(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111116
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】コンパクトで高速かつ強力な油圧アクチュエータのノイズ制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F15B 1/00 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
F15B1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076937
(22)【出願日】2022-05-09
(62)【分割の表示】P 2018563520の分割
【原出願日】2017-06-01
(31)【優先権主張番号】62/344,571
(32)【優先日】2016-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512321121
【氏名又は名称】クリアモーション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウッドアード,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】オシェイ,コリン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】イニリオ,ヘクター,アルナルド
(57)【要約】
【課題】ポンプと油圧アクチュエータとを備える油圧システムにおいて脈動を減衰するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】本明細書に提示されるのは、ポンプと油圧アクチュエータとを備える油圧システムにおいて脈動を減衰するためのシステムおよび方法である。特定の態様において、作動チャンバと閉じ込めチャンバとに分割される内部容積を備えるアキュムレータを利用して、システム内の脈動の伝播を少なくとも部分的に減衰することができる。作動チャンバは、第1の流路を介してポンプに流体的に結合することができ、第2の流路を介してアクチュエータのチャンバに流体的に結合することができる。システムは、第1の流路の第1のイナータンスが第2の流路の第2のイナータンスよりも大きくなるように設計することができる。追加的にまたは代替的に、システムは、第1のイナータンスとアキュムレータのコンプライアンスとに関連する共鳴が90Hz未満の共鳴周波数で生じ得るように設計することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、
圧縮チャンバおよび伸長チャンバを少なくとも部分的に画定するアクチュエータハウジングを備える油圧アクチュエータと、
第1の障壁によって第1の閉じ込めチャンバと第1の作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定する圧縮側アキュムレータハウジングを備える圧縮側アキュムレータと、
前記ポンプを前記第1の作動チャンバに流体的に結合する圧縮側第1流路と、
前記第1の作動チャンバを前記圧縮チャンバに流体的に結合する圧縮側第2流路とを備え、
前記圧縮側第1流路と前記圧縮側アキュムレータとからなる第1の油圧空気圧システムが90Hz未満の第1の共鳴周波数を有する、油圧装置。
【請求項2】
前記第1の共鳴周波数が50Hz未満である、請求項1に記載の油圧装置。
【請求項3】
前記第1の共鳴周波数が20Hz未満である、請求項2に記載の油圧装置。
【請求項4】
前記第1の共鳴周波数が1Hzより高い、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項5】
前記圧縮側第1流路が前記ポンプ内の第1の端部と前記第1の作動チャンバ内の第2の端部とを有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項6】
前記圧縮側第2流路と前記圧縮側アキュムレータとからなる第2の油圧液圧システムが前記第1の共鳴周波数よりも高い第2の共鳴周波数を有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項7】
前記第2の共鳴周波数が前記第1の共鳴周波数よりも少なくとも5倍または少なくとも20倍高い、請求項5に記載の油圧装置。
【請求項8】
前記第3の周波数が1000Hz未満である、請求項6または7に記載の油圧装置。
【請求項9】
前記第3の周波数が500Hzより高い、請求項6ないし8のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項10】
前記圧縮側第1流路が第1の断面積を有する第1の部分を備え、前記圧縮側第2流路が第2の断面積を有する第2の部分を備え、
前記第1の断面積は前記第2の断面積よりも大きい、
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項11】
前記圧縮側アキュムレータが、
前記圧縮側アキュムレータハウジングを貫く第1の開口と、
前記圧縮側アキュムレータハウジングを貫く第2の開口と、
前記第1の開口を前記第2の開口に流体的に結合する内部流路であって、前記第1の作動チャンバ内に完全に含まれる内部流路とを備え、
前記圧縮流路が前記内部流路の少なくとも一部または全部を含む、
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項12】
前記圧縮側アキュムレータが、
第1のチューブを備え、前記第1のチューブは、
第1のチューブ壁を備え、前記第1のチューブ壁は、
第1の外面と、
第1のボアを画定する第1の内面とを備え、前記第1の外面の少なくとも第1の部分は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項13】
前記圧縮側アキュムレータが、
第2のチューブを備え、前記第2のチューブは、
第2のチューブ壁を備え、前記第2のチューブ壁は、
第2の外面と、
第2のボアを画定する第2の内面とを備え、前記第2の外面の少なくとも第2の部分は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
請求項12に記載の油圧装置。
【請求項14】
前記第2のボアの第2の断面積が前記第1のボアの第1の断面積よりも大きい、請求項19に記載の油圧装置。
【請求項15】
前記圧縮側アキュムレータが2型アキュムレータである、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項16】
前記ポンプを前記伸長チャンバに流体的に結合する伸長流路と、
伸長側アキュムレータであって、
第2の障壁によって第2の閉じ込めチャンバと第2の作動チャンバとに分割される第2の内部容積を画定する伸長側アキュムレータハウジング
を備える伸長側アキュムレータと
をさらに備える、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項17】
前記伸長側アキュムレータが第2の剛性を有し、前記圧縮側アキュムレータが第1の剛性を有し、前記第2の剛性は前記第1の剛性よりも高い、請求項16に記載の油圧装置。
【請求項18】
前記伸長側アキュムレータが、前記第2の作動チャンバを前記伸長流路に流体的に結合する円筒形首部(例えば、4~10mmの直径、および/または5mm未満の長さを有する首部)をさらに備える、請求項16または17に記載の油圧装置。
【請求項19】
前記第2の障壁が、前記作動チャンバ内の流体にさらされる第1の表面を備え、前記首部の断面積は前記第1の表面の表面積未満である、請求項18に記載の油圧装置。
【請求項20】
前記伸長側アキュムレータが1型アキュムレータである、請求項16ないし19のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項21】
圧縮チャンバおよび伸長チャンバを少なくとも部分的に画定するアクチュエータハウジングを備える油圧アクチュエータと
ポンプ(例えば、ポンプとして動作することができる油圧モータ、双方向ポンプ、双方向容量型ポンプ)と、
圧縮側アキュムレータであって、
第1の障壁(例えば、可動障壁(例えば、摺動可能なピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第1の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えば、ガス)を含有するチャンバ)と、第1の作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定する圧縮側アキュムレータハウジング、
を備える圧縮側アキュムレータとを備え、
前記第1の作動チャンバは、第1のイナータンスを有する圧縮側第1流路によって前記ポンプに流体的に結合され、
前記第1の作動チャンバは、第2のイナータンスを有する圧縮側第2流路によって前記圧縮チャンバに流体的に結合され、
前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスよりも大きい(例えば、少なくとも5倍、少なくとも10倍、100倍以下)、
油圧装置。
【請求項22】
第1の伝達関数の第1のTFmagが、第1の周波数において第1の大域的最大値および第1の局所的最大値の少なくとも一方を有し、第2の伝達関数の第2のTFmagが、第2の周波数において第2の大域的最大値および第2の局所的最大値の少なくとも一方を有し、ここで、
前記第1の伝達関数は第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の第1の関係を表し、
前記第2の伝達関数は前記第2の地点における圧力と第3の地点における圧力との間の第2の関係を表し、
前記第1の地点は前記ポンプ、前記ポンプのポート、および前記圧縮側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第2の地点は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の内部容積内(例えば、前記第1の作動チャンバの内部)に位置し、
前記第3の地点は前記アクチュエータの前記圧縮チャンバ内に位置する、
請求項21に記載の油圧装置。
【請求項23】
第1の伝達関数の第1のTFphが第1の周波数で±90°に等しく、第2の伝達関数の第2のTFphが第2の周波数で±90°に等しく、ここで、
前記第1の伝達関数は第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の第1の関係を表し、
前記第2の伝達関数は前記第2の地点における圧力と第3の地点における圧力との間の第2の関係を表し、前記第1の地点において、前記ポンプ、ポート、および前記圧縮側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第1の地点は、前記ポンプ、前記ポンプのポート、および前記圧縮側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第2の地点は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の内部容積内(例えば、前記第1の作動チャンバの内部)に位置し、
前記第3の地点は前記アクチュエータの前記圧縮チャンバ内に位置する、
請求項21に記載の油圧装置。
【請求項24】
前記第2の周波数が前記第1の周波数よりも高い、請求項22または23に記載の油圧装置。
【請求項25】
前記第2の周波数が前記第1の周波数の少なくとも5倍または少なくとも20倍に等しい、請求項24に記載の油圧装置。
【請求項26】
前記第2の周波数が前記第1の周波数よりも100倍未満高い、請求項25に記載の油圧装置。
【請求項27】
前記第1の周波数が第1の下限より高くおよび第1の上限より低く、前記第1の下限は0Hz、2Hz、5Hz、または10Hzのうちの1つであり、前記第1の上限は100Hz、80Hz、60Hz、50Hz、30Hz、20Hz、または15Hzのうちの1つである、請求項22ないし26のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項28】
前記第2の周波数が第2の下限よりも高くおよび第2の上限よりも低く、前記第2の下限は100Hz、200Hz、300Hz、400Hz、または500Hzのうちの1つであり、前記第2の上限は800Hz、1000Hz、または1500Hzのうちの1つである、請求項22ないし26のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項29】
前記圧縮側第1流路が第1の長さを有し、前記圧縮側第2流路が第2の長さを有し、前記第1の長さは前記第2の長さよりも長い(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、50倍以下)、請求項1ないし28のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項30】
前記圧縮側第1流路が第1の断面積を有する第1の部分を含み、前記圧縮側第2流路が第2の断面積を有する第2の部分を含み、ここで、
前記第1断面積は前記第2の断面積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、および/または100倍未満)、
請求項21ないし29のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項31】
前記圧縮側第1流路が1つまたは複数の流路の第1の組の最短流路であり、前記圧縮側第2流路が1つまたは複数の流路の第2の組の最短流路であり、ここで、
1つまたは複数の流路の前記第1の組が、前記ポンプを前記第1の作動チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなり、
1つまたは複数の流路の前記第2の組が、前記第1の作動チャンバを前記圧縮チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなる、
請求項21ないし30のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項32】
前記ポンプが圧縮流路によって前記アクチュエータの前記圧縮チャンバに流体的に結合される、請求項1ないし31のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項33】
前記圧縮流路が1つまたは複数の流路の第3の組の最短流路であり、ここで、
1つまたは複数の流路の前記第3の組が前記ポンプを前記圧縮チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなる、
請求項32に記載の油圧装置。
【請求項34】
前記圧縮側第2流路が圧縮流路の長さ未満である第2の長さを有する、請求項33に記載の油圧装置。
【請求項35】
前記圧縮側第1流路が前記圧縮流路の前記長さ未満である第1の長さを有する、請求項34に記載の油圧装置。
【請求項36】
前記第1の長さと前記第2の長さの合計が前記圧縮流路の前記長さ未満である、請求項34または35に記載の油圧装置。
【請求項37】
前記圧縮側アキュムレータが、
前記圧縮側アキュムレータハウジングを貫通する第1の開口と、
前記圧縮側アキュムレータハウジングを貫通する第2の開口と、
前記第1の開口を前記第2の開口に流体的に結合する内部流路であって、前記第1の作動チャンバ内に完全に含まれる内部流路とを備え、
前記圧縮流路が前記内部流路の少なくとも一部または全部を含む、
請求項32ないし36のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項38】
前記圧縮側アキュムレータが、
第1のチューブを備え、前記第1のチューブは、
第1のチューブ壁を備え、前記第1のチューブ壁は、
第1の外面と、
第1のボアを画定する第1の内面とを備え、前記第1の外面の少なくとも第1の部分は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
請求項21ないし37のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項39】
前記圧縮側アキュムレータが、
第2のチューブを備え、前記第2のチューブは、
第2のチューブ壁を備え、前記第2のチューブ壁は、
第2の外面と、
第2のボアを画定する第2の内面とを備え、前記第2の外面の少なくとも第2の部分は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
請求項38に記載の油圧装置。
【請求項40】
前記第2のボアの第2の断面積が、前記第1のボアの第1の断面積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、および/または100倍未満)、請求項39に記載の油圧装置。
【請求項41】
前記圧縮側アキュムレータが2型アキュムレータである、請求項21ないし40のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項42】
前記ポンプを前記伸長チャンバに流体的に結合する伸長流路と、
伸長側アキュムレータであって、
第2の障壁(例えば可動障壁(例えば摺動可能ピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第2の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えばガス)を含有するチャンバ)と、第2の作動チャンバとに分割される第2の内部容積を画定する伸長側アキュムレータハウジングを備える伸長側アキュムレータとをさらに備え、
前記第2の作動チャンバが、伸長側第1流路を介して前記ポンプに流体的に結合され、
前記第2の作動チャンバが、伸長側第2流路を介して前記圧縮チャンバに流体的に結合される、
請求項21ないし41のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項43】
前記伸長側アキュムレータが第2の剛性を有し、前記圧縮側アキュムレータが第1の剛性を有し、前記第2の剛性は前記第1の剛性よりも高い(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、100倍以下)、請求項42に記載の油圧装置。
【請求項44】
前記伸長側アキュムレータが、前記第2の作動チャンバを前記伸長流路に流体的に結合する円筒形首部(例えば、4~10mmの直径、および/または5mm未満の長さを有する首部)をさらに備える、請求項42または43に記載の油圧装置。
【請求項45】
前記第2の障壁が、前記作動チャンバ内の流体にさらされる第1の表面を備え、前記首部の断面積が前記第1の表面の表面積より小さい、請求項44に記載の油圧装置。
【請求項46】
前記伸長側第1流路が第3の長さを有し、前記伸長側第2流路が第4の長さを有し、前記第3の長さは前記第4の長さ未満である、請求項44または45に記載の油圧装置。
【請求項47】
前記伸長側アキュムレータが2型アキュムレータである、請求項42に記載の油圧装置。
【請求項48】
前記伸長側第1流路が第3の長さを有し、前記伸長側第2流路が第4の長さを有し、前記第3の長さは前記第4の長さより長い、請求項47に記載の油圧装置。
【請求項49】
前記第1の内部容積が前記第2の内部容積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも100倍以下)、請求項42に記載の油圧装置。
【請求項50】
第3の伝達関数の第3のTFmagが、第3の周波数において大域的最大値および局所的最大値の少なくとも一方を有し、ここで、
前記第3の圧力/圧力伝達関数が第4の地点の圧力と第5の地点の圧力との間の第3の関係を表し、
前記第4の地点は前記ポンプおよび前記伸長側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第5の地点は前記第2の内部容積内(例えば、前記第2の作動チャンバの内部または前記第2の閉じ込めチャンバの内部)に位置する、
請求項42に記載の油圧装置。
【請求項51】
第3の伝達関数の第3のTFphが、第3の周波数において±90°に等しく、ここで、
前記第3の圧力/圧力伝達関数が第4の地点の圧力と第5の地点の圧力との間の第3の関係を表し、
前記第4の地点は前記ポンプおよび前記伸長側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第5の地点は第2の内部容積内(例えば、前記第2の作動チャンバの内部または前記第2の閉じ込めチャンバの内部)に位置する、
請求項45に記載の油圧装置。
【請求項52】
前記第3の周波数が前記第1の周波数より高い、請求項50または51に記載の油圧装置。
【請求項53】
前記第3の周波数が第3の下限より大きく、第3の上限より低く、前記第3の下限は100Hzであり、前記第3の上限は500Hzである、請求項50ないし52のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項54】
前記第3の周波数が前記第2の周波数より低い、請求項50ないし53のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項55】
圧縮チャンバおよび伸長チャンバを少なくとも部分的に画定するアクチュエータハウジングを備える油圧アクチュエータと
ポンプ(例えば、油圧ポンプ、ポンプとして動作することができる油圧モータ、双方向ポンプ、双方向容量型ポンプ)と、
圧縮側アキュムレータであって、
第1の障壁(例えば、可動障壁(例えば、摺動可能なピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第1の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えば、ガス)を含有するチャンバ)と、第1の作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定する圧縮側アキュムレータハウジング、
を備える圧縮側アキュムレータとを備え、
前記第1の作動チャンバは、圧縮側第1流路によって前記ポンプに流体的に結合され、
前記第1の作動チャンバは、圧縮側第2流路によって前記ポンプに流体的に結合され、
(a)および(b)の少なくとも一方が当てはまる;
(a)第1の伝達関数の第1のTFmagは、第1の周波数において第1の大域的最大値および第1の局所的最大値の少なくとも一方を有し、第2の伝達関数の第2のTFmagは、第2の周波数において第2の大域的最大値および第2の局所的最大値の少なくとも一方を有する、
(b)第1の伝達関数の第1のTFphは第1の周波数で±90°に等しく、第2の伝達関数の第2のTFphは第2の周波数で±90°に等しい、ここで、
前記第1の伝達関数は第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の第1の関係を表し、
前記第2の伝達関数は第2の地点における圧力と第3の地点における圧力との間の第2の関係を表し、
前記第1の地点は、前記ポンプ、前記ポンプのポート、および前記圧縮側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第2の地点は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の内部容積内(例えば、第1の作動チャンバの内部)に位置し、
前記第3の地点は前記アクチュエータの前記圧縮チャンバ内に位置する、
油圧装置。
【請求項56】
(a)が当てはまる、請求項55に記載の油圧装置。
【請求項57】
(b)が当てはまる、請求項55に記載の油圧装置。
【請求項58】
前記第2の周波数が前記第1の周波数よりも高い(例えば、少なくとも5倍、少なくとも20倍、100倍以下)、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項59】
前記第1の周波数が第1の下限より高くおよび第1の上限より低く、前記第1の下限は0Hz、2Hz、5Hz、または10Hzのうちの1つであり、前記第1の上限は100Hz、80Hz、60Hz、50Hz、30Hz、20Hz、または15Hzのうちの1つである、請求項55ないし58のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項60】
