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特開2022-111125特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品、及びこれを用いた特定有害物防除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111125
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品、及びこれを用いた特定有害物防除方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/14 20060101AFI20220722BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20220722BHJP
   A01N 25/06 20060101ALI20220722BHJP
   A01N 31/08 20060101ALI20220722BHJP
   A01N 33/12 20060101ALI20220722BHJP
   A01N 37/12 20060101ALI20220722BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20220722BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20220722BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220722BHJP
   A61L 2/22 20060101ALI20220722BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A61L9/14
A61L9/01 M
A01N25/06
A01N31/08
A01N33/12 101
A01N37/12
A01N43/653 C
A01N43/40 101K
A01P3/00
A61L2/22
A01M7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078569
(22)【出願日】2022-05-12
(62)【分割の表示】P 2021116904の分割
【原出願日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2020044039
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 裕之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼林 良輔
(72)【発明者】
【氏名】香谷 康幸
(72)【発明者】
【氏名】市村 由美子
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
(57)【要約】
【課題】有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することが可能な特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を提供する。
【解決手段】空間において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物を防除するための特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品であって、特定有害物防除成分及び有機溶剤を含有するエアゾール原液と、噴射剤とを、定量噴射バルブを備えたエアゾール容器に充填してなり、前記エアゾール原液の20℃における比重は、0.76~0.95であり、前記エアゾール容器内において、内圧が25℃において0.60MPa以下に設定されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定有害物を防除するための特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品であって、
特定有害物防除成分及び有機溶剤を含有するエアゾール原液と、噴射剤とを、定量噴射バルブを備えたエアゾール容器に充填してなり、
前記特定有害物防除成分は、カチオン界面活性剤系細菌防除成分及び/又はアゾール系細菌防除成分を含み、
前記特定有害物は、細菌である特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品。
【請求項2】
特定有害物を防除するための特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品であって、
特定有害物防除成分及び有機溶剤を含有するエアゾール原液と、噴射剤とを、定量噴射バルブを備えたエアゾール容器に充填してなり、
前記特定有害物防除成分は、カチオン界面活性剤系カビ防除成分及び/又はアゾール系カビ防除成分を含み、
前記特定有害物は、カビである特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品。
【請求項3】
特定有害物を防除するための特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品であって、
特定有害物防除成分及び有機溶剤を含有するエアゾール原液と、噴射剤とを、定量噴射バルブを備えたエアゾール容器に充填してなり、
前記特定有害物防除成分は、カチオン界面活性剤系ウイルス防除成分、アゾール系ウイルス防除成分、及びフェノール系ウイルス防除成分からなる群から選択される少なくとも一種を含み、
前記特定有害物は、ウイルスである特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品。
【請求項4】
前記特定有害物防除成分は、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、セチルピリジニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、及び1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタン塩からなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1~3の何れか一項に記載の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品。
【請求項5】
前記特定有害物防除成分は、テブコナゾール及び/又はエニルコナゾールを含む請求項1~3の何れか一項に記載の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品。
【請求項6】
前記特定有害物防除成分は、イソプロピルメチルフェノール、カルバクロール、チモール、トリクロサン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、о-クレゾール、m-クレゾール、及びp-クレゾールからなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項3に記載の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品。
【請求項7】
前記定量噴射バルブの一回当たりの噴射容量は、0.08~3.0mLに設定されている請求項1~6の何れか一項に記載の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品。
【請求項8】
前記特定有害物防除成分の放出量が、0.01~250mg/mに設定されている請求項1~7の何れか一項に記載の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を用いて噴射処理する特定有害物防除方法であって、
