(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011115
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】リアルタイム配信システム及びリアルタイム配信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/21 20110101AFI20220107BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H04N21/21
G06F13/00 540P
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112029
(22)【出願日】2020-06-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)展示日 令和1年11月13日 展示会名、開催場所Inter BEE 2019/(第55回)2019年国際放送機器展幕張メッセ(展示ホール1~8、イベントホール、国際会議場)、千葉県千葉市美浜区中瀬2-1 (2)発行日 令和2年1月1日 刊行物 「放送技術」1月号、第73巻、第1号、187頁、兼六館出版株式会社 (3)掲載日 令和2年1月10日 ウェブサイトのアドレス https://www.stellarlink.co.jp/digikan/ (4)掲載日 令和2年1月10日 ウェブサイトのアドレス https://www.stellarlink.co.jp/2020/01/newsrelease_digikan/ (5)掲載日 令和2年1月10日 ウェブサイトのアドレス http://pressrelease-zero.jp/archives/150212 (6)発行日 令和2年4月1日 刊行物 「放送技術」4月号、第73巻、第4号、107頁~109頁、兼六館出版株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514065564
【氏名又は名称】株式会社ステラリンク
(71)【出願人】
【識別番号】520247589
【氏名又は名称】株式会社ステラワークス
(71)【出願人】
【識別番号】593221901
【氏名又は名称】株式会社テレビ朝日
(74)【代理人】
【識別番号】100119585
【弁理士】
【氏名又は名称】東田 潔
(72)【発明者】
【氏名】前田 保宏
(72)【発明者】
【氏名】新井 八月
【テーマコード(参考)】
5B084
5C164
【Fターム(参考)】
5B084AA01
5B084AA02
5B084AA12
5B084AB06
5B084AB11
5B084AB31
5B084BA07
5B084BB01
5B084CF12
5B084DB01
5B084DC02
5C164FA14
5C164FA29
5C164MA04S
5C164MA06S
5C164SA41P
5C164SB08S
(57)【要約】
【課題】コントローラ端末の所望タイミングで配信された配信データをビューア端末がリアルタイムで閲覧可能に表示することができる配信システムを提供する。
【解決手段】コントローラ端末から配信データを登録する受付部と、受け付けた配信データの格納部と、コントローラ端末によって呼び出された配信データを提供する提供部と、コントローラ端末が、前記提供された配信データから選択した配信データを受付けて蓄積するバッファ部と、配信データの配信先となるビューア端末のアドレスを管理するアドレス管理部と、バッファ部で蓄積した配信データのうち、コントローラ端末による配信データの配信を指示するトリガ信号を受付け、アドレス管理部から配信を指定されたビューア端末のアドレスを読出して特定する配信制御部と、特定されたビューア端末に配信データを配信する配信部とを有する配信サーバを備えた配信システムを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のコントローラ端末によって生成された1以上の配信データを前記コントローラ端末から通信回線を介して受け付ける受付部と、
前記配信データを格納する配信データ格納部と、
前記格納された配信データのうち、前記コントローラ端末から呼び出された配信データを前記コントローラ端末で表示させるために提供する提供部と、
前記提供された配信データのうち、前記コントローラ端末によって選択された配信データを受け付けて蓄積するバッファ部と、
前記配信データの配信先として、前記コントローラ端末によって指定された1以上のビューア端末のアドレスを管理するアドレス管理部と、
前記バッファ部で蓄積した配信データのうち、前記コントローラ端末によって要求された配信データの配信を指示するトリガ信号を受け付け、前記アドレス管理部から前記指定した配信先のビューア端末のアドレスを読み出して前記ビューア端末を特定する配信制御部と、
前記特定されたビューア端末に前記要求された配信データを前記トリガ信号の受け付けと同時に配信する配信部と、
を有する配信サーバを備えたリアルタイム配信システム。
【請求項2】
前記通信回線は、インターネットであり、前記コントローラ端末と配信サーバ及び配信サーバとビューア端末の各接続は、HTTPで接続確立後、ウェブソケットで接続する請求項1記載のリアルタイム配信システム。
【請求項3】
前記バッファ部は、複数の前記コントローラ端末に対応して個別に前記配信データを受け付けて蓄積する複数のバッファから構成され、
前記アドレス管理部は、複数の前記コントローラ端末に対応して個別に前記ビューア端末のアドレスを管理する複数のアドレステーブルから構成される請求項1または請求項2記載のリアルタイム配信システム。
【請求項4】
前記配信制御部は、複数の前記コントローラ端末のうち、いずれか1のコントローラ端末から優先配信信号を受け付けると、前記優先配信信号を受け付けたコントローラ端末の前記トリガ信号のみを受け付ける請求項3記載のリアルタイム配信システム。
【請求項5】
前記配信制御部は、複数の前記コントローラ端末のうち、いずれか1のコントローラ端末から劣後配信信号を受け付けると、前記劣後配信信号を受け付けたコントローラ端末以外のコントローラ端末のトリガ信号を受け付ける請求項3または請求項4記載のリアルタイム配信システム。
【請求項6】
前記配信制御部は、複数の前記コントローラ端末のうち、前記トリガ信号を優先的に受け付けるコントローラ端末の優先順位を決めた優先順位テーブルと、2以上の前記コントローラ端末から同一の前記ビューア端末に対してトリガ信号が発信されると、前記優先順位テーブルを読み出して優先順位の高いコントローラ端末の前記トリガ信号を受け付けるように判定する判定部とを有する請求項3から請求項5までのいずれか1項にリアルタイム配信システム。
【請求項7】
前記配信サーバは、配信サーバのシステムタイムデータを提供する時計部と、
前記コントローラ端末側のタイムデータおよび前記ビューア端末側のタイムデータを受け取るとともに、前記時計部から前記配信サーバのシステムタイムデータの提供を受けて、前記トリガ信号が前記コントローラ端末から前記配信サーバに到達する第1ラップタイムと、前記配信データが前記配信サーバから前記ビューア端末に到達する第2ラップタイムと、前記第1ラップタイムおよび前記第2ラップタイムの合計のトータルラップタイムとを算出する時間管理部と、
前記第1ラップタイム、前記第2ラップタイムおよび前記トータルラップタイムを記憶するラップタイム記憶部と、を有し、
