(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111108
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ハイブリッドバルク音響波フィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/54 20060101AFI20220722BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H03H9/54 Z
H03H9/17 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022006133
(22)【出願日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】17/152,110
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517090646
【氏名又は名称】コーボ ユーエス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・ヒメネス
(72)【発明者】
【氏名】ウルフギャング・ヘーレン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルノット・ファッティンガー
(72)【発明者】
【氏名】マダール・アル・ジョウマイリー
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA07
5J108BB08
5J108EE03
5J108KK01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気機械的結合(およびしたがって帯域幅)および品質因子などの性能パラメータ間のより良好なバランスを備える高周波フィルタリング回路を提供する。
【解決手段】高周波フィルタリング回路は、第1のノード26と、第2のノード28と、第1のノードと第2のノードとの間の直列信号経路30と、を備える。いくつかの音響共振器は、直列信号経路を介して第1のノード及び第2のノードのうちの1つ以上に結合されている。音響共振器のうちの第1の音響共振器R1は、第1の品質因子及び第1の電気機械的結合係数に関連付けられている。音響共振器のうちの第2の音響共振器R2は、第2の品質因子及び第2の電気機械的結合係数に関連付けられている。第1の品質因子は、第2の品質因子とは異なり、第1の電気機械的結合係数は、第2の電気機械的結合係数とは異なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波フィルタリング回路であって、
・第1のノードおよび第2のノードと、
・前記第1のノードと前記第2のノードとの間の直列信号経路と、
・複数の音響共振器であって、各々が、前記直列信号経路を介して前記第1のノードおよび前記第2のノードのうちの1つ以上に結合されており、
・前記複数の音響共振器のうちの第1の音響共振器が、第1の品質因子および第1の電気機械的結合係数に関連付けられており、
・前記複数の音響共振器のうちの第2の音響共振器が、前記第1の品質因子が前記第2の品質因子とは異なるように、かつ前記第1の電気機械的結合係数が前記第2の電気機械的結合係数とは異なるように、第2の品質因子および第2の電気機械的結合係数と関連付けられている、複数の音響共振器と、を備える、高周波フィルタリング回路。
【請求項2】
前記複数の音響共振器の各々が、
・第1の電極と、
・前記第1の電極上にある圧電層と、
・前記圧電層が前記第1の電極と前記第2の電極との間にあるように、前記圧電層上にある第2の電極と、を備える、請求項1に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項3】
・前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器の前記圧電層が、第1の圧電材料を含み、
・前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器の前記圧電層が、第2の圧電材料を含み、
・前記第1の圧電材料が、固有の圧電材料であり、前記第2の圧電材料が、ドープされた圧電材料である、請求項2に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項4】
前記直列信号経路と接地との間に結合された1つ以上のシャント信号経路をさらに備える、請求項3に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項5】
・前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器が、前記直列信号経路内に結合されており、
・前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器が、前記1つ以上のシャント信号経路のうちの1つ内に結合されている、請求項4に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項6】
・前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器が、前記1つ以上のシャント信号経路のうちの1つ内に結合されており、
・前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器が、前記直列信号経路内に結合されている、請求項4に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項7】
前記複数の音響共振器が、バルク音響波共振器である、請求項3に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項8】
・前記第1の圧電材料が、固有の窒化アルミニウムであり、
