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▶ インクラインド、ラブズ、アクチボラグの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111115
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】人間飛行のための風洞
(51)【国際特許分類】
   G01M 9/04 20060101AFI20220722BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G01M9/04
A63B69/00 518
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076766
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2018561177の分割
【原出願日】2017-02-14
(31)【優先権主張番号】1650199-1
(32)【優先日】2016-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】518289690
【氏名又は名称】インクラインド、ラブズ、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】INCLINED LABS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】アントン、ウエストマン
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル、ヨーレン
(72)【発明者】
【氏名】ユーハン、ストレムベリ
【テーマコード(参考)】
2G023
【Fターム(参考)】
2G023AA01
2G023AB01
2G023AB13
2G023AC01
2G023AD01
2G023BB26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】研究またはレクリエーションのための安定した持続的な人間飛行のための風洞を提供する。
【解決手段】風洞は第1の中心軸線(A)を有する第1の部分(6)と第2の中心軸線(B)を有する第2の部分(1)とを有するトンネルであって、第2の部分(1)は試験セクションである、トンネルと、互いに対して第1の角度で配置された前記第1の中心軸線(A)および前記第2の中心軸線(B)と、試験セクション内に空気流を生成するための少なくとも1つのファンとを備え、前記第2の中心軸線(B)は、水平面に対して第2の角度であり、前記第2の角度は5°~85°である。本発明はまた、安定した持続的な人間飛行のための傾斜風洞の安全システムに関し、試験セクション(1)を使用する人が前記試験セクション(1)を離れることを防止するために、試験セクション(1)に配置された区切り装置を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研究またはレクリエーションのための安定した持続的な人間飛行のための風洞であって、前記風洞は、
第1の中心軸線(A)を有する第1の部分(6)と第2の中心軸線(B)を有する第2の部分(1)とを有するトンネルであって、前記第2の部分(1)は試験セクションである、トンネルと、
互いに対して第1の角度で配置された前記第1の中心軸線(A)および前記第2の中心軸線(B)と、
前記試験セクション内に空気流を生成するための少なくとも1つのファン(120)と
を備え、
前記第2の中心軸線(B)は、水平面に対して第2の角度であり、前記第2の角度は5°~85°である、
風洞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研究またはレクリエーションのための人間飛行のための風洞に関し、風洞は、
第1の中心軸線を有する第1の部分と第2の中心軸線を有する第2の部分とを有するトンネルであって、第2の部分は試験セクションである、トンネルと、
互いに対して第1の角度で配置された前記第1の中心軸線および前記第2の中心軸線と、
試験セクション内に空気流を生成するための少なくとも1つのファンと
を備える。
本発明はまた、傾斜風洞のための安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水平風洞は、1世紀以上にわたって、物体、特に飛行物体の周りの空気の流れを研究するために使用されてきた。早くも1901年に、OrvilleとWilbur Wrightは、小型の翼プロファイルを水平なチューブに固定し、気流に曝して、エアフォイル(翼型)の特性、抗力、揚力を調べた。実際に飛行することなく飛行をシミュレートするこの簡単な方法は、最新の航空機および気流に曝される他のデバイスの開発において中心的な役割を果たした。現代の水平風洞は、典型的には、ファンシステムによって推進される空気を再循環させる閉鎖トンネル回路を有する。再循環には、エネルギーを節約し、トンネル外の騒音を最小限に抑えるなどの利点がある。高速流動運転では、再循環空気がエネルギーを維持し、したがって徐々に温度が上昇するので、冷却システムが必要とされる。典型的には、再循環風洞システムは、90度の角を有する長方形の回路として設計される。研究に使用される風洞の部分(通常は「試験セクション」と呼ばれる)はトンネルシステム全体の寸法と見なされ、主パラメータは、ダクトの幅(W)および長さ(L)である。現代の再循環トンネルシステムでは、試験セクションの前に縮小セクションがあり、試験セクションにおいて高品質(低乱流強度および長さスケール)で高い流速を生成するために、断面積を4~9の範囲のファクタ(因数)で減少させ、通常、第1の拡大ダクトセクション、2つの90度回転、ファンシステム、ならびに追加の拡大ダクト、および縮小セクションに戻る2つの90度回転が続く。このシステム設計の理由は、試験セクションの空気力学的効率と流れの品質を含むいくつかのファクタの組合せである。全体として、現代の水平風洞のシステム設計上の限界の影響は、人間の体の大きさの物体を取り囲むことができる大規模な試験セクションで良質な高い流速を提供する場合には、それらが非常に大きくて非常に重くなることである(25~50メートルの長さと数十から数百メートルトンのオーダ)。
【0003】
物体が固定されていなくても自由に浮遊するもう1つのタイプの風洞は、今日、主にスカイダイビングシミュレーションに使用される垂直風洞である。重力加速度の方向とは正反対に、例えば垂直上方に空気を吹き付けることにより、物体または人が垂直に上昇する気流のクッション上に浮遊している力平衡状態に達することができる。この目的のために、垂直風洞内の物体は飛行することができないので、水平風洞ではなく垂直風洞が適しており、垂直風洞で飛行を開始する物体は、その前方運動量のために、すぐに壁に当たってしまうことになる。水平風洞は、研究対象物が自由に飛行することを許さずに飛行をシミュレートするのに適しており(これは、例えばプロペラまたはジェットエンジンを用いてトンネル内でアクティブな推進を必要とする)、垂直風洞は、物体を飛行させることなく自由に浮遊させるのに適していると言うことができる。
【0004】
米国特許第7156744号明細書「Recirculating Vertical Wind Tunnel skydiving simulator」は、人々を空気のクッション上で浮遊するのを維持するための最先端の垂直風洞技術を記載している。いくつかの他の特許はスポーツやレクリエーション目的のための様々な垂直風洞設計を記載しており、スポーツや経験に基づく消費のためのこのタイプのレクリエーションデバイスに大きなビジネス価値と公共の利益を示している。垂直風洞はこの種のスポーツにおいて重要な発展を遂げてきたが、ケージのような実際の飛行を妨げる垂直壁によって制限されているように見える。このスポーツ集団では、この制限を克服し、人々が屋内で実際の飛行を経験するための条件を作り出す風洞装置が望ましい。
典型的には、垂直スポーツ用風洞は、約30mの高さであり得る。最適な風洞では、直径4mの試験セクションは54mの高さが必要であるが、このような大規模な建造物の建設許可を得ることは困難であるため、垂直スポーツ用風洞の設計者および製造業者は、この値をわずかに低下させるための様々な技術的回避策を試みた。多くの場合、ショッピングモール内や他のスポーツやレクリエーション会場の近くなど、スポーツやレクリエーションの場に顧客がアクセスできるようにすることが望ましいが、基本的な設計が非常に高いタワーであれば困難である。