前記第2の周波数が第2の下限よりも高くおよび第2の上限よりも低く、前記第2の下限は100Hz、200Hz、300Hz、400Hz、または500Hzのうちの1つであり、前記第2の上限は800Hz、1000Hz、または1500Hzのうちの1つである、請求項55ないし59のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項61】
前記圧縮側第1流路が第1の長さを有し、前記圧縮側第2流路が第2の長さを有し、前記第1の長さは前記第2の長さよりも長い(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、50倍以下)、請求項55ないし60のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項62】
前記圧縮側第1流路が第1の断面積を有する第1の部分を含み、前記圧縮側第2流路が第2の断面積を有する第2の部分を含み、ここで、
前記第1の断面積は前記第2の断面積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、および/または100倍未満)、
請求項55ないし61のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項63】
前記圧縮側第1流路が1つまたは複数の流路の第1の組の最短流路であり、前記圧縮側第2流路が1つまたは複数の流路の第2の組の最短流路であり、ここで、
1つまたは複数の流路の前記第1の組が、前記ポンプを前記第1の作動チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなり、
1つまたは複数の流路の前記第2の組が、前記第1の作動チャンバを前記圧縮チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなる、
請求項55ないし62のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項64】
前記ポンプが圧縮流路によって前記アクチュエータの前記圧縮チャンバに流体的に結合される、請求項55ないし63のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項65】
前記圧縮流路が1つまたは複数の流路の第3の組の最短流路であり、ここで、
1つまたは複数の流路の前記第3の組が前記ポンプを前記圧縮チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなる、
請求項64に記載の油圧装置。
【請求項66】
前記圧縮側第2流路が圧縮流路の長さ未満である第2の長さを有する、請求項65に記載の油圧装置。
【請求項67】
前記圧縮側第1流路が前記圧縮流路の前記長さ未満である第1の長さを有する、請求項65または66に記載の油圧装置。
【請求項68】
前記第1の長さと前記第2の長さの合計が前記圧縮流路の前記長さ未満である、請求項65ないし67のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項69】
前記圧縮側アキュムレータが、
前記圧縮側アキュムレータハウジングを貫通する第1の開口と、
前記圧縮側アキュムレータハウジングを貫通する第2の開口と、
前記第1の開口を前記第2の開口に流体的に結合する内部流路であって、前記第1の作動チャンバ内に完全に含まれる内部流路とを備え、
前記圧縮流路が前記内部流路を含む、
請求項55ないし68のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項70】
前記圧縮側アキュムレータが、
第1のチューブを備え、前記第1のチューブは、
第1のチューブ壁を備え、前記第1のチューブ壁は、
第1の外面と、
第1のボアを画定する第1の内面とを備え、前記第1の外面の少なくとも第1の部分は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
請求項55ないし68のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項71】
前記圧縮側アキュムレータが、
第2のチューブを備え、前記第2のチューブは、
第2のチューブ壁を備え、前記第2のチューブ壁は、
第2の外面と、
第2のボアを画定する第2の内面とを備え、前記第2の外面の少なくとも第2の部分は前記圧縮側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
請求項70に記載の油圧装置。
【請求項72】
前記第2のボアの第2の断面積が、前記第1のボアの第1の断面積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、および/または100倍未満)、請求項71に記載の油圧装置。
【請求項73】
前記圧縮側アキュムレータが2型アキュムレータである、請求項55ないし72のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項74】
前記ポンプを前記伸長チャンバに流体的に結合する伸長流路と、
伸長側アキュムレータであって、
第2の障壁(例えば可動障壁(例えば摺動可能ピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第2の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えばガス)を含有するチャンバ)と、第2の作動チャンバとに分割される第2の内部容積を画定する伸長側アキュムレータハウジングを備える伸長側アキュムレータとをさらに備え、
前記第2の作動チャンバが、伸長側第1流路を介して前記ポンプに流体的に結合され、
前記第2の作動チャンバが、伸長側第2流路を介して前記圧縮チャンバに流体的に結合される、
請求項55ないし73のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項75】
前記伸長側アキュムレータが第2の剛性を有し、前記圧縮側アキュムレータが第1の剛性を有し、前記第2の剛性は前記第1の剛性よりも高い(例えば、少なくとも5倍、少なくとも10倍、100倍以下)、請求項74に記載の油圧装置。
【請求項76】
前記伸長側アキュムレータが、前記第2の作動チャンバを前記伸長流路に流体的に結合する円筒形首部(例えば、4~10mmの直径、および/または5mm未満の長さを有する首部)をさらに備える、請求項74または75に記載の油圧装置。
【請求項77】
前記第2の障壁が、前記作動チャンバ内の流体にさらされる第1の表面を備え、前記首部の断面積が前記第1の表面の表面積より小さい、請求項76に記載の油圧装置。
【請求項78】
前記伸長側第1流路が第3の長さを有し、前記伸長側第2流路が第4の長さを有し、前記第3の長さは前記第4の長さ未満である、請求項76または77に記載の油圧装置。
【請求項79】
前記伸長側アキュムレータが2型アキュムレータである、請求項74に記載の油圧装置。
【請求項80】
前記伸長側第1流路が第3の長さを有し、前記伸長側第2流路が第4の長さを有し、前記第3の長さは前記第4の長さより長い、請求項79に記載の油圧装置。
【請求項81】
前記第1の内部容積が前記第2の内部容積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも100倍以下)、請求項74に記載の油圧装置。
【請求項82】
第3の伝達関数の第3のTFmagが、第3の周波数において大域的最大値および局所的最大値の少なくとも一方を有し、ここで、
前記第3の圧力/圧力伝達関数が第4の地点の圧力と第5の地点の圧力との間の第3の関係を表し、
前記第4の地点は前記ポンプおよび前記伸長側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第5の地点は前記第2の内部容積内(例えば、前記第2の作動チャンバの内部または前記第2の閉じ込めチャンバの内部)に位置する、
請求項74に記載の油圧装置。
【請求項83】
第3の伝達関数の第3のTFphが、第3の周波数において±90°に等しく、ここで、
前記第3の圧力/圧力伝達関数が第4の地点の圧力と第5の地点の圧力との間の第3の関係を表し、
前記第4の地点は前記ポンプおよび前記伸長側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第5の地点は第2の内部容積内(例えば、前記第2の作動チャンバの内部または前記第2の閉じ込めチャンバの内部)に位置する、
請求項74に記載の油圧装置。
【請求項84】
前記第3の周波数が前記第1の周波数より高い、請求項82または83に記載の油圧装置。
【請求項85】
前記第3の周波数が第3の下限より大きくおよび第3の上限より低く、前記第3の下限は100Hzであり、前記第3の上限は500Hzである、請求項82ないし84のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項86】
前記第3の周波数が前記第2の周波数より低い、請求項82ないし85のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項87】
前記圧縮側第1流路が第1のイナータンスを有し、前記圧縮側第2流路が第2のイナータンスを有し、前記第1のイナータンスが前記第2のイナータンスよりも大きい(例えば、少なくとも5倍、少なくとも10倍、100倍以下)、請求項55ないし86のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項88】
取り外し可能インサートが、前記圧縮流路、前記伸長流路、前記圧縮側第1流路、前記圧縮側第2流路、前記伸長側第1流路および前記伸長側第2流路からなる群から選択される少なくとも1つの流路の一部に少なくとも部分的に挿入される、請求項1ないし87のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項89】
前記アクチュエータハウジングの少なくとも一部を取り囲む外側ハウジングをさらに備え、
前記少なくとも1つの流路が、前記外側ハウジングの内面と前記アクチュエータハウジングの外面とによって少なくとも部分的に画定される環状キャビティを備え、
前記取り外し可能インサート(例えば、スリーブ)は、前記取り外し可能インサートの少なくとも一部が前記アクチュエータハウジングの少なくとも一部を取り囲むように前記環状キャビティに少なくとも部分的に挿入される、
請求項88に記載の油圧装置。
【請求項90】
前記スリーブが、前記外側ハウジングの前記内面および前記アクチュエータハウジングの前記外面のうちの少なくとも1つと物理的に接触する、請求項89に記載の油圧装置。
【請求項91】
ポンプと、
圧縮チャンバおよび伸長チャンバを少なくとも部分的に画定するアクチュエータハウジングを備える油圧アクチュエータと
第1の障壁(例えば、可動障壁(例えば、摺動可能なピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第1の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えば、ガス)を含有するチャンバ)と、第1の作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定する圧縮側アキュムレータハウジングを備える圧縮側アキュムレータと、
第2の障壁(例えば、可動障壁(例えば、摺動可能なピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第2の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えば、ガス)を含有するチャンバ)と、第2の作動チャンバとに分割される第2の内部容積を画定する伸長側アキュムレータハウジングとを備え、
前記圧縮側アキュムレータが2型アキュムレータであり、前記伸長側アキュムレータが1型アキュムレータである、
油圧装置。
【請求項92】
前記伸長側アキュムレータが首部を備え、
前記第1の作動チャンバが圧縮側第1流路を介して前記ポンプに流体的に結合され、
前記第1の作動チャンバが圧縮側第2流路を介して前記圧縮チャンバに流体的に結合され、
前記ポンプが伸長流路を介して前記伸長チャンバに流体的に結合され、
前記第2の作動チャンバが前記首部を介して前記伸長流路に流体的に結合される、
請求項91に記載の油圧装置。
【請求項93】
前記第2の障壁が、前記作動チャンバ内の流体にさらされる第1の表面を備え、前記首部の断面積が前記第1の表面の表面積未満である、請求項92に記載の油圧装置。
【請求項94】
前記首部が4~10mmの間の直径および/または5mm未満の長さを有する、請求項93に記載の油圧装置。
【請求項95】
請求項1ないし94のいずれか一項に記載の油圧装置を含むサスペンションシステムを備える車両。
【請求項96】
請求項1ないし95のいずれか一項に記載の複数の油圧装置を含むサスペンションシステムを備える車両。
【請求項97】
アキュムレータであって、
障壁(例えば、摺動可能ピストン、ブラダーまたはその一部)によって、第1の閉じ込めチャンバと第1の作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定するハウジングと、
第1のチューブであって、
第1のチューブ壁を含み、前記第1のチューブ壁が、
第1の外面と、
第1のボアを画定する第1の内面とを備え、前記第1の外面の少なくとも第1の部分が前記圧縮側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
第1のチューブと、
第2のチューブであって、
第2のチューブ壁を含み、前記第2のチューブ壁が、
第2の外面と、
第2のボアを画定する第2の内面とを備え、前記第2の外面の少なくとも第2の部分が前記圧縮側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされ、
前記第2のボアが前記第1のボアの第1の断面積よりも大きい第2の断面積を有する、
第2のチューブと
を備えるアキュムレータ。
【請求項98】
前記第2の断面積が前記第1の断面積の少なくとも2倍または少なくとも5倍に等しい、請求項97に記載のアキュムレータ。
【請求項99】
前記第2の断面積が前記第1の断面積よりも100倍未満だけ大きい、請求項98に記載のアキュムレータ。
【請求項100】
前記第1のチューブが前記第2のチューブの第2の長さよりも長い第1の長さを有する、請求項99に記載のアキュムレータ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
パワーを貯蔵、変換、および/または移送するために流体を利用する油圧システムは、大規模化学プラントから自動車まで、様々な産業および用途にわたって利用されている。油圧システムは、一般に、例えば、ポンプ、弁、様々なリザーバ、タンク、または流体チャンバ、フィルタ、膜、負荷材料等など、様々な構成要素を含む。油圧システムの各構成要素は、様々な直径および形状のパイプ、チューブ、ニップル、ホース、チャネル、その他などの流れ結合要素によって接続されてもよい。特に、1つまたは複数の油圧アクチュエータを組み込んだ油圧システムが、自動車用途を含む様々な用途で使用するために研究されてきた。
【0002】
特に自動車用途向けの油圧システムに関連する1つの現象は、例えば音響ノイズをもたらす振動などの望ましくない振動である。音響ノイズは、例えば、容量型ポンプの使用によって生成される入力流れおよび/または出力流れにおける脈動(「ポンプリップル(pump ripple)」として当技術分野で知られている現象)を介して油圧システムに導入される可能性がある。あるいは、脈動は、弁を開放または閉鎖し、それにより油圧システムの定常状態を一時的に中断することによる、当技術分野で時に「ウォータハンマー(water hammer)」と呼ばれる現象によって導入される可能性がある(特に、「ウォータハンマー」という用語にもかかわらず、その現象は水に基づくシステムに限定されず、どのような油圧流体も伴い得る)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概要
発明者らは、油圧システムの実際の使用は、最大許容ノイズ仕様、スペースの制約、パワーまたは力の要求、および応答時間要件など、いくつかの用途依存の考慮事項によって左右され得ることを認識している。多くの場合、これらの考慮事項はトレードオフを呈し得る。例えば、吸音材などの構成要素を追加することは、音響ノイズを軽減するのに役立ち得るが、システムに嵩を増しおよび/または応答時間を増加させる可能性があり、それによりスペースが非常に限られおよび/または非常に速い応答時間が望まれる特定の用途を排除する。したがって、本発明者らは、例えば自動車のサスペンション用途での使用を可能にする十分な応答時間およびコンパクトさを有する一方でノイズを制限する働きをする油圧構成要素の配置を有する油圧システムに対する技術的必要性を認識した。
【0004】
本発明者らはまた、油圧システム内の油圧構成要素の特定の配置が、しばしば事前情報を用いて容易に予測できない方法で、油圧システムに関連するノイズ、応答時間、およびパッケージングサイズに重要な影響を及ぼし得ることを認識した。本明細書に提示されるのは、低ノイズ、迅速応答時間動作のうちの1つまたは複数を実現する一方でパッケージングにおける柔軟性およびコンパクトさを可能にし得る様々な油圧システムおよびその使用方法である。本明細書に記載の様々な実施形態はこれらの例示的な利益を提供することに限定されるべきではなく、他の可能な利益も可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、圧縮チャンバおよび伸長チャンバを少なくとも部分的に画定するアクチュエータハウジングを含む油圧アクチュエータ、およびポンプ(例えば、油圧ポンプ、ポンプとして動作可能な油圧モータ、双方向ポンプ、双方向容量型ポンプ)と;第1の障壁(例えば、可動障壁(例えば、摺動可能なピストン、ブラダーまたはその一部))によって第1の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えばガス)を含むチャンバ)と、第1の作動チャンバであって、圧縮側第1流路によってポンプに流体的に結合され、圧縮側第2流路によってポンプに流体的に結合される第1の作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定する圧縮側アキュムレータハウジングを備える圧縮側アキュムレータとを含む油圧装置が開示される。
【0006】
油圧装置の特定の実施形態では、圧縮側第1流路と圧縮側アキュムレータとからなる第1の油圧空気圧システムは、90Hz未満の第1の共鳴周波数を有する。特定の実施形態では、第1の共鳴周波数は、50Hz未満、または20Hz未満であり得る。特定の実施形態では、第1の共鳴周波数は1Hzより高い。特定の実施形態では、圧縮側第1流路は、ポンプ内の第1の端部と第1作動チャンバ内の第2の端部とを有する。特定の実施形態では、圧縮側第1流路はちょうど2つの端部を有する。
【0007】
油圧装置の特定の実施形態では、圧縮側第2流路と圧縮側アキュムレータとからなる第2の油圧空気圧システムは、第1の共鳴周波数よりも高い(例えば、少なくとも5倍または少なくとも20倍)第2の共鳴周波数を有する。特定の実施形態では、第3の周波数は1000Hz未満および/または500Hz超である。
【0008】
特定の実施形態では、油圧装置は、ポンプをアクチュエータの伸長チャンバに流体的に結合する伸長流路と、第2の障壁(例えば可動障壁(例えば摺動可能ピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第2の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えばガス)を含有するチャンバ)と、第2の作動チャンバとに分割される第2の内部容積を画定する伸長側アキュムレータハウジングを備える伸長側アキュムレータとをさらに備える。特定の実施形態では、伸長側アキュムレータは第2の剛性を有し、圧縮側アキュムレータは第1の剛性を有し、第2の剛性は第1の剛性よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、100倍以下)。
【0009】
特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータは2型アキュムレータである。特定の実施形態では、伸長側アキュムレータは1型アキュムレータである。特定の実施形態では、伸長側アキュムレータは、第2の作動チャンバを伸長流路に流体的に結合する円筒形首部(例えば、4~10mmの直径、および/または5mm未満の長さを有する首部)をさらに備える。特定の実施形態では、第2の障壁は作動チャンバ内の流体にさらされる第1の表面を備え、首部の断面積は第1表面の表面積より小さい。
【0010】
別の態様では、圧縮チャンバおよび伸長チャンバを少なくとも部分的に画定するアクチュエータハウジングと;ポンプ(例えば、ポンプとして動作することができる油圧モータ、双方向ポンプ、双方向容量型ポンプ)と;第1の障壁(例えば、可動障壁(例えば、摺動可能なピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第1の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えば、ガス)を含有するチャンバ)と、第1の作動チャンバであって、圧縮側第1流路によってポンプに流体的に結合され、圧縮側第2流路によって圧縮チャンバに流体的に結合される第1作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定する圧縮側アキュムレータハウジングを備える圧縮側アキュムレータとを備えた油圧アクチュエータが開示される。
【0011】
特定の実施形態では、圧縮側第1流路は第1のイナータンスを有し、圧縮側第2流路は第2のイナータンスを有し、第1のイナータンスは第2のイナータンスよりも大きい。例えば、第1のイナータンスは、第2のイナータンスの少なくとも5倍または少なくとも10倍であってもよい。特定の実施形態では、第1のイナータンスは、第2のイナータンスよりも100倍以下だけ大きい。
【0012】
代替的にまたは追加的に、特定の実施形態では、以下の(a)および(b)の少なくとも一方が当てはまる。(a)第1の伝達関数の第1のTFmagは、第1の周波数において第1の大域的最大値および第1の局所的最大値の少なくとも一方を有し、第2の伝達関数の第2のTFmagは、第2の周波数において第2の大域的最大値および第2の局所的最大値の少なくとも一方を有し、ここで、第1の伝達関数は第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の第1の関係を表し、第2の伝達関数は第2の地点における圧力と第3の地点における圧力との間の第2の関係を表し、第1の地点はポンプ、ポンプのポート、および圧縮側第1流路のうちの1つに位置し、第2の地点は圧縮側アキュムレータの第1の内部容積内(例えば、第1の作動チャンバの内部)に位置し、第3の地点はアクチュエータの圧縮チャンバ内に位置する、および(b)第1の伝達関数の第1のTFphが第1の周波数で±90°に等しく、第2の伝達関数の第2のTFphが第2の周波数で±90°に等しく、ここで、第1の伝達関数は第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の第1の関係を表し、第2の伝達関数は第2の地点における圧力と第3の地点における圧力との間の第2の関係を表し、第1の地点において、ポンプ、ポンプのポート、および圧縮側第1流路のうちの1つに位置し、第1の地点は、ポンプ、ポンプのポート、および圧縮側第1流路のうちの1つに位置し、第2の地点は圧縮側アキュムレータの第1の内部容積内(例えば、第1の作動チャンバの内部)に位置し、第3の地点はアクチュエータの圧縮チャンバ内に位置する。特定の実施形態では、上記の(a)が当てはまる。特定の実施形態では、上記の(b)が当てはまる。特定の実施形態では、(a)と(b)の両方が当てはまる。
【0013】
特定の実施形態では、第2の周波数は第1の周波数より高い。例えば、第2の周波数は、第1の周波数よりも少なくとも5倍または少なくとも20倍高い場合がある。特定の実施形態では、第2の周波数は第1の周波数よりも100倍未満高い場合がある。特定の実施形態では、第1の周波数は第1の下限より高くおよび第1の上限より低く、第1の下限は0Hz、2Hz、5Hz、または10Hzのうちの1つであり、第1の上限は100Hz、80Hz、60Hz、50Hz、30Hz、20Hz、または15Hzのうちの1つである。特定の実施形態では、第2の周波数は第2の下限よりも高くおよび第2の上限よりも低く、第2の下限は100Hz、200Hz、300Hz、400Hz、または500Hzのうちの1つであり、第2の上限は800Hz、1000Hz、または1500Hzのうちの1つである。
