(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111178
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】静電気作動装置を備えた眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 7/06 20060101AFI20220722BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20220722BHJP
G02B 3/14 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G02C7/06
G02C11/00
G02B3/14
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087489
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2019511703の分割
【原出願日】2017-08-30
(31)【優先権主張番号】1658119
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】519005336
【氏名又は名称】ラクラリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルジェ ブルーノ
(57)【要約】
【課題】限られた量の流体を、可逆的にかつ摩擦を低減した上で圧送する。
【解決手段】本発明は、静電気作動装置(100)を備えた眼鏡に関する。この静電気作動装置100を備えた眼鏡は、少なくとも1つの第1チェンバー(110)と、形状可変電極を有する電極チェンバー(500)と、を備える。形状可変電極は、第1電極チェンバー(615)及び第2電極チェンバー(625)を形成するように、電極チェンバー(500)内に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電気作動装置(100)を備えた度数可変式である眼鏡であって、該静電気作動装置(100)は、少なくとも1つの、
外側に向って抜け出る第1プライマリー流体通路(111)を有する第1チェンバー(110)と、
第1プライマリー表面部(210)、前記第1チェンバー(110)を少なくとも部分的に区画する第2プライマリー表面部(220)、及び、複数の第2プライマリー流体通路(230)を有するプライマリー隔壁部(200)と、
前記第1プライマリー表面部(210)に隣接して区画される電極チェンバー(500)と、
第1形状可変電極表面部及び第2形状可変電極表面部を有し、かつ第1電極チェンバー(615)及び第2電極チェンバー(625)を形成するように前記電極チェンバー(500)内に配置される形状可変電極(600)と、
少なくとも第1位置(691)と第2位置(692)との間で前記形状可変電極(600)を作動させるように、該形状可変電極(600)と協働するよう構成された電極と、を備え、
前記第1電極チェンバー(615)は、前記第1形状可変電極表面部と前記第1プライマリー表面部(210)との間に設けられているとともに、
前記第1電極チェンバー(615)は、前記形状可変電極が少なくとも前記第1位置(691)と前記第2位置(692)との間で作動するときに、前記複数の第2プライマリー流体通路(230)を介して前記第1チェンバー(110)と流体的に連通し、
前記第1電極チェンバー(615)は、前記第2電極チェンバー(625)から流体的に遮断されるとともに、前記静電気作動装置(100)は、前記第1プライマリー流体通路(111)と少なくとも1つの第2プライマリー流体通路(240)は、流体が、第1チェンバー110において往復運動することにより、限られた体積のみを可逆的に圧送するように構成されている
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項2】
請求項1に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、少なくとも1つの
外側に向って抜け出る第1セカンダリー流体通路(121)を有する第2チェンバー(120)と、
前記第1プライマリー表面部(210)に面する第1セカンダリー表面部(310)、第2セカンダリー表面部(320)、及び、複数の第2セカンダリー流体通路(330)を有し、かつ前記第2チェンバー(120)を少なくとも部分的に区画するセカンダリー隔壁部(300)と、を備え、
前記第2電極チェンバー(625)は、前記第2形状可変電極表面部と前記第1セカンダリー表面部(310)との間に設けられているとともに、
形状可変な前記第2電極チェンバー(625)は、前記形状可変電極が少なくとも前記第1位置(691)と前記第2位置(692)との間で作動するときに、前記複数の第2セカンダリー流体通路(330)を介して前記第2チェンバー(120)と流体的に連通する
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項3】
請求項2に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記電極チェンバー(500)の寸法、及び/又は、前記プライマリー隔壁部(200)と前記セカンダリー隔壁部(300)との間の壁間距離(g)は、600μm未満である
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項4】
請求項3に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記プライマリー隔壁部(200)と前記セカンダリー隔壁部(300)との間の壁間距離(g)は変化している
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記形状可変電極は、形状可変誘電層(660)と、少なくとも1つの導電部と、を有する
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記プライマリー隔壁部(200)は、プライマリー隔壁部表面領域(290)と、プライマリー導電性パッド(270)と、を備え、
前記プライマリー導電性パッド(270)は、主要プライマリー表面領域(272)を有する主要プライマリー導電性パッド(271)と、補助プライマリー表面領域(274)を有する少なくとも1つの補助プライマリー導電性パッド(273)と、を有し、
前記主要プライマリー導電性パッド(271)と、前記少なくとも1つの補助プライマリー導電性パッド(273)は、互いに電気的に遮断されている
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項7】
請求項6に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記プライマリー隔壁部(200)は、前記形状可変電極(600)における前記少なくとも1つの導電部から、前記プライマリー隔壁部(200)における前記プライマリー導電性パッド(270)を絶縁するように構成された第1絶縁層(206)を有している
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記主要プライマリー導電性パッドと前記補助プライマリー導電性パッドの間、及び/又は、補助プライマリー導電性パッドと別の補助プライマリー導電性パッドの間のパッド間距離(s)は、10μmと1mmの間に設定される
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか1項の静電気作動装置(100)を備えた眼鏡において、
前記複数の第2プライマリー流体通路(230)は、第1プライマリー開口部表面領域(239)を有し前記第1プライマリー表面部(210)上に設けられる第1プライマリー開口部と、第2プライマリー開口部表面領域(241)を有し前記第2プライマリー表面部(220)上に設けられる第2プライマリー開口部と、を備え、前記第1プライマリー開口部表面領域(239)は、前記第2プライマリー開口部表面領域(241)よりも小さい、及び、
前記複数の第2セカンダリー流体通路(330)は、第1セカンダリー開口部表面領域(249)を有し前記第1セカンダリー表面部(310)上に設けられる第1セカンダリー開口部と、第2セカンダリー開口部表面領域を有し前記第2セカンダリー表面部(320)上に設けられる第2セカンダリー開口部と、を備え、前記第1セカンダリー開口部表面領域は、前記第2セカンダリー開口部表面領域よりも大きい
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項10】
請求項6及び請求項9に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記複数の第2プライマリー流体通路(230)における前記第1プライマリー開口部表面領域(239)の和は、プライマリー開口部表面領域を形成し、及び、前記複数の第2セカンダリー流体通路における前記第1セカンダリー開口部表面領域の和は、セカンダリー開口部表面領域を形成するとともに、
ここで、
前記第1プライマリー開口部表面領域(239)の大きさと、前記第2プライマリー開口部表面領域(241)の大きさとの比は、0.001と0.5の間に設定され、
前記プライマリー開口部表面領域の大きさと、前記プライマリー隔壁部表面領域(290)の大きさとの比は、0.001と0.5の間に設定され、
前記第1セカンダリー開口部表面領域の大きさと、前記第2セカンダリー開口部表面領域の大きさとの比は、0.001と0.5の間に設定され、及び/又は、
前記セカンダリー開口部表面領域の大きさと、前記セカンダリー隔壁部表面領域の大きさとの比は、0.001と0.5の間に設定される
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項11】
請求項2に従属する場合における、請求項3から10のいずれか1項に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記プライマリー隔壁部(200)及び前記セカンダリー隔壁部(300)のうちの少なくとも1つの隔壁部は、部分的に、少なくとも1つの結晶性材料によって形成されている
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記第1電極チェンバー(615)は第1容積部を有し、及び/又は、前記第2電極チェンバー(625)は第2容積部を有し、