・前記第2の圧電材料が、スカンジウムをドープした窒化アルミニウムである、請求項3に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項9】
第1の音響ダイおよび第2の音響ダイをさらに備え、前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器が、前記第1の共振器ダイ上に提供され、前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器が、前記第2の共振器ダイ上に提供される、請求項3に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項10】
前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器および前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器が、同じ音響ダイ上に提供される、請求項3に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項11】
・前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器の前記圧電層が、第1の圧電材料を含み、
・前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器の前記圧電層が、第2の圧電材料を含み、
・前記第1の圧電材料が、第1のドーピング濃度でのドーパントを含む圧電材料を含み、前記第2の圧電材料が、前記第1のドーピング濃度よりも大きい第2のドーピング濃度でのドーパントを含む前記圧電材料を含む、請求項2に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項12】
前記圧電材料が、窒化アルミニウムであり、前記ドーパントが、スカンジウムである、請求項11に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項13】
前記直列信号経路と接地との間に結合された1つ以上のシャント信号経路をさらに備える、請求項11に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項14】
・前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器が、前記直列信号経路内に結合されており、
・前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器が、前記1つ以上のシャント信号経路のうちの1つ内に結合されている、請求項13に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項15】
・前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器が、前記1つ以上のシャント信号経路のうちの1つ内に結合されており、
・前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器が、前記直列信号経路内に結合されている、請求項13に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項16】
前記複数の音響共振器が、バルク音響波共振器である、請求項11に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項17】
前記第1の圧電材料および前記第2の圧電材料が、スカンジウムをドープした窒化アルミニウムである、請求項11に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項18】
第1の音響ダイおよび第2の音響ダイをさらに備え、前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器が、前記第1の共振器ダイ上に提供され、前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器が、前記第2の共振器ダイ上に提供される、請求項11に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項19】
前記複数の音響共振器のうちの前記第1の音響共振器および前記複数の音響共振器のうちの前記第2の音響共振器が、同じ音響ダイ上に提供される、請求項11に記載の高周波フィルタリング回路。
【請求項20】
前記第2のドーピング濃度が、前記第1のドーピング濃度よりも1%高い、請求項11に記載の高周波フィルタリング回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高周波(RF)信号のフィルタリング回路、具体的には、バルク音響波(BAW)共振器を含むRF信号のフィルタリング回路に関する。
【背景技術】
【0002】
音響波デバイスは、現代の電子機器に広く使用されている。高レベルでは、音響波デバイスは、1つ以上の電極と接触する圧電材料を含む。圧電材料は、圧縮されるか、ねじれるか、または歪んだときに、電荷を取得し、同様に、電荷がそれらに印加されたときに、圧縮するか、ねじれるか、または歪む。したがって、圧電材料と接触する1つ以上の電極に交流電気信号が印加されるとき、対応する機械信号(すなわち、揺動または振動)がその中で伝達される。圧電材料上の1つ以上の電極の特徴、圧電材料の特性、ならびに音響波デバイスの形状およびデバイス上に提供される他の構造などの他の要因に基づいて、圧電材料内で変換される機械信号は、交流電気信号に周波数依存性を示す。音響波デバイスは、この周波数依存性を利用して、フィルタリングなどの1つ以上の機能を提供する。
【0003】