【0014】
特定の実施形態では、圧縮側第1流路は第1の長さを有し、圧縮側第2流路は第2の長さを有し、第1の長さは第2の長さよりも長い。例えば、第1の長さは第2の長さの少なくとも2倍または少なくとも5倍に等しくてもよい。特定の実施形態では、第1の長さは第2の長さよりも50倍以下だけ大きい。
【0015】
特定の実施形態では、圧縮側第1流路は第1の断面積を有する第1の部分を含み、圧縮側第2流路は第2の断面積を有する第2の部分を含み、第1断面積は第2の断面積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍または少なくとも5倍、および/または100倍未満)。
【0016】
特定の実施形態では、アクチュエータは、伸長チャンバ内の流体に少なくとも部分的にさらされる第1の面と、圧縮チャンバ内の流体に少なくとも部分的にさらされる第2の面とを有するアクチュエータピストンをさらに備える。特定の実施形態では、ピストンロッドはピストンに物理的に取り付けることができる(例えば、ピストンロッドはピストンの第1の面に物理的に取り付けることができる)。
【0017】
特定の実施形態では、圧縮側第1流路は、圧縮流路の長さより短い第1の長さを有する。特定の実施形態では、圧縮側第2流路は、圧縮流路の長さより短い第2の長さを有する。特定の実施形態では、第1の長さと第2の長さとの合計は圧縮流路の長さより短い。特定の実施形態では、圧縮流路は1つまたは複数の流路の第1の組の最短流路であり、圧縮側第1流路は1つまたは複数の流路の第2の組の最短流路であり、圧縮側第2流路は、1つまたは複数の流路の第3の組の最短流路であり、ここで、1つまたは複数の流路の第1の組は、ポンプを圧縮チャンバに流体的に結合する油圧装置の各流路からなり、1つまたは複数の流路の第2の組は、ポンプを第1の作動チャンバに流体的に結合する油圧装置の各流路からなり、1つまたは複数の流路の第3の組は、第1の作動チャンバを圧縮チャンバに流体的に結合する油圧装置の各流路からなる。
【0018】
特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータは2型アキュムレータである。特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータは、圧縮側アキュムレータハウジングを貫通する第1の開口と、圧縮側アキュムレータハウジングを貫通する第2の開口と、第1の開口を第2の開口に流体的に結合する内部流路とを備え、ここで内部流路は完全に第1の作動チャンバ内に含まれ、圧縮流路は内部流路を含む。特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータは、第1の外面と第1の内面とを備える第1のチューブハウジングを備える第1のチューブを備え、第1の内面は第1のボアを画定し、第1の外面の少なくとも第1の部分は、圧縮側アキュムレータの第1の作動チャンバ内の流体にさらされる。特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータは、第2の外面と第2の内面とを含む第2のチューブハウジングを備える第2のチューブを備え、第2の内面は第2のボアを画定し、第2の外面の少なくとも第2の部分は、圧縮側アキュムレータの第1の作動チャンバ内の流体にさらされる。特定の実施形態では、第2のボアは、第1のボアの第1の断面積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍または少なくとも5倍、および/または100倍未満の)第2の断面積を有する。
【0019】
特定の実施形態では、油圧装置は、ポンプを伸長チャンバに流体的に結合する伸長流路と、第2の障壁(例えば、可動障壁(例えば、摺動可能なピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第2の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えば、ガス)を含有するチャンバ)と、第2の作動チャンバであって、伸長側第1流路を介してポンプに流体的に結合され、伸長側第2流路を介して圧縮チャンバに流体的に結合される第2の作動チャンバとに分割される第2の内部容積を画定する伸長側アキュムレータハウジングを備える伸長側アキュムレータとをさらに備える。特定の実施形態では、伸長側アキュムレータは第2の剛性を有し、圧縮側アキュムレータは第1の剛性を有し、第2の剛性は第1の剛性よりも大きい。例えば、第2の剛性は、第1の剛性の少なくとも5倍または少なくとも10倍に等しくてもよい。特定の実施形態では、第2の剛性は第1の剛性よりも100倍未満だけ大きい。特定の実施形態では、第1の内部容積は第2の内部容積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、2~100倍)。
【0020】
特定の実施形態では、伸長側アキュムレータは1型アキュムレータであり得る。特定の実施形態では、伸長側アキュムレータは、第2の作動チャンバを伸長流路に流体的に結合する円筒形首部(例えば、4~10mmの直径および/または5mm未満の長さを有する)をさらに備える。伸長側アキュムレータが1型アキュムレータである特定の実施形態において、伸長側第1流路は第3の長さを有し得、伸長側第2流路は第4の長さを有し得、第3の長さは第4の長さよりも短い。
【0021】
特定の実施形態では、伸長側アキュムレータは2型アキュムレータであり得る。伸長側アキュムレータが2型アキュムレータである特定の実施形態では、伸長側第1流路は第3の長さを有し得、伸長側第2流路は第4の長さを有し得、第3の長さは第4の長さより長くてもよい。
【0022】
特定の実施形態において、第4の地点における圧力と第5の地点における圧力との間の関係を表す伝達関数の第3のTFmagは、第3の周波数において大域的最大値および局所的最大値の少なくとも一方を有し、第4の地点はポンプおよび伸長側第1流路のうちの1つに位置し、第5の地点は第2の内部容積内(例えば、第2の作動チャンバの内部または第2の閉じ込めチャンバの内部)に位置する。代替的にまたは追加的に、第4の地点における圧力と第5の地点における圧力との間の関係を表す第3の伝達関数の第3のTFphは、第3の周波数において±90°に等しい可能性があり、第4の地点はポンプおよび伸長側第1流路のうちの1つに位置し、第5の地点は第2の内部容積内に位置する(例えば、第2の作動チャンバの内部または第2の閉じ込めチャンバの内部)。いずれの場合も、特定の実施形態では、第3の周波数は第1の周波数より高い。特定の実施形態では、第3の周波数は第3の下限より大きく、第3の上限より低く、第3の下限は100Hzであり、第3の上限は500Hzである。特定の実施形態では、第3の周波数は前述の第2の周波数より低い。
【0023】
特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータハウジングは、アクチュエータハウジングに直接物理的に取り付けることができる。特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータハウジングとアクチュエータハウジングは少なくとも共通の部分(例えば共通の壁)を共有してもよい。
【0024】
特定の実施形態では、油圧装置は、アクチュエータハウジングの少なくとも一部を取り囲む外側ハウジングをさらに含み得る。特定の実施形態では、油圧装置は、片側でアクチュエータハウジングの外面またはその一部によって、もう1つの側で外側ハウジングの内面またはその一部によって画定された環状キャビティを含み得る。特定の実施形態では、圧縮側第1流路、圧縮側第2流路、伸長側第1流路、および伸長側第2流路のうちの少なくとも1つは、環状キャビティの少なくとも一部を含む。特定の実施形態では、外側ハウジングの内径は、アクチュエータハウジングの外径よりも少なくとも0.4mm大きい。特定の実施形態において、外側ハウジングの内径とアクチュエータハウジングの外径との間の差は、1mm未満である。特定の実施形態では、環状キャビティは、環状キャビティ(例えば、Oリング)によって第1の容積と第2の容積とに分離される。
【0025】
特定の実施形態では、取り外し可能インサートが、圧縮流路、伸長流路、圧縮側第1流路、圧縮側第2流路、伸長側第1流路および伸長側第2流路のうちの少なくとも1つの一部に挿入される。特定の実施形態において、取り外し可能インサートを少なくとも1つの流路に挿入することによって、少なくとも1つの流路の1つまたは複数の特性(例えば、断面積、イナータンス、およびインピーダンス、リストリクション(restriction)、その他)が変化する。外側ハウジングとアクチュエータハウジングとによって少なくとも部分的に画定される環状キャビティを含む特定の実施形態では、取り外し可能インサートは、環状ハウジングに少なくとも部分的に挿入されるスリーブであってもよく、その結果スリーブを環状キャビティに挿入することによって環状キャビティの断面積が変化する。特定の実施形態において、スリーブは、アクチュエータハウジングの外面の少なくとも一部と物理的に接触してもよい。追加的または代替的に、スリーブは、外側ハウジングの内面の少なくとも一部と物理的に接触してもよい。
【0026】
特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータの第1の障壁は、閉じ込めチャンバ内の流体に少なくとも部分的にさらされる第1の表面と、作動チャンバ内の流体に少なくとも部分的にさらされる第2の表面とを有するアキュムレータピストンである。特定の実施形態において、アキュムレータピストンの第2の表面に垂直な第1の線は、アクチュエータピストンの第1の面および第2の面の少なくとも一方に垂直な第2の線と平行である。特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータハウジングは第1の半径方向軸と第1の長手方向軸とを有する円筒形部分を含み、アクチュエータハウジングは第2の半径方向軸と第2の長手方向軸とを有する第2の円筒形部分を含み、第1の長手方向軸と第2の長手方向軸は平行である。
【0027】
特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータは、第1の内部容積内の第1の内圧に応答して第1のコンプライアンス度を提供するように構成された第1のコンプライアンス構成を含む。第1のコンプライアント構成は、例えば、第1の閉じ込めチャンバ内に含有されたガスを含むことができ、第1の障壁は、第1の閉じ込めチャンバの容積を圧縮または拡張するように移動可能であり得る。特定の実施形態では、圧縮側第1流路は、第1の共鳴周波数で第1のコンプライアント構成と共鳴するように構成された第1の流体質量を含む。第1の共鳴周波数は、第1の内圧の変動に応じて変動し得る。特定の実施形態では、圧縮側第2流路は、第2の共鳴周波数で第1のコンプライアント構成と共鳴するように構成された第2の流体質量を含む。特定の実施形態では、第2の共鳴周波数は第1の共鳴周波数より高い。
【0028】
特定の実施形態では、伸長側アキュムレータは、第2の内部容積と流体連通する第2のコンプライアント構成と、首部と、首部内に位置する第3の流体質量とを含み、第3の質量は第3の共鳴周波数(例えば、5~100Hz、80~300Hz)において第2のコンプライアント構成と共鳴するように構成される。特定の実施形態では、第2のコンプライアント構成は、第2の閉じ込めチャンバ内に含有されたガスを含み、第2の障壁は、第2の閉じ込めチャンバの容積を圧縮または拡張するように移動可能であり得る。特定の実施形態では、第3の共鳴周波数は第1の共鳴周波数よりも高くてもよい。
【0029】
特定の実施形態では、油圧装置は流体を含み、ポンプはロータを含み、所与の時間一定速度であるロータの回転は、油圧装置の流体の少なくとも一部内に圧力脈動を発生させ、第1のコンプライアント構成は、前記圧力脈動の第1の部分を少なくとも部分的に吸収するように構成され、第2のコンプライアント構成は、前記圧力脈動の第2の部分を少なくとも部分的に吸収するように構成される。特定の実施形態では、第1の地点における圧力脈動の第1の振幅は、第2の地点における圧力脈動の第2の振幅よりも大きく、第1の地点は、ポンプおよび圧縮側第1流路のうちの1つに位置し、第2の地点はアクチュエータの圧縮チャンバ内に位置する。特定の実施形態では、第3の地点における圧力脈動の第3の振幅は、第4の地点における圧力脈動の第4の振幅よりも大きく、第3の地点はポンプおよび伸長側第1流路のうちの1つに位置し、第4の地点はアクチュエータの伸長チャンバ内に位置する。
【0030】
特定の実施形態では、本明細書に記載される開示された油圧装置のいずれかの油圧アクチュエータは、圧縮チャンバ内の流体にさらされる第1の面と伸長チャンバ内の流体にさらされる第2の面とを有するピストンをさらに備えてもよい。さらに、ピストンロッドを第2の面に取り付けることができる。
【0031】
別の態様では、本明細書に記載されるいずれかの実施形態による油圧装置を含むサスペンションシステムを備える車両が開示される。特定の実施形態では、車両は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる複数の油圧装置を備えることができる。
【0032】
さらに別の態様では、障壁(例えば、可動バリア(例えば、摺動可能なピストン、ブラダーまたはその一部))によって、第1の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えば、ガス)を含むチャンバ)と、第1の作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定するハウジングを備えるアキュムレータが開示される。アキュムレータは、第1の外面と、第1のボアを画定する第1の内面とを備える第1のチューブハウジングを有する第1のチューブをさらに備えることができ、第1の外面の少なくとも第1の部分は、圧縮側アキュムレータの第1の作動チャンバ内の流体にさらされる。アキュムレータは、第2の外面と、第2のボアを画定する第2の内面とを備える第2のチューブハウジングを有する第2のチューブをさらに備えることができ、第2の外面の少なくとも第2の部分は、圧縮側アキュムレータの第1の作動チャンバ内の流体にさらされる。特定の実施形態では、第2のボアは、第1のボアの第1の断面積よりも大きい第2の断面積を有する。例えば、第2の断面積は、第1の断面積よりも少なくとも2倍または少なくとも5倍、あるいは2倍~100倍または5倍~100倍大きくてもよい。代替的または追加的に、第1のチューブは第1の長さを有することができ、第2のチューブは第1の長さより短い第2の長さを有することができる。代替的または追加的に、第1の断面積に対する第1の長さの第1の比は、第2の断面積に対する第2の長さの第2の比よりも大きくてもよい。代替的または追加的に、第1のボア内の流体のイナータンスは、第2のボア内の流体のイナータンスよりも大きくてもよい。
【0033】
本開示はこの点に関して限定されないので、前述の概念、および以下で考察される追加の概念は、任意の適切な組み合わせで構成されてもよいことを理解されたい。任意の実施形態の任意の特徴を任意の他の実施形態の任意の他の特徴と組み合わせることができると考えられる。さらに、本開示の他の利点および新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮する場合、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な記載から明らかになるであろう。さらに、本明細書に記載の異なる例示的な実施形態に関連して図示または記載した様々な特徴は、他の実施形態または態様の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。そのような組み合わせは、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図面の簡単な説明
【
図1】油圧システム内の2地点における圧力間の関係性を表す圧力/圧力伝達関数のTFmagを示す。
【
図2】油圧アクチュエータを含む油圧システムを示す。
【
図3】油圧システム内の第1の地点における圧力リップル(pressure ripple)を示す観察された圧力のプロットを示す。
【
図4】油圧アクチュエータと1型アキュムレータとを含む油圧システムを示す。
【
図5】油圧アクチュエータと2型アキュムレータとを含む油圧システムを示す。
【
図6】油圧アクチュエータとアキュムレータとを含む油圧システム内の様々な地点間の伝達を表す圧力/変位伝達関数を示す。
【
図7】油圧アクチュエータと2つの1型アキュムレータとを含む油圧システムを示す。
【
図8】油圧アクチュエータと、1型アキュムレータと、2型アキュムレータとを含む油圧システムを示す。
【
図9】油圧アクチュエータと、2つの2型アクチュエータとを含む油圧システムを示す。
【
図10】油圧アクチュエータを含むサスペンションシステムを有する車両を示す。
【
図11A】油圧アクチュエータと、2つのアキュムレータとを含む油圧システムの別の実施形態を示す。
【
図11B】油圧アクチュエータと、2つのアキュムレータとを含む油圧システムの別の実施形態を示す。
【
図12B】2型アキュムレータの別の実施形態を示す。
【
図12C】2型アキュムレータの別の実施形態を示す。
【
図13】油圧システム内の様々な地点における圧力間の関係性を表す圧力/圧力伝達関数のTFmagを示す。
【
図14】油圧システム内の様々な地点における圧力の関係性を表す様々な伝達関数のTFphを示す。
【
図15】仮想油圧システムを通る圧力波の伝播を示す。
【
図16a】油圧アクチュエータを備える油圧システムを示す。
【
図17a】油圧アクチュエータを備える油圧システムを示す。
【
図18a】油圧アクチュエータを備える油圧システムを示す。
【
図19a】油圧アクチュエータを備える油圧システムを示す。
【
図20a】油圧アクチュエータを備える油圧システムを示す。
【
図21a】油圧アクチュエータを備える油圧システムを示す。
【
図22a】油圧アクチュエータを備える油圧システムを示す。
【
図23】
図19aに示される油圧システムの理論モデルを示す。
【
図24】油圧システムの圧縮側第1流路のイナータンスを変えることにより得られる経験的な結果を示す。
【
図25a】油圧アクチュエータを備える油圧システムの実施形態を示す(一定の縮尺で描かれている)。
【
図25b】
図25aのシステムの別の図を示す(一定の縮尺で描かれている)。
【
図25c】
図25aのシステムの別の図を示す(一定の縮尺で描かれている)。
【
図25d】
図25aのシステムの別の図を示す(一定の縮尺で描かれている)。
【
図26】2つの異なる油圧システムの評価から得られる経験的な結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
特に記載のない限り、図面は一定の縮尺ではない。
【0036】
詳細な記載
本明細書に開示されているのは、1つまたは複数の油圧アクチュエータを利用する様々な方法およびシステムである。そのような油圧システムは、例えば理想的にはコンパクトなパッケージング、速い応答時間、および低ノイズ動作を要求する自動車のアクティブサスペンションシステムにおいて利用されてきた。本発明者らは、一体型油圧システムにおける油圧構成要素の相対配置のわずかな変化でさえも、システム全体の動作特性(例えば、ノイズ、応答時間)およびパッケージング要件に重大な影響を及ぼす可能性があることを発見した。本明細書では、コンパクトなパッケージング、速い応答時間、および低ノイズ動作の組み合わせが達成され得るように、油圧構成要素および油圧システムにおける前記油圧構成要素の特定の配置に関して多くの発見が記載されている。これらの発見は、例えば、油圧システム内の異なる部分に配置された様々な種類のアキュムレータの組み込み、ならびに例えば油圧システムの相対インピーダンス、イナータンス、および/または様々な流路の長さの正確な調整を含む。
【0037】
本発明者らは、例えば油圧アクチュエータを利用する油圧システムなどの油圧システム内の油圧構成要素の正確な配置が、しばしば事前情報を使用しても容易に予測できない方法で、油圧システムに関連するノイズ、応答時間、およびパッケージングサイズに多大な影響を及ぼし得ることを認識した。多くの場合、これらの考慮事項はトレードオフを示し得る。例えば、吸音材などの部品を追加することは音響ノイズを軽減するのに役立つかもしれないが、これによりシステムの嵩が増しおよび/または応答時間が増加し、それによりスペースが非常に限られおよび/または非常に速い応答時間が望まれるある種の用途を排除するかもしれない。本明細書で提示されるのは、パッケージングにおける柔軟性およびコンパクトさを許容しながら、低ノイズ、高速応答時間動作の1つまたは複数を可能にし得る、様々な油圧システムおよびその使用方法である。本明細書に記載の様々な実施形態は、それらの例示的な利益を提供することに限定されるべきではなく、他の可能な利益も可能である。
【0038】
特に、一態様において、油圧アクチュエータおよびポンプを含む油圧システムでは、システム内の、ノイズをもたらし得る振動などの脈動または振動を吸収するためにアキュムレータを組み込むことができる。アキュムレータは、第1の流路によってポンプに流体的に結合され、第2の流路によってアクチュエータの圧縮チャンバに流体的に結合された作動チャンバを含み得る。発明者らは、第1の流路と第2の流路との相対イナータンスを制御することによって、および/またはシステムの様々な部分の共鳴周波数を制御することによって、様々な性能測定項目(例えば、ノイズ減衰能力および/または応答時間など)を改善できることを認識している。例えば、第1の流路のイナータンスが第2の流路のイナータンスよりも大きいシステムでは、ノイズ減衰を改善することができる。追加的または代替的に、第1の流路内のイナータンスとアキュムレータのコンプライアンスとの相互作用に関連する共鳴が90Hz未満の第1の周波数で生じるように油圧システムを設計することによってノイズ減衰を改善することができる(例えば、1~90Hz、1~50Hz、または1~20Hzのある周波数範囲。任意選択的に、第2の流路内のイナータンスとアキュムレータのコンプライアンスとの相互作用に関連する共鳴が第1の周波数よりも高い第2の共鳴周波数で生じるように第2の流路を構成することができる。本明細書で詳細に記載するように、システムの共鳴周波数は、伝達関数を使用することによって経験的に決定または評価することができる。
【0039】
発明者らはさらに、ポンプとアキュムレータとを備える油圧装置であってポンプが(圧縮流路を介して)圧縮チャンバと(伸長流路を介して)伸長チャンバとの両方に流体的に結合される油圧装置について、2つのアキュムレータが、それらが相乗的に相互作用するように利用および構成されてもよいことを発見した。具体的には、圧縮側アキュムレータは、ポンプとアクチュエータの圧縮チャンバとを流体的に結合する圧縮流路上に配置されてもよい一方、伸長側アキュムレータは、ポンプを伸長チャンバに流体的に結合する伸長流路上に配置されてもよい。以下に示すように、各アキュムレータを記載されるようにポンプの両側(例えば、1つは伸長側、もう1つは圧縮側)に配置することは、単独で考えられる個々のアキュムレータの合計をはるかに上回るシステム性能(例えば、脈動減衰能力)をもたらし得る。一方のアキュムレータ(例えば伸長側アキュムレータ)を他方のアキュムレータ(例えば圧縮側アキュムレータ)よりも大きい剛性を有するように構成することによって、および/または一方のアキュムレータ(例えば伸長側アキュムレータ)を、それが他方のアキュムレータ(例えば圧縮側アキュムレータ)よりも小さい内部容積を有するようにサイジングすることによって、さらなる相乗効果が生じ得る。
【0040】
代替的にまたは追加的に、圧縮側アキュムレータは、流体が圧縮側アキュムレータの作動チャンバへ流入/から流出することができる2つの別個のポート-第1のポートおよび第2のポート-を含んでもよい(例えば、圧縮側アキュムレータは本明細書に記載される2型アキュムレータであってもよい)。これらの実施形態において、本明細書で詳細に記載するように、本発明者らは以下のことを認識した、すなわち、ポンプを第1のアキュムレータポートに流体的に結合する圧縮側の第1の流路またはその一部の様々な特性(例えば、第1のイナータンス、第1のインピーダンス、第1の長さ、第1の断面積)を、アクチュエータの圧縮チャンバに第2のアキュムレータポートを流体的に結合する圧縮側の第2の流路またはその一部のそれぞれの特性(例えば、第2のイナータンス、第2のインピーダンス、第2の長さ、第2の断面積)に対して正確に制御することによって、システム性能に関して追加の利点が生じ得ることを認識した。
