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特開2022-111027ツールホルダを安全に把持するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111027
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ツールホルダを安全に把持するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   B23B 29/12 20060101AFI20220722BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20220722BHJP
   B23Q 5/04 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B23B29/12 Z
B23Q3/12 A
B23Q5/04 520Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021120389
(22)【出願日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】102021000000791
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】518045476
【氏名又は名称】アルグラ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】ALGRA S.P.A.
【住所又は居所原語表記】VIA MAGNAVACCHE 4,FRAZIONE LOCALITA BREMBILLA,24012 VAL BREMBILLA(BG),ITLIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペセンティ、エトッレ
【テーマコード(参考)】
3C016
3C046
【Fターム(参考)】
3C016FA00
3C046MM07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オペレータがツールホルダを容易に把持および移動することを可能にするデバイスを備えるツールホルダを提供する。
【解決手段】ツールホルダの本体(10)を容易かつ安全に把持および移動するためのデバイスであって、前記デバイスは、任意の方法で配置されおよび/または方向付けられた多数の溝(12)のセットを形成するために、前記本体(10)の2つの対向側面の1つの少なくとも一部におけるモールディングまたは他の適当な機械加工によって実現された複数の溝または凹部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ付きまたは非モータ付きであり、特に、多軸または単軸数値制御旋盤、移載機、任意の種類のミリングセンタ、および、一般に、切屑除去を行う工作機械に取り付けることが意図された、一般に任意のサイズの略正四角柱形状であるツールホルダの本体(10)を容易かつ安全に把持および移動するためのデバイスであって、任意の方法で配置されおよび/または方向付けられた多数の溝(12)のセットを形成するために、前記本体(10)の2つの対向側面の1つの少なくとも一部におけるモールディングまたは他の適当な機械加工によって実現された複数の溝または凹部を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記溝(12)は、対応する凹部と交互にあり、0.5~3.0mmの一定高さだけ、前記本体(10)から突出し、または前記本体(10)に凹設されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記溝(12)は、前記本体(10)の前記対向側面の少なくとも1つに作られた四角形、多角形、または他の形状の陥凹部(10’)に沿って、水平および/または垂直(14)に、または斜め(14’)または左右(15)方向に伸長することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
本体(10)の少なくとも1つの陥凹部(10’)は、前記陥凹部(10’)を2つの部分に分割するように一直線上にある小さな凹部(16)のグループを備えることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記水平溝(12)を備える前記陥凹部(10’)において、中央に配置され、均一に水平に伸長する、平滑な底面を有するくぼみ(18)が形成されることを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
