(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111098
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ロキソプロフェン配合皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20220722BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220722BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220722BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20220722BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220722BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220722BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220722BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P17/00
A61P29/00
A61K9/10
A61K9/06
A61K47/10
A61K47/32
A61K9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005386
(22)【出願日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2021006257
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306014736
【氏名又は名称】第一三共ヘルスケア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390002705
【氏名又は名称】東興薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史織
(72)【発明者】
【氏名】田淵 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 日加里
(72)【発明者】
【氏名】上下 泰造
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 祐輝
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA16
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC18
4C076DD07
4C076DD09
4C076DD37
4C076EE09
4C076EE23
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA23
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA36
4C206MA48
4C206MA83
4C206NA20
4C206ZA89
4C206ZB11
(57)【要約】
【課題】ロキソプロフェン及びメントールを含有する皮膚外用剤(配合剤)において、清涼感に優れた皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】ロキソプロフェン又はその塩、l-メントール、カルボキシビニルポリマー、エタノール、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリソルベートのうち1種以上の非イオン性界面活性剤を含有する皮膚外用剤。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記[a]、[b]、[c]、[d]及び[e]を含有する皮膚外用剤。
[a]ロキソプロフェン又はその塩
[b]l-メントール
[c]カルボキシビニルポリマー
[d]エタノール
[e]ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリソルベートからなる群から選択される1種以上の非イオン性界面活性剤。
【請求項2】
[e]非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリソルベートである請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
エタノールの含有量が、10~30重量%である、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60である、請求項1から3のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
ポリソルベートが、ポリソルベート60又はポリソルベート80である、請求項1から4のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
皮膚外用剤における[e]非イオン性界面活性剤の含有量が、0.2~15重量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
皮膚外用剤のpHが5.0~8.0である、請求項1から6のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
鎮痛消炎用である、請求項1から7のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
剤形が外用液剤、クリーム剤、又はゲル剤である、請求項1から8のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
剤形がゲル剤である、請求項1から9のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた鎮痛消炎作用と使用感を有する、ロキソプロフェン含有皮膚外用剤に関する。より詳しくは、ロキソプロフェン、l-メントール、カルボキシビニルポリマー及びエタノールを含む皮膚外用剤に特定の可溶化剤を含有させることによって、製剤塗布時の清涼感を向上させたロキソプロフェン含有皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピオン酸系非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(NSAIDs)であるロキソプロフェンは、他のNSAIDsと同様にプロスタグランジン生合成の抑制作用に基づく解熱・鎮痛・消炎作用を有する。なお、ロキソプロフェンは経口投与後に胃粘膜刺激作用の弱い未変化体のまま消化管から吸収され、体内で活性体となるプロドラッグであるため、活性体よりも胃粘膜障害は少ないという特徴を有することでも知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
近年、ロキソプロフェンは外用消炎鎮痛剤としてもパップ剤、テープ剤及びゲル剤が市販され、臨床に供されている(例えば、非特許文献2参照)。なお、ロキソプロフェンは、皮膚においてもケトン還元酵素によってトランス-OH体(活性体)に変換されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
