブル66は、IT業の基準で、カテゴリ上限値と下限値を設定し、夫々の欄に候補者Aと候補者Bの夫々のスコアを挿入したものである。
バランス判定部131は、
図11のテーブル66に基づいて、
図7のステップS12の判定処理を実行した結果、候補者A、Bのスコアは、各カテゴリの上限値、下限値の範囲内にあり、IT業に求められる基礎適性は有すると判定される。
【0091】
図12に示すテーブル67は、基礎判定部142が、候補者A、Bの夫々のスコアを各カテゴリの夫々の項目毎の理想値(
図17参照)と比較して、各カテゴリの夫々の5項目のうち条件を満たした(スコアが理想値を超えている)と判定した項目数を夫々のカテゴリの欄に挿入したものである。なお、
図17は、項目と理想値と候補者A、Bのスコアとの対応関係を参照するものであり、この事例とは別事例のため、数値は参照の対象ではない。
基礎判定部142は、
図12のテーブル67に基づいて、
図7のステップS14の判定処理を実行した結果、候補者A、Bは、共に4つのカテゴリで3/5項目以上、条件をクリアしており、基礎適性を有すると判定される。
【0092】
上記ステップS12、S13の判定結果では、候補者A、Bは、IT業に求められる基礎適性は有している。テーブル66、67には明示していないが、技術職に求められる基礎適性も2人とも有している。
そして、業種、職種の属性判定では、2人とも基準を満たしていたため、企業の基準で判定することになる。
【0093】
図13に示すテーブル68は、企業の基準、つまりZ社の基準で、カテゴリ上限値と下限値を設定し、夫々のカテゴリに対応する欄に候補者Aと候補者Bの夫々のスコアを挿入したものである。
バランス判定部131は、
図13のテーブル68に基づいて、
図7のステップS12の判定処理を実行した結果、候補者Aが、よりZ社に対する適性が高いと判定する。
【0094】
候補者Bのスコアは、業種、職種の基準を満たしていたが、
図13のZ社の基準のテーブル68では、コミュニケーションのカテゴリで基準を満たすことができなかった。
Z社の社員は、IT業界の基準よりもコミュニケーションのスコアが高いことが特徴として挙げられ、候補者Bは、業界、業種の基礎適性はあるもののZ社の基礎適性はないことが分かる。
【0095】
一方、候補者Aは、4つのカテゴリ全てにおいてZ社の基準を満たしており、Z社の特徴であるコミュニケーションのカテゴリでも高いスコアを有している。
バランス判定部131は、これらの結果から候補者Aが、よりZ社に対する適性が高いと判定する。
【0096】
続いて、
図14、
図15を参照して企業における従業員の中途採用時の候補者と部門とのマッチングの事例を説明する。
図14は、候補者の業種、職種、企業のカテゴリ適性の判定結果を示す図である。
図15は、候補者の配属先を3つの営業部門の中から決定する際の比較例を示す図である。
【0097】
この事例は、業種、職種、企業に応じて設定された基準を満たしている(カテゴリバランスと項目の判定で基礎適性を有すると判定された)候補者Aに対し、採用後の配属先として適切な部門を選定する事例である。
前提として、中途採用する人材の候補者は、候補者Aに既に絞り込まれているものとする。人材を中途採用する企業の業種は、小売業であり、例えばY社等と称す。Y社が求める中途採用の人材の職種は、営業職であり、営業部門3部門(第1事業部、第2事業部、第3事業部)の中の何れかの部門に候補者を配属させるものとする。
【0098】
図14に示すテーブル69は、候補者Aの総合点が70点であり、また、業種、職種、企業の夫々の基準を満たしているため、候補者Aの採用を決定したことを示している。
Y社は、候補者Aを営業職として採用したが、Y社には、営業部門が3部門ある。このため、より適性のある部門を候補者Aの配属先として選定することとする。
【0099】
この場合、バランス判定部131は、
図15に示すバランス閾値テーブル70に基づいて、
図7のステップS12の判定処理を実行する。
バランス閾値テーブル70には、3つの部門毎に夫々のカテゴリの上限値及び下限値が設定され、夫々のカテゴリに対応する欄に候補者Aのスコアが挿入されている。
この結果、候補者Aのスコアは、3つの部門において、各カテゴリの上限値、下限値の範囲内にあり、小売業に求められる基礎適性は有すると判定される。
【0100】
バランス閾値テーブル70のスコアを、
図4のレーダーチャートに展開した場合、候補者Aと3つの部門とで夫々の特性が現れる。
候補者Aは、プランニング&コントロールとシンキングのカテゴリのスコアが高い特性を有する。
【0101】
