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特開2022-111177サンプル収集のための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111177
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】サンプル収集のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20220722BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20220722BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20220722BHJP
   G01N 1/28 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
G01N1/28 J
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022087444
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2020566915の分割
【原出願日】2019-05-31
(31)【優先権主張番号】62/679,695
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519051780
【氏名又は名称】ワンジェヴィティ・ヘルス・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フア フイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル ダドリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ボディ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー イー. メイソン
(57)【要約】
【課題】サンプル収集のための方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】生物学的サンプルを収集および保存する方法およびシステムが、本明細書で提供される。上記方法およびシステムは、上記サンプルを収集するための溶解可能収集フィルムの使用、および上記フィルムを密封可能容器中に含まれる緩衝液または安定化溶液の中で溶解することを含む。上記生物学的サンプルは、マイクロバイオーム集団を含み得る。上記生物学的サンプルは、代謝産物集団を含み得る。上記生物学的サンプルは、糞便サンプル、皮膚サンプル、膣サンプル、耳サンプル、または口腔サンプルを含み得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年6月1日出願の米国仮特許出願第62/679,695号(その内容は、それらの全体において参考として援用される)に基づく利益を主張している。
【背景技術】
【0002】
背景
生体分子(例えば、サンプルからのマイクロバイオームおよび代謝産物)の検出および識別は、診断および疾患のモニタリングのために広く使用される。生体分子の安定な輸送および送達は一般に、このような分析のために必要とされる。生体分子の低コストおよび効率的な収集、貯蔵および送達は、医学的診断の分野にとって重要である。生物学的サンプルを収集および安定化する方法およびシステム、ならびに上記収集したサンプルを効率的に処理する方法が、本明細書で示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
いくつかの局面において、生物学的サンプルを保存する方法であって、上記方法は、生物学的サンプルを、溶解可能フィルム(例えば、水溶性フィルム、エタノール溶解可能フィルムなど)上に収集する工程;および上記生物学的サンプルを含む上記溶解可能フィルムを、安定化溶液中に溶解する工程であって、ここで上記安定化溶液は、密封可能容器に配置される工程を包含する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記生物学的サンプルを分析する工程をさらに包含する。
【0004】
いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルは、マイクロバイオーム集団を含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルは、代謝産物集団を含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルは、糞便サンプル、皮膚サンプル、膣サンプル、耳サンプル、または口腔サンプルを含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、ポリビニルアルコールポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、セルロースを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、ポリビニルブチラール(PVB)ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、重量で1%~30%のPVBを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、重量で30%~50%のPVBを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、重量で50%~100%のPVBを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、PVBおよびポリマー可塑剤(例えば、PVBおよび可塑剤の組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、ポリビニルアルコールポリマー、ポリマー相容化剤、およびポリマー可塑剤または糖アルコール可塑剤の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、上記ポリマー相容化剤は、セルロースエーテルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、加工デンプン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、10重量%~30重量%のポリマー相容化剤およびポリマー可塑剤または糖アルコール可塑剤を含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、重量で1%~30%のポリビニルアルコールポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、重量で30%~50%のポリビニルアルコールポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、重量で50%~100%のポリビニルアルコールポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、37℃未満の安定化溶液中で実質的に溶解性である。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、食用であるか、食品グレードであるか、化粧品グレードであるか、製薬グレードであるか、または皮膚接触に適している。
【0006】
いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、保存試薬または安定化試薬を含む。いくつかの実施形態において、上記保存試薬または安定化試薬は、高塩濃度試薬またはエタノールベースの試薬である。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、防腐試薬を含む。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、N-オクチルピリジニウムブロミド溶液を含む。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、塩化リチウム、トリスアミノメタン、エタノール、TCEP-HCl、またはこれらの組み合わせを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、上記密封可能容器の容積は、5mlより大きい。いくつかの実施形態において、上記密封可能容器の容積は、150ml未満である。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、上記生物学的サンプルを室温で15日間まで安定化する。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、上記生物学的サンプルの核酸内容物を、室温で30日間までまたは-20℃で3ヶ月間まで安定化する。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、上記生物学的サンプルのタンパク質内容物を室温で15日間まで安定化する。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、上記生物学的サンプルの代謝産物を、室温で7日間までまたは-80℃で3ヶ月間まで安定化する。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記方法は、安定化溶液および上記生物学的サンプルを含む上記密封可能容器を、研究室または検査センターに輸送するかまたは送る工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記密封可能容器は、室温で輸送されるかまたは送られる。いくつかの実施形態において、上記密封可能容器は、ドライアイス上に置いて、アイスボックスに入れて、保冷ボックス(例えば、NanoCool(登録商標)ボックス)に入れて、またはアイスパックと一緒に輸送されるかまたは送られる。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液および上記生物学的サンプルを含む上記密封可能容器は、何らかのさらなる処理の前に凍結されない。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムの表面積は、3cm×3cm~40cm×40cmである。
【0011】