したがって、人間飛行を達成できる改良された風洞が明らかに必要であり、トンネルシステムの必要な高さ寸法が今日の垂直スポーツトンネルよりも小さい場合には利点がある。人間が使用する任意のタイプの風洞には、負傷のリスクを最小限に抑えるために風洞を安全に使用するための安全システムが必要である。従来知られている垂直風洞用の安全システムは、一般に、トンネルを使用する人が着用し、インストラクタまたは他の安全要員が手に持つハーネスまたは衣類に締められた少なくとも1つのストラップまたはハンドルからなる。従来技術の安全システムは、各フライヤのための安全インストラクタを必要とするためにコストがかかり、人間をアンカーポイントとして関与させるために安全性が低く、トンネルを使用して人が行うことができる可能な動きが制限される。
【0005】
米国特許第3276251号明細書「Test unit free flight suspension system」は、風洞試験セクション内に吊るされた航空機モデルを維持するための最先端の風洞技術を記載している。米国特許第1947962号明細書「Aeronautic training apparatus」のようないくつかの他の特許は、風洞システムで使用するためのサスペンションシステムの様々な設計を記載している。しかしながら、所望の厳密な区切り特性と組み合わされた所望の三次元運動の全範囲を可能にして、フライヤが試験セクションから離れたり、その内部構造と衝突することを防止したりする技術は記載されていないので、傾斜風洞における人間のフライヤのための安全システムとしての使用にはどれも適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7156744号明細書
【特許文献2】米国特許第3276251号明細書
【特許文献3】米国特許第1947962号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の問題を解消するか、または少なくとも最小限にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これは、添付の独立請求項による風洞によって達成される。
【0009】
本発明は、概念的に可能な第3のタイプの風洞、すなわち傾斜した斜めの風洞を利用することによって、以前の制限を克服する。斜めの風洞では、気流は、固定されていない物体または動物の適切で自由で持続的な滑空飛行を可能にする水平面(水平面は重力加速度の方向に対して垂直に画定される)に対して特定の角度で斜め上方に流れる。この角度は、風洞の試験セクションと5°~85°、好ましくは15°~60°の水平に配置されたトンネル部分、30°~75°の垂直に配置されたトンネル部分との間の角度に対応して、水平面に対して5°~85°、好ましくは15°~60°である。
【0010】
したがって、本発明による風洞は、水平または垂直のいずれかとすることができる、上向きに角度を付け、トンネルシステムの残りの部分に対して傾斜した試験セクションである風洞部分を備える。本発明の一態様は、重力加速度の方向に対して傾斜した試験セクション(飛行チャンバとも呼ばれる)を有する風洞装置を提供し、これにより、人間が持続的な滑空飛行を行うことができる。傾斜角は、水平または垂直の風洞のファンシステムの吸込側のセクションでのみ、ガスの流れ(典型的には空気)を水平面に対して特定の角度でリダイレクト(転向)することによって達成される。
【0011】
斜めの風洞は実際の飛行をシミュレートする点で本質的に水平風洞に似ているが、その中の飛行体が空中に浮かぶようにサポートする必要がない点で垂直風洞と特性を共有している。飛行体の特性に依存して、真の持続的な滑空飛行のための斜めの風洞は、流速と角度の両方を変化させることができ、その幾何学的形状に一定の変動を有することが望ましい。低角および低流速は、バルサ材の小さなモデル面に適しているが、翼スーツ内の人間は、より急な角度およびより高い流速を必要とし、翼スーツのない人間は、斜めの風洞で安定した持続的な滑空飛行のために水平面に対してさらに急な角度を必要とし、場合によっては少なくとも200km/hの流速を必要とする。例えば、より大きな断面積に拡大することによって、試験セクションの形状が長手方向に非等方的である場合、これにより、より多様な飛行体に適応し、飛行活動の実行およびさらなる進展を容易にすることができる。
【0012】
斜めのスポーツトンネルは、上述の垂直風洞と同じ高さマージンを必要とせず、例えばショッピングモールのエスカレータの隣に容易に取り付けられることができる。理論的には、大容量の斜めのスポーツトンネルは、全高が20mをかなり下回るように構築され得る。垂直スポーツトンネルと比較して、斜めのスポーツトンネルは、運動選手が飛ぶので、エネルギー消費量が大幅に少なくて済み、実行者(特に翼スーツを使用する場合)のために空気流が実際に揚力を生成するため、必要な流速が低減される。エネルギー消費の低減は大きな経済的利点である。必要な流速の低減により、部分的には、エネルギー消費量がより少なくなり、部分的には、地域の周辺の騒音レベルが低下するため、環境上の利点である。また、人間を重力加速度の方向とは正反対に持ち上げるために必要な垂直風洞の厳しいハリケーンと比較して、流速の低減は怪我のリスクの観点からも有益であると思われる。
【0013】
本発明の別の態様は、主流れ方向(または平面)から効率的な方法(低圧力損失)でガス流の方向を変更する手段を提供するものであり、以下のいずれかを用いて(またはその組合せで)リダイレクトした後に適切な流れ場を提供する:
1.個別に調整可能な回転ベーン。これにより、試験セクション内の垂直勾配に沿って可変の空気流、例えばトンネル底部でのより速い流れが可能になる。
2.試験セクションの角度が変化したときに機械的に続く固定された回転ベーン。
3.ベーンを有さない試験セクションの幾何学的形状とガス流の吸排気。
1,2,および3(幾何学的形状の例を含む)を達成するための望ましい技術的手段、および異なる代替案/実施形態の外観は、詳細な説明および図面に示されている。
【0014】
本発明の別の態様は、所定の位置に固定されるか、または係合位置に機械的に出入りすることができるようにガス流の方向を変更する前記手段を提供するものであり、これにより、主トンネルシステムのデュアル使用、すなわち通常運転(例えば、垂直風洞)または前記斜め運転モードを可能にする。解放されたモードでは、1,2,および3を達成するための前記技術的手段は、それが影響を受けないように機能するために、主トンネルダクトシステムから取り除かれる。この態様は、既存の水平および垂直トンネルを改造することを可能にし、斜めトンネルを係合するか否かを随意により選択することができる。
【0015】
本発明の別の態様は、風洞システムの他の部分が変更される、すなわち、上昇、下降、または他の方法で動かされることなく、角度が運転中に動的に変更され得るような方法で、水平面(すなわち、重力加速度の方向に対して垂直な平面)に対して可変の傾斜角を有する傾斜試験セクション(飛行チャンバ)を提供するものである。これは、滑空飛行中、飛行の異なる位置およびモードにおいて飛行する人間の飛行中のニーズに動的応答するための手段を提供する。試験セクションの調整可能な可変角度を、運転の性質に応じて動的に調整することができる。後に求められる可能性のある活動(人間飛行)について今日知られていることに基づいて、水平面に対して15°から60°の範囲が望ましい。試験セクションの可変角度を達成するための機械的手段は、詳細な説明および図面に示されている。
本発明の別の態様は、飛行の様々な位置とモードで滑空飛行中の飛行する人間の飛行中のニーズを満たすために、試験セクション内の気流が運転中に動的に変更され得るような方法で、気流の速度が動的に可変の傾斜風洞を提供するものである。可変の流速は、ファンシステム、調整可能な回転ベーン、または試験セクションの幾何学的形状およびガス流の吸排気、またはこれらの組合せによって達成され得る。
【0016】
本発明の別の態様は、例えば滑空飛行中の飛行する人間のニーズを満たすために、運転の性質に適合させて、試験セクション内の非等方的な流れ場の流れ方向にて、変化を提供するものである。これは、試験セクション(例えば、下流の拡大セクションおよび/または湾曲した壁)および/またはその直前(上流)および/または直後(下流)のセクションの非等方的な幾何学的形状を使用することによって、または飛行セクションの上流のセクション内の調整可能な回転ベーンを使用することによって達成される。
【0017】
本発明の別の態様は、再循環トンネルシステムを達成し、エネルギー消費を低減し、熱を節約し、騒音を低減し、全天候運転を可能にするために、傾斜セクションの空気流を主トンネルループに、したがって主流面に再接続する戻りダクトを提供するものである。前記戻りダクトは、固定されたもしくは調整可能な回転ベーンまたは他の手段を含むことができ、その結果、前記戻りダクト内の損失が低減される。
