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▶ エコール ポリテクニーク フェデラル ド ローザンヌ (エペエフエル)の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111271
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】殺ウイルス化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/724 20060101AFI20220722BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20220722BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20220722BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220722BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A61K31/724
A61P31/18
A61P31/22
A61P31/20
A61P31/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022092907
(22)【出願日】2022-06-08
(62)【分割の表示】P 2019502193の分割
【原出願日】2017-07-20
(31)【優先権主張番号】16180726.8
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516041704
【氏名又は名称】エコール ポリテクニーク フェデラル ド ローザンヌ (エペエフエル)
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ ステラッチ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル ジョーンズ
(57)【要約】
【課題】殺ウイルス化合物、それを含んでいる殺ウイルス組成物、ならびにウイルス感染における、殺菌および消毒のための、それらの使用を提供すること
【解決手段】 本発明は、殺ウイルス化合物、それを含んでいる殺ウイルス組成物、ならびにウイルス感染における、殺菌および消毒のための、それらの使用に関するところのものである。化合物は、スルホニルアルキルシクロデキストリンである。本発明は、固有の特性を有している殺ウイルス化合物によってこの問題を解決可能である。一態様において、本発明は、式(I)を有している、殺ウイルス化合物を提供するものである。さらなる態様において、本発明は、HSPG結合ウイルスに吸着受容体を提示する多数のアルキル硫酸塩基を含んでいる、殺ウイルス化合物を提供するものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺ウイルス化合物、それを含んでいる殺ウイルス組成物、ならびにウイルス
感染における、殺菌および消毒のための、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスは、地球上に最も多く存在する生物学的な存在であり、すべての細胞種(動物
、植物、細菌および真菌が挙げられる)に感染可能である。ウイルス感染は、年に数百万
人を死に至らしめ、保健医療費に大きく影響する。ウイルスは、社会に対して重大な負の
影響を有している。ウイルス感染(HIV、エボラまたはジカ)は、食物、農作物のウイル
ス感染、家畜のウイルス感染から、深刻な健康への影響までを、ヒトに対して有している
。いくつかのウイルス感染はまた、がんと関連づけられている(例えば、子宮頸がん(女
性において4番目に多いがん)と関連付けられているヒトパピローマウイルス(HPV))。
【0003】
ウイルス感染と戦う最良の策はワクチン接種である。しかし、ワクチンは、常に入手可
能であるとはいえず、大きなワクチン適用範囲を有している発展途上国において、大きな
課題であり得る。さらに、いったん感染すると、ワクチン接種は、まったく有用ではなく
、免疫系が感染と戦うことを補助する薬剤が必要とされる。
【0004】
ウイルスによって複製するために使用される細胞内経路を崩壊させることによって作用
する抗ウイルス剤は、しばしば、免疫系がウイルス感染と戦うことを補助するために処方
される。小分子、免疫系を刺激可能なタンパク質(例えばインターフェロン)またはオリ
ゴヌクレオチド(例えばREF-殺ウイルス性ペイパー5(REF-virucidalpaper 5))の形
態として見られ得る現状の抗ウイルス薬物療法剤。これらの薬物療法剤は、数種のウイル
ス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス
(HCV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状
疱疹ウイルス(VZV)およびインフルエンザウイルス)しか対象にしていない。特異的な
抗ウイルス処置は、ほとんどのウイルスに対して存在しない。現状の薬物療法剤のアプロ
ーチは、典型的に、ウイルス複製に必須であるが、宿主の酵素と異なる(ある程度の選択
性を可能にする)ウイルス酵素に対して細胞内で作用する。しかし、ウイルスは複製のた
めに感染細胞の生合成機序にほぼ依存しているため、抗ウイルス薬剤の特異性は、しばし
ば、理想とかけ離れ、そのような処置と関連する本質的な全身の毒性を生じる。さらに、
ウイルスは、エラー易発性の複製機序のため急速に変異し、ウイルスは、しばしばそのよ
うな抗ウイルス剤への耐性を構築する。抗ウイルス薬剤の標的としてのウイルスに特有の
タンパク質の使用は、系統的かつ構造的に異なる多数のウイルス(例えば、外部の脂質エ
ンベロープありまたはなしのウイルス)に作用する広範な抗ウイルス剤の開発を困難にす
る。理想的なウイルス薬剤は、不可逆的にウイルスを阻害し、かつ宿主の外部で作用する
広範な無毒の材料(すなわち殺ウイルス薬剤)であることが合理的であり得る。細胞環境
の外部で活性な薬剤は、現状では、宿主細胞に付随している受容体またはウイルスリガン
ドに対する不可逆的な結合(細胞-ウイルス相互作用の減少に導く)を介してその阻害が
実現されるウイルス抑止特性を示すのみである。上記相互作用の不可逆的な性質は、薬剤
が、希釈によって細胞またはウイルスから遊離し、持続性不活性を生じない(ウイルスに
ふたたび感染を許容する)ので、そのような材料を医療用途には不適切にする。硫酸化さ
れている直鎖ポリ多糖であるヘパラン硫酸(HS)は、多くのウイルス(ヒト免疫不全ウイ
ルス(HIV)、1型および2型の単純ヘルペスウイルス(HSV)、デングウイルス(DENV)
、アデノウイルスおよびC型肝炎ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない)にと
って細胞表面吸着受容体として重要な役割を果たすと示されている。抗ウイルス剤として
作用する潜在性を有しているHS様材料またはHS結合材料を合成的に生成する多くの試みが
、なされている。HSのような全体に高度に硫酸化されている重合体であるポリアニオン性
の抗HIV殺菌剤(すなわちポリ硫酸化されているPRO2000、ポリ硫酸化されているCarragua
rdおよびセルロースUshercell)のみが、第三相臨床試験に達している。経腟HIV感染を予
防できるものはなかったし、なには感染率が上昇さえした。1つの考えられる説明は、そ