いくつかの局面において、サンプル採取キットであって、生物学的サンプルの収集のための溶解可能フィルムおよび密封可能容器中の安定化溶液であって、上記安定化溶液は、上記生物学的サンプルを含む上記溶解可能フィルムを溶解し得る安定化溶液を含むキットが、本明細書で提供される。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記キットは、上記生物学的サンプルを上記溶解可能フィルム上に収集し、上記安定化溶液中に上記溶解可能フィルムを溶解するための説明書をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、個々にパッケージされる。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、パッケージ中に積み重ねられたシートセットとして提供される。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、ポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、ポリビニルブチラールを含む。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、乾燥している。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記密封可能容器は、バーコード付与されている。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、DMSO-EDTA二ナトリウム飽和塩(DESS)を含む。いくつかの実施形態において、上記安定化溶液は、エタノールを含む。
【0015】
いくつかの局面において、溶液からマイクロバイオーム集団を識別するための方法であって、上記方法は、生物学的サンプルおよび溶解した溶解可能フィルムを含む安定化溶液に対して核酸内容物分析を行う工程、ならびに上記核酸内容物分析に基づいて、上記生物学的サンプルを含む上記安定化溶液に存在する少なくとも1種の微生物を識別する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルは、上記溶解可能フィルム上に収集され、上記溶解可能フィルムは、上記核酸内容物分析を行う前に、上記安定化溶液に溶解される。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、水溶性フィルムであり得、上記安定化溶液は、水ベースであり得、その結果、上記水溶性フィルムは、上記水ベースの安定化溶液中で溶解可能である。いくつかの実施形態において、上記溶解可能フィルムは、エタノール溶解可能フィルムであり得、上記安定化溶液は、エタノールベースであり得、その結果、上記エタノール溶解可能フィルムは、上記エタノールベースの安定化溶液中で溶解可能である。
【0017】
いくつかの実施形態は、上記生物学的サンプルのマイクロバイオームプロフィールを決定する工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記マイクロバイオームプロフィールを決定する工程は、上記生物学的サンプル中で少なくとも5種の微生物、少なくとも10種の微生物、少なくとも20種の微生物、または少なくとも30種の微生物を識別することを包含する。
【0018】
いくつかの実施形態は、上記マイクロバイオーム集団に存在する少なくとも1種の微生物を識別する報告書を作成する工程をさらに包含する。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記核酸内容物分析は、上記生物学的サンプルの核酸内容物を配列決定することを包含する。いくつかの実施形態において、上記核酸内容物を配列決定することは、次世代シーケンシング、ロングリードシーケンシング、サンガーシーケンシング、ハイスループットシーケンシング、蛍光ベースのシーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応ベースのシーケンシング、またはナノポアシーケンシングを含む。いくつかの実施形態において、上記核酸内容物を配列決定することは、細菌に関しては16S V1-V2、V3-V4、もしくはV4-V5配列を;真菌に関してはITS1領域;または真核微生物に関しては18S領域を配列決定することを包含する。いくつかの実施形態において、上記核酸内容物を配列決定することは、微生物の全ゲノムを配列決定することを包含する。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記マイクロバイオーム集団を識別することは、上記生物学的サンプルを凍結することを包含しない。いくつかの実施形態において、上記マイクロバイオーム集団を識別することは、融解するステップを包含しない。いくつかの他の実施形態において、上記マイクロバイオーム集団を識別することは、融解するステップを包含する。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルおよび上記溶解した溶解可能フィルムを含む上記安定化溶液は、無傷の細胞および無傷でない細胞をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルおよび上記溶解した溶解可能フィルムを含む上記安定化溶液は、無傷でない細胞をさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記方法は、核酸内容物の精製をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記核酸内容物の精製は、核酸精製キットを使用して行われる。
【0023】
いくつかの局面において、溶液から代謝産物集団を識別するための方法であって、上記方法は、タンパク質または脂質の内容物分析を、生物学的サンプルおよび溶解した溶解可能フィルムを含む安定化溶液に対して行う工程、ならびに上記タンパク質または脂質の分析に基づいて、上記生物学的サンプルを含む上記溶液に存在する少なくとも1種の代謝産物を識別する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルは、上記溶解可能フィルム上に収集され、上記溶解可能フィルムは、上記タンパク質または脂質の分析を行う前に、上記安定化溶液に溶解される。
【0025】
いくつかの局面において、生物学的サンプルを分析するためのシステムであって、上記システムは、上記生物学的サンプルの収集のための溶解可能フィルム、および上記溶解可能フィルムを溶解するための安定化溶液を含む密封可能容器を含むサンプル採取キット、ならびに上記生物学的サンプル中で少なくとも1種の微生物または代謝産物を識別するように構成されたサンプル処理モジュールを含むシステムが、本明細書で提供される。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記サンプル処理モジュールは、イムノアッセイ、フローサイトメーター、マイクロチップ、シーケンサー、LC/MS、GC/MS、またはNMRを含む。いくつかの実施形態において、上記サンプル処理モジュールは、少なくとも1種の微生物または代謝産物を、上記微生物または上記代謝産物のレベルを検出または測定することによって識別するように構成される。いくつかの実施形態において、上記サンプル処理モジュールは、少なくとも5種の微生物もしくは代謝産物、少なくとも10種の微生物もしくは代謝産物、少なくとも20種の微生物もしくは代謝産物、または少なくとも50種の微生物もしくは代謝産物を識別するように構成される。
【0027】
援用の表示
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、および特許出願が参考として援用されることが具体的にかつ個々に示されるのと同程度まで、本明細書に参考として援用される。参考として援用される刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲まで、本明細書は、いかなるこのような矛盾した資料にとってかわるおよび/または優先することが意図される。
【0028】
本発明の新規な特徴は、添付の請求項に詳細に示される。本発明の特徴および利点のよりよい理解は、例示的実施形態を示し、その中で、本発明の原理が利用される以下の詳細な説明および添付の図面(本明細書では、「図(figure)」および「図(FIG)」とも)を参照することによって得られる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
生物学的サンプルを保存する方法であって、前記方法は、
a.生物学的サンプルを溶解可能フィルム上に収集する工程;および
b.前記生物学的サンプルを含む前記溶解可能フィルムを、安定化溶液中に溶解する工程であって、ここで前記安定化溶液は、密封可能容器中に配置される工程、
を包含する方法。
(項目2)
前記生物学的サンプルを分析する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記生物学的サンプルは、マイクロバイオーム集団を含む、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
前記生物学的サンプルは、代謝産物集団を含む、項目1または項目2に記載の方法。
(項目5)
前記生物学的サンプルは、糞便サンプル、皮膚サンプル、膣サンプル、耳サンプル、または口腔サンプルを含む、項目1~4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記溶解可能フィルムは、水溶性である、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記溶解可能フィルムは、エタノール溶解性である、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記溶解可能フィルムは、ポリビニルブチラールポリマーを含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記溶解可能フィルムは、ポリビニルアルコールポリマーを含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記溶解可能フィルムは、セルロースを含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記溶解可能フィルムは、ポリビニルブチラールポリマー、ポリマー相容化剤、および可塑剤の組み合わせを含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記溶解可能フィルムは、ポリビニルアルコールポリマー、ポリマー相容化剤、および糖アルコール可塑剤の組み合わせを含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記ポリマー相容化剤は、セルロースエーテルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、加工デンプン、またはこれらの組み合わせを含む、項目11または項目12に記載の方法。
(項目14)
