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特開2022-111081薄膜における不純物の除去方法及び基板処理装置
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  • 特開-薄膜における不純物の除去方法及び基板処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111081
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】薄膜における不純物の除去方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20220722BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20220722BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220722BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/31 B
C23C16/56
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002325
(22)【出願日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0006670
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509123895
【氏名又は名称】ユ-ジーン テクノロジー カンパニー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ キュジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ギュホ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン サンヒョク
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA14
4K030AA17
4K030DA08
4K030EA01
4K030FA10
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA11
4K030LA15
5F045AA06
5F045AB31
5F045AC07
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045BB14
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB08
5F045EB13
5F045EE14
5F045EE19
5F045EF03
5F045EG01
5F045EG05
5F045EK06
5F045EM10
5F045EN05
5F045HA01
5F058BC03
5F058BC09
5F058BE01
5F058BF04
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BG02
5F058BJ05
(57)【要約】
【課題】薄膜における不純物の除去方法及び基板処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、薄膜における不純物の除去方法及び基板処理装置に関するものであり、前記薄膜における不純物の除去方法は、薄膜が形成された基板を工程チャンバーの内部に用意する過程と、前記工程チャンバーの内部に前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを供給する過程と、前記第1のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を排気する過程と、前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングする過程と、前記第2のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部から前記第2のガスの残留ガスを排気する過程と、を含んでいてもよい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜が形成された基板を工程チャンバーの内部に用意する過程と、
前記工程チャンバーの内部に前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを供給する過程と、
前記第1のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を排気する過程と、
前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングする過程と、
前記第2のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部から前記第2のガスの残留ガスを排気する過程と、
を含む薄膜における不純物の除去方法。
【請求項2】
前記第1のガスを供給する過程は、前記工程チャンバーの内部を0.1~20torrの第1の圧力にして行われ、
前記結合生成物を排気する過程においては、前記第1の圧力よりも低い0.1~20mtorrの第2の圧力に前記工程チャンバーの内部を減圧させる請求項1に記載の薄膜における不純物の除去方法。
【請求項3】
前記不純物は炭素(C)を含み、
前記第1のガスは水素(H)を含む請求項1に記載の薄膜における不純物の除去方法。
【請求項4】
前記薄膜は金属元素を含み、
前記第2のガスは酸素(O)を含む請求項1に記載の薄膜における不純物の除去方法。
【請求項5】
前記第1のガスを供給する過程は第1の時間の間に行われ、
前記結合生成物を排気する過程は、前記第1の時間よりも短い第2の時間の間に行われる請求項1に記載の薄膜における不純物の除去方法。
【請求項6】
前記第1のガスを供給する過程は、100~400℃の温度において行われる請求項1に記載の薄膜における不純物の除去方法。
【請求項7】
前記薄膜をキュアリングする過程は、前記第2のガスの元素が前記薄膜の表面と反応してキュアリング層を形成する過程を含む請求項1に記載の薄膜における不純物の除去方法。
【請求項8】
前記キュアリング層は500Å以下の厚さを有する請求項7に記載の薄膜における不純物の除去方法。
【請求項9】
前記第1のガスを供給する過程と、前記結合生成物を排気する過程と、前記薄膜をキュアリングする過程及び前記第2のガスの残留ガスを排気する過程は、複数回繰り返し行われる請求項1に記載の薄膜における不純物の除去方法。
【請求項10】
薄膜が形成された基板が搬入及び搬出される工程チャンバーと、
前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを前記工程チャンバーの内部に供給する第1のガス供給部と、
前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給する第2のガス供給部と、
前記工程チャンバーの外側に配置されて、前記工程チャンバーの内部に熱エネルギーを届かせるヒーター部と、
前記工程チャンバーの内部の排気を行う排気部と、
前記第1のガスを供給して前記不純物と前記第1のガスとを反応させて結合生成物を生成した後、前記結合生成物を排気し、前記第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングするために前記第1のガス供給部、前記第2のガス供給部及び前記排気部を制御する制御部と、
を備える基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記工程チャンバーの内部を0.1~20torrの第1の圧力にして前記第1のガスを供給し、
前記第1の圧力よりも低い0.1~20mtorrの第2の圧力に前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記結合生成物を排気する請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記制御部は前記ヒーター部をさらに制御し、前記ヒーター部を制御して前記工程チャンバーの内部を100~400℃の温度に調節する請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1のガスの供給、前記結合生成物の排気及び前記第2のガスの供給を複数回繰り返し行う請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記不純物は炭素(C)を含み、
前記第1のガスは水素(H)を含む請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記薄膜は金属元素を含み、