前記第1容積部及び/又は前記第2容積部は、静電容量の測定によって調整される
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載された静電気作動装置を備えた眼鏡において、
前記形状可変電極を作動させるように構成された電源供給部(810)と、
前記電源供給部(810)から前記形状可変電極(600)へ交流電流及び/又は交流電圧を供給するように構成された電圧制御部(820)と、を備える
ことを特徴とする静電気作動装置を備えた眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用の変位装置を備えた眼鏡の技術分野に関する。この変位装置を備えた眼鏡は、特に、仏国特許出願公開第16/56610号明細書に記載されているように、レンズ内の液体を用いることによって患者の視力を向上させるための、可変式眼科用装置に用いられる。より具体的には、本発明は、静電気ポンプ、詳しくは、少なくとも1つの流体を変位させる薄膜部を用いた静電気作動装置を取り扱う。
【背景技術】
【0002】
多量の流体を変位させるために使用される旧来の装置は、例えば、圧電アクチュエータを用いたMEMSのような微細加工技術によって設計されてきた。こうした概念によって提起される主な問題は、それら装置が、通常、液体の小さな流動の、パイプを通じた連続的な循環のような連続的な動作のために設計されているということである。結果として、それらは緩慢であることから、大変低い電力効率、例えば0.1未満の電力効率を示す。それらが、限られた量の液体を可逆的に圧送するニーズ、及び、低消費電力のニーズには適応されないことは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、流体の静電気作動装置を備えた眼鏡に関連する。この装置を備えた眼鏡は、液体レンズの屈折力を調整するために、変形可能な電極を有する流体セルへと流体を圧送するように機能する。連続的な静電気作動装置とは対照的に、本発明に係る静電気作動装置は、限られた体積を圧送するように機能するばかりでなく、大いに可逆的にかつ摩擦を低減した上で圧送することになろう。この静電気作動装置は、度数可変式眼鏡として、可変流体レンズを用いた眼鏡の一部とされる。本発明の一態様によれば、本発明に係る2つの静電気作動装置は、左右それぞれについて眼鏡のつるに配置してもよいし、バッテリによって作動されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決すべく、本発明は、その第1の側面によれば、静電気作動装置を備えた度数可変式の眼鏡を提供する。この静電気作動装置は、少なくとも1つの、外側に向って抜け出る第1プライマリー流体通路を有する第1チェンバーと、第1プライマリー表面部、前記第1チェンバーを少なくとも部分的に区画する第2プライマリー表面部、及び、複数の第2プライマリー流体通路を有するプライマリー隔壁部と、前記第1プライマリー表面部に隣接して区画される電極チェンバーと、第1形状可変電極表面部及び第2形状可変電極表面部を有し、かつ第1電極チェンバー及び第2電極チェンバーを形成するように前記電極チェンバー内に配置される形状可変電極と、少なくとも第1位置と第2位置との間で前記形状可変電極を作動させるように、該形状可変電極と協働するよう構成された電極と、を備え、前記第1電極チェンバーは、前記第1形状可変電極表面部と前記第1プライマリー表面部との間に設けられているとともに、前記第1電極チェンバーは、前記形状可変電極が少なくとも前記第1位置と前記第2位置との間で作動するときに、前記複数の第2プライマリー流体通路を介して前記第1チェンバーと流体的に連通する。
【0005】
この構成によれば、電極チェンバーの内外に第1流体を押し込む第2流体を、変位させることができる。本発明の別の側面によれば、形状可変電極の移動を制御するために、電極チェンバーの膨張に制限が付与されることになる。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、第1電極チェンバーは、第2電極チェンバーからは流体的に遮断される。換言すれば、本発明の一実施形態によれば、第1電極チェンバーは、第2電極チェンバーとは流体的に連通していない。
【0007】
したがって、前記の構成によれば、第1電極チェンバーと第1チェンバーとの間で第1流体を移動させるとともに、第2チェンバーと第2電極チェンバーとの間で第2流体を移動させることができる。
【0008】
また、本発明の一実施形態によれば、前記静電気作動装置は、少なくとも1つの、外側に向って抜け出る第1セカンダリー流体通路を有する第2チェンバーと、前記第1プライマリー表面部に面する第1セカンダリー表面部、第2セカンダリー表面部、及び、複数の第2セカンダリー流体通路を有し、かつ前記第2チェンバーを少なくとも部分的に区画するセカンダリー隔壁部と、を備え、前記第2電極チェンバーは、前記第2形状可変電極表面部と前記第1セカンダリー表面部との間に設けられているとともに、前記第2形状可変電極チェンバーは、前記形状可変電極が少なくとも前記第1位置と前記第2位置との間で作動するときに、前記複数の第2セカンダリー流体通路を介して前記第2チェンバーと流体的に連通する。
【0009】
この構成によれば、第2流体を変位させることがきる。本発明の別の側面によれば、流体間でアンタゴニスト変位を有することになる。このことは、第1流体が電極チェンバーから押し出されるときに、第2流体が電極チェンバー内に導入されることを意味している。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部と前記セカンダリー隔壁部との間の壁間距離は、600μm未満である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部と前記セカンダリー隔壁部との間の壁間距離は、400μm未満である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部と前記セカンダリー隔壁部との間の壁間距離は、200μm未満である。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部と前記セカンダリー隔壁部との間の壁間距離は、5μmと175μmの間である。
【0014】
この構成によれば、各種流体に対し、より強力なポンプ圧を作用させることができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記電極チェンバーの寸法、及び/又は、前記プライマリー隔壁部と前記セカンダリー隔壁部との間の壁間距離は、変化している。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記電極チェンバーの寸法、及び/又は、前記プライマリー隔壁部と前記セカンダリー隔壁部との間の壁間距離は、空間的に変化している。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部は、前記セカンダリー隔壁部との間に、0度と60度の間、特に0度と45度の間、好ましくは0度と30度の間となる角度を形成するように構成されている。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部と前記セカンダリー隔壁部との間の壁間距離は、前記プライマリー隔壁部と前記セカンダリー隔壁部との間に、0度と60度の間、特に0度と45度の間、好ましくは0度と30度の間となる角度を形成するように変化している。
【0019】
この構成によれば、第1電極チェンバー及び第2電極チェンバーの容積を、良好に制することができる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、形状可変電極は、形状可変誘電層と、少なくとも1つの導電部と、を有する。
【0021】
この構成によれば、電場を介して電極を変位させることができる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、プライマリー隔壁部は、プライマリー隔壁部表面領域と、プライマリー導電性パッドと、を備え、前記プライマリー導電性パッドは、主要プライマリー表面領域を有する主要プライマリー導電性パッドと、補助プライマリー表面領域を有する少なくとも1つの補助プライマリー導電性パッドと、を有し、前記主要プライマリー導電性パッドと、前記少なくとも1つの補助プライマリー導電性パッドは、互いに電気的に遮断されている。
【0023】
この構成によれば、電極をディジタル制御するとともに、電極の動作を離散的なゾーンに分割し、ひいては押圧される流体容積のための離散的なステップをもたらすことができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、セカンダリー隔壁部は、セカンダリー隔壁部表面領域と、セカンダリー導電性パッドと、を備え、前記セカンダリー導電性パッドは、主要セカンダリー表面領域を有する主要セカンダリー導電性パッドと、補助セカンダリー表面領域を有する少なくとも1つの補助セカンダリー導電性パッドと、を有し、前記主要セカンダリー導電性パッドと、前記少なくとも1つの補助セカンダリー導電性パッドは、互いに電気的に遮断されている。
【0025】
この構成によれば、電極をディジタル制御するとともに、電極の動作を離散的なゾーンに分割し、ひいては押圧される流体容積のための離散的なステップをもたらすことができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部は、前記プライマリー隔壁部における前記プライマリー導電性パッドから、前記形状可変電極における前記少なくとも1つの導電部を絶縁するように構成された第1絶縁層を有している。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記セカンダリー隔壁部は、前記セカンダリー隔壁部における前記セカンダリー導電性パッドから、前記形状可変電極における前記少なくとも1つの導電部を絶縁するように構成された第2絶縁層を有している。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、前記主要プライマリー導電性パッドと前記補助プライマリー導電性パッドの間、及び/又は、補助プライマリー導電性パッドと別の補助プライマリー導電性パッドの間のパッド間距離は、10μmと1mmの間に設定される。
【0029】