前記溶解可能フィルムは、重量で10%~30%の、ポリマー相容化剤および糖アルコール可塑剤を含む、項目11~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記溶解可能フィルムは、重量で1%~30%のポリビニルブチラールポリマーを含む、項目8または11~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記溶解可能フィルムは、重量で30%~50%のポリビニルブチラールポリマーを含む、項目8または11~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記溶解可能フィルムは、重量で50%~100%のポリビニルブチラールポリマーを含む、項目8または11~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記溶解可能フィルムは、重量で1%~30%のポリビニルアルコールポリマーを含む、項目9または11~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記溶解可能フィルムは、重量で30%~50%のポリビニルアルコールポリマーを含む、項目9または11~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記溶解可能フィルムは、重量で50%~100%のポリビニルアルコールポリマーを含む、項目9または11~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記溶解可能フィルムは、37℃未満の安定化溶液中で実質的に可溶性である、項目1~20のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記溶解可能フィルムは、食用であるか、食品グレードであるか、化粧品グレードであるか、製薬グレードであるか、または皮膚接触に適している、項目1~20のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記安定化溶液は、保存試薬または安定化試薬を含む、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記保存試薬または前記安定化試薬は、高塩濃度試薬またはエタノールベースの試薬である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記安定化溶液は、防腐試薬を含む、項目1~24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
前記安定化溶液は、N-オクチルピリジニウムブロミド溶液を含む、項目1~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記安定化溶液は、塩化リチウム、トリスアミノメタン、エタノール、TCEP-HCl、またはこれらの組み合わせを含む、項目1~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記密封可能容器の容積は、5mlより大きい、項目1~27のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記密封可能容器の容積は、150ml未満である、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記安定化溶液は、室温で15日間まで前記生物学的サンプルを安定化する、項目1~29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記安定化溶液は、前記生物学的サンプルの核酸内容物を、室温で30日間までまたは-20℃で3ヶ月間まで安定化する、項目1~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記安定化溶液は、前記生物学的サンプルのタンパク質内容物を、室温で15日間まで安定化する、項目1~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記安定化溶液は、前記生物学的サンプルの代謝産物を、室温で7日間までまたは-80℃で3ヶ月間まで安定化する、項目1~32のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記安定化溶液および前記生物学的サンプルを含む前記密封可能容器を、研究室または検査センターに輸送または送る工程をさらに包含する、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記密封可能容器は、室温で輸送されるかまたは送られる、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記密封可能容器は、ドライアイス上に置いて、アイスボックスに入れて、保冷ボックスに入れて、またはアイスパックと一緒に輸送されるかまたは送られる、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記安定化溶液および前記生物学的サンプルを含む前記密封可能容器は、何らかのさらなる処理の前に凍結されない、項目1~35のいずれか1項に記載の方法。
(項目38)
前記溶解可能フィルムの表面積は、3cm×3cm~40cm×40cmである、項目1~37のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
サンプル採取キットであって、
a.生物学的サンプルの収集のための溶解可能フィルム;および
b.密封可能容器中の安定化溶液であって、前記安定化溶液は、前記生物学的サンプルを含む前記溶解可能フィルムを溶解し得る安定化溶液、
を含むキット。
(項目40)
前記生物学的サンプルを前記溶解可能フィルム上に収集し、前記安定化溶液中に前記溶解可能フィルムを溶解するための説明書をさらに含む、項目39に記載のキット。
(項目41)
前記溶解可能フィルムは、個々にパッケージされる、項目39または項目40に記載のキット。
(項目42)
前記溶解可能フィルムは、パッケージ中に積み重ねられたシートセットとして提供される、項目39~41のいずれか1項に記載のキット。
(項目43)
前記溶解可能フィルムは、ミトン、グローブまたはパウチである、項目39~41のいずれか1項に記載のキット。
(項目44)
前記溶解可能フィルムは、ポリビニルアルコールを含む、項目39~43のいずれか1項に記載のキット。
(項目45)
前記溶解可能フィルムは、ポリビニルブチラールを含む、項目39~43のいずれか1項に記載のキット。
(項目46)
前記溶解可能フィルムは、セルロースを含む、項目39~43のいずれか1項に記載のキット。
(項目47)
前記溶解可能フィルムは乾燥している、項目39~46のいずれか1項に記載のキット。
(項目48)
前記密封可能容器は、バーコード付与されている、項目39~47のいずれか1項に記載のキット。
(項目49)
前記安定化溶液は、DMSO-EDTA二ナトリウム飽和塩(DESS)を含む、項目39~48のいずれか1項に記載のキット。
(項目50)
前記安定化溶液は、エタノールを含む、項目39~48のいずれか1項に記載のキット。
(項目51)
溶液からマイクロバイオーム集団を識別するための方法であって、前記方法は、
a.生物学的サンプルおよび溶解した溶解可能フィルムを含む安定化溶液に対して核酸内容物分析を行う工程;ならびに
b.前記核酸内容物分析に基づいて、前記生物学的サンプルを含む前記安定化溶液に存在する少なくとも1種の微生物を識別する工程、
を包含する方法。
(項目52)
a.前記生物学的サンプルは、前記溶解可能フィルム上に収集される;および
b.前記溶解可能フィルムは、前記核酸内容物分析を行う前に、前記安定化溶液に溶解される、
項目51に記載の方法。
(項目53)
前記生物学的サンプルのマイクロバイオームプロフィールを決定する工程をさらに包含する、項目51または項目52に記載の方法。
(項目54)
前記マイクロバイオームプロフィールを決定する工程は、前記生物学的サンプル中で少なくとも5種の微生物、少なくとも10種の微生物、少なくとも20種の微生物、または少なくとも30種の微生物を識別することを包含する、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記マイクロバイオーム集団に存在する少なくとも1種の微生物を識別する報告書を作成する工程をさらに包含する、項目51~54のいずれか1項に記載の方法。
(項目56)
前記核酸内容物分析は、前記生物学的サンプルの核酸内容物を配列決定することを包含する、項目51~55のいずれか1項に記載の方法。
(項目57)
前記核酸内容物を配列決定することは、次世代シーケンシング、ロングリードシーケンシング、サンガーシーケンシング、ハイスループットシーケンシング、蛍光ベースのシーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応ベースのシーケンシング、またはナノポアシーケンシングを含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記核酸内容物を配列決定することは、細菌に関しては16S V1-V2、V3-V4、もしくはV4-V5配列を;真菌に関してはITS1領域;または真核微生物に関しては18S領域を配列決定することを包含する、項目51~55のいずれか1項に記載の方法。
(項目59)
前記核酸内容物を配列決定することは、微生物の全ゲノムを配列決定することを包含する、項目51~55のいずれか1項に記載の方法。
(項目60)
前記マイクロバイオーム集団を識別することは、前記生物学的サンプルを凍結することを包含しない、項目51~59のいずれか1項に記載の方法。
(項目61)
前記マイクロバイオーム集団を識別することは、融解するステップを包含しない、項目51~60のいずれか1項に記載の方法。
(項目62)
前記マイクロバイオーム集団を識別することは、融解するステップを包含する、項目51~59のいずれか1項に記載の方法。
(項目63)
前記生物学的サンプルおよび前記溶解した溶解可能フィルムを含む前記安定化溶液は、無傷の細胞および無傷でない細胞をさらに含む、項目51~62のいずれか1項に記載の方法。
(項目64)
前記生物学的サンプルおよび前記溶解した溶解可能フィルムを含む前記安定化溶液は、無傷でない細胞をさらに含む、項目51~63のいずれか1項に記載の方法。
(項目65)
前記方法は、核酸内容物の精製をさらに含む、項目51~64のいずれか1項に記載の方法。
(項目66)
前記核酸内容物の精製は、核酸精製キットを使用して行われる、項目65に記載の方法。
(項目67)
溶液から代謝産物集団を識別するための方法であって、前記方法は、
a.タンパク質または脂質の内容物分析を、生物学的サンプルおよび溶解した溶解可能フィルムを含む安定化溶液に対して行う工程;ならびに
b.前記タンパク質または脂質の分析に基づいて、前記生物学的サンプルを含む前記溶液に存在する少なくとも1種の代謝産物を識別する工程、
を包含する方法。
(項目68)
a.前記生物学的サンプルは、前記溶解可能フィルム上に収集される;および
b.前記溶解可能フィルムは、前記タンパク質または脂質の内容物分析を行う前に、前記安定化溶液に溶解される、
項目67に記載の方法。
(項目69)
生物学的サンプルを分析するためのシステムであって、前記システムは、
a.前記生物学的サンプルの収集のための溶解可能フィルム、および前記溶解可能フィルムを溶解するための安定化溶液を含む密封可能容器を含むサンプル採取キット;ならびに