前記特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を屋内で空間に向けて噴射する特定有害物防除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間(特に、狭小空間)において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物(特にカビ、細菌、ウイルス)を防除するための特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品、及びこれを用いた特定有害物防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1回の噴射によって一定量の薬剤を噴霧することができる定量噴射エアゾール製品は、その利便性から殺虫エアゾール製品(例えば、特許文献1を参照)や消臭エアゾール製品(例えば、特許文献2を参照)として広く使用されている。
【0003】
特許文献1のエアゾール製品は、予め設定された定量を勢いよく噴射できる機能を有するエアゾール製品の内容物の噴霧状態下で、害虫防除効率を向上できる定量噴射エアゾール製品である。
【0004】
特許文献2のエアゾール製品は、特定量の消臭成分を含むエアゾール組成物を、特定の噴射粒子径となるように定量噴射することで、空間だけでなく、床面の悪臭物質に優れた消臭効果を示す定量噴射エアゾール製品である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-325489号公報
【特許文献2】特開2019-208915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の定量噴射エアゾール製品は、噴射の勢いを高めることで害虫防除効率を向上させたものであるが、このような噴射の勢いの強い定量噴射エアゾール製品は、風呂やトイレ等の狭小空間での使用に適した製剤設計であるとは必ずしも言えなかった。
【0007】
特許文献2の定量噴射エアゾール製品は、空間だけでなく床面に対しても十分な消臭効果を発揮するとされているが、カビや菌等の有害微生物は、掃除が行き届きにくい天井や壁での発生や繁殖等が問題となることから、浴室やトイレ等の狭小空間での有害微生物の防除に必ずしも適しているものではなかった。
【0008】
このように、殺虫や消臭等を目的とした定量噴射エアゾール製品は種々開発されているが、カビ、菌、ウイルス等の有害微生物や、ハウスダスト、PM2.5等の有害微細物質を防除対象とする定量噴射エアゾール製品の開発は困難とされ、未だ実用化されていない。
【0009】
特に浴室におけるカビ等の有害微生物の防除には、これまで(1)燻煙剤や(2)全量噴射型エアゾールが一般的であった。これらの製剤は一回の処理で使用後一定期間、カビ等の有害微生物の発生を防ぐとされているが、その都度、使用済みの燻煙剤や全量噴射型エアゾールを廃棄する必要があり、手間を要した。また、使用箇所を完全に密閉できていなければ、使用中に煙や薬剤の一部が他の部屋に漏れだす虞があった。そのため、(1)燻煙剤や(2)全量噴射型エアゾールよりも簡便な操作により、カビ等の有害微生物の防除が可能な定量噴射エアゾール製品の開発が望まれている。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、天井や壁に十分量の防除成分が均一に付着することで、空間(特に、狭小空間)において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することが可能な特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品、及びこれを用いた特定有害物防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明に係る特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品の特徴構成は、
空間において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物を防除するための特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品であって、
特定有害物防除成分及び有機溶剤を含有するエアゾール原液と、噴射剤とを、定量噴射バルブを備えたエアゾール容器に充填してなり、
前記エアゾール原液の20℃における比重は、0.76~0.95であり、
前記エアゾール容器内において、内圧が25℃において0.60MPa以下に設定されていることにある。
【0012】
本構成の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品によれば、特定有害物防除成分及び有機溶剤を含有するエアゾール原液と、噴射剤とを、定量噴射バルブを備えたエアゾール容器に充填してなり、エアゾール原液の20℃における比重、及び25℃におけるエアゾール容器の内圧が上記の範囲にあることにより、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を空間に向けて噴射したときに、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着する。カビ、細菌等の有害微生物は、掃除が行き届きにくい天井や壁面で多く発生、繁殖等する傾向にあり、ハウスダスト等の有害微細物質についても、天井や壁面に付着し易いため、天井や壁面に均一に付着した十分量の防除成分により、空間において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0013】
本発明に係る特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品において、前記エアゾール容器内において、前記エアゾール原液(a)と前記噴射剤(b)との容量比率(a/b)が体積比で1/99~70/30に設定されていることが好ましい。
【0014】
本構成の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品によれば、容量比率(a/b)が上記の範囲にあることにより、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を空間に向けて噴射したときに、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0015】
本発明に係る特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品において、
前記有機溶剤は、炭素数2~3の低級アルコール、炭素数16~20の高級脂肪酸エステル、及び炭化水素系溶剤からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0016】
本構成の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品によれば、有機溶剤として、炭素数2~3の低級アルコール、炭素数16~20の高級脂肪酸エステル、及び炭化水素系溶剤からなる群から選択される少なくとも一種を使用することにより、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0017】
本発明に係る特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品において、
前記噴射剤は、液化石油ガス及び/又はハイドロフルオロオレフィンであることが好ましい。
【0018】
本構成の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品によれば、噴射剤として、液化石油ガス及び/又はハイドロフルオロオレフィンを使用することにより、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0019】