【0018】
本発明の別の態様は、圧力変化のために空気流を停止または妨害することなく人々を2段階のステージング領域(エアロックシステム)の間で移動させることができるように、飛行チャンバに隣接して接続された2段階のステージング領域を有する傾斜風洞試験セクションを提供するものである。
【0019】
本発明の別の態様は、人々が安全かつ十分に制御された方法で気流を停止させることなく気流の内外に移動できるように配置されたエアロックシステムを有する出入り領域を有する傾斜風洞セグメントを提供するものである。本発明の上記態様のすべてまたは様々な組合せは、動物および人間のサイズ以上の物体の持続的な滑空飛行を可能にするのに十分な大きさおよび流動能力を有する傾斜風洞を構築する課題を解決する。
【0020】
本発明の別の態様は、トンネル壁(トンネル「床」およびトンネル「天井」を含む)に接続され、風洞を使用している人(「フライヤ」)が着用するハーネスにアタッチメント/クイックリリースシステムで接続されたストラップのサスペンションシステムを提供するものである。偶発的な切断のリスクを最小限に抑えるために、クイックリリースシステムを有さないことがユーザにとって望ましい場合がある。
【0021】
安全システムの1つの態様によれば、試験セクションに配置された区切り装置が設けられ、これにより、試験セクションを使用する人が前記試験セクションから離れることを防止する。安全システムの利点は、図12図15および図17図18を参照して以下にさらに開示される。
【0022】
安全システムの別の態様によれば、フライヤと試験セクションの周囲との、および/または追加のフライヤとの接触または衝突を防止するために、試験セクションに配置された区切り装置が設けられる。前記装置は、フライヤの横方向および縦方向のある程度の動きを可能にしながら、前記接触または衝突を妨げる。安全システムの利点は、図12図15および図17図18を参照して以下にさらに開示される。
【0023】
本発明のこれらおよび他の利点は、以下の詳細な説明を考慮すれば、当業者には容易に明らかとされよう。
本発明を添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】水平トンネルシステムに取り付けられた傾斜風洞セクションを有する、本発明の好ましい実施形態による風洞の側面図である。
図2a】垂直トンネルシステムに取り付けられた傾斜風洞セクションの側面図である。
図2b】単純化された戻りダクト設計を有する垂直トンネルシステムに取り付けられた傾斜風洞セクションの側面図である。
図3】水平トンネルシステムに取り付けられた本発明の空気力学的流れプロファイルおよびいくつかの技術的特徴と共に、持続的な滑空飛行中の人間を示す傾斜飛行セクションの側面図である。
図4】水平の場合の傾斜飛行セクションと主トンネルシステムとの間の可撓性接続部の詳細を示す側面図である。
図5】傾斜飛行セクションを主トンネル(この図では水平)に接続するアタッチメントセクションの側面図であり、具体的には流れをガイドする「回転ベーン」の実装態様である。
図6】傾斜飛行セクションを主トンネル(この図では水平)に接続する可撓性接続部の詳細な側面図であり、具体的には流れをガイドする調整可能な「回転ベーン」の実装態様である。
図7】本発明の動的に調整可能な回転ベーンの主な構造の側面図であり、特定の範囲の方向転換角度で空気流を方向付けることができる回転ベーンの図である。
図8a】傾斜飛行セクションへの人間または物体の出入りのための2段階の「ダブルエアロック」ステージングシステムの側面図である。
図8b】傾斜飛行セクションへの人間または物体の出入りのための2段階の「ダブルエアロック」ステージングシステムの上面図である。
図9】水平主トンネルシステムの場合について示したベーンおよびダクト構成における、傾斜飛行セクションの下流部分、下流のアクセスゾーン、設備および戻り流セクションの側面図である。
図10】水平主トンネルシステムの場合について示した矩形の旋回流戻りダクト構成を使用する完全な傾斜風洞アセンブリの側面図である。
図11】デュアル2段階アクセスシステム、制御室、透明壁構成要素、および観客/撮影領域の配置および構成を示す傾斜風洞アセンブリの上面図である。
図12】本発明による風洞と共に使用するための2点サスペンションシステムバージョンの側面図である。
図13図12と同じ条件を示す図であるが、フライヤは4点サスペンションシステムで固定されている。
図14図13と同じ条件を示す図であり、フライヤは4点式接続システムで固定され、手持ち式ストラップも追加され、ここには、保持端に柔らかいゴム製のリングが示されている。
図15図13と同じ条件の正面図であり、フライヤは5点サスペンションシステムによって固定されている。
図16a】風洞の傾斜セクションの空気流を示す図である。
図16b】風洞の傾斜セクションの空気流を示す別の図である。
図16c】風洞の傾斜セクションの空気流を示すさらに別の図である。
図17】安全システムの一部としてのサスペンションシステムの追加の特徴を開示する図である。
図18a】傾斜風洞のための安全システムの平面図であって、トンネルの形状、大きさ、向きは、風洞を使用する人の怪我の危険性を最小限に抑える働きをするシステムズである。
図18b】傾斜風洞のための安全システムの別の平面図であって、トンネルの形状、大きさ、向きは、風洞を使用する人の怪我の危険性を最小限に抑える働きをするシステムズである。
図18c】傾斜風洞のための安全システムのさらに別の平面図であって、トンネルの形状、大きさ、向きは、風洞を使用する人の怪我の危険性を最小限に抑える働きをするシステムズである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここでいう水平面とは、重力加速度の方向に対して垂直な面であり、図1ではCで示されている。
【0026】
本明細書で使用される「安定した持続的な人間飛行」という用語は、無制限の時間にわたって実行され、所望の期間にわたって空気中で持続され得る人間のための飛行を指す。発進と着陸は、試験セクションの同じ場所または異なる部分で実施することができ、着陸は発進の上流と下流の両方で行うことができる。人間またはフライヤが空中に留まることを可能にする傾斜試験セクション、風速、流れ場の形状および特性の組合せにより、飛行自体を所望により持続することができ、フライヤは試験セクションの長さと幅に沿って移動することができ、持続的な飛行に適した空力的条件を依然として経験することができる。対照的に、いくつかの風洞は、それぞれがトンネルの異なる部分にある固定された発進領域と着陸領域を有し、一方から他方への飛行は厳密に時間制限されている。
【0027】
ここで図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態による滑空飛行のための傾斜風洞の実装形態が示されている。この好ましい実施形態は、水平流動計画を有する風洞を開示しているが、図2a~図2bを参照して以下にさらに説明するように、本発明では他の種類の風洞も使用できることに留意されたい。
【0028】
図1において、風洞100は、本質的に水平に延びる第1の中心軸線Aを有する第1の部分6を有する。風洞100はまた、第2の中心軸線Bを有する第2の部分1を備え、前記第2の部分1は、試験セクションまたは飛行チャンバ(これらの用語は、本明細書では交換可能に使用される)とも呼ばれる傾斜風洞飛行セクションである。
【0029】
風洞100はまた、風洞100内に空気の流れを生成するための少なくとも1つのファン120を備える。風洞の各部分における空気流は、中心軸線と本質的に平行であるので、第1の部分6における流入流f1は、第1の軸線Aの方向と同じ流れ方向を有し、試験セクション1における傾斜流f2は、第2の軸線Bに平行な流れ方向を有する。第1の角度αは、第1の軸線Aと第2の軸線Bとの間に形成される。
【0030】
したがって、試験セクション1では、流れ方向は、流入流f1から傾斜流f2まで第1の角度αで垂直にそらされる。前記第1の角度αは、好ましくは5°~85°の間であり、結果として、人間およびより大きな物体/ボディの吊るされた滑空飛行に適した垂直に傾斜した流れf2をもたらす。第2の軸線Bもまた、重力加速度gの方向に垂直な水平面Cに対する第2の角度βにある。前記第2の角度βは、吊るされた滑空飛行に適した5°~85°、より好ましくは15°~60°である。
【0031】
第1の部分6が本質的に水平であるこの実施形態および他の実施形態では、第1の角度αは第2の角度βに等しい。
【0032】