この構成によれば、プライマリー導電性パッドの間を絶縁することができる。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部及び前記セカンダリー隔壁部のうちの少なくとも1つの隔壁部は、部分的に、少なくとも1つの結晶性材料によって形成されている。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記結晶性材料は、シリコン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、サファイア、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、又は、ここまでに述べた材料からなる合金である。
【0032】
この構成によれば、エッチングを施すことができる、プライマリー隔壁部及びセカンダリー隔壁部のうちの少なくとも1つの隔壁部を提供することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、前記プライマリー隔壁部及び前記セカンダリー隔壁部のうちの少なくとも1つの隔壁部は、部分的に、少なくとも1つの半結晶性材料によって形成されている。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記半結晶性材料は、ポリマー、ソル-ゲル、シリコン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、サファイア、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、又は、ここまでに述べた材料からなる合金である。
【0035】
この構成によれば、エッチング又は異方性エッチングを施すことができる、プライマリー隔壁部及びセカンダリー隔壁部のうちの少なくとも1つの隔壁部を提供することができる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、プライマリー隔壁部及びセカンダリー隔壁部のうちの少なくとも1つの隔壁部は、多孔質材料、天然繊維又は人工繊維によって、部分的に形成される。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、前記天然繊維又は前記人工繊維は、配向又は非配向とされている。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、前記多孔質材料、前記天然繊維又は前記人工繊維は、ポリマー、エラストマー、アモルファスカーボン、ケブラー、カーボン又は金属から部分的に形成される。
【0039】
この構成によれば、実質的に平坦な隔壁部を得ることができる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、前記第1電極チェンバーは第1容積部を有し、及び/又は、前記第2電極チェンバーは第2容積部を有し、前記第1容積部及び/又は前記第2容積部は、静電容量の測定によって調整される。
【0041】
この構成によれば、静電容量の測定、より正確には、例えば静電容量に依存した、弛緩型発振器の周波数を測定することにより、第1容積部及び第2容積部を調整することができる。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前記第1電極チェンバーは第1容積部を有し、及び/又は、前記第2電極チェンバーは第2容積部を有し、前記静電気作動装置における静電容量は、前記第1容積部及び/又は前記第2容積部とともに変化する。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、前記第1位置は、前記第1形状可変部における第1プライマリー接触面を定義し、前記第1形状可変部における前記第1プライマリー接触面は、前記第1位置における、前記第1形状可変部と、前記第1プライマリー表面部との接触面を示す。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記第2位置は、前記第1形状可変部における第2プライマリー接触面を定義し、前記第1形状可変部における前記第2プライマリー接触面は、前記第2位置における、前記第1形状可変部と、前記第1プライマリー表面部との接触面を示す。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、前記第1プライマリー接触面は、前記第1位置と、前記第1形状可変部の先端と、の間に設けられる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、前記第2プライマリー接触面は、前記第2位置と、前記第1形状可変部の先端と、の間に設けられる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記第2プライマリー接触面は、前記第1プライマリー接触面よりも広い。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前記第1形状可変部と前記第1プライマリー表面部によって形成されるキャパシティは、前記形状可変電極が前記第1位置から前記第2位置へ作動するときに増加する。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、前記第1形状可変部と前記第1プライマリー表面部によって形成されるキャパシティは、前記形状可変電極が前記第2位置から前記第1位置へ作動するときに減少する。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記第1位置は、前記第2形状可変部における第1セカンダリー接触面を定義し、前記第2形状可変部における前記第1セカンダリー接触面は、前記第1位置における、前記第2形状可変部と前記第1セカンダリー表面部との接触面を示す。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、前記第2位置は、前記第2形状可変部における第2セカンダリー接触面を定義し、前記第2形状可変部における前記第2セカンダリー接触面は、前記第2位置における、前記第2形状可変部と前記第1セカンダリー表面部との接触面を示す。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、前記第1セカンダリー接触面は、前記第1位置と、前記第2形状可変部の先端と、の間に設けられる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記第2セカンダリー接触面は、前記第2位置と、前記第2形状可変部の先端と、の間に設けられる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、前記第2セカンダリー接触面は、前記第1セカンダリー接触面よりも狭い。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記第2形状可変部と前記第1セカンダリー表面部によって形成されるキャパシティは、前記形状可変電極が前記第1位置から前記第2位置へ作動するときに減少する。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、前記第1形状可変部と前記第1セカンダリー表面部によって形成されるキャパシティは、前記形状可変電極が前記第2位置から前記第1位置へ作動するときに増加する。
【0057】
このように、第1容積部及び第2容積部は相補的であり、静電気作動装置が第1容積部の量をdVだけ変化させたときに、第2容積部の量がdVだけ変化することになる。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、前記静電気作動装置は、前記形状可変電極を作動させるように構成された電源供給部と、前記電源供給部から前記形状可変電極へ交流電流及び/又は交流電圧を供給するように構成された電圧制御部と、を備える。
【0059】
この構成によれば、形状可変電極を作動させることができる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、前記複数の第2プライマリー流体通路は、第1プライマリー開口部表面領域を有し前記第1プライマリー表面部上に設けられる第1プライマリー開口部と、第2プライマリー開口部表面領域を有し前記第2プライマリー表面部上に設けられる第2プライマリー開口部と、を備え、前記第1プライマリー開口部表面領域は、前記第2プライマリー開口部表面領域よりも小さい、及び/又は、前記複数の第2セカンダリー流体通路は、第1セカンダリー開口部表面領域を有し前記第1セカンダリー表面部上に設けられる第1セカンダリー開口部と、第2セカンダリー開口部表面領域を有し前記第2セカンダリー表面部上に設けられる第2セカンダリー開口部と、を備え、前記第1セカンダリー開口部表面領域は、前記第2セカンダリー開口部表面領域よりも大きい。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、前記複数の第2プライマリー流体通路における前記第1プライマリー開口部表面領域の和は、プライマリー開口部表面領域を形成し、及び/又は、前記複数の第2セカンダリー流体通路における前記第1セカンダリー開口部表面領域の和は、セカンダリー開口部表面領域を形成する。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記第1プライマリー開口部表面領域は、前記第2プライマリー開口部表面領域よりも小さく、かつ前記第1プライマリー開口部表面領域と前記第2プライマリー開口部表面領域との比は、0.001と0.5の間に設定され、前記プライマリー開口部表面領域は、前記プライマリー隔壁部表面領域よりも小さく、かつ前記プライマリー開口部表面領域と前記プライマリー隔壁部表面領域との比は、0.001と0.5の間に設定され、前記第1セカンダリー開口部表面領域は、前記第2セカンダリー開口部表面領域よりも小さく、かつ前記第1セカンダリー開口部表面領域と前記第2セカンダリー開口部表面領域との比は、0.001と0.5の間に設定され、及び/又は、前記セカンダリー開口部表面領域は、前記セカンダリー隔壁部表面領域よりも小さく、かつ前記セカンダリー開口部表面領域と前記セカンダリー隔壁部表面領域との比は、0.001と0.5の間に設定される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前記第1プライマリー開口部表面領域は、前記第1セカンダリー開口部表面領域よりも小さく、かつ前記第1プライマリー開口部表面領域と前記第1セカンダリー開口部表面領域との比は、0.01と0.4の間に設定され、前記プライマリー開口部表面領域は、前記プライマリー隔壁部表面領域よりも小さく、かつ前記プライマリー開口部表面領域と前記プライマリー隔壁部表面領域との比は、0.01と0.4の間に設定され、前記第1セカンダリー開口部表面領域は、前記第2セカンダリー開口部表面領域よりも小さく、かつ前記第1セカンダリー開口部表面領域と前記第2セカンダリー開口部表面領域との比は、0.01と0.4の間に設定され、及び/又は、前記セカンダリー開口部表面領域は、前記セカンダリー隔壁部表面領域よりも小さく、かつ前記セカンダリー開口部表面領域と前記セカンダリー隔壁部表面領域との比は、0.01と0.4の間に設定される。