【0041】
ここで図に目を向けると、いくつかの非限定的な実施形態が詳細に記載されている。ここで図に目を向けると、いくつかの非限定的な実施形態が詳細に記載されている。
図2は、油圧アクチュエータ212の簡略化した実施形態を示す。図示の実施形態では、油圧アクチュエータ212は、(i)円筒形ハウジング205と、ハウジング205に挿入される摺動ピストン207の第1面とによって画定された圧縮チャンバ201と、(ii)摺動ピストン207の第2の面とハウジング205とによって画定された伸長チャンバ220とを含む。摺動ピストン207の第2の面は、ピストンロッド209に物理的に取り付けられてもよい。図示の実施形態において、ハウジング205は受入れポート203をさらに備える。受入れポート203は、例えば、流体が圧縮チャンバ201に出入りすることを可能にする、ハウジング205を貫く開口部であってもよい。圧縮チャンバ201は、例えば、チューブ、ホース、パイプ、またはチャネルであってもよい受入れ流路208によってポンプ206に流体的に結合されてもよい。ポンプは流体リザーバ210に流体的に結合されてもよい。モータコントローラ216と通信する電気モータ218が、ポンプ206に作動的に結合されてもよい。
【0042】
特定の実施形態では、電気モータ218によってポンプ206に適用されるトルクは、圧縮チャンバ201内の流体の圧力を変え、それによって、ピストン207および取り付けられたピストンロッド209の移動をもたらし、油圧アクチュエータの長さ214を変化させ得る力をピストン207へ付与するために、時間とともに意図的に変えられてもよい。様々な実施形態では、モータコントローラ216は、例えば、所与の時間にわたるアクチュエータ212の所望の長さ214(すなわち「公称コマンド長さプロファイル」)、所与の時間にわたるピストンの所望の長手方向位置(すなわち「公称コマンド位置プロファイル」)、所与の時間にわたる所望のポンプ速度(すなわち「公称コマンド速度プロファイル」)、所与の時間にわたるピストン207の第1の面に適用するための所望の力(すなわち、「公称コマンド力プロファイル」)、所与の時間にわたる圧縮チャンバ201の所望の圧力(すなわち、「公称コマンド圧力プロファイル」)、または所与の時間にわたるポンプ206に適用するための所望のトルク(すなわち、「公称コマンドトルクプロファイル」)、のうちのいずれか1つを特定する(例えば、外部コントローラまたはユーザからの)公称コマンドプロファイルを受信してもよい。特定の実施形態では、公称コマンドプロファイルを受信したことに応答して、モータコントローラ216は、ポンプおよび/またはアクチュエータが公称コマンドプロファイルに従って動作するように、時間依存信号(例えば、電気信号(例えば、電流、電圧))をモータ218に適用してもよい。
【0043】
コマンド位置プロファイル(経時的なピストンの所望の長手方向位置を表す)は、例えば式F(t)=m*d2x(t)/dt2+PbAb(式中、x(t)は位置プロファイルであり、mはピストンおよびピストンロッドの質量であり、Pbは伸長チャンバ210内の流体の圧力であり、Abは伸長チャンバ210内の流体にさらされるピストンの第2の面の面積であり、F(t)はコマンド力プロファイルである)を使用することによって、コマンド力プロファイル(経時的にピストン207の第1の面に適用される所望の力を表す)に関連付けられてもよい。同様に、コマンド速度プロファイル(経時的なポンプの所望の動作速度を表す)は、例えば、関係式w(t)=dx(t)/dt*A*1/Disp(式中、x(t)は位置プロファイルであり、Aは圧縮チャンバの断面積であり、Dispはポンプ206の1回転当たりの変位であり、w(t)は単位時間当たりの回転の単位におけるコマンド速度プロファイルである)を使用することによって、位置プロファイルに関連付けることができる。上記の式は、明確にするための例として意図されており、作動液の圧縮性、ポンプ周りの漏れ流量、その他などの追加のパラメータを含むように修正されてもよいことに留意されたい。コマンド圧力プロファイル(経時的な圧縮チャンバ201の所望の圧力を示す)は、例えば式P(t)=F(t)/A(式中、Aは圧縮チャンバ201内の流体にさらされるピストン207の第1の面の面積であり、P(t)はコマンド圧力プロファイルである)を使用することによって、コマンド力プロファイルに基づいて決定されてもよい。コマンドトルクプロファイル(経時的にポンプ206に適用するための所望のトルクを表す)は、例えば式τ(t)=[P(t)-Pr]*Disp(式中、Dispはポンプの押しのけ容積であり、Prは流体リザーバ210内の流体の圧力であり、τ(t)は公称コマンドトルクプロファイルである)を使用して、コマンド圧力プロファイルに基づいて決定されてもよい。前述の式は例であり、そのような式は、例えばポンプの慣性力、引きずりトルク、様々な構成要素の摩擦、ポンプ周りの漏れ、その他などの追加のパラメータを組み込むように修正されてもよい。
【0044】
特定の実施形態では、ポンプ206は容量型油圧ポンプであり得る。「ポンプリップル」として知られる現象の結果として、容量型ポンプによって吐出される流体の流量は滑らかではなく、むしろ「リップル周波数」と呼ばれる周波数で変動する可能性がある。ポンプ206で生じる吐出流量におけるそのような変動(本明細書では「流れリップル」と呼ばれる)は、圧力波(音響波と呼ばれることもある)として油圧システム内で下流に伝搬し得る圧力変動を発生させ、それにより油圧システム内の様々な地点において差圧に変動をもたらす可能性がある。
【0045】
図3は、
図2に示す油圧システムの第1の地点200で観察され得る圧力プロファイルの例を示す。見ることができるように、油圧システムの第1の地点200における観察された圧力301は、ポンプ206によって生成された流れリップルによって生じるより高い周波数変動305と重ね合わされた(所望の圧力を時間の関数として指定する)コマンド圧力プロファイル303に従って変動する。流れリップルによって生じる観察された圧力301における高い周波数変動305は、「圧力リップル」と呼ばれる場合がある。
図2に戻ると、第1の地点200で観察された圧力リップルが受入れ流路208を通って圧縮チャンバ201内に伝播することができる場合、ピストン207に及ぼされる力は変動する可能性があり、その結果、ピストン207およびピストンロッド209の位置に変動が生じる可能性がある。このリップルは、ピストンロッド209に、および例えばトップマウントおよび/または車体など、ピストンロッド209が取り付けられるあらゆる構造に伝達される可能性がある。本明細書で使用される場合、リップルという用語は、流れリップル、圧力リップル、または力リップルを指す場合がある。前述の現象はすべて相互に関連し、共通の原因(例えば容量型ポンプの動作)を共有する場合があるからである。
【0046】
油圧システムを介して伝播することが許容される場合、リップルは油圧システムおよび/またはそれが取り付けられる構造において可聴ノイズまたは他の不安定性を発生させる可能性がある。したがって、様々な用途において、圧力リップルが油圧システムを介して伝播することができないか、または伝播中に少なくとも部分的に軽減される油圧システムを設計することが望ましいかもしれない。音響伝播の軽減は、例えば、ポンプの下流のアキュムレータとして知られている構成要素を使用することによって達成することができる。
図4は油圧アキュムレータ402の使用を示している。
図4の油圧システムは、受入れ流路上に配置されているアキュムレータ402が追加されていることを除いて、
図2のものと同様である。アキュムレータ402は、内部容積401を画定するハウジング416を含むことができる。示されるように、内部容積401は、障壁406によって、閉じ込めチャンバ408と作動チャンバ410とに分離することができる。特定の実施形態では、障壁406の第1の側は、閉じ込めチャンバ408に含有された圧縮性流体(例えば、気体)にさらされ、障壁406の第2の側は、作動チャンバ410内の作動液にさらされる。
【0047】
閉じ込めチャンバ408内の圧縮性流体は、障壁によって作動チャンバから分離することができる。障壁406は移動可能であり得る。特定の実施形態では、圧力脈動により、受入れチャンバ内の流体の瞬間圧力が閉じ込めチャンバの圧力を超えることがある。それに応答して、流体が受入れ流路208からポート450を通って作動チャンバ410に流れ込む場合があり、これは障壁406の移動(例えば、滑動または撓み)を潜在的にもたらし、その結果、作動チャンバ410の容積が増大する一方で閉じ込めチャンバ408の容積が収縮する。閉じ込めチャンバの容積の収縮により、閉じ込めチャンバ408内の圧縮性流体は、続いて障壁406に復元力を及ぼし得る。受入れチャンバ内の流体の圧力が公称値に戻るとき、復元力は、流体がポート450を通って作動チャンバ410から流出するのと同時に障壁406をその元の位置に戻し得る。このようにして、閉じ込めチャンバ内の圧縮性流体によって提供されるコンプライアンスは、脈動をアキュムレータによって少なくとも部分的に吸収することを可能にし得る。
【0048】
図示の実施形態では、障壁406は浮動ピストンであり、ハウジング416は円筒形である。しかしながら、様々な実施形態では、ハウジング416は、球形および半球形を含む任意の形状とすることができ、障壁406は、閉じ込めチャンバ408内の流体を作動チャンバ410内の流体から分離する、例えば弾性または半弾性のブラダーなどの任意の障壁とすることができる。
図4に示すアキュムレータ402の実施形態では、アキュムレータハウジング416は単一のポート450を備え、それを介して流体は作動チャンバ410から/へ受入れ流路208へ流出/から流入することができる。流体が(複数のポートとは対照的に)単一のポート450を介して作動チャンバ410に流出入することができるアキュムレータは、本明細書では1型アキュムレータと呼ばれる。したがって、
図4の油圧アキュムレータ402は、1型アキュムレータであると言うことができる。
【0049】
油圧アキュムレータは、油圧ガス充填アキュムレータ(閉じ込めチャンバ408がガスを含む)およびスプリング油圧アキュムレータ(障壁406がバネによって物理的に拘束される)を含むがこれらに限定されない様々な構成で提供できることを理解されたい。本明細書に記載の実施形態の多くは油圧ガスアキュムレータを示しているが、本開示は、明示的に述べられている場合を除いて、この方式のアキュムレータに限定されない。特に明記しない限り、本明細書に記載の様々なシステムは、任意の適切な種類のアキュムレータに対応し得ることを理解されたい。文脈に応じて、当技術分野で知られている他の用語、例えば緩衝装置およびリザーバなどがアキュムレータと交換可能に使用され得ることが理解される。
【0050】
油圧システムの一地点における乱れが伝播し油圧システムの他の地点で構成要素に影響を及ぼす傾向は、伝達関数を用いて定性的および/または定量的に特徴付けることができる。本明細書で使用する場合、伝達関数は、システム内の第2の地点で観察された動作パラメータの変化がシステム内の第1の地点における動作パラメータの変化にどのように関連するかを表す関数を意味すると理解される。第2の地点における観察された動作パラメータは、例えば、「出力」と呼ばれることがあり、例えば、観測された圧力、ピストンに適用された力、変位位置、その他に対応し得る。第1の地点における変化は、例えば「入力」(「入力リップル」など)と呼ばれることがあり、例えば、第1の地点における圧力リップル、変位、その他に対応し得る。入力リップルに対する油圧システムの応答は一般に入力リップルの周波数に依存し得る。したがって、特定の実施形態では、伝達関数は、y軸上で入力の強度または振幅に対する出力の強度または振幅の比(または対数比)を、x軸上で入力(例えば入力リップル)の周波数を示すプロットとして表すことができる。
【0051】
図1は、伝達関数100の例を示す。図示の例では、y軸102は、強度の比に対応する(または、例えば、
図4の油圧システムの第2の地点404で観察された圧力変動の振幅対例えば
図4の油圧システムの第1の地点200で観察された圧力変動の強度または振幅。示される特定の例において、第1の地点200はポンプ206とアキュムレータ402との間の受入れ流路208内に位置し、第2の地点404はアキュムレータ402の作動チャンバ404内に位置する。しかしながら、これらの地点は単なる例示であり、一般に、伝達関数はシステム内の任意の2地点間の脈動の伝達またはそれらの間の関係を表すことができる。
【0052】
図示の実施形態では、x軸104は、第1の地点200における圧力変動の周波数に対応し得る。所与の周波数における圧力変動が減衰も増幅もなしに第1の地点200から第2の地点404に伝搬する場合、伝達関数100は、その所与の周波数で1となるであろう(すなわち、第2の地点404に到達したときの圧力の強度または振幅は、第1の地点200における圧力の初期の強度または振幅と等しいであろう)。第1の地点200から第2の地点404への伝播中に減衰する変動圧力について、またはエネルギーが第2の地点404を通過しない代替流路に部分的に向けられる圧力波について、伝達関数100は1未満であり得る。伝播中に増幅される圧力変動について、伝達関数100は1超であり得る。
【0053】
伝達関数はまた、y軸102が入力強度に対する出力強度の比の対数として表されてもよいグラフで示されてもよい。これらのプロット(y軸に対数目盛またはdB目盛を使用)では、ゼロ値は、入力圧力が第1の地点から第2の地点に伝搬する間に減衰も増幅もないことを示し、負の値は伝播中の減衰を示し、正の値は伝播中の増幅を示す。
【0054】
上述のように、
図1に示す例示的な伝達関数は、油圧システムの第1の地点200(入力)での圧力変動に応答した油圧システムの第2の地点404(出力)での仮想の圧力応答を示す。したがって、y軸に沿った比は、圧力強度または振幅に対する圧力強度または振幅を表す。ある地点における圧力と別の地点における圧力との関係が示されるこれらのタイプの伝達関数は、「圧力/圧力伝達関数」と呼ばれることがある。
【0055】
別の説明では、y軸は、出力における任意のパラメータの強度または振幅の、入力における他のパラメータの強度または振幅に対する比を表し得る。例えば、特定の説明では、y軸は、(a)油圧システムの第2の地点404における観察された圧力波の強度の(b)油圧回路の第1の地点200で測定された変動する流体変位の強度(変位リップルと呼ばれる)に対する比に対応し得る。これらの実施形態では、比は、入力における変位に対する出力における圧力強度または振幅の比であり、伝達関数は圧力/変位伝達関数と呼ばれる。あるいは、例えば、伝達関数の特定の表現において、y軸上に、(a)アキュムレータ402の障壁406(または他の可動構成要素)の位置の(b)油圧システムの第1の地点200における圧力の変動に対する比をプロットすることによって得られてもよい。これらの実施形態では、比は、入力における圧力強度または振幅に対する出力における変位の比である。
【0056】
図1に示す圧力/圧力伝達関数の例示的な大きさは、
図4の第1の地点200と
図4の第2の地点404との間の圧力脈動(時に圧力波または圧力脈動と呼ばれる)の伝達(または伝播)に対応する。
図4から分かるように、第1の地点200はポンプ206とアキュムレータ402との間の流路内に配置され、第2の地点404はアキュムレータ402の作動チャンバ410内に配置されている。
図1に示す例示的な伝達関数100では、伝達関数100はより低い周波数範囲106に関して平坦であり1に等しく、これはより低い周波数範囲106内の周波数における圧力波が軽減されることなく第2の地点404に伝達されることを示している。次いで、伝達関数は、「共鳴周波数」(例えば、ヘルムホルツ共鳴周波数であり得る)と呼ばれることがある特定の周波数109で最大値108に達する。例えば圧力/変位伝達関数などの他の伝達関数では、共鳴周波数は最大値ではなく最小値で示されてもよい。
【0057】
これまでに開示された伝達関数はすべて、一地点におけるパラメータ(たとえば圧力)の強度または振幅の、第2の地点におけるパラメータ(例えば圧力、変位)の強度または振幅に対する比を表している。追加的または代替的に、油圧システム内の一地点で観察された所与の周波数における波(例えば、圧力波、または変動)の位相を、油圧システムの別の地点において同じ周波数について観察された位相と比較して表す伝達関数が生成されてもよい。例えば、
図15は、油圧要素1501を備える仮想油圧システムを示す。
図15に示すように、油圧システム内の第1の地点1503で発生した圧力波または変動1507は、油圧要素1501を通って第2の地点1505に伝播する(すなわち、圧力波または変動は、第1の地点から第2の地点に伝達される)。
図15の仮想油圧システムに関して描かれるように、第1の地点1503における圧力波1507の強度または振幅1509は、第2の地点1505における圧力波1507の強度または振幅1511に等しく、ゆえに、第2の地点1505における圧力波1507の振幅1511の第1の地点1503における圧力波1507の振幅1509に対する対数比をプロットする圧力/圧力伝達関数の大きさは、示されている波の特定の周波数に関してゼロに等しいであろう(これは減衰も増幅もない伝播を示す)。しかしながら、見ることができるように、圧力波が仮想要素1501を通って伝播するにつれて、その位相は180度シフトされる。したがって、第1の地点1503から第2の地点1505への伝播を表す伝達関数の位相は、示されている波の特定の周波数に関して±180°に等しいであろう。
【0058】
明瞭さおよび簡潔さのために、「伝達関数の大きさ」および「伝達関数の位相」に言及するのではなく、以下の用語が使用される。本明細書で使用する場合、伝達関数の「TFmag」という用語は複素関数の大きさを意味すると理解され、「TFph」という用語は複素関数の位相を意味すると理解される。したがって、第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の関係を表す伝達関数のTFmagは、2つの軸(例えば、x軸およびy軸)を有するプロットとして表すことができ、ここで、第1の軸(例えば、x軸)は圧力変動の周波数を示し、第2の軸(例えば、y軸が示す)第1の地点における圧力変動の振幅に対する第2の地点における圧力変動の振幅の比(または対数比)。同様に、第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の関係を示す伝達関数のTFphは、2つの軸(例えば、x軸およびy軸)を有するプロットとして表すことができ、ここで、第1の軸(例えば、x軸)は圧力変動の周波数を示し、第2の軸(例えば、y軸)は伝達関数の位相角(例えば、第1の地点における圧力変動の位相と比較したときの第2の地点における圧力変動の位相間の差)を示す。「位相差」は、油圧システム内の別の地点で観察される圧力波の位相と比較した、油圧システム内の一地点で観察される圧力変動の位相の差を指すと理解される。
【0059】
2地点間の油圧システムの一部分が共鳴しているとき、2地点における圧力の変化の間に90°の位相差があり得る。言い換えれば、2地点における圧力間の関係を示す伝達関数のTFphは、システムのその部分の共鳴周波数において+/-90°の値を有し得る。さらに、上述したように、伝達関数のTFmagは、システムのその部分の共鳴周波数で局所的最大値または大域的最大値を有し得る。しかしながら、特定のシステム、例えば、強く減衰されるシステムでは、TFmagのプロットから局所的最大値を識別することは困難であり得る(例えば、最大値は騒音レベルを超えて上昇しないかもしれない)。これらの場合、例えば、共鳴周波数は、観察された位相差が+/-90°である周波数(または周波数範囲)を決定するためにTFphを評価することによって決定されてもよい。
【0060】
したがって、本明細書で使用される際「共鳴周波数」という用語は、例えば、(i)圧力/圧力伝達関数のTFmagが大域的最大値または局所的最大値のいずれかを示す周波数(すなわち、周波数に関する伝達関数の一次導関数が、正の値からゼロへ、または正の値から負の値へ変化する周波数)、または(ii)TFphが+/-90°に等しい周波数を指し得る。
【0061】
共鳴周波数に対応する周波数を有する脈動が流体で満たされた油圧システムに導入されると、脈動はシステム内の1つまたは複数の共鳴を「励起」し得る。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、そのような共鳴は、油圧システムの慣性要素(例えば、油圧システムの容積内の流体の一部)がシステムのコンプライアント要素(例えば、アキュムレータの閉じ込めチャンバ内に含有されたガス、バネ)と同期して物理的に振動し、その結果、潜在的エネルギー(例えば、コンプライアント要素の圧縮または伸長によって蓄積されたエネルギー)と運動エネルギー(例えば、流体の一部の動きによる)との間の連続的な交換が存在するときに生じると考えられ得る。一般に、複数の慣性要素およびコンプライアント要素を特徴とする油圧システムは様々な共鳴を示すことがある。これらの様々な共鳴のうちの2つ以上が重なり合う、または十分に類似の周波数を有する場合、油圧システムの第1の共鳴は、制御不能または望ましくない方法で油圧システムの第2の共鳴を「励起」し得る。したがって、本出願の全体を通して論じられるように、発明者らは、様々な共鳴が共鳴周波数において十分に離間されるようにシステムを設計することの重要性を認識した。
【0062】
上記を考慮して、所与の油圧システムの共鳴周波数は、例えば、(i)油圧システム内の様々な地点に圧力センサを配置すること、(ii)第1の周波数を有する圧力波または脈動をシステムに導入すること、(iii)システム内の様々な地点のそれぞれにおける圧力波または脈動の強度、振幅、および/または位相を監視すること、(iv)システム内の様々な地点のそれぞれにおける圧力波または脈動の強度、振幅、および/または位相を監視し続けながら生成された圧力波または脈動の周波数を変更すること、(v)様々な地点における圧力間の関係を示す1つまたは複数の伝達関数のTFmagおよび/またはTFphを決定すること、および(vi)TFphが+/-90°であり、および/またはTFmagが大域的または局所的最大値を有する周波数を識別することによって、決定されてもよい。
【0063】
図1に戻ると、共鳴周波数109よりも高い第2の周波数範囲110において、伝達関数は1未満に減少し、これは第2の範囲の周波数を有する圧力変動が伝播中に減衰するか、または第2の地点404を通過しない代替流路を辿ることを示している。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、低周波数範囲106内の周波数において、油圧アクチュエータ212はアキュムレータ402と比較して高い流体インピーダンスを有し得る。流体は、低周波数において、主に最も低いインピーダンスを有する経路を介して流れる傾向があるので、圧力脈動はアキュムレータ402の作動チャンバ410に伝播し得、これにより障壁406は圧力脈動に応じて上下に移動され、それによってそれらのエネルギーを少なくとも部分的に吸収し、例えば、それを熱エネルギーに変換する(例えば、閉じ込めチャンバ408内のガス粒子を加熱することによって)。その結果、低周波数入力圧力脈動がアキュムレータ402の作動チャンバ410内に伝播し得、場合によっては、アキュムレータ402によって吸収され得る。
【0064】
共鳴周波数109または実質的に共鳴周波数109に近い周波数の圧力変動が、
図4の第1の地点200から
図4の第2の地点404までの間で増幅されることがある。これは「ヘルムホルツ」型共鳴と称され得る現象であり、共鳴周波数109においてTFmagの局所的最大値108をもたらす。一方、共鳴周波数109よりも高い第2の範囲110の周波数を有する圧力変動は、障壁406の移動に関連する慣性および/またはアキュムレータの首部452内の流体の移動に関連する慣性を克服することができない可能性がある。これらのより高い周波数では、首部452内の流体は、アキュムレータの作動チャンバ410へ流入/から流出することなく流体が受入れ流路208を通って流れるように、実質的に不動のままであり得る。それ故、アキュムレータは、周波数が増加するにつれて、圧力変動(例えば、リップル)を吸収するのに効果が低くなるかまたは全く効果的でなくなる可能性がある。これらの理由から、1型ガスアキュムレータを使用する
図4に示すシステムなどのシステムに関して、伝達関数の典型的なTfmagは
図1の一般的なパターン(例えば、最初に低周波数範囲106に対応する比較的平坦な部分、共鳴周波数109に対応する最大値108、および第2の周波数範囲110における負の勾配)に従い得る。
【0065】