本発明に係る特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品において、
前記空間は、容積が2.0~18.8mである狭小空間であることが好ましい。
【0020】
本構成の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品によれば、前記空間は、容積が2.0~18.8mである狭小空間であることにより、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を容積が2.0~18.8mである狭小空間に向けて噴射したときに、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着する。カビ、細菌等の有害微生物は、掃除が行き届きにくい天井や壁面で多く発生、繁殖等する傾向にあり、ハウスダスト等の有害微細物質についても、天井や壁面に付着し易いため、天井や壁面に均一に付着した十分量の防除成分により、狭小空間において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0021】
本発明に係る特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品において、
前記特定有害物防除成分の放出量が、0.01~250mg/mに設定されていることが好ましい。
【0022】
本構成の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品によれば、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品に含まれる特定有害物防除成分の放出量が、上記の範囲に設定されることで、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を空間に向けて噴射したときに、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0023】
上記課題を解決するための本発明に係る特定有害物防除方法の特徴構成は、
上述の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を用いて噴射処理する特定有害物防除方法であって、
前記特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を屋内で空間に向けて噴射することにある。
【0024】
本構成の特定有害物防除方法によれば、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を屋内で空間に向けて噴射するだけの簡便な操作により、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着する。カビ、細菌等の有害微生物は、掃除が行き届きにくい天井や壁面で多く発生、繁殖等する傾向にあり、ハウスダスト等の有害微細物質についても、天井や壁面に付着し易いため、天井や壁面に均一に付着した十分量の防除成分により、空間において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0025】
本発明に係る特定有害物防除方法において、
前記空間は、容積が2.0~18.8mである狭小空間であることが好ましい。
【0026】
本構成の特定有害物防除方法によれば、特に、空間の容積が2.0~18.8mである狭小空間において、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を噴射したときに、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0027】
本発明に係る特定有害物防除方法において、
前記特定有害物防除成分の放出量が、0.01~250mg/mとなるように、前記特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を噴射することが好ましい。
【0028】
本構成の特定有害物防除方法によれば、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品に含まれる特定有害物防除成分の放出量が、上記の範囲に設定されることで、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を空間に向けて噴射したときに、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品、及び特定有害物防除方法について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する構成に限定することを意図するものではない。
【0030】
〔特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品〕
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、空間(特に、狭小空間)において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物を防除するために用いられる定量噴射タイプのエアゾールであり、特定有害物防除成分及び溶剤を含有するエアゾール原液と、噴射剤とを、定量噴射バルブを備えたエアゾール容器に充填したものとして構成される。ここで、「有害微生物」とは、細菌、カビ、ウイルス、ダニ、花粉等の生物又は生物由来のものを意味し、「有害微細物質」とは、ハウスダスト、PM2.5、黄砂等の非生物又は非生物由来のものを意味する。そして、本明細書では「有害微生物」と「有害微細物質」とをあわせて「特定有害物」と称する。また、本発明における「空間」とは、2.0m未満の隙間空間、2.0~18.8m程度の狭小空間、4.5~8畳の部屋に相当する容積が18.8~33.3m程度(面積7.5~13.3m、高さ2.2~3.0m)である室内空間、8~16畳の部屋に相当する容積が33.3~66.6m程度(面積13.3~26.6m、高さ2.2~3.0m)である広めの室内空間等が挙げられ、特に限定されない。本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品が、特に優れた効果を奏する「狭小空間」は、容積が2.0~18.8m程度の空間を想定しており、例えば、浴室、脱衣所、洗面所、トイレ、押入れ、クローゼット、自動車、テント、倉庫、物置、ガレージ、玄関等の密閉又は半密閉空間が挙げられる。より具体的には、例えば、容積が2.0~3.0mである狭小空間として、トイレ等が挙げられ、容積が3.0~18.8mである狭小空間として、浴室等が挙げられる。本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、定量噴射タイプのエアゾールであるため薬剤の噴射量が少なく、さらに、エアゾール原液の20℃における比重、25℃におけるエアゾール容器の内圧を適切に設定することにより、空間(特に、狭小空間)における有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する優れた防除効果を実現している。なお、本明細書では、有害微生物に関しては、有害微生物が生育あるいは存在しにくい環境にして繁殖を防ぐ効果に加えて、有害微生物を殺生することにより、繁殖を防ぐ効果と合わせて防除効果と呼ぶ。例えば、カビを防除対象とする場合、防カビ効果や殺カビ効果は防除効果に含まれる。また、有害微細物質に関しては、有害微細物質が壁等に付着しにくい環境にして汚染を防ぐ効果に加えて、既に壁等に付着している有害微細物質を除去することにより、汚染を防ぐ効果と合わせて防除効果と呼ぶ。例えば、ハウスダストを防除対象とする場合、防塵効果や除塵効果は防除効果に含まれる。
【0031】
<エアゾール原液>
