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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111311
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】カスタマイズ可能な装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
G01N35/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093475
(22)【出願日】2022-06-09
(62)【分割の表示】P 2019236665の分割
【原出願日】2016-07-13
(31)【優先権主張番号】62/214,740
(32)【優先日】2015-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/192,989
(32)【優先日】2015-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517299364
【氏名又は名称】ハイコア バイオメディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ファン クレーフ、マーク デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】テーヌ、エレイン グレース
(72)【発明者】
【氏名】オルテガ、ステファニー トゥヴィ
(72)【発明者】
【氏名】カンフィールド、ダグラス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リード、テイラー アディソン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ウンビュル
(72)【発明者】
【氏名】アルゲタ、ジョセリン リンダリ
(57)【要約】
【課題】診断分析用の個別の捕捉試薬を複数種混合する方法及び装置を提供する。
【解決手段】患者試料を光学的に分析するシステムは、複数の捕捉試薬及び複数の常磁性粒子を保管する自動免疫化学分析装置と、2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択することができるユーザーインターフェースと、自動免疫化学分析装置に、(i)2種以上の捕捉試薬の組み合わせの各捕捉試薬をまとめて混合させるように、(ii)2種以上の捕捉試薬の組み合わせの混合物を常磁性粒子に結合させるように、(iii)患者試料を2種以上の捕捉試薬の組み合わせの結合混合物に結合させるように、そして、(iv)患者試料を工学的に分析させるように構成されているロジックインプリメンタとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアレルゲンについて患者試料を光学的に分析するシステムであって、
複数の捕捉試薬と、複数の常磁性粒子とを保管するよう構成されている自動免疫化学分析装置と、
前記複数の捕捉試薬から2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択できるように構成されているユーザーインターフェースと、
(i)前記自動免疫化学分析装置に前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの各捕捉試薬をまとめて混合させるように、(ii)前記自動免疫化学分析装置に前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの混合物を前記常磁性粒子に結合させるように、(iii)前記自動免疫化学分析装置に前記患者試料由来の検体分子を前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの結合済みの前記混合物に結合させるように、且つ(iv)前記自動免疫化学分析装置に前記患者試料由来の結合済みの前記検体分子を光学的に分析させるように構成されているロジックインプリメンタと、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診断分析を実行するための方法及び装置に、より具体的には、診断分析用の個別の捕捉試薬を複数種混合する方法と装置に広く関する。
【背景技術】
【0002】
多くの免疫化学分析システムでは患者の生体試料(例えば、血清又は血漿)内の検体分子を常磁性粒子に付着させる必要がある。着目検体分子を常磁性粒子に付着させるために、まず、捕捉試薬が常磁性粒子に結合され、その後、患者試料が捕捉試薬に結合される。しかし、こうしたシステムでは、使用者が、複数の捕捉試薬の混合物をカスタマイズし、これにより、異なる種類の着目検体分子についての患者試料の分析を最適化することができないので、こうしたシステムにより実行される分析は、比較的に遅く、非効率的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本出願は、患者試料の分析を異なる種類の着目検体分子について最適化できるように診断分析用の個別の捕捉試薬を複数種混合する方法及び装置を開示する。
【0004】
本出願は、複数のアレルゲンについて患者試料を光学的に分析するシステムであって、複数の捕捉試薬と、複数の常磁性粒子とを保管するよう構成されている自動免疫化学分析装置と、複数の捕捉試薬から2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択できるように構成されているユーザーインターフェースと、(i)自動免疫化学分析装置に2種以上の捕捉試薬の組み合わせの各捕捉試薬をまとめて混合させるように、(ii)自動免疫化学分析装置に2種以上の捕捉試薬の組み合わせの混合物を常磁性粒子に結合させるように、(iii)自動免疫化学分析装置に患者試料由来の検体分子を2種以上の捕捉試薬の組み合わせの結合済みの混合物に結合させるように、且つ(iv)自動免疫化学分析装置に患者試料由来の結合済みの検体分子を光学的に分析させるように構成されているロジックインプリメンタと、を備える、システムを開示する。
【0005】