【0064】
この構成によれば、静電気による作動を最大化すべく、薄膜部に面する広い電極面積を得ると同時に、隔壁部を通じた効果的な流体的連通を得ることができる。
【0065】
本発明は、前述の実施形態のうちの1つに係る静電気作動装置と、前記形状可変電極を作動させるように構成された電源供給部と、を備えた眼鏡に関する。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、前記眼鏡は、前記電源供給部から前記形状可変電極へ交流電流を供給するように構成された電圧制御部を備える。
【0067】
本発明における前述の目的、他の目的、特徴部、様相、及び、利点は、添付された図面を参照してなされる実施形態についての詳細な説明を通じて明らかになろう。なお、本発明は、添付された図面の内容には制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、本発明の別の実施形態に係る第1チェンバー110及び電極チェンバー500の断面とともに、静電気作動装置の断面を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る静電気作動装置の断面を示す図である、
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態に係る隔壁部同士の壁間距離を変化せしめた静電気作動装置の断面を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の隔壁部の態様を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態に係る主要プライマリー導電性パッド271及び複数の補助プライマリー導電性パッド274を備えた静電気作動装置の平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の異なる実施形態に係る支持用プライマリー壁部210及びチェンバーサイズのチェンバー断面を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の異なる実施形態に係る支持用プライマリー壁部210及びチェンバーサイズのチェンバー断面を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の実施形態に係る実験記録を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の別の実施形態に係る形状可変電極の時間及び動作を分解して示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の別の実施形態に係る眼鏡において静電気作動装置100を用いた特定の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明における特定の実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明されることになる。一貫性を保つために、種々の図面において類似した要素には、類似した符号が付されている。
【0070】
以下に続く本発明の実施形態の詳細な説明においては、本発明の理解のためにより多くを提供するべく、多数の具体的なディテールが明らかにされる。しかしながら、他の例では、記載を不必要に複雑化することのないように、周知の特徴部は、記述されていない。
【0071】
・第1の実施形態に係る本発明の詳細な説明
図1に示される第1の実施形態によると、単一指向性の力のみが適用されるように構成された静電気作動装置100が開示されている。静電気作動装置100は、第1チェンバー110を備えている。第1チェンバー110は、第1流体を含むように構成されている。
【0072】
この第1流体は、第1プライマリー流体通路111を通過するように構成され得る。このことは、第1流体が、操作された粘度(engineered viscosity)を有し得ることを意味している。この第1プライマリー流体通路111は、外側に向って抜け出ており、好ましくは、第1チェンバー110の表面上に抜け出ている。この第1プライマリー流体通路111は、第1チェンバー110の一側に配置してもよい。
【0073】
第1チェンバー110は、少なくとも部分的には、プライマリー隔壁部200によって区画されている。このプライマリー隔壁部200は、第1プライマリー表面部210と、第2プライマリー表面部220と、複数の第2プライマリー流体通路230と、を有している。第2プライマリー表面部220は、第1チェンバー110に面しており、より詳細には、第2プライマリー表面部220は、第1プライマリー流体通路111に面している。プライマリー隔壁部200は、プライマリー隔壁部表面領域290を有しており、又は、より正確には、第2プライマリー表面部220は、第1チェンバー110に面するプライマリー隔壁部表面領域290を有している。
【0074】
不図示の実施形態によれば、第1プライマリー流体通路111は、第2プライマリー表面部220に面しておらず、側壁部上に配置されている。第1プライマリー表面部210は、第2プライマリー表面部220の反対側にある。このことは、第1プライマリー表面部210が第1チェンバー110の外部にあること、及び、複数の第2プライマリー流体通路230は、第1チェンバー110の外部と、第1チェンバー110の内部とを連通させていることを意味している。
【0075】
複数の第2プライマリー流体通路230は、少なくとも1つの第2プライマリー流体通路240を有しており、この第2プライマリー流体通路240を介して、第1流体が第1チェンバー110に入り込んだり、第1流体が第1チェンバー110から排出されたりする。ある構成では、第1流体は、第1プライマリー流体通路111を介して第1チェンバー110に入り込むとともに、その第1チェンバー110を横断し、少なくとも1つの第2プライマリー流体通路240を介して第1チェンバーから排出され、あるいは逆も同様であり、言い換えれば、第1プライマリー流体通路111と少なくとも1つの第2プライマリー流体通路240は、第1流体が、第1チェンバー110において往復運動することができるようになっている。
【0076】
第1チェンバー110に隣接するプライマリー隔壁部200の一側には、電極チェンバー500が配置されている。この電極チェンバー500は、第1プライマリー表面部210に隣接して区画されているとともに、変形可能な形状可変電極600を有している。
【0077】
この形状可変電極600は、第1電極チェンバー615及び第2電極チェンバー625を形成するように、電極チェンバー500の内部に配置されている。換言すれば、電極チェンバー500は、2つの容積部(第1電極容積部611と、第2電極容積部621)に分割され得る主要容積部を有している。第1電極チェンバー615は、第2電極チェンバー625とは、流体的に連通していない。
【0078】
形状可変電極600は、第1形状可変電極表面部601と、第2形状可変電極表面部602と、を有している。第1電極チェンバー615は、第1形状可変電極表面部601と、第1プライマリー表面部210と、の間に設けられている。そして、第1電極チェンバー615は、形状可変電極600が第1位置691と第2位置692との間で作動させられたときには、少なくとも1つの第2プライマリー流体通路240を介して第1チェンバー110と流体的に連通することになる。
【0079】
静電気作動装置100は、プライマリー隔壁部200の一部をなす電極を備えている。この電極は、第1位置691と第2位置692との間で形状可変電極600を作動させるように、形状可変電極600と協働するよう構成されている。第1電極チェンバー615は、第1電極容積部611を有しており、第2電極チェンバー625は、第2電極容積部621を有している。
【0080】
形状可変電極600は、変形可能な形状可変誘電層660と、変形可能な形状可変導電層670と、を有している。形状可変電極600は、一側がメタライズされた誘電材料から形成してもよい。好ましい材料は、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、他のあらゆる薄膜状のポリマー、又は、無機物からなりかつ良好な誘電性を有する形状可変電極600を用いてもよい。
【0081】
形状可変導電層670と、プライマリー隔壁部200と、の間に電圧が印加されると、換言すれば、形状可変電極600とプライマリー隔壁部200とが帯電されると、形状可変電極は、電場を介することにより、帯電されたプライマリー隔壁部200に引き寄せられる。形状可変電極600は、変形されて、前記隔壁部における流体通路を介して幾つかの流体を変位させる。
【0082】
・第2の実施形態に係る本発明の詳細な説明
図2に示される第2の実施形態によると、第1の実施形態に係る前述した特徴部に加えて、電極チェンバー500は、セカンダリー隔壁部300を備えている。セカンダリー隔壁部300は、第1セカンダリー表面部310と、第2セカンダリー表面部320と、複数の第2セカンダリー流体通路330と、を有している。複数の第2セカンダリー流体通路330は、少なくとも1つの第2セカンダリー流体通路340を有している。セカンダリー隔壁部300における第1セカンダリー表面部310は、プライマリー隔壁部200における第1プライマリー表面部210に面している。換言すれば、電極チェンバー500は、第1セカンダリー表面部310と第1プライマリー表面部210との間に設けられている。
【0083】