一方、第1事業部は、コミュニケーションのカテゴリの下限値が他のスキルと比較して高い特性を有する。また、第2事業部は、全てのカテゴリで上限値と下限値の幅が大きく、スキルの差が大きい特性がある。第3事業部は、プランニング&コントロールとシンキングのカテゴリの下限値が他のスキルと比較して高い特性を有する。
【0102】
特性判定部133は、上記の候補者と部門の夫々の特性に基づいて、候補者Aの特性に最も類似する特性を有する部門を判定する。
この判定の結果、候補者Aの特性に最も類似する特性を有する部門は、第3事業部であり、候補者Aの配属先として最も適している部門として第3事業部が選出される。
【0103】
このように複数の部署の中から候補者の配属先を決定する上で、候補者Aの配属先の複数の候補部門が同じ営業部門であったとしても、夫々の部門の既存の社員のスコアで比較すると、夫々異なる部門特性を有している場合が多く、複数の営業部門の中から、候補者Aの特性に適した営業部門に配属先を選出することができる。
【0104】
続いて、
図16、
図17を参照して企業における従業員の中途採用時の候補者と部門とのマッチングの事例を説明する。
図16は、業種、職種、企業の基準は満たしているが、職種における特殊要件を含めて判定する事例を示す図である。
図17は、候補者のうちリーダー候補の人材を採用する際の事例を示す図である。
【0105】
この事例は、業種、職種、企業に応じて設定された基準を満たしている(カテゴリバランスと項目の判定で基礎適性を有すると判定された)候補者A、Bに対し、採用後、リーダーとしての役割を担える人材(リーダー候補)を選定する事例である。
前提として、中途採用する人材の候補者は、候補者A、Bに既に絞り込まれているものとする。人材を中途採用する企業の業種は、製造業であり、例えばX社等と称す。X社が求める中途採用の人材の職種は、技術職であり、リーダーとしての役割を担える人材(リーダー候補)を選定するものとする。
【0106】
図16に示すテーブル71は、複数名の候補者A、Bが共に、業種、職種、企業等の各属性で基礎適性あり(〇)と判定されている。候補者Aのスコアの総合点は70点であり、候補者Bのスコアの総合点は65点のため、
図9の事例であれは総合点の高い候補者Aが採用又は異動の候補者として選定されるはずである。
【0107】
本事例では、リーダー候補の採用を予定しており、上記項目以外にも高いコミュニケーション能力が求められる。
そこで、以下のように
図7のステップS15の判定処理を実行する。
即ち、特性判定部133は、コミュニケーションのカテゴリの5つの項目に、夫々の理想値と、夫々の項目に対応する候補者A、Bのスコアとを挿入したテーブル72を用意し、理想値と候補者A、Bのスコアとを比較してリーダー候補を選定する。
コミュニケーションのカテゴリの5つの項目は、ビジネスマナー、傾聴、口頭伝達、文書伝達、ネゴシエーションである。
【0108】
理想値は、各項目ともX社のリーダーポジション又はリーダー候補の社員(以下リーダー群)の評価結果であるスコア(点数)の平均値を用いる。
X社のリーダー群は、5項目全てのスキルにおいて通常より高いスコアを有しており、当該企業におけるリーダー群には高いコミュニケーションスキルを有している人物に適性があるということがわかる。このため、候補者A、Bには、コミュニケーションのカテゴリの各項目で理想値以上の点数が求められる。
【0109】
候補者Aと候補者Bは、コミュニケーションの合計得点が同じでかつカテゴリ合計得点の理想値を満たしている。
しかし、項目別に見たときに、候補者Aは5項目のうち口頭伝達とネゴシエーションの2項目で理想値の条件(理想以上)を満たしていない。一方、候補者Bは、全ての項目において理想値の条件(理想以上)を満たしている。
これらの結果から、特性判定部133により、候補者Bが、よりX社のリーダー候補としての適性が高いと判定される。
【0110】
このようにリーダー候補を採用するにあたり、候補者A、Bのコミュニケーションのカテゴリに含まれる5つの項目の合計得点の高い方をまず選出し、合計得点が同じ場合は、次に項目の理想値の条件をより多く満たしている候補者をリーダー候補の適性が高いと判定する。この結果、複数名の候補者A、Bの中から候補者Bを採用する人材として選定することができる。
【0111】
次に、企業における新規採用の事例を説明する。
まず、
図18を参照して候補者と企業とのマッチングの事例を説明する。
図18は、企業に応募してきた新卒応募者の中から、一定の基準を満たす候補者を振るいにかけ、二次選考に進む候補者を一定数に絞り込む事例を示す図である。
