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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111028
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】上下肢切断端模型及び人体模型
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/30 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
G09B23/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122835
(22)【出願日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2021002581
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年2月2日に、https://youtu.be/UKriCtqpjJk、にて公開 令和3年2月11日に、https://youtu.be/OjjzC1gCDAE、にて公開 令和3年3月29日に、https://scontent-itm1-1.xx.fbcdn.net/v/t1.6435-9/166908715_1178841912570062_1349264834555654391_n.jpg?_nc_cat=106&ccb=1-5&_nc_sid=730e14&_nc_ohc=OYFoD6jLtwQAX-BjUdO&_nc_ht=scontent-itm1-1.xx&oh=869aa7942c85000f6f43eaf96d5a5a8d&oe=6146955C、にて公開 令和3年3月29日に、https://scontent-itm1-1.xx.fbcdn.net/v/t1.6435-9/166908715_1178841912570062_1349264834555654391_n.jpg?_nc_cat=106&ccb=1-5&_nc_sid=730e14&_nc_ohc=OYFoD6jLtwQAX-BjUdO&_nc_ht=scontent-itm1-1.xx&oh=869aa7942c85000f6f43eaf96d5a5a8d&oe=6146955C、にて公開 令和3年4月6日に、https://scontent-itm1-1.xx.fbcdn.net/v/t1.6435-9/168648876_1183769745410612_3402146207609962823_n.jpg?_nc_cat=103&ccb=1-5&_nc_sid=8bfeb9&_nc_ohc=zK5YkcI6jpgAX-70bnx&_nc_ht=scontent-itm1-1.xx&oh=cc239d062e12080fd13f7d52a21190fa&oe=6147615B、にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年5月15日に、https://scontent-itm1-1.xx.fbcdn.net/v/t1.6435-9/187150381_1208150589639194_900403590569016591_n.jpg?_nc_cat=108&ccb=1-5&_nc_sid=8bfeb9&_nc_ohc=E7s4sf636dIAX9rEoBI&_nc_ht=scontent-itm1-1.xx&oh=4dec47bfec06722115a917f559c91830&oe=614625B4、にて公開 令和3年5月15日に、https://scontent-itm1-1.xx.fbcdn.net/v/t1.6435-9/186534374_1208150679639185_2425524681786731947_n.jpg?_nc_cat=106&ccb=1-5&_nc_sid=8bfeb9&_nc_ohc=6K3pCi3ktWYAX-Zf9j6&_nc_ht=scontent-itm1-1.xx&oh=c23b728621aded29df91012c87193f18&oe=61483699、にて公開 令和3年5月27日に、https://youtu.be/JUSO-uG7qJo、にて公開 令和3年7月5日に、https://youtu.be/U4H0UpT8FKs、にて公開 令和3年7月8日に、https://youtu.be/ekfz9ex9S6Q、にて公開 令和3年3月31日に、新潟医療福祉大学 医療技術学部 義肢装具自立支援学科、に発送 令和3年3月31日に、人間総合科学大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 義肢装具学専攻、に発送 令和3年3月31日に、西武学園医学技術専門学校 義肢装具学科、に発送 令和3年4月15日に、サルフォード大学、に発送 令和3年6月19日に、株式会社田村義肢製作所、に発送 令和3年7月21日に、SOPHIES-MINDE-ORTOPEDI-AS、に発送 令和3年7月23日に、Mobility India、に発送
(71)【出願人】
【識別番号】518322780
【氏名又は名称】ゲイトアシスト合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125195
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 雄一
(72)【発明者】
【氏名】富永 修一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 文紀
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA01
2C032CA04
2C032CA06
(57)【要約】
【課題】 上肢又は下肢切断による切断後の上肢又は下肢の末端部等を模した良好な模型を提供する。