上記に基づいて、本発明者らは、1型アキュムレータ(例えば、首部452を介して流路208から分岐するアキュムレータ402)は、周波数がシステムのその部分の共鳴周波数109を超えて増大するにつれて、変動(例えばリップル)を吸収するのに次第に効果的でなくなり得ることを認識した。共鳴周波数109よりも十分に高い周波数を有するリップルの場合、アキュムレータ402の効果は、油圧システム全体の応答がアキュムレータのない同様の油圧システムの応答に近づき得る程度にまで低下する可能性がある。
【0066】
本発明者らは、油圧アクチュエータを備える特定の油圧システムにおいて、本明細書で「2型アキュムレータ」と呼ばれる代替のアキュムレータ設計が、1型アキュムレータによって与えたより広い範囲の周波数にわたってより効果的な減衰特性をもたらし得ることを認識した。
図5は、2型アキュムレータの使用を示している。1型アキュムレータと同様に、2型アキュムレータは、可動障壁406によって閉じ込めチャンバ408と作動チャンバ410とに分離される内部容積を少なくとも部分的に画定するアキュムレータハウジング416を含むことができる。
図4に示す1型アキュムレータ402とは異なり、
図5に示す2型アキュムレータ500は、アキュムレータハウジング416が2つの異なるポート:(i)流体が作動チャンバ410へ流入/から流出し得る第1のポート501、および(ii)同様に流体が作動チャンバ410へ流入/から流出し得る第2のポート502を含むことができるという事実によって特徴付けることができる。さらに、第1のポートおよび第2のポートは、作動チャンバ410内に配置されてもよい内部流路によって流体的に結合されてもよい。図示の実施形態では、第1のポート501は、流体が、ポンプ206を作動チャンバ410に流体的に結合する第1の流路505から/へ作動チャンバ410へ流入/から流出することを可能にし、第2のポートは、流体が、作動チャンバ410を油圧アクチュエータ212の圧縮チャンバ201に流体的に結合する第2の流路507から/へ作動チャンバ410へ流入/から流出することを可能にする。
【0067】
2型アキュムレータ500を有するシステムでは、流体がアキュムレータ500の作動チャンバ410へ流入/から流出することができる少なくとも2つの異なる重ならない流路が存在し得る。ポンプ206と油圧アクチュエータ212の圧縮チャンバ201との間の流路全体は、したがって、第1の流路505と、アキュムレータの作動チャンバ410と、第2の流路507とを含む。
【0068】
図6は、第1の流路505に位置する第1の地点552で観察された圧力とポンプ206で発生した変位リップルとの関係を表す第1の圧力/変位伝達関数のTFmag602のプロットを示している。
図6はさらに、アキュムレータ500の作動チャンバ410の内側に位置する第2の地点550で観察された圧力とポンプ206で発生した変位リップルとの関係を表す第2の圧力/変位伝達関数のTFmag604を示している。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、
図6に示される対応するTfmagによって示されるように、ポンプ206と作動チャンバ410の内側に位置する第2の地点550との間の変動(例えばリップル)の伝播は、第1の流路505内に位置する第1の地点552への同じ変位リップルの伝播と比較したとき、より広い入力リップル周波数範囲で減衰され得る。したがって、
図6に示すように、第2の伝達関数のTfmag604は、第1の伝達関数のTFmag602において局所的最小値として示される第1の共鳴周波数608より高い(すなわち、より高い周波数にある)第2の共鳴周波数606において局所的最小値を示し得る。第1の共鳴周波数608と第2の共鳴周波数606との間の差は、第1の流路505内の流体に関連する慣性質量に起因し得る。周波数が増加するにつれて、この流体の質量の振動運動を引き起こすためにより大きな力が必要となり得る。2型の設計の結果として、アキュムレータ500の下流の地点(例えば、受入れ流路507または圧縮チャンバ201内に位置する地点)は、ポンプ206で発生した変位リップルおよび圧力変動によってではなく、作動チャンバ410に到達した減衰された圧力リップルによってそれらが励起されているかのように応答し得る。
【0069】
図5に戻ると、例示的な2型アキュムレータ500は、2つのポート(第1のポート501および第2のポート502)を含み、各ポートはそれぞれ第1の流路505および第2の流路507と流体連通する。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、第1の流路505内の流体は、アキュムレータのコンプライアンスと相互作用して、第1の流路505内の流体の第1の質量(または第1のイナータンス)および/またはアキュムレータ500の剛性に少なくとも部分的に依存する第1の共鳴周波数で第1の共鳴(例えば、第1の「ヘルムホルツ」型共鳴、ここで第1の流路552内の流体の一部はアキュムレータ500のコンプライアント構成と同期して振動する)を示すことができる一方、第2の流路507内の流体は、アキュムレータ500のコンプライアンスと相互作用して、第2の流路507内の流体の第2の質量(または流体イナータンス)に少なくとも部分的に依存する第2の共鳴周波数で第2の共鳴(例えば、第2の「ヘルムホルツ」型共鳴、ここで第2の流路507内の流体の一部はアキュムレータのコンプライアント構成と同期して振動する)を示すことができる。対照的に、
図4に示すものなど、1型アキュムレータ402は、流体がアキュムレータの作動チャンバ410に流入/から流出することができる単一のポート450のみを含み、したがって単一の基本的な共鳴のみを示すことができる。この共鳴は、アキュムレータ402のコンプライアント構成と同期して振動する首部452(すなわち、アキュムレータを受入れ流路208に直接流体的に結合するアキュムレータの内部容積よりも小さい断面積を有する容積)内の流体またはその一部によって決定され得、およびこの共鳴周波数は、例えば、首部452の断面積、首部452の長さ、アキュムレータ500のコンプライアンスまたは剛性、および/または首部452内の流体の物理的特性(例えば、圧縮率、密度)に依存し得る。
【0070】
特定の用途では、双方向ポンプを油圧アクチュエータの圧縮チャンバと伸長チャンバの両方に流体的に結合し、それによって双方向ポンプがいずれかのチャンバへの流れ(およびその流体圧)を直接制御できるようにすることが有用かもしれない。そのようなシステムの一実施形態を
図7に示す。図示の実施形態では、アクチュエータ700は、ピストン708が摺動可能に収容されているアクチュエータハウジング702を備える。ピストン708の第1の面710は圧縮チャンバ706内の流体にさらされ、ピストン708の第2の面712は伸長チャンバ704内の流体にさらされる。ピストンロッド714はピストン708の第2の面712に物理的に取り付けられてもよい。代替実施形態では、ピストンロッド714は、ピストン708の第1の面710に物理的に取り付けられてもよい。ピストンロッド714は、特定の条件下で、アクチュエータが、ピストンロッド714に取り付けられ得る外部構造(例えば、車体(図示せず))に力を適用することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、ピストンロッドは、介在するトップマウント(図示せず)を介して車体に取り付けられてもよい。
【0071】
図示の油圧システムはまた、圧縮チャンバ706をポンプ718に流体的に結合する圧縮流路724(水平の破線で示す)を含む。圧縮流路724は、特定の条件下で、ポンプ718とアクチュエータの圧縮チャンバ706との間に流体を流すことができる。その結果、特定の条件下で、ポンプを利用して流体を圧縮チャンバ706に送り込み、それによってピストンの第1の面710に力を作用させ、ピストンロッド714の制御された伸長を可能にすることができる。示されるように、圧縮経路は、例えば、(i)圧縮側アキュムレータ726、(ii)ポンプ718を圧縮側アキュムレータ726の圧縮側作動チャンバ738aに流体的に結合する圧縮側第1流路728、および(iii)圧縮側アキュムレータ726の圧縮側作動チャンバ738aをアクチュエータ700の圧縮チャンバ706に流体的に結合する圧縮側第2流路730を含んでもよい。示される実施形態では、圧縮側アキュムレータ726は、ポンプ718と圧縮チャンバ706との間に流体的に位置付けられ、他の機能を果たすことに加えて、ポンプで発生した脈動を、前記脈動が圧縮チャンバ706に達する前に少なくとも部分的に減衰させることができる。
【0072】
図示された油圧システムはさらに、アクチュエータ700の伸長チャンバ704をポンプ718に流体的に結合する伸長流路716(灰色の斜線のハッチングマークで示される)を備える。伸長流路716は、特定の条件下で、流体が、ポンプ718とアクチュエータの伸長チャンバ704との間を流れることを可能にし得る。結果として、特定の条件下で、ポンプを利用して流体を伸長チャンバ704に送り込み、それによってピストンの第2の面712に力を作用させ、ピストンロッド714の制御された収縮を可能にすることができる。伸長流路は(i)伸長側アキュムレータ720、(ii)ポンプ718を伸長側アキュムレータ720の伸長側作動チャンバ738bに流体的に結合させる伸長側第1流路722、および(iii)伸長側アキュムレータ620の伸長側作動チャンバ738bをアクチュエータ700の伸長側チャンバ704に結合する伸長側第2流路701を含んでもよい。図示の実施形態では、伸長側アキュムレータ720は、ポンプ718と伸長チャンバ704との間に流体的に位置付けられ、他の機能を果たすことに加えて、ポンプで発生した脈動を、前記脈動が伸長チャンバ704に達する前に少なくとも部分的に減衰させることができる。
【0073】
好ましい実施形態では、双方向ポンプは可変速ポンプであり、その結果、アクチュエータの圧縮チャンバと伸長チャンバとの間の圧力差および/または流量は、ポンプを使用して正確に制御することができる。特定の実施形態では、ポンプ718は、1つまたは複数の変位要素(図示せず)を含むか、またはそれに機械的に結合されたロータを備えることができる。これらの実施形態では、ロータに適切なトルクを適用することでロータを回転させることができ、それによってポンプ718を横切る圧力差および/または流体の流れを発生させることができる。さらに、ポンプリップルの上述の現象により、ロータの回転は、
図3および本明細書の添付の記載に記載されているように圧力脈動(リップル)も発生させ得る。ポンプを横切る圧力差、ポンプを横切る流量、および/または圧力脈動の周波数は、少なくとも部分的には、ロータが回転する角速度および/またはロータに適用されるトルクの大きさに依存し得る。
【0074】
圧縮流路724、圧縮側第1流路728、圧縮側第2流路730、伸長流路716、伸長側第1流路722、および/または伸長側第2流路701は、例えば、1つまたは複数の弁(例えば、可変流量弁、電磁弁、オン/オフ弁、三方弁、その他)、絞りオリフィス、または適切な状況(例えば適切な流体圧力および/または前記弁の開放)下に流体が流れ得る他の油圧構成要素など、追加の油圧構成要素を備えてもよい。追加的または代替的に、特定の実施形態では、圧縮流路724の長さは伸長流路716の長さを超えてもよい。特定の実施形態では、圧縮流路724の長さは伸長流路の長さより少なくとも2倍大きくてもよい。
【0075】
図示の実施形態では、圧縮側アキュムレータ726および伸長側アキュムレータ720のそれぞれは、内部容積732aおよび732bをそれぞれ画定するハウジング733aおよび733bを備え、内部容積は、それぞれ障壁736aおよび736bによって(例えば、ピストンまたはブラダー)、それぞれ閉じ込めチャンバ734aおよび734bと、それぞれ圧縮側および伸長側作動チャンバ738aおよび738bとに分離される。図示の実施形態では、圧縮側アキュムレータ726および伸長側アキュムレータ720のそれぞれはさらに、それぞれハウジング733aおよび733bを貫く開口として画定された単一ポート735aおよび735bをそれぞれ備え、これらのポートを介して流体はそれぞれ圧縮側作動チャンバ738aおよび738bに流入/から流出することができる。したがって、図示の圧縮側アキュムレータ726および伸長側アキュムレータ720のそれぞれは、1型アキュムレータとして分類することができる。さらに考察されるように、様々な実施形態において、圧縮側アキュムレータ726は、1型アキュムレータまたは2型アキュムレータであってもよい。同様に、様々な実施形態において、伸長側アキュムレータ720は、1型アキュムレータまたは2型アキュムレータであってもよい。
【0076】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、
図7の図示された油圧システムでは、ピストン708に適用される正味の力は、圧縮チャンバ706内の流体の圧力によってピストン708の第1の面710に適用される第1の力と、伸長チャンバ704内の流体の圧力によってピストン708の第2の面712に適用される力との差に等しい。油圧システムの伝達関数に応じて、(例えばポンプリップルにより)ポンプ718で発生した変位リップルは、圧縮流路724を通って伝播し圧縮チャンバ706内に圧力変動(圧力リップル)を生じさせ得、および/または伸長流路716を通って伝播し伸長チャンバ704内に圧力変動(圧力リップル)を生じさせ得る。後述するように、大規模な試験および分析の後、本発明者らは、変位リップルが圧縮流路724および伸長流路716のうちの少なくとも1つを通って伝播し圧縮容積およびまたは伸長容積に達することができる限り、ピストン708に適用される正味の力はそれに応じて変動する可能性があることを認識した。すなわち、たとえリップルが前述の流路の1つを通って完全に減衰されたとしても、リップルが他の流路を通って伝播することができるならば、ピストンにかかる正味の力は変動する可能性があり(例えば力リップルが生じる)、これにより場合によってはピストンの位置は制御不能にそして望ましくなく変動または振動される。したがって、特定の用途では、流路に沿って2つのアキュムレータ(すなわち、伸長側アキュムレータ720および圧縮側アキュムレータ726)を配置し、各アキュムレータをポンプの両側に配置して構成し、その結果、ポンプからの圧縮流路724および伸長流路716の両方を通る入力リップルの伝播が、少なくともいくつかのリップル周波数または所与の周波数範囲内の周波数について、少なくとも部分的にまたは十分に軽減され、場合によっては実質的に排除され得るようにすることが望ましいかもしれない。
【0077】
本発明者らはさらに、圧縮側アキュムレータ726および/または伸長側アキュムレータ720のサイズまたは相対サイズがシステムの挙動に影響を及ぼし得ることを認識した。一方では、圧縮側アキュムレータ726および/または伸長側アキュムレータ720のそれぞれ内部容積732aおよび732bの一方または両方のサイズを小さくすること、および/またはアキュムレータの一方または両方の剛性を高めることは、それぞれのアキュムレータに関連する共鳴周波数を増加させ、それによって、圧縮流路725および/または伸長流路716を通る伝播中にリップルが減衰される周波数の範囲を増加させ得る。他方では、温度変化によるシステム内の流体の膨張、ならびに圧縮中のアクチュエータハウジングへのピストンロッドの挿入によって生じる流体の変位がアキュムレータの一方または両方によって容易に受け入れられ得るように、アキュムレータの一方または両方のサイズおよび/または剛性を設計することが望ましいかもしれない。さらに、アキュムレータの剛性を増加させると、脈動が減衰される周波数の範囲が広くなる可能性があるが、そのように剛性が増加すると、それに対応してアキュムレータによって達成される脈動減衰の大きさが減少し得る。
【0078】
発明者らは、特定の用途において、(a)圧縮側アキュムレータおよび伸長側アキュムレータの一方が他方のアキュムレータの内部容積よりも実質的に大きい内部容積を有するようにおよび/または(b)アキュムレータの一方が他方のアキュムレータよりも実質的に硬くなるようにシステムを設計することによって、前述のトレードオフを解決できると判断した。このトレードオフにより、システムの全体的な応答を維持しながら、リップルを効果的に軽減することができる。
【0079】
好ましい実施形態では、圧縮側アキュムレータ726の内部容積732aは伸長側アキュムレータ720の内部容積732bより大きく、および/または伸長側アキュムレータ720は圧縮側アキュムレータ726よりも硬い。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、
図7の油圧システムなどの油圧システムが車両サスペンションシステム内に設置される場合、アクチュエータ700の圧縮(例えば、道路の段差を乗り越えることに起因する)により、流体が圧縮チャンバ706から圧縮側アキュムレータ726へまたはポンプ718を介して流れ出る可能性がある。同様に、(例えば、道路のくぼみを乗り越えることに起因する)アクチュエータ700の伸長により、流体が伸長チャンバ704から伸長側アキュムレータ720へまたはポンプ718を介して流れ出る可能性がある。発明者らは、車両の運転中に、サスペンションシステムのダンパの圧縮がダンパの伸長よりも速い最大速度で起こり得ることを認識している。アクチュエータ700の非常に急速な圧縮は、ポンプ718を通る高速流体速度をもたらし得、そしてポンプ718を設計仕様を超える速度で回転させ得、これはことによるとポンプ718を損傷するか、または乗り心地の低下をもたらし得る。圧縮側アキュムレータ726の内部容積732aのサイズを(伸長側アキュムレータ720の内部容積732bのサイズに対して)大きくすることにより、圧縮側アキュムレータ726の流体保持能力が高められる可能性があり、その結果、圧縮イベント中、より多くの流体が圧縮側アキュムレータ726へ流れ、より少ない流体がポンプ718を通って流れるので、ポンプの構成要素が過度に急速な回転から潜在的に保護され、高速圧縮イベント中の乗り心地の改善が潜在的に可能となる。
【0080】
したがって、特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータ726の内部容積732aは、伸長側アキュムレータ720の内部容積732bよりも少なくとも2倍大きくすることができる。特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータ726は、8立方インチ~13立方インチの間の内部容積732aを有し、伸長側アキュムレータ720は、2.5~5立方インチの間の内部容積732bを有するが、これらの範囲外の実施形態も本開示の範囲内にあると考えられる。特定の実施形態では、アキュムレータの内部容積は、閉じ込めチャンバ734aまたは734bの容積、それぞれ障壁736aまたは736bの体積、およびそれぞれ圧縮側作動チャンバ738aまたは738bの容積の合計を意味すると理解される。代替の用途(例えば、アクチュエータ700の伸長がアクチュエータ700の圧縮よりも速い最大速度で起こると予想される用途など)では、油圧システムは、伸長側アキュムレータ720の内部容積732bが圧縮側アキュムレータ726の内部容積732aよりも大きくなるように設計されてもよい。
【0081】
同様に、特定の実施形態では、伸長側アキュムレータ720の剛性は、圧縮側アキュムレータ726の剛性の少なくとも5倍であり得る。アキュムレータの「剛性」は、アキュムレータの障壁406またはその一部に及ぼされる力の大きさの、閉じ込めチャンバ408の物理的寸法の変化に対する比を指すように理解される。本明細書に開示されるように、閉じ込めチャンバに含有された圧縮性流体(例えば、ガス)を含むコンプライアント構成を有するアキュムレータの剛性(したがってコンプライアンスおよび/または関連する共鳴周波数)は、様々な熱力学的原理(例えば、理想気体の法則、ボイルの法則、断熱圧縮)に従って、圧縮性流体の内圧および/または閉じ込めチャンバの容積に応答して変化し得る。様々な実施形態では、伸長側アキュムレータ720の剛性は、圧縮側アキュムレータ726の剛性の少なくとも5倍または少なくとも10倍であり得る。特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータは、1E10Pa/m^3~1E11Pa/m^3の間の剛性を有し得、および/または伸長側アキュムレータは、1E11-Pa/m^3~1E12Pa/m^3の間の剛性を有し得る。これらの特定の範囲外の値を有する実施形態も本開示の範囲内にあると考えられる。
【0082】
追加的または代替的に、
図7に示すように、特定の実施形態では、アクチュエータ700の圧縮チャンバ706を圧縮側アキュムレータ726の圧縮側作動チャンバ738aに流体的に結合する流路はアクチュエータ700の圧縮チャンバ706をポンプ718に流体的に結合する流路より短い(すなわち、より短い長さを有する)可能性がある(例えば、
図7に示すように、圧縮側第2流路730は圧縮流路724より短い可能性がある)。追加的または代替的に、特定の実施形態では、伸長側アキュムレータ720の伸長側作動チャンバ738bをアクチュエータ700の伸長チャンバ704に流体的に結合する流路は、ポンプ718をアクチュエータ700の伸長チャンバ704に流体的に結合する流路よりも短い(すなわち、より短い長さを有する)可能性がある(例えば、
図7に示すように、伸長側第2流路701は伸長流路716より短い可能性がある)。
【0083】
追加的または代替的に、特定の実施形態において、圧縮側アキュムレータ726および伸長側アキュムレータ720の少なくとも一方は2型アキュムレータであってもよい。発明者らは、少なくとも上述したのと同様の理由で、アキュムレータの少なくとも一方が適切に構成され配置された2型アキュムレータである2つのアキュムレータを含む油圧システムが、少なくとも、どのアキュムレータも2型アキュムレータではない同様のシステムと比較して、拡張された周波数範囲にわたってポンプとアクチュエータピストンとの間のリップル減衰の向上を示し得ると判断した。
【0084】
図8は、圧縮側アキュムレータ726が2型アキュムレータであり、伸長側アキュムレータ720が1型アキュムレータである油圧システムの実施形態を示す。見て分かるように、図示の実施形態では、圧縮側アキュムレータ726は、流体が圧縮側第1流路728から/へ圧縮側アキュムレータ726の圧縮側作動チャンバ738aに流入/から流出することを可能にする第1のポート802と、流体が圧縮側第2流路730から/へ圧縮側アキュムレータ726の圧縮側作動チャンバ738aに流入/から流出することを可能にする第2のポート804とを含み、したがって、2型アクチュエータとして分類することができる。他方、図示された伸長側アキュムレータ720は、流体が伸長側アキュムレータ720の伸長側作動チャンバ738bに流入またはそれから流出できる唯一のポート735bを有する(すなわち、図示の実施形態では、伸長側アキュムレータ720は1型アキュムレータである)。特定の実施形態では、伸長側アキュムレータ720と圧縮側アキュムレータ726の両方が2型アキュムレータであり得る。
【0085】
本発明者らは、全体的なシステム性能が、圧縮側第2流路730の第2の流体インピーダンスと比較して、圧縮側第1流路728の第1の流体インピーダンスに依存し得ることを認識した。流体インピーダンスはシステム内の2地点間の圧力差に応答する油圧システム内の流体流れに対する抵抗を表す。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、流体インピーダンスは、流体イナータンス(当技術分野では流体インダクタンスと呼ばれることもある)として知られる値に正比例することがある。流路のイナータンス(したがって、流路のインピーダンス)は、流路を占める流体の密度、流路の有効長、および流路の有効断面積に正比例する。
【0086】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、
図8に示される実施形態では、第1の共鳴周波数は、圧縮側アキュムレータ726内の流体と相互作用する圧縮側第1流路728内の流体のポンプ誘起変位(例えば、ポンプリップルによる)に関連し得る。第1の共鳴周波数は、圧縮側第1流路728の第1のイナータンスまたは第1のインピーダンスに反比例し得る。同様に、第2の共鳴周波数は、圧縮側アキュムレータ726内の流体と相互作用する圧縮側第2流路730内の流体の変位に関連し得る。第2の共鳴周波数は、圧縮側第2流路730の第2のイナータンスまたは第2のインピーダンスに反比例し得る。これら2つの共鳴が同様のまたは重なる周波数を有する場合、それらは建設的な、近建設的な、予測不可能な、および/または望ましくない方法で結合する可能性がある。
【0087】