流れ方向の変化は、前記第1の部分6内の縮小部5の後の第1の部分6と傾斜飛行セクションのトンネル1とを接合する接続部3によって達成される。接続部3を、縮小部5の前に配置することもでき、空気力学的抵抗がより少ないという利点をもたらす。接続部3は、第1の角度αがアクチュエータ7によって調整可能である可撓性要素で設計されており、この場合、傾斜飛行セクション1に取り付けられた液圧シリンダ、および施設8の基部、すなわち、風洞100が位置する建物の床として示されている。アクチュエータは、機械的であってもよく、また、上記取付点または他の場所に取り付けられてもよい。接続部3は、内部がトンネル壁に対して滑らかなままであり、第1の角度αが変更されてもトンネル内の流れが乱されないように設計され、流れをシールする可撓性のある外側シェルを使用して、接続部の周囲の空間への気流が非常に少なく、トンネル内の流れに対するじょう乱が低減されるようにする。接続部3は、滑らかな内部および流れをシールする外面を有する1つの層で作られてもよい。
【0033】
図1に示す実施形態では、流れの方向転換は、図3図4,および図5により詳細に示されている流れ促進セグメント9,10の組合せを用いて、接続部への入口および接続部自体の幾何学的形状に沿って行われ、これにより、水平トンネル6から傾斜飛行セクション1への滑らかな移行をもたらす。流れ促進セグメント9,10は、特に、壁に沿って剥離されていない流れで流れ方向転換が行われ、傾斜飛行セクションで適切な流れ分布を達成するように設計され、持続的な滑空飛行訓練のために傾斜セクションの流れを貧弱にする可能性のある、後流、乱流渦、壁の剥離、低速ゾーンまたは他の流れじょう乱を避けるようにする。接続部全体にわたる幾何学的なトンネル壁の連続性は、壁の曲率が連続的な方向の微分で連続的になるように設計されているので、流れは接続部を通って壁に付着したままであり、流れじょう乱を回避する。さらに、接続部のトンネル壁には小さな通気孔が設けられてもよく、空気は周囲から壁を通過して、所定の位置で接続部および傾斜したダクトに入ることができ、その結果、後続の傾斜ダクトにおける壁の剥離および渦形成が低減される。方向転換促進セグメント9,10は、動作を使用して第1の角度αでそれらの形状が変化するように設計され、その結果、流れの方向転換は、作動される傾斜角度の全範囲において最適なままである。接続部3はまた、第1の角度の変更に対応するために形状の変化を可能にするように拡張可能である。
【0034】
図1に示す実施形態では、傾斜飛行セクション1は一定領域のセクションを使用し、傾斜飛行セクションにおいて一定の流速状態をもたらす。傾斜飛行セクションの後には安全セクション11があり、流速は傾斜飛行セクションの流速の何分の1かまで減少する。この減少した流速は、減少した速度が「非飛行」状態をもたらし、飛行している被験者が制御された方法で制御された地上静止状態に安全に戻ることができるという点で、持続的な滑空飛行を行う人または物体にとってより安全な条件を可能にする。
【0035】
図1に示す実施形態では、安全セクション11に続く傾斜飛行セクション1の後に、第2の接続部12、戻り流セクション13、および最後に相互接続セクション14が続く。セクション12,13,14のこの組合せを、一般に、第2の部分の下流端を第1の部分の上流端に接続するように構成された導管と呼ぶことができる。導管は、流れが主流面15に向かう方向に転換され、次いでこれと直列に流れるように戻されるように設計されるため、流れ方向は、飛行セクションの流れ方向f2から戻り方向f3に変化して、最終的に戻り流れ方向f4に変化する。第2の接続部および第1の相互接続セクション14の両方は、前述の接続部3と同様に、可撓性要素および流れが最適な湾曲壁設計を使用する。これらのセクションでは、導管の一部を形成する主トンネル戻りダクト18への流れの逆戻しにおける流れ摩擦圧力損失を最小にするために、流れをガイドする角度調整可能な回転ベーン16,17を使用することもできる。さらに、戻り流ダクトを含む導管全体を試験セクション(1)の角度に応じて角度を変えるように配置することも可能であり、その結果、低圧力損失でトンネルシステム全体の高効率を維持しながら風洞システム全体のコンパクトな設計をもたらすことができる。
【0036】
図1に示す実施形態では、戻り流セクション13は、第1の角度αが変更されたときに生じる幾何学的変化を含むために、スライドする可撓性壁セクションを使用して拡張可能である。拡張可能なダクト壁は、トンネル内の圧力損失を低減し、したがってシステムを推進するエネルギーの必要性を低減するために、最小限の抗力が誘発されるように設計される。
【0037】
図2aは、図1のものと同様の設計の実装態様を示しているが、スカイダイビングシミュレータのような垂直風洞システムに取り付けられ、水平面に垂直で重力加速度の方向に平行な主流面110を有する。この実装態様は、図1に参照された前述の実施形態のものと同様のすべての特定のセクションおよびアイテムを含む。この実施形態では、垂直である流入方向flは、第1の接続部3において第1の角度αにそらされ、試験セクション1において傾斜した流れ方向f2を有し、第2の接続部12を使用して、流れを戻り方向f3に向けて主流れ平面に戻し、最後に、第1の相互接続セクション14を通過させ、ここで戻り流れ方向f4が主流れ平面110と整列するように戻される。前述の実施形態と同様に、セクションは、滑空飛行セクションにおける高品質で乱れない流れを達成するための特定の設計を採用し、全体的な設計における低圧損失をもたらす。
【0038】
第1の部分6が実質的に垂直である実施形態では、第1の角度αは90°~βに等しいので、第1の角度αは5°~85°、好ましくは30°~75°である。
【0039】
スカイダイビングシミュレーション用に設計された垂直風洞における本装置の実装に関連する図2bに示す別の実施形態では、第1の部分6内の垂直流は、接続部3において、図2aに示すように水平面に対して5°~85°の角度β、好ましくは15°~60°の角度βを有する傾斜した流れ方向f2を有する滑空飛行セクション1にリダイレクトされる。滑空飛行セクション1には、第1の相互接続セクション14が続き、その中で流れが主トンネルシステムの戻り流ダクトに合うようにリダイレクトされる。この装置は、建物の固体構造に取り付けられた液圧または機械的アクチュエータ7を用いて滑空飛行セクションを傾斜させることによって可変傾斜角を含む。柔軟な傾斜角度を含むために、第2の接続部および第1の相互接続部12,14は、前述の実施形態と同様の可撓性要素の設計を使用し、滑空飛行セクション1および戻りダクトの両方は、スライド式ダクト壁を備えた伸縮機能を使用して、傾斜角が変更される際に長手方向に拡張することができる。
【0040】
図3は、安定した持続的な滑空飛行を実行する人間200を示しており、人間にかかる重力が空気力学的揚力FLおよび空気力学的抗力FDと平衡している。これらの力は、例えば、傾斜角、流速場300、人間の体重、人間の空力プロファイル、人間と気流との間の迎え角γ、有効な翼の面積と形状、翼荷重(翼の翼プラットフォーム面積に対する全懸架重量の比)などのいくつかの要因の関数である。人間フライヤは、翼スーツのような滑空比(すなわち、水平面に対する滑空路角)を高める衣服を着用しても、しなくてもよい。飛行中、人間のスポーツフライヤは、運動技術によってこれらの空力的変数のいくつかを意図的に変更し、傾斜トンネルセクション内で飛行中に動き回ることが予想される。
【0041】
図3に示す実施形態では、水平トンネル6と傾斜トンネルセクション1とを接続する接続部3は、空気流の角度または流れ場を調整する手段を含む。この実施形態では、前記手段は、天井130および床140の両方における流れ方向転換促進セグメントを備える。流れ方向転換促進セグメントを、ここでは、天井および床から延びる突起として見ることができ、これらの突起は、少なくとも1つの壁部分(天井および床を含む)に配置されてもよく、また、調整可能な形状であってもよく、オペレータまたはオペレーティングシステムは、所与の状況に応じて形状を変更してもよい。
【0042】
天井流れ促進セグメント130は、傾斜セクション1の天井に付着したままの流れを確保し、傾斜飛行セクションにおける持続的な滑空飛行の訓練を不利にするような傾斜セクションの天井の乱れた後流を発生させ得る流れの剥離を防止する。床流れ促進セグメント140は、流入平面流れ場400を変更して、傾斜セクション内で分散した流れ場300(傾斜ダクト床近くで流速が高く、天井近くで流速が低い)になるように設計され、人間や物体が床に近づくにつれてより高い揚力(より高い流速による)を作り出すことによって、人間/物体をトンネルの中央部に持ち上げ、天井に近づくにつれてより低くし、滑空飛行訓練が自己安定して安全に行われるように設計されている。
【0043】