【0112】
この事例は、採用人数に対して応募者多数のため、一定の基準で候補者を振るいにかける事例である。
前提として、中途採用する人材の候補者は、複数の新卒応募者である。人材を新規採用する企業の業種は、製造業である。
ここでは、候補者が一定の基準を満たしているか否かによって、候補者を振るいにかけ、二次選考に進む候補者を一定数に絞り込む。
【0113】
図18に示すテーブル73は、企業に採用済みの既存の新卒1年目乃至3年目の社員のスコアを受検DB152より読み出して4つのカテゴリの夫々の上限値と下限値を導出した数値を挿入したものである。
通常、基礎適性の有無を判定する場合は、上述したように、
図7のステップS12、S13、S14の順に処理を進め、必要に応じてステップS15に処理を実行する。
【0114】
この事例のように新卒者の採用判定の場合は、スコアで採用を決めるというよりも、採用候補者を振るいにかけることを目的とするため、サーバ10では、ステップS12のカテゴリバランス判定処理のみを実行することで候補者を絞り込む。
【0115】
この場合、バランス判定部131は、候補者全員のスコアを、
図18に示すテーブル73の4つのカテゴリの夫々の上限値と下限値の範囲内か否かを判定する。
この判定の結果、候補者全体のうちほぼ半数、例えば43%等の候補者が、4つのカテゴリ全てにおいて当該範囲内のスコアとなった場合に、該当ほぼ半数の候補者を、基礎適性を有しているものと判定し、2次選考に進めることとする。
【0116】
このように、新卒採用に応募してきた多くの新卒応募者を絞り込む際に、入社済みの既存の新卒1年目乃至3年目の社員のスコアから導出したカテゴリ毎の上限値及び下限値を範囲として選別ラインを設定し、その範囲を基準として新卒応募者のスコアを判定することで、新卒応募者のうちほぼ半数(候補者全体の43%程度)を2次選考に進めることができる。
【0117】
次に、企業における人事異動の事例を説明する。
まず、
図19、
図20を参照して企業における人事異動の候補者と部門とのマッチングの事例を説明する。
図19は、営業部門に配属する同職種他部門の社員の中からカテゴリ適性のある候補者を絞り込む事例を示す図である。
図20は、
図19の事例でカテゴリ適性があるとされた候補者の中から営業部門に適する人材を絞り込む事例を示す図である。
【0118】
この事例は、特定の部門に適性のある人員を同職種他部門の社員の中から選定する事例である。
前提として、人事異動の候補者は、既存の営業部門の社員である。人事異動する企業の業種は、製造業である。
【0119】
ここでは、複数の営業部門の中の1つの営業部門で欠員が出たため、他の営業部門から人員を補充するため、その部門に適性のある社員を選定する。
既に社員として年次、役職等の属性を有する複数名の候補者を選出した中から、当該営業部門に、より適性のある社員を選定するものとする。このため、既存の営業部門、例えば人事異動の異動先となる営業第1部門の社員の特性と候補者群のスコアから得られる特性とを比較する。
【0120】
図19に示すテーブル74は、人事異動の異動先となる営業第1部門の社員のスコアから、4つのカテゴリの夫々の上限値と下限値を導出して、その上限値と下限値の範囲を設定し、カテゴリの夫々に対応する欄に、候補者A、B、Cのスコアを挿入したものである。
なお、上限値と下限値の導出のし方については、その部門の社員のカテゴリの夫々のスコアの平均値に係数をかけて導出してもよく、部門の社員のスコアの上限値及び下限値をそのまま採用してもよい。また、これ以外の方法であってもよい。
【0121】
営業第1部門は、他の部門と比較して特にコミュニケーションのスキルが高いことが特徴として挙げられる。
テーブル74において、例えば候補者Cのスコアは、総合得点は一番高いが、コミュニケーションのカテゴリの合計得点がカテゴリバランスの範囲の基準を満たしていない。
【0122】
候補者Cは、他のカテゴリと比較してもコミュニケーションのスコアが低く、当該部門においてコミュニケーションの観点から他メンバーとの関係構築や業務の進捗に課題が出る可能性が高いと言える。
この場合、バランス判定部131は、
図19に示すテーブル74に基づいて、
図7のステップS12の判定処理を実行する。
【0123】
図7のステップS12の判定の結果、上述の内容により、候補者Cは、カテゴリ適性なしと判定されて候補から落選し、候補者Aと候補者Bは、カテゴリ適性ありと判定されて、次のステップS13の判定に進む。
【0124】
図20に示すテーブル75は、基礎判定部142が、候補者A、Bの夫々のスコアを各カテゴリの夫々の項目毎の理想値(