れらの効果が単にウイルス抑止性であり、しがたって膣分泌液および精液がウイルスおよ
び活性化合物の希釈を導き、結合を完全に喪失させ、活性なウイルス放出を生じるという
ことである。
【0005】
ウイルスの処置にとっての他のアプローチが存在するが、現状では医療に適用可能では
ない。それは、ウイルス変異によって影響されない、既知のウイルスのすべてに対して有
効な広範なアプローチである。それは、殺ウイルス作用と呼ばれており、殺ウイルス材料
との接触によってウイルスを不活性にする。殺ウイルス薬剤は、ウイルスに対する不可逆
的な効果を有しており;実際に、それらの効果は、ウイルスとの最初の接触が生じた後に
希釈が起こっても維持されることが、注目に値する。単純な界面活性剤から強力な酸にま
で及ぶ多くの殺ウイルス材料について多くの文献があり、少なくともイオンを放出可能な
重合体およびナノ粒子は、既知の殺ウイルス分子である。例えば、殺ウイルス特性は、医
療機器またはウイルスと接触し得る他の表面を浄化するための殺菌溶液に共通している。
問題は、宿主に対して最小の副作用を有しており、例えば、広範な様式において理想的に
殺ウイルス薬剤として作用できる、殺ウイルス材料/分子を見つけることである。
【0006】
本発明は、固有の特性を有している殺ウイルス化合物によってこの問題を解決可能であ
る。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明は、式(I)
【0008】
【化1】
【0009】
(xが6、7または8であり、
Rが-Z-CH2-(CH2)y-SO3 -であり、
ZがOまたはSであり、
yが少なくとも4であり、
R'が、H、-(CH2)y-SO3 -、-(CH2)-COOH、重合体または他の水溶性基を含んでいる群から選
択される)
を有している、殺ウイルス化合物を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、HSPG結合ウイルスに吸着受容体を提示する多数のア
ルキル硫酸塩基を含んでいる、殺ウイルス化合物を提供する。
【0011】
他の態様において、本発明は、有効量の本発明の化合物の1つ以上、ならびに少なくと
も1つの薬学的に許容可能な賦形剤、担体および/または希釈剤を含んでいる、薬学的組
成物を提供する。
【0012】
他の態様において、本発明は、ウイルス感染およびウイルス関連疾患を処置および/ま
たは予防することにおける使用のための、本発明殺ウイルス化合物を提供する。
【0013】
他の態様において、本発明は、有効量の本発明の殺ウイルス化合物および少なくとも1
つの好適な担体を含んでいる、殺ウイルス組成物を提供する。
【0014】
他の態様において、本発明は、本発明の殺ウイルス組成物を使用することを含んでいる
、消毒および/または殺菌の方法を提供する。
【0015】
他の態様において、本発明は、本発明の殺ウイルス組成物および上記殺ウイルス組成物
を使用および/または付与する手段を含んでいる、装置を提供する。
【0016】
他の態様において、本発明は、本発明の殺ウイルス化合物または殺ウイルス組成物の、
殺菌および/または消毒のための使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)は、(上)用量応答アッセイおよび(下)殺ウイルスアッセイにおけるHSV-2に対して試験されたベータシクロデキストリン(Sigma Aldrich)を示す。阻害は、高濃度で見られたが、殺ウイルス効果は見られなかった。(B)は、特許出願US2005209189A1に開示されている化合物を示す。400ug/mL以下でウイルスとの相互作用なし。(C)アルファ硫酸シクロデキストリン(Sigma Aldrich)。
図2】(A)HSV-2に対して試験された合成のCD誘導体(本発明のCD2)を示す。上-用量応答および下-殺ウイルスアッセイ。殺ウイルス活性は見られなかった。
図3】レンチウイルスに対する本発明のCD2の殺ウイルス効果を示す。
図4】~30分後にほぼ完全な殺ウイルス活性を示している殺ウイルス時間アッセイを示す。
図5】レンチウイルスに対する本発明のCD2の殺ウイルス効果を示す。
図6】ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する本発明のDC2の殺ウイルス効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に言及されているすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参
照によってその全体が組み込まれている。本明細書に論述されている刊行物および出願は
、本願の出願日までのそれらの開示内容について単に示されている。本明細書では、本発
明が、優先する発明の効力によって、そのような刊行物に事前の日付を認める自白として
解釈されるべきでない。さらに、材料、方法および例は、例示であり、限定を意図してい
ない。
【0019】
矛盾を来す場合には、定義付けを含んでいる本願明細書が、優位を占める。特に断りが
ない限り、本明細書に使用されているすべての技術用語および科学用語は、本明細書にお
ける事項が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有している。
以下の定義付けは、本明細書に使用されるとき、本発明の理解を容易にするために与えら
れている。
【0020】
用語「を含んでいる」は、含んでいる(1つ以上の特徴または構成要素の存在を許容す
ることを言う)の意味として、一般的に使用される。さらに、明細書および特許請求の範
囲に使用されるとき、言語「含んでいる」は、「からなる」および/または「から実質的
になる」の用語に説明される類似の実施形態を包含し得る。
【0021】
明細書および特許請求の範囲に使用されるとき、表現(例えば、本明細書における「A
および/またはB」)に使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「Aま
たはB」、「A」および「B」を包含していると意図されている。
【0022】
明細書および特許請求の範囲に使用されるとき、単数形「a」、「an」および「th
e」は、文脈が明示しない限り、複数の言及を包含している。
【0023】
本明細書に使用されるとき、用語「ウイルス抑止性」は、ウイルスの増殖、発達および
/または複製の阻害(ウイルスの破壊とは異なる)を指す。典型的に、阻害効果は、ウイ
ルスキャプシドの被覆または細胞表面受容体の遮断(それによってウイルスおよび細胞の
間における相互作用に障壁を作り出すこと)によってそれぞれ実現される。しかし、ウイ
ルスは、活性を維持しており、放出され得、細胞にさらに感染し得る。
【0024】
本明細書に使用されるとき、用語「殺ウイルス」は、ウイルスの中和および/または破
壊を指す。殺ウイルス化合物との相互作用は、ウイルスを不活性(それによってさらなる
感染を予防する)に変える。
【0025】
本明細書に使用されるとき、用語「生体適合性」は、生きている細胞、組織または器官
と適合しており、免疫系による傷害、毒性または拒絶のリスクを有していないことを指す
【0026】
単独にまたは他の基と組み合わせて使用される用語「アルキル」は、4~50、好まし
くは6~20の炭素を有している直鎖状および分枝状の炭化水素基を包含していると理解
される。アルキル基は、1つ以上の置換基によって任意に置換され得る。好適なアルキル
基の非限定的な例として、メチル、エチル、nープロピル、i-プロピル、n-ブチル、