対向垂直アーム(22)が異なる伸長を有する逆「U」字形傾向の外形を有する、対向する形状の支持体(20)を備え、前記アーム(22)の1つの外側面には、前記本体(10)の前記陥凹部(10’)に形成された前記水平溝(12)と係合するのに適した水平溝(22’)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記対向する形状の支持体(20)は、磁性を付与されることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
逆「U」字形傾向の外形を有する、対向する形状の支持体(20)を備え、前記対向垂直アーム(22)は異なる伸長を有し、前記成形支持体(20)は、互いに適当に離間した3つの垂直に伸長する側方(23’)および(25’)および中央(27’)領域を備え、前記側方領域(23’)および(25’)に沿って、互いに交差する水平溝および垂直溝の両方が実現されるが、前記中央領域(27’)は、水平溝のみを備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記本体(10)の各面は、垂直方向に伸長する2つの側方領域(23)および(25)を備え、これに沿って水平および垂直両方の交差溝が作られ、前記領域(23)および(25)に対し中央に、それらから離間して、同様に垂直方向に伸長するより広範囲の領域(27)が形成され、ここには水平溝が作られることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
ブリッジ要素(24)を備え、その2つの対向垂直分岐部(26)は、内側面に、前記本体(10)の前記陥凹部(10’)に形成された溝と相補的な水平溝(30)が部分的に設けられ、前記ブリッジ要素(24)は、前記対向垂直分岐部(26)を連結する上部水平分岐部(28)が前記本体(10)を移動するためのグリップの役割を果たす逆「U」字形支持体を形成することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ブリッジ要素(24)の前記垂直分岐部(26)の各々は、前記溝(30)より上に作られ、シャンクよりも大きな径を有する頭部が設けられた爪(32)を備え、前記爪(32)は、前記本体(10)において前記溝(12)を担持する前記陥凹部(10’)より上に形成された成形台座(34)に位置することを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールホルダを安全に把持するためのデバイスに関する。
【0002】
具体的には、本発明は、特に、CNC単軸または多軸旋盤、移載機、任意の種類のミリングセンタ、および一般に切屑除去による加工を行う工作機械に取り付けることが予定された、モータ付きまたは非モータ付きツールホルダをオペレータが容易かつ安全に把持および移動することを可能にするデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
既知のように、数値制御旋盤および上述した他の工作機械を用いて行われる機械加工中、加工されている部品に対し機能する様々なモジュールを頻繁に入れ替える必要がある。これらの動作を行うために、オペレータは、機械からツールホルダを取り外し、様々な半製品に次の特定の機械加工作業に適した代替品を取り付けるという繰返しの介入を行わなければならない。これらは、場合によっては作業時間中に何回も繰り返される手動移動であり、ツールホルダ本体が場合によっては10キログラム超過の相当な重量である場合、これらの部品に潤滑剤、冷却剤、およびグリース状物質が付着していることにも起因して、オペレータがこれらを把持することは困難である。その結果、ツールホルダは、その表面が滑らかでありグリップを有さないことにより、オペレータの把持から滑り落ち得る。そのような物体の落下は、オペレータに重度の怪我をさせることがあり、また物体自体を損傷させることがあり、床に冷却剤が漏洩しがちである。以上の全てにより、起こり得るオペレータの怪我にかかわらず、長期かつ高費用の清掃活動を要する状況が招かれる。
【0004】
これらの欠点を克服するために、オペレータによる把持を容易にするグリップを形成するために、いくつかの種類のツールホルダの少なくとも2つの対向面に凹部または成形ニッチが作られているが、この解決策は、上記ニッチが作られたツールホルダの壁の深さが、本体の部品を固定するためのアレンスクリュの存在によって制限されることにより、決定的であるとは示されておらず、これは、上記ニッチの深さにおける十分な伸長を妨げるので、結果として、保護グローブを更に用いて作業するオペレータは、このように作られたグリップによる十分な利益を受けない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述した欠点を克服することである。
【0006】