図17参照)と比較して、各カテゴリの夫々の5項目のうち条件を満たした(スコアが理想値を超えている)と判定した項目数を夫々のカテゴリの欄に挿入したものである。
項目判定部132において、
図20のテーブル75に基づいて、
図7のステップS13の判定処理を実行した結果、候補者Aは、3/5項目以上、条件をクリアしている合計数が4カテゴリあり、基礎適性を有する(優位)と判定される。
【0125】
一方、候補者Bは、3/5項目以上、条件をクリアしている合計数が3カテゴリであり、
図7のステップS13の判定処理ではNOとなり、次のステップS14の判定処理に進むが、この判定処理でも基準を満たしていなかったため、基礎適性を有しないと判定されたものとする。
これらの判定処理の結果から、候補者Aが最も営業第1部門への適性が高いものとして選出される。
【0126】
このように、企業における営業部門から他の営業部門ヘの人事異動の際に、異動先の営業第1部門の社員のスコアから、カテゴリ適性を判定するテーブル74を作成し、そのテーブル74を用いて候補者A乃至Cの夫々のスコアを判定して候補者を選出し、選出された候補者A、Bをさらに、カテゴリ毎の項目判定によって選定することで、候補者Aを最も営業第1部門への適性が高いものとして選出することができる。
【0127】
続いて、
図21を参照して企業における人事異動の候補者と部門の上司とのマッチングの事例を説明する。
図21は、技術部門に適性のある人材を該当部門の上司との相性から選定する事例を示す図である。
【0128】
この事例は、特定の部門に適性のある人員を同職種他部門の社員の中から選定する事例である。
具体的には、例えば技術部門に欠員が出たため、他部門から人員を補充するため適性のある社員を選定する事例であるが、当該部門では、補充人員に対して部門長の補佐となるような役割を求めており、部門適性だけでなく部門長との適性をみて選定したいと考えている。
【0129】
そこで、この事例では、社員の属性(年次、役職等)および部門特性から基準を満たす複数名の社員を人事異動の候補者として選出したが、その中から最もその部門に適性のある社員を選出するため、部門長のスコアとも比較する。
前提として、人事異動する企業の業種は、製造業である。人事異動させる候補者の異動先は、技術部門である。
【0130】
図21に示すテーブル76は、人事異動の異動先となる技術部門の社員のスコアから、4つのカテゴリの夫々の上限値と下限値を導出して、その上限値と下限値の範囲を設定し、カテゴリの夫々に対応する欄に、部門長及び候補者A、B、Cのスコアを挿入したものである。
【0131】
このテーブル76では、異動先の技術部門は、4つのカテゴリのうち、特にプランニング&コントロールとシンキングのスコアが高いことが特徴として挙げられる。また、部門長の特徴として、部門特性と同様にプランニング&コントロールとシンキングのスコアが高いことが挙げられる。
【0132】
候補者A、B、Cの合計得点は、全員同じであるものの、各カテゴリのスコアにそれぞれ特徴がある。
候補者Aは、プランニング&コントロールとシンキングのスコアが高く、候補者Bは、コミュニケーションのスコアが高い。さらに、候補者Cは、ビジネス知識のスコアが高い。
【0133】
部門長と候補者Aは、他の候補者B、Cと部門長との組み合わせと比較して、いずれもプランニング&コントロールとシンキングのスコアが高く、スコアをレーダーチャートに展開したときの特性が類似し、業務を遂行する上での思考(特性)が近いことがわかる。
【0134】
この場合、バランス判定部131は、
図21に示すテーブル76に基づいて、
図7のステップS12の判定処理を実行する。
そして、判定の結果、上述の内容に基づいて、候補者Aが最も技術部門及び部門長との適性が高いと判定される。
【0135】
このように企業における他部門から技術部門ヘの人事異動の際に、異動先の技術部門の社員と部門長のスコアから、カテゴリ適性を判定するテーブル76を作成し、そのテーブル76を用いて候補者A乃至Cの夫々のスコアを判定して候補者を選出することで、候補者Aを最も技術部門及び部門長との適性が高いものとして選出することができるので、技術部門に異動後の候補者Aは、部門長の補佐の役割を担いつつ技術部門において活躍することを期待することができる。
【0136】
次に、
図22、
図12を参照して企業における人事異動の候補者と職種とのマッチングの事例を説明する。
図22は、営業部門に所属している社員から、企画部門に適性のある社員を選定するために、企画部門のカテゴリ特性と候補者群の夫々のカテゴリのスコアを比較する事例を示す図である。