【解決手段】 本発明の一実施形態に係る上下肢切断端模型10は、本体部12と、当該本体部12の上側(上半身側)に設けられた支持部14とを備える。本体部12は、大腿切断後の下肢の末端部を模した模型本体に対応する部材であり、軟部組織を模した軟部組織素材から成る。また、本体部12は、その内部に骨格部18を収容する。義肢装具士は、こうした上下肢切断端模型10を用いて、現実の大腿切断の断端に対する採型及び採寸に近い環境での練習を行うことができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上肢又は下肢切断による切断後の上肢又は下肢の末端部を模した上下肢切断端模型であって、
軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部と、
前記本体部の切断部分側の反対側に設けられる支持部と、
骨格を模した骨格部であって前記本体部の内部に収容されると共に前記支持部に固定される前記骨格部と、を備える、
上下肢切断端模型。
【請求項2】
前記支持部は、前記本体部側の反対側に突出する突出部を有する、
請求項1の上下肢切断端模型。
【請求項3】
前記支持部は、前記本体部の切断部分側の反対側の端部に設けられるベース部材と、前記ベース部材が有する穴部に挿入される棒状部材であってその少なくとも一部によって前記突出部を形成する前記棒状部材と、を有する、
請求項2の上下肢切断端模型。
【請求項4】
前記ベース部材は、格子状に形成されており、隙間部分に前記軟部組織素材が充填されている、
請求項3の上下肢切断端模型。
【請求項5】
前記ベース部材は、略水平方向に延びると共に前記穴部が形成された第1部材と、前記第1部材の端部において略下方向に延びる第2部材と、を有し、
前記第2部材は、略U字状に湾曲させた板状部材の両端を嵌めるための一対の溝部であって略上下方向に延びる前記一対の溝部が外面に形成されている、
請求項3又は4の上下肢切断端模型。
【請求項6】
前記穴部は、貫通孔として形成されており、
前記棒状部材は、前記穴部を貫通して前記骨格部に固定される、
請求項3ないし5何れかの上下肢切断端模型。
【請求項7】
前記穴部は、貫通孔として形成されており、
前記骨格部は、筒状の骨状部材を有し、
前記棒状部材は、前記穴部を貫通すると共に前記骨状部材に挿入されて固定される、
請求項3又は4の上下肢切断端模型。
【請求項8】
前記穴部は、前記ベース部材の略中央に設けられており、
前記骨格部は、前記ベース部材の前記穴部とは異なる部分に固定される、
請求項3又は4の上下肢切断端模型。
【請求項9】
前記骨格部は、可動結合された2以上の骨状部材を有する、
請求項1ないし8何れかの上下肢切断端模型。
【請求項10】
上肢又は下肢の少なくとも一部を含む人体を模した人体模型であって、
軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部と、
前記本体部の先端側の反対側に設けられる支持部と、
骨格を模した骨格部であって前記本体部の内部に収容されると共に前記支持部に固定される前記骨格部と、を備える、
人体模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上肢又は下肢切断による切断後の上肢又は下肢の末端部を模した上下肢切断端模型、及び、上肢又は下肢の少なくとも一部を含む人体を模した人体模型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関及び教育機関等における技術練習のための模型及びシミュレーター等が提供されている。例えば、下記特許文献1には、人体の皮膚の縫合を含む手技を効率的に習得することが可能な外科手技モデルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-136384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、義肢装具を製作する際の採型及び採寸等の練習に適した上下肢切断端模型(模擬断端)は十分に提供されておらず、こうした練習は、簡易な部材(例えば、クッションのような部材等)を用いて行われていた。したがって、義肢装具を製作するための練習に好適な模型が必要とされており、また、こうした模型の技術は、非切断の上下肢の少なくとも一部を含む人体模型に対しても適用できると考えられる。
【0005】
本発明は、上肢又は下肢切断による切断後の上肢又は下肢の末端部を模した良好な模型を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、上肢又は下肢の少なくとも一部を含む人体を模した良好な模型を提供することを目的の一つとする。本発明の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る模型は、上肢又は下肢切断による切断後の上肢又は下肢の末端部を模した上下肢切断端模型であって、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部と、前記本体部の切断部分側の反対側に設けられる支持部と、骨格を模した骨格部であって前記本体部の内部に収容されると共に前記支持部に固定される前記骨格部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部の内部において、骨格を模した骨格部が収容されるから、実際の断端に近い模型が実現される。また、本体部の切断部分側の反対側に支持部を有するから、当該支持部を用いて上下肢切断端模型を固定することができる。こうした上下肢切断端模型は、例えば、義肢装具を製作するための練習に好適である。
【0008】
また、上記上下肢切断端模型において、前記支持部は、前記本体部側の反対側に突出する突出部を有する、ようにしてもよい。こうすれば、例えば、当該突出部を用いて上下肢切断端模型をより好適に固定することができ、義肢装具を製作するための練習により一層適した上下肢切断端模型が実現される。
【0009】