流路間の望ましくない相互作用を回避するために、発明者らは、特定の用途において、圧縮側第1流路728が圧縮側第2流路730の第2のイナータンスおよび/または第2のインピーダンスと異なる第1のイナータンスおよび/または第1のインピーダンスを有するように油圧システムを設計し、その結果、ポンプと圧縮側アキュムレータとの間の圧縮側第1流路728内の流体の変位に関連する第1の共鳴が、圧縮側アキュムレータと圧縮チャンバとの間の圧縮側第2流路730内の流体の変位に関連する第2の共鳴と比較して周波数において離間されるようにすることが好ましいかもしれないと決定した。特に、発明者らは、特定の実施形態において、圧縮側第2流路730が圧縮側第1流路728の第1のイナータンスまたは第1のインピーダンスよりも小さい第2のイナータンスまたは第2のインピーダンスを有するシステムが、迅速な応答時間を維持しながら望ましくないリップル伝送を最小限に抑えることを決定した。したがって、特定の実施形態では、流路および構成要素は、圧縮側第1流路728が圧縮側第2流路730の第2のイナータンスおよび/または第2のインピーダンスよりも大きい第1のイナータンスおよび/または第1のインピーダンスを有し得るように構成および位置決めされ得る。特定の実施形態では、第1のイナータンスおよび/または第1のインピーダンスは、第2のイナータンスおよび/または第2のインピーダンスよりも少なくとも5倍または少なくとも10倍大きい場合がある。特定の実施形態では、第1のイナータンスおよび/または第1のインピーダンスは、それぞれ第2のイナータンスおよび/または第2のインピーダンスの1000倍を超えてはならない。特定の実施形態では、第1のイナータンスは1E6~1E7kg/m^4の間であり、第2のイナータンスは1E5~1E6kg/m^4の間である。これらの特定の範囲外の値を有する実施形態も本開示の範囲内にあると考えられる。
【0088】
イナータンスはρl/A(ここでρは流体の密度、lは流路の長さ、Aは流路の断面積である)に比例するため、イナータンス(したがって、インピーダンスおよび共鳴周波数)は、例えば、圧縮側第1流路728および圧縮側第2流路730の相対的な長さを調整することによって、および/または圧縮側第1流路728の断面積を圧縮側第2流路730に対して調整することによって、調整することができる。特定の実施形態では、圧縮側第1流路728の第1の部分および/または第1のポート726の第1の断面積は、それぞれ圧縮側第2流路730の第2の部分および/または第2のポート804の第2の断面積よりも小さくてもよい。特定の実施形態では、第2の断面積は第1の断面積よりも少なくとも2倍大きくてもよい。他の実施形態では、第2の断面積は第1の断面積よりも少なくとも5倍大きくてもよい。特定の実施形態において、第1の断面積は10mm~100mmの間であり得、第2の断面積は100mm~300mmの間であり得る。代替的または追加的に、流体イナータンスは長さに比例するので、圧縮側アキュムレータ726は、圧縮側第1流路728が圧縮側第2流路730の第2の長さよりも大きい第1の長さを有するように配置することができる。特定の実施形態では、第1の長さは第2の長さよりも少なくとも1.5倍大きくてもよい。前述の特定の範囲外の値を有する実施形態もまた本開示の範囲内にあると考えられる。
【0089】
いくつかの実施形態では、流路の1つまたは複数のイナータンスまたはインピーダンスは、1つまたは複数のインサートを通路に組み込むことによって調整または変更することができる。そのような1つまたは複数のインサートを使用して、1つまたは複数の流路の一部分にわたって、または全長にわたって流路の有効断面流れ面積および/または形状を変えることができる。このようにして、アクチュエータシステムの構成は、例えば開発中の設計の調整中に調整することができる。あるいは、インサートは、現場で一貫した性能を維持するべく生産ユニットを調整するために使用することができる。
【0090】
共鳴周波数はイナータンスの平方根に反比例し得るので、第1のイナータンスおよび/またはインピーダンスが第2のイナータンスおよび/またはインピーダンスよりも大きくなるようにシステムを設計すると、第1の共鳴周波数は第2の共鳴周波数よりも低くなり得る(すなわち、より低い周波数で生じる)。前述のように、共鳴周波数は、のプロットにおいて局所的または大域的最大値として表されてもよい。例えば、
図13は、
図8の圧縮側第1流路728に位置する第1の地点850と、
図8の圧縮側アキュムレータ726の作動チャンバ852内に位置する第2の地点852との間の圧力の関係を表す第1の伝達関数の第1のTFmag1302を示す。
図13に見られるように、TFMag1302は、約15Hzの周波数1306(「第1の周波数」)において局所的最大値1304(特定の実施形態では大域的最大値であることもある)を有する。
図13はさらに、第2の地点852と
図8のアクチュエータ700の圧縮チャンバ706内に位置する第3の地点854との間の圧力の関係を表す第2の伝達関数の第2のTFmag1301を示している。
図13に見られるように、第2のTFmag1301は、800Hzの周波数1305(「第2の周波数」)において局所的最大値1303(特定の実施形態では大域的最大値であることもある)を有する。第2の周波数1305は第1の周波数1306よりも高い(すなわち、より高い周波数にある)ので、これは、
図8の圧縮側第1流路728のインピーダンスまたはイナータンスが圧縮側第2流路730のインピーダンスまたはイナータンスよりも高いことを示唆する。
【0091】
したがって、特定の実施形態では、ポンプ718、ポンプ718のポート内、または圧縮側第1流路728内に位置する第1の地点850の圧力と、圧縮側アキュムレータ726の内部容積732a内(例えば、作動チャンバ738aまたは閉じ込めチャンバ734a内)に位置する第2の地点852の圧力との間の関係を表す第1の伝達関数の第1のTFmagは、第1の周波数で局所的および/または大域的最大値を有し、第2の地点852の圧力と、圧縮側第2流路730またはアクチュエータ700の圧縮チャンバ706内に位置する第3の地点854の圧力との間の関係を表す第2の伝達関数の第2のTFMagは、第2の周波数において局所的および/または大域的最大値を有し、ここで、第2の周波数は第1の周波数より高い。特定の実施形態では、第1の周波数は第1の上限未満である。特定の実施形態では、第1の上限は、100Hz、90Hz、80Hz、60Hz、50Hz、30Hz、20Hz、15Hz、10Hz、または5Hzであり得る。追加的または代替的に、特定の実施形態では、第1の周波数は第1の下限より高い。特定の実施形態において、第1の下限は、0Hz、2Hz、5Hz、または10Hzであり得る。特定の実施形態では、第1の周波数は5~90Hzの範囲内にある。特定の実施形態では、第2の周波数は第2の下限より高い。特定の実施形態では、第2の下限は50、100、200、300、400、または500Hzである。特定の実施形態では、第2の周波数は第2の上限よりも低い。特定の実施形態では、第2の上限は800Hz、1000Hz、または1500Hzである。特定の実施形態では、第2の周波数は第1の周波数よりも少なくとも5倍高い。特定の実施形態では、第2の周波数は第1の周波数よりも少なくとも20倍高い。特定の実施形態では、第2の周波数は、500Hz~1000Hzの間である。前述の具体的に述べられた範囲外の値を有する実施形態もまた、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0092】
代替的にまたは追加的に、前述のように、油圧システムの共鳴周波数は伝達関数のTFphを使用することによって決定されてもよい。伝達関数のTFphは、システムの共鳴周波数に対応する周波数を有する圧力脈動に対して±90°の値を有し得る。例えば、
図14は、
図8の圧縮側第1流路728内に位置する第1の地点850の圧力と圧縮側アキュムレータ726の作動チャンバ852内に位置する第2の地点852の圧力との間の関係を表す第1の伝達関数の第1のTFph1402を示す。
図14から分かるように、第1のTFph1402は、約15Hzの第1の周波数1406において-90°の値1404を有する。
図14はさらに、第2の地点852の圧力と
図8の第2の流路854内に位置する第3の地点854の圧力との間の関係を表す第2の伝達関数の第2のTFph1401を示す。
図14から分かるように、第2のTFph1401は、800Hzの第2の周波数1405において-90°の値1403を有する。第2の周波数1405は第1の周波数1406よりも高いので、これは、圧縮側第1流路728の第1のイナータンスまたは第1のインピーダンスが第2の流路854の第2のイナータンスまたは第2のインピーダンスより大きいことを示唆する。
【0093】
したがって、様々な共鳴周波数を決定するために様々な伝達関数のTFmagを使用する代わりに(またはそれに加えて)、v伝達関数のTFphを使用して前述の第1の周波数および/または第2の周波数を決定することが可能であり得る。TFphは、例えば、油圧システムに様々な周波数の圧力波を導入し、次いで油圧システム内の様々な地点で圧力波の位相を(例えば圧力センサを使用して)検出することによって得ることができる。
【0094】
特定の実施形態では、ポンプ718、ポンプ718のポート内、または圧縮側第1流路728内に位置する第1の地点850の圧力と、圧縮側アキュムレータ726の内部容積732a内(例えば、作動チャンバ638aまたは閉じ込めチャンバ634a内)に位置する第2の地点852の圧力との間の関係を表す第1の伝達関数のTFphは、第1の周波数において±90°の値を有する一方、第2の地点852の圧力と、圧縮側第2流路730またはアクチュエータ700の圧縮チャンバ706内に位置する第3の地点854の圧力との間の関係を表す第2の伝達関数の第2のTFphは、第2の周波数において±90°の値を有する。特定の実施形態では、第2の周波数は第1の周波数よりも高い。特定の実施形態では、第1の周波数は第1の上限未満である。特定の実施形態では、第1の上限は、50Hz、100Hz、80Hz、60Hz、50Hz、30Hz、20Hz、15Hz、10Hz、または5Hzであり得る。追加的または代替的に、特定の実施形態では、第1の周波数は第1の下限より高い。特定の実施形態において、第1の下限は、0Hz、2Hz、5Hz、または10Hzであり得る。好ましい実施形態では、第1の周波数は10~50Hzの範囲内にある。特定の実施形態では、第2の周波数は第2の下限より高い。特定の実施形態では、第2の下限は50Hz、100、200、300、400、または500Hzである。特定の実施形態では、第2の周波数は第2の上限よりも低い。特定の実施形態では、第2の上限は800Hz、1000Hz、または1500Hzである。特定の実施形態では、第2の周波数は第1の周波数よりも少なくとも5倍高い。好ましい実施形態では、第2の周波数は、500Hz~1000Hzの間である。前述の具体的に述べられた範囲外の値を有する実施形態もまた、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0095】
第1の共鳴周波数および第2の共鳴周波数について考察してきたので、伸長側アキュムレータ720内の流体と伸長流路716またはその一部内の流体との相互作用に関連する第3の共鳴周波数を検討することができる。上記の理由により、発明者らは、第3の周波数が第1の周波数および/または第2の周波数と重ならず、かつ十分に異なるように伸長側アキュムレータを設計することが望ましいかもしれないことを認識している。記載したように共鳴周波数を離間させることは、1つの共鳴が予測不可能におよび/または望ましくなくシステム内の別の共鳴を励起する危険性を最小にするので好ましい。実施形態において、伸長側アキュムレータは、第3の共鳴周波数が第1の周波数よりも大きく、第2の周波数よりも低くなるように構成および配置されてもよい。第3の共鳴周波数は、伸長側アキュムレータ720のサイズ(例えば、その内部容積732bのサイズ)、伸長側アキュムレータ720の首部801の長さ、および/または首部801の断面積を調整することによって調整することができる。特定の実施形態では、首部801は、4mm~10mmの間の直径、および5mm未満の長さを有する。特定の実施形態では、首部801の長さに対する首部801の直径の比は少なくとも0.8である。
【0096】
特定の実施形態では、伸長流路716、ポンプ718、またはポンプ718のポートに位置する第4の地点856の圧力と、(a)伸長側アキュムレータ720の伸長側作動チャンバ738bまたは(b)伸長側アキュムレータ720の閉じ込めチャンバ734bのいずれかに配置された第5の地点858の圧力との間の関係を表す第3の伝達関数の第3のTFmagは、第3の周波数において局所的または大域的最大値を有し得る。代替的にまたは追加的に、特定の実施形態では、第3の伝達関数の第3のTFphは、第3の周波数において±90°に等しい場合がある。特定の実施形態では、第3の周波数は第1の周波数よりも大きく、および/または第2の周波数よりも低い。特定の実施形態では、第3の周波数は、第1の周波数よりも少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、または少なくとも25倍高い。特定の実施形態では、第3の周波数は少なくとも100Hzである。特定の実施形態では、第3の周波数は500Hz未満である。前述の特定の範囲外の値を有する実施形態もまた本開示の範囲内にあると考えられる。
【0097】
図9は、
図9の伸長側アキュムレータ720が、2つの異なるポート-(i)第3のポート902aおよび(ii)第4のポート902b(それらを介して流体が伸長流路716(斜線ハッチングマークで示されている)へ/から伸長側アキュムレータ720の作動チャンバ904に流入/から流出し得る)を備えることによって特徴付けられる2型アキュムレータであることを除いて、
図8のものと同様のものである油圧システムの追加の実施形態を示す。図示のように、伸長流路716は、(a)ポンプ718を伸長側アキュムレータ720の伸長側作動チャンバ904に流体的に結合する伸長側第1流路722と、(b)伸長側アキュムレータ720の作動チャンバ904をアクチュエータ700の伸長チャンバ704に流体的に結合する伸長側第2流路701とを備える。伸長側第1流路722は、第3の長さ、第3のインピーダンス、および/または第3のイナータンスを有するものとして特徴付けられてもよい。同様に、伸長側第2流路701は、第4の長さ、第4のインピーダンス、および/または第4のイナータンスを有するものとして特徴付けられてもよい。
【0098】
圧縮側アキュムレータに関して上述した理由により、2型伸長側アキュムレータ720を有する実施形態では、システムは、伸長側第1流路722内の流体と相互作用する伸長側アキュムレータ720に関連する第3の共鳴周波数が伸長側第2流路701内の流体と相互作用する伸長側アキュムレータ720に関連する第4の共鳴周波数から離間されるように構成され得る。上述のように、これは、伸長側第1流路722および伸長側第2流路701のイナータンスを調整することによって(例えば、各流路の少なくとも一部の長さおよび/または断面積を調整することによって)達成することができる。特定の実施形態では、第3の長さは第4の長さよりも大きい。特定の実施形態では、第3のインピーダンスおよび/または第3のイナータンスは、それぞれ第4のインピーダンスおよび/または第4のイナータンスより大きい。様々な実施形態において、第3のイナータンスは、第4のイナータンスよりも少なくとも5倍または少なくとも10倍大きい。様々な実施形態において、伸長側第2流路の第4の部分の第4の断面積は、伸長側第1流路の第3の部分の第3の断面積よりも大きい。様々な実施形態において、第4の断面積は第3の断面積よりも少なくとも2倍大きく、特定の実施形態では、第4の断面積は第3の断面積よりも少なくとも5倍大きい。
【0099】
自動車のサスペンション用途では、複数の分散型油圧アクチュエータを利用して(例えば、複数のバネと組み合わせて)、車両のホイールまたはホイールアセンブリを車両の本体に機械的に結合することができる。
図10は、車体1002と複数のホイール1004a~bとを備える車両の実施形態を示す。特定の実施形態では、車両は複数の油圧アクチュエータ700a~bを備え、各アクチュエータは各ホイール1004a~bを車体1002の一部に機械的に結合する。このようなアクティブサスペンションシステムは、車体1002と各ホイール1004a~bとの間の距離を独立して調整することを可能にし得る。現在市販されている油圧式アクティブサスペンションシステムでは、2つ以上のアクチュエータ700a~bが、共通の集中型ポンプおよび/または共通の集中型のアキュムレータセットを利用する。ホイール1004a~bの近くの自由空間または自由体積は非常に限られている。したがって、ホイール1004a~bから離れた中央位置に共通の共有ポンプを配置することは、ポンプに対するサイズ制約を軽減することができる。
【0100】
ここで
図8に戻ると、いくつかの実施形態では、アクチュエータ700から離れた中央位置にポンプ718を配置することは、比較的長い圧縮流路724(水平ハッチングマークで示す)および/または伸長流路716(斜線ハッチングマークで示す)を必要とし得る。発明者は、このような長い流路は応答時間を低下させ得るものであり、その結果、システムは特定の車両事象(段差、くぼみの乗り越え、転回、制動、その他など)に十分に速く応答できないことを認識してきた。したがって、発明者らは、特定の実施形態では、圧縮流路724および/または伸長流路716の長さを最小にすることによって、現在市販されているアクティブサスペンションシステムよりも応答時間を大幅に改善できることを突き止めた。特定の実施形態では、圧縮流路724および/または伸長流路716の長さは、アクチュエータハウジング702の長さ709未満であり得る。特定の実施形態では、圧縮流路724の長さと伸長流路716の長さとの合計は、アクチュエータハウジング602の長さ709未満であり得る。これらの比較的短い流路は、各アクチュエータ700がそれ自身の局所ポンプ718、圧縮側アキュムレータ726、および伸長側アキュムレータ720に関連付けられるように、各ホイールウェル内に個々のポンプおよびアキュムレータを配置することによって達成され得る。したがって、特定の実施形態では、車両は複数のホイールを含み、各ホイールはホイールウェル内に配置され、各ホイールウェルは局所的アクチュエータ700、局所的ポンプ718、局所的圧縮側アキュムレータ726、および局所的伸長側アキュムレータ720を含む。これらの実施形態は応答時間を最適化し得るが、油圧構成要素が遠隔的に配置されるのではなくホイールウェルに局所化されるのでより多くのスペースを必要とし得る。応答時間よりもスペースの制約が優先される他の実施形態では、2つ以上のアクチュエータ700a~bが、共通の集中型ポンプ718、共通の集中型圧縮側アキュムレータ726、および/または共通の集中型伸長側アキュムレータ720を共有し得る。
図8を参照して記載されたような改善された性能はまた、
図7、9~11に示されおよび/または本明細書に記載される実施形態によっても達成され得る。
【0101】
1つまたは複数の流路の長さ(したがって、イナータンス)を最小限に抑えるために、圧縮側アキュムレータ720のハウジング733aおよび/または伸長側アキュムレータのハウジングは、1つまたは複数の共通の構成要素(例えば、1つまたは複数の共通の壁)をアクチュエータハウジング702と共有し得る。代替的または追加的に、特定の実施形態では、圧縮側アキュムレータのハウジング733aおよび/または伸長側アキュムレータのハウジングは、アクチュエータハウジング702に直接取り付けられてもよい。
【0102】
図11Aは、
図8と同様の油圧システムの実施形態を示し、ここで圧縮側アキュムレータ720のハウジング733aとアクチュエータハウジング702とが少なくとも1つの共通壁1101を共有している。図示の実施形態では、圧縮側第2流路730の長さは最小化され、その結果、その長さはアクチュエータハウジング702の壁の厚さのみに一致する。同様に、特定の実施形態では、伸長側アキュムレータ720のハウジング733bとアクチュエータハウジング700とは少なくとも1つの共通部分を共有してもよい。特定の実施形態では、伸長側アキュムレータ720のハウジング733bは、アクチュエータハウジング700に直接取り付けられてもよい。特定の実施形態では、伸長側アキュムレータ720は、ポンプ718のハウジングと伸長側アキュムレータ720のハウジング733bとが少なくとも1つの共通部分を共有するようにポンプ718に一体化されてもよい。
【0103】
車両の、特に車両のホイールウェルのスペース上の制約を考慮すると、特定の実施形態では、ポンプ718と、圧縮側アキュムレータ726または伸長側アキュムレータ720の少なくとも一方とをアクチュエータ700の両側に配置することが望ましいかもしれない。
図11Bは、ポンプ718および伸長側アキュムレータ720がアクチュエータ700の第1の側に配置され、圧縮側アキュムレータ726がアクチュエータ700の第2の側に配置されている実施形態を示す。圧縮流路(濃い灰色および薄い灰色の塗りつぶしで示す)は、ポンプ718を圧縮側アキュムレータ726の圧縮側作動チャンバ738aに流体的に結合しかつ薄い灰色で示される圧縮側第1流路728と;圧縮側アキュムレータ726の圧縮側作動チャンバ738aをアクチュエータ700の圧縮チャンバ706に流体的に結合しかつ濃い灰色で示される圧縮側第2流路730とを含む。油圧システムは、ポンプ718をアクチュエータ700の伸長チャンバ704に流体的に結合する伸長流路716(灰色の斜線で示される)をさらに含む。点線の矢印は、流体連通がどのように起こり得るかを示す。
【0104】
特定の実施形態では、油圧システムは、アクチュエータハウジングを少なくとも部分的に取り囲む1つまたは複数の環状キャビティを含み得る。環状キャビティは、2つの同心楕円(例えば、円)またはその弓形部分によって少なくとも部分的に囲まれた流体充填容積を意味すると理解される。そのような環状流路を利用することで、潜在的によりコンパクトおよび/または軽量のパッケージングが可能になる。それというのも、そのような設計は、アクチュエータハウジング自体が、(i)アクチュエータの圧縮チャンバまたは伸長チャンバを少なくとも部分的に画定すること、および(ii)1つまたは複数の環状キャビティを少なくとも部分的に画定することの両方によって、複数の機能を果たすことを可能にするからである。これらの環状キャビティは、1つまたは複数の外側ハウジングまたはアクチュエータハウジング702を少なくとも部分的に取り囲む外側ハウジングによって形成されてもよく、その結果、外側ハウジングまたは外側ハウジングとアクチュエータハウジング702の外側表面との間にギャップまたはキャビティが存在する。
【0105】
他の実施形態では、油圧システムは複数の環状キャビティを含み得る。見て分かるように、伸長流路(斜線のハッチングマークで示す)は、伸長チャンバ704および/または圧縮チャンバ706の少なくとも一部を囲む第1の外側キャビティ1150(例えば、環状または半環状のキャビティ)を含む。同様に、圧縮流路(濃い灰色および薄い灰色の塗りつぶしで示す)は、第2の外側キャビティ1160(例えば、環状または半環状のキャビティ)を含む。他の実施形態では、油圧システムは単一の環状キャビティ(例えば、第1の外側キャビティ1150)のみを含み得る。特定の実施形態では、(i)圧縮側第1流路728、(ii)圧縮側第2流路730、(iii)伸長側第1流路722、および(iv)伸長側第2流路701からなる群のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの一部分が、アクチュエータハウジング702によって部分的に画定されている(例えば、流路は、アクチュエータハウジング720の一部によって少なくとも片側が囲まれているキャビティを含み得る)。特定の実施形態では、上述の流路群のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つは、アクチュエータハウジング702の少なくとも一部分を少なくとも部分的に取り囲む環状または半環状キャビティを含み得る。
【0106】
特定の実施形態では、環状キャビティ(例えば、第1の外側キャビティ1150など)を利用して、少なくとも部分的に、環状キャビティを形成するギャップ(例えば、アクチュエータハウジング702の外面と第1の外側ハウジング1170の内面との間のギャップ、または第1の外側ハウジング1170と第2の外側ハウジング1180との間のギャップ)よりもはるかに大きな長さを有する流路(例えば、斜線ハッチングマークで示す伸長流路)を作り出すことができる。このような流路は、少なくとも特定の流量に関して、線形に振る舞う圧力降下対流量の関係を示し得る。さらに、そのような流路によって導入される流体のイナータンスは、環状キャビティまたはその一部内の流体が周囲の容積内の流体のコンプライアンスと相互作用して追加の共鳴周波数を導入することを可能にし得る。この追加の共鳴に部分的に起因して、この追加の共鳴周波数より高い周波数を有する圧力脈動は、ポンプ718から環状キャビティ(例えば、第1の外側キャビティ1150)を通ってアクチュエータ(例えば、アクチュエータの伸長チャンバ704)まで伝播する間に減衰され得る。特定の実施形態では、追加の共鳴周波数は、150Hz~250Hzの範囲内にある。