例示的な音響波デバイスは、BAW共振器を含み、これは、通信のためのRF信号の送受信で使用されるフィルタを形成するためにますます使用される。第5世代(5G)無線ネットワークの仕様など、現代のRF通信システムのフィルタに厳しい要求があるため、これらのアプリケーションの音響波デバイスは、高品質の係数および高帯域幅を提供する必要がある(これは、高電気機械的結合によって達成され得る)。
【発明の概要】
【0004】
1つの実施形態では、RFフィルタリング回路は、第1のノードと、第2のノードと、第1のノードと第2のノードとの間の直列信号経路と、を備える。いくつかの音響共振器は、直列信号経路を介して第1のノードおよび第2のノードに結合されている。音響共振器のうちの第1の音響共振器は、第1の品質因子および第1の電気機械的結合係数に関連付けられている。音響共振器のうちの第2の音響共振器は、第2の品質因子および第2の電気機械的結合係数に関連付けられている。第1の品質因子は、第2の品質因子とは異なり、第1の電気機械的結合係数は、第2の電気機械的結合係数とは異なる。第1のセットの性能基準を満たすための音響共振器のいくつか、および第2のセットの性能基準を満たすための音響共振器の他のものを提供することによって、電気機械的結合(およびしたがって帯域幅)および品質因子などの性能パラメータ間のより良好なバランスが、RFフィルタリング回路について達成され得る。
【0005】
音響共振器のうちの各々1つは、第1の電極と、第1の電極上にある圧電層と、圧電層が第1の電極と第2の電極との間にあるように、圧電層上にある第2の電極と、を含み得る。
【0006】
音響共振器のうちの第1の音響共振器の圧電材料は、音響共振器のうちの第2の音響共振器の圧電材料とは異なり得る。特に、音響共振器のうちの第1の音響共振器は、第1の圧電材料を含む圧電層を含み得、音響共振器のうちの第2の音響共振器は、第2の圧電材料を含む圧電層を含み得る。
【0007】
1つの実施形態では、第1の圧電材料は、固有の窒化アルミニウムを含み、第2の圧電材料は、スカンジウムをドープした窒化アルミニウムを含む。
【0008】
別の実施形態では、第1の圧電材料は、第1のドーピング濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムを含み、第2の圧電材料は、第1のドーピング濃度よりも大きい第2のドーピング濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムを含む。
【0009】
当業者は、添付の図面と関連付けられた好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、本開示の範囲を理解し、かつその追加的な態様を実現するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部分を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を示し、かつ説明とともに本開示の原理を説明するための役割を果たす。
【0011】
【
図1A】本開示の様々な実施形態による音響共振器の断面図を示す。
【
図1B】本開示の様々な実施形態による音響共振器の断面図を示す。
【
図2】圧電層の品質因子、電気機械的結合、およびドーピング濃度の間の関係を示すグラフである。
【
図3】本開示の1つの実施形態による、RFフィルタリング回路を示す概略図である。
【
図4A】本開示の様々な実施形態による、RFフィルタリング回路の品質因子、入力インピーダンス、および周波数の間の関係を示すグラフである。
【
図4B】本開示の様々な実施形態による、RFフィルタリング回路の品質因子、入力インピーダンス、および周波数の間の関係を示すグラフである。
【
図5A】本開示の様々な実施形態による、入力インピーダンス、S21、およびRFフィルタリング回路の周波数の間の関係を示すグラフである。
【
図5B】本開示の様々な実施形態による、入力インピーダンス、S21、およびRFフィルタリング回路の周波数の間の関係を示すグラフである。
【
図6A】本開示の様々な実施形態による、RFフィルタリング回路のフィルタ応答を示すグラフである。
【
図6B】本開示の様々な実施形態による、RFフィルタリング回路のフィルタ応答を示すグラフである。
【
図7】本開示の1つの実施形態による、RFフィルタリング回路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明される実施形態は、当業者が実施形態を実施できるようにするために必要な情報を表し、実施形態を実施する最良の形態を例示する。添付の図面に照らして以下の説明を読むと、当業者は、本開示の概念を理解し、かつ本明細書で特に扱われないこれらの概念の用途を認識するであろう。これらの概念および用途は、本開示および添付の特許請求の範囲内に入ることを理解されたい。
【0013】
本明細書では、第1、第2などの用語を使用して、様々な要素を説明することができるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素と別の要素を区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けられた列挙した項目のうちの1つ以上のいくつか、およびすべての組み合わせを含む。
【0014】
層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上」にある、またはその「上」に延在するように呼ばれる場合、その要素は、他の要素上に直接的にあるか、もしくはその上に直接的に延在することができ、または介在する要素がまた存在し得ることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素の「直接的に上」にある、または「直接的に上」に延在するように呼ばれる場合、介在する要素は存在していない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素「にわたって」ある、またはそれ「にわたって」延在するように呼ばれる場合、その要素は、他の要素にわたって直接的にあるか、もしくはそれにわたって直接的に延在することができ、または介在する要素がまた存在し得ることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接的にわたって」ある、または「直接的にわたって」延在するように呼ばれる場合、介在する要素は存在していない。要素が、別の要素に「接続されている」、または「結合されている」ように呼ばれる場合、それは、他の要素に直接的に接続され得、もしくは結合され得、または介在する要素が存在し得ることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接的に接続されている」、または「直接的に結合されている」ように呼ばれる場合、介在する要素は存在していない。