人間のフライヤからの安全要件とスポーツ要件の両方に応じて、垂直勾配に沿った他の流れの変動が生成されてもよい。これらの求められる変動のいくつかは、今日の理論的な議論だけでは完全には知られていないかもしれないが、本発明は、異なるタイプの運転からの様々な要求に対応するために、垂直勾配に沿ったそのような変動が生成されることを可能にする。
【0044】
別の実施形態では、空気流の角度または流れ場を調整するための手段は、固定式または可動式であり得て、互いに個別に動くことができる回転ベーンを含むこともできる。
【0045】
さらに別の実施形態では、空気流れ場の角度を調整する前記手段は、試験セクション(1)または任意の先行セグメントのいずれかの天井に取り付けられた単一の固定ベーンまたは角度調整可能な回転ベーンの使用を含むことができ、天井流れ促進セグメント130に直接接続して配置される。このような構成は、試験セクションの下流で流れ場の品質を安定化させ、試験セクションの天井における流れの壁の剥離を、特に25度を超える傾斜角で減少させることが証明されている。
【0046】
したがって、空気流の角度または流れ場を調整するための手段は、接続部の天井に配置された少なくとも1つの回転ベーン210を備えることができる。これは、試験セクション1に均一な流れ場を提供し、渦の発生を回避するのに好適である。いくつかの実施形態では、それぞれが固定された角度または調整可能な角度のいずれかである複数の回転ベーンを有することが好適であり得る。
【0047】
この実施形態の別の態様では、傾斜滑空飛行セクション1が、滑空飛行セクションにおいて流れ方向に沿ってトンネルダクト断面積が増加するように設計され、その結果、出口セクション150に近い出口流れプロファイル500は、傾斜滑空飛行セクション1内の入口流れプロファイル400よりかなり大きさが低くなる(最大速度と平均速度の両方)。滑空飛行セクションの長軸線の下流の速度の大きさのこの変化により、人間/物体200に自己安定化の別の態様が与えられる。人間/物体200が滑空飛行を実行し、傾斜セクションから上流でより高い流速のより狭い断面の領域に移動すると、それに応じて対向する抗力FDが増加し、人間/物体を下流に提案された出口セクション150の方向に引き戻す。なお、一部のフライヤにとっては、ここでは出口セクションと呼ばれるものが飛行セクションの入口と出口の両方であることが望ましい場合がある。出口セクションに達する前のある時点で、抗力は重力の平行成分と平衡し、平衡が成立して、自己安定効果を生成する。このような長軸線の流速の勾配は、安全面およびスポーツ面の両方に関係する。トンネルを出ることは、より低流速の環境ではより安全であると予想されるが(したがって、下流のドアは出口と呼ばれる)、一部のフライヤによっては下流のドアからトンネルに入るのが望ましい場合もあり、一方では、他のフライヤは上流のドアを通って入ることを望む場合がある。初心者は、トンネル全体が比較的低い流速で作動する状態で上流ドアを通って入ることを望むかもしれない。これは、増加する断面積によって、飛行チャンバの下流部分をサブフライトの流速にすることで、非飛行と飛行を同時に行うことが可能になり、初心者が飛行セクションの端部までに流れ着くことができないという安全上の意味がある。したがって、トンネル100は、運転中に人がトンネル100に出入りすることを可能にするためにエアロック付きの少なくとも1つのアクセスドアを備える。より好ましくは、トンネル100は、少なくとも2つのアクセスドアを備えてもよく、前記ドアは試験セクションの一方の側(1つは上流側、1つは下流側)に配置される。
【0048】
傾斜滑空飛行セクション1と立体建築構造に取り付けられたアクチュエータ7は、傾斜セクションの角度を変更する働きをするが、この実施形態では、水平面に対して15°~60°の範囲に限定され、これは好ましい滑空角の範囲である。
【0049】
図4は、本発明の一実施形態の特定の態様を示している。図4は、傾斜滑空飛行セクション1を水平トンネルセクション6に取り付ける接続部3を示しており、セクションの外側に可撓性流れシール材と連結する別個の可撓性ユニット160,170,180を備え、これにより、傾斜セクションを水平セクションに可撓性かつ流れをシールする方法で接合する。傾斜セクション1に先行して水平セクション6にスライドすることができる傾斜セクションに取り付けられた内壁190,195は、壁からの空気力学的抗力を低減し、後続のトンネルセクションでの滑空飛行訓練に適した流動性をもたらす壁に付着した流れ場を維持する滑らかな壁の移行を提供する。これらの態様が使用されない場合、流れは接続部の間に壁の剥離を経験し、渦および後流および他の流れじょう乱を引き起こすことになる。
【0050】
図5は、本発明の実施形態の別の特定の態様を示している。図5は、傾斜滑空飛行セクション1を水平トンネルセクション6に取り付ける接続部3を示し、ガイド回転ベーン210を使用して制御された方法で流れをそらし、結果として、後続の傾斜セクションで持続的な滑空飛行を行うためのトンネル断面全体の均一な流れ場のような優れた特性を有する流れ場をもたらす。
【0051】
図6は、調整可能な流れガイドベーン210のアレイを使用して、水平方向の流入方向flを有する水平トンネルセクション6の主流面から傾斜滑空飛行セクション1の傾斜流れ方向f2への流れの方向転換を達成する実施形態の態様を示している。ガイドベーン210のアレイは、傾斜滑空飛行セクションにおいて制御された流れ場を生成し、結果として、流れの方向転換によって生成された場合よりも、流れの圧力損失がより低くなる。一実施形態では、ガイドベーンは、流入方向に対して20°~70°の範囲の方向転換角度で個別に調整することができるように構築され、その結果、水平面に対して15°~60°の好ましい傾斜角をもたらす。また、ガイドベーンは、傾斜滑空飛行セクションの幅および長さに沿って所望の流れ場分布を設定する滑空飛行制御パネル(図示せず)から動的に制御され、その結果、例えば、限定されないが、飛行セクションの床近くで流速がより高い部分的に自己安定した飛行など、様々なタイプの滑空飛行を行うための好適な流れ条件、または飛行セクションのダクト幅の中央に集中して流速が高いより高性能の流れ条件をもたらす。
【0052】
図7は、図6に記載された実施形態で使用される、最大角で流れを方向転換させるために完全に拡張された調整可能なガイドベーン210の技術的設計の詳細を示しており、各調整可能なベーンアセンブリは、いくつかの拡張可能なベーンセクション211,212,213を備え、各ベーンセクションは、典型的には20°である特定の方向転換角度α1,α2,α3を有し、流出方向f2が終了した下流端に、ベーン出口から流れを直接ガイドするフラットパネル215を有する追加の拡張部を備え、その結果、流れの方向性が良く、圧力損失が少なく、流れ乱流が少なくなる。各ベーンセクションには、すべてのベーンセクションが取り付けられる中心軸216に正しい位置に各ベーンセクションを保持する構造的なバー214が取り付けられている。この中心軸216は、先端縁部のベーンセクション211が取り付けられて固定されている静止軸と、後続の2つのベーンセクション212,213が取り付けられた同心の回転可能なジョイントとを備える。これらの回転可能なジョイントは、個々の動的制御のために、完全なベーンアセンブリの側面に取り付けられたアクチュエータによって制御される。
【0053】
図8aおよび図8bを参照すると、本発明の別の実施形態が記載されており、傾斜滑空飛行セクション1の上流端に位置する2段階アクセスシステム600が記載されている。アクセスコンパートメント601は、人間または物体の傾斜飛行セクションへの出入りのために使用される。2段階システムは、2つの分離された圧力封止コンパートメント、すなわち控え室として機能する第1のコンパートメント602と、飛行前室としての第2のコンパートメント603とを含み、ここで、滑空飛行訓練を待って準備する間に、複数の人間および/または物体が滞在することができる。飛行前室603から、飛行セクションは、ドア材料を覆わずにオープンアクセスゲート604を介して容易にアクセスされる。記載された2段階アクセスシステムの使用は、飛行トンネル内の流速を低下させることなく飛行セクションへの出入りを可能にするという利点があり、それによりエアロックシステムを生成する。これにより、トンネルのはるかに効率的な運転が可能になり、複数の人や物体が、選択された順序で飛行セクションに出入りすることが可能になる。1段階システムを使用する場合、外部室と飛行セクションの内部との圧力差は、内部が周囲よりも低い圧力にあるので、飛行セクションへの即時の有意な流れをもたらし、結果として、飛行セクションにおける流れに強いじょう乱をもたらす。このような大きなじょう乱は、トンネルの壁に衝突することによる安全性リスク、および人身傷害または物体の損傷のリスクを伴う、飛行セクション内の物体または人に対する制御不能な空気力学的な力のリスクを意味する。これらのリスクは、一度に1つのドアのみが開かれる2段階システムによって緩和され、出入りする間に内外への流れが生じないことを意味する。2段階アクセスシステムのもう1つの重要な利点は、安全インストラクタおよび/または機械オペレータが最も内側のコンパートメントに位置し、飛行セクションとその内部の人または物にすぐにアクセスできることであり、風洞全体の安全な運転が可能になる。何らかの重大な人身傷害が発生した場合には、本明細書に記載された、上流および下流に位置するデュアルアクセスの設定は、怪我人を引き出すことを容易にする。人身傷害により、ファンがシャットダウンして緊急に即座に気流が完全に停止するようになった場合、怪我人はおそらく重力によって上流のドアに向かって滑り落ちることになる。下流のドアがそのより低い流速のために通常の運転中の好ましいアクセスとして使用され得るとしても、この地点にアクセスゾーンを有することは、基本の安全要件として見なされる。