具体的には、本発明の目的は、CNC単軸または多軸旋盤、移載機、任意の種類のミリングセンタ、および一般に切屑除去による加工を行う工作機械に取り付けることが特に予定された、総合的に安全な状況でオペレータがツールホルダを容易に把持および移動することを可能にするデバイスを備えるツールホルダを提供することである。
【0007】
本発明の更なる必然の目的は、関与するオペレータの安全を保証するのみならず、ツールホルダ自体の劣化および起こり得るツールホルダからの作動液の漏洩に結び付く結果も防ぐ、ツールホルダの不慮の落下を防ぐのに適した、上述したようなデバイスを提供することである。
【0008】
劣らず重要な本発明の更なる目的は、部品の固定用アレンスクリュに干渉しないような位置において本体自体に作られ造成されるのに適した、ツールホルダ本体を安全に把持および移動するためのデバイスを提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、たとえば容易かつ経済的に作られることに加えて、高レベルの経時的耐久性および信頼性を保証するのに適した、ツールホルダを把持および移動するためのデバイスを提供することである。
【0010】
これらの目的および他の目的は、メインクレームに記載の本発明の把持および移動デバイスによって実現される。
【0011】
本発明のデバイスの構造および機能特徴は、好適な実施形態およびいくつかの非限定的な実施形態変形例を示す添付図面が参照される以下の詳細な説明から、より明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る把持デバイスを組み込むツールホルダを軸測図で概略的に示す。
図2】ツールホルダに組み込まれた把持デバイスの構成に関する変形例を概略的に表す。
図3】ツールホルダに組み込まれた把持デバイスの構成に関する変形例を概略的に表す。
図4】ツールホルダに組み込まれた把持デバイスの構成に関する変形例を概略的に表す。
図5】ツールホルダに組み込まれた把持デバイスの構成に関する変形例を概略的に表す。
図6】ツールホルダに組み込まれた把持デバイスの構成に関する変形例を概略的に表す。
図7】ツールホルダに対する水平摺動運動で使用可能なツールと組み合わせられた、本発明の把持デバイスの第1の代替実施形態を概略的に表す。
図8】ツールホルダに対する水平および垂直摺動運動で使用可能なツールと組み合わせられた、本発明の把持デバイスの第2の代替実施形態を概略的に表す。
図9】把持ハンドルを形成するツールと組み合わせられた、本発明の把持デバイスの第3の代替実施形態を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に図1を参照すると、本発明に係る把持デバイスは、一般に任意のサイズの略正四角柱形状である、ツールホルダの本体10において作られる。上記把持デバイスは、本体10の2つの対向側面の1つの少なくとも一部におけるモールディングまたは他の適当な機械加工によって実現された複数の一定の深さの溝または凹部で構成され、上記凹部は、たとえば、互いに平行に伸長し、同図1において全体的に参照番号12で示される、重ね合わせられ等距離である、水平に伸長する多数の溝のセットをもたらす、四角形、多角形、または他の形状の陥凹部10’を画定する。全体として、凹部と互い違いである溝12は、好適には、一例として0.5~3.0mmの一定量だけ、本体10から突出し、または本体10に差し込まれる。全体として、上記溝は、本体10と同一平面上に伸長すること、または、上述したように、上記平面に少なくとも部分的に凹設されることが想定され得る。溝12の配置は、図1に示すものと異なってもよいことが明白であり、図2において参照番号14で示される、好適には限られた伸長の、上記溝が垂直方向に伸長する1または複数の領域も備えてよく、または図3に示すように斜めパターン14’を有してよい。様々な構成における溝は、本体10の適切な把持を保証し、本体10が、それを移動するオペレータの指の間を摺動し得ることを防ぐ機能を有し、この目的のために、たとえば図4の陥凹部10’に見られるような更なる可能な構成が提供されてよく、ここでは、溝が互いに交差し15、多数の小さくとがった突起部およびあらゆる状況で本体10を把持するのに適した全体表面粗さを形成する。図5に係る本体10の上記陥凹部10’は、有利な点として、交差溝15または他の形態の溝に加えて、交差溝を担持する陥凹部10’を2つの部分に分割するために上記本体に作られた、好適には円形レイアウトを有し、好適には水平方向に位置合わせされた小さな凹部16のグループも備えてよい。本体10の少なくとも1つの面に作られた、本発明に係る把持デバイスの更なる可能な構成が図6に示され、この実施形態は、たとえば、陥凹部10’において、図1の水平溝と同様の水平溝が、必要に応じてオペレータの手の1または複数の指で握るために利用可能な、中央に配置され、均一に水平に伸長する平滑な底面のくぼみ18と交互にあることを想定する。
【0014】