【0015】
本明細書では、「下方」もしくは「上方」または「上側」もしくは「下側」または「水平」もしくは「垂直」などの相対的な用語を使用して、図に示すように、1つの要素、層、または領域と、別の要素、層、または領域との関係を説明し得る。これらの用語および上で考察される用語は、図に示された配向に加えて、デバイスの異なる配向を包含することを意図していることが理解されよう。
【0016】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことをさらに理解されたい。
【0017】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるようなものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、かつ本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないであろうことをさらに理解されたい。
【0018】
図1Aは、本開示の1つの実施形態による音響共振器10を示している。音響共振器10は、基板12と、基板上にある反射器14であって、反射器14が、ブラッグ反射器を提供するためにそれらの材料特性(反射器層16Aおよび16Bとして示されている)が交互になっているいくつかの反射器層16を含む、反射器14と、反射器14上にある第1の電極18と、第1の電極18上にある圧電層20と、圧電層20が第1の電極18と第2の電極22との間にあるように、圧電層20上にある第2の電極22と、を含む。
【0019】
1つの実施形態では、基板12は、シリコンを含む。反射器14は、酸化シリコン(例えば、層16Aは、酸化シリコンを含み得る)およびタングステン(例えば、層16Bは、タングステンを含み得る)の交互の層を備え得る。第1の電極18および第2の電極22は、モリブデンを含み得る。特に、基板12、反射器14、第1の電極18、および第2の電極22について上述した材料は、単なる例示であり、当業者は、本明細書に記載される原理から逸脱することなく、多くの異なる材料がこれらの層に使用され得ることを容易に理解するであろう。
【0020】
圧電層20は、窒化アルミニウムを含み得る。上で考察されるように、5Gネットワークのために提案されるものなどの現代の無線通信規格の高い要求を満たすために、RFフィルタリング回路を形成する音響共振器のための電気機械的結合、ひいては帯域幅の増加が望まれる。音響共振器10の電気機械的結合を増加させるために、圧電層20は、スカンジウムをドープした窒化アルミニウムとして提供され得る。スカンジウムをドープした窒化アルミニウムとして圧電層20を提供することは、電気機械的結合を増加させ、したがって、音響共振器10の帯域幅を増加させる。しかしながら、電気機械的結合の増加は、品質因子の低減の代償である。上で考察される同じ現代の無線通信規格もまた、高品質因子を必要とするため、電気機械的結合(およびしたがって帯域幅)および品質因子の要件の両方を満たすRFフィルタリング回路を提供することは困難である。
【0021】
図1Bは、本開示の追加の実施形態による音響共振器10を示している。
図1Bに示される音響共振器10は、音響共振器が
図1Aに示されるようにしっかりと装着された共振器ではなく、薄膜バルク音響共振器であるように、反射器14が取り外され、空気キャビティ23が第1の電極18の下に提供されていることを除いて、
図1Aに関して上で考察されるものとほぼ同じである。当業者には容易に理解されるように、本開示の原理は、任意のタイプの音響共振器に適用される。
【0022】
図2は、圧電層20の窒化アルミニウム中のスカンジウムのドーピングパーセンテージ、品質因子、および音響共振器10の電気機械的結合の間の関係を示すグラフである。特に、
図2は、品質因子を示す実線の垂直軸および線、電気機械的結合を示す破線の垂直軸および線、およびドーピング濃度を示す水平軸を示している。示されているように、スカンジウムのドーピング濃度が左から右に増加すると、電気機械的結合が増加する一方で、品質因子が減少する。上で考察されるように、現代のRFフィルタリング回路で使用される音響共振器のための高電気機械的結合および高品質因子の両方を有することが望ましい。
【0023】
図3は、本開示の1つの実施形態による、RFフィルタリング回路24を示す概略図である。RFフィルタリング回路24は、第1のノード26と、第2のノード28と、第1のノード26と第2のノード28との間にある直列信号経路30と、直列信号経路30と接地との間にあるいくつかのシャント信号経路32と、を含む。第1の音響共振器R1は、第1のノード26と第1の中間ノード34Aとの間に結合されている。第2の音響共振器R2および第1のインダクタL1は、第1の中間ノード34Aと接地との間に直列に結合されて、第1のシャント信号経路32Aを提供する。第3の音響共振器R3は、第1の中間ノード34Aと第2の中間ノード34Bとの間に結合されている。第4の音響共振器R4および第2のインダクタL2は、第2の中間ノード34Bと接地との間に直列に結合されて、第2のシャント信号経路32Bを提供する。第5の音響共振器R5は、第2の中間ノード34Bと第3の中間ノード34Cとの間に結合されている。第6の音響共振器R6および第3のインダクタL3は、第3の中間ノード34Cと接地との間に結合されて、第3のシャント信号経路32Cを提供する。第7の音響共振器R7は、第3の中間ノード34Cと第4の中間ノード34Dとの間に結合されている。第8の音響共振器R8および第4のインダクタL4は、第4の中間ノード34Dと接地との間に直列に結合されて、第4のシャント信号経路32Dを提供する。第9の音響共振器R9は、第4の中間ノード34Dと第5の中間ノード34Eとの間に結合されている。第10の音響共振器R10および第5のインダクタL5は、第5の中間ノード34Eと接地との間に直列に結合されて、第5のシャント信号経路32Eを提供する。第11の音響共振器R11は、第5の中間ノード34Eと第2のノード28との間に結合されている。第12の音響共振器R12および第6のインダクタL6は、第2のノード28と接地との間に直列に結合されて、第6のシャント信号経路32Fを提供する。