また、上記上下肢切断端模型において、前記支持部は、前記本体部の切断部分側の反対側の端部に設けられるベース部材と、前記ベース部材が有する穴部に挿入される棒状部材であってその少なくとも一部によって前記突出部を形成する前記棒状部材と、を有する、ようにしてもよい。ベース部材が有する穴部は、貫通孔、又は、非貫通孔(有底穴)として形成され得る。また、棒状部材は、中空(筒状)の部材(パイプ等)、又は、中実の部材として形成され得る。こうすれば、ベース部材及び棒状部材によって構成される支持部の当該棒状部材によって上記突出部を形成することができる。
【0010】
また、上記上下肢切断端模型において、ベース部材は、格子状に形成されており、隙間部分に前記軟部組織素材が充填されている、ようにしてもよい。こうすれば、ベース部材の隙間部分に充填される軟部組織素材によって、本体部と支持部(ベース部材)との固定を補強することが可能となる。
【0011】
また、上記上下肢切断端模型において、前記ベース部材は、略水平方向に延びると共に前記穴部が設けられた第1部材と、前記第1部材の端部において略下方向に延びる第2部材と、を有し、前記第2部材は、略U字状に湾曲させた板状部材の両端を嵌めるための一対の溝部であって略上下方向に延びる前記一対の溝部が外面に形成されている、ようにしてもよい。こうした構造を有する模型は、例えば、大腿切断に対応する上下肢切断端模型として用いられ、略U字状に湾曲させた板状部材は、例えば、健足側(非切断側)の腰部に相当する部分として用いられる。こうすれば、例えば、義肢装具を製作するための練習に好適な大腿切断の上下肢切断端模型が実現される。
【0012】
また、上記上下肢切断端模型において、前記穴部は、貫通孔として形成されており、前記棒状部材は、前記穴部を貫通して前記骨格部に固定される、ようにしてもよい。こうすれば、例えば、大腿切断の上下肢切断端模型において、支持部(棒状部材)と骨格部とを良好に固定することが可能となる。
【0013】
また、上記上下肢切断端模型において、前記穴部は、貫通孔として形成されており、前記骨格部は、筒状の骨状部材を有し、前記棒状部材は、前記穴部を貫通すると共に前記骨状部材に挿入されて固定される、ようにしてもよい。こうすれば、支持部の棒状部材が、筒状の骨状部材に挿入されて強く固定されるから、例えば、下腿切断の上下肢切断端模型において、支持部(棒状部材)と骨格部とを良好に固定することが可能となる。
【0014】
また、上記上下肢切断端模型において、前記穴部は、前記ベース部材の略中央に設けられており、前記骨格部は、前記ベース部材の前記穴部とは異なる部分に固定される、ようにしてもよい。こうすれば、骨格部が、ベース部材の略中央から外れた位置で固定されるから、例えば、前腕切断の上下肢切断端模型において、骨格部における上腕骨の部分を現実の位置(皮膚側に偏る位置)に配置することが可能となる。
【0015】
また、上記上下肢切断端模型において、前記骨格部は、可動結合された2以上の骨状部材を有する、ようにしてもよい。こうすれば、例えば、関節部分において可動である骨格部を有する上下肢切断端模型が実現される。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る模型は、上肢又は下肢の少なくとも一部を含む人体を模した人体模型であって、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部と、前記本体部の先端側の反対側に設けられる支持部と、骨格を模した骨格部であって前記本体部の内部に収容されると共に前記支持部に固定される前記骨格部と、を備える。本体部の先端側は、上肢における手先側、及び、下肢における足先側と言うこともでき、遠位、又は、末梢側と言うこともできる。また、先端側の反対側は、体幹側、近位、又は、中枢側と言うこともできる。
【0017】
この構成によれば、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部の内部において、骨格を模した骨格部が収容されるから、実際の人体に近い模型が実現される。また、本体部の先端側の反対側に支持部を有するから、当該支持部を用いて人体模型を固定することができる。こうした人体模型は、例えば、医療機関及び教育機関等における様々な技術練習に好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態は、上肢又は下肢切断による切断後の上肢又は下肢の末端部を模した良好な模型、又は、上肢又は下肢の少なくとも一部を含む人体を模した良好な模型を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る上下肢切断端模型10の外観図。
図2】上下肢切断端模型10の構成を説明するための図。
図3】略U字状に湾曲させたプレート部材19の両端が一対の溝部1522に嵌められる様子を説明するための図。
図4】上下肢切断端模型10の構成を説明するための図。
図5】本発明の第2の実施形態に係る上下肢切断端模型20の外観図。
図6】上下肢切断端模型20の構成を説明するための図。
図7】上下肢切断端模型20の構成を説明するための図。
図8図6の長手方向の断面を示す図。
図9】本発明の第3の実施形態に係る上下肢切断端模型30の外観図。
図10】上下肢切断端模型30の構成を説明するための図。
図11】上下肢切断端模型30の構成を説明するための図。
図12図10の長手方向の断面を示す図。
図13】本発明の第4の実施形態に係る上下肢切断端模型40の外観図。
図14】上下肢切断端模型40の構成を説明するための図。
図15】上下肢切断端模型40の構成を説明するための図。
図16】本発明の第5の実施形態に係る人体模型50の構成を説明するための図。
図17】本発明の第6の実施形態に係る人体模型60の構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。各図面において、同一の又は類似する構成要素に対しては同一の参照符号が付され得る。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る上下肢切断端模型10の外観図である。上下肢切断端模型10は、大腿切断後の下肢の末端部を模した模型である。上下肢切断端模型10は、図示するように、本体部12と、当該本体部12の上側(上半身側)に設けられた支持部14とを備える。本体部12の上側は、切断部分側(下側)の反対側と言うこともできる。