前記第2のガスは酸素(O)を含む請求項10に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜における不純物の除去方法及び基板処理装置に係り、さらに詳しくは、薄膜の不純物を除去する薄膜における不純物の除去方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程において、原子層蒸着(Atomic layer deposition;ALD)方式、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)方式などを用いて、半導体素子として活用される薄膜(thin film)を蒸着している。このとき、薄膜の蒸着のためのソースガス(source gas)として、金属元素とリガンド(又は、結合元素)を含む金属前駆体化合物(metallic precursor compound)が主として用いられている。
【0003】
従来には、金属前駆体化合物を用いて薄膜を蒸着する場合に、金属元素とリガンドとの結合(bonding)が効果的に切られず、リガンドの一部が結合されたままで金属元素(又は、金属元素の酸化物や窒化物)が蒸着されていた。これにより、薄膜内にリガンドが含有されてしまい、その結果、リガンドが不純物として作用することが懸念され、このような不純物により薄膜の比抵抗(又は、誘電率)を高めてしまうという不都合を生じさせていた。
【0004】
最近、半導体素子の高性能化・高集積度化が求められ、しかも、素子の小型化がますます進むことに伴い、半導体素子として活用される薄膜の比抵抗(又は、誘電率)といった特性を向上させる技術が切望され、このために、薄膜から不純物を効果的に除去する技術が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許第1999-0059064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数のガスの供給と減圧及び排気をこの順に行って薄膜に含まれている不純物を効果的に除去する、薄膜における不純物の除去方法及び基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る薄膜における不純物の除去方法は、薄膜が形成された基板を工程チャンバーの内部に用意する過程と、前記工程チャンバーの内部に前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを供給する過程と、前記第1のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を排気する過程と、前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングする過程と、前記第2のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部から前記第2のガスの残留ガスを排気する過程と、を含んでいてもよい。
【0008】
前記第1のガスを供給する過程は、前記工程チャンバーの内部を0.1~20torrの第1の圧力にして行われ、前記結合生成物を排気する過程においては、前記第1の圧力よりも低い0.1~20mtorrの第2の圧力に前記工程チャンバーの内部を減圧させてもよい。
【0009】
前記不純物は炭素(C)を含み、前記第1のガスは水素(H)を含んでいてもよい。
【0010】
前記薄膜は金属元素を含み、前記第2のガスは酸素(O)を含んでいてもよい。
【0011】
前記第1のガスを供給する過程は第1の時間の間に行われ、前記結合生成物を排気する過程は、前記第1の時間よりも短い第2の時間の間に行われてもよい。
【0012】
前記第1のガスを供給する過程は、100~400℃の温度において行われてもよい。
【0013】
前記薄膜をキュアリングする過程は、前記第2のガスの元素が前記薄膜の表面と反応してキュアリング層を形成する過程を含んでいてもよい。
【0014】
前記キュアリング層は500Å以下の厚さを有していてもよい。
【0015】
前記第1のガスを供給する過程と、前記結合生成物を排気する過程と、前記薄膜をキュアリングする過程及び前記第2のガスの残留ガスを排気する過程は、複数回繰り返し行われてもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る基板処理装置は、薄膜が形成された基板が搬入及び搬出される工程チャンバーと、前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを前記工程チャンバーの内部に供給する第1のガス供給部と、前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給する第2のガス供給部と、前記工程チャンバーの外側に配置されて、前記工程チャンバーの内部に熱エネルギーを届かせるヒーター部と、前記工程チャンバーの内部の排気を行う排気部と、前記第1のガスを供給して前記不純物と前記第1のガスとを反応させて結合生成物を生成した後、前記結合生成物を排気し、前記第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングするために前記第1のガス供給部、前記第2のガス供給部及び前記排気部を制御する制御部と、を備えていてもよい。
【0017】
前記制御部は、前記工程チャンバーの内部を0.1~20torrの第1の圧力にして前記第1のガスを供給し、前記第1の圧力よりも低い0.1~20mtorrの第2の圧力に前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記結合生成物を排気してもよい。
【0018】
前記制御部は前記ヒーター部をさらに制御し、前記ヒーター部を制御して前記工程チャンバーの内部を100~400℃の温度に調節してもよい。
【0019】
前記制御部は、前記第1のガスの供給、前記結合生成物の排気及び前記第2のガスの供給を複数回繰り返し行ってもよい。
【0020】
前記不純物は炭素(C)を含み、前記第1のガスは水素(H)を含んでいてもよい。
【0021】
前記薄膜は金属元素を含み、前記第2のガスは酸素(O)を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態に係る薄膜における不純物の除去方法は、薄膜に含まれている不純物と第1のガスとを反応させて結合生成物を生成し、工程チャンバーの内部を速やかに減圧させて不純物と第1のガスとの結合生成物を排気することにより、薄膜から不純物を効果的に除去することができ、これにより、比抵抗などの薄膜の特性を向上させることができる。ここで、0.1~20torrの第1の圧力から0.1~20mtorrの第2の圧力へと速やかに低めて結合生成物を排気することにより、パターン(pattern)によりアスペクト比(aspect ratio)が大きい(又は、深い)トレンチ(trench)を有する薄膜の場合であっても、400℃以下の低い温度においてトレンチの深いところまで薄膜の表面から不純物を効果的に除去することができる。
【0023】
また、薄膜の不純物が抜け出た部分(又は、個所)に空孔(vacancy)などの欠陥(defect)が生じる恐れがあるが、第1のガスとは異なる第2のガスを供給して第2のガスの元素が欠陥を除去することにより、薄膜をキュアリング(curing)することができ、薄膜(又は、半導体素子)の信頼性を向上させることができる。
【0024】
さらに、第1のガスの供給と排気及び第2のガスの供給と排気を複数回繰り返し行って不純物の除去率を最大化させることができ、第2のガスを通して薄膜の表面にキュアリング層を形成する場合には、キュアリング層が薄膜中の不純物以外の他の元素と第1のガスとが反応することを抑制又は防止することもできる。
【0025】
一方、薄膜の表面に形成されたキュアリング層は、工程チャンバーから搬出された基板上の薄膜に異物などが付着したり薄膜が酸化されたりすることを防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る薄膜における不純物の除去方法を示す手順図。
図2】本発明の一実施形態に係る第1のガスと第2のガスの供給及び排気のサイクルを説明するためのグラフ。
図3】本発明の一実施形態に係る各過程における工程チャンバーの内部の圧力の変化を説明するためのグラフ。
図4】本発明の他の実施形態に係る基板処理装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明を説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を付し、図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが部分的に誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜における不純物の除去方法を示す手順図である。
【0029】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る薄膜における不純物の除去方法は、薄膜が形成された基板を工程チャンバーの内部に用意する過程(S100)と、前記工程チャンバーの内部に前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを供給する過程(S200)と、前記第1のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を排気する過程(S300)と、前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングする過程(S400)と、前記第2のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部から前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)と、を含んでいてもよい。