b.前記生物学的サンプル中で少なくとも1種の微生物または代謝産物を識別するように構成されたサンプル処理モジュール、
を含むシステム。
(項目70)
前記サンプル処理モジュールは、イムノアッセイ、フローサイトメーター、マイクロチップ、シーケンサー、LC/MS、GC/MS、またはNMRを含む、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記サンプル処理モジュールは、少なくとも1種の微生物または代謝産物を、前記微生物または前記代謝産物のレベルを検出または測定することによって識別するように構成される、項目69または項目70に記載のシステム。
(項目72)
前記サンプル処理モジュールは、少なくとも5種の微生物もしくは代謝産物、少なくとも10種の微生物もしくは代謝産物、少なくとも20種の微生物もしくは代謝産物、または少なくとも50種の微生物もしくは代謝産物を識別するように構成される、項目71に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本明細書で記載される方法によって収集されるサンプルの品質を決定するためのプロセス、続いて、クラスター調製、配列決定、およびバイオインフォマティクスを示すフローチャートを示す。
【0030】
図2図2は、本明細書で記載される方法によって、または従来の方法によって、門レベルにおいて、サンプルに存在する微生物種の相対的存在量を示す。
【0031】
図3図3は、本明細書で記載される方法によって、または従来の方法によって、綱レベルにおいて、サンプルに存在する微生物種の分類学的構成分布を示す。
【0032】
図4図4は、本明細書で記載される方法によって、または従来の方法によって、目レベルにおいて、サンプルに存在する微生物種の分類学的構成分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
被験体(例えば、ヒト被験体)に由来するマイクロバイオームまたは代謝産物集団の識別は、上記被験体の健康状態を評価する助けになり得る。被験体には、上記マイクロバイオームおよび代謝産物集団に影響を及ぼし得る多くの宿主および環境要因がある。さらに、サンプル中で生体分子を識別するために、上記サンプルは、核酸内容物のような時間を経て生体分子の分解を減少または阻害するように、安定な様式で保存され得る。このような生体分子の収集、保存、輸送および送達は、マイクロバイオームおよび代謝産物集団の正確な分析において役割を果たし得る。生体分子の保存はまた、凍結保存が可能でないことがあるかつこのような分析のためのコストを低減する助けとなり得る遠隔領域でのサンプル採取のような状況を支援し得る。
【0034】
本開示は、生物学的サンプル(例えば、細胞、代謝産物、核酸分子、タンパク質、炭水化物および脂質)を、効率的、費用効果的および/または環境にやさしい様式で収集および保存するための方法およびシステムを企図する。さらなる処理のための、生物学的サンプルの収集のための溶解可能フィルムの使用が、本明細書で企図される。本開示の方法およびシステムはまた、サンプル完全性に影響を及ぼすまたは実質的に影響を及ぼすことなしに生物学的サンプルの都合の良い貯蔵および輸送を企図する。
【0035】
このような生物学的サンプルはしばしば、被験体(例えば、ヒト)に由来し、生物学的サンプル中でマイクロバイオームおよび代謝産物集団を識別するための生体マーカーとして有用であり得る。上記生物学的サンプルは、被験体のサンプルをいい得る。上記生物学的サンプルは、任意の数の細胞、例えば、微生物および被験体の細胞を含み得る。上記生物学的サンプルはまた、細胞の高分子のような高分子を含み得る。上記生物学的サンプルは、核酸物質、代謝産物、タンパク質、脂質または炭水化物を含み得る。
【0036】
上記生物学的サンプルは、流体サンプル(例えば、尿サンプル、膣サンプル、口腔サンプルまたは唾液サンプル)に由来し得る。上記生物学的サンプルはまた、固体サンプル(例えば、皮膚サンプル、糞便サンプルまたは耳サンプル)に由来し得る。上記生物学的サンプルは、細胞サンプルまたは無細胞サンプルであり得る。上記生物学的サンプルは、核酸内容物を含み得、その非限定的な例としては、DNA、RNA、ゲノムDNA、遺伝子もしくは遺伝子フラグメントのコード領域もしくは非コード領域、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、短い干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ウイルスRNA、リボザイム、およびcDNAが挙げられ得る。
【0037】
本明細書で開示されるフィルム物質の使用は、上記サンプルの収集を可能にし得る。あるいは、本明細書で開示されるフィルム物質の使用は、上記サンプル中の高分子の完全性の維持を提供し得る。このような高分子としては、例えば、核酸、タンパク質、脂質および代謝産物内容が挙げられ得る。
【0038】
溶解可能フィルムを使用する生物学的サンプルの収集
上記生物学的サンプルまたはその要素は、溶解可能フィルムを使用して収集され得る。サンプルは、このようなフィルムを使用して、その天然の環境から収集され得る。例えば、上記溶解可能フィルムは、皮膚サンプル、膣サンプル、糞便サンプルまたは任意の他の適切なサンプルを収集するために使用され得る。あるいは、収集したサンプルは、本開示のフィルムに移され得る。例えば、唾液サンプルまたは血液サンプルは、上記フィルムに移され得る。上記溶解可能フィルムは、ワイプ、ナプキン、ティッシュペーパーまたはスワブの形態にあり得る。
【0039】
上記溶解可能フィルムは、水溶性またはエタノール溶解性であり得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、水ベースの溶液中で、またはエタノールを含む混合物中で可溶性であり得る。上記溶解可能フィルムは、他の安定化溶液または緩衝溶液中で可溶性であり得る。このような溶液の非限定的な例としては、安定化緩衝液、細胞溶解緩衝液、エタノールベースの緩衝液などが挙げられる。上記安定化溶液は、密封可能容器の中に提供され得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、任意の適切な溶媒(例えば、アセトン、クロロホルム、イソプロパノール、メタノール、ジエチルエーテル、ヘキサン、エタノール、水、またはこれらの組み合わせ)中で溶解であり得る。いくつかの場合には、上記溶媒は、塩、酸、界面活性剤、または他の物質をさらに含み得る。
【0040】
溶解可能フィルムは、ポリビニルブチラール(PVB)を含み得る。上記溶解可能フィルムは、1~100%のPVBを含み得る。上記溶解可能フィルムは、少なくとも1%のPVBを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、100%までのPVBを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、1%~5%のPVB、1%~10%のPVB、1%~25%のPVB、1%~50%のPVB、1%~75%のPVB、1%~80%のPVB、1%~90%のPVB、1%~95%のPVB、1%~100%のPVB、5%~10%のPVB、5%~25%のPVB、5%~50%のPVB、5%~75%のPVB、5%~80%のPVB、5%~90%のPVB、5%~95%のPVB、5%~100%のPVB、10%~25%のPVB、10%~50%のPVB、10%~75%のPVB、10%~80%のPVB、10%~90%のPVB、10%~95%のPVB、10%~100%のPVB、25%~50%のPVB、25%~75%のPVB、25%~80%のPVB、25%~90%のPVB、25%~95%のPVB、25%~100%のPVB、50%~75%のPVB、50%~80%のPVB、50%~90%のPVB、50%~95%のPVB、50%~100%のPVB、75%~80%のPVB、75%~90%のPVB、75%~95%のPVB、75%~100%のPVB、80%~90%のPVB、80%~95%のPVB、80%~100%のPVB、90%~95%のPVB、90%~100%のPVB、または95%~100%のPVBを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、約1%のPVB、5%のPVB、10%のPVB、25%のPVB、50%のPVB、75%のPVB、80%のPVB、90%のPVB、95%のPVB、または100%のPVBを含み得る。
【0041】
いくつかの場合には、溶解可能フィルムは、PVBに加えて、またはPVBの代わりに、エタノール溶解性ポリマーを含み得る。
【0042】
溶解可能フィルムは、ポリビニルアルコール(PVA)ポリマーを含み得る。上記溶解可能フィルムは、1~100%のPVAを含み得る。上記溶解可能フィルムは、少なくとも1%のPVAを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、100%までのPVAを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、1%~5%のPVA、1%~10%のPVA、1%~25%のPVA、1%~50%のPVA、1%~75%のPVA、1%~80%のPVA、1%~90%のPVA、1%~95%のPVA、1%~100%のPVA、5%~10%のPVA、5%~25%のPVA、5%~50%のPVA、5%~75%のPVA、5%~80%のPVA、5%~90%のPVA、5%~95%のPVA、5%~100%のPVA、10%~25%のPVA、10%~50%のPVA、10%~75%のPVA、10%~80%のPVA、10%~90%のPVA、10%~95%のPVA、10%~100%のPVA、25%~50%のPVA、25%~75%のPVA、25%~80%のPVA、25%~90%のPVA、25%~95%のPVA、25%~100%のPVA、50%~75%のPVA、50%~80%のPVA、50%~90%のPVA、50%~95%のPVA、50%~100%のPVA、75%~80%のPVA、75%~90%のPVA、75%~95%のPVA、75%~100%のPVA、80%~90%のPVA、80%~95%のPVA、80%~100%のPVA、90%~95%のPVA、90%~100%のPVA、または95%~100%のPVAを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、約1%のPVA、5%のPVA、10%のPVA、25%のPVA、50%のPVA、75%のPVA、80%のPVA、90%のPVA、95%のPVA、または100%のPVAを含み得る。
【0043】
いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、PVA、ポリマー相容化剤および可塑剤(例えば、ポリマー可塑剤)の組み合わせを含む。ポリマー相容化剤は、溶解可能フィルムにおける透明性を増大させるために、上記フィルムに添加され得る。可塑剤は、溶解可能フィルムにおける可塑性および/または可撓性を促進するために、上記フィルム添加され得る。
【0044】