i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルが挙げられる。
【0027】
ウイルスキャプシドは、感染細胞の内部において自己アッセンブリによって形成され、
準安定な状態(すなわち長く維持されるが、恒久的ではない)に維持されている。ウイル
スが宿主細胞に吸着すると、連鎖する事象が、キャプシドのアンフォールディングおよび
遺伝材料の、細胞内への放出を生じさせる。したがって、好適な宿主が認識されたときに
キャプシドを容易にアンフォールドしなければならないので、準安定な状態が必須である
。結合事象のそれぞれは、効率的なウイルス感染性に重要である複数の結合事象の強度、
方向および順序によって、超分子相互作用によって制御されている。連鎖における最初の
吸着が、ウイルスリガンドおよび宿主の細胞表面に見られる受容体(例えば、多数のヘパ
ラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合するウイルスとっての細胞受容体である、ヘパ
ラン硫酸(HS))の間に生じることが示されている。ウイルスは、急速に変異可能である
が、細胞吸着受容体は、複数のウイルスに高度に保存されている。
【0028】
バイオミメティックな戦略は、広範な殺ウイルス化合物を開発するために、展開されて
いる。毒性を制限するために、既知の生物毒性アプローチは、避けられている代わりに、
対応するウイルスリガンドと強固に吸着し、かつ不可逆的なウイルス変異に最終的に導く
ウイルス局部の変形を生じさせる(おそらくウイルス分解に導く)ように、細胞受容体を
模倣することに集約されている。広範な効果を実現するために、多くのウイルスに共通す
るウイルス-細胞相互作用に焦点があてられている。これらの相互作用の1つは、ウイル
ス複製サイクルの最初のステップを代表するウイルスおよび細胞表面吸着受容体の間にお
ける相互作用である。HSPGがほぼすべての真核細胞種の表面に発現されているので、多く
のウイルス(HIV-1、HSV、HCMV、HPV、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)およびフィロウイル
ス(殺ウイルス参照番号21))は、吸着受容体としてヘパラン硫酸プロテオグリカンを
利用している。ウイルスタンパク質のうち複数の塩基性アミノ酸の広がり(塩基性ドメイ
ン)および細胞表面の糖衣におけるヘパラン硫酸(HS)鎖の、負に帯電した硫酸基を介し
て、たいてい生じている結合が、ウイルスおよびHSPGの間に起こる。
【0029】
ウイルスに対する強い多価の結合を誘導し、かつ細胞吸着受容体(例えば、ヘパラン硫
酸(HS)受容体)を模倣するために、長い硫酸を、非常に高密度に、末端にもつ分子を有
している化合物を設計することによって、ウイルスとの相互作用によってそのような化合
物が、ウイルスにおける不可逆的な変化(ウイルス破壊およびウイルス感染性の喪失に導
く)に導くことを、意外にも見出した。例えば、環状糖ユニット(例えばシクロデキスト
リン)の化学修飾によって、広範なウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピ
ローマウイルス(HPV)、呼吸器合胞体ウイルス、デングウイルスおよびレンチウイルス
(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来ウイルス)が挙げられる)に対して低濃度で殺ウイ
ルス特性を示す生体適合性の殺ウイルス分子を提供可能であることは、予想外であった。
【0030】
本発明の一態様は、HSPG結合ウイルスに吸着受容体を提示する多数(いくつも)のアル
キル硫酸基を含んでいる殺ウイルス化合物を提供する。いくつかの実施形態において、上
記殺ウイルス化合物は、非常に高密度のアルキル硫酸基を含んでいる。いくつかの実施形
態において、上記殺ウイルス化合物は、非常に近接しているいくつも(少なくとも6つ)
のアルキル硫酸基を含んでいる。
【0031】
好ましい実施形態において、アルキル硫酸基は、-Z-CH2-(CH2)y-SO3 -である。ここで、
ZはOまたはSであり、yは少なくとも4であり、好ましくはyは4~20であり、好ましく
はyは7~11であり、最も好ましくはyは10である。他の実施形態において、yは少な
くとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも1
1である。他の実施形態において、yは、最大100、最大70、最大50、最大25、
最大20、最大15である。
【0032】
他の実施形態において、本発明の上記殺ウイルス化合物は3kDaの分子量を有してい
る。
【0033】
用語「多数(複数)のアルキル硫酸基を含んでいる殺ウイルス化合物」は、当該化合物
におけるOH基のいくつかがOR基に変換されていることを意味する。ここで、Rは-Z-CH2-(C
H2)y-SO3 -であり;ZはOまたはSであり、yは少なくとも4であり、好ましくはyは4~20で
あり、好ましくはyは7~11であり、最も好ましくはyは10である。他の実施形態において
、yは少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくと
も1つの11である。他の実施形態において、yは、最大100、最大70、最大50、最大25、最
大20、最大15である。
【0034】
一般的な知識に対して、特定の長さ(すなわち4~20炭素、好ましくは7~11)の
アルキル硫酸基が、HSPGウイルスに吸着受容体を提示するだけでなく、既知のウイルス抑
止効果と異なる殺ウイルス効果をもたらすことは、予想外であった。
【0035】
いくつかの実施形態において、殺ウイルス化合物は、殺ウイルス性の生体適合性の重合
体化合物である。
【0036】
本発明の生体適合性の重合体化合物における重合体は、合成重合体および天然重合体の
いずれでもあり得る。本発明の一実施形態において、合成重合体は、ポリ(エチレングリ
コール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリルアミド)(PAAm)
、ポリ(n-ブチルアクリレート)、ポリ-(α-エステル)、(PEG-b-PPO-b-PEG)、ポリ
(N-イソプロピルアクリルアミド)(pNIPAAM)、およびポリ乳酸グリコール酸(PLGA)
からなる群から選択されるが、これらに限定されない。本発明の他の実施形態において、
天然重合体は、デキストラン、デキストリン、グルコール、セルロースおよびシクロデキ
ストリンを含んでいる群から選択される。好ましい実施形態において、天然重合体は、ア
ルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリンおよびガンマ-シクロデキス
トリンである。
【0037】
本発明の生体適合性の重合体化合物における重合体はまた、デンドリマー(多分枝状の
重合体)であり得る。生体適合性の重合体化合物は、ミセル、粒子またはヒドロゲルであ
り得る。
【0038】
シクロデキストリン(CD)は、アルファ(14)結合型のグルコピラノシド単位からな
る、天然に存在する環状グルコース誘導体である。それらの環状構造は、狭い面にあるグ
ルコース単位の一級ヒドロキシルおよび広い面にある二級ヒドロキシルによって、先端の
切り取られたコーン形状を作り出す。各面は、それらの反応性に影響する対よい疎水性を
有している二級ヒドロキシル基として容易にかつ独立して、官能化され得る。最も一般的
に使用されるCDは、それぞれアルファ、ベータおよびガンマと呼ばれる6-、7-、8-