【0024】
注目すべきことに、
図3に示されるRFフィルタリング回路24は、単なる例示である。当業者は、音響共振器およびインダクタの数、ならびに第1のノード26と第2のノード28と接地との間のそれらの配置が、RFフィルタリング回路24の特定の仕様に基づいて変化することを理解するであろう。本開示に記載される概念は、同様に、ラダートポロジ、格子トポロジ、横断トポロジ、または任意の他のタイプのトポロジを含む、RFフィルタリング回路のすべてのトポロジに適用される。
【0025】
一般に、RFフィルタリング回路24内の音響共振器(R1~R12)は、電気機械的結合(およびしたがって帯域幅)および品質因子などのそれらの性能特徴に関して均一である。これは、すべての音響共振器(R1~R12)が、その圧電層20に対して同じ材料を利用するためである。例えば、すべての音響共振器(R1~R12)は、スカンジウムをドープした固有の窒化アルミニウムまたは窒化アルミニウムのうちの1つである、圧電層20を有する。これらの材料に関して上で考察される品質因子と電気機械的結合との間のトレードオフにより、これは、電気機械的結合(およびしたがって帯域幅)または品質因子のいずれかに関して、RFフィルタリング回路24の準最適な性能をもたらす。
【0026】
電気機械的結合と品質因子との間のより良好なトレードオフを達成するために、第1の電気機械的結合係数および第1の品質因子を有する音響共振器(R1~R12)のいくつかを提供し、第2の電気機械的結合係数および第2の品質因子を有する残りの音響共振器(R1~R12)を提供することが本明細書で提案されている。第1の電気機械的結合係数は、第2の結合係数とは異なり、第1の品質因子は、第2の品質因子とは異なる。特に、第1の電気機械的結合係数は、第2の電気機械的結合係数よりも小さくてよく、第1の品質因子は、第2の品質因子よりも大きくてよい。音響共振器(R1~R12)のうちのいくつかが、第1セットの性能基準を満たすように構成されており、音響共振器(R1~R12)の残りのものが、第2セットの性能基準を満たすように構成されているこのアプローチは、ハイブリッドアプローチと呼ばれる。
【0027】
ハイブリッドアプローチを達成するための1つの方法は、第1の圧電材料(第1の品質因子および第1の電気機械的結合係数を提供する)を含む音響共振器(R1~R12)のうちのいくつかの圧電層20を提供し、第1の圧電材料とは異なる第2の圧電材料(第2の品質因子および第2の電気機械的結合係数を提供する)を含む音響共振器(R1~R12)のうちの残りのものの圧電層20を提供することである。上述の例示的なRFフィルタリング回路24では、第2の音響共振器R2および第12の音響共振器R12は、第1の圧電材料を含む圧電層20を有し、一方で、残りの音響共振器(R1およびR3~R11)は、第2の圧電材料を含む圧電層20を有し得る。1つの実施形態では、第1の圧電材料は、固有の窒化アルミニウムであり、第2の圧電材料は、スカンジウムをドープした窒化アルミニウムである。この構成はまた、第1の圧電材料がスカンジウムをドープした窒化アルミニウムであり、第2の圧電材料が固有の窒化アルミニウムであるように逆にすることもできる。別の実施形態では、第1の圧電材料は、第1の濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムであり、第2の圧電材料は、第1のドーピング濃度よりも大きい第2のドーピング濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムである。1つの実施形態では、第2のドーピング濃度は、第1のドーピング濃度より少なくとも1%高い。本開示はまた、第2のドーピング濃度が第1のドーピング濃度よりも1%超高い実施形態を企図する。様々な実施形態では、第2のドーピング濃度は、第1のドーピング濃度より少なくとも2%高い、少なくとも3%高い、少なくとも4%高い、少なくとも5%高い等であり得る。注目すべきことに、本開示は、第1の圧電材料および第2の圧電材料について窒化アルミニウムに限定されない。様々な実施形態では、第1の圧電材料および第2の圧電材料は、タンタル酸リチウム、酸化亜鉛、およびチタン酸ジルコン酸鉛の任意の組み合わせであり得る。さらに、本開示は、ドーパントとしてのスカンジウムに限定されない。様々な実施形態では、ドーパントは、ガリウム、イットリウム、クロム、またはマグネシウムおよびジルコニウムならびにマグネシウムおよびチタンなどの複数の元素の共ドープの任意の組み合わせであり得る。当業者は、上記材料が単なる例示であり、本開示の原理が任意の圧電材料および/またはドーパントに適用されることを理解するであろう。
【0028】