【0054】
第1の部分6が本質的に垂直である場合、上流のドア600の配置は特に重要である。
【0055】
図9を参照すると、本発明の別の実施形態が記載されており、下流アクセスドア701で下流アクセスゾーン700に接続されている傾斜滑空飛行セクション1の下流セクションと、調整可能な角度の流れガイドベーン210のアレイを有する第2の接続部12と、戻りセクション13とが示されている。図9には、傾斜飛行セクションがどのように拡大する断面で設計されるかが示されており、下流により大きい断面積を達成し、これにより、傾斜飛行セクションの長さに沿ってより低い流速をもたらす。この拡大は、壁に付着した流れの状態を維持し、かつ不安定な流れの状態の危険性または乱流を最小限に抑えながら、有意な流速低下を達成するために、トンネルの中心線に対して2°~8°の範囲の壁の拡大角度(δ1)を含む。下流の入口/出口セクション700の入口において、トンネル中心線に対して5°~20°の範囲のより大きな壁の拡大角度δ2が使用されて、流速が大きく低下し、下流アクセスゾーンでの安全な状態、および下流アクセスドアにより人および/または物体の安全かつ容易な出入りを確実にする。アクセスドアに接続して、耐久性のある空気力学的に適した材料、典型的には金属網または伸張されたスチールメッシュで作られたアクセスランプが配置され、安定した構造とそれを通る円滑な空気流を可能にし、下流アクセスゾーンに入るプラットフォームとして構築され、これにより、快適で安全な方法で人が入ったり、静的に立ったり、出たりすることを可能にする。メッシュを含むランプは、その抗力に起因するエネルギー/流れ損失を最小限に抑える形状および方法で構築される。安全の重要な手段として、アクセスランプのちょうど下流には安全ネット310が配置されており、後続の流れガイドベーンに物体および人が偶然に衝突するのを妨げる。安全ネット310が存在しない場合、人や物体またはベーン自体に望ましくない危険な損傷が起こり得る。流れガイドベーンの目的は、流れ方向を傾斜飛行セクションの流れ方向f2から主流面に向かう戻りダクトの流れ方向f3にそらすことである。
【0056】
図10は、傾斜飛行セクション1を主戻りダクト18に接続する戻り流セクション13が、ガイドされない低速の横断流設計を使用して、旋回する自由流設計を使用する方法で構築されている態様を示している。旋回する戻りダクトは箱形であり、傾斜セクションの流れf2が半分に分割され、前壁の方向転換バッフルによって横流れf7にそらされるように矩形の囲壁を有するように設計されている。次に、流れは旋回運動を開始し、180°回転して、流れが流れ方向f8を下向きに押す背壁バッフル220の影響を受けるまで、傾斜したトンネルセクションの側面に沿って後方に通過する。この流れは、下向きの旋回流f5で継続し、ボトムバッフル230の影響によって前方に(すなわち主戻り流れ方向の一般的な方向に)押され、最後に主戻り流れ方向f4に再結合する。方向転換バッフルを有する戻りダクトシステムの設計は、最小限の圧力損失で簡単であるが比較的効率的な構造をもたらし、戻りダクトを簡単に構築し、堅牢にする一方、比較的低い圧力損失を確保して、エネルギー効率のよいトンネル運転を可能にする。図10にも示されている実施形態の別の態様では、トランペット型のベルマウスの入口ノズル240が使用され、圧力損失の大幅な低減とエネルギー効率の改善だけでなく、ノイズおよび発熱の低減ならびにフローダイナミクスの安定化をもたらす。
【0057】
図10に示す別の実施形態では、第1の方向転換ダクト24の前(上流側)に上流アクセスシステム600が配置され、その運転中にトンネルの内外に安全かつより流れが安定したアクセスをもたらす。
【0058】
図10に示す別の実施形態では、流れを付与することなくトンネルへの最適なアクセス可能性とユーザの安全性のために前述ように設計された、空気力学的に最適化されたランプ710を備えた下流アクセスドア701が使用される。
【0059】
図10に示す別の実施形態は、傾斜角を作動させるための機構の構造であり、この場合には、一方の端部が上側の側面21に近い傾斜したトンネルセクションに取り付けられ、他方の端部が電気機械的に作動されるウインチ装置22を介して建物構造23の中実部分に取り付けられたワイヤシステム20から構成され、ウインチはワイヤを引っ張り、傾斜したトンネルセクション全体を持ち上げることができる。ワイヤシステムまたは任意の他の作動システムを係合させるときに制御された傾斜運動を実現するために、傾斜したトンネルセクションは接続部24の上部接続点にヒンジ止めされる。この構造はまた、戻りダクトの適切な流れをシールしたまま、傾斜角度が変更されたときに傾斜したトンネルセクションの並進運動を包含することができる、戻りダクト壁内のスライド可能かつ可撓性のセクションを包含する。
【0060】
図1図10の両方に示される別の実施形態は、本発明の全体的な高さ寸法に関連する。図1図10などに記載されているような傾斜飛行セクションを使用することによって、本発明は、傾斜飛行セクションの使用のために、飛行セクションの長さが10mの場合に10m未満の全高寸法をもたらす。先行する垂直風洞設計および構造と比較して必要とされる建物の高さのこの減少は、本発明に記載された装置が、当局からの建築許可の問題の少ない場所および建物で実装され、総建築コストを削減し、一般的な商業用建物にそのような装置を導入することが容易になるという点で重要である。
【0061】
図11は、傾斜飛行セクション1に取り付けられた、上流アクセスゾーン600用と下流アクセスゾーン700用のデュアル2段階アクセスシステムを含む実施形態の一態様を示している。このデュアルアクセスシステムを使用することにより、安全かつ制御された方法で持続的な滑空飛行訓練をするために必要な飛行セクションの安定したじょう乱のない流れを維持しながら、任意の流速で風洞の運転中に両方のゾーンへのアクセスが連続的かつ同時に可能になる。2つのアクセスゾーンのうちのいずれかが前記2段階アクセスシステムを使用せずに運転されると、アクセスドアを通る著しい流れの出入りが発生し、アクセス条件の容易さおよび安全性だけでなく流れ条件に大きく影響を及ぼすことになる。示された設計では、上流アクセスゾーンは、610の前に1つ、620の後に1つのアクセスドアを備えており、これにより、初心者ユーザまたはプロトタイプオブジェクトが下流アクセスポイント620のトンネルに入っている間、一方でインストラクタまたは実験リーダーが上流アクセスポイント610を介して入ることができるように傾斜したトンネルの改善された使用が可能になり、操作が大幅に単純化され、初心者への指示がより簡単で安全になる。図示された2段階アクセスシステムの両方は、外部ドア631,731を用いて周囲の雰囲気から(内側または外側への流れを妨げるために)シールされた控え室630,730と、内側または外側への流れを妨げるための内部ドア632,732と、トンネルの飛行セクションに入る前に人および物体が待機することができる飛行前チャンバ633,733と、を含む。
【0062】
図10に示す別の実施形態は、傾斜トンネル、上流アクセスゾーン、および飛行前待機室の近くに位置するトンネル機械オペレータのための制御室30である。制御室の隔壁は、ガラスまたは透明プラスチックのような透明材料から作られる。制御室に面する傾斜飛行セクション壁、上流面32および下流面33の両方、ならびに下流の飛行前室のサイドウィンドウ25も同様の透明材料で作られているので、制御室から傾斜した飛行セクションのすべての領域ならびに両方のアクセスシステムの飛行前室633,733が完全に見える。制御室に位置するオペレータは、風洞ファンシステムを直接制御しており、手動でファン速度を制御することによって傾斜飛行セクションの流速を調節し、滑空飛行訓練のために適切な流速が達成されることを確実にし、さらに必要に応じて迅速な流れの停止を確実にする。