前記時間管理部は、前記バッファ部に蓄積されている配信データに、前記ビューア端末に配信データを配信して表示させる所定の指定時間データが含まれている場合、前記ラップタイム記憶部からトータルラップタイムを読みだして、前記指定時間データから前記トータルラップタイムを差し引いた時間を前記トリガ信号の前倒し発信時間として通知する配信指示データを生成し、少なくとも、前記前倒し発信時間より前に前記コントローラ端末に前記配信指示データを通知する請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のリアルタイム配信システム。
【請求項8】
前記時間管理部は、前記バッファ部に蓄積されている配信データに、前記所定の指定時間データが含まれている場合に、前記ラップタイム記憶部から前記第1ラップタイムおよび前記第2ラップタイムを読み出して、前記指定時間データから前記第1ラップタイムを差し引いた第1前倒し発信時間に、前記コントローラ端末に前記配信データを配信するとともに、前記指定時間データから前記第2ラップタイムを差し引いた第2前倒し発信時間に、前記ビューア端末に前記配信データを配信する請求項7記載のリアルタイム配信システム。
【請求項9】
前記配信データの1回あたりのデータサイズは、4ビット以上である請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のリアルタイム配信システム。
【請求項10】
前記配信サーバは、前記コントローラ端末及び前記ビューア端末にIDを付与するとともに、所定のデータ配信に使用されるコントローラ端末及びビューア端末に対してワンタイムパスワードを発行し、前記ワンタイムパスワードによって認証処理を行う認証処理部を有し、
前記認証処理を受けたコントローラ端末及びビューア端末に、前記配信データの配信を認める請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のリアルタイム配信システム。
【請求項11】
前記コントローラ端末は、前記選択した配信データのサムネイル一覧を生成して表示するサムネイル表示部を有し、
前記サムネイル表示部は、前記サムネイル一覧のうち、前記配信部によって配信中の配信データと、前記トリガ信号の発信により前記配信中の配信データの次に配信される配信データとを他の前記サムネイル一覧で表示されている配信データと識別可能な表示とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のリアルタイム配信システム。
【請求項12】
前記コントローラ端末は、手書きの配信データを生成する手書きデータ生成部を有し、
手書きデータ生成部で生成された手書きデータを前記サムネイル一覧に挿入することが可能である請求項11記載のリアルタイム配信システム。
【請求項13】
手書きデータ生成部は、前記サムネイル表示部に、前記手書きデータの生成領域データを挿入し、前記トリガ信号によって、前記生成領域データを前記ビューア端末に配信後、前記コントローラ端末で前記生成領域データに手書きデータの生成過程をリアルタイムでビューア端末に表示させて配信する請求項12記載のリアルタイム配信システム。
【請求項14】
前記手書きデータ生成部は、前記配信データ上に手書きデータを合成可能である請求項12または請求項13記載のリアルタイム配信システム。
【請求項15】
前記コントローラ端末は、前記トリガ信号を他のコントローラ端末に優先して、前記配信制御部で受け付けることを要求する優先配信信号を発信する優先信号発信部と、前記トリガ信号を他のコントローラ端末が優先して、前記配信制御部で受け付けることを要求する劣後配信信号を発信する劣後信号発信部とを有し、
前記配信制御部は、2以上の優先配信信号を競合して受け付けた場合、前記優先配信信号を発信した競合するコントローラ端末にエラー信号を返信し、前記エラー信号を受信した複数のコントローラ端末のいずれかが前記劣後配信信号を発信することにより、優先配信信号を発信するコントローラ端末が単一になったことを検知し、受け付ける請求項4から請求項14までのいずれか1項に記載のリアルタイム配信システム。
【請求項16】
1以上のコントローラ端末によって生成された1以上の配信データを前記コントローラ端末から通信回線を介して配信サーバが受け付けるステップと、
前記配信サーバが、前記配信データを格納するステップと、
ウェブブラウザを介してHTTPにより、コントローラ端末と配信サーバとの接続を確立し、前記配信サーバが、前記コントローラ端末から呼び出された前記格納された配信データを読み出して前記コントローラ端末に提供するとともに、ウェブソケットによる接続とするステップと、
ウェブブラウザを介してHTTPにより、1以上のビューア端末と前記配信サーバとの接続を確立後、ウェブソケットによる接続とするステップと、
前記配信サーバが、前記提供された配信データのうち、前記コントローラ端末によって選択された配信データを受け付けてバッファ部で蓄積するステップと、
前記配信サーバが、前記バッファ部で蓄積した配信データのうち、前記コントローラ端末によって要求された配信データの配信を指示するトリガ信号を受け付けるステップと、
前記トリガ信号を受け付けた配信サーバが、あらかじめ前記配信データの配信先となる前記ビューア端末のアドレスを管理し、前記コントローラ端末によって指定された配信先となる1以上のビューア端末のアドレスを読み出して、前記ビューア端末を特定するステップと、
前記配信サーバから、前記特定されたビューア端末に、前記要求された配信データを前記トリガ信号の受け付けと同時に配信するステップと、を有するリアルタイム配信方法。
【請求項17】
前記配信サーバは、複数の前記コントローラ端末に対応した複数の前記バッファ部が、個別に前記配信データを受け付けて蓄積し、
複数の前記コントローラ端末に対応した複数のアドレステーブルが、個別に前記ビューア端末のアドレスを管理する請求項16記載のリアルタイム配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向通信可能な複数の端末間において、所定のデジタルコンテンツ等の配信データをリアルタイムで配信する配信システム及びリアルタイム配信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを介したデジタルコンテンツ等の配信データ(以下「配信データ」という。)を配信する形態として、ウェブサーバを介して1対多、多対多の通信端末間で配信する需要が高まっている。
【0003】
前記配信の形態では、配信データの受け手側の通信端末が、ウェブブラウザを使用して、HTTPにより、前記ウェブサーバから送信された配信データを受信することになる。
【0004】
しかしながら、HTTPによる通信では、1つのコネクションで送ることができるリクエストは1つであり、リクエストは、通信端末のみから送信できるに止まり、ウェブサーバから通信を開始することができない。さらに、コネクション確立のためにヘッダが冗長となり情報量が多くなるという問題があり、リアルタイムで配信することが困難であった。
【0005】
かかる問題を解決するために、HTTPによるコネクション確立後、前記ウェブサーバと前記通信端末は、HTTPのオーバーヘッドを必要としないで通信が可能になり、通信端末からのリクエストをいちいち待たずに、ウェブサーバから通信端末に配信データを配信することが可能になるウェブソケットを使用することが提案されている。
【0006】