図11Bの図示の実施形態では、第1の外側キャビティ1150は、アクチュエータハウジング702の外面と、外側ハウジング702の少なくとも一部を取り囲む第1の外側ハウジング1170の内面とによって囲まれる環状断面を有する。発明者らは、少なくともアクチュエータハウジング702および第1の外側ハウジング1170が円筒形である実施形態について、第1の外側キャビティ1150内のイナータンス(これは上記のように流路の断面積に依存する)および/またはリストリクションが、第1の外側キャビティ1150の断面積が変更されるように第1の外側ハウジング1170の内径をアクチュエータハウジング702の外径に対して変えることによって調整可能であることを認識している。
【0107】
同様に、
図11Bの図示の実施形態では、第2の外側キャビティ1160は、第1の外側ハウジングの外面と、少なくとも第1の外側ハウジングの一部を取り囲む第2の外側ハウジング1180の内面とによって囲まれる環状断面を有する。少なくとも第1の外側ハウジング1170および第2の外側ハウジング1180が円筒形である実施形態に関して、第2の外側キャビティ1160内のイナータンス(上述のように流路の断面積に依存する)および/またはリストリクションは、第2の外側キャビティ1160の断面積が変更されるように第2の外側ハウジング1180の内径を第1の外側ハウジング1170の外径に対して変えることによって調整可能である。
【0108】
特定の実施形態では、スリーブ(図示せず)を環状キャビティのうちの1つの少なくとも一部(例えば、第1の外側キャビティ1150および/または第2の外側キャビティ1160)に挿入し、それによってアクチュエータハウジング702と第1の外側ハウジング1170と間のギャップ、または第1の外側ハウジング1170と第2の外側ハウジング1180との間のギャップを減少させることができる。特定の実施形態において、スリーブは、アクチュエータハウジング702の外面の少なくとも一部と物理的に接触していてもよい。特定の実施形態では、スリーブは第1の外側ハウジングの表面の少なくとも一部と物理的に接触していてもよい。特定の実施形態において、スリーブは、第2の外側ハウジングの表面の少なくとも一部と物理的に接触していてもよい。スリーブの厚さは、環状キャビティの環状断面積を変化させるために制御することができ、それによって様々な特性(例えば、イナータンス、インピーダンス、リストリクション))の制御を可能にする。
【0109】
特定の実施形態において、第1の外側ハウジング1170の内径とアクチュエータハウジング702の外径との差は、0.4mmより大きく1mm未満であり得る。特定の実施形態では、第1の外側ハウジング1170の内径と、アクチュエータハウジング702の外径および第1の外側キャビティ1150に挿入されるスリーブの厚さの合計との差は、0.4mmより大きく1mm未満であり得る。特定の実施形態では、第1の外側キャビティ1150の長さは50mmより大きく100mm未満であり得る。上記のすべての範囲について、正確に述べられた範囲の外側にある値を有する代替の実施形態は、本開示の範囲内にあると考えられ得る。
【0110】
図26は、
図11bに示される種類の2つの異なる油圧システムからの2つの圧力/圧力伝達関数の2つのTFmagを示す。2つのシステム間の唯一の違いは、第1の外側キャビティ1150の環状断面積であった。具体的には、第1の外側キャビティ1150の環状断面積(したがって、イナータンスおよびインピーダンス)が、第1の外側キャビティ1150にスリーブを挿入することによって調整された。各圧力/圧力伝達関数は、それぞれの油圧システム内のポンプ718における圧力と伸長チャンバ704内のある地点における圧力との間の関係を表す。
図26の2つのTFmagを比較することによって分かるように、第1の外側キャビティ1150の断面積(したがって、イナータンスおよびインピーダンス)の調整は、システムの減衰能力を大幅に改善する可能性がある。
【0111】
図11bの図示の実施形態は、外側環状キャビティ1160を上部セクション1162(圧縮側第1流路728の一部)と下部セクション1164(圧縮側第2流路730の一部)とに分割する環状ダム1101a~bをさらに含む。環状ダムは、外側環状キャビティ1160の上部セクション1162内の流体を外側環状キャビティ1160の下部セクション1164内の流体から分離する障壁として機能する。特定の実施形態では、内側キャビティ1150は、内部キャビティ1150を様々なセクションに分割する1つまたは複数の環状ダムを含み得る。特定の実施形態では、環状ダム1101a~bはエラストマーまたはゴム製のOリングである。
【0112】
特定の実施形態では、1つまたは複数の構成要素がポンプと共通のハウジングを共有してもよい。このタイプのパッケージングは、よりコンパクトなシステムを可能にし、および/または溶接部または他のアタッチメントの数を低減し得る。例えば、
図11Bに示されるように、ポンプ718および/または伸長側アキュムレータ720は共通のポンプハウジング1110内に収容されてもよい。
【0113】
伸長側アキュムレータが1型アキュムレータである特定の実施形態では、伸長側アキュムレータ720は、伸長側第1流路が伸長側第2流路701より短く、および/またはより低いイナータンスを有するように配置することができる。特定の実施形態では、図示のように、ポンプハウジング1110は、2つのハウジングが共通の壁または構造部材を共有するように、アクチュエータハウジング702の一部と重なってもよい。特定の実施形態において、ポンプハウジング1110は、アクチュエータハウジング702の少なくとも一部に直接取り付けられてもよい。特定の実施形態において、
図11Bに示されるように、伸長側アキュムレータ726は、伸長側アキュムレータ726の圧縮側作動チャンバ738a内の流体にさらされる第1の表面1152を有するアキュムレータピストン1150を備えてもよい。特定の実施形態では、アキュムレータピストン1150の第1の表面1152に垂直な第1の方向1154は、アクチュエータ700のピストン708の第1の面710に対して垂直な第2の方向1156と平行であり得る。
【0114】
上述のように、油圧システム内のそれぞれの流路の様々なイナータンスは、様々な測定基準においてシステム全体の性能に影響を与える可能性がある。イナータンスは部分的に流路またはその一部の長さおよび/または断面積の両方に依存するので、いくつかのケースにおいて油圧システム内の1つまたは複数のイナータンスを変えることはシステム全体の大幅な再設計(例えば様々な構成要素の再配置)を必要とし得る。そのような再設計は製造装置を据え付け直す必要があり、その結果、変更に対応するための所要時間が長くなる可能性がある。したがって、発明者らは、油圧システム全体の再設計(例えば、様々な構成要素の再配置)を必要とせずにアキュムレータの作動チャンバに出入りする様々な流路のイナータンスを調整できるように2型アキュムレータを設計することが有益であり得ることを認識した。
【0115】
図12A~
図12Cは、油圧システム全体の再設計が必要ないように、アキュムレータの設計パラメータを調整することによって様々なイナータンスを調整することができる2型アキュムレータの様々な実施形態を示す。
図12Aは、2型アキュムレータの一実施形態を示す。図示の実施形態では、アキュムレータ1200は、内部容積を画定する円筒形ハウジング733を含む。様々な実施形態において、ハウジング733および/または内部容積は、任意の幾何学形状(例えば、球形、立方体、立方体状、その他)を有してもよい。特定の実施形態では、内部容積内に挿入されたピストン736(または他の障壁、たとえばブラダー)が、作動チャンバ738内の流体(たとえば油圧流体)から閉じ込めチャンバ734内の流体(たとえばガス)を分離する。図示の実施形態に示されるように、ハウジング733はそれを貫通する開口1202を画定し、開口は第1の面積を有する。ボア1206を画定する壁を有するチューブ1204は、チューブ1204の壁の外面の少なくとも一部が作動チャンバ738内の流体にさらされるように、開口1202内に挿入されてもよい。チューブ1202の断面積は、ボア1206の断面積と、ボア1206を取り囲む(または別の方法で画定する)固体壁の断面積とを含むように理解される。様々な実施形態において、本開示はそれほど限定的でないで、チューブの壁は可撓性または剛性であり得る。様々な実施形態において、チューブの壁は金属、セラミック、プラスチック、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0116】
図12Aを続けると、チューブ1204の断面積は開口1202の第1の面積よりも小さいので、(点線矢印で示すように)流体が作動チャンバ738に流入/から流出することができる自由空間がチューブ1204の壁の周りに存在する。チューブ1204のボア1206を通過することによって、流体は(点線矢印で示すように)作動チャンバ738に流入/から流出することもできる。チューブ1204の壁の周りの自由空間は1つの地点で油圧システムと(例えばホースまたはパイプを介して)直接流体連通することができる一方、チューブ1204のボア1206は別の地点で油圧システムと直接流体連通することができる。したがって、アキュムレータ1200は、流体が作動チャンバ738へ流入/から流出することができる2つの異なる、重ならない経路(例えば、チューブ1204の周りの自由空間を通る、およびチューブ1204のボア1206を通る)を含み、したがって2型アキュムレータとして分類することができる。
【0117】
図12Aに示すアキュムレータの実施形態、またはその変形形態は、2型アキュムレータを含む前述の油圧システムのいずれにも一体化することができる。例えば、
図12Aに示されるアキュムレータは、圧縮側アキュムレータ726として
図8の油圧システムに一体化されてもよく、その場合、チューブ1204のボア1206は、例えば圧縮側第2流路730と直接流体連通してもよく、チューブ1204の周りの自由空間は、例えば圧縮側第1流路728と直接流体連通してもよい(またはその逆でもよい)。
【0118】
有利には、
図12Aに示すアキュムレータの作動チャンバ738に出入りする様々な流路のイナータンスまたはインピーダンスは、油圧システム全体の再設計も再配置も必要とせずに調整することができる。特に、インピーダンスおよび/またはイナータンスは、開口1202の断面積、チューブ1204の断面積、チューブ1204のボア1206の断面積、および/またはチューブの壁の厚さを調整することによって制御することができる。これらのパラメータは、次に、開口1202の直径、チューブ1204の壁の外径、および/またはチューブ1204の壁の内径を修正することによって調整されてもよい。チューブ1204のボア1206内の流体のイナータンスは、チューブ1204の長さを修正することによってさらに調整されてもよい。特定の実施形態において、開口1202は円形であり、チューブ1204は円形の断面を有し、この場合、チューブ1204を囲むいずれの自由空間も環状である。しかしながら、他の実施形態では、本開示はそれほど限定的でないので、開口1202、第2の開口1208、チューブ1206、およびチューブ1206の周りの自由空間は、任意の断面形状を有してよい。
【0119】
図12Bは2型アキュムレータの別の実施形態を示しており、ここではチューブ1204はアキュムレータハウジング733の第1の開口を通して挿入され、アキュムレータはアキュムレータハウジング733を貫く第2の開口1208を備える。特定の実施形態では、第2の開口1208は、アキュムレータハウジング733の側面または底面を貫いてもよい。
図12Bに示されているアキュムレータの実施形態は、2型アキュムレータを含む前述のいかなる油圧システムにも一体化されてよい。例えば、
図12bに示すアキュムレータ、またはその変形形態は、圧縮側アキュムレータ726として
図8の油圧システムに一体化することができ、その場合、チューブ1204のボア1206は、例えば圧縮側第2流路730と直接流体連通してもよく、第2の開口1208は、例えば圧縮側第1流路728と直接流体連通してもよい(またはその逆でもよい)。
【0120】
有利には、
図12Bに示すアキュムレータの作動チャンバ738に出入りする様々な流路のイナータンスまたはインピーダンスは、油圧システム全体の再設計も再配置も必要とせずに調整することができる。具体的には、イナータンスおよび/またはインピーダンスは、開口1208の直径または断面積、チューブ1204のボア1206の直径または断面積、および/またはチューブ1204の長さを調整することによって制御することができる。特定の実施形態では、第2の開口1208およびチューブ1204のボア1206の断面は両方とも円形1208である。しかしながら、他の実施形態では、本開示はそれほど限定的ではないので、第2の開口1208および/またはチューブ1206のボア1204は任意の断面形状を有してよい。
【0121】
図12Cは、2型アキュムレータのさらに別の実施形態を示している。図示の実施形態では、アキュムレータは、第1のボア1206を画定する壁を有する第1のチューブ1204を備える。
図12Cに示すように、第1のチューブ1204は、アキュムレータハウジング733を貫く第1の開口に挿入することができ、その結果、チューブ1204の壁の外面の少なくとも一部は作動チャンバ738内の流体にさらされる。図示の実施形態では、アキュムレータハウジング733は、それを貫通する第2の開口1208を備え、それを通して第2のボア1207を有する第2のチューブ1210が挿入され、それにより第2のチューブ1210の壁の外面の少なくとも一部がアキュムレータ733の作動チャンバ738内の流体にさらされるようにする。特定の実施形態では、示されるように、第1のチューブ1204および第2のチューブ1210は、作動チャンバ738内の流体にさらされる障壁736の表面に垂直な方向に対して異なる角度で挿入され得る。特定の実施形態では、その差は、0°より大きく90°未満であり得る。特定の実施形態では、
図12Cに示すように、両方のチューブをアキュムレータハウジングの側面を通して挿入することができる。他の実施形態では、第1のチューブ1204と第2のチューブ1210とのうちの一方をアキュムレータハウジング733の側面を通して挿入し、他方のチューブをアキュムレータハウジング733の底面を通して挿入することができる。さらに他の実施形態では、第1のチューブ1204と第2のチューブ1210の両方をアキュムレータハウジング733の底面を通して挿入することができる。
【0122】
図12Cを続けると、流体が作動チャンバ738に流入/から流出することができる2つの異なる、重ならない経路であって、(i)第1のチューブ1204の第1のボア1206を通る経路、および(ii)第2のチューブ1210の第2のボア1207を通る経路が存在する。したがって、図示の実施形態は、2型アキュムレータと見なすことができる。
図12cに示すアキュムレータの実施形態は、2型アキュムレータを含む前述の油圧システムのいずれにも一体化することができる。例えば、
図12cに示すアキュムレータは、圧縮側アキュムレータ726として
図11bの油圧システムに一体化することができ、その場合、第1のチューブ1204のボア1206は、例えば、圧縮側第1流路728(薄い灰色の陰影付けで示す)の一部を構成することができ、第2のチューブ1210のボア1207は、例えば、圧縮側第2流路730の一部を構成してもよい。
【0123】
有利には、
図12cに示すアキュムレータの作動チャンバ738に出入りする様々な流路のイナータンスまたはインピーダンスは、油圧システム全体の再設計も再配置も必要とせずに調整することができる。具体的には、イナータンスおよび/またはインピーダンスは、第1のチューブ1204の長さ、第2のチューブ1210の長さ、第1のチューブ1204の第1のボア1206の直径または断面積、および/または第2のチューブ1210の第2のボア1207の直径または断面積を調節することによって制御することができる。特定の実施形態では、第2のボア1207の第2の断面積は、第1のボア1206の第1の断面積よりも大きい。特定の実施形態では、第2の断面積は第1の断面積よりも少なくとも2倍大きい。特定の実施形態では、第2の断面積は第1の断面積よりも少なくとも5倍大きい。代替的にまたは追加的に、第1のチューブ1204は、第2のチューブ1210の第2の長さよりも大きな第1の長さを有し得る。特定の実施形態では、第1の長さは第2の長さよりも少なくとも5倍大きい。特定の実施形態では、第1の長さは第2の長さよりも少なくとも10倍大きい。発明者らは、前述の比率は、本開示の他の箇所に記載されている所望の相対イナータンスを有する、
図11bの油圧システムなどの油圧システムをもたらし得ることを見出した。
【0124】
評価と例
記載を明確にするために、本明細書の様々な概略図および略図における流体通路は、近似的なモデリングおよび設計のためにそれから流体イナータンスを合理的に予測することができる所与の長さおよび断面を有する単純な流路として時に表される。さらに、本明細書に記載の様々な油圧システムを評価する際に、油圧システムの様々な流路は、個々の慣性要素とコンプライアンス要素との相互接続された組み合わせとして扱われてもよい。例えば、
図19aの単純な油圧システムは、コンプライアンス要素が斜めのハッチングマークで描かれ、慣性要素が水平のハッチングマークで描かれている
図23に示すような要素の組み合わせと考えることができる。さらに、当業者によって理解され得るように、慣性要素は、質量および関連する圧力領域によって記載され得、コンプライアント要素は、体積および関連する剛性によって記載され得る。本明細書に記載された様々な追加の実施形態を記載する
図23に示された理論モデルに対する修正は、既知の流体力学的原理と経験的試験との組み合わせに基づいてもよい。
【0125】
経験的試験および経験的および分析的に導出されたモデルの評価の結果として、発明者らは、一体型油圧システム(複数の構成要素を共通のハウジングに一体化できるまたは他の方法で密接に結合できる油圧システムを指すと理解される)が複雑であり得、および/または、先験的情報を用いて挙動および/または特性を予測することは困難であり得ることを認識してきた。例えば、本明細書に記載の一体型または高密接結合システムでは、各油圧構成要素が長い長さのホースまたはパイプによって接続された独立した機能要素として振る舞うのではなく、密接結合システム内の様々な構成要素が有利(「相乗的」)または不利(「反相乗的」)になり得る複雑な方法で互いに相互作用する傾向がある。例えば、本明細書に示されるように、2つの異なるアキュムレータを備える開示された油圧システムでは、相乗的な、したがって有利であり得る相互作用が2つのアキュムレータ間に生じ得る(例えば、2つのアキュムレータは、脈動がいずれかの所与の周波数における各アキュムレータの減衰能力の単純なベクトル和を超えるレベルまで減衰するように相互作用し得る)、または、反相乗的な、したがって不利な相互作用が生じ得る(例えば、2つのアキュムレータの組み合わせは、総脈動減衰が2つのアキュムレータのうち1つのみを有するシステムの減衰未満であり得るように相互作用し得る)。例えば、1つのアキュムレータ内の振動は別のアキュムレータ内の固有振動数を励起する可能性がある。
【0126】
発明者らはまた、例えば、他の要因の中でも、(ポンプおよび/またはアクチュエータに対する)各アキュムレータの相対位置が、特定の相互作用が相乗的であるか反相乗的であるかに大きく影響し得ると決定した。
【0127】
別の考察では、アクチュエータシステムの様々な特徴および特性が所与の油圧アクチュエータシステムの応答時間に影響を及ぼし得るという認識に耐えるべくさらなる複雑さがもたらされる。応答時間に影響を及ぼし得る特性には、例えば、モータの慣性モーメント、ロッド質量、様々な要素のコンプライアンス、および油圧システム全体にわたる各流路内のイナータンスの合計が含まれる。例えば、2型アキュムレータの組み込みを可能にするために1型アキュムレータを有する油圧システムを修正する場合、1つまたは複数の追加の流路が含まれてシステムの全体的な流体イナータンスに追加され得、それにより応答時間に悪影響を及ぼす。応答時間が重要なシステム測定基準となり得る特定の用途では、2型アキュムレータを組み込むためのそのような修正は、特に流路の様々なイナータンスが2型アキュムレータの組み込み中に慎重に考慮されない場合、望ましくないように思われる。
【0128】
油圧システムのサイズが縮小されると(例えば、パッケージング寸法を縮小するためまたは応答時間を改善するため)、構成要素はより密接に一体化され得、それらの相互作用はより複雑になり得る。発明者らは、純粋に先験的評価に基づいては予想されないであろう、大きな相乗的および/または反相乗的な相互作用を設計において意外にも観察した。
【0129】
さらに、広範囲の速度にわたって動作することができる(したがって、広範囲の周波数で脈動を発生させる)双方向高速ポンプ(ポンプの片側が時に吐出側として働き、他の時に吸引側として働き得る)などの非常に動的な構成要素がシステムの複雑さを増す。
【0130】
再び
図7に戻ると、前述のように、アクチュエータの700のピストン708に適用される正味の力の中の脈動を指すと理解される力リップルに望ましくない形で移行され得るポンプリップルのせいで、圧力脈動がポンプ718で発生する可能性がある。ピストン708に適用される正味の力は、圧縮チャンバ706内の流体の圧力(本明細書中「P1」と称される)と伸長チャンバ704内の流体の圧力(本明細書中「P2」と称される)との差に依存する。この圧力差は、本明細書中「dP」と称され、数学的にはP2-P1(すなわち、伸長チャンバ内の流体の圧力(P2)マイナス圧縮チャンバ内の流体の圧力(P1))と考えることができる。したがって、本発明者らによって認識されるように、力リップルはdP内の脈動から生じ得る。dP内の脈動は、P2またはP1のいずれかの変動から、あるいはP2およびP1の両方の変動から生じ得る。すなわち、本発明者らは、P2内のリップルが除去されたとしても(これはポンプ718とアキュムレータ700の伸長チャンバ704との間の圧力脈動の完全な減衰を示す)、P1内のリップルはdP内の脈動を、したがって望ましくない力リップルを生じさせるのに十分である。同様に、P1内のリップルが完全に除去されたとしても(これはポンプ718とアクチュエータ700の圧縮チャンバ706との間の圧力脈動の完全な減衰を示す)、P2内のリップルはdP内の脈動を、したがって望ましくない力リップルを生じさせるのに十分である。
【0131】
前述のリップル現象は、本明細書で詳述されるように、
図16a~22において説明されている。
図16a~22aはそれぞれ油圧システムの例を示し、
図16b~22bは、ポンプ718で生じる脈動とピストンを横切るdPの脈動との間の関係を表す圧力/変位伝達関数のTFmagを示す。評価された例の中のTFmagは、両軸に対数目盛を用いてプロットされ、ここでy軸はdPにおける脈動の振幅をポンプで発生した変位リップルの振幅で割った対数比を表し、x軸はポンプで発生した変位リップルの周波数を表す。16b~22bの伝達関数の図示されたTFmagは、経験に基づいてカスタマイズされた集中素子流体力学モデルを用いて決定された。
【0132】
図16bは、アキュムレータが利用されていない、
図16aに概略的に示されているシステムにおけるポンプリップルに応答したdPの挙動を示している。
図16bの比較的平坦な部分から分かるように、ポンプで発生する変位リップルは、周波数に関係なくピストン708を横切るdP内の脈動をもたらす。このような挙動は、圧縮流路724と伸長流路716の両方に実質的なコンプライアンス(アキュムレータによって提供され得るものなど)が欠如しているせいで、脈動がほとんど減衰せずにポンプから圧縮流路724および伸長流路716の両方を通って伝播し得るために生じ得る。共鳴ピークは約920Hzで発生し、このピークはdP内の脈動の振幅の減衰とは対照的に増幅を引き起こすことに留意されたい。理論に束縛されることを望まないが、ピークは、流体のイナータンスと関連するコンプライアンスとの間に生じるヘルムホルツ型の共鳴によって生じ得る。
【0133】
アキュムレータを追加することによってシステムの複雑さが増すにつれて、プロットの周波数範囲内で様々な追加の共鳴が発生し得る。前述したように、発明者らは、特定の実施形態において、様々な共鳴の周波数の重なりまたは近重なりを回避するようにシステムを構成することが、反相乗的な相互作用の可能性を低減し得ることを認識した。