l-メントールは外用剤では血行促進成分として使用されるほか、医薬品添加剤では清涼化剤や香料として使用されている。
【0005】
カルボキシビニルポリマーは外用剤では、医薬品添加剤として粘稠剤、基剤等として使用されている。
【0006】
これまでに、ロキソプロフェンを含有する外用剤において、カルボキシビニルポリマーを配合することによりロキソプロフェンの経皮吸収性を向上させたことが開示されている(特許文献2参照)。また、ロキソプロフェンを配合した外用剤にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を添加することで、酸性条件における析出あるいは沈殿の生成を防止することが知られている(特許文献3参照)。さらに、ロキソプロフェン、l-メントール、エタノール、並びにノナン酸バニリルアミド、グリチルレチン酸、ニコチン酸ベンジルエステル及びビタミンE類より選ばれる1種または2種以上を含有する製剤に、クロルフェニラミンマレイン酸塩を配合した皮膚外用剤(特許文献4)や、ロキソプロフェン又はその塩、l-メントール、エタノール、トコフェロール又はその誘導体に、さらにポリソルベートを配合した皮膚外用剤(特許文献5参照)が、経皮吸収性を改善させることが知られている。
【0007】
しかし、ロキソプロフェン、l‐メントール、カルボキシビニルポリマー及びエタノールを含有する外用剤において、可溶化剤が製剤の清涼感にどのように影響するかについては全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-074873公報
【特許文献2】特許第4195178号
【特許文献3】特許第6131522号公報
【特許文献4】特開2019-142856公報
【特許文献5】特開2020-158501公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】薬理と治療 Vol.16 No.2 1988 p.611-619
【非特許文献2】JAPIC 医療用医薬品集2013 丸善 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、ロキソプロフェン、l‐メントール、カルボキシビニルポリマー、エタノール及び非イオン性界面活性剤を含有する皮膚外用剤において、清涼感が改善した皮膚外用剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、ロキソプロフェンを含有する外用剤において、血行促進作用等の付与を目的として、l-メントール等の成分をさらに含有する外用剤(配合剤)を開発するため、それらの有効成分を可溶化させるために添加する成分について検討した。その結果、ロキソプロフェン、l‐メントール、カルボキシビニルポリマー及びエタノールを含有する外用剤に界面活性剤を配合する際に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やポリソルベートからなる群から選ばれる1種以上の非イオン性界面活性剤を配合すると、塗布後の清涼感が優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1) 下記[a]、[b]、[c]、[d]及び[e]を含有する皮膚外用剤。
[a]ロキソプロフェン又はその塩
[b]l-メントール
[c]カルボキシビニルポリマー
[d]エタノール
[e]ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリソルベートからなる群から選択される1種以上の非イオン性界面活性剤。
(2)[e]非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリソルベートである(1)に記載の皮膚外用剤。
(3) エタノールの含有量が、10~30重量%である、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60である、(1)から(3)のいずれか一に記載の皮膚外用剤。
(5) ポリソルベートが、ポリソルベート60又はポリソルベート80である、(1)から(4)のいずれか一に記載の皮膚外用剤。
(6) 皮膚外用剤における[e]非イオン性界面活性剤の含有量が、0.2~15重量%である、(1)から(5)のいずれか一に記載の皮膚外用剤。
(7) 皮膚外用剤のpHが5.0~8.0である、(1)から(6)のいずれか一に記載の皮膚外用剤。
(8) 鎮痛消炎用である、(1)から(7)のいずれか一に記載の皮膚外用剤。
(9) 剤形が外用液剤、クリーム剤、又はゲル剤である、(1)から(8)のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
(10) 剤形がゲル剤である、(1)から(9)のいずれか一に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0013】
本発明の、ロキソプロフェン又はその塩;l-メントール;カルボキシビニルポリマー;エタノール;及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリソルベートからなる群から選択される1種以上の非イオン性界面活性剤、を含有する皮膚外用剤は、塗布後の清涼感が優れているため、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】各検体におけるTRPM8(Transient Receptor Potential Melastatin 8)の活性化への影響を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において、「ロキソプロフェン又はその塩」とは、ロキソプロフェン又はその塩、並びにそれらの水和物の何れでもよい。ロキソプロフェンの塩としては、薬理学的に許容できる塩が好ましく、より好ましくは、ロキソプロフェンナトリウム又はロキソプロフェンナトリウム・2水和物であり、さらに好ましくは、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物である。なお、本明細書においてロキソプロフェンと言う場合には、ロキソプロフェン又はその塩、並びにそれらの水和物を包含するものとする。
【0016】
本発明におけるロキソプロフェンは、ロキソプロフェンナトリウム水和物として第17改正日本薬局方に収載されている。
【0017】
本発明におけるl-メントールは、第17改正日本薬局方や医薬品添加物事典2016(薬事日報社、2016)に収載されている。
【0018】
本発明におけるカルボキシビニルポリマー(カルボキシポリメチレンともいう)は、粘稠剤、粘着剤、分散剤、安定化剤、基剤等の用途で外用剤に用いられる医薬品添加剤であり、医薬品添加物事典2016に収載されている。
【0019】
本発明におけるエタノール(エチルアルコールともいう)としては、可溶化剤、基剤、溶剤、溶解補助剤の用途で外用剤に用いられ、エタノール、無水エタノール等を挙げることができる。本発明におけるエタノール、無水エタノールは、医薬品添加物事典2016に収載されている。
【0020】