セカンダリー隔壁部300に隣接して、第2チェンバー120が設けてもよい。この第2チェンバー120は、第2流体を含むように構成されており、静電気作動装置100の内部に設けられているとともに、1つの実施形態に係る第1チェンバー110と同様である。この第2チェンバー120は、第1セカンダリー流体通路121を含んでいる。第1セカンダリー流体通路121は、第2流体を第2チェンバー120へと送り込むように構成されている。換言すれば、第2流体は、第1セカンダリー流体通路121を介して第2チェンバー120を出入りすることができる。
【0084】
この第2流体は、第1セカンダリー流体通路121を流通するように構成されている。このことは、第2流体が、操作された粘度を有し得ることを意味している。この第1セカンダリー流体通路121は、第2チェンバー120の一側に配置されている。
【0085】
第2チェンバー120は、少なくとも部分的には、セカンダリー隔壁部300によって区画されている。このセカンダリー隔壁部300は、第1セカンダリー表面部310と、第2セカンダリー表面部320と、複数の第2セカンダリー流体通路330と、を有している。第2セカンダリー表面部320は、第2チェンバー120に面しており、より詳細には、第2セカンダリー表面部320は、第1セカンダリー流体通路121に面している。第1セカンダリー表面部310は、第2セカンダリー表面部320の反対側にある。このことは、第1セカンダリー表面部310が第1チェンバー110の外部にあること、及び、少なくとも1つの第2セカンダリー流体通路330は、第2チェンバー120の外部と、第2チェンバー120の内部とを連通させていること、を意味している。セカンダリー隔壁部300はセカンダリー隔壁部表面領域を有しており、あるいは、より正確には、第2セカンダリー表面部320は、第2チェンバー120に面するセカンダリー隔壁部表面領域を有している。
【0086】
複数の第2セカンダリー流体通路330は、少なくとも1つの第2セカンダリー流体通路340と、この少なくとも1つの第2セカンダリー流体通路340を介して、第2流体が第2チェンバー120に入り込んだり、第2流体が第2チェンバー120から排出されたりする。ある構成では、第2流体は、第1セカンダリー流体通路121を介して第2チェンバー120に入り込むとともに、その第2チェンバー120を横断し、少なくとも1つの第2セカンダリー流体通路340を介して第2チェンバー120から排出され、あるいは逆も同様であり、言い換えれば、第1セカンダリー流体通路121と少なくとも1つの第2セカンダリー流体通路330は、第2流体が、第3チェンバー130において往復運動することができるようになっている。
【0087】
第2電極チェンバー625は、第2形状可変電極表面部602と、第1セカンダリー表面部310と、を有している。そして、第2電極チェンバー625は、形状可変電極600が第1位置691と第2位置692との間で作動させられたときには、少なくとも1つの第2セカンダリー流体通路340を介して第2チェンバー120と流体的に連通している。
【0088】
・第3の実施形態に係る本発明の詳細な説明
図3に示される第3の実施形態によると、プライマリー隔壁部200及びセカンダリー隔壁部300は、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間の間隙又は壁間距離が電極チェンバー500の一側から他側に向うにつれて増大するように、くさび形状又は傾斜形状を形成している。間隙gの厚みの勾配は、後述のように、電圧による静電気作動装置100のスムースな移行を保証している。
【0089】
プライマリー隔壁部200及びセカンダリー隔壁部300における少なくとも1つ隔壁部は、プライマリー導電性パッドを有している。ここで、プライマリー隔壁部200及びセカンダリー隔壁部300は、両隔壁部の間に600μm未満、好ましくは、両隔壁部の間に200μm未満の壁間距離gを有している。
図3に示される実施形態によれば、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間の壁間距離gは、傾斜を有するように変化する。
【0090】
より詳細には、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間の壁間距離gは、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間に、0度と60度の間、特に0度と45度の間、好ましくは0度と30度の間となる角度を形成するように変化している。
【0091】
さらに、例えば、高さ、長さ、幅等、電極チェンバー500の寸法を変化させることにより、この特定の第3の実施形態を第1の実施形態に置き換えることもできる。
【0092】
・第4の実施形態に係る本発明の詳細な説明
図4に示される第4の実施形態によると、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300は、高電圧及び低電圧、又は、その逆と、共通基準又は電気的な接地部におけるPET製の形状可変電極600と、に接続されることにより、電極の一部をなす。より詳細には、第1プライマリー表面部210上にはプライマリー導電性パッド270が設けられているとともに、高電圧及び低電圧、又は、その逆と電気的に接続されている第1セカンダリー表面部310にはセカンダリー導電性パッドが設けられており、PET製の形状可変電極600は、共通基準又は電気的な接地部に変形可能な形状可変導電層670を有している。
【0093】
形状可変導電層670が形状可変電極600の両側に配置されている特定の実施形態においては、プライマリー隔壁部200及びセカンダリー隔壁部300は、絶縁層206によって絶縁されることになる。この絶縁層206は、例えばプラズマCVD又は減圧CVDのような化学蒸着、例えばスパッタリング又は電子ビーム物理蒸着のような物理蒸着、原子層堆積、及び/又は、セリグラフィーといった手法のうちの少なくとも1つの方法によって形成することができるが、こうした手法には限定されない。この絶縁層206は、例えば、パリレン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、又は、ガラス製としてもよい。
【0094】
実際、プライマリー隔壁部200は、プライマリー隔壁部200から形状可変電極600を絶縁するように構成された第1絶縁層206を有している。特に、形状可変電極600は、少なくとも1つの導電部を有しており、及び/又は、プライマリー隔壁部200は、プライマリー導電性パッド270を有している。この構成では、プライマリー隔壁部200は、プライマリー隔壁部200におけるプライマリー導電性パッド270から、形状可変電極600における少なくとも導電部を絶縁するように構成された第1絶縁層206を有している。
【0095】
同様に、セカンダリー隔壁部300は、セカンダリー隔壁部300から形状可変電極600を絶縁するように構成された第2絶縁層306を有している。特に、形状可変電極600は、少なくとも1つの導電部を有しており、及び/又は、セカンダリー隔壁部300は、セカンダリー導電性パッドを有している。この構成では、セカンダリー隔壁部300は、セカンダリー隔壁部306におけるセカンダリー導電性パッドから、形状可変電極600における少なくとも1つの導電部を絶縁するように構成された第2絶縁層306を有している。
【0096】
したがって、形状可変電極は、例えばアルミニウム導電層のような導電層によって両側が被覆されており、そうした形状可変電極から、前記隔壁部が絶縁されている。PET製の形状可変電極の両側は、接地/共通電極を形成しており、電気的に導通するように接続され得る。そして、金属製の隔壁部の各々は、電極としてもよい。中間形状可変部602は、その範囲の半ばにて、約0Vとなり得る。共通電極と、隔壁部の一方との間に電圧が印加されると、PET製の形状可変電極600、より詳細には、PET製の形状可変電極600における中間形状可変部602が、例えば右方へと変位する傾向にある。
【0097】
第1プライマリー表面部210は、プライマリー導電性表面領域260を有している。このプライマリー導電性表面領域260は、前述した第1絶縁層206を介することにより、部分的に又は全体的に、形状可変電極600の形状可変導電層670から絶縁されている。この第1絶縁層は、部分的に又は全体的に、第1プライマリー表面部210におけるプライマリー導電性表面領域260と、形状可変電極600における形状可変導電層670と、の間に電気的な接触がないように、プライマリー導電性表面領域260を絶縁している。この特定の実施形態においては、形状可変導電層670は、形状可変誘電層660における一側に設けられている。
【0098】
第1セカンダリー表面部310は、セカンダリー導電性表面領域360を有している。このセカンダリー導電性表面領域360は、前述した第2絶縁層306を介することにより、部分的に又は全体的に、形状可変電極600の形状可変導電層670から絶縁されている。この絶縁層は、部分的に又は全体的に、第1セカンダリー表面部310におけるセカンダリー導電性表面領域360と、形状可変電極600における形状可変導電層670と、の間に電気的な接触がないように、セカンダリー導電性表面領域360を絶縁している。この特定の実施形態においては、形状可変導電層670は、形状可変誘電層660における他側に設けられている。
【0099】
特定の実施形態においては、第1プライマリー表面部210上のプライマリー導電性表面領域260、及び、第1セカンダリー表面部310上のセカンダリー導電性表面領域360は、部分的に又は全体的に、第1絶縁層206及び第2絶縁層306を介することにより、形状可変電極600の形状可変導電層670から絶縁することができる。すなわち、形状可変導電層670は、形状可変誘電層660の両側に設けられており、すなわち、形状可変誘電層660は、部分的に又は全体的に、2つの形状可変導電層670に挟まれた状態にある。この構成では、第1絶縁層206及び第2絶縁層306は、形状可変導電層670及び/又は形状可変電極に面している。
【0100】
・第5の実施形態に係る本発明の詳細な説明
図5は、ディジタル制御のために複数のプライマリー導電性パッド270を備えた、プライマリー隔壁部200の実施形態を示している。簡素化を目的として、及び、静電気作動装置100のより良い理解を確保するために、プライマリー隔壁部200のみが図示されている。この実施形態は、逐語的に、セカンダリー隔壁部300、又は、形状可変電極600に置換してもよい。
【0101】