【0134】
図17aでは、1型アキュムレータ1701は、ポンプ718を圧縮チャンバ706に流体的に結合する圧縮流路724と流体連通している。
図17bは、
図17aのシステムにおいてポンプで発生する変位リップルに応答するdPの周波数依存挙動を示す。より低い周波数ではdPの減衰が少しあるが、周波数が約50Hzを超えると、TFmagは特定の周波数範囲でゼロに近づき、ゼロを超えることさえあり、これはこれらの周波数において脈動の減衰が(および増幅の可能性すら)ないことを示している。前述のように、圧縮側に適切な大きさのアキュムレータを追加すると、ポンプから圧縮流路724を通る伝播中、圧力脈動が減衰する。しかしながら、伸長側にアキュムレータがないので、脈動はほとんど減衰せずに伸長側流路716を通って伝播し得、これにより示されるようにdP内の脈動が生じる。
【0135】
図18aは、(例えば、伸長流路716と直接連通している)伸長側に配置された唯一の1型アキュムレータを有するシステムを示す。
図17bから分かるように、たとえ脈動が伸長チャンバ704への伝播中に減衰されても、それでもなお圧縮チャンバ706内の圧力の変動がdP内の全体的な脈動をもたらすので、
図17aのシステムの挙動は
図16aのそれと非常に一致する。
【0136】
図19aは、1型アキュムレータ1701が2型アキュムレータ1901で置き換えられていることを除いて、
図17aのシステムと同様のシステムを示す。
図19bから分かるように、単一のアキュムレータのみを有する油圧システムにおいて1型アキュムレータ1701を2型アキュムレータ1901で単に置き換えることは、減衰能力をわずかに向上させるだけである。この分析から、本発明者らは、密接に結合したアクチュエータシステムの1つの流路内の脈動を減衰させるためにアキュムレータが使用されたとしても、またはその流路に沿って伝播する脈動をさらに減衰させるために追加のアキュムレータが流路に追加されたとしても、そのような修正は、脈動が代替流路(ポンプからアクチュエータの反対側に至る流路など)を通ってアクチュエータ700に自由に伝播する場合、全体的な脈動性能に関して概ね取るに足らないものであることを認識した。
【0137】
少なくとも部分的に上記を考慮して、本発明者らは、伸長流路716と直接流体連通するように配置された伸長側アキュムレータ2003と、圧縮流路724と直接流体連通するように配置された圧縮側アキュムレータ2001とを含む
図20aに示されるような2つのアキュムレータを組み込んだシステムが、単独で考えられるいずれかのアキュムレータの個々の寄与を著しく超える脈動減衰能力を示し得ることを認識した。
図20bを
図17b~19bと比較することによって観察され得るように、2つのアキュムレータ(一方はポンプをアクチュエータの圧縮チャンバに結合する圧縮流路と流体連通し、他方はポンプをアクチュエータの伸長チャンバに結合する伸長流路と流体連通する)を利用することは、広い周波数範囲(少なくとも30Hzから少なくとも200Hzを超えるまで)にわたってdP内の脈動の減衰においてはるかにより効果的であり得る。この特定のシステムでは、2つのアキュムレータは、脈動がポンプ718とアクチュエータとの間の様々な流路で減衰し、その結果、より低い周波数でdP内の脈動が著しく減衰するように、相乗的に作用する。より高い周波数では、1つまたは複数のアキュムレータの首部が首部内の流体のイナータンスのために塞がれることがあるため、アキュムレータは有効性を失う可能性がある。代替的にまたは追加的に、より高い周波数での増幅が、例えば、システムの1つまたは複数の共鳴周波数の重なりまたは近重なりのために起こり得る。
【0138】
図21aは、
図21aにおいて圧縮側アキュムレータ2101が2型アキュムレータであることを除いて、前述の相乗効果を可能にするためにポンプの両側に配置された2つのアキュムレータを有する
図20aと同様のシステムを示す。
図21Bは、
図21aのシステムにおいてポンプで発生したリップルに応答したdPの脈動挙動を表している。先に開示したように、発明者らは、様々な理由から、特定の用途において、本明細書の教示に従って適切に構成され配置された2型アキュムレータは1型アキュムレータよりも効果的であり得ることを認識した。実際、
図21bを
図20bと比較することによって分かるように、2型の圧縮側アキュムレータを利用すると、1型の圧縮側アキュムレータを有する同様のシステムと比較して、約70Hzを超える周波数を有する脈動に関して実質的に改善されたdP減衰が得られる。
【0139】
図22aは、伸長側アキュムレータ2103と圧縮側アキュムレータ2101の両方が2型アキュムレータであるシステムを示す。
図22bから分かるように、伸長側アキュムレータ2103および圧縮側アキュムレータ2101のそれぞれを2型アキュムレータにすることによって脈動減衰が著しく改善される。
【0140】
したがって、特定の実施形態において、特に脈動減衰が優先される用途向けの実施形態において、圧縮側アキュムレータ2101および伸長側アキュムレータ2103の両方が2型アキュムレータであり得る。しかしながら、前述のように、2型アキュムレータは、関連するイナータンスおよびインピーダンスを有する追加の流路を組み込む必要があり、最終的には油圧システムの応答時間などの特定の性能測定基準を減少させる可能性がある。したがって、代替実施形態では、圧縮側アキュムレータ2101および伸長側アキュムレータ2103のうちの一方のみが2型であり得、他方のアキュムレータは1型アキュムレータであり得る。さらに別の実施形態において、例えば、応答時間が脈動減衰に対して非常に優先される用途向けに設計された実施形態に関して、伸長側アキュムレータ2103と圧縮側アキュムレータ2101の両方が1型アキュムレータであってもよい。さらに、本発明者らは、
図17a~bと
図19a~bとの比較から分かるように、単純に1型圧縮側アキュムレータを2型圧縮側アキュムレータに置き換えるだけでは広範囲の周波数にわたる実質的なシステム改善は必ずしも得られないことを再度注記しておく。むしろ、特定の実施形態において、特定の相乗効果が、2つのアキュムレータを上述の特定の位置に有することから生じ(この際アキュムレータの少なくとも1つは2型アキュムレータである)、そのような改善を可能にする。
【0141】
図24は、
図8に示すものなど、2型圧縮側アキュムレータ726と1型伸長側アキュムレータ720とを有するシステムにおいて、圧縮側第1流路728のイナータンスが脈動減衰にどのように影響を及ぼすかを示す実験結果を説明している。
図24から分かるように、圧縮側第1流路728のイナータンスが増大すると、ポンプでの変位リップルに由来する力リップルの大きさが減少する。実際、その傾向は70Hzおよび250Hzの両方の脈動で観察され、後者の周波数でより顕著になる。
【0142】
本開示を熟考する当業者は、実際のアクチュエータの実施形態は、本明細書に記載されている概念的枠組みに依然として従いながら、幾何学的および機能的に複雑であり得る通路および構成要素を含む傾向があり得ることを容易に認識されよう。例えば、
図25a~dは、
図11Bに概略的に示されたものと同様の油圧システムの実際の実施形態を示す。
図25aから分かるように、図示の実施形態は、ポンプ(図示せず)、伸長側アキュムレータ(図示せず)、および伸長側第1流路(図示せず)の両方を内側に収容するハウジング1110と;伸長側アキュムレータをアクチュエータの伸長チャンバ704に流体的に結合する伸長側第2流路701と;ハウジング1110内に収容されたポンプを圧縮側アキュムレータ726に流体的に結合する圧縮側第1流路と;圧縮側アキュムレータ726をアクチュエータの圧縮チャンバ706に流体的に結合する圧縮側第2流路730とを備える。図示のように、圧縮側第1流路728は、アクチュエータハウジングの少なくとも一部を取り囲む環状キャビティと、圧縮側アキュムレータ726のハウジングに部分的に挿入される第1のチューブのボアとの両方を含む。図示のように、圧縮側第2流路730は、第2のチューブのボアを含む。したがって、圧縮側アキュムレータ726は、
図12Cに概略的に示されている2型アキュムレータと同様である。
図25b~dは、
図25aに示されている実際の実施形態の追加の見た目および/または部分を示している。
【0143】
複雑な三次元流路または分散されるイナータンス/コンプライアンスは効果を有し得るが、本開示の教示は、そのような変化の範囲にわたって適用可能であると考えられる。例えば、1つの地点から別の地点への流体の輸送は、複雑な並列および直列ネットワークを形成し得る複数のチャネルを通って進行し得ることが認識されている。電気回路理論および従来の流体力学の場合のように、所与のインピーダンスがほぼ線形の応答を示す限り、複雑なネットワークは1つの単一のイナータンスとしておおよそ近似することができる。出願人らは、すべての流体通路が非線形インピーダンス挙動を示す傾向があることを確かに認識している。本明細書で考察される解析モデルは、線形イナータンスを含む線形要素を使用して一般に近似されるが、これらのモデルは流体力学原理、CFDツール、および経験的データの組み合わせを使用して非線形効果を含むように拡張することができる。
【0144】
その用語が本明細書で使用される場合、流路は、少なくとも特定の動作条件(例えば、特定の圧力または特定の弁の構成)の下で流体が第1の構成要素のチャンバから流路を通り第2の構成要素のチャンバへ流れ得る場合、第1の構成要素を第2の構成要素に「流体的に結合」すると言われる。流路が第1の構成要素と第2の構成要素との間に切替可能な弁または他の流量制御装置を備える場合、流路は、弁が開いているか閉じているかにかかわらず、第1の構成要素を第2の構成要素に流体的に結合すると理解される。それというのも、少なくとも特定の動作条件(例えば、弁の開放、圧力リリーフ弁の設定点を超える流体圧力の上昇、その他)の下で流体は第1の構成要素のチャンバから、弁を備える流路を通って、第2の構成要素のチャンバに流れ得るからである。流路は、様々なパイプ、チューブ、ニップル、ボア、弁、開放容積、チャンバ、または他のチャネルを含み得る。
【0145】
本明細書で使用される場合、第1の構成要素を第2の構成要素に流体的に結合する、ポンプを通過しない流路が存在する場合、第1の構成要素は第2の構成要素と「流体連通」していると言われる。
【0146】
本明細書で使用される場合、「流体」という用語は、文脈が他に指示しない限り、例えば、圧縮性および非圧縮性流体を包含し得、流体連通という用語は、例えば、油圧的および空気的な連通を包含し得る。
【0147】
本明細書で使用される場合、圧縮性流体という用語はガスまたは蒸気を意味すると理解される。
【0148】
本明細書で使用される場合、「ポンプ」は、少なくとも1つの動作モードにおいて、第1の圧力で1つのポートで流体の流れを受け取り、第2のポートで、第1の圧力よりも高い第2の圧力で、その流れの少なくとも一部を送達するために使用され得る油圧装置、構成要素、ユニットまたはサブユニットを意味すると理解される。ポンプは、流体圧力差を生じさせるために機械的運動エネルギー(例えば、ロータの回転)を使用し得る。いくつかの実施形態では、第2のより高い圧力で送達された流体は、流路によってまたは流路を介して1つまたは複数の他の装置(例えばアキュムレータ、アクチュエータ、油圧モータ)に流れることができる。いくつかの実施形態では、ポンプは、ポンプと別の油圧装置との間の流路の一部を含むハウジングを有し得る。
【0149】
特定の実施形態では、ポンプは第2の動作モードにおいて流体圧力差を機械的運動エネルギーに変換するために使用することもできる。ポンプは、油圧ポンプを指すこともあれば、油圧ポンプとして動作することができる油圧モータを指すこともある。本明細書に記載の油圧システムのいずれかにおけるポンプは、モータコントローラ(図示せず)によって制御されるモータ(図示せず)、例えば電気モータに動作可能に結合することができる。モータコントローラは、上述のように(例えば、外部コントローラまたはユーザから)コマンドプロファイルを受信してもよく、油圧システムがコマンドプロファイルに従って動作するようにモータを制御してもよい。
【0150】
本明細書で使用する場合、「圧縮チャンバ」および「伸長チャンバ」は、アクチュエータのハウジング内に収容されたピストンによって互いに分離された油圧アクチュエータのハウジング内のチャンバを意味すると理解される。ピストンロッドは、伸長チャンバに隣接する(例えば、その中の流体にさらされる)面でピストンに取り付けることができる。圧縮チャンバの容積は、アクチュエータの圧縮時(例えば、アクチュエータの長さが減少するとき)に収縮し、伸長チャンバの容積は、アクチュエータの伸長時(例えば、アクチュエータの長さが増加するとき)に収縮する。
【0151】
本明細書で使用される場合、「電気モータ」(時に単に「モータ」と呼ばれる)は、電気エネルギーを機械的運動エネルギー(例えば、ロータの回転)に変換することができる電気機械装置を意味すると理解される。特定の実施形態では、電気モータは、第2の動作モードにおいて機械的運動エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能であり得る。モータは、電気モータを指すこともあれば、または電気モータとして動作することができる発電機を指すこともある。モータは、(i)モータのロータの適切な回転が、ポンプの1つまたは複数の回転可能要素の回転をもたらす、および/または(ii)ポンプの回転可能要素の適切な回転がモータのロータの回転をもたらす場合、ポンプに「動作可能に結合される」と言われる。
【0152】
本明細書で使用される場合、「コントローラ」は、1つまたは複数の入力パラメータに基づいてターゲット構成要素への出力信号を決定し、伝達し、および/または供給する関連する回路および/またはソフトウェアと併せた1つまたは複数の集積回路(例えば、プロセッサなど)を意味すると理解される。本明細書で使用される場合、「モータコントローラ」は、モジュラブル信号を電気モータに供給することができるコントローラを意味すると理解され、この際、信号をモータに供給すると、(i)モータ(例えばポンプ)に動作可能に結合された構成要素にモータによって供給されるトルク、および/または(ii)モータのロータの回転、がもたらされる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮チャンバおよび伸長チャンバを少なくとも部分的に画定するアクチュエータハウジングを備える油圧アクチュエータと
ポンプと、
第1の障壁によって、第1の閉じ込めチャンバと、第1の作動チャンバとに分割される第1の内部容積を画定する伸長側アキュムレータハウジングを備える伸長側アキュムレータと
を備え、
前記第1の作動チャンバは、第1のイナータンスを有する伸長側第1流路によって前記ポンプに流体的に結合され、
前記第1の作動チャンバは、第2のイナータンスを有する伸長側第2流路によって前記圧縮チャンバに流体的に結合され、
前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスよりも少なくとも5倍である、
油圧装置。
【請求項2】
第1の伝達関数の第1のTFmagが、第1の周波数において第1の大域的最大値および第1の局所的最大値の少なくとも一方を有し、第2の伝達関数の第2のTFmagが、第2の周波数において第2の大域的最大値および第2の局所的最大値の少なくとも一方を有し、ここで、
前記第1の伝達関数は第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の第1の関係を表し、
前記第2の伝達関数は前記第2の地点における圧力と第3の地点における圧力との間の第2の関係を表し、
前記第1の地点は前記ポンプ、前記ポンプのポート、および前記伸長側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第2の地点は前記伸長側アキュムレータの前記第1の内部容積内に位置し、
前記第3の地点は前記アクチュエータの前記圧縮チャンバ内に位置する、
請求項1に記載の油圧装置。
【請求項3】
第1の伝達関数の第1のTFphが第1の周波数で±90°に等しく、第2の伝達関数の第2のTFphが第2の周波数で±90°に等しく、ここで、
前記第1の伝達関数は第1の地点における圧力と第2の地点における圧力との間の第1の関係を表し、
前記第2の伝達関数は前記第2の地点における圧力と第3の地点における圧力との間の第2の関係を表し、前記第1の地点において、前記ポンプ、ポート、および前記伸長側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第1の地点は、前記ポンプ、前記ポンプのポート、および前記伸長側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第2の地点は前記伸長側アキュムレータの前記第1の内部容積内(例えば、前記第1の作動チャンバの内部)に位置し、
前記第3の地点は前記アクチュエータの前記圧縮チャンバ内に位置する、
請求項1に記載の油圧装置。
【請求項4】
前記第2の周波数が前記第1の周波数よりも高い、請求項2または3に記載の油圧装置。
【請求項5】
前記第2の周波数が前記第1の周波数の少なくとも5倍または少なくとも20倍に等しい、請求項4に記載の油圧装置。
【請求項6】
前記第2の周波数が前記第1の周波数よりも100倍未満高い、請求項5に記載の油圧装置。
【請求項7】
前記第1の周波数が第1の下限より高くおよび第1の上限より低く、前記第1の下限は0Hz、2Hz、5Hz、または10Hzのうちの1つであり、前記第1の上限は100Hz、80Hz、60Hz、50Hz、30Hz、20Hz、または15Hzのうちの1つである、請求項2ないし6のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項8】
前記第2の周波数が第2の下限よりも高くおよび第2の上限よりも低く、前記第2の下限は100Hz、200Hz、300Hz、400Hz、または500Hzのうちの1つであり、前記第2の上限は800Hz、1000Hz、または1500Hzのうちの1つである、請求項2ないし6のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項9】
前記伸長側第1流路が第1の長さを有し、前記伸長側第2流路が第2の長さを有し、前記第1の長さは前記第2の長さよりも長い(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、50倍以下)、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項10】
前記伸長側第1流路が第1の断面積を有する第1の部分を含み、前記伸長側第2流路が第2の断面積を有する第2の部分を含み、ここで、
前記第1断面積は前記第2の断面積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、および/または100倍未満)、
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項11】
前記伸長側第1流路が1つまたは複数の流路の第1の組の最短流路であり、前記伸長側第2流路が1つまたは複数の流路の第2の組の最短流路であり、ここで、
1つまたは複数の流路の前記第1の組が、前記ポンプを前記第1の作動チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなり、
1つまたは複数の流路の前記第2の組が、前記第1の作動チャンバを前記圧縮チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなる、
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項12】
前記ポンプが圧縮流路によって前記アクチュエータの前記圧縮チャンバに流体的に結合される、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項13】
前記圧縮流路が1つまたは複数の流路の第3の組の最短流路であり、ここで、
1つまたは複数の流路の前記第3の組が前記ポンプを前記圧縮チャンバに流体的に結合する前記油圧装置の各流路からなる、
請求項12に記載の油圧装置。
【請求項14】
前記伸長側第2流路が圧縮流路の長さ未満である第2の長さを有する、請求項13に記載の油圧装置。
【請求項15】
前記伸長側第1流路が前記圧縮流路の前記長さ未満である第1の長さを有する、請求項14に記載の油圧装置。
【請求項16】
前記第1の長さと前記第2の長さの合計が前記圧縮流路の前記長さ未満である、請求項14または15に記載の油圧装置。
【請求項17】
前記伸長側アキュムレータが、
前記伸長側アキュムレータハウジングを貫通する第1の開口と、
前記伸長側アキュムレータハウジングを貫通する第2の開口と、
前記第1の開口を前記第2の開口に流体的に結合する内部流路であって、前記第1の作動チャンバ内に完全に含まれる内部流路とを備え、
前記圧縮流路が前記内部流路の少なくとも一部または全部を含む、
請求項12ないし16のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項18】
前記伸長側アキュムレータが、
第1のチューブを備え、前記第1のチューブは、
第1のチューブ壁を備え、前記第1のチューブ壁は、
第1の外面と、
第1のボアを画定する第1の内面とを備え、前記第1の外面の少なくとも第1の部分は前記伸長側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項19】
前記伸長側アキュムレータが、
第2のチューブを備え、前記第2のチューブは、
第2のチューブ壁を備え、前記第2のチューブ壁は、
第2の外面と、
第2のボアを画定する第2の内面とを備え、前記第2の外面の少なくとも第2の部分は前記伸長側アキュムレータの前記第1の作動チャンバ内の流体にさらされる、
請求項18に記載の油圧装置。
【請求項20】
前記第2のボアの第2の断面積が、前記第1のボアの第1の断面積よりも大きい(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、および/または100倍未満)、請求項19に記載の油圧装置。
【請求項21】
前記伸長側アキュムレータが2型アキュムレータである、請求項1ないし20のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項22】
前記ポンプを前記伸長チャンバに流体的に結合する伸長流路と、
第2の障壁(例えば可動障壁)によって、第2の閉じ込めチャンバ(例えば、圧縮性流体(例えばガス)を含有するチャンバ)と、第2の作動チャンバとに分割される第2の内部容積を画定する伸長側アキュムレータハウジングを備える伸長側アキュムレータと
をさらに備え、
前記第2の作動チャンバが、伸長側第1流路を介して前記ポンプに流体的に結合され、
前記第2の作動チャンバが、伸長側第2流路を介して前記圧縮チャンバに流体的に結合される、
請求項1ないし21のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項23】
前記伸長側アキュムレータが第2の剛性を有し、前記伸長側アキュムレータが第1の剛性を有し、前記第2の剛性は前記第1の剛性よりも高い、請求項22に記載の油圧装置。
【請求項24】
前記伸長側アキュムレータが、前記第2の作動チャンバを前記伸長流路に流体的に結合する円筒形首部をさらに備える、請求項22または23に記載の油圧装置。
【請求項25】
前記第2の障壁が、前記作動チャンバ内の流体にさらされる第1の表面を備え、前記首部の断面積が前記第1の表面の表面積より小さい、請求項24に記載の油圧装置。
【請求項26】
前記伸長側第1流路が第3の長さを有し、前記伸長側第2流路が第4の長さを有し、前記第3の長さは前記第4の長さ未満である、請求項24または25に記載の油圧装置。
【請求項27】
前記伸長側アキュムレータが2型アキュムレータである、請求項22に記載の油圧装置。
【請求項28】
前記伸長側第1流路が第3の長さを有し、前記伸長側第2流路が第4の長さを有し、前記第3の長さは前記第4の長さより長い、請求項27に記載の油圧装置。
【請求項29】
前記第1の内部容積が前記第2の内部容積よりも大きい、請求項22に記載の油圧装置。
【請求項30】
第3の伝達関数の第3のTFmagが、第3の周波数において大域的最大値および局所的最大値の少なくとも一方を有し、ここで、
前記第3の圧力/圧力伝達関数が第4の地点の圧力と第5の地点の圧力との間の第3の関係を表し、
前記第4の地点は前記ポンプおよび前記伸長側第1流路のうちの1つに位置し、
前記第5の地点は前記第2の内部容積内(例えば、前記第2の作動チャンバの内部または前記第2の閉じ込めチャンバの内部)に位置する、
請求項22に記載の油圧装置。
【外国語明細書】