【0030】
まず、薄膜が形成された基板を工程チャンバーの内部に用意する(S100)。薄膜には不純物が含まれていてもよく、前記不純物を除去するために前記薄膜が形成された基板を工程チャンバーの内部に搬入して(又は、取り込んで)もよい。例えば、前記基板は、搬送ロボットなどにより前記工程チャンバーに搬入されてもよい。ここで、前記基板はウェーハ(wafer)であってもよく、前記薄膜は、酸化物、窒化物などの絶縁膜(又は、誘電膜)又は金属膜であってもよい。例えば、前記薄膜は、金属前駆体化合物(metallic precursor compound)を用いて蒸着されてもよく、金属が酸化又は窒化されて金属酸化物膜又は金属窒化物膜を形成したり、前記金属それ自体が蒸着されて金属膜を形成したりしてもよい。
【0031】
一方、前記薄膜は、パターン(pattern)を有していてもよい。例えば、半導体素子が高集積化することに伴い、前記薄膜は次第に微細化され、様々な構造のパターンを有していてもよく、前記パターンは、比較的に薄い厚さ及び/又は狭い幅を有していてもよく、複雑な形状を有していてもよい。前記パターン同士の間にはトレンチ(trench)が形成されてもよく、高集積化が進むにつれて、前記トレンチはアスペクト比(aspect ratio)が大きくかつ深くてもよく、下側に向かって進むにつれて次第に幅が狭くなるように形成されてもよい。
【0032】
前記工程チャンバーは、前記基板を一枚ずつ処理する枚葉式(single wafer type)のものであってもよく、複数枚の前記基板を基板ボートに多段に積載して同時に処理するバッチ式(batch type)のものであってもよい。
【0033】
前記工程チャンバーがバッチ式のものである場合には、前記基板を前記工程チャンバーの内部に用意する過程(S100)は、前記基板を基板ボートに多段に積載する過程(S110)と、前記基板ボートを前記工程チャンバーの内部に取り込む過程(S120)と、を含んでいてもよい。
【0034】
前記基板を基板ボートに多段に積載してもよい(S110)。基板ボートは、前記基板が挿入されて積載できるように複数本のロッド(rod)に多段にスロット(slot)が形成されてもよい。また、前記基板ボートは、前記基板の上側又は下側にアイソレーションプレート(isolation plate)が配置されて前記基板ごとにそれぞれ別々の処理空間を有するように前記アイソレーションプレートが前記複数本のロッドに多段に結合された構成要素であってもよい。そして、前記基板ボートは、工程に際して回転してもよく、前記ロッド、前記アイソレーションプレートなど前記基板ボートの素材としては、セラミック、クォーツ、合成クォーツなどが採用可能であるが、前記基板ボートの構造と形状及び素材は、これらに何ら限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0035】
例えば、前記工程チャンバーは、前記基板ボートが収められる工程チューブ(又は、反応チューブ)であってもよく、前記工程チャンバーの下部に前記工程チャンバーと連通される搬入チャンバーが配設されてもよい。前記基板は、前記搬入チャンバーにおいて前記基板ボートに多段に積載されてもよく、前記搬送ロボットなどにより前記基板ボートに積載されてもよい。前記工程チューブは、単一のチューブから構成されてもよく、複数のチューブから構成されてもよく、前記基板ボートが収められる内部空間(すなわち、工程空間)を与えることができればよい。このとき、前記工程チューブは、外チューブ(outer tube)と内チューブ(inner tube)とから構成されてもよく、前記内チューブの下部はフランジ部に連結されて支持されてもよく、前記内チューブの構造と形状は、これに何ら限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0036】
そして、前記基板ボートを前記工程チャンバーの内部に取り込んでもよい(S120)。前記基板に形成された薄膜に対する不純物の除去工程を行うために、前記基板が積載された前記基板ボートを前記工程チャンバーの内部に取り込んでもよい。例えば、前記基板ボートに前記基板が積載されれば、前記基板が積載された前記基板ボートをボートエレベーターにより昇降させて前記工程チャンバーの内部(空間)に搬入して(又は、取り込んで)もよい。このとき、前記ボートエレベーターにはOリング(O-ring)付きシールキャップ(seal cap)が配設されてもよく、前記Oリングが前記フランジ部に密着されて前記フランジ部の下端を密封(sealing)してもよい。前記基板ボートが前記工程チャンバーの内部に収められて前記基板に形成された薄膜に対する不純物の除去工程が行われてもよい。
【0037】
前記基板ボートを用いるバッチ式である場合には、多数枚の前記基板を同時に処理することができ、これにより、単位時間当たりの前記基板の処理量を増やすことができる。
【0038】
次に、前記工程チャンバーの内部に前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを供給する(S200)。第1のガスは、前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合することにより、結合生成物を生成することができる。このため、前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスを供給して前記薄膜中の不純物(例えば、前記薄膜の表面の不純物)と反応させることにより、前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を生成し、前記薄膜中から前記不純物を除去(又は、脱離)することができる。
【0039】
例えば、前記不純物は炭素(C)を含んでいてもよく、前記第1のガスは水素(H)を含んでいてもよい。有機金属化合物などの金属前駆体化合物で前記薄膜を蒸着する場合には、金属元素と炭素リガンドとの結合(bonding)が効果的に切られなくなり、一部の炭素原子(C)が結合されたままで前記金属元素又は前記金属元素の酸化物や窒化物が蒸着されてしまう可能性がある。これにより、前記薄膜内に炭素(C)が含有されてしまい、炭素(C)が前記不純物として作用してしまう恐れがあり、前記不純物により前記薄膜の比抵抗及び/又は誘電率を高めてしまうという問題を引き起こす恐れがある。一方、場合によっては、高誘電率の薄膜が必要になる場合もあるが、このような場合には、前記不純物が前記薄膜の誘電率を低めてしまうという問題を引き起こす恐れもある。この理由から、前記薄膜中の前記不純物である炭素(C)を除去してもよく、前記第1のガスとして水素原子(H)を含むガスを用いて炭素(C)と反応させることにより、前記不純物(すなわち、炭素)を除去してもよい。
【0040】
水素原子(H)は、炭素原子(C)と反応して結合することができ、このようなC-H結合によりC系炭化水素(例えば、CH、CHなど)の結合生成物が生成されることができる。前記結合生成物であるC系炭化水素は気相(gas phase)であるため、パージ及び/又は排気を通して前記工程チャンバー内から排出されることができる。前記水素原子(H)を含むガスは水素(H)ガスであってもよいが、これに何ら限定されず、水素原子(H)と炭素原子(C)との結合反応に加えて、他の反応を引き起こさずに炭素原子(C)と反応できる水素原子(H)を与えることができればよい。
【0041】
次いで、前記第1のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を排気する(S300)。前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を排気してもよい。ここで、前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物は気相であってもよく、パージ及び/又は排気を通して前記工程チャンバーの内部から排気(又は、排出)されてもよい。前記結合生成物が前記薄膜の周り(例えば、表面)に溜まって(又は、集中して)いる場合には、前記第1のガス及び/又は第2のガスが前記薄膜の表面(又は、露出面)に届くことができない結果、前記不純物及び/又は前記薄膜と反応することができなくなり、その結果、それ以上前記不純物を除去することができなくなったり、前記薄膜をキュアリング(curing)することができかなったりする恐れがある。
【0042】
このため、前記工程チャンバーの内部を減圧させて前記結合生成物を排気することにより、後続工程において前記第2のガスが前記薄膜と反応したり、前記第1のガスが前記不純物と反応したりするようにしてもよい。これにより、前記不純物を効果的に除去することができ、前記薄膜をキュアリングすることができる。
【0043】