【0022】
本体部12は、模型本体に対応する部材であり、軟部組織を模した軟部組織素材から成る。軟部組織素材としては、柔軟性を有する様々な材料を適用することができ、本実施形態においては、ゲル状のウレタン樹脂(例えば、ウレタンスポンジゲル等)が適用されている。
【0023】
図2は、上下肢切断端模型10の構成を説明するための図であって、当該模型10の製造工程において、本体部12を形成する前の状態が示されている。この状態では、図示するように、本体部12を形成するための型13が、支持部14に取り付けられている。型13は、その上面側(上半身側)及び健足側に開口する略L字型の開口部131を有する袋状の部材であり、合成樹脂等(例えば、発砲スチロール等)によって形成される。図2において、型13は、半透明で図示されている。
【0024】
支持部14は、図2に示すように、型13の開口部131を覆うベース部材15と、パイプ部材16とを有する。ベース部材15は、例えば、合成樹脂によって形成される。ベース部材15は、型13の開口部131の上面側を覆うように略水平方向に延びる第1部材151と、当該開口部131の側面側(健足側)を覆うように略上下方向に延びる第2部材152とを有する。ベース部材15は、略L字型の形状を有し、型13の開口部131の付近において、当該型13と(例えば、接着剤によって)接合されている。
【0025】
第1部材151は、略半楕円筒の形状を有し、楕円筒の高さ方向の断面が健足側となるように配置されている。また、第1部材151の内側には、壁部1512が設けられており、当該壁部1512は、上下方向(楕円筒の軸方向)に貫通する貫通孔としての穴部1514と、当該穴部1514の周囲において同じく上下方向に貫通する4つの隙間部1516とを形成する。このように、第1部材151は、4つの隙間部1516を含む格子状に形成されている。穴部1514は、略円柱の形状を有しており、第1部材151の身体の前後方向の略中央であって、身体の左右方向の略中央から健足側に若干シフトした位置に形成されている。
【0026】
第2部材152は、第1部材151の健足側端部から下方向に延びる略半楕円柱の形状を有し、身体の臀部に相当する位置において膨らみが形成されている。また、第2部材152の外面の前側端部付近、及び、後側端部付近において、上端部から略下方向に直線状に延びる一対の溝部1522が設けられている。当該一対の溝部1522は、図3に示すように、略U字状に湾曲させたプレート部材19(略長方形の形状を有する。)の両端を嵌めるために形成されている。このように取り付けられたプレート部材19は、健足側の腰部に相当する部分として用いられる。プレート部材19は、例えば、合成樹脂によって形成される。
【0027】
パイプ部材16は、例えば、合成樹脂によって形成される。パイプ部材16は、ベース部材15の第1部材151が有する穴部1514を貫通するように配置されている。パイプ部材16は、穴部1514の部分において、第1部材151に接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。パイプ部材16は、略半楕円筒の形状を有する第1部材151の底面に略直交し、本体部12側の反対側に突出して延びる。
【0028】
また、支持部14には、現実の骨格を模した骨格部18が固定されており、当該骨格部18は、型13の内部に配置されている。図4は、上下肢切断端模型10の構成を説明するための図であって、支持部14及び当該支持部14に固定された骨格部18を示す。骨格部18は、図示するように、骨を模した複数の骨状部材182と、2つの骨状部材182を可動接合する可動接合部材184と、骨状部材182に接合されると共に筋肉を模した筋肉部材186とを有する。骨状部材182は、例えば、大腿骨に対応する部材182A、及び、骨盤に対応する部材182Bを含む。複数の骨状部材182の少なくとも一部は、可動接合部材184の部分において関節部分と同様に動く。これらの骨状部材182、可動接合部材184、及び、筋肉部材186は、例えば、合成樹脂等によって形成され、例えば、3Dプリンタを用いて形成される。
【0029】
また、図4に示すように、支持部14のパイプ部材16は、その下端部が、骨盤に対応する骨状部材182Bに設けられた接合部1821において接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。
【0030】
ここで、本体部12は、型13に注入されたゲル状のウレタン樹脂の原液(例えば、主剤及び硬化剤から成る。)の硬化後、型13を除去することによって形成される。ウレタン樹脂の原液は、ベース部材15の第1部材151が有する隙間部1516から型13の内部へと注入される。本体部12は、その内部に骨格部18を収容することになる。
【0031】
また、本体部12を構成する軟部組織素材として適用されるゲル状のウレタン樹脂は、粘着性を有しており、この結果、本体部12は、支持部14(ベース部材15、及び、パイプ部材16の下側)及び骨格部18に固着する。特に、ベース部材15の第1部材151が有する隙間部1516が、粘着性を有する軟部組織素材によって充填されることにより(図1を参照)、本体部12と支持部14との間の固定が補強される。なお、本体部12と、支持部14及び骨格部18とを、接着剤等によって接合してもよい。また、本体部12の表面においては、粘着性を低減させるための表面処理(例えば、コーティング剤の塗布等)が施されている。
【0032】
こうした上下肢切断端模型10は、義肢装具士による採型及び採寸の練習の際には、パイプ部材16を用いて固定される。そして、上下肢切断端模型10は、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部12の内部において、骨格を模した骨格部18が収容されているから、義肢装具士は、こうした上下肢切断端模型10を用いて、現実の大腿切断の断端に対する採型及び採寸に近い環境での練習を行うことができる。