注目すべきことに、上で考察される実施例は、第1の圧電材料を含む圧電層20を有する第2の音響共振器R2および第12の音響共振器R12、ならびに第2の圧電材料を含む圧電層20を有する残りの音響共振器(R1およびR3~R11)を説明しているが、音響共振器(R1~R12)のうちのいずれか1つは、音響共振器(R1~R12)のうちの任意の他の1つとは異なる圧電材料を含む圧電層20を有し得る。一部の実施形態では、第1の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器(R1~R12)のうちの1つは、シャント信号経路32のうちの1つ以上に提供される。他の実施形態では、第1の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器(R1~R12)のうちの1つは、直列信号経路30に提供される。さらに他の実施形態では、第1の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器(R1~R25)のうちの1つは、直列信号経路30およびシャント信号経路32のうちの1つ以上の両方に提供される。一般に、当業者は、RFフィルタリング回路24のフィルタ応答のパスバンドを提供することに関与する音響共振器(R1~R12)内のより高い電気機械的結合を提供する材料を有する圧電層20を使用し得、一方で、RFフィルタリング回路24のフィルタ応答のエッジを提供することに関与する音響共振器(R1~R12)内のより高い品質因子を提供する材料を有する圧電層20を使用し得る。
【0029】
上で考察されるように、従来の設計では、RFフィルタリング回路24の音響共振器(R1~R12)は、均一な圧電層20を有するように提供されるであろう。したがって、RFフィルタリング回路24の音響共振器(R1~R12)は、一般に、単一の音響ダイ上に提供されるであろう。一部の実施形態では、RFフィルタリング回路24内のすべての音響共振器(R1~R12)は、同様に、同じ音響ダイ上に提供される。このようなアプローチは、音響共振器(R1~R12)の圧電層20の材料および/またはドーピングの違いに起因して、より高度なダイ成型加工技術を必要とし得る。他の実施形態では、RFフィルタリング回路24の成型加工を簡略化するために、音響共振器(R1~R12)は、その圧電層20に使用される材料に基づいて別個のダイ上に提供され得る。例えば、第1の音響ダイは、第1の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器(R1~R12)のうちの1つに対して使用され得、一方で、第2の音響ダイは、第2の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器(R1~R12)のうちの1つに対して使用され得る。
【0030】
上記の実施例は、第1の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器の第1のサブセットと、第2の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器の第2のサブセットとを企図しているが、本開示はまた、それらの音響共振器が任意の数のサブセットに分割され、各々が異なる圧電材料を有するRFフィルタリング回路に適用される。例えば、本開示は、圧電層20が固有の窒化アルミニウムである音響共振器の第1のサブセットと、その圧電層20が第1のドーピング濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムである音響共振器の第2のサブセットと、その圧電層20が第1のドーピング濃度よりも高い第2のドーピング濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムである音響共振器の第3のサブセットと、を有する、RFフィルタリング回路に適用される。当業者は、本開示が概して、RFフィルタリング回路における音響共振器の異なるサブセットに対する異なる圧電材料の使用を企図し、その性能を向上させることを認識するであろう。
【0031】
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ、固有にドープされた圧電層(例えば、窒化アルミニウム)およびドープされた圧電層(例えば、スカンジウムをドープした窒化アルミニウム)を有する、音響共振器の入力インピーダンスおよび品質因子を示すグラフである。特に、
図4Aおよび
図4Bに示されるグラフ内の実線は、入力インピーダンスを図示し、一方で、破線は、品質因子のBodeプロットを図示する。示されるように、固有にドープされた圧電層を有する音響共振器の共振周波数と反共振周波数との間の距離は、ドープされた圧電層を有する音響共振器と比較して比較的小さい。これは、ドープされた圧電層を有する音響共振器が、固有の圧電層を有する音響共振器よりも高い電気機械的結合および帯域幅を有することを示している。グラフはまた、固有の圧電層を有する音響共振器についての著しく高い品質因子を示しており、したがって、上で考察される電気機械的結合(およびしたがって帯域幅)と品質因子との間のトレードオフを示している。
【0032】
図5Aおよび
図5Bは、一対の音響共振器の入力インピーダンスおよびSパラメータ(|S21|)を示すグラフであり、ここで、
図5Aでは、一対の音響共振器は、両方ともドープされた圧電層(例えば、スカンジウムをドープした窒化アルミニウム)を含み、
図5Bでは、一対の音響共振器のうちの1つは、固有の圧電層を含み、一方で、音響共振器のうちの他の1つは、ドープされた圧電層(例えば、窒化アルミニウム)を含む。
図5Aおよび
図5Bでは、実線は、|S21|を示しており、破線は、一対の音響共振器のうちの第1の音響共振器の入力インピーダンスを示しており、点線および破線は、一対の音響共振器のうちの第2の音響共振器の入力インピーダンスを示している(
図5Bでは、一対の音響共振器のうちの第1の音響共振器は、固有の圧電層を含み、一方で、一対の音響共振器のうちの第2の音響共振器は、ドープされた圧電層を含む)。
図5Aを
図5Bと比較すると、
図5Bは、下部バンドエッジにおけるより大きな勾配、およびしたがってより低い損失を示している。
【0033】
図6Aは、産業用、科学用、および医療用(ISM)バンドの周りのRFフィルタリング回路24の拒絶を示すグラフである。