そして、前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングする(S400)。前記薄膜の前記不純物が抜け出た部分(又は、個所)に空孔(vacancy)などの欠陥(defect)が生じる恐れがあり、これにより、前記薄膜の膜質を向上させるために、前記工程チャンバーの内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングしてもよい。例えば、前記第2のガスの元素が前記空孔を埋め込んで(又は、前記空孔に置き換えられて)欠陥を除去してもよく、前記薄膜の膜質を向上させることができる。これを通して、薄膜(又は、半導体素子)の信頼性を向上させることが可能になる。
【0044】
ここで、前記薄膜は金属元素(Metal)(M)を含んでいてもよい。このとき、金属元素(M)は、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)などの遷移金属を含んでいてもよく、これに何ら限定されず、金属膜、金属酸化物膜又は金属窒化物膜で薄膜を蒸着できる金属元素であればよい。
【0045】
前記不純物が前記第1のガスの元素と結合すれば、前記金属元素(M)と前記不純物との結合が切断され、前記金属元素(M)がダングリングボンド(未結合サイト)を有してしまう。例えば、前記不純物が炭素原子(C)であり、前記第1のガスが水素(H)ガスである場合には、水素原子(H)及び/又は水素分子(H)と炭素原子(C)との結合によりM-C結合が切断され、前記金属元素(M)がダングリングボンドを有してしまう結果、前記薄膜に余計な吸着サイトが生成される恐れがある。このような余計な吸着サイトには異物又は不純物などが吸着又は再吸着される恐れがある。
【0046】
このため、前記薄膜をキュアリングしてこのような問題を解消することができ、前記金属元素(M)のダングリングボンドに前記第2のガスの元素を結合して余計な吸着サイトを除去することができ、前記第2のガスの元素で前記空孔を埋め込んで欠陥を除去することができる。
【0047】
ここで、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)は、前記第2のガスの元素が前記薄膜の表面と反応してキュアリング層(curing layer)を形成する過程(S410)を含んでいてもよい。
【0048】
前記第2のガスの元素が前記薄膜の表面と反応してキュアリング層を形成してもよい(S410)。前記第2のガスの元素は、前記薄膜の表面と反応して前記薄膜の表面(すなわち、前記余計な吸着サイト)に吸着されることができ、キュアリング層を形成することができ、前記金属元素(M)のダングリングボンドを除去して前記余計な吸着サイトの発生(又は、生成)を防ぐことができる。このとき、前記第2のガスの元素は、前記薄膜の表面を少なくとも部分的に酸化又は窒化させてもよく、前記キュアリング層は、酸化(物)層又は窒化(物)層であってもよい。
【0049】
例えば、前記第2のガスは酸素(O)を含んでいてもよく、前記金属元素(M)のダングリングボンドに酸素原子(O)が結合されて前記薄膜の表面に吸着されてもよく、前記キュアリング層を形成してもよい。ここで、酸素(O)は、前記薄膜の表面を少なくとも部分的に酸化させてもよく、酸化層を形成してもよく、前記キュアリング層は前記金属元素(M)の酸化物層であってもよい。例えば、前記第2のガスは酸素原子(O)を含むガスであってもよく、酸素(O)ガスであってもよいが、これに何ら限定されず、前記金属元素(M)のダングリングボンドに結合可能な酸素原子(O)を与えることができればよい。
【0050】
前記キュアリング層は、前記薄膜の前記不純物が抜け出た部分を埋め込んで欠陥を除去することができるだけではなく、前記余計な吸着サイトを除去して前記薄膜の表面に異物又は不純物などが吸着又は再吸着されることを防ぐことができる。これを通して、前記薄膜をパッシベーション(passivation)して前記薄膜を安定化させ、前記薄膜の信頼性を向上させることができる。
【0051】
前記キュアリング層は500Å以下の厚さを有していてもよく、0.1~500Å(すなわち、0.01~50nm)の厚さを有していてもよく、3~100Åの厚さを有していてもよく、3~8Å(例えば、約5Å以下)の厚さを有していてもよい。すなわち、前記キュアリング層は1原子層未満から数原子層までの程度の厚さを有していてもよく、不連続的な層(layer)であってもよく、連続的な層であってもよい。ここで、1原子層未満の厚さを有する前記キュアリング層は不連続的に形成されるキュアリング層を意味することもあり、1原子層以上の厚さを有する前記キュアリング層は連続的に形成されるキュアリング層を意味することもある。
【0052】
前記キュアリング層が0.1Åの厚さよりも薄くなると、前記薄膜の前記不純物が抜け出た部分を十分に埋め込めずに欠陥を効果的に除去することができず、前記金属元素(M)のダングリングボンドを十分に除去することができないため、前記余計な吸着サイトを効果的に除去することができなくなる。これに対し、前記キュアリング層が500Åの厚さを超えると、前記薄膜と前記キュアリング層の全体にわたって酸素(O)などの前記第2のガスの元素が過剰になって前記薄膜の電気的な特性(例えば、比抵抗、電気伝導度など)が低下することが懸念される。
【0053】
例えば、前記薄膜は、不純物として炭素(C)が含有されている亜鉛酸化物(Zinc Oxide;ZnO)膜であってもよく、前記第1のガスの水素原子(H)と前記不純物である炭素原子(C)との結合によりZn-C結合が切断されて生じた亜鉛(Zn)のダングリングボンドに前記第2のガスの酸素原子(O)が結合(又は、吸着)されて亜鉛酸化物層を形成してもよい。このような場合、前記亜鉛酸化物(層)は、亜鉛酸化物(ZnO)膜と同種の物質であるため、前記薄膜の特性の低下が起こらないだけではなく、亜鉛(Zn)のダングリングボンドをまんべんなく充填して酸素(O)の欠乏を防ぐことができ、その結果、むしろ前記薄膜の特性及び/又は膜質が改善されることが可能になる。
【0054】
一方、前記薄膜が金属窒化物膜である場合には、酸素(O)の代わりに窒素(N)を含む前記第2のガスを用いて、M-C結合が切断されて生じた前記金属元素(M)のダングリングボンドに酸素原子(O)の代わりに窒素原子(N)を結合して金属窒化物(層)を形成してもよい。そして、前記薄膜が金属膜である場合であっても、前記第2のガスとして酸素(O)ガスを用いることができ、前記キュアリング層が0.1~500Åと非常に薄いため、電気的な特性などの前記薄膜の特性に(ほとんど)影響を及ぼさないだけではなく、前記薄膜の前記不純物が抜け出た部分を埋め込んで欠陥を除去することができる。これにより、前記薄膜をパッシベーションして前記薄膜を安定化させ、前記薄膜の信頼性を向上させることができる。
【0055】
また、前記キュアリング層は、前記薄膜(の表面)をパッシベーションして前記工程チャンバーから搬出された前記基板上の前記薄膜に異物などが付着したり前記薄膜が酸化されたりすることを防ぐこともできる。
【0056】
次いで、前記第2のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部から前記第2のガスの残留ガスを排気する(S500)。前記工程チャンバーの内部に前記第2のガスが継続して残留して(又は、残って)いる場合には、前記第2のガスの元素が継続して前記薄膜の表面において反応してしまう結果、前記薄膜において酸素(O)などの前記第2のガスの元素が過剰になってしまう恐れがあれば、前記キュアリング層が500Åの厚さを超えて厚くなってしまう恐れもある。しかしながら、前記第2のガスの供給を中止し、前記工程チャンバーの内部から前記第2のガスの残留ガスを排気して前記工程チャンバーの内部から前記第2のガスを除去すれば、このような問題を解決することができる。また、前記工程チャンバーの内部から前記第2のガスの残留ガスを排気して前記第2のガスを除去することにより、後続して前記第1のガスを供給する過程(S200)を再び行う場合に前記第2のガスと前記第1のガスとが反応することを防ぐこともできる。そして、前記第2のガスが前記薄膜の周りに溜まっていることを防いで前記第1のガスが前記薄膜の表面に円滑に届くようにすることができ、前記不純物と効果的に反応するようにすることもできる。
【0057】
図2は、本発明の一実施形態に係る第1のガスと第2のガスの供給及び排気のサイクルを説明するためのグラフであり、図3は、本発明の一実施形態に係る各過程における工程チャンバーの内部の圧力の変化を説明するためのグラフである。
【0058】
図2及び図3を参照すると、前記第1のガスを供給する過程(S200)は、前記工程チャンバーの内部を0.1~20torrの第1の圧力にして行われてもよく、前記結合生成物を排気する過程(S300)においては、前記第1の圧力よりも低い0.1~20mtorrの第2の圧力に前記工程チャンバーの内部を減圧させてもよい。ここで、前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも非常に低くてもよく、前記第1の圧力の約1/1,000の圧力であってもよい。すなわち、前記結合生成物を排気する過程(S300)においては、前記工程チャンバーの内部の圧力を前記第1のガスを供給する過程(S200)における圧力の約1/1,000の圧力へと、前記第1のガスを供給する過程(S200)における圧力よりも大幅に低くしてもよい。これを通して、前記工程チャンバーの内部から前記結合生成物を効果的に排気することができ、前記薄膜から前記不純物を効果的に除去することができ、これにより、比抵抗などの前記薄膜の特性を向上させることができる。