エアゾール原液の主成分の一つである特定有害物防除成分は、細菌防除成分、カビ防除成分、ウイルス防除成分、アレルゲン防除成分等が挙げられる。上記の特定有害物防除成分は、単独又は複数種類を混合して使用することができる。なお、特定有害物防除成分において、不斉炭素に基づく光学異性体や二重結合に基づく幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含される。
【0032】
細菌防除成分としては、特に限定されないが、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、トリクロサン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、о-クレゾール、m-クレゾール、及びp-クレゾール等のフェノール系細菌防除成分、ベンザルコニウムクロライド、ベンザルコニウムメトサルフェート、ベンザルコニウム有機酸塩等のベンザルコニウム塩、ベンゼトニウムクロライド、ベンゼトニウムメトサルフェート、ベンゼトニウム有機酸塩等のベンゼトニウム塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムメトサルフェート、セチルピリジニウム有機酸塩等のセチルピリジニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジデシルジメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジステアリルジメチルアンモニウム塩、及び1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジメトサルフェート等の1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタン塩等のカチオン界面活性剤系細菌防除成分、ビグワナイド系細菌防除成分、テブコナゾール、エニルコナゾール等のアゾール系細菌防除成分、グレープフルーツ種子抽出物、カキ種子抽出物、ブドウ種子抽出物等の果物種子抽出物系細菌防除成分、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン等のグリセリンモノ脂肪酸エステル系細菌防除成分、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩等のクロルヘキシジン塩やクロルヘキシジン等のクロルヘキシジン系細菌防除成分、オクタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジイソプロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等のケイ素系細菌防除成分、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリシン、アルキルジエチルアミノグリシン、ポリリジン等のカルボン酸系細菌防除成分又はそれらの塩、デヒドロ酢酸、クロラミン、3-ヨード-2-プロピル-N-ブチルカルバメート(IPBC)、フェノキシエタノール、銀ゼオライト等銀系細菌防除成分、ジンクピリチオン、チアミンラウリル硫酸塩、白子たんぱく質、ヒドロキシアルキルキトサン又はその塩等が挙げられる。これらの細菌防除成分のうち、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、ベンザルコニウムクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、モノカプリン、モノカプリリン、テブコナゾールが好ましい。
【0033】
カビ防除成分としては、特に限定されないが、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、トリクロサン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、о-クレゾール、m-クレゾール、及びp-クレゾール等のフェノール系カビ防除成分、ベンザルコニウムクロライド、ベンザルコニウムメトサルフェート、ベンザルコニウム有機酸塩等のベンザルコニウム塩、ベンゼトニウムクロライド、ベンゼトニウムメトサルフェート、ベンゼトニウム有機酸塩等のベンゼトニウム塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムメトサルフェート、セチルピリジニウム有機酸塩等のセチルピリジニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジデシルジメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジステアリルジメチルアンモニウム塩、及び1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジメトサルフェート等の1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタン塩等のカチオン界面活性剤系カビ防除成分、ビグワナイド系カビ防除成分、テブコナゾール、エニルコナゾール等のアゾール系カビ防除成分、グレープフルーツ種子抽出物、カキ種子抽出物、ブドウ種子抽出物等の果物種子抽出物系カビ防除成分、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン等のグリセリンモノ脂肪酸エステル系カビ防除成分、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩等のクロルヘキシジン塩やクロルヘキシジン等のクロルヘキシジン系カビ防除成分、オクタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジイソプロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等のケイ素系カビ防除成分、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリシン、アルキルジエチルアミノグリシン、ポリリジン等のカルボン酸系カビ防除成分又はそれらの塩、デヒドロ酢酸、クロラミン、3-ヨード-2-プロピル-N-ブチルカルバメート(IPBC)、フェノキシエタノール、銀ゼオライト等銀系カビ防除成分、ジンクピリチオン、チアミンラウリル硫酸塩、白子たんぱく質、ヒドロキシアルキルキトサン又はその塩、防カビ香料等が挙げられる。これらのカビ防除成分のうち、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、ベンザルコニウムクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、モノカプリン、モノカプリリン、テブコナゾールが好ましい。
【0034】
ウイルス防除成分としては、特に限定されないが、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、トリクロサン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、о-クレゾール、m-クレゾール、及びp-クレゾール等のフェノール系ウイルス防除成分、ベンザルコニウムクロライド、ベンザルコニウムメトサルフェート、ベンザルコニウム有機酸塩等のベンザルコニウム塩、ベンゼトニウムクロライド、ベンゼトニウムメトサルフェート、ベンゼトニウム有機酸塩等のベンゼトニウム塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムメトサルフェート、セチルピリジニウム有機酸塩等のセチルピリジニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジデシルジメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジステアリルジメチルアンモニウム塩、及び1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジメトサルフェート等の1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタン塩等のカチオン界面活性剤系ウイルス防除成分、ビグワナイド系ウイルス防除成分、テブコナゾール、エニルコナゾール等のアゾール系細菌防除成分、グレープフルーツ種子抽出物、カキ種子抽出物、ブドウ種子抽出物等の果物種子抽出物系ウイルス防除成分、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン等のグリセリンモノ脂肪酸エステル系ウイルス防除成分、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩等のクロルヘキシジン塩やクロルヘキシジン等のクロルヘキシジン系ウイルス防除成分、オクタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジイソプロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等のケイ素系ウイルス防除成分、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリシン、アルキルジエチルアミノグリシン、ポリリジン等のカルボン酸系ウイルス防除成分又はそれらの塩、デヒドロ酢酸、クロラミン、3-ヨード-2-プロピル-N-ブチルカルバメート(IPBC)、フェノキシエタノール、銀ゼオライト等銀系ウイルス防除成分、ジンクピリチオン、チアミンラウリル硫酸塩、白子たんぱく質、ヒドロキシアルキルキトサン又はその塩等が挙げられる。これらのウイルス防除成分のうち、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、ベンザルコニウムクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、モノカプリン、モノカプリリン、テブコナゾールが好ましい。
【0035】
アレルゲン防除成分としては、特に限定されないが、ダニ防除成分、花粉防除成分、ハウスダスト防除成分等が挙げられ、ダニ防除成分としては、アミドフルメト、安息香酸ベンジル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、p-メンタン-3,8-ジオール(PMD)、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート(IPBC)、フェノトリン、イカリジン、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル(IR3535)、及びディート等が挙げられる。花粉防除成分やハウスダスト防除成分としては、ポリ2-(メタ)アクリロイロキシアルキルホスホリルコリン、2-(メタ)アクリロイロキシアルキルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸共重合体、2-(メタ)アクリロイロキシアルキルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、2-(メタ)アクリロイロキシアルキルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、2-(メタ)アクリロイロキシアルキルホスホリルコリン-1-(メタ)アクリロイロキシ2-ヒドロキシアルキル3-トリアルキルアンモニウム共重合体、N-(メタ)アクリロイロキシアルキルN,N-ジアルキルアンモニウム-α-N-(アルキル)カルボキシベタイン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、N-ホスホリルコリン-N´-アルキレンジオキシ-ビス-アルキルアクリルアミド-N-イソアルキルアクリルアミド共重合体、ポリN,N-ジ(アルキル)アンモニウム-α-N-アルキルスルホベタイン(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキルキトサン又はその塩、酸化チタン等が挙げられる。
【0036】
エアゾール原液中の特定有害物防除成分の含有量は、0.01~70w/v%であることが好ましく、0.05~50w/v%であることがより好ましく、0.1~40w/v%であることがさらにより好ましい。エアゾール原液中の特定有害物防除成分の含有量が0.01~70w/v%の範囲にあれば、空間(特に、狭小空間)において、エアゾールを噴射したとき、天井や壁面に十分量の防除成分が均一に付着するため、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する適切な防除効果を得ることが可能である。
【0037】
エアゾール原液の主成分の一つである有機溶剤としては、例えば、エタノール、及びイソプロパノール(IPA)等の炭素数が2~3の低級アルコール、ノルマルパラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶剤、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)等の炭素数が16~20の高級脂肪酸エステル、炭素数3~10のグリコールエーテル系溶剤、並びにケトン系溶剤等が挙げられる。これらの中でも、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一の付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する優れた防除効果を得ることが可能であるため、炭素数が2~3の低級アルコール、炭化水素系溶剤、16~20の高級脂肪酸エステルが好ましく、有機溶剤自体も細菌防除効果、ウイルス防除効果等を有する炭素数が2~3の低級アルコールを用いることがさらに好ましい。上記の有機溶剤は、単独又は複数種類を混合して使用することができるが、製造工程の簡略化の面から有機溶剤は一種類の成分のみを用いることが好ましい。また、有機溶剤の他に、水等の水性溶媒を混合することも可能である。
【0038】
エアゾール原液の20℃における比重は、0.76~0.95に設定され、0.76~0.90が好ましく、0.76~0.88がより好ましい。エアゾール原液の20℃における比重は、噴射粒子の沈降に関わる重要なファクターであり、エアゾール原液の20℃における比重が0.76~0.95であれば、空間(特に、狭小空間)において、噴射後の十分量の防除成分を天井や壁面に均一に付着させることができる。カビ、細菌等の有害微生物は、掃除が行き届きにくい天井や壁面等で多く発生、繁殖等する傾向にあり、ハウスダスト等の有害微細物質についても、天井や壁面に付着し易いため、天井や壁面に均一に付着した十分量の防除成分により、空間(特に、狭小空間)において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果を発揮することができる。
【0039】
エアゾール原液には、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記成分に加え、殺虫成分、忌避剤、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、並びに賦形剤等を適宜配合することもできる。殺虫成分としては、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、テラレスリン、フラメトリン、エンペントリン、モンフルオロトリン、ジメフルトリン、メパフルトリン、ヘプタフルトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、エトフェンプロックス、イミプロトリン、アレスリン、フタルスリン、プラレトリン、レスメトリン、及び天然ピレトリン等のピレスロイド系化合物、シラフルオフェン等のケイ素系化合物、ジクロルボス、及びフェニトロチオン等の有機リン系化合物、プロポクスル等のカーバメート系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド、及びクロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物、フィプロニル、インドキサカルブ、ブロフラニリド、並びにメトキサジアゾン等が挙げられる。忌避剤としては、ディート、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル(IR3535)、p-メンタン-3,8-ジオール、及びイカリジン等が挙げられる。芳香剤としては、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、ハッカ油、メントール、酢酸メンチル、リモネン、α-ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、テルピネオール、及びベンジルアセテート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分等が挙げられる。なお、各成分の不斉炭素に基づく光学異性体や二重結合に基づく幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物であってもよい。