図6Aでは、破線は、その中のすべての音響共振器が同じ材料(例えば、固有の窒化アルミニウム)からなる圧電層を有する場合のRFフィルタリング回路24の性能を表しており、実線は、上で考察されるように、音響共振器のうちのいくつかが残りの音響共振器(例えば、固有の窒化アルミニウムおよびスカンジウムをドープした窒化アルミニウム)とは異なる材料を含む圧電層を有するRFフィルタリング回路24の性能を表している。グラフのハッチングされたボックスは、ISMバンドの所望の拒絶を示している。示されるように、音響共振器のうちのいくつかが、音響共振器のうちのいくつかに高い電気機械的結合を提供し、音響共振器のうちの他の1つに高い品質因子を提供するために、他のものとは異なる材料を含む圧電層を有するハイブリッドアプローチを使用するとき、ISMバンドの勾配およびしたがって拒絶が改善される。
【0034】
図6Bは、関心のあるバンド内のRFフィルタリング回路24の挿入損失を示すグラフである。
図6Aのように、破線は、その中のすべての音響共振器が同じ材料(例えば、固有の窒化アルミニウム)からなる圧電層を有する場合のRFフィルタリング回路24の性能を表しており、実線は、上で考察されるように、音響共振器のうちのいくつかが残りの音響共振器(例えば、固有の窒化アルミニウムおよびスカンジウムをドープした窒化アルミニウム)とは異なる圧電材料を有するRFフィルタリング回路24の性能を表している。グラフ内のハッチングされたボックスは、関心のあるバンドを示している。示されるように、音響共振器のうちのいくつかが他のものとは異なる圧電材料を有するハイブリッドアプローチは、より高い帯域幅をもたらし、したがって、関心のあるバンドの底端での損失を少なくする。
【0035】
要するに、
図5A、
図5B、
図6A、および
図6Bのグラフは、音響共振器のサブセットが、上で考察されるもののような音響共振器の他の部分とは異なる材料を有する圧電層を有するハイブリッドアプローチを使用することにより、RFフィルタリング回路におけるすべての音響共振器が均一な圧電層を有し、したがって、電気機械的結合、帯域幅、および品質因子の間の同一の関係を有するアプローチよりも、電気機械的結合(およびしたがって帯域幅)と品質因子との間のより良好なトレードオフをもたらすことを示している。
【0036】
上で考察されるように、
図3に示されるRFフィルタリング回路24は、単なる例示である。本開示の原理は、シングルバンドフィルタ、ダイプレクサ、トリプレクサなどを含む、RFフィルタリング回路の任意のトポロジに適用することができる。したがって、
図7は、ダイプレクサとして構成されたRFフィルタリング回路24を示している。RFフィルタリング回路24は、第1のノード26と、第2のノード28と、第1のノード26と第2のノード28との間にある直列信号経路30と、直列信号経路30と接地との間にあるいくつかのシャント信号経路32と、を含む。直列信号経路30およびそれに結合されたシャント信号経路32の構成は、
図2に示される構成に類似している。特に、第1の入力出力インダクタLIO1は、第1のノード26と接地との間に結合されている。第1の音響共振器R1は、第1のノード26と第1の中間ノード34Aとの間に結合されている。第2の音響共振器R2および第1のインダクタL1は、第1の中間ノード34Aと接地との間に直列に結合されて、第1のシャント信号経路32Aを提供する。第3の音響共振器R3は、第1の中間ノード34Aと第2の中間ノード34Bとの間に結合されている。第4の音響共振器R4および第2のインダクタL2は、第2の中間ノード34Bと接地との間に直列に結合されて、第2のシャント信号経路32Bを提供する。第5の音響共振器R5は、第2の中間ノード34Bと第3の中間ノード34Cとの間に結合されている。第6の音響共振器R6および第3のインダクタL3は、第3の中間ノード34Cと接地との間に結合されて、第3のシャント信号経路32Cを提供する。第7の音響共振器R7は、第3の中間ノード34Cと第4の中間ノード34Dとの間に結合されている。第8の音響共振器R8および第4のインダクタL4は、第4の中間ノード34Dと接地との間に直列に結合されて、第4のシャント信号経路32Dを提供する。第9の音響共振器R9は、第4の中間ノード34Dと第5の中間ノード34Eとの間に結合されている。第10の音響共振器R10および第5のインダクタL5は、第5の中間ノード34Eと接地との間に直列に結合されて、第5のシャント信号経路32Eを提供する。第11の音響共振器R11は、第5の中間ノード34Eと第6の中間ノード34Fとの間に結合されている。第12の音響共振器R12および第6のインダクタL6は、第6の中間ノード34Fと接地との間に直列に結合されて、第6のシャント信号経路32Fを提供する。第2の入力出力インダクタLIO2は、第6の中間ノード34Fと第2のノード28との間に結合されている。
【0037】
RFフィルタリング回路24は、第3のノード38と、第1のノード26と第3のノード38との間に結合された追加の直列信号経路40と、追加の直列信号経路40と接地との間に結合されたいくつかの追加のシャント信号経路42と、をさらに含む。第13の音響共振器R13は、第1のノード26と第7の中間ノード34Gとの間に結合されている。第14の音響共振器R14および第7のインダクタL7は、第7の中間ノード34Gと接地との間に直列に結合されて、第1の追加のシャント信号経路42Aを提供する。第15の音響共振器R15は、第7の中間ノード34Gと第8の中間ノード34Hとの間に結合されている。第16の音響共振器R16および第8のインダクタL8は、第8の中間ノード34Hと接地との間に直列に結合されて、第2の追加のシャント信号経路42Bを提供する。第17の音響共振器R17は、第8の中間ノード34Hと第9の中間ノード34Iとの間に結合されている。第18の音響共振器R18および第9のインダクタL9は、第9の中間ノード34Iと接地との間に直列に結合されて、第3の追加のシャント信号経路42Cを提供する。第19の音響共振器R19は、第9の中間ノード34Iと第10の中間ノード34Jとの間に結合されている。第20の音響共振器R20および第10のインダクタL10は、第10の中間ノード34Jと接地との間に直列に結合されて、第4の追加のシャント信号経路42Dを提供する。第21の音響共振器R21は、第10の中間ノード34Jと第11の中間ノード34Kとの間に結合されている。第22の音響共振器R22および第11のインダクタL11は、第11の中間ノード34Kと接地との間に直列に結合されて、第5の追加のシャント信号経路42Eを提供する。第23の音響共振器R23は、第11の中間ノード34Kと第12の中間ノード34Lとの間に結合されている。第24の音響共振器R24は、第12の中間ノード34Lと接地との間の第12のインダクタL12と直列に結合されて、第6の追加のシャント信号経路42Fを提供する。第3の入力出力インダクタLIO3は、第12の中間ノード34Lと第3のノード38との間に結合されている。