グルコピラノシド単位を有している。CDの環状構造のために、それらは、超分子の封入錯
体をゲスト分子と形成可能な疎水性キャビティを有している。CDは、天然に存在し、容易
に官能化され、ゲスト封入のためのキャビティを有しており、生態低合成であるので、そ
れらには、多くの商業用途(薬物送達、空気清浄剤など)が見出されている。
【0039】
CDの各面の反応性の違いは、広範な修飾シクロデキストリンの合成に利用されている。
CDの主要な面は、可能な置換の程度および位置を全体的に制御することによって、より容
易に制御される。良好な脱離基を有しているCD誘導体(例えばハロゲン化CD)は、CD官能
化における重要な中間体である。CDの一級ヒドロキシル単位のすべてを、ヨード単位に置
き換えることによって、主要な面の完全な官能化、二級ヒドロキシルの脱離、およびもと
のままの先端の切り取られた強固なコーン形状を可能にする中間体をもたらす。一実施形
態において、ヘプタキス-6-ヨード-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリンは、ウンデカ
ノスルホネート基を有している主要な面において官能化されているCDを生させるメルカプ
トウンデカオスルホネート(MUS)との反応に続いて、合成された。それから、可溶性基
、色素分子、重合体などをさらに導入するために、シクロデキストリンの第2の面を独立
して、修飾することが可能である。
【0040】
本発明の他の態様は、式(I)
【0041】
【化2】
【0042】
(xが6、7または8であり、
Rが-Z-CH2-(CH2)y-SO3 -であり、
ZがOまたはSであり、
yが少なくとも4であり、好ましくはyは4~20であり、好ましくはyは7~11であり
、最も好ましくはyは10である)
殺ウイルス化合物を開示する。他の実施形態において、yは少なくとも6、少なくとも7
、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11である。他の実施形態
において、yは、最大100、最大70、最大50、最大25、最大20、最大15であ
る。
【0043】
R'は、H、-(CH2)y-SO3 -、-(CH2)-COOH、重合体(例えばPEG)または他の水溶性基を含
んでいる群から選択される。好ましくはR'はHである。
【0044】
式(I)の殺ウイルス化合物は、環状化合物(例えばシクロデキストリン)であること
が理解される。
【0045】
本発明の殺ウイルス化合物は、広範なウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV
)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、呼吸器合胞体ウイルス、デングウイルスおよびレ
ンチウイルス(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来ウイルス)に対して、低濃度(例えば
、μMのレベルおよび/またはnMのレベル)で殺ウイルス活性を示す。
【0046】
本発明の他の態様は、有効量の本発明の殺ウイルス化合物の1つ以上、ならびに少なく
とも1つの薬学的に許容可能な賦形剤、担体および/または希釈剤を含んでいる薬学的組
成物を開示する。
【0047】
適切な賦形剤、担体および希釈剤について、これらを説明している標準的な文献(例え
ば、"Comprehensive MedicinalChemistry", Pergamon Press 1990, and to "Lexikon de
r Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik undangrenzende Gebiete", by H.P. Fiedler,
Editio Cantor, 2002のVol. 5のchapter 25.2)に対する参照が、可能である。用語「薬
学的に許容可能な賦形剤、担体および/または希釈剤」は、一般的に安全であり、許容可
能な毒性を有している薬学的組成物の調製に有用な担体、希釈剤または賦形剤を意味する
。許容可能な担体、賦形剤または希釈剤として、獣医学的用途およびヒト医薬の用途に許
容可能な担体、賦形剤または希釈剤が挙げられる。本明細書および特許請求の範囲に使用
されるとき「薬学的に許容可能な賦形剤、担体および/または希釈剤」は、1つ以上のそ
のような担体、1つ以上のそのような賦形剤および/または1つ以上のそのような希釈剤
を包含している。
【0048】
任意に、本発明の薬学的組成物は、1つ以上の付加的な活性剤、好ましくは抗ウイルス
剤をさらに含んでいる。
【0049】
本発明の方法に使用される本発明の化合物は、治療投与のための種々の調合物および医
薬に組み込まれ得る。より詳細には、本明細書に示されているような化合物は、適切な、
薬学的に許容可能な担体、賦形剤および/または希釈剤と組み合わせることによって、薬
学的組成物に調合され得、固体、半固体、液体または気体の形態としての調製物(例えば
、錠剤、タブレット剤、丸薬、粉剤、顆粒剤、糖衣錠、ゲル剤、懸濁剤、軟膏、溶液剤、
坐剤、注入剤、吸入剤およびエアロゾル剤)に調合され得る。したがって、上記化合物の
投与は、種々の経路(経口、舌下、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、頭蓋内および/
または気管内の投与が挙げられる)において達成され得る。さらに、上記化合物は、全身
性よりむしろ局所的な方法において、デポーまたは徐放性製剤として投与され得る。上記
化合物は、一般的な賦形剤、希釈または希釈剤とともに調合され、経口投与に簡便な錠剤
に圧縮されるもしくはエリキシル剤もしくは溶液剤として調合され、または筋肉内経路も
しくは静脈内経路によって投与され得る。上記化合物は、経皮的に投与され得、徐放投与
形態などとして調合され得る。複数の上記化合物は、単独に、互いに組み合わせて、投与
され得、またはそれらは、公知の他の化合物と組み合わせて使用される。
【0050】
本発明における使用に好適な調合物は、参照によって本明細書に組み込まれるRemingto
n's Pharmaceutical Sciences (MackPublishing Company (1985) Philadelphia, PA, 17
th ed.)に見出される。さらに、薬物送達のための方法の簡単な総説については、参照に
よって本明細書に組み込まれるLanger, Science (1990)249:1527-1533を参照すればよい
【0051】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の好適な例として、本発明の化合物を含ん
でいる固体の疎水性重合体の、成形されている物体(例えば、フィルムまたはマイクロカ
プセル)の形態にある半透過マトリクスが挙げられる。徐放性マトリクスの例として、ポ
リエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、または
ポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第号3,773,919)、L-グルタミン酸およ
び[ガンマ]エチル-L-グルタメートの共重合体、非分解性のエチレン-ビニルアセテート
、分解性の乳酸-グリコール酸共重合体、(例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリ
コール酸共重合体および酢酸ロイプロリドによって構成されている注入可能なマイクロス
フィア))、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸が挙げられる。
【0052】
本発明の化合物はまた、例えばコアセルベーション手法もしくは界面重合体化によって
、調製されているマイクロカプセル(それぞれコロイド状の薬物送達系(リポソーム、ア
ルブミンマイクロカプセル、ナノ粒子およびナノカプセル)におけるヒドロキシメチルセ
ルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル、およびポリ-(メチルメタクリレート)マイ
クロカプセル)、またはマクロエマルションに閉じ込められ得る。そのような手法は、Re
mington's Pharmaceutical Sciences 16thedition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されて
いる。
【0053】
本明細書に記載の薬学的組成物は、当業者にとって周知の方法によって(すなわち従来
の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、微粉化、乳化、カプセル封入または凍結乾燥のプロ
セスによって)製造され得る。以下の方法および賦形剤は、単なる例示であり、何ら限定
しない。注入のために、上記化合物(および任意に他の活性剤)は、水性溶媒または非水
性溶媒(例えば、植物油もしくは類似の他の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエ
ステルまたはプロピレングリコール);および必要に応じて従来の添加剤(例えば、可溶
化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤および保存剤)において、それらを溶解、懸濁
または乳化することによって、調製物に調合され得る。好ましくは、本発明の化合物は、
好ましくは生理学的に適合性の緩衝化剤(例えば、Hanks液、Ringer液または生理食塩水
)において、水性溶液に調合され得る。経粘膜投与のために、透過される障壁にとって好
適な浸透液が、調合に使用され得る。そのような浸透液は、当該分野において一般的に知
られている。
【0054】
好ましくは、非経口投与のための薬学的製剤として、水溶性の形態における活性な化合
物の水溶液が挙げられる。さらに、活性な化合物の懸濁物は、好適な油性の注入懸濁物と
して調製され得る。好適な親油性の溶媒またはビヒクルとして、脂肪油(例えばゴマ油)
、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド)、ま
たはリポソームが挙げられる。水性の注入懸濁物は、懸濁物の粘度を上昇させる物質(例
えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストラン)を含
有し得る。任意に、懸濁物はまた、好適な安定化剤、または高濃度溶液の調製を可能にす
るために、化合物の可溶性を増大させる剤を含有し得る。
【0055】
担体材料と組み合わせられ得る、単回の投与形態を製造するための、本発明の殺ウイル
ス化合物の量は、処置されるウイルス性疾患、哺乳動物種、および投与の特定のモードに
よって変化する。任意の特定の患者に固有の投与レベルは、種々の要素(当業者によって
十分に理解されている、採用される特定の化合物の活性;処置される個体の年齢、体重、
全体的な健康状態、性別および食事;投与の時間および経路;排泄率;あらかじめ投与さ
れている他の薬剤;ならびに治療を受ける特定のウイルス性疾患の重篤度が挙げられる)
に依存する。
【0056】
本発明のさらなる態様は、ウイルス感染およびウイルス関連疾患を処置および/または
予防する方法を提供する。当該方法は、本発明の殺ウイルス化合物の治療有効量を、それ
を必要とする対象に投与することを含んでいる。
【0057】
本発明の他の態様は、ウイルス感染およびウイルス関連疾患を処置および/または予防
することにおける使用のための、本発明の殺ウイルス化合物を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態において、ウイルスは、HSPG結合ウイルスである。他の実施形態に
おいて、ウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、デングウイルスおよびレンチウイルス(ヒト免疫不全ウ
イルス(HIV)由来ウイルス)を含んでいる群から選択されるが、これらに限定されない
【0059】
本明細書に使用されるとき、用語「対象」または「患者」は、当該分野において十分に
認識されており、動物(イヌ、ネコ、ラット、マウス、サル、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ
、ブタ、ラクダ、および最も好ましくはヒトが挙げられる)を指して交換可能に使用され
る。いくつかの実施形態において、対象は、処置の必要を有している対象、またはウイル
ス(例えばHPSG結合ウイルス)に感染している対象である。しかし、他の実施形態におい
て、対象は、健康な対象または処置をすでに受けている対象であり得る。上記用語は、特
定の年齢または性別を指定していない。したがって、オスまたはメスの、成体、子供、新
生の対象が網羅されると意図されている。
【0060】
「処置」は、治療的な処置および予防的もしくは抑制的な手段を指す。処置を必要とす
る対象は、ウイルス(例えばHPSG結合ウイルス)にすでに感染している対象およびウイル
ス感染が抑制されるべき対象を包含している。したがって、本発明における処置されるべ
き動物(好ましくはヒト)は、ウイルス(例えばHPSG結合ウイルス)に感染していると診
断され得る、またはウイルス(例えばHPSG結合ウイルス)に感染し易いもしくは感染の疑
いがある。処置は、ウイルス感染に起因する疾患または健康状態の少なくとも1つの寛解
、当該疾患または健康状態の進行の除去および/または抑制を包含している。抑制は、例
えば進入後のウイルス性の事象に影響を与えることによって、感染または疾患を引き起こ
すウイルスの能力を減弱または低減させることを意味する。
【0061】
処置の対象としての「哺乳類」は、哺乳類に分類される任意の動物(ヒト、家畜または
ペット動物(例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ、サルなど)が挙げられる)を指す。好まし
くは哺乳類はヒトである。
【0062】
用語「治療有効量」は、ウイルス(例えばHPSG結合ウイルス)を変化させるため、受容
対象においてウイルスを不活性化するため、および/またはその存在が受容対象の生理に
検出可能な変化を生じている場合に、例えば、ウイルス感染と関連する少なくとも1つの
症状を寛解するため、少なくとも1つのウイルス性の作用物質の伝播率を抑制もしくは低
下させるために有効な、本発明の化合物の量を指す。
【0063】
本発明の他の態様は、有効量の本発明の殺ウイルス化合物、および任意少なくとも1つ
の好適な担体を含んでいる殺ウイルス組成物を提供する。「有効量」は、ウイルスを変化
させるため、および/またはウイルスを破壊するため、および/またはウイルスを中和す
るために十分な(すなわち殺ウイルス効果を得るために十分な)量を指す。一実施形態に
おいて、好適な担体は、安定化剤、香料、着色剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤またはこれら
の混合物を含んでいる群から選択される。他の実施形態において、殺ウイルス組成物は、
液体、ゲル、発泡体、スプレーまたは乳剤の形態にあり得る。さらなる実施形態において
、殺ウイルス組成物は、空気清浄剤、殺菌溶液または消毒溶液であり得る。
【0064】
本発明の他の態様は、本発明の殺ウイルス組成物および殺ウイルス組成物を使用および
/または付与する手段を含んでいる、装置(または製品)を提供する。他の実施形態にお
いて、上記手段は、ディスペンサ、スプレー塗布器、または殺ウイルス組成物に浸されて
いる固体支持体を含んでいる。他の実施形態において、上記支持体は、織布または不織布
、織物、紙タオル、脱脂綿、吸収性重合体のシートまたはスポンジである。
【0065】
好ましい実施形態において、殺菌および/または消毒の方法は、ステップ(i)本発明
の殺ウイルス化合物もしくは本発明の殺ウイルス組成物の少なくとも1つを準備すること
、(ii)ウイルスに汚染されている表面、またはウイルスに汚染されている疑いのある
表面を、本発明の殺ウイルス化合物もしくは本発明の殺ウイルス組成物の少なくとも1つ
と、殺ウイルス効果を得るための十分な時間にわたって接触させることを含んでいる。好
ましくは、ウイルスはHSPG結合ウイルスであり、より好ましくはウイルスは、単純ヘルペ
スウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、呼吸器合胞体ウイルス、デングウ
イルスおよびレンチウイルス(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来ウイルスを含んでいる
群から選択される。
【0066】
本発明の他の態様は、本発明の殺ウイルス化合物または本発明の殺ウイルス組成物の、
殺菌および消毒のための使用を提供する。いくつかの実施形態において、殺菌および消毒
は、ウイルスに汚染されている表面、またはウイルスに汚染されている疑いのある表面を
対象にする。好ましくは、ウイルスは、HSPG結合ウイルスであり;より好ましくはウイル
スは、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、呼吸器合胞体ウ
イルス、デングウイルスおよびレンチウイルス(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来ウイ
ルスを含んでいる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、上記表面は
、ヒトまたは動物の皮膚である。好ましい他の実施形態において、上記表面は、非生物の
表面(例えば、医療機器、布、マスク、家具、部屋など)である。一実施形態において、
殺ウイルス組成物は、頻繁に使用するための、殺ウイルス性の手の消毒剤として使用され
る。他の実施形態において、殺ウイルス組成物は、噴霧によって塗布される。さらなる実
施形態において、殺ウイルス組成物は、保護マスクに塗布され得る。
【0067】
本開示のさらなる例:
1.式(I):
【0068】
【化3】
【0069】
(xが6、7または8であり、
Rが-Z-CH2-(CH2)y-SO3 -であり、
ZがOまたはSであり、
yが少なくとも4であり、
R'が、H、-(CH2)y-SO3 -、-(CH2)-COOH、重合体または他の水溶性基を含んでいる群から選
択される)
を有している、殺ウイルス化合物。
【0070】
2.yが4~20である、例1に記載の殺ウイルス化合物。
【0071】
3.R'がH、-(CH2)y-SO3 -、-(CH2)-COOH、重合体を含んでいる群から選択される、例1
~2のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物。
【0072】
4.yが7~11であり、R'が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルア
ルコール)(PVA)、ポリ(アクリルアミド)(PAAm)、ポリ(n-ブチルアクリレート)
、ポリ-(α-エステル)、(PEG-b-PPO-b-PEG)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド
)(pNIPAAM)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)、デキストラン、グルコース、セルロー
ルおよびシクロデキストリンを含んでいる群から選択される重合体である、例1~3のい
ずれか1項に記載の殺ウイルス化合物。
【0073】
5.yが7~11であり、R'がHである、例1~3のいずれか1項に記載の殺ウイルス化
合物。
【0074】
6.HSGP結合ウイルスに吸着受容体を提示する多数のアルキル硫酸塩基を含んでいる、
殺ウイルス化合物。
【0075】
7.HSGP結合ウイルスに吸着受容体を提示するいくつかのアルキル硫酸塩基を含んでい
る、例6に記載の殺ウイルス化合物。
【0076】
8.殺ウイルス化合物が、重合体の生体適合性の殺ウイルス化合物であり、上記重合体
が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ア
クリルアミド)(PAAm)、ポリ(n-ブチルアクリレート)、ポリ-(α-エステル)、(P
EG-b-PPO-b-PEG)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(pNIPAAM)、ポリ乳酸グリ
コール酸(PLGA)、デキストラン、グルコース、セルロールおよびシクロデキストリンを
含んでいる群から選択される、例6または7に記載の殺ウイルス化合物。
【0077】
9.有効量の例1~8のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物の1つ以上、ならびに
少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤、担体および/または希釈剤を含んでいる、
薬学的組成物。
【0078】
10.ウイルス感染およびウイルス関連疾患を処置および/または予防することにおけ
る使用のための、例1~8のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物。
【0079】
11.上記ウイルスが、HSGR結合ウイルスである、例10に記載の、ウイルス感染およ
びウイルス関連疾患を処置および/または予防することにおける使用のための、殺ウイル
ス化合物。
【0080】
12.上記ウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV
)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、デングウイルスおよびレンチウイルス(ヒト免疫不
全ウイルス(HIV)由来ウイルス)を含んでいる群から選択される、例11に記載の、ウ
イルス感染およびウイルス関連疾患を処置および/または予防することにおける使用のた
めの、殺ウイルス化合物。
【0081】
13.有効量の、例1~8のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物、および任意に少
なくとも1つの好適な担体を含んでいる、殺ウイルス組成物。
【0082】
14.例13に記載の殺ウイルス組成物を使用することを含んでいる、消毒および/ま
たは殺菌の方法。
【0083】
15.例13に記載の殺ウイルス組成物および上記殺ウイルス組成物を使用および/ま