本発明における非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリソルベートからなる群から選択される1種以上である。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリソルベートを各々単独で配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよいが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリソルベートを組み合わせて配合するのが好ましい。
【0021】
本発明におけるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等を挙げることができ、好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60である。
【0022】
本発明におけるポリソルベートは、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等を挙げることができ、好ましくはポリソルベート60又はポリソルベート80である。
本発明における非イオン性界面活性剤は、医薬品添加物事典2016に収載されている。
本発明において、特に好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60とポリソルベート80とを組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明の皮膚外用剤は、多価アルコールを含んでいてもよい。本発明における多価アルコールとは、可溶化剤、基剤、湿潤剤、粘稠剤、溶剤、溶解補助剤等の用途で外用剤に用いられる、分子内に水酸基が2個以上あるアルコールであり、例えば、プロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコール、マクロゴール(ポリエチレングリコールともいう)(例えば、マクロゴール400等)、グリセリン、D‐ソルビトールであり、医薬品添加物事典2016に収載されている。
【0024】
本発明における、ロキソプロフェンの含有量は、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物として、好ましくは、0.1~10重量%であり、より好ましくは、0.5~5重量%である。
【0025】
また、本発明におけるl-メントールの含有量は、好ましくは0.01~10重量%であり、より好ましくは、0.5~7.5重量%である。
【0026】
また、本発明におけるカルボキシビニルポリマーの含有量は、好ましくは0.1~5.0重量%であり、より好ましくは0.5~3.0重量%である。
【0027】
また、本発明における非イオン性界面活性剤の含有量(2種類以上の非イオン性界面活性剤を含む場合には、合計の含有量)は、好ましくは0.2~15重量%であり、より好ましくは0.5~15重量%であり、さらに好ましくは1.0~12重量%である。本発明における非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の場合、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量は、好ましくは0.5~15重量%であり、より好ましくは1.0~6.0重量%である。本発明における非イオン性界面活性剤がポリソルベートの場合、ポリソルベートの含有量は、好ましくは0.5~15重量%であり、より好ましくは1.0~10重量%である。
【0028】
さらに本発明の皮膚外用剤におけるエタノールの添加量の範囲は、特に限定されないが、好ましくは5.0~50.0重量%であり、より好ましくは10.0~30.0重量%であり、さらに好ましくは10.0~25.0重量%であり、特に好ましくは10.0~20.0重量%である。
【0029】
さらに、多価アルコールを添加する場合における多価アルコールの添加量は特に限定されないが、いずれも好適には0.5~20%であり、より好ましくは、1.0~15%である。
【0030】
また、皮膚外用剤のpHの範囲は、好ましくは5.0~8.0であり、より好ましくは5.5~7.5である。
【0031】
本発明の皮膚外用剤において、上記成分以外の鎮痛消炎用の皮膚外用剤に通常使用される、薬物や医薬品添加物を添加することができる。
かかる薬物としては、例えば、グリチルレチン酸等の抗炎症剤、クロルフェニラミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン剤、ニコチン酸ベンジルエステル、トコフェロールまたはその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステルなどのトコフェロールのエステル)等の血行改善成分、トウガラシエキス、ノナン酸バニリルアミド、カプサイシン等の局所刺激成分、アルニカチンキ等の生薬成分等を挙げることができ、これらの薬物は、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。なお、本発明の皮膚外用剤は、トコフェロールまたはその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステル等のトコフェロールのエステル)を含んでも含まなくてもよいが、含まないことが好ましい。また、本発明の皮膚外用剤は、ノナン酸バニリルアミドを含んでも含まなくてもよいが、含まないことが好ましい。
【0032】
上記成分以外の医薬品添加物は、例えば、経時的な含量安定性や使用感の更なる向上等を目的として必要に応じて添加するものであり、例えば、湿潤剤、pH調節剤、抗酸化剤、清涼化剤、又は増粘剤等を挙げることができる。
かかる湿潤剤としては、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸等を添加することができる。
pH調節剤としては、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、乳酸、有機酸、有機アミン(例えば、トリエタノールアミン等)、リン酸等を用いることができる。
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸水和物、無水クエン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル等を用いることができる。
清涼化剤としては、例えば、カンフル、dl-カンフル、ハッカ油、ユーカリ油等を挙げることができる。
増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースの略)等を挙げることができる。
【0033】