【0033】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る上下肢切断端模型20の外観図である。上下肢切断端模型20は、下腿切断後の下肢の末端部を模した模型である。上下肢切断端模型20は、図示するように、本体部22と、当該本体部22の上側(大腿部側)に設けられた支持部24とを備える。本体部22の上側は、切断部分側(下側)の反対側と言うこともできる。
【0034】
本体部22は、模型本体に対応する部材であり、軟部組織を模した軟部組織素材から成る。軟部組織素材としては、柔軟性を有する様々な材料を適用することができ、本実施形態においては、ゲル状のウレタン樹脂(例えば、ウレタンスポンジゲル等)が適用されている。
【0035】
図6及び図7は、上下肢切断端模型20の構成を説明するための図であって、当該模型20の製造工程において、本体部22を形成する前の状態が示されている。この状態では、図示するように、本体部22を形成するための型23が、支持部24に取り付けられている。型23は、その上面側(大腿部側)に開口する略円形の開口部231を有する袋状の部材であり、合成樹脂等(例えば、発砲スチロール等)によって形成される。図6及び図7において、型23は、半透明で図示されている。
【0036】
支持部24は、図6及び図7に示すように、型23の開口部231を覆うベース部材25と、パイプ部材26とを有する。ベース部材25は、例えば、合成樹脂によって形成される。ベース部材25は、図7に示すように、略円筒の形状を有し、型23の開口部231の付近において、当該型23に(例えば、接着剤によって)接合されている。また、ベース部材25の内側には、壁部252が設けられており、当該壁部252は、上下方向(円筒の軸方向)に貫通する貫通孔としての穴部254と、当該穴部254の周囲において同じく上下方向に貫通する4つの隙間部256とを形成する。穴部254は、略円柱の形状を有しており、ベース部材25の平面方向の略中央に位置する。このように、ベース部材25は、4つの隙間部256を含む格子状に形成されている。
【0037】
パイプ部材26は、例えば、合成樹脂によって形成される。パイプ部材26は、ベース部材25が有する穴部254を貫通している。パイプ部材26は、穴部254の部分において、ベース部材25に接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。パイプ部材26は、略円筒の形状を有するベース部材25の底面に略直交し、本体部22側の反対側に突出して延びる。
【0038】
また、図6に示すように、支持部24には、現実の骨格を模した骨格部28が固定されており、当該骨格部28は、型23の内部に配置されている。骨格部28は、骨を模した複数の骨状部材282と、2つの骨状部材282を可動接合する可動接合部材284と、骨状部材282に接合されると共に筋肉を模した筋肉部材286とを有する。骨状部材282は、例えば、大腿骨に対応する部材282A、膝蓋骨に対応する部材282B、及び、脛骨に対応する部材282Cを含む。複数の骨状部材282の少なくとも一部は、可動接合部材284の部分において関節部分と同様に動く。これらの骨状部材282、可動接合部材284、及び、筋肉部材286は、例えば、合成樹脂等によって形成され、例えば、3Dプリンタを用いて形成される。
【0039】
また、パイプ部材26は、大腿骨に対応する骨状部材282Aに接合されている。図8は、図6の長手方向の断面を示す。骨状部材282Aは、具体的には、図8に示すように、長手方向に貫通する貫通孔としての穴部2821が形成されており、パイプ部材26は、当該穴部2821に挿入されて接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。パイプ部材26は、その下端部が、穴部2821の下端部の若干上側にシフトした位置となるように固定される。
【0040】
ここで、本体部22は、型23に注入されたゲル状のウレタン樹脂の原液(例えば、主剤及び硬化剤から成る。)の硬化後、型23を除去することによって形成される。ウレタン樹脂の原液は、ベース部材25が有する隙間部256から型23の内部へと注入される。本体部22は、その内部に骨格部28を収容することになる。
【0041】
また、本体部22を構成する軟部組織素材として適用されるゲル状のウレタン樹脂は、粘着性を有しており、この結果、本体部22は、支持部24(ベース部材25)及び骨格部28に固着する。特に、ベース部材25が有する隙間部256が、粘着性を有する軟部組織素材によって充填されることにより、本体部22と支持部24との間の固定が補強される。なお、本体部22と、支持部24及び骨格部28とを、接着剤等によって接合してもよい。また、本体部22の表面においては、粘着性を低減させるための表面処理(例えば、コーティング剤の塗布等)が施されている。
【0042】
こうした上下肢切断端模型20は、義肢装具士による採型及び採寸の練習の際には、パイプ部材26を用いて固定される。そして、上下肢切断端模型20は、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部22の内部において、骨格を模した骨格部28が収容されているから、義肢装具士は、こうした上下肢切断端模型20を用いて、現実の下腿切断の断端に対する採型及び採寸に近い環境での練習を行うことができる。
【0043】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る上下肢切断端模型30の外観図である。上下肢切断端模型30は、前腕切断後の上肢の末端部を模した模型である。上下肢切断端模型30は、図示するように、本体部32と、当該本体部32の上側(上腕側)に設けられた支持部34とを備える。本体部32の上側は、断端模型の切断部分側(下側)の反対側と言うこともできる。
【0044】
本体部32は、模型本体に対応する部材であり、軟部組織を模した軟部組織素材から成る。軟部組織素材としては、柔軟性を有する様々な材料を適用することができ、本実施形態においては、ゲル状のウレタン樹脂(例えば、ウレタンスポンジゲル等)が適用されている。
【0045】