従来、たとえば、双方向通信可能な第1の端末と第2の端末との間で、画像を構成する要素データの送受信に、ウェブソケットを利用した電子会議システム(例えば、特許文献1参照。)、TCPを用いた通信方式において、データのタイプがユーザプロファイルかリクエストかそれ以外かを判定し、種別に応じた処理を行うことにより、リアルタイム性よりも信頼性が重要なデータと、信頼性よりもリアルタイム性が重要なデータとの両方を分けて取り扱う場合に、ウェブソケットを用いた通信システム(例えば、特許文献2参照。)が、提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-57709号公報
【特許文献2】特開2017-38141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、テレビ番組、映画、講演などで、発話者に発話内容に関する配信データを提供する必要が生じる場合がある。このような場合に、現状では、マスメディア業界でいわゆる「カンペ」と称される手法(副調整室からの指示に基づいて、撮影用カメラ近傍にいるアシスタントディレクターが、リアルタイムでスケッチブック等に記載された文字、または、その場で、手書きで記載した文字を前記発話者に提示する方法)、テレビカメラのレンズにハーフミラーを設置するプロンプタを用いる方法などが採用されている。
【0009】
「カンペ」による提示方法では、可読性が低い場合があること、書き損じがあること、リアルタイムの修正が困難な場合があることのほか、ペーパーレス化に逆行する手法であることなどの課題があった。
【0010】
また、プロンプタを使用した場合、可視範囲が狭く、複数人に同時に前記データ等を提供するためには、各々にプロンプタを設置する必要があること、また、撮影画像上、発話者とともにプロンプタ自体も映り込む可能性が高く、プロンプタの使用が不向きな場合があるなど、汎用性に欠けるという問題があった。
【0011】
そこで、前記従来技術で提案されているウェブソケットを利用した配信システムにより、可視範囲が広い表示画面を有する通信端末を使って、リアルタイムで配信データを提供する手法が考えられる。しかし、ウェブソケットを介した通信は、前記のとおり、HTTPのオーバーヘッドを不要とし、アプリケーション層でのデータ等の配信をTCP接続レベルの速度で配信できるため、前記従来技術のように、テレビ会議、SNSなど、厳密なリアルタイムが要求されない場面では十分に機能するが、前記テレビ番組など、秒単位でリアルタイム性が求められる場面では、単にウェブソケットプロトコルで配信データを配信するだけでは、十分な効果は得られない。
【0012】
また、前記テレビ番組等での配信データの提供のように、配信する側の通信端末(たとえば、副調整室側で使用する端末)と受信する側の通信端末(たとえば、スタジオ等フロア側で使用する端末)とが、リアルタイムで前記配信データを閲覧可能に表示するようなシステムは存在しない。
【0013】
本明細書における開示は、上記課題を解消させるためのものであり、配信側の通信端末の所望タイミングで配信データを配信し、前記配信側および受信側の各通信端末が前記配信データをリアルタイムで閲覧可能に表示することができる配信システムおよび配信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書における開示の一つの局面は、上記目的を達成させるために、1以上のコントローラ端末によって生成された1以上の配信データを前記コントローラ端末から通信回線を介して受け付ける受付部と、
前記配信データを格納する配信データ格納部と、
前記格納された配信データのうち、前記コントローラ端末から呼び出された配信データを前記コントローラ端末で表示させるために提供する提供部と、
前記提供された配信データのうち、前記コントローラ端末によって選択された配信データを受け付けて蓄積するバッファ部と、
前記配信データの配信先として、前記コントローラ端末によって指定された1以上のビューア端末のアドレスを管理するアドレス管理部と、
前記バッファ部で蓄積した配信データのうち、前記コントローラ端末によって要求された配信データの配信を指示するトリガ信号を受け付け、前記アドレス管理部から前記指定した配信先のビューア端末のアドレスを読み出して前記ビューア端末を特定する配信制御部と、
前記特定されたビューア端末に前記要求された配信データを前記トリガ信号の受け付けと同時に配信する配信部と、
を有する配信サーバを備えた配信システムを提供することにある。
【0015】
この構成によれば、コントローラ端末で、ビューア端末に配信したいデータを予めバッファ部に蓄積にし、トリガ信号を受け付けと同時に、ビューア端末に配信することができるので、コントローラ端末が所望する任意のタイミングで高精度にリアルタイムの配信が可能になる。
【0016】
前記通信回線は、インターネットであり、前記コントローラ端末と配信サーバ及び配信サーバとビューア端末の各接続は、HTTPで接続確立後、ウェブソケットで接続するという構成にすればよい。
【0017】
前記バッファ部は、複数の前記コントローラ端末に対応して個別に前記配信データを受け付けて蓄積する複数のバッファから構成し、前記アドレス管理部は、複数の前記コントローラ端末に対応して個別に前記ビューア端末のアドレスを管理する複数のアドレステーブルから構成すればよい。
【0018】
本明細書における開示の別の局面は、1以上のコントローラ端末によって生成された1以上の配信データを前記コントローラ端末から通信回線を介して配信サーバが受け付けるステップと、前記配信サーバが、前記配信データを格納するステップと、ウェブブラウザを介してHTTPにより、コントローラ端末と配信サーバとの接続を確立し、前記配信サーバが、前記コントローラ端末から呼び出された前記格納された配信データを読みだして前記コントローラ端末に提供するとともに、ウェブソケットによる接続とするステップと、
ウェブブラウザを介してHTTPにより、1以上のビューア端末と前記配信サーバとの接続を確立後、ウェブソケットによる接続とするステップと、
前記配信サーバが、前記提供された配信データのうち、前記コントローラ端末によって選択された配信データを受け付けてバッファ部で蓄積するステップと、
前記配信サーバが、前記バッファ部で蓄積した配信データのうち、前記コントローラ端末によって要求された配信データの配信を指示するトリガ信号を受け付けるステップと、
前記トリガ信号を受け付けた配信サーバが、あらかじめ前記配信データの配信先となる前記ビューア端末のアドレスを管理し、前記コントローラ端末によって指定された配信先となる1以上のビューア端末のアドレスを読み出して、前記ビューア端末を特定するステップと、
前記配信サーバから、前記特定されたビューア端末に、前記要求された配信データを前記トリガ信号の受け付けと同時に配信するステップと、を有するリアルタイム配信方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、配信側の通信端末の所望タイミングで配信データを配信し、前記配信側および受信側の各通信端末が前記配信データをリアルタイムで閲覧可能に表示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本明細書で開示する配信システムの構成例を示した図である。
【
図2】
図2は、本明細書で開示する第1実施形態にかかる配信サーバのブロック構成図である。
【
図3】
図3は、配信サーバの認証処理部が有する端末管理テーブルの例を示した図である。
【
図4】
図4は、配信サーバのアドレス管理部及びバッファ部の構成を示したブロック図である。
【
図5】