【0063】
別の実施形態では、制御室のオペレータはまた、飛行セクションの傾斜角を制御しており、この角度を動的に調整して訓練に適合させ、適切な流速および滑空角を与えることによって、適切な滑空飛行訓練を確実することができる。
【0064】
本発明のさらに別の実施形態では、風洞ファンモータおよび傾斜角制御は、飛行前チャンバの内部またはトンネルの実際の飛行セクションの内部からインストラクタによって操作される制御デバイスから遠隔(無線またはワイヤ)制御されることができ、したがって、オペレータの必要性を制限し、オペレーションをより安全にし、運用コストを削減する。リモコンへの接続が失われたことが検出された場合、風洞ファンモータコントローラは完全停止して流速がゼロになる。
本発明のさらに別の実施形態では、飛行セクション内の機内インストラクタによって操作されるリモコンは、「死者のグリップ(dead-man’s-grip)」として設計されてもよく、インストラクタがその制御を失った場合、例えば動けなくなり物理的に制御を失った場合、またはリモコンとメインコンピュータの接続が失われた場合、ファンシステムはすぐに完全に停止する。
【0065】
本発明のさらに別の実施形態では、限られたまたは完全なリモコンが、インストラクタ以外のフライヤに与えられてもよく、例えば、特定の制限内の角度にわたってフライヤが制御を行うが、ファンまたは他の安全上重要な運転の側面を制御することはできない。
【0066】
図11に示すさらに別の実施形態では、アクセスシステムおよび制御室34の反対側の傾斜飛行セクションの側面は、滑空飛行訓練が観客または撮影領域35から完全に視認できるように透明材料(例えば、ガラスまたは透明プラスチック)で構築されている。これにより、観客や撮影者は、近距離でのテレビ放映などの滑空飛行訓練を見たり撮影したりすることができる。
【0067】
図16a、図16b、および図16cを参照すると、本発明の一実施形態を用いて行われた3次元流れ場のシミュレーション結果が、図16aに示されており、これは、流れを促進する壁セクションを用いた接続部を有し、流れガイドベーンを有さない前述の実施形態を使用して、35度の空気流方向転換角度および50m/sの流速でシミュレートしたものである。シミュレーションは、本発明が、接続部の中およびその前の特別な幾何学的流れ促進壁セクションを使用した結果として、後流または剥離ゾーンがあってもなくても、その幅にわたってわずかな速度偏差しか有さない高品質の流れ場をもたらすことを示している。図16bは、図16cにプロットされた流速分布の2D断面線を示している。図16cは、トンネルの傾斜セクションの特定の断面における流れ場分布を示している。
【0068】
風洞を使用している人またはフライヤの安全を確保するために、安全システムが設けられている。安全システムは、試験セクション1に設けられ、フライヤが試験セクション1から離れることを防止することによって安全性を提供する役割を果たす区切り装置900を備える。区切り装置900は、以下でさらに説明するサスペンションシステム800を備え、フライヤが上流または下流に行きすぎて怪我をするのを防ぐ役割を果たす風洞自体の特性も含む。
【0069】
経験の浅いフライヤにとって、サスペンションシステム800は、風洞を使用することを学ぶのを容易にし、壁および床との衝突を防止するために一般に必要とされるが、経験の豊富なフライヤにとって、トンネル自体の区切り装置は、使用中に安全性を提供するのに十分であり得る。
【0070】
したがって、本発明による風洞100は、試験セクション1内を飛行する人が使用するためのサスペンションシステム800を備えることができる。サスペンションシステムを、試験セクション1の内壁に取り付けることができ、以下でより詳細に説明されるように、システムは、好ましくは、前記壁への少なくとも2つのトンネル側取付点801,802;907を備える。より好ましくは、サスペンションシステムは、人のために少なくとも1つであるが、好ましくは2つの肩アタッチメントと、少なくとも1つであるが、好ましくは2つの腰アタッチメントを備え、前記アタッチメント801,802,803,804のそれぞれは、人によって個別に解除されるように構成される。
【0071】
したがって、風洞を使用する人(以下、フライヤと呼ぶ)は、いくつかの運動軸に固定される。このように拘束されても、フライヤは体の周りの気流を感じることを学ぶために十分に動くことができる。フライヤとインストラクタの希望により、トンネル壁に向かってストラップを締めたり、緩めたりすることができる。
【0072】
トンネルの中心で限られた動きしか許されないこれらの拘束条件の下で、フライヤは人間飛行の基礎を学ぶことになる。学習曲線やその他の考慮事項に応じて、フライヤはこの入門設定でより長い時間または短い時間を費やすことがある。この初心者の安全システムは、様々なタイプの翼スーツやトラッキングパンツのような滑空比を高める衣服の有無にかかわらず使用されてもよい。安全システムは、スキージャンプの訓練用のスキーや、人間の滑空飛行のための他の手段に使用されてもよい。スキージャンプを訓練している間は、安全システムをまったく取り外す必要はなく、クイックリリースシステムの使用を無駄にする。フライヤの希望と所望の飛行タイプに応じて、1つまたは複数のストラップとハーネスとの接続点がフライヤの後ろに移動することがある。しかし、胸部の接続点は、一本のストラップでトンネルの床に接続されているフライヤには必要とされ得る。
【0073】
図12を参照すると、傾斜風洞における持続的かつ制御された人間の滑空飛行を達成するための漸進的な教育および離陸のための手段の実装形態が示されており、この場合、フライヤは横方向に上昇する人の横のトンネル壁に接続されている。これらのストラップは、クイックリリースシステムの有無にかかわらず、フライヤのフルボディハーネスに接続されている。
【0074】
フライヤがコントロールと必要なスキルを示すと、アタッチメントシステムがリリースされ、フライヤは自由に飛行している。この初心者の安全システムは、様々なタイプの翼スーツやトラッキングパンツのような滑空比を高める衣服の有無にかかわらず使用されてもよい。
【0075】
また、図12に示すように、肩部の2点接続システムは自己安定することが期待され、空気流が頭尾方向にフライヤの脚および足に向かって体を流れるため、飛行中のフライヤはトンネル壁に接続されたままである。接続部はフライヤの重心よりも上にあり、安定性にとって重要である。
【0076】
図13および図15を参照すると、肩および腰の接続点を有する4点接続システムが示されており、トンネルの壁に衝突するリスクを大幅に削減するように、双方向的に、初心者のフライヤを非常に安定した拘束された状態に固定することが期待される。脚がサスペンションシステムに接続されていれば、さらに安定性を高めることができる。
【0077】
図14を参照すると、ここでは保持端部に柔らかいリングを有する手持ち式ストラップの追加が示されており、一部のフライヤにさらなる安定性および安全性を追加することができる。そのような手持ち式ストラップは気流中で自由に浮遊することができ、トンネル壁にのみ接続され、フライヤがそれらを解放すると、それらは空気の力によってトンネル壁に向かって移動し、壁面に付着し、トンネルは飛行のために自由になる。手持ち式ストラップは、フライヤがそれらを保持している端部で柔らかくなければならないため、解放時にフライヤを傷つける危険はない。
【0078】
図15は、フライヤを試験セクション1の床に接続するために使用することができる第5のアタッチメント807をさらに開示している。サスペンションシステムは、個々のフライヤの必要性および希望に応じて変更され得ることに留意されたい。
【0079】
ここで、区切り装置900について、図12図15図17および図18を参照して再び説明する。
【0080】
上述したように、サスペンションシステム800は、傾斜試験セクション(1)のトンネル壁の内周に少なくとも1つのトンネル側取付点907を含む。トンネル側取付点907は、ストラップ909を固定するためのホルダを備え、前記ホルダは、好ましくは、トンネル壁の凹みにまたは内周に面一に配置される。これは、フライヤがトンネル壁に接触しなければならない場合に、怪我をしないようにするためである。トンネル側取付点907は、トンネルの外側の地点に固定され、ホルダのみがトンネル自体の中に延びるようにすることができ、ホルダは、好ましくは、ストラップ909が締められるバンドまたはリボンのような柔らかく耐久性があるものである。ストラップ909は、フライヤが着用したハーネスの人側取付点908に固定され、フライヤを試験セクション1の所望の部分にしっかりと保持し、怪我を防止する。
【0081】