図10及び図11は、上下肢切断端模型30の構成を説明するための図であって、当該模型30の製造工程において、本体部32を形成する前の状態が示されている。この状態では、図示するように、本体部32を形成するための型33が、支持部34に取り付けられている。型33は、その上面側(上腕側)に開口する略円形の開口部331を有する袋状の部材であり、合成樹脂等(例えば、発砲スチロール等)によって形成される。図10及び図11において、型33は、半透明で図示されている。
【0046】
支持部34は、図10及び図11に示すように、型33の開口部331を覆うベース部材35と、パイプ部材36とを有する。ベース部材35は、例えば、合成樹脂によって形成される。ベース部材35は、略円筒の形状を有し、型33の開口部331の付近において、当該型33に(例えば、接着剤によって)接合されている。また、図11に示すように、ベース部材35の内側には、壁部352が設けられており、当該壁部352は、上下方向(円筒の軸方向)に貫通する貫通孔としての第1穴部354と、当該第1穴部354の周囲において同じく上下方向に貫通する4つの隙間部356とを形成する。第1穴部354は、略円柱の形状を有しており、ベース部材35の平面方向の略中央に位置する。このように、ベース部材35は、4つの隙間部356を含む格子状に形成されている。
【0047】
パイプ部材36は、例えば、合成樹脂によって形成される。パイプ部材36は、ベース部材35が有する第1穴部354に挿入されて、当該第1穴部354の部分において、ベース部材35に接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。パイプ部材36は、その下端部が、第1穴部354の下端部の位置となるように固定される。パイプ部材36は、略円筒の形状を有するベース部材35の底面に略直交し、本体部32側の反対側に突出して延びる。
【0048】
また、支持部34には、現実の骨格を模した骨格部38が固定されており、当該骨格部38は、型33の内部に配置されている。骨格部38は、骨を模した複数の骨状部材382と、2つの骨状部材382を可動接合する可動接合部材384とを有する。骨状部材382は、例えば、上腕骨に対応する部材382A、尺骨に対応する部材382B、及び、橈骨に対応する部材382Cを含む。複数の骨状部材382の少なくとも一部は、可動接合部材384の部分において関節部分と同様に動く。これらの骨状部材382、及び、可動接合部材384は、例えば、合成樹脂等によって形成され、例えば、3Dプリンタを用いて形成される。
【0049】
また、ベース部材35は、上腕骨に対応する骨状部材382Aに接合されている。図12は、図10の長手方向の断面を示す。具体的には、図12に示すように、ベース部材35の下面側(本体部32(型33)側)には、第1穴部354に隣接して、下面側に開口する第2穴部358が形成されており、上腕骨に対応する骨状部材382Aは、当該第2穴部358に挿入されて接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。この結果、上腕骨に対応する骨状部材382Aは一方の皮膚側に近づくから、他方の反対の皮膚側付近における部分(例えば、図12の部分P)の本体部32の柔軟性が大きくなる(柔らかくなる。)。
【0050】
また、上腕骨に対応する骨状部材382Aには、長手方向に貫通する貫通孔3821が形成されている。当該貫通孔3821は、ベース部材35の第2穴部358に形成されている貫通孔3581と直線状に並ぶ。また、貫通孔3821は、上腕骨に対応する骨状部材382Aの前腕側端部に位置する可動接合部材384に形成されている3つの穴部3841の何れかと、当該可動接合部材384の回転角度に応じて直線状に並ぶ。そして、かんぬき機構としての棒を、ベース部材35の上面側から貫通孔3581及び貫通孔3821に貫通させた上で、可動接合部材384の3つの穴部3841の何れかに挿入することによって、当該可動接合部材384の回転角度を固定することができる。こうしたかんぬき機構は、上下肢切断端模型30において、前腕の固定角度の調節を実現する。
【0051】
ここで、本体部32は、型33に注入されたゲル状のウレタン樹脂の原液(例えば、主剤及び硬化剤から成る。)の硬化後、型33を除去することによって形成される。ウレタン樹脂の原液は、ベース部材35が有する隙間部356から型33の内部へと注入される。本体部32は、その内部に骨格部38を収容することになる。
【0052】
また、本体部32を構成する軟部組織素材として適用されるゲル状のウレタン樹脂は、粘着性を有しており、この結果、本体部32は、支持部34(ベース部材35)及び骨格部38に固着する。特に、ベース部材35が有する隙間部356が、粘着性を有する軟部組織素材によって充填されることにより、本体部32と支持部34との間の固定が補強される。なお、本体部32と、支持部34及び骨格部38とを、接着剤等によって接合してもよい。また、本体部32の表面においては、粘着性を低減させるための表面処理(例えば、コーティング剤の塗布等)が施されている。
【0053】
こうした上下肢切断端模型30は、義肢装具士による採型及び採寸の練習の際には、パイプ部材36を用いて固定される。そして、上下肢切断端模型30は、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部32の内部において、骨格を模した骨格部38が収容されているから、義肢装具士は、こうした上下肢切断端模型30を用いて、現実の前腕切断の断端に対する採型及び採寸に近い環境での練習を行うことができる。
【0054】
図13は、本発明の第4の実施形態に係る上下肢切断端模型40の外観図である。上下肢切断端模型40は、上腕切断後の上肢の末端部を模した模型であって、上肢に加えて、胸郭の一部(右半身)を含む。上下肢切断端模型40は、図示するように、本体部42と、当該本体部42の体幹側に設けられた支持部44とを備える。本体部42の体幹側は、切断部分側の反対側と言うこともできる。
【0055】
本体部42は、模型本体に対応する部材であり、軟部組織を模した軟部組織素材から成る。軟部組織素材としては、柔軟性を有する様々な材料を適用することができ、本実施形態においては、ゲル状のウレタン樹脂(例えば、ウレタンスポンジゲル等)が適用されている。
【0056】