この変形例においては、プライマリー隔壁部200の電極は、プライマリー導電性パッド270を意味しており、種々のパッドに分割されている。プライマリー導電性パッド270における各パッドは、個別に帯電されている。各パッドは、電源ON又は電源OFFに切り替えることができ、帯電されているパッドの面積に比例した体積の流体を押圧することになる。各パッドは、電圧源に接続されている。この電圧源は、対応する電極の全領域が押圧されるのを十分に保証するような電圧に対応している。この実施形態によれば、プライマリー隔壁部200は絶縁材料から形成されているとともに、薄膜状の金属製フィルムが、塗布方法、セリグラフィーによって、プライマリー隔壁部200上に堆積され、巨視的な応用方法、又は、他のあらゆる方法によって接着されている。別の実施形態によれば、各種の金属製隔壁部が、力学的に支持するために、基礎となる絶縁性支持媒体によって支持され得る。
【0102】
プライマリー隔壁部200及びセカンダリー隔壁部300における少なくとも1つの隔壁部は、両隔壁部の間に600μm未満、好ましくは、両隔壁部の間に200μm未満の壁間距離gを有しているとともに、プライマリー導電性パッドを有している。
図3に示される実施形態によれば、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間の壁間距離gは、傾斜を有するように変化する。
【0103】
より詳細には、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間の壁間距離gは、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間に、0度と60度の間、特に0度と45度の間、好ましくは0度と30度の間となる角度を形成するように変化している(一様ではない)。
【0104】
プライマリー導電性パッドは、少なくとも2つの導電性パッドを有している。少なくとも2つの導電性パッドは、両パッドの間に、10μmと1mmの間、又は、10μmと500μmの間のパッド間距離sを有している。そして、プライマリー導電性パッドというよりは、少なくとも2つのプライマリー導電性パッドが、前述した、プライマリー導電性表面領域260によって、プライマリー隔壁部表面領域290を、少なくとも部分的に覆っている。
【0105】
プライマリー導電性パッドにおける少なくとも2つのプライマリー導電性パッドは、主要プライマリー表面領域272を有する主要プライマリー導電性パッド271と、補助プライマリー表面領域274を有する少なくとも1つの補助プライマリー導電性パッド273と、を備えている。主要プライマリー表面領域272と、補助プライマリー表面領域274は、プライマリー導電性表面領域260内に設けられている。
【0106】
主要プライマリー導電性パッド271と、少なくとも1つの補助プライマリー導電性パッド273は、互いに、電気的に遮断されている(互いに絶縁されている)。プライマリー導電性表面領域260は、主要プライマリー表面領域272及び補助プライマリー表面領域274がプライマリー導電性パッドを形成することから、主要プライマリー表面領域272と、補助プライマリー表面領域274と、を有している。
【0107】
補助プライマリー表面領域274の大きさは、公比及び初項を有する等比数列、又は、初項及び公差を有する等差数列によって定義することができる。主要プライマリー表面領域272の大きさは、等比数列における初項、又は、等差数列における初項とみなすことができる。
【0108】
例えば、主要プライマリー表面領域272の大きさが、1単位面積に等しい場合、第1補助プライマリー表面領域274の大きさは、2単位面積に等しく、第2補助プライマリー表面領域274の大きさは、4単位面積に等しくなる。この構成では、形状可変電極600は、1及び7単位面積と物理的に接触した状態にある。換言すれば、第1電極チェンバー500は、8つまでの、ファインチューニングを許容する種々の押圧される流体体積611を有している。
【0109】
大変有用となる、全体にわたった別の実施形態は、
図2の静電気作動装置100と、
図4及び5の特徴部と、を組み合わせてなる。これは、双極性の静電気作動装置100となるとともに、例えば第2流体の全体量を調整することで、0Vの焦点が、中間視での鮮明な視界に調整されることになる。0Vでの流体の休止位置に関連して、装置は、能動的に、液体を一方向に押し込んだり、液体を他方向に引き込んだりすることができる。特に、眼科用装置においてこの装置を使用した場合、このことは、眼科用装置における休止位置が、中距離視界となることを意味している。ポンプは、遠くの視界、又は、近くの視界が両方とも見えるように、両方向にレンズを作動させることができる。
【0110】
さらに、両方の隔壁部上、つまり、プライマリー隔壁部200及びセカンダリー隔壁部300上、並びに/又は、形状可変電極600上にパッド構造を設けることができる。少なくとも2つのプライマリー導電性パッド、主要プライマリー導電性パッド271、及び、少なくとも1つの補助プライマリー導電性パッド273は、それらパッドの間で、又は、セカンダリー隔壁部300上に設けられる少なくとも2つのセカンダリー導電性パッド、主要セカンダリー導電性パッド、及び、少なくとも1つの補助セカンダリー導電性パッドとともに、整列される必要はない。換言すれば、主要セカンダリー導電性パッドは、整列されたり、主要プライマリー導電性パッド271に面したりする必要はない。少なくとも2つのセカンダリー導電性パッド、及び/又は、少なくとも2つのプライマリー導電性パッドにおける各導電性パッドが、個別に、正多角形状を有していたり、非正多角形状を有していたり、することも、正確には必須ではない。
【0111】
・隔壁部の構造についての詳細な説明
図6は、シリコンウエハの異方性エッチングを用いたミクロ流体用隔壁部の製造方法を示している。この方法は、この発明に適した、
図6上に示されたものと同様のパターンを製造することができる。
【0112】
本発明の特定の実施形態においては、プライマリー隔壁部及びセカンダリー隔壁部のうちの少なくとも1つの隔壁部が、部分的には、少なくとも1つの結晶性又は半結晶性材料によって形成されている。より詳細には、プライマリー隔壁部200及びセカンダリー隔壁部300のうちの少なくとも1つの隔壁部が、ポリマー、ソル-ゲル、シリコン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、サファイア、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、又は、ここまでに述べた材料からなる合金といった、少なくとも1つの結晶性又は半結晶性材料によって形成されている。
【0113】
前述した実施形態の代替として、プライマリー隔壁部及びセカンダリー隔壁部のうちの少なくとも1つの隔壁部が、多孔質材料、天然繊維又は人工繊維によって、部分的に形成されてもよい。配向又は非配向とされた天然繊維又は人工繊維を用いることもできる。あらゆる場合において、多孔質材料、天然繊維又は人工繊維は、ポリマー、エラストマー、アモルファスカーボン、ケブラー、カーボン又は金属から部分的に形成してもよい。
【0114】
複数の第2プライマリー流体通路230における前述の第2プライマリー流体通路240は、第1プライマリー開口部表面領域239を有し第1プライマリー表面部210上に設けられる第1プライマリー開口部と、第2プライマリー開口部表面領域241を有し第2プライマリー表面部220上に設けられる第2プライマリー開口部と、を備えている。ここで、第1プライマリー開口部表面領域239は、第2プライマリー開口部表面領域241よりも小さくしてよい。
【0115】
第2セカンダリー流体通路330における第2セカンダリー流体通路340は、第1セカンダリー開口部表面領域を有し、第1セカンダリー表面部310上に設けられる第1セカンダリー開口部と、第2セカンダリー開口部表面領域を有し、第2セカンダリー表面部320上に設けられる第2セカンダリー開口部と、を備えている。ここで、第1セカンダリー開口部表面領域は、第2セカンダリー開口部表面領域よりも大きくしてもよい。
【0116】
複数の第2プライマリー流体通路230における第1プライマリー開口部表面領域239の和は、プライマリー開口部表面領域を形成してもよく、及び/又は、複数の第1セカンダリー流体通路における第1セカンダリー開口部表面領域の和は、セカンダリー開口部表面領域を形成してもよい。
【0117】
一般的に、第1プライマリー開口部表面領域239は、第2プライマリー開口部表面領域241よりも小さくしてもよく、第1プライマリー開口部表面領域239と第2プライマリー開口部表面領域241との間の比は、0.001と0.5の間としてもよい。これに加えて、又は、これに代えて、第1セカンダリー開口部表面領域は、第2セカンダリー開口部表面領域よりも小さくしてもよく、第1セカンダリー開口部表面領域と第2セカンダリー開口部表面領域との間の比は、0.001と0.5の間としてもよい。
【0118】
第1プライマリー開口部表面領域239は、プライマリー隔壁部表面領域290よりも小さくしてもよく、第1プライマリー開口部表面領域239とプライマリー隔壁部表面領域290との比は、0.001と0.5の間としてもよい。これに加えて、第1セカンダリー開口部表面領域は、セカンダリー隔壁部表面領域よりも小さくしてもよく、第1セカンダリー開口部表面領域とセカンダリー隔壁部表面領域との比は、0.001と0.5の間としてもよい。
【0119】
プライマリー開口部表面領域は、プライマリー隔壁部表面領域290よりも小さくしてもよく、プライマリー開口部表面領域とプライマリー隔壁部表面領域290との比は、0.001と0.5の間としてもよい。これに加えて、セカンダリー開口部表面領域は、セカンダリー隔壁部表面領域よりも小さくしてもよく、セカンダリー開口部表面領域とセカンダリー隔壁部表面領域との比は、0.001と0.5の間としてもよい。
【0120】
特に、第1プライマリー開口部表面領域239とプライマリー隔壁部表面領域290との間の比は、0.01と0.4の間としてもよく、第1セカンダリー開口部表面領域とセカンダリー隔壁部表面領域との比は、0.01と0.4の間としてもよい。
【0121】
特に、プライマリー開口部表面領域とプライマリー隔壁部表面領域290との比は、0.001と0.5の間としてもよく、セカンダリー開口部表面領域とセカンダリー隔壁部表面領域との比は、0.001と0.5の間としてもよい。
【0122】
もちろん、エッチングに係る他の技術を、同様に適用することができる。シリコン、ガラス、セラミックス、酸化物、金属の異方性又は等方性エッチング等を用いることができる。
【0123】