【0059】
前記第1の圧力が0.1torrよりも小さな場合には、前記第1のガスが前記不純物と十分に反応することができなくなるか、あるいは、前記第1のガスの元素が前記不純物と結合できる十分なエネルギーを有することができなくなる恐れがあり、前記第2の圧力との差分が減って前記工程チャンバーの内部から前記結合生成物の効果的な排気が行われなくなる恐れもある。これに対し、前記第1の圧力が20torrよりも大きな場合には、前記薄膜の外側から前記薄膜への気流(又は、気圧)が形成されて前記不純物が前記薄膜の表面から脱離(又は、前記薄膜から外部に容易に放出)されにくくなる恐れがあり、前記薄膜内から前記薄膜の表面に向かって移動し難くなる恐れもある。
【0060】
そして、前記第2の圧力が0.1mtorrよりも小さな場合には、前記工程チャンバーに無理な力(又は、圧力や気圧)が加えられる恐れがあり、前記第1の圧力に戻すのに長時間がかかる恐れもある。これに対し、前記第2の圧力が20mtorrよりも大きな場合には、前記第1の圧力との差分が減って前記工程チャンバーの内部から前記結合生成物の効果的な排気が行われなくなる恐れもある。
【0061】
実施形態において、前記第1の圧力を0.1~20torrの範囲に限定し、前記第2の圧力を0.1~20mtorrの範囲に限定しているが、前記第1の圧力の範囲と前記第2の圧力の範囲は、前記第1の圧力と前記第2の圧力との間に約1,000倍ほどの差が出るほどに大きな圧力差が出るということを示すものに過ぎない。すなわち、前記第1の圧力と前記第2の圧力との間には約1,000倍と十分に差が出て前記工程チャンバーの内部から前記結合生成物の効果的な排気が行われればよい。
【0062】
一方、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)は前記第1の圧力にて行われてもよく、前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)は前記第2の圧力にて行われてもよいが、これに特に限定されない。
【0063】
ここで、前記第1のガスを供給する過程(S200)は第1の時間の間に行われてもよく、前記結合生成物を排気する過程(S300)は前記第1の時間よりも短い第2の時間の間に行われてもよい。すなわち、前記結合生成物を排気する過程(S300)においては、前記工程チャンバーの内部の圧力を前記第1のガスを供給する過程(S200)における(第1の)圧力から瞬時に速やかに減圧させてもよい。このとき、前記第1のガスを供給する過程(S200)における約1/1,000の圧力へと、前記工程チャンバーの内部の圧力を前記第1のガスを供給する過程(S200)の(第1の)圧力から速やかに減圧させてもよい。これにより、前記工程チャンバーの内部から前記結合生成物をさらに効果的に排気することができる。ここで、前記第1の時間は4~20秒(s)であってもよく、前記第2の時間は2~10秒(s)であってもよく、前記第2の時間は前記第1の時間の約半分であってもよいが、これに何ら限定されず、前記第2の時間が前記第1の時間よりも短ければよい。
【0064】
前記薄膜にパターンが形成されて前記薄膜がアスペクト比の大きなトレンチを有する場合には、前記トレンチの深いところまで前記薄膜の表面(又は、露出面)から前記不純物を除去することが困難になる。しかしながら、本発明においては、前記工程チャンバーの内部の圧力を0.1~20torrの第1の圧力から 0.1~20mtorrの第2の圧力へと瞬時に速やかに減圧させて前記結合生成物を排気することにより、前記トレンチの深いところまで前記薄膜の表面から前記不純物を効果的に除去することができる。
【0065】
一方、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)は、前記第1の時間の間に行われてもよく、前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)は、前記第2の時間の間に行われてもよいが、これに特に限定されない。
【0066】
従来には、400℃よりも高い温度において熱処理して前記不純物に前記薄膜の表面から脱離(又は、前記薄膜から外部に放出)できるエネルギーを届かせることにより、前記不純物を除去していた。このような場合、前記基板及び/又は前記薄膜が受ける熱負荷(thermal load)や熱履歴(thermal budget)などが問題になることが懸念される。特に、近頃、半導体素子が高集積化されることに伴い、半導体製造工程からみて、さらに制限された熱履歴が求められており、前記不純物を除去する工程もまた400℃以下の低い温度において行われることが求められているため、従来の高温の熱処理を通して前記不純物を除去する方法は使用に限界がある。このような問題を解消するために、熱処理温度が低くなるように、2気圧(atm)以上(又は、202,650Pa以上)の高圧において熱処理を施すことが試みられていたが、高圧によりガス漏れのリスクが高くなるだけではなく、それに伴う別途の構成要素や装置が必要である点などの問題がある。
【0067】
しかしながら、本発明においては、20torr以下の低い圧力と400℃以下の低い温度において前記不純物の除去工程を行うことができて、熱負荷や熱履歴などの問題及び高圧によるガス漏れのリスクと別途の構成要素や装置が必要であるという問題などを解消することができる。このため、20torr以下の低い圧力と400℃以下の低い温度においても前記薄膜から前記不純物を効果的に除去することができ、パターンによりアスペクト比が大きなトレンチを有する前記薄膜の場合であっても、前記トレンチの深いところまで前記薄膜の表面から前記不純物を効果的に除去することができる。
【0068】
例えば、前記不純物の除去工程は、100~400℃の(工程)温度において行われてもよく、少なくとも前記第1のガスを供給する過程(S200)は、100~400℃の温度において行われてもよい。ここで、100~400℃の温度は、前記工程チャンバーの内部温度であってもよく、前記基板の温度であってもよい。前記第1のガスを供給する過程(S200)の工程温度が100℃よりも低い場合には、前記不純物が前記薄膜の表面から脱離できるエネルギーが前記不純物に十分に届くことができない結果、前記不純物の除去が効果的に行われない恐れがある。これに対し、前記第1のガスを供給する過程(S200)の工程温度が400℃よりも高い場合には、前記基板及び/又は前記薄膜が受ける熱負荷及び/又は熱履歴が問題になることが懸念される。
【0069】
前記不純物が前記薄膜から外部に放出(又は、前記不純物が前記薄膜の表面から脱離)できる十分なエネルギーを前記不純物に届かせるために、前記第1のガスを供給する過程(S200)を100℃以上の温度において行ってもよい。このような場合、十分なエネルギーにより前記不純物が前記薄膜から外部に容易に放出されて前記第1のガスの元素と結合する(又は、前記第1のガスの元素と結合して前記薄膜の表面から容易に脱離される)ことにより、前記不純物をさらに効果的に除去することができる。なお、前記第1のガスを供給する過程(S200)を100℃以上の温度において行う場合には、前記第1のガスが活性化されて前記第1のガスの元素と前記不純物との結合反応が効果的に行われることができ、前記不純物の除去がさらに効果的に行われることができる。
【0070】
一方、100℃未満においても前記薄膜表面の前記不純物は効果的に除去することができるが、前記薄膜内に前記不純物が残っている恐れがある。これにより、100℃以上の温度(すなわち、熱エネルギー)を通して前記不純物が前記薄膜内から前記薄膜の表面へと移動できるエネルギーを届かせて、前記薄膜中の前記不純物を効果的に(又は、完全に)除去することができる。アスペクト比が大きなトレンチの場合であっても、100℃以上の温度においては前記トレンチの深いところまでさらに効果的に前記不純物が除去されることができる。
【0071】
さらに、前記第1のガスを供給する過程(S200)だけではなく、前記結合生成物を排気する過程(S300)、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)及び前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)もまた、100~400℃の温度において行われてもよい。前記薄膜をキュアリングする過程(S400)が400℃以上の温度において行われる場合には、酸素(O)などの前記第2のガスの元素が過剰になる恐れがあり、前記キュアリング層の厚さが500Åを超えて厚くなる恐れもある。
【0072】