ポリマー相容化剤の非限定的な例としては、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)および加工ポリマー(例えば、酸加工ヒドロキシエチルデンプン(acid-modified hydroxyethyl starch)およびヒドロキシプロピル化デンプン)が挙げられる。
【0045】
糖アルコール可塑剤の非限定的な例としては、マンニトール、イソマルト、ソルビトール、アドニトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、エリスリトール、ズルシトールおよびマルチトールが挙げられる。いくつかの場合には、糖アルコール可塑剤は、本明細書で記載されるとおりの物質の組み合わせであり得る。
【0046】
このような実施形態において、上記溶解可能フィルムは、10~30重量%の、ポリマー相容化剤および糖アルコール可塑剤の組み合わせを含み得る。上記溶解可能フィルムは、約2%~約5%、約2%~約10%、約2%~約20%、約2%~約30%、約2%~約40%、約5%~約10%、約5%~約20%、約5%~約30%、約5%~約40%、約10%~約20%、約10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約30%、約20%~約40%、または約30%~約40%の、ポリマー相容化剤および糖アルコール可塑剤を含み得る。上記溶解可能フィルムは、約2%、約5%、約10%、約20%、約30%、または約40%の、ポリマー相容化剤および糖アルコール可塑剤を含み得る。
【0047】
いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%または25%のポリマー相容化剤を含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%または25%の糖アルコール可塑剤を含み得る。
【0048】
場合によっては、上記溶解可能フィルムは、セルロースを含み得る。上記溶解可能フィルムは、1~100%のセルロースを含み得る。上記溶解可能フィルムは、少なくとも1%のセルロースを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、100%までのセルロースを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、1%~5%のセルロース、1%~10%のセルロース、1%~25%のセルロース、1%~50%のセルロース、1%~75%のセルロース、1%~80%のセルロース、1%~90%のセルロース、1%~95%のセルロース、1%~100%のセルロース、5%~10%のセルロース、5%~25%のセルロース、5%~50%のセルロース、5%~75%のセルロース、5%~80%のセルロース、5%~90%のセルロース、5%~95%のセルロース、5%~100%のセルロース、10%~25%のセルロース、10%~50%のセルロース、10%~75%のセルロース、10%~80%のセルロース、10%~90%のセルロース、10%~95%のセルロース、10%~100%のセルロース、25%~50%のセルロース、25%~75%のセルロース、25%~80%のセルロース、25%~90%のセルロース、25%~95%のセルロース、25%~100%のセルロース、50%~75%のセルロース、50%~80%のセルロース、50%~90%のセルロース、50%~95%のセルロース、50%~100%のセルロース、75%~80%のセルロース、75%~90%のセルロース、75%~95%のセルロース、75%~100%のセルロース、80%~90%のセルロース、80%~95%のセルロース、80%~100%のセルロース、90%~95%のセルロース、90%~100%のセルロース、または95%~100%のセルロースを含み得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、約1%のセルロース、5%のセルロース、10%のセルロース、25%のセルロース、50%のセルロース、75%のセルロース、80%のセルロース、90%のセルロース、95%のセルロース、または100%のセルロースを含み得る。場合によっては、上記溶解可能フィルムは、PVAおよびセルロースを含み得る。
【0049】
場合によっては、上記溶解可能フィルムは、天然に存在する水溶性ポリマーを含み得る。天然に存在する水溶性ポリマーの非限定的な例としては、中でも、キサンタンガム、グアールガム、水溶性ポリマー誘導体(例えば、ヒドロキシプロピル化デンプンおよびエトキシル化デンプン)が挙げられる。
【0050】
場合によっては、上記溶解可能フィルムは、エタノール溶解性ポリマーを含み得る。エタノール溶解性ポリマーの非限定的な例としては、中でも、ポリ-イソブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、およびエチルセルロースが挙げられ得る。
【0051】
場合によっては、上記溶解可能フィルムは、食用であるか、食品グレードであるか、化粧品グレードであるか、または製薬グレードである。上記溶解可能フィルムは、皮膚生成物との直接接触に対して安全であり得る。
【0052】
場合によっては、上記溶解可能フィルムは、ワイプ、例えば、クレンジングワイプとして使用され得る。
【0053】
場合によっては、上記溶解可能フィルムは、少なくとも3cm×3cm、5cm×5cm、10cm×10cm、15cm×15cm、20cm×20cm、25cm×25cm、または30cm×30cmであり得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、10cm×10cm、15cm×15cm、20cm×20cm、25cm×25cm、30cm×30cm、35cm×35cm、または40cm×40cmまでであり得る。場合によっては、上記溶解可能フィルムは、正方形、矩形、円形、または別の形状であり得る。このような溶解可能フィルムは、少なくとも10cm、20cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、100cm、150cm、200cm、250cm、または300cmの面積を有し得る。いくつかの場合には、このような溶解可能フィルムは、20cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、100cm、150cm、200cm、250cm、300cm、または400cmまでの面積を有し得る。
【0054】
場合によっては、上記溶解可能フィルムは、実質的に透明または半透明であり得る。例えば、上記フィルムは、約50μm~3mm、50μm~2.28mm、50μm~2mm、50μm~1mm,50μm~500μm、50μm~100μm、100μm~3mm、100μm~2.28mm、100μm~2mm、100μm~1mm、100μm~500μm、500μm~3mm、500μm~2.28mm、500μm~2mm、500μm~1mm、1mm~3mm、1mm~2.28mm、1mm~2mm、2mm~3mm、2mm~2.28mm、または2.28mm~3mmの厚みへとキャストされ得る。
【0055】
いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、平らなシートまたは表面加工(textured)シートであり得る。上記溶解可能フィルムは、二層化され得る。その2枚の層は、1、2、3、4、5、6、またはこれより多くの側面に付着され得る。いくつかの場合には、付着される側面の数は、フィルムの形状に依存し得る。例えば、形状が三角形である二層化フィルムは、1、2、または3つの側面に付着され得る。形状が矩形である二層化フィルムは、1、2、3、または4つの側面に付着され得る。五角形である二層化フィルムは、1、2、3、4または5つの側面に付着され得る。形状が六角形であるフィルムは、1、2、3、4、5または6つの側面に付着され得る。いくつかの場合には、二層化フィルムは、6つより多くの側面を有し得、上記側面のうちのいずれかまたは全てに付着され得る。いくつかの場合には、二層化溶解可能フィルムは、ミトン、グローブ、またはパウチ形状を形成し得る。上記ミトン、グローブ、またはパウチは、指1本、指2本、指3本、指4本、手の少なくとも一部、または手全体を覆い得る。このような場合に、第1の層は、指の頂部、指、または手にフィットし得、その一方で第2の層は、指の基部、指、または手にフィットし得る。上記ミトン、グローブ、またはパウチは、空洞、上記空洞へのアクセスを提供する開口部を含んでいてもよく、ここで上記開口部および/または空洞は、手の少なくとも一部を受容するように構成される。いくつかの場合には、二層化フィルムは、3、4、5またはこれより多くの層を有し得る。
【0056】
いくつかの場合には、上記フィルムは、色差計によって決定される場合、約90%、80%、70%、60%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、またはこれより低い測定された不透明性を有し得る。いくつかの場合には、上記フィルムは、褐色、白色、または無色であり得る。
【0057】
場合によっては、上記溶解可能フィルムは、安定化溶液または緩衝溶液中で、室温で実質的に溶解性である。安定化溶液中での溶解可能フィルムの加水分解の程度は、少なくとも50%であり得る。安定化溶液中での溶解可能フィルムの加水分解の程度は、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%であり得る。溶解可能フィルムの加水分解の程度は、約100%であり得る。部分的に加水分解される場合、上記安定化溶液は、ビニルアセテートユニットを含み得る。
【0058】
場合によっては、加水分解の程度は、温度に依存し得る。例えば、上記フィルムは、37℃の温度で上記安定化溶液へと完全に溶解し得る。場合によっては、フィルムは、約1.0~2.0mmの厚みにキャストされる場合、20℃~40℃の間の温度において2分間未満で、安定化溶液中に溶解することができてもよい。いくつかの場合には、1.0~2.0mm厚のフィルムは、20℃~40℃の間の温度において、40秒未満、50秒未満、1分未満、2分未満または5分未満で、安定化溶液中で溶解することができてもよい。
【0059】
生物学的サンプルを保存しかつ安定化する溶液
本明細書で考察される上記溶解可能フィルムは、好ましくは、生物学的サンプルを安定化する/保存するために、溶解されるかまたは実質的に溶解される。これは、上記フィルム(例えば、ワイプ)をとって、安定化溶液または緩衝溶液中に入れることによって起こり得る。
【0060】
生物学的サンプルを含む上記溶解可能フィルムは、溶解したサンプル組成物を形成する安定化溶液中に溶解され得るかまたは実質的に溶解され得る。このような溶解は、上記安定化溶液、上記溶解したフィルムおよび上記生物学的サンプルを含む、溶解したサンプル組成物を生じ得る。
【0061】