例えばポリマー、エラストマー、アモルファスカーボン、又は、酸化アルミニウムから成る多孔質材料を用いることによって、複数の第2プライマリー流体通路230を備えたプライマリー隔壁部200を製造するための別の方法を想到することもできる。
【0124】
例えばポリマー、ケブラー、カーボン、金属のような、配向又は非配向とされて組み合わされた如何なる繊維からなる天然又は人工繊維を用いることを、プライマリー隔壁部200を製造するために想到することもできる。
【0125】
プライマリー隔壁部200は、例えば、穴を有する層、及び、支持用の層といった様々な層からなる複合層として形成することもできる。
【0126】
・静電気作動装置の制御についての詳細な説明
静電気作動装置100の制御は、電圧、及び/又は、静電容量、及び/又は、個々の容積部によって実行される。プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間の壁間距離gは、システム全体の寸法に応じて、典型的には600μm未満、好ましくは200μm未満とされるべきである。静電気作動装置100は、下式によって与えられる差圧によって流体を変位させることができる。
【0127】
【数1】
上式において、ΔPは、誘電性形状可変電極600によって隔絶される第1流体及び第2流体の間に引き起こされる差圧であり、εは、誘電性形状可変電極600の誘電率であり、ε0は、真空の誘電率であり、eはその厚みであり、gは、壁間距離としても知られた、プライマリー隔壁部200とセカンダリー隔壁部300との間の間隔であり、γは、隔壁部における、プライマリー開口部表面領域とプライマリー隔壁部表面領域との比であり、Vは、隔壁部と誘電性形状可変電極600との間の電位差である。実験的に理解するための典型的な値として、ε=3、e=2μm、g=200、γ=0.8、及び、V=100Vと仮定すると、ΔP=300Paと評価されることになる差圧が得られる。このことは、静電気作動装置が、眼科用装置の必要に即した量の対向圧力に抗して液体を送り込むことができるということを意味している。
【0128】
上式から見て取れるように、圧力に作用する静電気の効果は、電圧の2乗V2に比例する。静電気作動装置を作動させるために、交流電圧を用いることができる。交流電圧を用いることで有利になる。実際、交流電圧の使用は、単極性電圧が連続的に適用され得る材料及び液体におけるデューティを抑制し、ひいては、静電気作動装置100における効率が長期的に減少するようになる。
【0129】
上式は、電場によって押圧される液体を絶縁しているときに適用される。結果として、液体は、静電気作動装置100が正確に働くために、正確に操作されなければならない。水のような導電性液体については、それら液体は、電場の存在しない、静電気作動装置100の一部内のみに配置することができる。例えば、実施形態1においては、水は、チェンバー625内に配置することができる。誘電性液体については、それら液体は、これまでに提示された如何なる実施形態におけるチェンバー内に配置することができる。多少の導電性を有するも誘電性といえる中間の液体については、通常、その液体の振る舞いがほとんど純粋に誘電的でありかつ、その導電性を無視することができるような交流電圧周波数が存在することになる。そうしたレジームのもとで働くように、静電気作動装置100を操作することが必要になる。
【0130】
静電気作動装置100の制御は、電圧の変化、ひいては、その変化が差圧をもたらすことによって実行することができる。そうした差圧は、所定の体積を押圧することに相当し、押圧される流体の体積と、差圧との間の相関関係は、光学的な変形可能膜の弾性によって与えられることになる。ある場合には、静電気作動装置100の外部に設けられる形状可変電極の弾性は、静電気によって作動して押圧される体積の正確な値を保証するには不十分となり得る。
【0131】
変更可能な間隙gを有し、かつ
図3に示される実施形態は、静電気作動装置100のレスポンスを拡大させることができ、ある電圧が、押圧される流体の所定体積に対応することになる。実際、例えば
図2においては、全ての流体が静電気作動装置100から押し出されるような、突然の電圧閾値が存在し得る。
図3においては、勾配が、電圧レスポンスについて拡大を保証するとともに、ひいては、静電気作動装置100により押圧される流体の量を、電圧の精密制御によって制御することが可能になる。
【0132】
システムの静電容量を通じて、静電気作動装置100を制御することができる。ここで、
図2を参照すると、形状可変電極600としてもよい共通電極と、プライマリー隔壁部200又はセカンダリー隔壁部300との間の全体的な静電容量は、中間形状可変部602の位置に応じて変化する。ここで、形状可変共通電極600と、プライマリー隔壁部200との間に例えば最大電圧が印加された状態では、形状可変電極600は、静電気作動装置100の全領域にわたって、反対側の表面に当たることになろう。2つの電極の間の静電容量は、最大値となろう。プライマリー隔壁部200-形状可変共通電極600間、又は、プライマリー隔壁部200-形状可変共通電極600間とセカンダリー隔壁部300-形状可変共通電極600間との両方で静電容量をモニターすることで、圧力とは独立して、静電気作動装置100によって変位されることになる流体の体積についての知識に至ることになる。したがって、静電気作動装置100は、このパラメータ上で要求されるサーボ制御を用いることで、静電容量によって制御可能である。
【0133】
前記静電容量は、外部装置(LCRブリッジ、又は、他のあらゆるキャパシタンス・メータ)を用いるか、あるいは、デバイス・コントローラとして使用される機能とは別に、小型化された回路に含まれる小規模な回路構成によって測定することができる。それら小型化された回路は、例えば、いわゆる“静電容量感知”を通じてタッチパッドを検知するための、超小型化された特定用途向け集積回路(略してASIC)において、既に広く流布されている。これらの回路を用いた様々な測定原理が存在する。静電容量に依存した、弛緩型発振器の周波数を測定することができる。あるいは、一方は公知の値に固定され、他方は測定されるべき未知のキャパシタであり直列とされた2つのキャパシタにおける交流電流又は交流電圧の値を用いることができる。未知のキャパシタ上で交流電圧を測定することは、未知の静電容量の値を推測するための方法を提供する。
【0134】
静電気作動装置100を制御する別の方法としては、電極を種々の電極に分割することによって、容積部を、分離された副容積部に分割してもよい。
図5は、変位される体積について所望の分解能が得られるように、種々の形状とされた導電性パッドを有するプライマリー導電性パッド270の一式を例示している。
図5上では、隔壁部、及びその導電性パッドのみが示されているが、静電気作動装置100の残部は、上述した図面と同様である。
図5の例では、プライマリー隔壁部200は、絶縁性材料から形成されており、プライマリー導電性パッド270の一式は、プライマリー隔壁部200上に配置されている。外部と接続することで、個々の導電性パッドを異なる電圧に設定することができる。各導電性パッドは、それぞれ、対応するゾーンが作動することを保証するように、電圧源に接続されることになる。他の導電性パッドは、対応するゾーンが作動しないように、接地されることになる。電圧は、作動されるゾーンにおいては、流体が、形状可変電極600によって十分に押圧されるように、十分に高くされるべきである。各ゾーンは、ON又はOFFと、2通りに作動される。
図5は、特定の実施形態を示している。この特定の実施形態においては、導電性パッド毎に異なるエリアが設定されており、各導電性パッドは、直前のパッドについて比例した表面積を有している。これにより、N個の電極のみを使いながらも、静電気作動装置100の注入量について、異なるステップを作り出すことができる。他の方法は、より高い分解能を作り出すために、中間電圧を含むことになる。
【0135】
図2に示される実施形態は、特に、2つの流体作動について簡素である。一方に偏してメタライズされた形状可変電極600は、プライマリー隔壁部200と、セカンダリー隔壁部300と、の間に閉じ込められている。PETメタリゼーションの逆側に位置する隔壁部は、一電極として機能するよう、通電することになる。PET製の形状可変電極600におけるメタリゼーションは、他電極となる。電圧を印加したとき、形状可変電極600は、他の隔壁部電極に引き寄せられ、そのことで、電極として機能する導電性隔壁部の側部に在る流体を押圧することになる。
図8は、そうした変化についての実験記録を示している。
【0136】
図8において、曲線C01はδP=100Paに対応し、曲線C02はδP=200Paに対応し、曲線C03はδP=300Paに対応している。グラフは、電圧Vに対してプロットされた、サンプルの静電容量Cを示している。本出願における他の部分で説明されてきたように、静電容量は、隔壁部に接触している形状可変フィルムの量を反映している。グラフは、所定の電圧にて、フィルムが、オフ状態とオン状態との間で遷移を生じることを示している。この遷移電圧は、明らかに、静電気作動装置100が作動しなければならない圧力とともに変化する。上図において、上ってゆく曲線と下ってゆく曲線とが異なっており、ヒステリシスな振る舞いも見て取れる。
【0137】
・形状可変電極の位置についての詳細な説明
形状可変電極600の様々な位置について、
図9を参照して説明する。
【0138】
形状可変電極600の各位置において、この電極は、第1形状可変部601と、中間形状可変部602と、第2形状可変部603と、を備えている。
【0139】
ここで、第1形状可変部601は、第1プライマリー表面部201と物理的に接触したり、これに近接したり、する部位をいう。
【0140】
また、第2形状可変部603は、第1セカンダリー表面部310と物理的に接触したり、これに近接したり、する部位をいう。
【0141】
そして、中間形状可変部602は、第1形状可変部601と第2形状可変部603を連結するとともに、第1プライマリー表面部210と第1セカンダリー表面部310とを横断する部位をいう。この中間形状可変部602は、第1プライマリー表面部210及び第1セカンダリー表面部310のいずれとも、物理的には接触しない、としてもよい。
【0142】
第1方向に形状可変電極600に作動させると、中間形状可変部が第1方向に移動するとともに、第1流体が、複数の第2プライマリー流体通路230を介して第1電極チェンバー615から第1チェンバー110に押し出される。このことは、第1電極の容積、つまり第1電極容積部611が減少したときに、それと同時に、複数の第2プライマリー流体通路230において遮断される第2プライマリー流体通路240の数が増加すること、あるいは、第1流体が、複数の第2プライマリー流体通路230を介して第1電極チェンバー615から第1チェンバー110へ移動したり、その逆方向に移動したりするのを妨げるように、第1形状可変部601が第1プライマリー表面部210に接近することを意味している。