【0040】
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、水性化処方を採用することもできる。この場合、エアゾール原液に含まれる水の量は特に限定されないが、5~80v/v%が好適であり、噴射粒子の噴射パターンに影響を与えない範囲で、可溶化助剤として若干量の非イオン系界面活性剤を添加してもよい。非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、及びポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類等のエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、及びポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、並びに脂肪酸のポリアルカロールアミド等が挙げられる。
【0041】
<噴射剤>
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品で用いる噴射剤としては、特に限定されないが、プロパンやブタン等の液化石油ガス(LPG)、ノルマルペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル(DME)、及びHFO1234ze等のハイドロフルオロオレフィン等の液化ガス、並びに窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、及び圧縮空気等の圧縮ガスが挙げられる。上記の噴射剤は、単独で又は混合状態で使用することができるが、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に十分量の防除成分が均一の付着し、空間(特に、狭小空間)において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対してより優れた防除効果を奏することができるため、LPG、ハイドロフルオロオレフィンを含有するものが好ましい。なお、噴射剤は、ゲージ圧(20℃)を0.10~0.70MPaに調整して使用することが好ましい。
【0042】
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、エアゾール容器内においてエアゾール原液(a)と噴射剤(b)との容量比率(a/b)が、体積比で1/99~70/30に設定されていることが好ましく、天井や壁面への薬剤の付着性の観点から、10/90~60/40がより好ましく、20/80~55/45がさらに好ましい。容量比率(a/b)が上記の範囲にあれば、空間(特に、狭小空間)において、エアゾールを噴射したとき、噴射粒子が過剰に気中に残存することなく天井や壁面に付着するため、十分な量の特定有害物防除成分を天井や壁面に均一に付着させることができる。これにより、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する適切な防除効果を得ることが可能でありながら、人への刺激感を低減することができる。
【0043】
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、エアゾール容器の内圧が、25℃において0.60MPa以下に設定され、0.10~0.60MPaが好ましく、0.20~0.60MPaがより好ましく、0.30~0.50MPaがさらに好ましい。内圧が25℃において0.60MPa以下にあれば、空間(特に、狭小空間)において、エアゾールを噴射したとき、十分な量の特定有害物防除成分を天井や壁面に付着させることができる。内圧が0.60MPaを超えると、噴射の勢いが強すぎるため、壁面に到達した際、噴射粒子の一部が跳ね返ることにより、天井や壁面への付着の拡散均一性が不十分になる虞がある。このようなエアゾール製品の内圧は、噴射剤の種類、及び噴射剤の蒸気圧等により適宜調整され得る。エアゾール容器は、0.60MPaの内圧に耐え得る耐圧容器であればよく、その材質は、例えば、アルミニウムやブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂、耐圧ガラス等が挙げられる。また、エアゾール容器は、材質が合成樹脂である場合、半透明や透明であってもよい。なお、本実施形態では、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品のエアゾール容器の内圧を以下の手順により測定した。
(1)特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を25±0.5℃の恒温水槽に30分間浸漬する。
(2)次いで、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を直立の状態とし、エアゾール容器のステムを圧力計の挿入口に気密に差し込み、測定圧を小数点第2位まで読みとる。
(3)上記の測定は1回行い、測定値を丸めることなく、読みとった値を内圧値とする。
【0044】
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、噴射口からの距離が15cmの位置において、噴射力が2.0~40.0gfであることが好ましく、2.0~35.0gfであることがより好ましく、3.0~30.0gfであることがさらに好ましく、5.0~20.0gfであることがとりわけ好ましい。噴射力が上記の範囲にあれば、空間(特に、狭小空間)において、エアゾールを噴射したとき、十分量の特定有害物防除成分が天井や壁面に均一に付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する実用上十分な防除効果が得られる。噴射力が2.0gf未満であると、噴射力が不足して特定有害物防除成分の天井や壁面への付着量が不十分となる虞があり、一方、噴射力が40.0gfを超えると、噴射の勢いが強すぎるため、壁面に到達した際、噴射粒子の一部が跳ね返ることにより、天井や壁面での拡散均一性が不十分になる虞がある。このような噴射力は、エアゾール原液の組成、噴射剤の種類、エアゾール製品の内圧、並びに噴射口の寸法及び形状等により適宜調整され得る。なお、本実施形態では、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品の噴射力を、デジタルフォースゲージ(FGC-0.5、日本電産シンポ株式会社製)により測定した。
【0045】
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、空間で一定量噴射処理するための定量噴射バルブを備える。定量噴射バルブの一回当たりの噴射容量は、0.08~3.0mLに設定され、0.08~2.0mLが好ましく、0.1~1.0mLがより好ましく、0.2~0.9mLがさらに好ましい。一回当たりの噴射容量が上記の範囲であれば、十分な量の特定有害物防除成分を天井や壁面に均一に付着させることができ、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する優れた防除効果が得られる。