図14及び図15は、上下肢切断端模型40の構成を説明するための図であって、当該模型40の製造工程において、本体部42を形成する前の状態が示されている。この状態では、図示するように、本体部42を形成するための型43が、支持部44に取り付けられている。型43は、その体幹側に開口する開口部431を有する袋状の部材であり、合成樹脂等(例えば、発砲スチロール等)によって形成される。図14及び図15において、型43は、半透明で図示されている。
【0057】
支持部44は、図15に示すように、型43の開口部431の脊柱側及び腰側を覆うベース部材45と、ベース部材45に取り付けられたアングル部材46とを有する。型43の開口部431は、その首側において隙間部4311を有する。ベース部材45は、型43の開口部431の脊柱側及び腰側の付近において、当該型43と(例えば、接着剤によって)接合されている。
【0058】
ベース部材45は、例えば、合成樹脂によって形成される。ベース部材45は、壁側胸膜に対応する膜状の形状を有しており、上肢側に湾曲している。ベース部材45は、その内側(肺側)の面において上下方向にレール状に延びる第1部材451と、第1部材451に沿って上下方向に移動可能に当該第1部材451に取り付けられる箱状の第2部材453とを備える。
【0059】
第1部材451は、逆台形の断面を有しており、第2部材453は、当該逆台形の断面を有する第1部材451が嵌め込まれる溝が形成されており、この結果、第2部材453は、第1部材451に沿って上下方向に移動可能となっている。そして、第1部材451及び第2部材453には、上下方向に所定間隔で複数の貫通孔が設けられており、これらの貫通孔を用いたかんぬき機構によって、第1部材451に対する第2部材453の相対的な位置が固定される。
【0060】
アングル部材46は、断面L字型の棒状の形状を有し、例えば、アルミニウム合金によって形成される。アングル部材46は、その端部がベース部材45の第2部材453に接合されており、第1部材451及び身体の矢状面に対して略直交し、本体部42側の反対側に突出して延びる。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。アングル部材46及び第2部材453は、第1部材451に対して着脱可能に取り付けられる。
【0061】
また、支持部44には、現実の骨格を模した骨格部48が固定されており、当該骨格部48は、型43の内部に配置されている。具体的には、骨格部48は、上腕骨、肩甲骨、鎖骨、肋骨、及び胸骨にそれぞれ対応する複数の骨状部材を有しており、肋骨に対応する骨状部材が、ベース部材45の第1部材451に接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。骨格部48は、例えば、合成樹脂等によって形成され、例えば、3Dプリンタを用いて形成される。
【0062】
ここで、本体部42は、型43に注入されたゲル状のウレタン樹脂の原液(例えば、主剤及び硬化剤から成る。)の硬化後、型43を除去することによって形成される。ウレタン樹脂の原液は、型43の開口部431が有する隙間部4311から型43の内部へと注入される。本体部42は、その内部に骨格部48を収容することになる。
【0063】
また、本体部42を構成する軟部組織素材として適用されるゲル状のウレタン樹脂は、粘着性を有しており、この結果、本体部42は、支持部44(ベース部材45)及び骨格部48に固着する。特に、骨格部48の骨状部材の隙間(例えば、肋骨に対応する骨状部材の隙間)が、粘着性を有する軟部組織素材によって充填されることにより、本体部42と骨格部48との間の固定が補強される。なお、本体部42と、支持部44及び骨格部48とを、接着剤等によって接合してもよい。また、本体部42の表面においては、粘着性を低減させるための表面処理(例えば、コーティング剤の塗布等)が施されている。
【0064】
こうした上下肢切断端模型40は、義肢装具士による採型及び採寸の練習の際には、アングル部材46を用いて固定される。そして、上下肢切断端模型40は、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部42の内部において、骨格を模した骨格部48が収容されているから、義肢装具士は、こうした上下肢切断端模型40を用いて、現実の上腕切断の断端に対する採型及び採寸に近い環境での練習を行うことができる。
【0065】
図16は、本発明の第5の実施形態に係る人体模型50の構成を説明するための図である。人体模型50は、上肢のうち、手及び前腕の部分を模した模型である。人体模型50は、図示するように、本体部52と、当該本体部52の前腕側端部に設けられた支持部54とを備える。本体部52の前腕側は、人体模型の先端側(手先側)の反対側と言うこともできる。本体部52は、模型本体に対応する部材であり、軟部組織を模した軟部組織素材から成る。軟部組織素材としては、柔軟性を有する様々な材料を適用することができ、本実施形態においては、ゲル状のウレタン樹脂(例えば、ウレタンスポンジゲル等)が適用されている。図16において、本体部52は、半透明で図示されている。
【0066】
支持部54は、ベース部材55と、パイプ部材56とを有する。ベース部材55は、例えば、合成樹脂によって形成される。ベース部材55は、略円筒の形状を有し、本体部52の前腕側端部を覆う。
【0067】
パイプ部材56は、例えば、合成樹脂によって形成される。パイプ部材56は、ベース部材55の略中心に設けられた穴部に挿入されて、当該穴部の部分において、ベース部材55に接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。パイプ部材56は、略円筒の形状を有するベース部材55の底面に対して略直交し、本体部52側の反対側に突出して延びる。
【0068】
また、支持部54には、現実の骨格を模した骨格部58が固定されている。具体的には、骨格部58が有する尺骨及び橈骨に対応する骨状部材の上腕側端部が、ベース部材55に接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。骨格部58は、例えば、合成樹脂等によって形成され、例えば、3Dプリンタを用いて形成される。