【0038】
当業者は、
図7に示されるRFフィルタリング回路24が単なる例示であることを理解するであろう。音響共振器の数、ならびに第1のノード26と第2のノード28と第3のノード38と接地との間のそれらの配置は、RFフィルタリング回路24の特定の仕様に基づいて変化するであろう。本開示に記載されている概念は、格子および修正された格子トポロジを含む、RFフィルタリング回路のすべてのトポロジに等しく適用される。
【0039】
図7に示されるRFフィルタリング回路24は、第1のRFバンド内の信号が第1のノード26と第2のノード28との間で分離されて渡され、第2のRFバンド内のRF信号が第1のノード26と第3のノード38との間で分離されて渡されるように、ダイプレクサ機能を提供し得る。上で考察されるようなハイブリッドアプローチを使用することは、第2の音響共振器R2、第12の音響共振器R12、第13の音響共振器R13、第15の音響共振器R15、第21の音響共振器R21、および第23の音響共振器R23に、第1の圧電材料を含む圧電層20を提供し、音響共振器の残りのもの(R1、R3~R11、R14、R16~R20、R22、およびR24)に、第1の圧電材料とは異なる第2の圧電材料を含む圧電層20を提供することを含み得る。1つの実施形態では、第1の圧電材料は、固有の窒化アルミニウムであり、第2の圧電材料は、スカンジウムをドープした窒化アルミニウムである。別の実施形態では、第1の圧電材料は、第1の濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムであり、第2の圧電材料は、第1のドーピング濃度よりも大きい第2のドーピング濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムである。1つの実施形態では、第2のドーピング濃度は、第1のドーピング濃度よりも1%高い。本開示はまた、第2のドーピング濃度が第1のドーピング濃度よりも1%超高い実施形態を企図する。様々な実施形態では、第2のドーピング濃度は、第1のドーピング濃度より少なくとも2%高い、少なくとも3%高い、少なくとも4%高い、少なくとも5%高い等であり得る。
【0040】
特に、音響共振器(R1~R24)のうちのいずれか1つは、音響共振器(R1~R24)のうちの任意の他の1つとは異なる材料を含む圧電層20を有し得る。一般に、当業者は、フィルタ応答のパスバンドを提供することに関与する音響共振器(R1~R24)内のより高い電気機械的結合を提供する材料を有する圧電層20を使用し得、一方で、RFフィルタリング回路24のフィルタ応答のエッジを提供することに関与する音響共振器(R1~R24)内のより高い品質因子を提供する材料を有する圧電層20を使用し得る。
【0041】
上で考察されるように、従来の設計では、RFフィルタリング回路24の音響共振器(R1~R24)は、均一である圧電層20を有するように提供されるであろう。したがって、RFフィルタリング回路24の音響共振器(R1~R24)は、一般に、単一の音響ダイ上に提供されるであろう。一部の実施形態では、すべての音響共振器(R1~R24)は、同様に、同じ音響ダイ上に提供される。このようなアプローチは、音響共振器(R1~R24)の圧電層20における材料および/またはドーピングの違いに起因して、より高度なダイ成型加工技術を必要とし得る。他の実施形態では、RFフィルタリング回路24の成型加工を簡略化するために、音響共振器(R1~R24)は、その圧電層20に使用される材料に基づいて別個のダイに分離され得る。例えば、第1の音響ダイは、第1の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器(R1~R24)のうちの1つに対して使用され得、一方で、第2の音響ダイは、第2の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器(R1~R24)のうちの1つに対して使用され得る。
【0042】
上記の実施例は、第1の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器の第1のサブセットと、第2の圧電材料を含む圧電層20を有する音響共振器の第2のサブセットと、を企図しているが、本開示はまた、それらの音響共振器が任意の数のサブセットに分割され、各々が異なる圧電材料を有するRFフィルタリング回路に適用される。例えば、本開示は、圧電層20が固有の窒化アルミニウムである音響共振器の第1のサブセットと、その圧電層20が第1のドーピング濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムである音響共振器の第2のサブセットと、その圧電層20が第1のドーピング濃度よりも高い第2のドーピング濃度でスカンジウムをドープした窒化アルミニウムである音響共振器の第3のサブセットと、を有する、RFフィルタリング回路に適用される。当業者は、本開示が概して、RFフィルタリング回路における音響共振器の異なるサブセットに対する異なる圧電材料の使用を企図し、その性能を向上させることを認識するであろう。
【0043】
当業者は、本開示の好ましい実施形態に対する改善および修正を認識するであろう。そのような改善および修正はすべて、本明細書で開示される概念および以下に続く特許請求の範囲内で考慮される。
【外国語明細書】