そして、前記第1のガスを供給する過程(S200)、前記結合生成物を排気する過程(S300)、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)及び前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)は、複数回繰り返し行われてもよい。ここで、前記第1のガスを供給する過程(S200)、前記結合生成物を排気する過程(S300)、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)及び前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)をこの順に複数回繰り返し行ってもよく、前記第1のガスを供給する過程(S200)と前記結合生成物を排気する過程(S300)を複数回繰り返し行った後、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)と前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)を複数回繰り返し行ってもよい。これに特に限定されず、前記第1のガスを供給する過程(S200)、前記結合生成物を排気する過程(S300)、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)及び前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)のそれぞれを複数回繰り返し行えばよい。
【0073】
前記第1のガスを供給する過程(S200)、前記結合生成物を排気する過程(S300)、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)及び前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)を複数回繰り返し行って前記第1のガスの供給と排気及び前記第2のガスの供給と排気を複数回繰り返し行うことにより、前記不純物の除去効果を極大化させることができ、前記不純物の除去率を最大化させることができる。
【0074】
アスペクト比が大きなトレンチを有する前記薄膜の場合には、前記第1のガスが供給されてから所定の時間が経つと、前記トレンチが前記結合生成物により充填されてそれ以上の前記第1のガスの入り込みが不可能になって(又は、閉塞されることになって)、前記トレンチの内壁(すなわち、前記トレンチ内の前記薄膜の表面)から前記不純物の除去が効果的に行われない恐れがあり、前記トレンチの内壁に前記不純物の一部が残っている恐れがある。このため、少なくとも前記第1のガスを供給する過程(S200)と前記結合生成物を排気する過程(S300)を複数回繰り返し行って前記トレンチに充填された前記結合生成物を除去し、前記トレンチ内に新たに前記第1のガスを入り込ませてもよい。これにより、前記トレンチの深いところまで前記トレンチの内壁から前記不純物を効果的に除去することができ、前記トレンチの内壁に前記不純物が残ってしまうことを防ぐことができる。このとき、前記結合生成物を排気する過程(S300)においては、前記第1のガスを供給する過程(S200)における約1/1,000の圧力へと、前記工程チャンバーの内部の圧力を前記第1のガスを供給する過程(S200)の圧力から速やかに減圧させてもよい。これを通して、前記トレンチ内において前記結合生成物をなお一層効果的に除去することができる。
【0075】
一方、前記第1のガスを供給する過程(S200)、前記結合生成物を排気する過程(S300)、前記薄膜をキュアリングする過程(S400)及び前記第2のガスの残留ガスを排気する過程(S500)を複数回繰り返し行う場合に、前記第2のガスを通して前記薄膜の表面に前記キュアリング層を形成すれば、前記第1のガスを供給する過程(S200)を再び行いながら、前記第1のガスが前記薄膜中の前記不純物以外の他の元素(例えば、前記金属元素、酸素又は窒素など)と反応してしまうことを抑制又は防止することができ、前記薄膜の損失又は損傷による欠陥を防ぐことができる。
【0076】
例えば、前記薄膜が金属酸化物膜であり、前記不純物が炭素(C)であり、前記第1のガスが水素(H)ガスである場合に、前記第1のガスを供給する過程(S200)が再び行われながら、前記薄膜中の前記不純物(すなわち、炭素)の量が減って前記第1のガスの水素原子(H)が前記不純物だけではなく、金属酸化物膜の酸素原子(O)とも反応して前記薄膜から酸素原子(O)をも脱離させてしまうことが懸念される。これにより、金属酸化物膜に酸素(O)の欠乏が生じる恐れがあり、前記薄膜の膜質及び薄膜の特性が低下してしまう恐れがある。しかしながら、酸素原子(O)を含む前記第2のガスから前記薄膜の表面に前記キュアリング層を形成すれば、前記第1のガスの水素原子(H)が前記キュアリング層の酸素原子(O)と反応するように誘導することができる。なお、たとえ前記薄膜から酸素原子(O)が脱離されるとしても、前記キュアリング層において酸素原子(O)を挽回(又は、補完)することもできる。このため、前記薄膜の酸素(O)の欠乏を防ぐことができ、前記薄膜の膜質及び薄膜の特性を保持又は改善することができる。
【0077】
図4は、本発明の他の実施形態に係る基板処理装置を示す概略断面図である。
【0078】
図4に基づいて、本発明の他の実施形態に係る基板処理装置についてさらに詳しく説明するが、本発明の一実施形態に係る薄膜における不純物の除去方法と関わって前述した部分と重複することは省略する。
【0079】
本発明の他の実施形態に係る基板処理装置100は、薄膜が形成された基板10が搬入及び搬出される工程チャンバー110と、前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを前記工程チャンバー110の内部に供給する第1のガス供給部120と、前記工程チャンバー110の内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給する第2のガス供給部130と、前記工程チャンバー110の外側に配置されて、前記工程チャンバー110の内部に熱エネルギーを届かせるヒーター部140と、前記工程チャンバー110の内部の排気を行う排気部150と、前記第1のガスを供給して前記不純物と前記第1のガスとの反応により結合生成物を生成した後、前記結合生成物を排気し、前記第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングするために前記第1のガス供給部、前記第2のガス供給部及び前記排気部を制御する制御部160と、を備えていてもよい。
【0080】
工程チャンバー110は、薄膜が形成された基板10が搬入及び搬出されてもよく、基板10を一枚ずつ処理する枚葉式(single wafer type)であってもよく、複数枚の基板10を基板ボート170に多段に積載して同時に処理するバッチ式(batch type)であってもよい。
【0081】
ここで、バッチ式である場合、本発明に係る基板処理装置100は、基板10が多段に積載される基板ボート170をさらに備えていてもよく、工程チャンバー110は、基板ボート170を収める内部空間を有していてもよい。
【0082】
基板ボート170は、基板10が挿入されて積載できるように複数本のロッド(rod)171に多段にスロット(slot)が形成されてもよい。また、基板ボート170は、基板10の上側又は下側にアイソレーションプレート(isolation plate)(図示せず)が配置されて基板10ごとにそれぞれ別々の処理空間を有するようにアイソレーションプレート(図示せず)が複数本のロッド171に多段に結合された構成要素であってもよい。そして、基板ボート170は、工程に際して回転してもよく、ロッド171、アイソレーションプレート(図示せず)など基板ボート170の素材としては、セラミック、クォーツ、合成クォーツなどを用いてもよいが、基板ボート170の構造と形状及び素材はこれに何ら限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0083】
そして、工程チャンバー110は、基板ボート170を収める内部空間(すなわち、工程空間)を有していてもよく、基板10に形成された薄膜に対する不純物の除去工程が行える空間を与えることができる。例えば、工程チャンバー110は、基板ボート170が収められる工程チューブ(又は、反応チューブ)であってもよく、工程チャンバー110の下部に工程チャンバー110と連通される搬入チャンバー115が配設されてもよい。基板10は、搬入チャンバー115から基板ボート170へと多段に積載されてもよく、搬送ロボットなどにより基板ボート170に積載されてもよい。前記工程チューブは、単一のチューブから構成されてもよく、複数のチューブから構成されてもよく、基板ボート170が収められる内部空間を与えることができればよい。このとき、前記工程チューブは、外チューブ(outer tube)111と内チューブ(inner tube)112とから構成されてもよく、内チューブ112の下部はフランジ部116に連結されて支持されてもよく、内チューブ112の構造と形状はこれに何ら限定されず、種々に変更可能である。
【0084】
基板ボート170を用いるバッチ式である場合には、多数枚の基板10を同時に処理することができ、これにより、単位時間当たりの基板10の処理量を増やすことができる。
【0085】