図5は、複数のコントローラ端末から配信制御部に発信する優先配信信号、劣後配信信号およびトリガ信号の流れを模式的に示した図である。
【
図6】
図6は、複数のコントローラ端末から発信されたトリガ信号を配信制御部が調整する機能を模式的に示した図である。
【
図7】
図7は、本明細書で開示する第2実施形態にかかる配信サーバのブロック構成図である。
【
図8】
図8は、コントローラ端末とビューア端末間のラップタイムを利用したリアルタイム配信の流れを模式的に示した図である。
【
図9】
図9は、
図8のリアルタイム配信の変形例の流れを模式的に示した図である。
【
図10】
図10は、本明細書で開示する配信方法を示すシーケンス図である。
【
図11】
図11は、本明細書で開示するコントローラ端末の表示画面(初期画面)を示した図である。
【
図12】
図12は、次候補画像をメイン表示領域に表示した画面例を示した図であり、(A)は、事前登録した配信データを表示した例、(B)は、使用頻度の高い登録文字を表示した例を示した図である。
【
図13】
図13は、動画をメイン表示領域に表示した画面例を示した図であり、(A)は、動画開始状態の「5秒前」を表示した図、(B)は、(A)から「4秒前」の表示に変わった状態を表示した図である。
【
図14】
図14は、手書き文字の入力機能を説明する図であり、(A)は、パレットボタンアクティブになった状態を示した図、(B)は、メイン表示領域にパレットを表示した図、(C)は、手書きデータを表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本明細書による開示を実施するための形態を説明する。先に説明した実施形態に対応する構成要素を後続の実施形態が有する場合には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、各実施形態において構成の一部のみを説明している場合、当該構成の他の部分については先行して説明した実施形態の参照符号を使用する場合がある。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示していない場合でも、特に当該組み合わせに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。また、図中の各部の大きさは、説明を容易とするため適宜強調されており、実際の寸法、部材間の比率を示すものではない。さらなる適用可能分野は、本明細書の説明から明らかとなる。本概要の説明および具体例は単に例示の目的を意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0022】
<配信システムの構成>
図1は、本明細書で開示するリアルタイム配信システムの構成例である。100は配信サーバ、200はコントローラ端末、300はビューア端末である。配信サーバ100は、後述するように、コントローラ端末200とビューア端末300との間に介在し、通信回線を介して、配信データを送受信可能に各端末に接続されている。前記配信データは、コントローラ端末200によって指定された1以上のビューア端末300に配信される。本実施の形態では、以下、前記通信回線をインターネットとして説明するが、これに限定する趣旨ではない。
【0023】
なお、本明細書で開示するリアルタイム配信システムは、コントローラ端末200とビューア端末300とが、1対多、多対多という対応関係で配信データを配信することができる構成になっている。本実施の形態では、コントローラ端末200は、コントローラ端末200aからコントローラ端末200n(例示として、各端末は、デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォンである。)で構成され、ビューア端末300は、ビューア端末300aからビューア端末300n(例示として、各端末は、大型ディスプレイ、ディスプレイ、タブレット端末、スマートフォンである。)で構成されている。いずれの端末も、インターネット等の通信回線に接続可能であり、インターネット通信の場合は、ウェブブラウザを搭載し、ディスプレイによって配信データ(データの表示形態は、前記通信回線で配信可能なものであれば、特に限定されず、テキスト、画像、動画、音声等あらゆる形態を含む。)を表示可能なものであれば、特に限定しない。さらに、ビューア端末300による表示は、ディスプレイによる表示に限定せず、プリンタなどの出力装置によって出力された紙媒体に表示するものであってもよい。
【0024】
本明細書で開示する配信サーバ100、コントローラ端末200、ビューア端末300の各機能の詳細については後述するが、いずれも、CPU(Central Processing Unit)、RAM(メモリ)、ROM(ストレージ)、及び必要に応じてマウス、キーボード等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置を備える。そして、前記CPUは、前記入力装置等から入力される指示に従い、前記ストレージや外部記憶装置に記憶された配信データ等を読み出して、ディスプレイ等に出力するように制御する。また、配信サーバ100のCPUは、所定の信号を受け付けると、ストレージに格納された処理プログラムをメモリに読み出し、該処理プログラムによって、前記読み出された処理プログラムによって、前記配信データを前記出力装置(例えばディスプレイ)に出力するように制御する。
【0025】
なお、
図1で示すとおり、コントローラ端末200と配信サーバ100との間、配信サーバ100とビューア端末300との間は、インターネットで接続する場合、HTTPによるアクセス要求によって接続が確立した以降は、ウェブソケットによる接続で通信が行われるようになっている。
【0026】
<配信システムの第1実施形態>
図2は、本明細書で開示する第1実施形態にかかる配信サーバ100のブロック構成図である。配信サーバ100は、少なくとも、認証処理部101、受付部102、格納部103、配信制御部104、提供部105、バッファ部106、アドレス管理部107、配信部108を有する。
【0027】
認証処理部101は、配信サーバ100を介して所定の配信データの送受信を可能とするコントローラ端末200とビューア端末300を予め特定するために、配信サーバ100側で各端末に対して認証処理を行う。本明細書で開示するリアルタイム配信システムは、1のコントローラ端末200から、特定のグループに属する複数のビューア端末300に対して、同一の配信データを配信するマルチキャスト型の配信形態であるため、認証処理部101によって当該グループに属する端末を特定する。
【0028】
図3は、認証処理部101が、前記端末の特定に使用する端末管理テーブルである。
図1で説明したとおり、コントローラ端末200及びビューア端末300は、ウェブブラウザを介してインターネット等の通信回線に接続可能であり、ディスプレイ等の出力装置によって配信データを表示することが可能なものであればよいため、汎用的な機器を各端末として使用することができるが、マルチキャスト型の配信形態とするため、各端末を特定する必要がある。そこで、認証処理部101は、コントローラ端末200及びビューア端末300にIDを付与するとともに、所定のデータ配信に使用されるコントローラ端末200及びビューア端末300に対してワンタイムパスワードを発行し、前記ワンタイムパスワードによって認証処理を行う。
【0029】