【0137】
この事例は、特定の部門に適性のある人員を異なる職種の社員の中から選定する事例である。
前提として、人事異動の候補者は、既存の営業部門に所属している社員である。人事異動する企業の業種は、製造業である。人事異動の異動先は営業部門とは異なる職種の企画部門である。
【0138】
ここでは、営業部門に所属している社員から、企画部門に適性のある社員を選定するため、企画部門の特性と候補者群のスコアとを比較する。
【0139】
図22に示すテーブル77は、人事異動の異動先となる企画部門の社員のスコアから、4つのカテゴリの夫々の上限値と下限値を導出して、その上限値と下限値の範囲を設定し、カテゴリの夫々に対応する欄に、候補者A、B、Cのスコアを挿入したものである。
なお、上限値と下限値の導出のし方については、その部門の社員のカテゴリの夫々のスコアの平均値に係数をかけて導出してもよく、部門の社員のスコアの上限値及び下限値をそのまま採用してもよい。また、これ以外の方法であってもよい。
【0140】
テーブル77において、企画部門は、特にプランニング&コントロールとシンキングのスコアが高いことが特徴として挙げられる。候補者Aと候補者Bは、全てのカテゴリにおいてカテゴリの合計得点が適性範囲の基準を満たしている。
【0141】
一方、候補者Cは、プランニング&コントロールとコミュニケーションが上限値と下限値の範囲の基準を満たしていない。
この場合、バランス判定部131は、
図22に示すテーブル77に基づいて、
図7のステップS12の判定処理を実行する。
図7のステップS12の判定処理の結果、上述の内容により候補者Cはカテゴリ適性なしと判定されて落選し、候補者Aと候補者Bがカテゴリ適性ありと判定されて、次のステップS13の判定に進む。
【0142】
図12に示すテーブル67は、基礎判定部142が、候補者A、Bの夫々のスコアを各カテゴリの夫々の項目毎の理想値(
図17参照)と比較して、各カテゴリの夫々の5項目のうち条件を満たした(スコアが理想値を超えている)と判定した項目数を夫々のカテゴリの欄に挿入したものである。
項目判定部132において、
図12のテーブル67に基づいて、
図7のステップS13の判定処理を実行した結果、候補者A、Bは、共に4つのカテゴリで3/5項目以上、条件をクリアしており、基礎適性を有すると判定される。
【0143】
ただし、この事例では、上述した
図22に示すテーブル77を参照すると、候補者Aの総合点は65点、候補者Bの総合点は61点であり、候補者Bよりも候補者Aの方が総合点が高いため、優先度の判定(優位性の面)で、職種の異なる企画部門への人事異動については、候補者Aの方が、より適性が高いと判定される。
【0144】
このように、企業における営業部門から他の職種の企画部門ヘの人事異動の際に、異動先の企画部門の社員のスコアから、カテゴリ適性を判定するテーブル77を作成し、そのテーブル77を用いて候補者A乃至Cの夫々のスコアを判定して候補者を選出し、選出された候補者A、Bをさらにテーブル67を用いてカテゴリ毎の項目判定と優先度の組み合わせで選別することで、候補者Aを最も企画部門への適性が高いものとして選出することができる。
この結果、候補者等のユーザのスキルの診断結果を、当該ユーザが属する又は属する可能性のある組織への人材配置の支援用途として活用することができる。
【0145】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0146】
例えば、
図2に示したハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0147】
また、
図3に示した機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図3の例に限定されない。
【0148】
また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図3に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、別々のハードウェアに備えてもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0149】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0150】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各受講者にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各受講者に提供される記録媒体等で構成される。