【0046】
噴射部材(噴射ボタン)は、定量噴射バルブを介してエアゾール容器に取り付けられる部材である。噴射部材には、定量噴射バルブのステム孔を介してエアゾール容器から取り込まれるエアゾール原液と噴射剤とが噴射される噴射口が形成されている。この噴射部材の噴射口径は0.2~1.0mmであることが好ましい。噴射口径が上記の範囲であれば、噴射力を適切に範囲に調節することができる。噴射口の形状(断面形状)は特に限定されないが、円形、四角形等の多角形、楕円形等が挙げられ、円形であることが好ましい。ここで、噴射口径は、噴射口の形状が楕円形である場合は楕円形の長径を意味し、噴射口の形状が多角形状である場合は多角形の外接円の直径を意味する。
【0047】
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、気中への特定有害物防除成分の放出量が、0.01~250mg/mに設定されていることが好ましく、0.025~125mg/mに設定されていることがより好ましい。気中への特定有害物防除成分の放出量が、上記の範囲であれば、空間において、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する防除効果が適切に発揮され、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物を確実に防除することが可能である。本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、1回の噴射により、気中への特定有害物防除成分の放出量が、0.01~250mg/mとなるように特定有害物防除成分の噴射量を設定してもよく、また、2回以上の噴射により、気中への特定有害物防除成分の放出量が、0.01~250mg/mとなるように1回あたりの特定有害物防除成分の噴射量を設定してもよい。十分な量の特定有害物防除成分を天井や壁面に均一に付着させることができ、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する優れた防除効果が得られるという観点から、2回以上の噴射により、気中への特定有害物防除成分の放出量が、0.01~250mg/mとなるように設定されていることが好ましい。このような特定有害物防除成分の放出量は、エアゾール原液の組成、エアゾール原液(a)と噴射剤(b)との容量比率(a/b)、及び定量噴射バルブの一回当たりの噴射容量等を夫々上述の範囲内で適宜調整することで実施し得る。
【0048】
本発明に係る特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、通常、1回の施用で空間をおよそ7日~14日にわたり有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物を防除することが可能な雰囲気とすることができる。なお、エアゾール原液の組成、噴射剤の種類、エアゾール原液の20℃における比重、エアゾール容器の内圧等を調整することにより、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物を防除可能な期間を7日未満とすることも、14日を超える期間とすることも可能である。
【0049】
<特定有害物>
本発明において防除対象となる特定有害物は、有害微生物としては、細菌、カビ、ウイルス、ダニ、花粉等の生物又は生物由来のものが挙げられ、有害微細物質としては、ハウスダスト、PM2.5、黄砂等の非生物又は非生物由来のものが挙げられる。有害微生物及び有害微細物質には、アレルゲンが含まれる。本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、これらの特定有害物のうち、掃除が行き届きにくい天井や壁面で多く発生、繁殖等する傾向にある細菌、カビをより効果的に防除することができる。
【0050】
〔特定有害物防除方法〕
本発明の特定有害物防除方法は、上述の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を屋内で空間(好ましくは、容積が2.0~18.8mである狭小空間)に向けて噴射することにより行われるものである。本発明の特定有害物防除方法を実施すると、空間(特に、狭小空間)において、天井や壁に十分量の防除成分が均一に付着し、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対して優れた防除効果が発揮される。ここで、特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品の噴射量は、気中への特定有害物防除成分の放出量が、0.01~250mg/mとなるように調整されることが好ましく、0.025~125mg/mとなるように調整されることがより好ましい。特定有害物防除成分の放出量が上記の範囲にあれば、有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対してより優れた防除効果を発揮することができる。
【実施例0051】
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品の効果を検証するため、本発明の特徴構成を備えた特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品(実施例1~16)を準備し、(1)特定有害物防除成分の天井・壁面付着性と拡散均一性を評価するための試験を行った。
また、比較のため、本発明の特徴構成を備えていない定量噴射エアゾール製品(比較例1~3)を準備し、同様の試験を行った。さらに、実施例1、4、8、14、15の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を用いて、(2)浴室での使用を評価するための試験を行った。
【0052】
〔実施例1〕
特定有害物防除成分であるイソプロピルメチルフェノール(IPMP)(15w/v%)を、有機溶剤であるエタノールに溶解してエアゾール原液を調製した。このエアゾール原液は、20℃における比重が0.82であった。エアゾール原液(a)12mLと、噴射剤として液化石油ガス(b)18mLとを、体積比で容量比率(a/b)が40/60となるように、噴射容量が0.4mLである定量噴射バルブ付きエアゾール容器(耐圧容器)に加圧充填して、実施例1の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を得た。この特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品は、25℃における内圧が0.45MPaであり、1回の噴射あたりの特定有害物防除成分の噴射量が24mgであった。なお、噴射距離15cmにおける噴射力は、6.5gfであった。
【0053】
〔比較例1〕
防除成分であるイソプロピルメチルフェノール(IPMP)(15w/v%)を、有機溶剤であるエタノールに溶解してエアゾール原液30mLを調製した。このエアゾール原液は、20℃における比重が0.82であった。このエアゾール原液を、1回の噴射容量が0.2mLであるポンプ式スプレーのヘッドが付いた容器に入れ、比較例1のポンプ式スプレー製品を得た。このポンプ式スプレー製品は、1回の噴射あたりの防除成分の噴射量が30mgであった。なお、噴射距離15cmにおける噴射力は、2.0gfであった。
【0054】
〔実施例2~16、比較例2~3〕