上記安定化溶液は、1またはこれより多くの構成要素または試薬を含み得る。ある場合には、安定化溶液は、安定化試薬を含み得る。安定化試薬は、保存試薬、キレート化剤、カオトロピック剤、有機溶媒、界面活性剤、タンパク質添加剤、イオン交換因子、還元剤、酸化剤、フリーラジカルスカベンジャーまたはこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの場合には、安定化剤は、保存剤であり得、キレート化剤、カオトロピック剤、有機溶媒、界面活性剤、タンパク質添加剤、イオン交換因子、還元剤、酸化剤、フリーラジカルスカベンジャーまたはこれらの組み合わせを含み得る。上記安定化溶液は、容積で、少なくとも約0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、5%、7%、8.5%、10%、12.5%、15%、17%または20%の安定化試薬を含み得る。保存試薬の例としては、アジ化ナトリウム、硫酸ストレプトマイシン、パラベン、エチレングリコールモノフェニルエーテルおよびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
保存試薬または安定化試薬は、高塩濃度試薬であり得る。塩の非限定的な例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム塩二水和物、クエン酸ナトリウムの三ナトリウム塩二水和物、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、グアニジンイソチオシアン酸塩またはクエン酸ナトリウムが挙げられる。上記安定化溶液は、塩の組み合わせを有し得る。上記安定化溶液は、容積で、少なくとも約0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、5%、7%、8.5%、10%、12.5%、15%、17%または20%の塩を含み得る。上記安定化溶液は、塩の組み合わせを含み得る。上記安定化溶液は、容積で、少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%または30%の、塩の組み合わせを含み得る。
【0063】
いくつかの場合には、高塩濃度保存試薬または安定化試薬は、多量の塩化マグネシウムを含み得る。高塩濃度保存試薬または安定化試薬は、1つのタイプの塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化マグネシウム)または1もしくはこれより多くのタイプの塩(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化マグネシウム)を含み得る。高塩濃度保存試薬または安定化試薬は、さらなる塩が顕著に溶解しなくてもよいように、塩で飽和または実質的に塩で飽和され得る。
【0064】
高塩濃度保存試薬または安定化試薬は、EDTA二ナトリウムを含み得る。いくつかの場合には、高塩濃度保存試薬または安定化試薬は、少なくとも0.05M、0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、または0.35MのEDTA二ナトリウムを含み得る。いくつかの場合には、高塩濃度保存試薬または安定化試薬は、0.2M以下、0.25M以下、0.3M以下、0.35M以下、0.4M以下、0.45M以下、または0.5M以下のEDTA二ナトリウムを含み得る。
【0065】
高塩濃度保存試薬または安定化試薬は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%のDMSOを含み得る。いくつかの場合には、高塩濃度保存試薬または安定化試薬は、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、または50%以下のDMSOを含み得る。
【0066】
いくつかの場合には、高塩濃度安定化試薬は、DESS(DMSO-EDTA二ナトリウム飽和塩)試薬であり得る。例えば、DESS試薬は、0.25MのEDTA二ナトリウム、20%のDMSO、および飽和塩化ナトリウムを含み得る。
【0067】
いくつかの場合には、高塩濃度安定化試薬は、PVAまたはセルロースを含むフィルムを溶解し得る。いくつかの場合には、PVAまたはセルロースを含むフィルムは、少なくとも約1mL、5mL、10mL、15mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、または50mLの高塩濃度安定化試薬中に溶解し得る。いくつかの場合には、水ベースの試薬は、PVAまたはセルロースを含むフィルムを溶解し得る。いくつかの場合には、PVAまたはセルロースを含むフィルムは、少なくとも約1mL、5mL、10mL、15mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、または50mLの水ベースの試薬に溶解し得る。
【0068】
上記安定化溶液は、有機溶媒ベースの溶液であり得る。本明細書で企図される有機溶媒ベースの溶液の例としては、エタノール、メタノール、DMSO等を含む緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、安定化溶液は、水ベースの溶液であってもよい。
【0069】
緩衝液または安定化溶液は、エタノールベースの保存試薬または安定化試薬であり得るかまたはそれら試薬を含み得る。エタノールベースの保存試薬または安定化試薬は、多量のエタノールを含み得る。いくつかの場合には、エタノールベースの保存試薬または安定化試薬は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%のエタノールを含み得る。いくつかの場合には、エタノールベースの保存試薬または安定化試薬は、70%以下、75%以下、80%以下、85%以下、90%以下、95%以下、または99%以下のエタノールを含み得る。エタノールベースの保存試薬または安定化試薬は、70%~100%の間、80%~100%の間、90%~100%の間、70%~99%の間、75%~99%の間、80%~99%の間、85%~99%の間、90%~99%の間、95%~99%の間、75%~95%の間、80%~95%の間、85%~95%の間、または90%~95%の間のエタノールを含み得る。いくつかの場合には、エタノールベースの保存試薬または安定化試薬は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、塩化マグネシウム、および/または塩化ナトリウムをさらに含み得る。
【0070】
いくつかの場合には、エタノールベースの安定化試薬は、PVBを含むフィルムを溶解し得る。いくつかの場合には、PVBを含むフィルムは、少なくとも約1mL、5mL、10mL、15mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、または50mLのエタノールベースの安定化試薬に溶解し得る。
【0071】
保存試薬または安定化試薬を含む緩衝液または安定化溶液は、容積で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の保存試薬または安定化試薬であり得る。
【0072】
いくつかの場合には、上記保存試薬または安定化試薬は、エタノールであり得る。いくつかの場合には、エタノールベースの保存試薬または安定化試薬は、少なくとも約70%、80%、90%、95%、または100%のエタノールであり得る。いくつかの場合には、エタノールベースの保存試薬または安定化試薬は、約70%以下、80%以下、90%以下、95%以下、または100%以下のエタノールであり得る。
【0073】
いくつかの場合には、安定化溶液を含む緩衝溶液は、水ベースであり得る。このような場合には、PVAまたはセルロースを含むフィルムは、このような安定化溶液中に溶解し得る。
【0074】
いくつかの場合には、エタノール安定化溶液を含む安定化溶液は、エタノールベースであり得る。このような場合には、PVBを含むフィルムは、このような安定化溶液中に溶解し得る。
【0075】
場合によっては、安定化溶液または緩衝溶液は、OMNIgene(登録商標)・GUT、RNAlaterTM、Longmire緩衝液、またはCary-Blair培地のうちの1つである。
【0076】
場合によっては、上記安定化溶液は、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、TCEP-HCl、N-オクチルピリジニウムブロミド溶液、防腐試薬またはこれらの組み合わせのようなさらなる構成要素を含み得る。上記安定化溶液は、容積で、1%、5%、10%、15%、20%または30%までのさらなる構成要素を含み得る。
【0077】
安定化または緩衝溶液は、ある範囲のpHを有し得る。場合によっては、安定化溶液は、少なくともまたは大きくても4、4.5、5.0、5.5、5.9、6.0、6.2、6.5、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、9.0、9.2、9.5、9.7、10.0、10.2、10.5、10.7、11.0、11.2、11.5、11.7または12.0のpHを有する。上記安定化要因のためのpHは、酸性または塩基性試薬を使用して調節され得る。
【0078】
上記安定化溶液または緩衝溶液は、生物学的サンプル(例えば、核酸、代謝産物、タンパク質、細胞および細胞向性要素のような高分子)を効果的に安定化することができてもよい。効果的な安定化は、サンプル完全性の維持を提供し得、その結果、例えば、含まれる生物学的サンプルの最初の量のうちの少なくとも約50%が、上記サンプルを室温で貯蔵した後にまたは特定のもしくは所定の期間にわたって凍結した後になお存在する。例えば、高分子は、上記安定化溶液中、少なくとも1日間、5日間、10日間、15日間、20日間または少なくとも30日間、室温で安定であり得る。高分子は、上記安定化溶液中、少なくとも10日間、20日間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間または5ヶ月間、-20℃で安定であり得る。高分子は、上記安定化溶液中、少なくとも15日間、30日間、2ヶ月間、3ヶ月間、5ヶ月間、10ヶ月間、または1年まで、-80℃で安定であり得る。
【0079】
上記溶解したサンプル組成物中での上記サンプル完全性の維持は、上記組成物を凍結することを要求しても、しなくてもよい。上記安定化溶液および上記生物学的サンプルを含む上記溶解したサンプル組成物は、何らかのさらなる処理の前に、凍結される必要はなくてもよい。いくつかの場合には、上記溶解したサンプル組成物は、さらなる処理の前に1回凍結されてもよい。いくつかの場合には、上記溶解したサンプル組成物は、凍結の際に安定であり得る。いくつかの場合には、上記溶解したサンプル組成物は、処理する前に、複数回凍結および融解され得る。多数回の凍結融解サイクルは、上記溶液中で細胞を溶解するために行われてもよい。
【0080】
上記生物学的サンプルを含む上記溶解可能フィルムは、被験体によって安定化溶液の中に溶解され得る。上記溶解可能フィルムは、機械的溶解法(例えば、ボルテックス、振盪(shaking)、揺動(rocking)、転倒混和、回転、および/または浸漬)を使用して、上記安定化溶液の中に溶解され得る。いくつかの場合には、上記安定化溶液へと上記フィルムを溶解するために、さらなる機械的溶解法は必要とされず、上記生物学的サンプルを含むフィルムの浸漬は、上記フィルムを溶解または実質的に溶解するために十分であり得る。