【0151】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0152】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0153】
また例えば、上述の実施形態では、ビジネス基礎力に関する評価を行うためのカテゴリとして、例えばビジネス知識、計画及びコントロール、コミュニケーション、並びに思考等の4種類のカテゴリに分けたが、これは例示に過ぎない。
即ち、ビジネス基礎力に関する任意のN個(Nは2以上の整数値)夫々のカテゴリを採用することができる。この場合、各カテゴリ毎に設けられる項目も、上述の実施形態の例に特に限定されず、任意のM個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値)の項目を採用することができる。
【0154】
上記実施形態では、企業の従業員の候補者又は従業員の中の他の職場や部署への転属候補者等を含む候補者の夫々についてのビジネス基礎力を示す情報として、例えばビジネススキルを評価する1以上のカテゴリにおける項目毎のビジネス基礎力診断テストの得点を正規化したスコア等を取得したが、この例以外であってもよい。
例えば企業の他、団体やコミュニティであってもよく、組織であれば足りる。従業員の他、例えば社員や所員、署員等であってもよく、構成員であれば足りる。
また、ビジネス基礎力を示す情報としてカテゴリや項目毎のテストを正規化したスコアを取得したが、この他、例えばテストの得点そのものを取得してもよく、ビジネス基礎力を示す情報であれば足りる。
【0155】
上記実施形態では、項目の数を“5”としたが、これに限ることはなく、M(Mは2以上の整数値)であればよい。また、上記実施形態では、カテゴリの数を“4”としたが、これに限ることはなく、N(NはMとは独立した2以上の整数値)であればよい。さらに、上記実施形態では、スコアが第1基準(明細書では3/5項目以上クリア)を満たすカテゴリの数を3としたが、P(Pは、N-1以下の任意の整数値)であればよい。
【0156】
また、上記実施形態では、企業における採用や異動の事例について説明したが、この他、求人希望者が適性のある業種、職種、企業を見つけ出すことに適用することができる。
上述した事例は、企業側がデータを保有している前提での事例であったが、本情報処理システムのサーバ10を人材紹介会社等が利用することで、求人者に適性のある業種、職種、企業を見つけ出すサービスを実現することが可能になる。
【0157】
また、上記実施形態では、ビジネス基礎力を診断するテストの評価結果を基に採用や異動の判定を行ったが、この他、例えばリーダー層向けの診断テストを実施して評価した結果のスコアを用いて管理職の適性や配置等の適性も診断することが可能であり、リーダーやその候補を見つけ出すサービス等にも活用することができる。
【0158】
上記実施形態では、スコアを基に面接を実施することで、より課題や思考が明確に聞きだせるような質問することが可能になる。
学生が自身の端末より本情報処理システムのサーバ10にアクセスして、採用、異動の適性を判定するサービスを利用することで、どのような業種・業界、職種に適性があるのかを知ることができる。
【0159】
本実施形態では、
図1のサーバ10を管理するサービス提供者は、例えば人材トレーニング会社を想定したが、これに限定ざれず、人材紹介会社等、幅広く適用可能である。
【0160】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)は、
組織の構成員(例えば会社の従業員等)の候補者(求職者や人事異動対象者等)についてのビジネス基礎力を、M(Mは2以上の整数値:明細書では5)の項目を夫々含むN(NはMとは独立した2以上の整数値:明細書では4)のカテゴリに分けて評価するものとし、前記Nのカテゴリについての第1単位(合計得点)、及び夫々のカテゴリの各項目についての第2単位(点数)で前記ビジネス基礎力を夫々評価した評価値(カテゴリ毎の合計得点、項目毎の点数を正規化した数値)を取得する取得手段(例えば
図3のテスト部121等)と、
前記取得手段(
図3の例えばテスト部121等)により取得される前記ビジネス基礎力の各カテゴリの評価値(合計点20点満点のうち何点得点したか)が、予め設定された所定範囲内(例えば
図11の4つのカテゴリでは上限値から下限値の間)にあるか否かを判定する第1判定手段(例えば