本実施形態で開示する端末管理テーブルは、端末を識別するために端末側で生成したUUIDを用いる。すなわち、端末の新規登録時、アクティベーションコード(ワンタイムパスワード)を生成しそれを端末から入力することによって、利用する組織・グループを特定する。この操作によって未承認端末としてレコードが新規追加されるので、編集画面より承認状態に更新することで、コントローラ端末200またはビューア端末300として使用することが可能になる。
図3のテーブルでは、端末の操作権限、承認の有無、用途(前記汎用的な機器をコントローラ端末またはビューア端末のいずれで利用するかという区別)、前記UUID、端末のタイプ、デバイス名、所属グループが表示されている。
【0030】
受付部102は、コントローラ端末200によって指定された1以上のビューア端末300に、インターネットを介して配信する複数の配信データを受け付けする。前記複数の配信データは、コントローラ端末200によって生成される。受付部102で受け付けられた配信データは、前記のとおり、テキストデータ、画像データ、動画データ、音声データおよびこれらの複合データなど、多様な形態のデータであり、受付部102は、これらの多様なデータを受け付けることが可能である。
【0031】
格納部103は、受付部102で受け付けた配信データを格納する。前記配信データは、複数のコントローラ端末200で生成され、受付部102で受け付けられる。
【0032】
提供部105は、受付部102で受け付けられた配信データのうち、コントローラ端末200から呼び出された配信データをコントローラ端末200で表示させるために提供する。提供部105によって、呼び出された配信データは、コントローラ端末200のウェブブラウザ上で閲覧可能に表示される。この呼び出された配信データが、HTTPによる接続確立後、ウェブソケットによってビューア端末300に配信されるデータの母集団となる。
【0033】
バッファ部106は、提供部105で提供された配信データのうち、コントローラ端末200によって選択された配信データを受け付けて蓄積する。バッファ部106に配信データを蓄積することにより、ビューア端末300への配信が待機状態となり、即時ビューア端末300に配信できる状態となる。
【0034】
アドレス管理部107は、前記配信データの配信先となるビューア端末300のアドレスを管理する。したがって、前記のとおり、コントローラ端末200から、同一の配信データを複数のビューア端末300に配信する場合は、マルチキャスト型の配信形態になる。
【0035】
配信制御部104は、バッファ部106で蓄積した配信データのうち、コントローラ端末200によって要求された配信データの配信を指示するトリガ信号を受け付け、アドレス管理部107から前記指定した配信先のビューア端末300のアドレスを読み出してビューア端末300を特定する。配信制御部104によって、配信データの配信のほか、配信状況の監視、エラーリトライが行われる。
【0036】
配信部108は、前記特定されたビューア端末300に、前記要求された配信データを前記トリガ信号の受け付けと同時に配信する。
【0037】
以上のとおり、配信サーバ100が、バッファ部106で配信データを待機状態とし、トリガ信号の受け付けと同時に、配信部108から配信するという構成を有することにより、配信データを配信する都度、コントローラ端末200から、配信サーバ100を介してビューア端末300に配信する場合に比べて、よりリアルタイムな配信が実現できる。なお、配信部108で配信する配信データの1回あたりのデータサイズは、ノイズ対策と転送速度を考慮して4ビット以上であればよい。
【0038】
図4は、配信サーバ100のバッファ部106及びアドレス管理部107の構成を示したブロック図である。
図1で説明したとおり、コントローラ端末200、ビューア端末300ともに、複数存在する。そこで、配信サーバ100のバッファ部106は、コントローラ端末200a、200b、200cに対応して、個別に配信データを受け付けて蓄積できるように、コントローラ端末200a用バッファ106a、コントローラ端末200b用バッファ106b、コントローラ端末200c用バッファ106cから構成されている。
【0039】
同様に、アドレス管理部107は、複数の前記コントローラ端末200a、200b、200cに対応して個別にビューア端末300のアドレスを管理するように、コントローラ端末200a用アドレステーブル107a、コントローラ端末200b用アドレステーブル107b、コントローラ端末200c用アドレステーブル107cから構成されている。バッファ部106、アドレス管理部107を上記のように構成することで、1対多、多対多のリアルタイム配信が可能になる。
【0040】
前記説明のとおり、本明細書で開示するリアルタイム配信システムは、マルチキャスト型の配信形態であるが、配信側のコントローラ端末200も複数である。したがって、一つのビューア端末300に対して複数のコントローラ端末200から、異なる配信データの配信を要求するトリガ信号が発信されると、輻輳状態となり、配信不能になるおそれがある。そこで、
図5で示すとおり、複数のコントローラ端末200a、200bおよび200cのいずれも、ビューア端末300aに対してトリガ信号を発信可能な状態において、コントローラ端末200bおよびコントローラ端末200cが、配信制御部104に対して劣後配信信号を発信し、コントローラ端末200aが、優先配信信号を発信できるようにすればよい。前記劣後配信信号を発信したコントローラ端末200bおよびコントローラ端末200cは、ビューア端末300aに対してトリガ信号を発信する権利を他のコントローラ端末に譲り渡すことになる。そして、コントローラ端末200aが、配信制御部104に対して優先配信信号を発信すると、配信制御部104は、コントローラ端末200aのトリガ信号のみを受け付けるようになるため、前記のような輻輳状態を回避することができる。
【0041】
コントローラ端末200は、後述するとおり、各々、優先配信信号と劣後配信信号の発信機能を有する。たとえば、所定の時間内に、各コントローラ端末200が、複数の配信データを適時配信要求する(複数のトリガ信号を発信する)場合に、他のコントローラ端末200との関係で、各配信データの優先度のレベルを他のコントローラ端末200に対して意思表示するために、それぞれ優先配信信号と劣後配信信号を選択する。
【0042】
なお、配信制御部104は、優先配信信号のみの発信、または、劣後配信信号のみの発信があった場合でも、各信号を受け付ける。優先配信信号のみの発信の場合は、当該優先配信信号を発信したコントローラ端末200からトリガ信号を受け付けると、他のコントローラ端末200のトリガ信号に対して優先してビューア端末300に配信データを配信する。一方、劣後配信信号のみの発信の場合は、当該劣後配信信号を発信したコントローラ端末200以外のコントローラ端末200からトリガ信号を受け付けると、当該トリガ信号を優先してビューア端末300に配信データを配信する。
【0043】
配信制御部104は、2以上の優先配信信号を競合して受け付けた場合、前記優先配信信号を発信した競合するコントローラ端末200にエラー信号を返信し、前記エラー信号を受信した複数のコントローラ端末200のいずれかが前記劣後配信信号を発信することにより、優先配信信号を発信するコントローラ端末が単一になったことを検知し、前記優先配信信号を受け付けるようにしてもよい。
【0044】
ところで、前記優先配信信号および劣後配信信号は、複数のコントローラ端末200側で、輻輳するトリガ信号の発信を調整するためのものである。予め、複数のコントローラ端末200に対して、前記トリガ信号を優先的に受け付ける順位を定めることにより、配信サーバ100側で、前記輻輳するトリガ信号の調整をすることもできる。