【0081】
場合によっては、上記密封可能容器は、密封後の輸送の間に漏れないまたは実質的に漏れない、任意の従来から使用される密封可能容器であり得る。密封可能容器の非限定的な例としては、バイアル、チューブ、遠心分離チューブ、収集チューブ、ファルコンチューブ、Sarstedt糞便収集チューブおよび他の適切な容器が挙げられる。
【0082】
上記密封可能容器の容量は、少なくとも1mlであってもよい。上記密封可能容器の容量は、1ml、5ml、10ml、20ml、50ml、100mlまたは150mlより大きくてもよい。上記密封可能容器の容量は、少なくとも1ml、5ml、10ml、20ml、50ml、100ml、150mlまたは200mlであってもよい。上記密封可能容器の容量は、最大で1ml、5ml、10ml、20ml、50ml、100ml、150mlまたは200mlであってもよい。
【0083】
いくつかの場合には、密封可能容器は、少なくとも1mlの緩衝液または安定化溶液の容積を含み得る。安定化溶液の容積は、少なくとも約1ml、5ml、10ml、20ml、50ml、100mlまたは150mlであり得る。安定化溶液の容積は、約1ml以下、5ml以下、10ml以下、20ml以下、50ml以下、100ml以下、150ml以下または200ml以下であり得る。安定化溶液の容積は、少なくとも約1ml、5ml、10ml、20ml、50ml、100mlまたは150mlであり得る。安定化溶液の容積は、約1ml以下、5ml以下、10ml以下、20ml以下、50ml以下、100ml以下、150ml以下または200ml以下であり得る。
【0084】
ある容積の緩衝液または安定化溶液は、フィルムを溶解し得る。いくつかの場合には、ある容積の緩衝溶液または安定化試薬は、少なくとも3mm×3mm、少なくとも5mm×5mm、少なくとも10mm×10mm、または少なくとも40mm×40mmであるフィルムを溶解し得る。
【0085】
ある容積の緩衝液または安定化溶液は、最大で約10秒間、30秒間、または60秒間にわたって、フィルムを溶解し得る。ある容積の緩衝液または安定化溶液は、最大で約1分間、5分間、10分間、30分間、または60分間にわたって、フィルムを溶解し得る。
【0086】
場合によっては、上記安定化溶液、上記生物学的サンプルおよび上記溶解した溶解可能フィルムを含む上記溶解したサンプル組成物は、上記生物学的サンプルに由来する無傷の細胞を含み得る。上記溶解したサンプル組成物はまた、無傷でない細胞を含み得る。いくつかの場合には、無傷の細胞は、ワイプを溶解することによって顕著に乱されない。
【0087】
サンプル処理
本明細書で示される方法およびシステムは、溶液から、マイクロバイオームまたは代謝産物集団を識別するために使用され得る。マイクロバイオーム集団の識別は、核酸内容物分析を生物学的サンプルに対して行うことを包含し得る。上記生物学的サンプルは、溶解したサンプル組成物中に存在し得る。上記溶解したサンプル組成物は、上記生物学的サンプルおよび溶解した溶解可能フィルムを含む安定化溶液を含み得る。上記方法は、上記核酸内容物分析に基づいて、上記溶解したサンプル組成物に存在する少なくとも1種の微生物を識別する工程を包含し得る。上記方法は、上記生物学的サンプルのマイクロバイオームプロフィールを決定する工程を包含し得る。
【0088】
上記生物学的サンプルのマイクロバイオームプロフィールを決定する工程は、少なくとも1種の微生物を識別することを包含し得る。上記生物学的サンプルのマイクロバイオームプロフィールを決定する工程は、少なくとも5種の微生物、少なくとも10種の微生物、少なくとも20種の微生物、少なくとも30種の微生物、少なくとも50種の微生物、少なくとも100種の微生物、少なくとも200種の微生物または少なくとも500種の微生物の識別を包含し得る。上記生物学的サンプルのマイクロバイオームプロフィールを決定する工程は、上記生物学的サンプルに存在する微生物の属または種を識別することを包含し得る。上記生物学的サンプルのマイクロバイオームプロフィールを決定する工程は、少なくとも1つの属、少なくとも5つの属、少なくとも10の属、少なくとも20の属、少なくとも30の属、少なくとも50の属、少なくとも100の属、少なくとも200の属または少なくとも500の属の識別を包含し得る。
【0089】
生物学的サンプルのマイクロバイオームプロフィールを決定する工程は、核酸内容物の分析を包含し得る。場合によっては、上記核酸内容物分析は、上記生物学的サンプルの核酸内容物を配列決定することを包含し得る。上記核酸内容物を決定することは、次世代シーケンシング、ロングリードシーケンシング、サンガーシーケンシング、ハイスループットシーケンシング、蛍光ベースのシーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応ベースのシーケンシングまたはナノポアシーケンシングを含み得る。
【0090】
場合によっては、上記核酸内容物を配列決定することは、上記生物学的サンプル中の微生物の全ゲノムを配列決定することを包含する。上記核酸内容物を配列決定することは、細菌の識別のために16S配列を配列決定することを包含し得る。いくつかの場合には、上記核酸内容物において16S配列のV1、V2、V3、V4またはV5領域、またはこれらの組み合わせを配列決定することが行われ得る。上記核酸内容物を配列決定することは、真菌の識別のために、ITS1配列領域を配列決定することを包含し得る。上記核酸内容物を配列決定することは、真核微生物の識別のために、18S配列を配列決定することを包含し得る。いくつかの場合には、上記核酸内容物において18S配列のV4領域を配列決定することが行われ得る。
【0091】
いくつかの場合には、上記核酸内容物の分析は、精製を要し得る。核酸内容物の精製は、核酸精製キットを使用して行われ得る。上記核酸精製キットは、任意の従来の核酸精製キット、例えば、DNA精製キットまたはRNA精製キットであり得る。
【0092】
本明細書で示される方法およびシステムは、溶液から代謝産物集団を識別するために使用され得る。代謝産物集団の識別は、タンパク質または脂質の内容物分析を、生物学的サンプルに対して行うことを包含し得る。上記方法は、上記タンパク質または脂質の内容物分析に基づいて、上記溶解したサンプル組成物に存在する少なくとも1種の代謝産物を識別する工程を包含し得る。上記方法は、上記生物学的サンプルの代謝産物プロフィールを決定する工程を包含し得る。
【0093】
場合によっては、上記生物学的サンプルの代謝産物プロフィールを決定する工程は、少なくとも1種の代謝産物を識別することを包含し得る。上記生物学的サンプルの代謝産物プロフィールを決定する工程は、少なくとも5種の代謝産物、少なくとも10種の代謝産物、少なくとも20種の代謝産物、少なくとも30種の代謝産物、少なくとも50種の代謝産物、少なくとも100種の代謝産物、少なくとも200種の代謝産物または少なくとも500種の代謝産物の識別を包含し得る。
【0094】
生物学的サンプル中での上記マイクロバイオームまたは代謝産物集団の決定は、上記生物学的サンプルのタンパク質または脂質の内容を分析することによって行われ得る。いくつかの場合には、上記タンパク質または脂質の内容は、精製され得る。タンパク質または脂質の内容の精製は、タンパク質または脂質の精製キットを使用して行われ得る。上記タンパク質または脂質の精製キットは、任意の従来のタンパク質または脂質の精製キットであり得る。
【0095】
いくつかの場合には、上記マイクロバイオームまたは代謝産物集団を識別する工程は、上記生物学的サンプルまたは上記生物学的サンプルを含む上記溶解したサンプル組成物を凍結および融解することを包含しなくてもよい。あるいは、上記マイクロバイオームまたは代謝産物集団の識別は、1回またはこれより多くの凍結および融解ステップを含んでいてもよい。
【0096】
サンプル採取キット
生物学的サンプルを分析するための1またはこれより多くのシステムは、本明細書で示される。上記1またはこれより多くのシステムは、サンプル採取キットを含み得る。いくつかの局面において、生物学的サンプルを収集および保存するために使用され得るサンプル採取キットは、本明細書で示される。サンプル採取キットは、生物学的サンプルの収集のための溶解可能フィルムを含み得る。上記溶解可能フィルムは、本明細書で先に記載されるとおりの水溶性フィルムまたはエタノール溶解可能フィルムであり得る。上記キットはまた、サンプル収集のための密封可能容器を含み得る。上記キットは、緩衝液または安定化溶液を含み得る。いくつかの場合には、上記密封可能容器は、緩衝液または安定化溶液を含み得る。キット中の溶解可能フィルムは、その同じキットの中の安定化溶液中で溶解可能であり得る。いくつかの場合には、キットは、保存試薬または安定化試薬を含み得る。上記保存試薬または安定化試薬は、上記緩衝液または安定化溶液と予め混合され得るか、または上記緩衝液または安定化溶液とは別個であり得る。キット中の保存試薬または安定化試薬は、その同じキットの中の緩衝液または安定化溶液中で可溶性または混和性であり得る。
【0097】
いくつかの場合には、キット中の上記水溶性フィルムは、本明細書で記載されるように、PVAまたはセルロースを含み得る。このような場合には、上記キットは、水ベースの緩衝液または安定化溶液を含み得る。いくつかの場合には、上記キットは、DESSを含み得る。
【0098】
いくつかの場合には、キット中の上記エタノール溶解可能フィルムは、本明細書で記載されるように、PVBを含み得る。このような場合には、上記キットは、エタノールベースの安定化溶液を含み得る。いくつかの場合には、上記キットは、95%のエタノールを含み得る。
【0099】
上記緩衝液または安定化溶液は、上記密封可能容器の中にパッケージされ得る。被験体は、生物学的サンプルを収集する溶解可能フィルムを使用し得、次いで、上記フィルムを、上記安定化溶液を含む上記密封可能容器の中に入れ得る。あるいは、上記安定化溶液は、別個にパッケージされ得る。被験体は、サンプル(例えば、生物学的サンプル)を収集する上記溶解可能フィルムを使用し得る。上記別個にパッケージされた安定化溶液は、上記キット中の密封可能容器の中に空にされ得る。上記溶解可能なワイプと上記サンプルとは、次いで、上記密封可能容器中の安定化溶液へと溶解され得る。
【0100】
上記溶解したサンプル組成物は、研究室または検査センターに輸送され得るか、または送られ得る。場合によっては、上記密封可能容器は、室温で輸送されるか、または送られる。あるいは、上記密封可能容器は、ドライアイス上に置いて、アイスボックスに入れて、保冷ボックスに入れて、またはアイスパックと一緒に輸送されるかまたは送られる。
【0101】
上記キットおよび上記密封可能容器は、固有に識別可能であり得る。いくつかの場合には、上記キットおよび上記密封可能容器は、バーコード付与され得る。上記バーコードは、上記生物学的サンプルを被験体に関連付けるために使用され得る。
【0102】