実施例1に準じた手順で、表1に示す各種エアゾール製品を調製した。なお、実施例8の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品においては、1回の噴射容量が0.2mLである定量噴射バルブ付きのエアゾール容器を用い、実施例1、3、4、6、9、11~13及び16の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品、比較例2~3の定量噴射エアゾール製品においては、1回の噴射容量が0.4mLである定量噴射バルブ付きのエアゾール容器を用い、実施例2、5、7、10、14及び15の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品においては、1回の噴射容量が1.0mLである定量噴射バルブ付きのエアゾール容器を用いた。
【0055】
【表1】
【0056】
上記表1において、IPMPはイソプロピルメチルフェノール、化合物Aは1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、IPBCは3-ヨード-2-プロピル-N-ブチルカルバメート、IPAはイソプロパノール、IPMはミリスチン酸イソプロピル、LPGは液化石油ガス、HFO1234zeはトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンをそれぞれ表す。なお、各成分の比重(20℃)は、IPMP:0.97、チモール:0.97、ベンザルコニウムクロライド10%水溶液:0.98、テブコナゾール:1.25、モノカプリリン:0.99、モノカプリン:0.99、IPBC:1.61、エタノール:0.79、IPA:0.79、ネオチオゾール:0.76、IPM:0.86、ラウリン酸ヘキシル:0.86である。
【0057】
実施例1~16、及び比較例1~3について、(1)特定有害物防除成分の天井・壁面付着性と拡散均一性を評価するための試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0058】
(1)特定有害物防除成分の天井・壁面付着性と拡散均一性
閉め切った容積4.2mの小部屋(幅1.8m、奥行き1.3m、高さ1.8m)の床面6カ所、及び天井2カ所、壁面4カ所に20cm×20cmのガラス板を設置した。小部屋の4隅のうちの一箇所に立ち、供試エアゾール製品を床から1mの高さから空間中央に向かってやや斜め上向きに2回噴射した。噴射から20分経過後、床面に設置したガラス板、天井に設置したガラス板、及び壁面に設置したガラス板をそれぞれ取り出し、付着した特定有害物防除成分をアセトンで洗い出してガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた分析値を基に、噴射処理20分後までに床面に付着した防除成分量に対する天井及び壁面に付着した防除成分量の比率を求め、天井・壁面付着性を評価した。評価結果については、天井・壁面付着性が良好なものから順に、A、B、Cの3段階で示した。また、天井と壁にそれぞれ付着した防除成分量から、拡散均一性を評価した。評価結果については、拡散均一性が良好なものから順に、A、B、Cの3段階で示した。
【0059】
【表2】
【0060】
試験の結果、実施例1~16の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品では、特定有害物防除成分の天井・壁面付着性が良好であった。中でも、20℃における比重が0.76~0.88である実施例1、3~10、12~15は特定有害物防除成分の天井・壁面付着性に加えて、拡散均一性も良好であり、より優れたものであった。このことから、本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品によれば、空間での有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する防除効果が確認された。
【0061】
これに対して、比較例1のポンプ式スプレー製品、及びエアゾール原液の20℃における比重が0.95を超える比較例3の定量噴射エアゾール製品は、防除成分の天井・壁面付着性が低いものとなった。このことから、比較例1のポンプ式スプレー製品、及び比較例3の定量噴射エアゾール製品では、空間での有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物に対する防除効果が十分ではないと考えられる。
【0062】
25℃において内圧が0.60MPaを超える比較例2の定量噴射エアゾール製品は、天井及び壁面への拡散均一性の面で不十分であった。
【0063】
(2)浴室での使用
〔試験例1〕
容積4m(面積2m、高さ2m)の浴室内で、実施例1の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を入口から4回噴射処理した。14日後に確認したところ、浴室内にピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)が発生していなかった。すなわち、14日以上にわたりピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)の防除をすることができた。また、浴室で噴射操作をしている間もむせ等の刺激を感じることがなかった。
【0064】
〔試験例2〕
容積4m(面積2m、高さ2m)の浴室内で、実施例4の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を入口から2回噴射処理した。14日後に確認したところ、浴室内にピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)が発生していなかった。すなわち、14日以上にわたりピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)の防除をすることができた。また、浴室で噴射操作をしている間もむせ等の刺激を感じることがなかった。
【0065】
〔試験例3〕
容積4m(面積2m、高さ2m)の浴室内で、実施例8の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を入口から2回噴射処理した。7日後に確認したところ、浴室内にピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)が発生していなかった。すなわち、7日以上にわたりピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)の防除をすることができた。また、浴室で噴射操作をしている間もむせ等の刺激を感じることがなかった。
【0066】
〔試験例4〕
容積4m(面積2m、高さ2m)の浴室内で、実施例14の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を入口から4回噴射処理した。7日後に確認したところ、浴室内にピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)が発生していなかった。すなわち、7日以上にわたりピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)の防除をすることができた。また、浴室で噴射操作をしている間もむせ等の刺激を感じることがなかった。
【0067】
〔試験例5〕
容積4m(面積2m、高さ2m)の浴室内で、実施例15の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品を入口から4回噴射処理した。14日後に確認したところ、浴室内にピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)が発生していなかった。すなわち、14日以上にわたりピンク色のヌメリ(細菌)や黒カビ(カビ)の防除をすることができた。また、浴室で噴射操作をしている間もむせ等の刺激を感じることがなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の特定有害物防除用定量噴射エアゾール製品、及び特定有害物防除方法は、空間、特に、浴室、トイレ等の狭小空間での有害微生物及び/又は有害微細物質を含む特定有害物の防除を目的として利用することが可能である。