図6は、配信サーバ100の配信制御部104が、同一のビューア端末300aに対して複数のトリガ信号が発信された場合の調整をする機能を模式的に示した図である。
【0045】
すなわち、配信制御部104は、複数のコントローラ端末200a、200bおよび200cのうち、前記トリガ信号を優先的に受け付けるコントローラ端末の優先順位テーブル104aと、2以上のコントローラ端末から同一のビューア端末300aに対してトリガ信号が発信されると、優先順位テーブル104aを読み出して優先順位の高いコントローラ端末の前記トリガ信号を受け付けるように判定する判定部104bとを有する。本実施の形態では、コントローラ端末200bとコントローラ端末200cが、ビューア端末300aに対して、各々トリガ信号1、トリガ信号2を発信している。配信制御部104の判定部104bは、優先順位テーブル104aを読み出して、(コントローラ端末200aは、トリガ信号を発信していないため)優先順位2位のコントローラ端末200bが、優先順位3位のコントローラ端末200cよりも、優先順位が高いため、コントローラ端末200bのトリガ信号1を受け付けるように判定し、ビューア端末300aにトリガ信号1に対応する配信データを配信する。
【0046】
<配信システムの第2実施形態>
図7は、本明細書で開示する第2実施形態にかかる配信サーバ100のブロック構成図である。本実施形態では、第1実施形態にかかる配信サーバ100に、時計部109、時間管理部110、ラップタイム時間記憶部111が追加された構成になっている。
【0047】
時計部109は、配信サーバ100のシステムタイムデータを時間管理部110に提供する。
【0048】
時間管理部110は、コントローラ端末200が発信した時間(コントローラ端末側タイムデータ)と、配信サーバ100が受信した時間を時計部109から受け取り、その時間差分を算出し第1ラップタイムとする。同様に、時間管理部110は、配信サーバ100が発信した時間を時計部109から受け取り、ビューア端末300が受信した時間(ビューア端末側タイムデータ)との時間差分を算出し第2ラップタイムとする。さらに、前記第1ラップタイムおよび前記第2ラップタイムの合計時間をトータルラップタイムとして算出する。
【0049】
ラップタイム時間記憶部111は、時間管理部110によって算出された前記第1ラップタイム、前記第2ラップタイムおよび前記トータルラップタイムを記憶する。なお、前記第1ラップタイム及び前記第2ラップタイムは、複数のコントローラ端末200及び複数のビューア端末300ごとに記憶される。
【0050】
図8は、コントローラ端末200とビューア端末300との間のラップタイムを利用したリアルタイム配信の流れである。
【0051】
配信データの中には、厳格に、いわゆるオンタイムでビューア端末300に表示させなければならないものがある。たとえば、前記第1ラップタイムがx秒であり、前記第2ラップタイムがy秒の場合、コントローラ端末200から配信サーバ100に前記トリガ信号を発信し、配信制御部104から配信部108を経てビューア端末300に到達するまでの所要時間は、トータルラップタイム(x+y)秒となる。したがって、所定の時間n(以下「指定時間n」という。)に配信データをビューア端末300で表示させるために、コントローラ端末200が、前記所定の時間nに、前記トリガ信号を配信サーバ100に発信すると、ビューア端末300で前記配信データが表示される時間は、n+(x+y)となり、オンタイムの表示ができない。
【0052】
そこで、時間管理部110は、配信データを指定時間nにオンタイムでビューア端末300に表示させるために、指定時間nから前記トータルラップタイム(x+y)秒だけ前倒ししたトリガ信号の発信時間を前倒し発信時間として通知する配信指示データを生成する。そして、時間管理部110は、少なくとも、前記前倒し発信時間よりも前に、前記コントローラ端末に配信指示データを送信する。前記配信指示データを受信したコントローラ端末200から、配信指示データで示された前倒し発信時間にトリガ信号を発信すると、ビューア端末300では、指定時間nに前記配信データが表示される。
図8では、第1ラップタイム、第2ラップタイムがともに1秒であるため、トータルラップタイムは2秒となる。そして、指定時間を18:00:00としているため、時間管理部110は、コントローラ端末200に対して、前倒し発信時間である17:59:58を配信指示データとして送信する。
【0053】
なお、時間管理部110が、前記配信指示データを送信するために、配信データに予め前記指定時間のデータ(指定時間データ)を含めるようにし、時間管理部110が、前記指定時間データを読み取るとともに、第1ラップタイム、第2ラップタイム、トータルラップタイムおよび前倒し発信時間を算出すればよい。
【0054】
ところで、
図8は、コントローラ端末200側で前記前倒し時間にトリガ信号を発信し、配信データをビューア端末300に配信するように構成されているが、
図9は、
図8の変形例として、前記前倒し時間に配信サーバから直接ビューア端末300に配信データを配信する形態を示した図である。
【0055】
すなわち、時間管理部110は、バッファ部106に蓄積されている配信データに、前記所定の指定時間データが含まれている場合に、ラップタイム時間記憶部111から前記第1ラップタイムおよび前記第2ラップタイムを読み出して、前記指定時間データから前記第1ラップタイムを差し引いた第1前倒し発信時間に、コントローラ端末200に前記配信データを配信するとともに、前記指定時間データから前記第2ラップタイムを差し引いた第2前倒し発信時間に、ビューア端末300に前記配信データを配信する。
図9では、前記第1ラップタイムが1秒であり、前記第2ラップタイムが2秒である。そして、前記指定時間を18:00:00としているため、時間管理部110からコントローラ端末200に配信する前記第1前倒し時間は、17:59:59であり、時間管理部110からビューア端末300に配信する前記第2前倒し時間は、17:59:58である。このように、本変形例は、配信サーバ100から、コントローラ端末200とビューア端末300に一斉同時配信する構成である。
【0056】
以上のとおり、前記前倒し時間を利用して、厳格なオンタイムの配信を実現することができる。なお、配信サーバ100は、
図8で説明した機能と
図9で説明した機能のいずれか一方を備えたもの、または両方を備えたもののどちらでも実施可能である。
【0057】
<リアルタイム配信方法>
図10は、本明細書で開示する配信方法を示すシーケンス図である。コントローラ端末200を起動し、コントローラ端末200に搭載されたウェブブラウザを介してHTTPにより、コントローラ端末200から、コントローラ端末200によって指定された1以上のビューア端末300に配信する1以上の配信データを受け付ける配信サーバ100に対して接続要求し、接続を確立する。そして、コントローラ端末200から配信サーバ100に前記受け付けされた配信データを呼び出す(S1)。
【0058】
配信サーバ100は、呼び出された前記配信データをコントローラ端末200に提供する(S2)。同時に、コントローラ端末200と配信サーバ100とは、ウェブソケットによって接続される(S3)。なお、図示しないが、ウェブソケットによる接続後、上記S2の配信データの提供を複数回行ってもよい。
【0059】