場合によっては、上記キットは、1回のサンプル収集のための材料を含む。あるいは、上記キットは、多数回のサンプル収集のための材料を含み得る。上記溶解可能フィルムは、乾燥してパッケージされ得る。あるいは、上記溶解可能フィルムは、上記フィルムを溶解せずかつパッケージ内でこれを安定に保持する溶液中にパッケージされ得る。
【0103】
場合によっては、上記サンプル採取キットは、個人使用のために被験体によって使用され得る。例えば、個人は、上記サンプル自体を収集し得、それを診断のために研究室に発送し得る。あるいは、上記サンプル採取キットは、上記キット材料が被験体に提供されるか、または訓練された専門家によって被験体からサンプルを収集するために提供される、研究室またはクリニックまたは病院環境において使用され得る。いくつかの場合には、上記溶解可能フィルムは、個々にパッケージされ得る。上記溶解可能フィルムは、密封されたパケットまたはサシェの中にあり得る。あるいは、上記溶解可能フィルムは、積み重ねられたまたはロール状にされたシートセットとして、密封されたパッケージの中で提供され得る。
【0104】
上記1またはこれより多くのシステムは、1またはこれより多くのサンプル処理モジュールを含み得る。サンプル処理モジュールは、上記生物学的サンプル中で少なくとも1種の微生物または代謝産物を識別するように構成され得る。
【0105】
上記1またはこれより多くのサンプル処理モジュールは、マイクロバイオームまたは代謝産物集団の識別のためのアッセイを行うように構成され得る。このようなアッセイまたはプロセスの非限定的な例としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リアルタイムPCR(RT-PCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)、配列決定、リガーゼ連鎖反応、核酸ライブラリー作製、鎖置換増幅、遺伝子型決定、ELISA、マイクロアレイ、蛍光分析アッセイ、質量分析、HPLCまたは他のアッセイが挙げられる。上記1またはこれより多くのサンプル処理モジュールは、イムノアッセイ、フローサイトメーター、マイクロチップ、シーケンサー、LC/MS、GC/MSまたはNMRを提供し得る。
【0106】
マイクロバイオームの識別の方法およびシステムは、微生物(例えば、細菌、古細菌、真菌およびウイルス)の識別を含み得る。マイクロバイオームの識別の方法およびシステムは、属レベルでの識別を含み得る。識別され得る微生物の属の非限定的例としては、中でも、Bacteroides、Sutterella、Faecalibacterium、Parabacteroides、Phascolarctobacterium、Dialister、Flavonifractor、Lachnospira、Blautia、Megasphaera、Coprococcus、Anaerostipes、Coprobacillus、Catenibacterium、Dorea、Hungatella、Holdemanella、Erysipelatoclostridium、Eisenbergiella、Escherichia、Lachnoclostridium、Fusobacterium、Bifidobacterium、Anaerotruncus、Streptococcus、Prevotella、Subdoligranulum、Alloprevotella、Megamonas、Roseburia、Barnesiella、Desulfovibrio、Alistipes、RuminococcusおよびOdoribacterが挙げられる。いくつかの場合には、微生物は、門レベルで識別され得る。識別され得る門の非限定的な例としては、中でも、Bacteroidetes、Firmicutes、Proteobacteria、Verrucomicrobia、Actinobacteria、Fusobacteria、およびCyanobacteriaが挙げられる。いくつかの場合には、微生物は、種レベルで識別され得る。
【0107】
マイクロバイオームの識別の方法およびシステムは、被験体から回収した生物学的サンプル中での代謝産物の識別を包含し得る。上記代謝産物は、種々の供給源、例えば、腸、皮膚、口腔および糞便の代謝産物に由来し得る。代謝産物の非限定的な例としては、胆汁酸(例えば、コール酸、デオキシコール酸、およびリトコール酸)、メチルアミン(例えば、トリメチルアミン(TMA)、トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO))、ポリフェノール類(例えば、カテキン、エンテロジオールおよびエンテロラクトン)、インドール(例えば、3-メチルインドール)、単鎖脂肪酸(例えば、アセテート、ブチレートおよびプロピオネート)、ポリアミン(例えば、スペルミジン、スペルミンおよびプトレッシン)、およびビタミン(例えば、ビタミンB12、葉酸など)が挙げられる。
【0108】
いくつかの場合には、上記マイクロバイオームまたは代謝産物プロフィールの決定は、上記被験体において疾患または状態の診断をもたらし得る。上記被験体は、種々の微生物および代謝産物の宿主となり得る。上記被験体は、彼らの身体上または身体の中で、種々の生息場所において異なるマイクロバイオームおよび代謝産物を有し得る。上記被験体は、疾患の高リスクにあると診断され得るかまたは疑われ得る。上記被験体は、疾患に寄与しているマイクロバイオームまたは代謝産物状態を有し得る。いくつかの場合には、上記被験体は、必ずしも、上記疾患の高リスクにあると診断されていないかまたは疑われていない。場合によっては、被験体は、感染症に罹患しているか、または感染症を発生させるかまたは感染症を他者に伝染させるリスクにある。
【0109】
生物学的サンプルのマイクロバイオームおよび代謝産物集団の決定には、報告書を作成することが続き得る。報告書は、上記生物学的サンプルの上記マイクロバイオーム集団に存在する少なくとも1種の微生物または1種の属の識別後に作成され得る。いくつかの場合には、報告書は、上記生物学的サンプルに存在する少なくとも1タイプの代謝産物の識別後に作成され得る。上記報告書はまた、上記被験体についての情報を含み得る。いくつかの場合には、上記報告書は、特定の状態または疾患の診断を含み得る。
【0110】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で示されかつ記載されてきたが、このような実施形態が例示によって提供されるに過ぎないことは、当業者に明らかである。本発明が本明細書内に提供される具体例によって限定されることは意図されない。本発明は、前述の明細書に言及しながら記載されてきたが、本明細書中の実施形態の記載および例証は、限定する意味で解釈されるとは意味されない。多くのバリエーション、変更、および置換が、本発明から逸脱することなく当業者のいまや想起される。さらに、本発明の全ての局面が、種々の条件および変数に依存する、本明細書で示される具体的叙述、構成または相対的割合に限定されないことが、理解されるものとする。本明細書で記載される発明の実施形態に対する種々の選択肢が、本発明を実施するにあたって使用され得ることが、理解されるべきである。従って、本発明がまた任意のこのような選択肢、改変、バリエーションまたは均等物を網羅するものとすることが、企図される。以下の請求項は、本発明の範囲を規定すること、ならびにこれら請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造が、それによって網羅されることが、意図される。
【実施例0111】
実施例1:糞便サンプル中のマイクロバイオームの種組成および存在量
4つのヒト糞便サンプルを収集した。糞便サンプル1および3を、本明細書に記載されるとおりの水溶性フィルムを使用して収集した。糞便サンプル2および4は、トイレハット(toilet hat)およびスプーンを使用する従来の糞便サンプル収集法を使用して収集したコントロールサンプルであった。サンプル2および4に関しては、フィルムを使用しなかった。このような方法の例としては、Genotek、Zymo、およびBGIによって使用されるものが挙げられる。上記水溶性フィルムを、被験体がトイレットペーパーを使用するように使用した。各水溶性フィルムを、安定化溶液に溶解した。糞便サンプル1および2を、DESS(DMOS/EDTA/飽和塩)DNA保存試薬を含む安定化溶液中に溶解した。糞便サンプル3および4を、BGIのDNA保存試薬(N-オクチルピリジニウムブロミドベースの試薬;Han et al. Microbiome (2018) 6:43を参照のこと)を含む安定化溶液中に溶解した。
【0112】
上記糞便サンプルと、保存試薬を含む安定化溶液とを混合した後、各サンプルを、研究室に送った。DNAを、標準的な方法を使用して、上記糞便サンプルから抽出した。サンプル品質を試験した。上記サンプル品質が十分でなかった場合には、DNAを再び抽出した。上記サンプル品質が十分であった場合には、末端修復を行い、3’ A付加およびアダプターライゲーションを行った。得られたDNAライブラリーの品質をチェックした。その品質が良好でなかった場合には、DNAを再度抽出し、プロセスを反復した。その品質が良好であった場合には、クラスター調製および配列決定を行い、バイオインフォマティクス分析を行った。このプロセスを記載するフローチャートは、図1に見出され得る。
【0113】
各糞便サンプルの分類学的構成を決定し、ヒストグラムとして示した。各サンプルのヒストグラムは、門、綱、および目レベルで別個に示される。ある特定のサンプルにおける各種の割合が直接示される。
【0114】
門レベルでは、全ての種を使用して、ヒストグラムを作成した。サンプルにおける門レベルでの分類学的構成分布を、図2において%相対的存在量として示す。アクチノバクテリア門、バクテロイデス門、シアノバクテリア門、ファーミキューテス門、レンティスファエラ門、プロテオバクテリア門、テネリクテス門、ベルコミクロビア門、および分類されていない微生物が、上記サンプル中に存在した。ワイプを使用して収集したサンプルの結果は、従来の糞便サンプル収集法を使用して収集したサンプルの結果に類似であった。
【0115】
図3は、サンプルにおける綱レベルでの分類学的構成分布を、%相対的存在量として示す。全サンプルにおいて0.5%未満の存在量を有する種を、「他」として分類した。4C0d-2、アルファプロバクテリア綱、バクテロイデス綱、ベータプロバクテリア綱、クロストリジウム綱、モリキューテス綱、ヴェルコミクロビウム綱、分類されていない、および他の微生物が、上記サンプルに存在した。ワイプを使用して収集したサンプルの結果は、従来の糞便サンプル収集法を使用して収集したサンプルの結果に類似であった。
【0116】
図4は、サンプルにおける目レベルでの分類学的構成分布を、%相対的存在量として示す。全サンプルにおいて0.5%未満の存在量を有する種を、「他」として分類した。バクテロイデス目、バークホルデリア目、クロストリジウム目、RF32、RF39、ヴェルコミクロビウム目、YS2、分類されていない、および他の微生物が、上記サンプルに存在した。ワイプを使用して収集したサンプルの結果は、従来の糞便サンプル収集法を使用して収集したサンプルの結果に類似であった。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】