好ましくは、トンネル壁の内周の上半分にある少なくとも2つのトンネル側取付点907が使用され、それぞれがストラップ909を介して、ハーネスの腰部の左手側と右手側に配置された少なくとも2つの人側取付点に結合される。したがって、第1のストラップは、トンネル側取付点の1つおよびハーネスの左側の人側取付点に取り付けられるように構成され、第2のストラップは、トンネル側取付点の1つおよびハーネスの右側の人側取付点に取り付けられるように構成される。これにより、トンネル内でのフライヤの安定した確実な取り付けが可能になる。高さと重量の違いに対応するために、ハーネスに複数の人側取付点908を設けて、個々のフライヤ上のストラップ909を締めるための選択を行うことができる。一実施形態では、ハーネス上の調整可能な人側取付点が使用され、接続を解除して、別の固定された取付点を選択する代わりに、個々のフライヤ上の所望の位置に調整することができる。
【0082】
ストラップ909自体を、好ましくは、延伸力の適用時に延ばすことができ、前記ストラップは、前記ストラップを延ばすように構成された降伏デバイスを備え、および/またはストラップは、ストラップを限られた長さに延ばすことができるように弾性を有する。これは、フライヤとサスペンションシステム800との間のより柔らかい接触を可能にし、不快で潜在的に有害な突然の動作および停止を防止するとともに、ハーネスを着用している人がトンネルの傾斜試験セクションの外側にいる場合には、ストラップ909を人側取付点908に締めることによってフライヤをサスペンションシステム800に取り付けることを可能にする。例えば、フライヤは、ハーネスを着用して、試験セクション1に入る前に、弾性のまたは延ばしたストラップ909をハーネスに締めることによって、サスペンションシステム800に自身を接続することができる。これは、ファンが作動している間にフライヤが試験セクション1に出入りする場合に、追加の安全性を可能にする一方、便利で時間効率が良い。
【0083】
好ましくは、ストラップ909を延ばすことができる長さの制限は、ストラップ909の長さの10%~500%の範囲にあり、および/または延ばすのに必要な前記延伸力は20~1000Nの範囲内である。これにより、降伏デバイスまたはストラップの弾性による適切で便利な延伸が可能になる。降伏デバイスは、車両内のシートベルトに使用されるものと同様のロック機構を備えたばね荷重ロールを使用したシステムを備えてもよく、ベルトはより小さな力を受けたときに延びることができるが、より大きな力に曝されると延伸が妨げられることがある。本発明によるサスペンションシステムでは、これにより、フライヤが自由に動き回ることができるが、突然の落下または横方向の動きなどが制御されていないことによる怪我を未然に防ぐことができる柔軟な使用が可能になる。
【0084】
ストラップ909は、図17によって開示された別の実施形態では、スライド可能な接続部911がスライドトラックデバイス912に沿ってスライドすることができるように少なくとも2つのトンネル側取付点907に接続された少なくとも1つのロープ、ワイヤ、またはレール910を含む少なくとも1つのスライドトラックデバイス912へのスライド可能な接続部911を介してトンネル側取付点907に取り付けられるように構成される。スライドトラックデバイス912を、上流に位置する1つのトンネル側取付点907と下流に位置する別のトンネル側取付点907との間で、試験セクション1内の屋根に沿って延びる単なるロープまたはワイヤとすることができる。例えば、ばねフック、カラビナフック、または単にストラップ909のループとすることができるスライド可能な接続部911にストラップ909を取り付けることにより、ハーネスを着用している人は、長手方向、すなわち上流または下流に移動することができるが、側面から側面への移動は制限される。
【0085】
スライドトラックデバイス912をトンネル壁に向かってしっかりと保持するために、ロープまたはワイヤは、ロープまたはワイヤをトンネル側取付点に向かって付勢する弾性接続部913を介してトンネル側取付点に接続される。これは、フライヤがスライドトラックデバイス912に巻き込まれる危険性を最小限に抑える重要な効果をもたらす。
【0086】
別の実施形態では、区切り装置900のサスペンションシステム800は、少なくとも2つのハーネスと、複数のトンネル側取付点907と、ストラップ909とを備え、ストラップを介してトンネル側取付点907にハーネスを取り付けることを可能にする。これにより、複数のフライヤを同時に安全に飛行させることができる。トンネル側取付点907をトンネル壁周囲に沿ってかつ試験セクション1の長さに沿って分布させることによって、および各ストラップ909の長さと弾性を選択することによって、各フライヤおよびフライヤのハーネスは、試験セクション1内で、別のフライヤの移動量と重複しないような量の移動をすることができる。これにより、フライヤ間の衝突が防止され、ストラップ909の絡みも防止される。
【0087】
サスペンションシステム800とは別に、区切り装置900はまた、安全性を高め、怪我を防ぐのに役立つ風洞100自体の特徴および構造を含む。したがって、区切りシステムは、試験セクション1の断面積の90%未満の断面積を有する縮小トンネル部分901を含むことができ、試験セクションの断面積よりも少なくとも20%大きい断面積を有する拡大トンネル部分902を含むこともできる。
【0088】
拡大トンネル部分902では、容積が増加するため空気速度が低下し、縮小トンネル部分901では、容積が減少するために空気速度が高まる。これにより、空気流れ場が飛行可能な強さではないためにフライヤを着陸させる部分(拡大部分902)と、空気流れ場が強すぎるためにフライヤがその部分に入ることが防止される別の部分(縮小部分901)が生じる。好ましくは、拡大トンネル部分902および縮小トンネル部分901の両方が、試験セクションの上流に配置され、拡大トンネル部分902が最も上流にある。この構成のおかげで、フライヤは、拡大トンネル部分902よりもさらに上流に移動することが防止される。
【0089】
一実施形態では、フライヤが試験セクション1の下流に進むように試みなければならない場合、フライヤを着陸させるために、試験セクション1の下流に拡大トンネル部分902を設けることもできる。
【0090】
区切り装置900の別の実施形態は、空気流が試験セクション1の上流および/または下流の特定のセクションで飛行が妨げられるようにリダイレクトされる、減じられた角度部分903を含む。したがって、この部分は、好ましくは減じられた角度部分903自体を試験セクション1に対して特定の角度で配置することによる、または傾斜風洞自体の実施形態を参照して上述したように、ガイドベーン、バンプ、もしくは空気の流れをリダイレクトするための他の手段などの流れガイドデバイスを設けることによる、空気流リダイレクト手段を備える。
【0091】
減じられた角度部分903の空気流は、好ましくは、試験セクション内の空気流と比較して水平面に向かって少なくとも3°、好ましくは少なくとも5°の角度にリダイレクトされ、減じられた角度部分903は、好ましくは、試験セクションの上流に配置されて、フライヤが上記の拡大部分902と同様に着地するようにする。
【0092】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの安全ネットを区切り装置900の一部として設けることもできる。好ましくは、ネット905は、フライヤがトンネルに沿って飛行しすぎた場合にフライヤを捕えるために下流側に設けられ、いくつかの実施形態では、第1のネット905は、フライヤを優しく捕えるために弾性であってもよく、一方、それ以上下流に進むことができないように、剛性である第2のネット906が設けられる。いくつかの実施形態では、好ましくは弾性であるネット905を上流に設けることもできる。これらの異なる実施形態は、図18a~図18cによって開示されている。
【0093】
一実施形態では、試験セクション1の上流の(および随意によっては区切り装置900の一部としてそこに配置された縮小/拡大/傾斜部分を超える)トンネル部分が垂直に配置される。この実施形態では、一方では試験セクション1と区切り装置900との間、他方では垂直トンネル部分との間に別の安全ネット905を配置する、すなわち、安全ネット905が床として機能するように垂直トンネル部分への開口を横切って配置するのが好適である。
【0094】
一実施形態に関してここで述べられていることは、そのような組合せが不適切であると明示的に述べられていない限り、他の実施形態と自由に組み合わせることができることにも留意されたい。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16a
図16b
図16c
図17
図18a
図18b-c】