第1のガス供給部120は、前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合する第1のガスを工程チャンバー110の内部に供給してもよく、前記第1のガスは、前記薄膜に含まれている不純物と反応して結合することにより、結合生成物を生成することができる。
【0086】
第2のガス供給部130は、工程チャンバー110の内部に前記第1のガスとは異なる第2のガスを供給してもよく、前記第2のガスは、少なくとも一部の前記不純物が除去された前記薄膜をキュアリング(curing)してもよい。
【0087】
ここで、第1のガス供給部120と第2のガス供給部130は、内チューブ112の一方の側に配置されてもよい。一方、第1のガス供給部120と第2のガス供給部130は、互いに異なる複数の噴射ノズルを介して前記第1のガスと前記第2のガスを工程チャンバー110の内部にそれぞれ供給してもよく、同一の一本の噴射ノズルを介して前記第1のガスと前記第2のガスを時間的にずらして供給してもよい。このとき、一本の噴射ノズルを用いる場合には、パージガス供給部(図示せず)を介して前記噴射ノズルにパージガス(purge gas)を供給してもよい。例えば、前記第1のガスの供給と前記第2のガスの供給との間に前記パージガスを前記噴射ノズルに供給してもよく、前記噴射ノズル内から前記第1のガス又は前記第2のガスの残留ガスをパージ(purge)してもよい。ここで、前記パージガスは、窒素(N)ガス又はアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)などの不活性ガス(inert gas)を含んでいてもよい。
【0088】
ヒーター部140は、工程チャンバー110の外側に配置されてもよく、工程チャンバー110の内部に熱エネルギーを届かせることができる。例えば、ヒーター部140は、内チューブ112の外部に上下方向に延設されて内チューブ112を加熱してもよい。ここで、内チューブ112又は外チューブ111の側面及び上部を包み込むように配置されてもよく、外チューブ111を覆う外側カバー50の内壁に配設されてもよい。このとき、ヒーター部140は、工程チャンバー110の内部温度を整えてもよく、工程チャンバー110の内部温度は、100~400℃にしてもよい。
【0089】
排気部150は、工程チャンバー110の内部の排気を行ってもよく、工程チャンバー110の内部の圧力を整えてもよく、前記第1のガスと前記不純物との結合生成物及び前記第1のガスと前記第2のガスの残留ガスを排気してもよい。ここで、排気部150は、内チューブ112の一方の側に向かい合う内チューブ112の他方の側に配置されてもよく、内チューブ112内の前記結合生成物、前記第1のガス及び/又は前記第2のガスの残留ガスを排出(又は、除去)してもよい。このとき、第1のガス供給部120及び第2のガス供給部130と排気部150が対向して(又は、対称的に)位置することにより、基板10の上に層流(laminar flow)を形成してもよい。
【0090】
制御部160は、前記第1のガスを供給して前記不純物と前記第1のガスとの反応により結合生成物を生成した後、前記不純物と前記第1のガスとの前記結合生成物を排気し、前記第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングするために第1のガス供給部120、第2のガス供給部130及び排気部150を制御してもよい。ここで、制御部160は、第1のガス供給部120、第2のガス供給部130及び排気部150を制御して前記第1のガスと前記第2のガスの供給及び前記工程チャンバーの内部の圧力を調節してもよく、これを通して、前記薄膜から前記不純物を除去することができる。
【0091】
例えば、制御部160は、前記第1のガスを供給して前記不純物と反応させる第1の処理のために第1のガス供給部120を制御してもよく、工程チャンバー110の内部を減圧させて前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を排気する第2の処理のために排気部150を制御してもよい。また、前記第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングする第3の処理のために第2のガス供給部130を制御してもよく、工程チャンバー110の内部から前記第2のガスの残留ガスを排気する第4の処理のために排気部150を制御してもよい。前記第1の処理を通して前記第1のガスを供給して前記不純物と反応させることにより、前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を生成することができ、前記第2の処理を通して工程チャンバー110の内部を減圧させて前記不純物と前記第1のガスとの結合生成物を排気することができる。これにより、前記薄膜から前記不純物を効果的に除去することができる。
【0092】
そして、前記第3の処理を通して前記第2のガスを供給して前記薄膜をキュアリングしてもよく、前記第4の処理を通して工程チャンバー110の内部から前記第2のガスの残留ガスを排気することができる。これを通して、前記薄膜の前記不純物が抜け出た個所を前記第2のガスの元素により埋め込んで欠陥を除去することができ、前記薄膜の膜質及び信頼性を向上させることができる。
【0093】
ここで、制御部160は、(前記第1の処理において)工程チャンバー110の内部を0.1~20torrの第1の圧力にして前記第1のガスを供給してもよく、(前記第2の処理において)前記第1の圧力よりも低い0.1~20mtorrの第2の圧力に工程チャンバー110の内部を減圧させて前記結合生成物を排気してもよい。すなわち、工程チャンバー110の内部の圧力を0.1~20torrの第1の圧力から0.1~20mtorrの第2の圧力へと瞬時に速やかに減圧させて前記結合生成物を排気することにより、アスペクト比が大きなトレンチの深いところまで前記薄膜の表面から前記不純物を効果的に除去することができる。
【0094】
例えば、排気部150は、工程チャンバー110の一方の側に配設される排気ポート151と、排気ポート151に連結される排気管152と、排気管152と連結される真空ポンプ153と、を備えていてもよい。排気ポート151は排気ダクトの下部と連通されてもよく、これにより、前記排気ダクトと連通された排気ポート151に流れ込んだ排気ガスは、排気ポート151を介して排気管152に移動して外部に排出されることができる。
【0095】
排気管152は、排気ポート151に連結されてもよく、排気ポート151と真空ポンプ153との間に排気経路を提供することができる。
【0096】
真空ポンプ153は、排気管152と連結されてもよく、前記排気ガス(すなわち、前記結合生成物と前記第1のガス及び/又は前記第2のガスの残留ガス)を排気するための排気圧力を与えてもよく、工程チャンバー110内を真空排気してもよい。
【0097】
ここで、真空ポンプ153を作動させた状態で、圧力センサー(図示せず)により検出された圧力情報に基づいて、自動圧力制御(APC:Auto Pressure Controller)弁(図示せず)の弁開度を調節することにより、工程チャンバー110の内部の圧力を調整してもよい。
【0098】
このとき、排気管152は、50~200mmの内径(又は、100A以上の大きさ)を有していてもよく、200A以上の大きさを有していてもよい。これにより、排気部150の排気性能を向上させることができ、工程チャンバー110の内部の圧力を0.1~20torrの第1の圧力から0.1~20mtorrの第2の圧力へと瞬時に速やかに減圧させることができる。また、真空ポンプ153の最大の排気速度は50~200kL/s(キロリットル毎秒)であってもよい。通常の基板処理装置においては、最大の排気速度50kL/s未満の真空ポンプを用いて、0.1~20mtorrの圧力まで工程チャンバー110の内部の圧力を低めることができない。しかしながら、本発明に係る基板処理装置100は、最大の排気速度が50~200kL/sである真空ポンプ153を用いて、0.1~20mtorrの圧力まで工程チャンバー110の内部の圧力を低めることができる。
【0099】
ここで、前記不純物は炭素(C)を含んでいてもよく、前記第1のガスは水素(H)を含んでいてもよい。有機金属化合物などの金属前駆体化合物で前記薄膜を蒸着する場合には、金属元素と炭素リガンドとの結合(bonding)が効果的に切られない結果、一部の炭素原子(C)が結合されたままで前記金属元素又は前記金属元素の酸化物や窒化物が蒸着される恐れがある。これにより、前記薄膜内に炭素(C)が含有されてしまい、炭素(C)が前記不純物として作用することが懸念され、前記不純物により前記薄膜の比抵抗及び/又は誘電率を高めてしまうという不都合を生じる恐れがある。これにより、前記薄膜中の前記不純物である炭素(C)を除去することができ、前記第1のガスとして水素原子(H)を含むガスを用いて炭素(C)と反応させることにより、前記不純物(すなわち、炭素)を除去することができる。
【0100】
また、前記薄膜は金属元素(Metal)Mを含んでいてもよく、前記第2のガスは酸素(O)を含んでいてもよい。前記薄膜は金属元素(M)を含んでいてもよく、前記不純物が前記第1のガスの元素と結合すれば、前記金属元素(M)と前記不純物との結合が切断され、前記金属元素(M)がダングリングボンド(未結合水)を有することができる。一方、前記第2のガスは酸素(O)を含んでいてもよく、前記金属元素(M)のダングリングボンドに酸素原子(O)が結合されて前記薄膜の表面に吸着されてもよく、キュアリング層を形成してもよい。