たは付与する手段を含んでいる、装置。
【0084】
16.例1~8のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物または例13に記載の殺ウイ
ルス組成物の、殺菌および/または消毒のための、使用。
【0085】
当業者は、本明細書に記載の発明が、詳細に記載されている事項以外の変更および修正
を受け入れることを適切に理解する。本発明は、その精神および必須の特徴から逸脱しな
いそのような変更および修正のすべてを包含することが、理解される。本発明はまた、本
明細書に言及または示されているステップ、特徴、組成物および化合物のすべてを個々に
または共同して包含しており、当該ステップまたは特徴の2つ以上の任意またはすべての
組み合わせを包含している。本開示は、したがって、例示されている限定されないすべて
の態様について考慮され、添付の特許請求の範囲によって示されている発明の範囲、なら
びに等価な目的および範囲内にあるすべての変更は、そこに取り込まれると意図されてい
る。
【0086】
以上の記載は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解される。当該実
施例は、しかし、本発明を実施する方法の例示であり、本発明の範囲を限定することを意
図されていない。
【実施例0087】
(方法)
すべての出発物質を、Sigma Aldrichから購入し、特に記載がない限り受け取ったまま
の状態で使用した。すべての水溶液を、15MΩcm-1以上の比抵抗を保証するMilli-QTMシス
テムを用いて処理されている脱イオン水において作製した。
【0088】
(ヘプタキス-6-ヨード-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン(1):CD1の合成)
ジメチルスルホキシド(DMF)(10mL)におけるトリフェニルホスフィン(4 g、15.25
mmol、22等量)は、10分にわたってヨウ素(4g、15.76mmol、22等量)を加えられた。
この混合物を、乾燥させたベータシクロデキストリン(800mg)に加え、溶液を8時間に
わたって70℃に加熱した。それから、混合物を、半量まで濃縮し、0℃に冷却し、それ
からナトリウムメトキシド(メタノールにおける3.35g、25wt%の溶液)を加えた。この混
合物を、0℃において1時間にわたって撹拌し、それから室温まで温めた。メタノール(
400mL)を、回収される生成物を沈殿させるために加えた。固体を、ソックスレー抽出を
用いて、メタノールによって一晩、洗浄し、過剰なヨウ素およびトリフェニルホスフィン
を除去し、純粋なヘプタキス-6-ヨード-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリンを生成さ
せた。
【0089】
(CD2(2)の合成)
1(CD1)(200mg)を、無水ジメチルスルホキシド(DMSO)(10mL)に窒素雰囲気下で
溶解させた。11-メルカプト-1-ウンデカンスルホネート(MUS)(426.4mg、14等量)を、
無水ジメチルスルホキシド(DMSO)(10mL)に窒素雰囲気下で溶解させ、1の溶液と混合
した。トリメチルアミン(204.9μL、14等量)を加え、混合物を3日にわたって60℃に
おいて撹拌した。混合物を水で希釈し、60℃において4日にわたって水に対して透析さ
せた(日に2回、水を交換した)。溶液を乾燥させた。必要に応じて、沈殿が用いられ得
る。
【0090】
(阻害アッセイ レンチウイルス(LV-VSV-G))
レポータ遺伝子としてGFPを担持しているVSV-Gシュードタイプのレンチウイルス(LV-V
SV-G)を、PBSに再懸濁させ、PBSにおける市販または合成の、漸増する濃度のシクロデキ
ストリンとともに、37℃において1時間にわたって、細胞への感染前にインキュベート
した。続いて、ウイルス/シクロデキストリン混合物を、LV-VSV-Gについて、HeLa細胞に
加えた。48時間後に感染を停止させ、細胞を、1%のp-ホルムアルデヒド(PFA)によっ
て10~15分にわたって室温において固定し、PBSに再懸濁させた。GFP陽性細胞の%と
して算出された、LV-VSV-Gの感染効率をフローサイトメトリーによって測定した。
【0091】
(阻害アッセイ HSV-2)
シクロデキストリン(CD)のHSV感染に対する影響を、プラーク減少アッセイによって
評価した。Vero細胞を、24ウェルプレートに10細胞の密度で24時間前に播いた。
漸増する濃度のシクロデキストリンを、37℃において1時間にわたって、HSV-2(感染
多重度(MOI)0.0003プラーク形成ユニット(pfu)/細胞)とインキュベートし、
混合物を細胞に加えた。ウイルス吸着(2時間、37℃)の後に、ウイルス接種物を除去
し、細胞を培地で洗浄し、それから1.2%のメチルセルロースを含んでいる培地を乗せた。
37℃におけるインキュベーションの24時間後(HSV-2)に、細胞を固定し、20%エタノ
ールにおける0.1%のクリスタルバイオレットによって染色し、ウイルスプラークを数えた
。プラーク形成の50%減少を生じる濃度(IC50)を、薬剤処理のウェルおよび薬剤未処理
のウェルを比較することによって、Prismソフトウェアを用いて決定した。
【0092】
(阻害アッセイ HPV-19 PsV)
293TT細胞を、100μLの中和緩衝液(フェノールレッドなし、10% FBS、1%glutamate、
1% 非必須アミノ酸、1% ペニシリン-ストレプトマイシン-ファンギゾンおよび10mMHEP
ES)における2x104細胞/ウェルの密度で、96ウェルの組織培養処理された平底プレー
トに24時間前に播いた。希釈されたPsVストック(80μL/ウェル)を、20μLの系列希釈
されたデキストリンと組み合わせて、未処理の96ウェルの無菌ポリスチレンプレート(
Nalge-Nunc、Roskilde、デンマーク)に入れ、37℃において1時間にわたって置いた。
100-μLのPsV化合物混合物を、あらかじめ播いた細胞の上に移し、72時間にわたってイ
ンキュベートした。PsVの最終濃度はおよそ1ng/mL L1であった。インキュベーション後に
、25μLの上澄を回収した。上澄におけるSEAP含量を、Great EscapeSEAP Chemiluminesc
ence Kit(BD Clon-tech、Mountain View、CA)を用いて、製造者による指示通りに決定
した。基質の添加から30分後に、サンプルを、Wallac 1420 Victorluminometer(Perk
inElmer Life and Analytical Sciences, Inc.、Wellesley、MA)を用いて読み取った。
【0093】
(LV-VSV-Gに対する殺ウイルス活性の評価)
組換えLV-VSV-G(106TU/ml-MOI10)のHeLa細胞への導入に対する、NPの影響を、以前
に記述されている通りに、有効阻害濃度のシクロデキストリン(CD)(100μg/ml)を、
ウイルスと2時間にわたって37℃においてインキュベートすることによって評価した。
インキュベーション後に、導入効率を、高倍率希釈におけるタイトレーションによって決
定し、フローサイトメトリーによってGFP陽性細胞のパーセンテージとして算出した。
【0094】
(HSV-2、HPV-16に対する殺ウイルス活性の評価)
ウイルス(HSV-2およびHPV-16について105pfu)および100μg/mlのシクロデキストリン
(CD)を、種々の時点(0、5、30、60または120分)で37℃においてインキュ