図3のバランス判定部131等)と、
前記第1判定手段(例えば
図3のバランス判定部131等)により前記評価値が前記所定範囲内にあると判定された場合、少なくともP(Pは、N-1以下の任意の整数値:明細書では“3”)のカテゴリの前記評価値が第1基準(明細書では3/5項目以上クリア)を満たし、かつ残りの各カテゴリの各項目の評価値が第2基準(項目の下限値-1点以内)を満たした場合、前記候補者は前記組織の構成員としての基礎適性を有していると判定する第2判定手段(例えば
図3の項目判定部132等)と、
を備える。
ビジネス基礎力を評価した評価値(スコア)は、候補者がこれまで学んできたこと、経験してきたこと、身についてきたこと等が具体的な項目毎のスコアとして現れるので、スコアそのものから個人の性格や人との相性を測ることはできないものの、候補者本人が持っている思考や性格とも関連性があるため、候補者のスキル以外の観点からも候補者の組織への適性を判定することができる。
即ち、組織の構成員(例えば企業の社員等)の候補者のビジネス基礎力(スキル)を評価した評価結果をカテゴリ毎及び項目毎に段階的に異なる視点で再評価して、組織の構成員(例えば企業の社員等)としての適性を有する候補者を選出するので、組織(例えば企業内の部、課、係等)への人材配置を適切に行えるようになる。
前記第2判定手段(例えば
図3の項目判定部132等)は、
前記N(NはMとは独立した2以上の整数値:明細書では4)のカテゴリの全ての前記評価値が前記第1基準(明細書では3/5項目以上クリア)を満たした場合に、前記候補者は前記基礎適性を有していると判定する第2-1判定手段(例えば
図3の優位判定部141等)と、
前記第2-1判定手段の判定で前記基礎適性を有していると判定されなかった場合、少なくとも前記P(Pは、N-1以下の任意の整数値:明細書では3)のカテゴリの前記評価値が前記第1基準(明細書では3/5項目以上クリア)を満たし、かつ前記残りの1つのカテゴリの各項目の評価値が前記第2基準(項目の下限値-1点以内)を満たした場合、前記候補者は前記基礎適性を有していると判定する第2-2判定手段(例えば
図3の基礎判定部142等)と、
を有する。
これにより、N(NはMとは独立した2以上の整数値:明細書では4)のカテゴリの全ての評価値が第1基準(明細書では3/5項目以上クリア)を満たした場合に、基礎適性を有していると判定し、この判定で基礎適性を有していると判定されなかった場合、少なくともP(Pは、N-1以下の任意の整数値:明細書では3)のカテゴリの評価値が第1基準(明細書では3/5項目以上クリア)を満たし、かつ残りのカテゴリの各項目の評価値が第2基準(項目の下限値-1点以内)を満たした場合、候補者は基礎適性を有する者と判定することで、選出する候補者に優先順位を付けつつ広い範囲の中で、ある程度の数の候補者を絞り込むことができる。
前記第2判定手段により前記基礎適性を有していると判定された前記候補者のうち、前記N(NはMとは独立した2以上の整数値:明細書では4)のカテゴリの得点傾向が、前記組織の既存の構成員(明細書では既存の従業員等)の前記Nのカテゴリの得点傾向と類似する特性(例えば
図4のレーダーチャート等)を有する前記候補者は前記組織における適性を有していると判定する第3判定手段(例えば
図3の特性判定部133等)、
をさらに有する。
これにより、基礎適性を有していると判定された候補者の中から、現実的に組織の構成員(例えば会社の従業員等)の1人としてより順応する人材を選出することができる。
組織が例えば企業では、企業の特性(業種、職種、部門等)に、より適応する人材を選出できる。また組織が例えば企業内のある部署であれば、部署の特性(営業部、開発部、企画部等)に、より適応する人材を選出できる。
【符号の説明】
【0161】
1・・・情報処理システム、10・・・サーバ、20、20-1、20-u・・・候補者端末、101・・・CPU、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・バス、105・・・入出力インターフェース、106・・・出力部、107・・・入力部、108・・・記憶部、109・・・通信部、110・・・ドライブ、111・・・リムーバブルメディア、121・・・テスト部、122・・・適性判定部、123・・・表示制御部、131・・・バランス判定部、132・・・項目判定部、133・・・特性判定部、141・・・優位判定部、142・・・基礎判定部、151・・・受講者DB、152・・・受検DB、153・・・企業DB、N・・・ネットワーク