本発明の皮膚外用剤の一例としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l-メントール、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、トリエタノールアミン、無水エタノール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベートおよび水を含む皮膚外用剤が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤の一例としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l-メントール、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、トリエタノールアミン、無水エタノール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベートおよび水のみからなる皮膚外用剤が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤の一例としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l-メントール、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、トリエタノールアミン、無水エタノール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート80および水を含む皮膚外用剤が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤の一例としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l-メントール、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、トリエタノールアミン、無水エタノール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート80および水のみからなる皮膚外用剤が挙げられる。
【0034】
本発明の皮膚外用剤の具体的な剤形としては、例えば、外用液剤、クリーム剤、スプレー剤(外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤)、又はゲル剤等を挙げることができ、各剤形に適した添加剤や基剤を適宜使用し、第17改正日本薬局方などに記載される通常の方法に従い、製造することができる。本発明における皮膚外用剤の剤形としては、ゲル剤が特に好ましい。
また、本発明の皮膚外用剤の製剤は、アルミニウム等の金属製の容器・包装、又は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製の容器・包装、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製の容器・包装、ポリエチレンとアルミニウム、ポリエチレンとアルミニウムとポリエチレンテレフタレート等を積層させたアルミラミネートフィルムを使用した容器・包装に収容し、密封することができる。
【0035】
本発明の皮膚外用剤は、鎮痛消炎用として、痛みや炎症を有する患者、例えば、腰痛、打撲、捻挫、肩こりに伴う肩の痛み、腱鞘炎、肘の痛み、関節痛等の患者に使用することができる。本発明の皮膚外用剤は、前記患者に対し、これを1日1~数回、適量を患部に塗布又は噴霧する。
以下に、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明する。
【実施例0036】
<試験例1>ロキソプロフェン含有皮膚外用剤の清涼感評価試験
(1)試験材料及び検体の調製
ロキソプロフェンナトリウム・2水和物はKOLON LIFE SCIENCE(株)製のものを、l-メントールは鈴木薄荷(株)製のものを、カルボキシビニルポリマーは住友精化(株)製のものを、ヒプロメロースは信越化学工業(株)製のものを、トリエタノールアミンは富士フィルム和光純薬(株)製のものを、無水エタノールは今津薬品工業(株)製のものを、マクロゴール400は日油(株)製のものを、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテルは日光ケミカルズ(株)製のものを、それぞれ使用した。以下の表1に記載した成分を混合して溶解後、検体1~6のゲル剤を得た。
【0037】
(2)評価方法
各検体の清涼感に対する影響をメントール及び冷刺激に応答性を示す受容体であるTRPM8の活性化を指標として評価した。
pcDNA3.2ベクターにヒトTRPM8遺伝子をクローニングし、CHO-K1細胞にトランスフェクションしてG-418で薬剤選択したのち、ウエスタンブロッティングによってTRPM8の発現を確認し、メントールへ応答する細胞を選抜してヒトTRPM8安定発現CHO-K1細胞株を作製した。ヒトTRPM8安定発現CHO-K1細胞株を384ウェルプレート(CORNING社製)に播種(10,000細胞/ウェル)し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。培地はHam's F-12K (Kaighn's) Medium(Gibco社製)に10%FBS、Penicillin-Streptomycinを添加したものを用いた。カルシウムプローブ溶液(Invitrogen社製;Fluo-4 Direct(登録商標) Calcium Assay Kit)を添加し、37℃で30分間、室温で30分間インキュベートした。その後、384ウェルプレートをFLIPR Tetra(モレキュラーデバイス社製)にセットし、蛍光強度(励起波長495nm、検出波長518nm)を1秒ごとに約2分間測定した。測定開始10秒後に、試験サンプル(最終濃度が0.2%になるように超純水で希釈された検体)を添加し、蛍光強度の変化を観察した。
TRPM8の活性は、試験サンプル添加後2分間における蛍光強度の最大値から試験サンプル添加前の蛍光強度を引いた蛍光強度上昇値を用いて評価した。各検体あたり6ウェルで評価を行い、その平均値を用いた。
【0038】
(3)試験結果
各検体の処方を表1に示す。
また、各検体のTRPM8の活性化への影響について結果を
図1に示す。
【0039】
【0040】
ロキソプロフェンナトリウム水和物の配合量1.13gはロキソプロフェンナトリウム1g(無水物換算)に相当する。
【0041】
検体1~6について、TRPM8の活性化を評価した結果を
図1に示す。検体1~6の比較により、ロキソプロフェン、l-メントール、カルボキシビニルポリマー及びエタノールを含有する外用剤において、可溶化剤(非イオン性界面活性剤)としてポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル又はポリオキシエチレンオレイルエーテルを配合した場合(検体4、5、6)に比べ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート60又はポリソルベート80を配合したほう(検体1、2、3)が、より強くTRPM8を活性化させた。したがって、ロキソプロフェン、l-メントール、カルボキシビニルポリマー及びエタノールを含む皮膚外用剤に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート60又はポリソルベート80を含有させることにより、製剤塗布時の清涼感を向上させることができたと考えられる。
【0042】
(製剤例)
以下の表2に記載した成分を攪拌・混合して溶解後、製剤例1~12の皮膚外用剤を得ることができる。
製造方法としては、上記成分及び分量を取り、日本薬局方製剤総則「外用液剤」、「ゲル剤」の項に準じて製造することができる。
【0043】
【0044】
※ロキソプロフェンナトリウム1g(無水物換算)に相当する。