【0101】
そして、制御部160は、ヒーター部140をさらに制御してもよく、ヒーター部140を制御して工程チャンバー110の内部を100~400℃の温度に調節してもよい。すなわち、前記不純物の除去工程を100~400℃の温度において行ってもよく、少なくとも(前記第1の処理において)ヒーター部140の制御により工程チャンバー110の内部を100~400℃の温度に調節して前記第1のガスを供給してもよい。本発明に係る基板処理装置100は、圧力差が大きく、速やかな減圧により400℃以下の低い温度において前記不純物の除去工程を行うことができて、熱負荷や熱履歴などの問題を解決することができる。すなわち、400℃以下の低い温度においても前記薄膜から前記不純物を効果的に除去することができ、パターンによりアスペクト比が大きなトレンチを有する前記薄膜の場合であっても、前記トレンチの深いところまで前記薄膜の表面から前記不純物を効果的に除去することができる。
【0102】
一方、制御部160は、前記第1のガスの供給、前記結合生成物の排気及び前記第2のガスの供給を複数回繰り返し行ってもよい。例えば、制御部160は、前記第1の処理、前記第2の処理、前記第3の処理、前記第4の処理の順に複数回繰り返し行ってもよい。前記第1のガスの供給、前記結合生成物の排気及び前記第2のガスの供給を複数回繰り返し行って前記不純物の除去効果を極大化させることができ、前記不純物の除去率を最大化させることができる。前記第1のガスの供給と前記結合生成物の排気を複数回繰り返し行って前記トレンチに充填された前記結合生成物を除去し、前記トレンチ内に新たに前記第1のガスを入り込ませることができる。これにより、前記トレンチの深いところまで前記トレンチの内壁から前記不純物を効果的に除去することができ、前記トレンチの内壁に前記不純物が残ってしまうことを防ぐことができる。
【0103】
本発明の基板処理装置100は、基板ボート170の下端部に連結されて基板ボート170を支持するペデスタル175をさらに備えていてもよい。ペデスタル175は、基板ボート170の下端部に連結されて基板ボート170を支持してもよく、基板ボート170とともに昇降してもよく、工程に際して、内チューブ112の収容空間の下端部に収められてもよい。そして、ペデスタル175は、互いに離れて多段に配置される複数枚の遮熱板175aを備えていてもよい。複数枚の遮熱板175aは、複数本の支持杆175bに連結されて多段に配置されてもよく、互いに離れていてもよい。このとき、複数枚の遮熱板175aは、上下方向の伝熱を防ぐためのバッフル板(baffle plate)から構成されてもよく、伝熱性が低い材料(例えば、不透明な石英)から構成されてもよい。
【0104】
また、ペデスタル175は上下方向に延設され、互いに離れて配置される複数本の支持杆175bと、複数本の支持杆175bの上端と下端をそれぞれ固定する天板175cと底板175d及び複数枚の遮熱板175aの側面(又は、前記ペデスタルの側面)を包み込む側面カバー175eをさらに備えていてもよい。複数本の支持杆175bは上下方向に延設されてもよく、水平方向に互いに離れて配置されてもよく、複数枚の遮熱板175aを支持してもよい。
【0105】
天板175cは、複数本の支持杆175bの上端を固定してもよく、基板ボート170と連結されてもよい。底板175dは、複数本の支持杆175bの下端を固定してもよく、シャフト181に連結(又は、接続)されてもよい。ここで、複数本の支持杆175bと天板175c及び底板175dがペデスタル175の枠組み(又は、フレーム)をなしてもよい。
【0106】
側面カバー175eは、複数枚の遮熱板175aの側面(又は、前記ペデスタルの側面)を包み込むように形成されてもよく、天板175c及び/又は底板175dと連結されて固定されてもよい。
【0107】
そして、本発明の基板処理装置100は、ペデスタル175の底板175dに連結されるシャフト181と、シャフト181の下端に連結されてシャフト181を上下に移動させる昇降駆動部182と、シャフト181の下端に連結されてシャフト181を回転させる回転駆動部183と、シャフト181の上端に連結されて基板ボート170とともに昇降する支持板184と、内チューブ112又は外チューブ111と支持板184との間に配備されるシール部材184aと、支持板184とシャフト181との間に配備される軸受け部材184bと、基板10が搬入チャンバー115内に搬入される挿入口185と、をさらに備えていてもよい。
【0108】
シャフト181は、ペデスタル175の底板175dに連結されてもよく、ペデスタル175及び/又は基板ボート170を支持する役割を果たしてもよい。
【0109】
昇降駆動部182は、シャフト181の下端に連結されてシャフト181を上下に移動させてもよく、これを通じて、基板ボート170を昇降させることができる。
【0110】
回転駆動部183は、基板ボート170を回転させるようにシャフト181の下端に連結されてもよく、シャフト181を回転させてシャフト181を中心軸として基板ボート170を回転させてもよい。
【0111】
支持板184は、シャフト181の上端に連結されて基板ボート170とともに昇降してもよく、基板ボート170が内チューブ112の収容空間に収められるとき、内チューブ112の収容空間及び/又は外チューブ111の内部空間を外部から密閉する役割を果たしてもよい。
【0112】
シール部材184aは、支持板184と内チューブ112との間及び/又は支持板184と外チューブ111との間に配備されてもよく、内チューブ112の収容空間及び/又は外チューブ111の内部空間を密閉してもよい。
【0113】
軸受け部材184bは、支持板184とシャフト181との間に配備されてもよく、シャフト181が軸受け部材184bにより支持された状態で回転してもよい。
【0114】
挿入口185は、搬入チャンバー115の一方の側に配備されてもよく、基板10が搬送チャンバー200から挿入口185を介して搬入チャンバー115内に搬入(loading)されてもよい。搬入チャンバー115の挿入口185に対応する搬送チャンバー200の一方の側には流込み口210が形成されてもよく、流込み口210と挿入口185との間にはゲート弁250が配備されてもよい。これにより、搬送チャンバー200の内部と搬入チャンバー115の内部はゲート弁250により隔離されることができ、流込み口210と挿入口185はゲート弁250により開閉されることができる。
【0115】
このように、本発明においては、薄膜に含まれている不純物と第1のガスとを反応させて結合生成物を生成し、工程チャンバーの内部を速やかに減圧させて不純物と第1のガスとの結合生成物を排気することにより、薄膜から不純物を効果的に除去することができ、これにより、比抵抗などの薄膜の特性を向上させることができる。ここで、0.1~20torrの第1の圧力から0.1~20mtorrの第2の圧力へと速やかに低めて結合生成物を排気することにより、パターンによりアスペクト比が大きなトレンチを有する薄膜の場合であっても、400℃以下の低い温度においてトレンチの深いところまで薄膜の表面から不純物を効果的に除去することができる。なお、薄膜の不純物が抜け出た個所に空孔などの欠陥が生じる恐れがあるが、第1のガスとは異なる第2のガスを供給して第2のガスの元素が欠陥を除去することにより、薄膜をキュアリングすることができ、薄膜の信頼性を向上させることができる。そして、第1のガスの供給と排気及び第2のガスの供給と排気を複数回繰り返し行って不純物の除去率を最大化させることができ、第2のガスを通して薄膜の表面にキュアリング層を形成する場合には、キュアリング層が薄膜中の不純物以外の他の元素と第1のガスとが反応することを抑制又は防止することもできる。一方、薄膜の表面に形成されたキュアリング層は、工程チャンバーから搬出された基板上の薄膜に異物などが付着したり薄膜が酸化されたりすることを防ぐこともできる。
【0116】
以上、本発明の好適な実施形態について図示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形が行え、且つ、均等な他の実施形態が採用可能であるということが理解できる筈である。よって、本発明の技術的な保護範囲は、次の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0117】
10:基板
50:外側カバー
100:基板処理装置
110:工程チャンバー
111:外チューブ
112:内チューブ
115:搬入チャンバー
116:フランジ部
120:第1のガス供給部
130:第2のガス供給部
140:ヒーター部
150:排気部
151:排気ポート
152:排気管
153:真空ポンプ
160:制御部
170:基板ボート
171:ロッド
175:ペデスタル
175a:遮熱板
175b:支持杆
175c:天板
175d:底板
175e:側面カバー
181:シャフト
182:昇降駆動部
183:回転駆動部
184:支持板
184a:シール部材
184b:軸受け部材
185:挿入口
200:搬送チャンバー
210:流込み口
250:ゲート弁
図1
図2
図3
図4