一方、配信サーバ100とビューア端末300との間の接続処理も行われる。すなわち、ビューア端末300を起動し、ビューア端末300に搭載されたウェブブラウザを介してHTTPにより、1以上のビューア端末300から配信サーバ100に接続要求し、接続を確立する(S4)。ビューア端末300は、配信データ受信可能な状態(初期画面)が表示される(S5)。同時に、ビューア端末300と配信サーバ100とは、ウェブソケットによって接続される(S6)。
【0060】
配信サーバ100は、前記提供された配信データのうち、コントローラ端末200によって選択された配信データを受け付けてバッファ部106で蓄積する(S7)。このとき、選択されたデータは、後述するように、サムネイル表示部でサムネイル一覧が表示される(S8)。
【0061】
コントローラ端末200は、配信サーバ100によってバッファ部106で蓄積された配信データのうち、コントローラ端末200によって配信要求された配信データの配信を指示するトリガ信号を発信する(S9)。前記トリガ信号を受け付けた配信サーバ100は、あらかじめ前記配信データの配信先となるビューア端末300のアドレスを管理している。そして、前記指定された配信先のビューア端末300のアドレスを読み出して、ビューア端末300を特定し、前記トリガ信号をビューア端末300側に発信する(S10)。
【0062】
ビューア端末300は、配信サーバ100とHTTPで接続確立し(S11)、配信サーバ100は、前記要求された配信データをS10の前記トリガ信号の受け付けと同時にリアルタイムで配信し(S12)、ビューア端末300は、前記配信データを表示する。
【0063】
S12の処理後、さらに、次候補の配信データが存在する場合は、コントローラ端末200は、再び配信データを選択することにより、配信サーバ100のバッファ部106で新たに蓄積される(S13)。同時に、コントローラ端末200では、前記サムネイル一覧で次候補として選択されたことを示す表示がなされる(S14)。
【0064】
ここで、手書きデータを生成する場合は、コントローラ端末200側で、ローカル(自己呼び出し処理)で手書きデータが生成される(S16)。なお、本実施の形態では、前記サムネイル一覧中の既存の配信データに手書きデータを追加する処理方法を説明するが、後述するように、手書きの配信データは、いわゆる「白紙」の画面上に手書きデータのみを記載して生成されたものであってもよい。
【0065】
コントローラ端末200が、前記生成された手書きデータを含む配信データについて、S9同様、配信サーバ100にトリガ信号を発信すると(S17)、前記トリガ信号を受け付けた配信サーバ100は、指定された配信先のビューア端末300のアドレスを読み出して、ビューア端末300を特定し、前記トリガ信号をビューア端末300側に発信する(S18)。ビューア端末300は、配信サーバ100とHTTPで接続確立し(S19)、配信サーバ100から、前記要求された配信データをS18の前記トリガ信号の受け付けとともにリアルタイムで配信し(S20)、ビューア端末300は、前記手書きデータが合成された配信データを表示する。
【0066】
なお、
図10の配信方法は、コントローラ端末200とビューア端末300が1対1の場合の配信処理を説明したものであるが、
図4で説明したとおり、配信サーバ100は、複数のコントローラ端末200に対応した複数のバッファが、個別に前記配信データを受け付けて蓄積し、複数のコントローラ端末200に対応した複数のアドレステーブルが、個別に配信先となるビューア端末300を管理すればよい。
【0067】
<実施例>
以下、
図11から
図14を使用して、コントローラ端末200上で表示される配信データの具体的な実施例を説明する。本実施例では、テレビ番組等で使用されるいわゆる「カンペ」を電子化し、副調整室(サブ)などで指示を出す側が使用する端末をコントローラ端末200として説明する。
【0068】
図11は、本実施例で開示するコントローラ端末200の表示画面(初期画面)を示した図である。
【0069】
コントローラ端末200の画面は、ツールバー領域201とビュー領域202とテイクボタン203とを有する。ツールバー領域201は、本実施例では、スタンプボタン201a、フォルダボタン201b、新規画面ボタン201c、カウントダウンボタン201d、優先権取得ボタン201e、優先権譲渡ボタン201f、パレットボタン201g、ゴミ箱ボタン201h、戻るボタン201i、消しゴムボタン201jを備える。一方、ビュー領域202は、ネクスト配信データ表示領域202a、フォルダデータ表示領域202b、サムネイル一覧表示領域202cを備える。サムネイル一覧表示領域202cは、オンエアデータ表示部202dとネクストデータ表示部202eを有する。なお、ツールバー領域201に表示されたボタンは、いずれも、ウェブアプリケーションとして、ウェブブラウザを介して、作動するものである。
【0070】
以下、ツールバー領域201の各ボタンの機能を説明する。スタンプボタン201aは、使用頻度の高い文字を予め登録したもので、当該文字を配信データとして選択する場合に、このボタンを押せばよい。また、フォルダボタン201bは、事前に登録した配信データを収納するボタンであり、このボタンを押下することで、配信データをコントローラ端末200に呼び出すことができる。新規画面ボタン201cは、いわゆる「白紙」状の画面をビュー領域202に表示させるボタンであり、後述する手書きデータの生成領域を提供する。カウントダウンボタン201dは、カウント開始の秒数を選択できる画面を表示する。
【0071】
優先権取得ボタン201eは、複数のコントローラ端末200から同一のビューア端末300にトリガ信号が重複した場合、トリガ信号とともに優先配信信号を発信する。配信サーバ100は、この優先配信信号を受け付けると、同一のビューア端末300にトリガ信号が重複した場合でも、優先配信信号を発信したコントローラ端末200の配信データを当該ビューア端末300に配信する。一方、優先権譲渡ボタン201fは、前記トリガ信号の重複があった場合に、他のコントローラ端末200の配信データを配信するように指示するためのものである。すなわち、コントローラ端末200が、トリガ信号とともに優先権譲渡ボタン201fを押下すると、劣後配信信号が発信され、配信サーバ100が、この劣後配信信号を受け付けると、同一のビューア端末300にトリガ信号が重複した場合、劣後配信信号を発信したコントローラ端末200の配信データは、ビューア端末300に配信されず、他のコントローラ端末200の配信データを配信する。
【0072】
なお、配信サーバ100の配信制御部104は、2以上の優先配信信号を競合して受け付けた場合、ビューア端末300への配信を停止するとともに、前記優先配信信号を発信した競合する各コントローラ端末200にエラー信号を返信し、前記エラー信号を受信した複数のコントローラ端末200のいずれかが前記劣後信号を発信することにより、優先配信信号を発信するコントローラ端末が単一になったことを検知し、前記ビューア端末300への配信をリトライする。
【0073】
パレットボタン201gは、前記手書きデータを生成する場合に、使用するツールを表示するためのボタンである。ゴミ箱ボタン201hは、後述するサムネイル一覧に表示されている配信データのうち、削除するものを選択して削除する場合に使用する。戻るボタン201iは、手書きデータを1ストローク前の状態に戻すときに使用し、消しゴムボタン201jは、手書きデータを任意の範囲で消すツールである。
【0074】