図7および図8は、本体10が片側または両側において他の同一または同様の本体と隣接する位置にある場合に本体10を把持および移動するために特に有用な支持ツールの使用を提供する、本発明の把持デバイスの代替実施形態を参照する。そのような状況において、様々な本体間に存在する空間は限られるので、本体10を工作機械に取り付け、またはそこから取り外すために取り扱う難度は、著しく増加する。図7は、本体10が、2つの対向する形状の支持体20を用いて把持される解決策を示し、支持体20は、逆「U」字形傾向の外形を有し、その両側の垂直アームは異なる伸長を有し、より長い伸長を有する垂直アーム22の外側面には、矢印で示す水平摺動によって本体10の陥凹部10’に存在する溝12と係合するのに適した水平溝22’が設けられる。上記本体10を工作機械に配置した後、図7の解決策に係る支持体20は、上述した動きと逆の摺動移動によって容易に取り外され得る。有利な点として、図7の上記支持体20は、溝12および12’が互いに結合した時に本体10により強固に付着するように、磁性を付与されることが想定され得る。図8は、成形支持体20が本体10に対し垂直かつ水平に摺動し得る解決策を示す。この例において、溝が交互にあり多様化された様々なエリアが、本体10の2つの対向面に作られる。具体的には、本体10の各面は、垂直方向に伸長する2つの側方領域23および25を備え、これに沿って水平および垂直両方の交差溝が作られ、上記領域23、25に対し中央に、それらから離間して、より広範囲の領域27が形成され、これには、水平溝のみが作られる。同時に、成形支持体20は、互いに適当に離間した3つの領域を備え、側方領域は23’および25’と示され、中央領域は27’と示される。側方領域23’および25’に沿って、互いに交差する水平溝および垂直溝の両方が作られるが、中央領域27’は、水平溝のみを備える。本体10は、困難な状況で、すなわち、片側および両側において他の同様の本体と隣接する場合に把持され持ち上げられる必要があるので、成形支持体20は最初、上から垂直方向に、矢印で示された方向に摺動させられることにより、その前部23’と本体10のエリア23とがまず結合し、そのどちらにも水平溝および垂直溝の両方が設けられている。次に水平に摺動を続けると、支持体20は、本体10の中央領域27の水平溝と出会い、初めに上記支持体20の領域25’の溝から、それらと一時的に結合する。更なる水平摺動により、支持体20の領域23’および25’が本体10の領域23および25の溝と結合し、中央領域27’は自動的に水平溝27と連結されるに至り、本体10を持ち上げるためのハンドルを画定する。この動作は、本体10の水平領域23および25と、支持体20の対応する領域23’および25’との両方が、水平および垂直両方の交差溝を備えるという事実によってもたらされ、これにより、上記支持体20は、本体10を初めに上の方から把持してこれを上げ下げするために、2つの方向で移動されることが可能である。
【0015】
図9は、相当な重量の本体10を取り扱い移動する場合に特に有用である、本発明に係る把持デバイスの代替実施形態を示す。この実施形態によると、陥凹部10’の水平溝12は、ブリッジ要素24と組み合わせられ、ブリッジ要素24において、2つの対向垂直分岐部26は、内側面に、上記陥凹部の溝と相補的な水平溝30が部分的に設けられる。ブリッジ要素24は、逆「U」字形支持体を画定し、対向垂直分岐部26を連結する上側水平分岐部28は、本体10を移動するためのハンドルの役割を果たす。上記垂直分岐部26が広がって開き、ブリッジ要素24から本体10が外れることを防ぐために、有利な点として、上記分岐部の各々は、溝30より上に作られた、シャンクよりも大きな径を有する頭部が設けられた爪32を備え、爪32は、本体10において溝12を担持する対向陥凹部10’より上に形成されたダブテール型の成形台座34に嵌合するように設計される。差込みは、図9において矢印で示す方向に手動で摺動することによって行われる。このようにすると、ブリッジ要素24は安定を保ち、垂直分岐部26が本体10から離れることはないので、本体10は安全に取り扱われ、動かされ得る。必要な動作の最後に、上記要素24は、上記矢印と逆の方向への引き抜き移動により、本体10から容易に取り外される。
【0016】
上記から分かるように、本発明が実現する利点は明らかである。
【0017】
必要に応じて互いに組み合わせられ得る提案された実施形態の全てにおいて、本発明に係るデバイスは、オペレータがツールホルダの本体10を容易かつ安全に把持および移動することを可能にし、上述した妥当な結果として、それらが地面に落下し得る危険を回避する。
【0018】
本発明は、単に非限定的な例として記載される好適な実施形態の1つを具体的に参照して上述されるが、上記説明の観点から、当業者には数々の変更例および変形例が明らかである。したがって本発明は、以下の特許請求の範囲の領域および範囲に収まる変更例および変形例の全てを包括することを明示するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】