ベートし、それから殺ウイルス効果を、混合物の系列希釈を用いて調べた。ウイルス力価
を、ナノ粒子が有効でなくなる希釈率において算出した。
【0095】
(ウイルス産生量減少アッセイ)
感染性ウイルスの産生に対するその効果を試験する化合物の抗ウイルス効果を定量化す
るためのアッセイを、最後に行う。Vero細胞を、24ウェルプレートに105細胞/ウェルの
密度で播き、2つ1組にして、0.01プラーク形成ユニットの感染多重度(MOI)(pfu
/細胞)のHSV-2によって、上記化合物の系列希釈物の存在下で感染させた。37℃におけ
る2時間の吸着後にウイルス接種物を除去し、培養物を、シクロデキストリン(CD)の系
列希釈物の存在下で、コントロール培養物が広範な細胞病態を示すまで培養した。上澄を
、回収し、感染後24~48時間に割り当てるようにプールし、無細胞のウイルス感染性
力価を、2つ1組にして、単層Vero細胞におけるプラークアッセイよって決定した。アッ
セイの終点は、未処理のウイルスコントロールと比べて50%までウイルス産生量を減少
させるシクロデキストリン(CD)の有効濃度(EC50)であった。
【0096】
(FACS分析)
細胞を、トリプシン処理し、PBSを用いて洗浄し、PBSにおける1% PFA(パラフォルムアルデヒド)において10分にわたって室温で固定した。1サンプルにつき約2x104の事象(細胞)を分析し、ウイルスなしの細胞を、自己蛍光のバックグラウンドを決定するためのネガティブコントロールとして用いた。形質導入された細胞を、分析された細胞の総数に対するGFP陽性細胞のパーセンテージとして計算した。LV-VSV-Gを導入されている細胞によるGFPタンパク質の発現を、BDFACSCalibur(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)によって評価し、データを、BD CELLQuest(商標)(BDBiosciences)ソフトウェアを用いて分析した。
【0097】
(データ分析)
すべての結果(表1参照)は、3つの独立した実験に基づく平均値として表されている。阻害曲線についてのEC50値を、プログラムGraphPad Prismバージョン5.0(GraphPad Software、SanDiego、California、U.S.A.)を用いた回帰分析によって算出し、可変傾斜シグモイドの用量応答曲線にフィットさせた。選択性指標SIを、CC50をEC50で割って、算出した。
【0098】
【表1】
【0099】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式(I):
【化1】

(xが6、7または8であり、
Rが-Z-CH 2 -(CH 2 ) y -SO 3 - であり、
ZがOまたはSであり、
yが少なくとも4であり、
R'が、H、-(CH 2 ) y -SO 3 - 、-(CH 2 )-COOH、重合体または他の水溶性基を含んでいる群から選択される)
を有している、殺ウイルス化合物。
(項2)
yが4~20である、上記項1に記載の殺ウイルス化合物。
(項3)
R'がH、-(CH 2 ) y -SO 3 - 、-(CH 2 )-COOH、重合体を含んでいる群から選択される、上記項1~2のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物。
(項4)
yが7~11であり、R'が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリルアミド)(PAAm)、ポリ(n-ブチルアクリレート)、ポリ-(α-エステル)、(PEG-b-PPO-b-PEG)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(pNIPAAM)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)、デキストラン、グルコース、セルロールおよびシクロデキストリンを含んでいる群から選択される重合体である、上記項1~3のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物。
(項5)
yが7~11であり、R'がHである、上記項1~3のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物。
(項6)
HSGP結合ウイルスに吸着受容体を提示する多数のアルキル硫酸塩基を含んでいる、殺ウイルス化合物。
(項7)
HSGP結合ウイルスに吸着受容体を提示する複数のアルキル硫酸塩基を含んでいる、上記項6に記載の殺ウイルス化合物。
(項8)
殺ウイルス化合物が、重合体の生体適合性の殺ウイルス化合物であり、上記重合体が、
ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリルアミド)(PAAm)、ポリ(n-ブチルアクリレート)、ポリ-(α-エステル)、(PEG-b-PPO-b-PEG)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(pNIPAAM)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)、デキストラン、グルコース、セルロールおよびシクロデキストリンを含んでいる群から選択される、上記項6または7に記載の殺ウイルス化合物。
(項9)
有効量の上記項1~8のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物の1つ以上、ならびに少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤、担体および/または希釈剤を含んでいる、薬学的組成物。
(項10)
ウイルス感染およびウイルス関連疾患を処置および/または予防することにおける使用のための、上記項1~8のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物。
(項11)
上記ウイルスが、HSPG結合ウイルスである、上記項10に記載の、ウイルス感染およびウイルス関連疾患を処置および/または予防することにおける使用のための、殺ウイルス化合物。
(項12)
上記ウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、デングウイルスおよびレンチウイルス(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来ウイルス)を含んでいる群から選択される、上記項11に記載の、ウイルス感染およびウイルス関連疾患を処置および/または予防することにおける使用のための、殺ウイルス化合物。
(項13)
有効量の、上記項1~8のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物、および任意に少なくとも1つの好適な担体を含んでいる、殺ウイルス組成物。
(項14)
上記項13に記載の殺ウイルス組成物を使用することを含んでいる、消毒および/または殺菌の方法。
(項15)
上記項13に記載の殺ウイルス組成物および上記殺ウイルス組成物を使用および/または付与する手段を含んでいる、装置。
(項16)
上記項1~8のいずれか1項に記載の殺ウイルス化合物または上記項13に記載の殺ウイルス組成物の、殺菌および/または消毒のための、使用。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】