以下、ビュー領域202の各構成について説明する。ネクスト配信データ表示領域202aは、ビューア端末300が現在表示している配信データの次に、配信する予定の配信データを表受する。フォルダデータ表示領域202bは、スタンプボタン201a、フォルダボタン201bまたはカウントダウンボタン201dを押下すると、選択可能な配信データが表示される。ここで、表示されたデータを選択すると、サムネイル一覧表示領域202cに表示される。すなわち、コントローラ端末200は、選択した配信データのサムネイル一覧を生成して表示するサムネイル表示部を有する。サムネイル表示部によって生成されたサムネイル一覧表示領域202cに表示されている配信データは、配信サーバ100のバッファ部106に蓄積されたデータとなる。サムネイル一覧表示領域202cで表示されている配信データは、配信順序の時系列にソートされる。
【0075】
さらに、前記サムネイル表示部は、サムネイル一覧表示領域202cのサムネイル一覧のうち、配信部108によって配信中の配信データと、トリガ信号の発信により前記配信中の配信データの次に配信される配信データとを他の前記サムネイル一覧で表示されている配信データと識別可能な表示とする。本実施例では、オンエアデータ表示部202dとネクストデータ表示部202eが、サムネイル一覧の他の配信データと異なり、配信データの周囲にフレームが表示されて識別できるようになっている。なお、サムネイル一覧の配信データは、サムネイル一覧の生成後、たとえば、ドロップアンドドラッグ等の操作により、適宜配列順序を変更することができる。
【0076】
ネクストデータ表示部202eで表示されている配信データは、トリガ信号を発信するテイクボタン203を押下することにより、オンエアデータ表示部202dに移行し、ビューア端末300で表示される。すなわち、テイクボタン203の押下により、配信サーバ100の配信制御部104は、すでにバッファ部106に蓄積され、ネクストデータ表示部202eで表示されている配信データを配信部108でビューア端末300に配信する。
【0077】
なお、具体的には、発話者、演者などがいるスタジオには、前記副調整室のコントローラ端末200から出された指示を表示する端末、すなわち、ビューア端末300が設置されている。配信サーバ100の配信部108から配信された配信データは、ビューア端末3の表示部で表示され、前記発話者、演者などが適宜閲覧可能となる。
【0078】
図12は、次候補画像をメイン表示領域に表示した画面例を示した図である。
図12(A)は、事前登録した配信データを表示した例ある。フォルダボタン201bをクリックすると、事前登録されたデータが、フォルダデータ表示領域202bに表示され、その中から、本実施例では、「映像訂正 不体裁につき」の配信データを選択したため、ネクスト配信データ表示領域202a、ネクストデータ表示部202eに、この配信データが表示されている。
【0079】
図12(B)は、使用頻度の高い登録文字を表示した例を示した図である。スタンプボタン201aをクリックすると、使用頻度の高い登録文字データが、フォルダデータ表示領域202bに表示され、その中から、本実施例では、「5秒前」の配信データを選択したため、ネクスト配信データ表示領域202a、ネクストデータ表示部202eに、この配信データが表示されている。
【0080】
図13は、動画を表示した画面例を示した図であり、(A)は、動画開始状態の「5秒前」を表示した図、(B)は、(A)から「4秒前」の表示に変わった状態を表示した図である。カウントダウンボタン201dをクリックすると、フォルダデータ表示領域202bに、カウント開始の各種秒数の配信データが表示される。その中から、本実施例では、「5秒前」及び手で指折りカウントする動画を選択したため、オンエアデータ表示部202dにこの配信データが表示されると、5秒前の表示とともに、指折りのイラストが重畳表示され、時間の経過とともに、秒数がカウントダウンし、カウントダウンした秒数に対応して指折りされる動画が表示される。
【0081】
図14は、手書き文字の入力機能を説明する図である。コントローラ端末200は、手書きの配信データを生成する手書きデータ生成部を有する。手書きデータ生成部は、本実施例では、少なくとも、パレットボタン201gと戻るボタン201iと消しゴムボタン201jから構成されている。
【0082】
手書きデータは、
図14(A)で示すとおり、パレットボタン201gをアクティブにし、これを選択すると、
図14(B)で示すとおり、画面上で記載するペンの種類、色などを選択できるパレットが、ネクスト配信データ表示領域202aに表示される。本実施例では、手書きデータは、
図14(C)で示すとおり、フォルダボタン201bで事前に登録された「映像訂正 不体裁につき」という配信データ上に手書きで「12」という文字を合成したものである。かかる合成された配信データもサムネイル一覧に挿入することができる。また、新規画面ボタン201cを選択し、いわゆる「白紙」の画面をネクスト配信データ表示領域202aに表示させ、手書き文字だけで構成される配信データを生成し、これをサムネイル一覧に挿入することも可能である(図示せず)。
【0083】
手書きデータ生成部は、前記サムネイル表示部に、前記手書きデータの生成領域データを挿入し、前記トリガ信号によって、前記生成領域データを前記ビューア端末に配信後、コントローラ端末200で前記生成領域データに手書きデータの生成過程をリアルタイムでビューア端末3に表示させて配信するようにしてもよい。
【0084】
本実施例では、いわゆる「カンペ」を電子化したものを例として説明したが、これに限定する趣旨ではない。たとえば、台本を電子化したものであってもよい。電子化された台本をマスタとなるコントローラ端末と、スレーブとなるビューア端末に表示する。複数のスタッフが、台本の読み合わせをする場合に、各々コントローラ端末、ビューア端末で前記台本を閲覧する。台本に、閲覧者全員に提示する手書きの書き込みをする権限をディレクタが有するコントローラ端末に付与し、当該ディレクタが書き込みをすると、その書き込みデータがリアルタイムにビューア端末に配信されるという構成であってもよい。この場合、電子化された台本のページをめくるというイベントが、トリガ信号とすればよい。
【0085】
また、ニュース番組などの放映中に、アナウンサーに原稿の差し込みをする場合にも本システムを適用してもよい。この場合、差し込みの原稿を渡す側がコントローラ端末を有し、アナウンサーなど、原稿を読み上げる側がビューア端末を有するようにすればよい。そして、配信サーバで時間管理し、ニュースの放映時間内に原稿の順番の変更指示、新しい原稿の追加指示などを行う場合、スタジオの時間(すなわち、放映時間)を基準として、コントローラ端末側の指示出しのタイミングは、前倒しで配信指示を出すように配信サーバからコントローラ端末に通知すればよい。
【0086】
この明細書で開示された技術は、前記実施形態に制限されない。すなわち、例示的に示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。また、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。さらに、開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0087】
100 配信サーバ
101 認証処理部
102 受付部
103 格納部
104 配信制御部
105 提供部
106 バッファ部
107 アドレス管理部
108 配信部
109 時計部
110 時間管理部
111 ラップタイム時間記憶部
200 コントローラ端末
300 ビューア端末