【0143】
反対の第2方向に形状可変電極600が作動すると、中間形状可変部が第2方向に移動するとともに、第2流体が、複数の第2セカンダリー流体通路330を介して第2チェンバー120に向けて変位する。そのとき、第2電極チェンバー625の容積、つまり第2電極容積部621が減少すると同時に、複数の第2セカンダリー流体通路330において遮断されない又は被覆されない第2セカンダリー流体通路340の数が増加し、あるいは、第2流体が、複数の第2セカンダリー流体通路330を介して第2電極チェンバー625から第2チェンバー120へ移動したり、その逆方向に移動したりするのを妨げるように、第2形状可変部603が第1セカンダリー表面部310に接近することになる。
【0144】
中間形状可変部602は、第2形状可変部603とともに第1電極チェンバー615を部分的に形成してもよく、第1形状可変部601とともに第2電極チェンバー625を部分的に形成してもよい。
【0145】
図9に示されるように、第1位置691及び第2位置692は、第1形状可変部601の変化に関連して定義してもよい。換言すれば、第1位置691は、第1形状可変部601における第1プライマリー接触面を定義してもよい。第1形状可変部601における第1プライマリー接触面は、第1位置691における、第1形状可変部601と、第1プライマリー表面部210との接触面を示してもよい。第2位置692は、第1形状可変部601における第2プライマリー接触面を定義しもよい。第1形状可変部601における第2プライマリー接触面は、第2位置692における、第1形状可変部601と第1プライマリー表面部210との接触面を示してもよい。第2プライマリー接触面は、第1プライマリー接触面よりも広い。換言すれば、第1形状可変部601と第1プライマリー表面部210によって形成されるキャパシティは、形状可変電極600が第1位置691から第2位置692へ作動するときに増加し、それとは反対に、第1形状可変部601と第1プライマリー表面部210によって形成されるキャパシティは、形状可変電極600が第2位置692から第1位置691へ作動するときに減少してもよい。第2形状可変部603については、第2位置692が、第2形状可変部603における第2セカンダリー接触面を定義してもよい。第2形状可変部603における第2セカンダリー接触面は、第2位置692における、第2形状可変部603と第1セカンダリー表面部310との接触面を示してもよい。第1位置691は、第2形状可変部603における第1セカンダリー接触面を定義してもよい。第2形状可変部603における第1セカンダリー接触面は、第1位置691における、第2形状可変部603と第1セカンダリー表面部310との接触面を示してもよい。第2セカンダリー接触面は、第1セカンダリー接触面よりも狭い。換言すれば、第2形状可変部603と第1セカンダリー表面部310によって形成されるキャパシティは、形状可変電極600が第1位置691から第2位置692へ作動するときに減少し、それとは反対に、第1形状可変部601と第1セカンダリー表面部310とによって形成されるキャパシティは、形状可変電極600が第2位置692から第1位置691へ作動するときに増加してもよい。
【0146】
形状可変電極600が第1位置691から第2位置692へ移動するときには、第1形状可変部601と第1プライマリー表面部210との接触面が、第1プライマリー接触面から第2プライマリー接触面へと拡大すると同時に、第2形状可変部603と第1セカンダリー表面部310との接触面が、第1セカンダリー接触面から第2セカンダリー接触面へと縮小してもよい、と理解することができる。
【0147】
そして相反的には、形状可変電極600が第2位置692から第1位置691へ移動するときには、第1形状可変部601と第1プライマリー表面部210との接触面が、第2プライマリー接触面から第1プライマリー接触面へと縮小すると同時に、第2形状可変部603と第1セカンダリー表面部310との接触面が、第2セカンダリー接触面から第1セカンダリー接触面へと拡大してもよい。
【0148】
アンタゴニスト作用が存在したり、第1電極チェンバー615及び第2電極チェンバー625がアンタゴニストであったりしてもよい、と解釈することができる。アンタゴニスト作用は、形状可変電極がある位置から他の位置へ作動するときに観測され得る。実際、形状可変電極が変形している最中、遮断されない第2プライマリー流体通路240の数は、第1形状可変部601が複数の第2プライマリー流体通路230を部分的に遮断するときに減少する。これは、第1形状可変部601と第1プライマリー表面部210との接触面が、第1プライマリー接触面から第2プライマリー接触面へと増大するからである。第1流体は、第1電極チェンバー615から、複数の第2プライマリー流体通路230を介して第1チェンバー110へと移動し、第1電極チェンバー615の容積、つまり第1電極容積部611は、減少する。
【0149】
それと同時に、遮断されない第2セカンダリー流体通路330の数は、第2形状可変部603が複数の第2セカンダリー流体通路330と部分的に、物理的に接触しないときに増加する。これは、第2形状可変部603と第1セカンダリー表面部310との接触面が、第1セカンダリー接触面から第2セカンダリー接触面へと減少するからである。第2流体は、第2チェンバー120から、複数の第2セカンダリー流体通路330を介して第2電極チェンバー625へと移動し、第2電極チェンバー500の容積、つまり第2電極容積部621は、増大する。
【0150】
・眼鏡についての詳細な説明
特許出願FR16/に記載されているように、
図10は、静電気作動装置100によって押圧される流体を用いた前述の実施形態の1つに係る、静電気作動装置100を備えた眼鏡800を示している。特に、2つの静電気作動装置100が、それぞれ、2つの眼鏡800のつる部にそれぞれ配置されている。眼鏡800は、形状可変電極600を作動させることを目的として前記電極と形状可変電極に接続されるよう構成された、静電気作動装置100のための電源供給部810を備えている。第1プライマリー表面部210と物理的に接触する第1形状可変部601と、第1セカンダリー表面部310と物理的に接触する第2形状可変部603と、の比は、電圧制御部820を介して制御され得る。この電圧制御部820は、電源供給部810から形状可変電極へと交流電流を供給するように構成されている。第1チェンバー110及び第2チェンバー120は、流体のための内部キャビティを形成するようにアクティブグラスを2等分したものと流体的に接続されている。2等分されたうちの一方は前部であり、かつ他方は後部である。視覚的形状可変薄膜部と呼ばれる変形可能な薄膜部は、2等分されたものにクランプされており、2つの流体の仕切を分割している。2つの流体仕切の間の差圧を変化させることで、視覚的形状可変薄膜部を変形させることになり、そのことで、2つの流体が異なる屈折率を有するために、視力を変化させることになる。眼鏡800におけるガラスは全て透明としてもよい。好ましくは、2等分された各々が異なる屈折率を有するとともに、それぞれが、対応する流体の屈折率に適合した屈折率を有することになる。このことは、流体のキャビティ、及び、流体を中央領域へ導くトンネル部を見えなくすることができるという点で有効である。
【0151】
【表1】
この第1流体は、表1に示された高い屈折率を有する液体から選んでもよい。
【0152】
【表2】
静電気作動装置100は、第2流体に対し、約150μlの第1流体を、静電気的に可逆的に作動させることができる。静電気作動装置100は、2つの流体チャネル間の差圧を200Pa程度、好ましくは400Pa程度に維持することができる。流体の流れは、少なくとも100μl/s、好ましくは200μl/sである。これらのパフォーマンスは、100センチストークス(略してcs)までの粘性、好ましくは、10csまでの粘性を有する流体によって達成される。
【産業上の利用可能性】
【0153】
前述した説明から明らかなように、この装置の主な用途は、電子眼鏡800である。それにもかかわらず、この装置は、顕微鏡、望遠鏡、フォロプター、眼底カメラ、及び、全ての眼科用装置のように、人間の眼の前に配置され得る如何なる接眼レンズ、又は、如何なる装置に適用することができる。
【0154】
加えて、前述した装置100は、生物学用途、試験、診断及び医療装置のためのミクロ流体用装置に用いることができる。そうした医療装置には、コンタクトレンズ、眼球内へのインプラント、並びに、薬品運搬のための小さな静電気作動装置100、及び、生物学的な流体試験のための小さな静電気作動装置100のような、非視覚的な医療装置が含まれる。これら医療装置は、人体の外部に設けられたり、人体の内部に埋め込まれたりするものであり、実際、小さな消費電力で限られた量の流体を押し出す必要があるものである。
【0155】
加えて、装置100は、化学、物理学、化学工学、生物学、生物工学、環境工学、化学工業、航空学、電気工業、電気装置といったあらゆる分野において、流体を変位させるために使用されるあらゆる流体装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0156】
100 静電気作動装置
110 第1チェンバー
111 第1プライマリー流体通路
120 第2チェンバー
121 第1セカンダリー流体通路
200 プライマリー隔壁部
206 第1絶縁層
210 第1プライマリー表面部
220 第2プライマリー表面部
230 第2プライマリー流体通路
239 第1プライマリー開口部表面領域
240 第2プライマリー流体通路
241 第2プライマリー開口部表面領域
249 第1セカンダリー開口部表面領域
270 プライマリー導電性パッド
271 主要プライマリー導電性パッド
272 主要プライマリー表面領域
273 補助プライマリー導電性パッド
274 補助プライマリー表面領域
290 プライマリー隔壁部表面領域
300 セカンダリー隔壁部
310 第1セカンダリー表面部
320 第2セカンダリー表面部
330 第2セカンダリー流体通路
500 電極チェンバー
600 形状可変電極
615 第1電極チェンバー
625 第2電極チェンバー
660 形状可変誘電層
691 第1位置
692 第2位置
800 眼鏡
810 電源供給部
820 電圧制御部
g 壁間距離
s パッド間距離