【0069】
本体部52は、上述した第1~第4の実施形態における本体部12~42と同様に、本体部52の形状に対応する型に注入されたゲル状のウレタン樹脂の原液(例えば、主剤及び硬化剤から成る。)の硬化後、当該型を除去することによって形成される。本体部52は、その内部に骨格部58を収容することになる。
【0070】
また、本体部52を構成する軟部組織素材として適用されるゲル状のウレタン樹脂は、粘着性を有しており、この結果、本体部52は、支持部54(ベース部材55)及び骨格部58に固着する。特に、ベース部材55が有する隙間部が、粘着性を有する軟部組織素材によって充填されることにより、本体部52と支持部54との間の固定が補強される。なお、本体部52と、支持部54及び骨格部58とを、接着剤等によって接合してもよい。また、本体部52の表面においては、粘着性を低減させるための表面処理(例えば、コーティング剤の塗布等)が施されている。
【0071】
こうした人体模型50は、使用の際には、パイプ部材56を用いて固定される。そして、人体模型50は、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部52の内部において、骨格を模した骨格部58が収容されているから、使用者は、こうした人体模型50を用いて、現実に近い環境での練習を行うことができる。
【0072】
上述した人体模型50は、上肢のうち、手及び前腕の部分を模した模型として構成されているが、本発明の他の実施形態において、人体模型50は、上肢のうちの他の部分を模した模型として構成され得る。例えば、人体模型50は、手、前腕、及び、上腕を模した模型としたり、前腕及び上腕を模した模型(肘関節の模型)としたり、手のみを模した模型等とすることもできる。
【0073】
図17は、本発明の第6の実施形態に係る人体模型60の構成を説明するための図である。人体模型60は、下肢のうち、足及び下腿の部分を模した模型である。人体模型60は、図示するように、本体部62と、当該本体部62の下腿側端部に設けられた支持部64とを備える。本体部62の下腿側は、人体模型の先端側(足先側)の反対側と言うこともできる。本体部62は、模型本体に対応する部材であり、軟部組織を模した軟部組織素材から成る。軟部組織素材としては、柔軟性を有する様々な材料を適用することができ、本実施形態においては、ゲル状のウレタン樹脂(例えば、ウレタンスポンジゲル等)が適用されている。図17において、本体部62は、半透明で図示されている。
【0074】
支持部64は、ベース部材65と、パイプ部材66とを有する。ベース部材65は、例えば、合成樹脂によって形成される。ベース部材65は、略円筒の形状を有し、本体部62の下腿側端部を覆う。
【0075】
パイプ部材66は、例えば、合成樹脂によって形成される。パイプ部材66は、ベース部材65の略中心に設けられた穴部に挿入されて、当該穴部の部分において、ベース部材65に接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。パイプ部材66は、略円筒の形状を有するベース部材65の底面に対して略直交し、本体部62側の反対側に突出して延びる。
【0076】
また、支持部64には、現実の骨格を模した骨格部68が固定されている。具体的には、骨格部68が有する脛骨及び腓骨に対応する骨状部材の大腿側端部が、ベース部材65に接合されている。当該接合は、例えば、接着剤により、又は、機械的に実現される。骨格部58は、例えば、合成樹脂等によって形成され、例えば、3Dプリンタを用いて形成される。
【0077】
本体部62は、上述した第1~第5の実施形態における本体部12~52と同様に、本体部62の形状に対応する型に注入されたゲル状のウレタン樹脂の原液(例えば、主剤及び硬化剤から成る。)の硬化後、当該型を除去することによって形成される。本体部62は、その内部に骨格部68を収容することになる。
【0078】
また、本体部62を構成する軟部組織素材として適用されるゲル状のウレタン樹脂は、粘着性を有しており、この結果、本体部62は、支持部64(ベース部材65)及び骨格部68に固着する。特に、ベース部材65が有する隙間部が、粘着性を有する軟部組織素材によって充填されることにより、本体部62と支持部64との間の固定が補強される。なお、本体部62と、支持部64及び骨格部68とを、接着剤等によって接合してもよい。また、本体部62の表面においては、粘着性を低減させるための表面処理(例えば、コーティング剤の塗布等)が施されている。
【0079】
こうした人体模型60は、使用の際には、パイプ部材66を用いて固定される。そして、人体模型60は、軟部組織を模した軟部組織素材から成る本体部62の内部において、骨格を模した骨格部68が収容されているから、使用者は、こうした人体模型60を用いて、現実に近い環境での練習を行うことができる。
【0080】
上述した人体模型60は、下肢のうち、足及び下腿の部分を模した模型として構成されているが、本発明の他の実施形態において、人体模型60は、下肢のうちの他の部分を模した模型として構成され得る。例えば、人体模型60は、足、下腿、及び、大腿を模した模型としたり、下腿及び大腿を模した模型(膝関節の模型)としたり、足のみを模した模型等とすることもできる。
【0081】
上述した実施形態では、軟部組織素材としてゲル状のウレタン樹脂を適用したが、本発明の実施形態において、軟部組織素材として適用可能な材料はこれに限定されず。様々な材料が適用され得る。
【符号の説明】
【0082】
10、20、30、40 上下肢切断端模型
50、60 人体模型
12、22、32、42、52、62 本体部
13、23、33、43 型
131、231、331、431 開口部
14、24、34、44、54、64 支持部
15、25、35、45、55、65 ベース部材
16、26、36、56、66 パイプ部材(棒状部材)
46 アングル部材(棒状部材)
18、28、38、48、58、68 骨格部
19 プレート部材(板状部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17