いくつかの実施形態では、ロジックインプリメンタは、ユーザーインターフェースで選択が可能な捕捉試薬の数を制限するように構成されている。別の実施形態では、ロジックインプリメンタは、自動免疫化学分析装置内の捕捉試薬の利用可能性に基づいて、ユーザーインターフェースで選択が可能な捕捉試薬の数を制限するように構成されている。さらに別の実施形態では、ロジックインプリメンタは、ユーザーインターフェースで選択が可能な捕捉試薬の数を選択がなされているときに調整するように構成されている。
【0006】
別の実施形態では、ロジックインプリメンタは、ユーザーインターフェースを用いて選択するための、2種以上の捕捉試薬の予めプログラムされた複数の組み合わせを記憶するように構成されている。さらに別の実施形態では、予めプログラムされた複数の組み合わせは、患者が呈する症状の種類に基づいてソートされている。別の実施形態では、2種以上の捕捉試薬の組み合わせの選択は、当該組み合わせに含まれる捕捉試薬のそれぞれを個別に選択することにより行われる。さらに別の実施形態では、ロジックインプリメンタは、2種以上の捕捉試薬の組み合わせを用いた試験が陽性の結果を返した場合に、自動免疫化学分析装置に、当該2種以上の捕捉試薬の少なくとも1種を用いた追加の分析を実行させるように構成されている。
【0007】
また、本出願は、複数のアレルゲンについて患者試料を光学的に分析する方法であって、選択可能な複数の捕捉試薬から2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択する工程と、2種以上の捕捉試薬の組み合わせの各捕捉試薬を常磁性粒子を含む容器に加える工程と、2種以上の捕捉試薬の組み合わせを常磁性粒子に結合させる工程と、患者試料由来の検体分子を2種以上の捕捉試薬の組み合わせに結合させる工程と、患者試料由来の結合済みの検体分子を光学的に分析する工程と、を備える、方法も開示する。
【0008】
いくつかの実施形態では、本方法は、選択に利用可能な捕捉試薬の数を狭める工程を含む。別の実施形態では、選択可能な複数の捕捉試薬から選択する工程は、2種以上の捕捉試薬の予めプログラムされた複数の組み合わせから選択する工程を含む。さらに別の実施形態では、選択可能な複数の捕捉試薬から選択する工程は、選択可能な複数の捕捉試薬から捕捉試薬をそれぞれ個別に選択する工程を含む。さらに別の実施形態では、本方法は、2種以上の捕捉試薬の組み合わせを用いた試験が陽性の結果を返した場合に、当該組み合わせに由来する2種以上の捕捉試薬の少なくとも1種を用いて追加の光学的分析を行う工程を含む。
【0009】
また、本出願は、複数のアレルゲンについて患者試料を光学的に分析するシステムであって、複数の捕捉試薬と、複数の常磁性粒子と、複数の捕捉試薬から2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択することを可能とする選択モジュールと、(i)2種以上の捕捉試薬の組み合わせの各捕捉試薬をまとめて混合し、(ii)2種以上の捕捉試薬の組み合わせの混合物を常磁性粒子に結合させ、且つ(iii)患者試料由来の検体分子を2種以上の捕捉試薬の組み合わせの結合済みの混合物に結合させる混合モジュールと、1つ以上の陽性又は陰性の結果について患者試料由来の結合済みの検体分子を光学的に分析する分析モジュールと、分析モジュールにより判断された1つ以上の陽性又は陰性の結果を報告する報告モジュールと、を備える、システムも開示する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本システムは、複数の捕捉試薬の位置を記憶する在庫追跡モジュールを含む。別の実施形態では、在庫追跡モジュールは、複数の捕捉試薬の位置を、(i)選択モジュール、(ii)混合モジュール、及び(iii)分析モジュールの少なくとも1つに伝達する。さらに別の実施形態では、本システムは、複数の捕捉試薬を補充する在庫補充モジュールを含む。
【0011】
別の実施形態では、分析モジュールは、2種以上の捕捉試薬の組み合わせを用いた試験が陽性の結果を返した場合に、2種以上の捕捉試薬の第2の組み合わせを混合するように、混合モジュールに指令する。さらに別の実施形態では、選択モジュールは、2種以上の捕捉試薬の組み合わせの捕捉試薬のそれぞれを個別に選択することを可能とする。さらに別の実施形態では、選択モジュールは、2種以上の捕捉試薬の予めプログラムされた複数の組み合わせから2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示に係る自動免疫化学分析装置及び試薬システムの実施形態の模式図。
図2】本開示に係る診断分析を実行するための処理工程の実施形態の模式図。
図3A図2の処理工程で用いることができるグラフィカルユーザーインターフェースの実施形態を示す図。
図3B図2の処理工程で用いることができるグラフィカルユーザーインターフェースの実施形態を示す図。
図3C図2の処理工程で用いることができるグラフィカルユーザーインターフェースの実施形態を示す図。
図4A】本開示に係る診断分析を実行するための処理工程の実施形態の模式図。
図4B】本開示に係る診断分析を実行するための処理工程の実施形態の模式図。
図5A】本開示に係る診断分析を実行するための処理工程の実施形態の模式図。
図5B】本開示に係る診断分析を実行するための処理工程の実施形態の模式図。
図6】本開示に係る診断分析を実行するための処理工程の実施形態の模式図。
図7図2から6の処理工程を実行するよう制御することができるシステムの実施形態の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
単なる例示としてではあるが本開示の実施形態を図面を参照しつつより詳細に説明する。
【0014】
図示した本開示に係るシステム及び方法をより詳細に記載する前に、本開示が、異なる種類の着目検体分子についての診断分析を最適化するために個別の捕捉試薬を複数種混合する方法及び装置に関することを理解並びに評価されたい。通常、本システムは、一般的な常磁性粒子、例えば、洗浄処理中に反応キュベットから液体を吸引できるように磁石により反応キュベットの壁に引き寄せられる磁気ビーズや磁気マイクロ粒子を用いる。
【0015】
ある実施形態では、本システムは、DNAチップ、ラボオンチップ技術、マイクロプロパルジョン(micro-propulsion)、及びマクロ熱技術を包含し得るマイクロ流体システムではない。ある実施形態では、本システムは、試料及び試薬並びにこれらの組み合わせを物理的に持ち上げて移動させる、1種以上の、自動ピペット、反応ローターを使用し得る免疫分析装置を含む。
【0016】
処理工程の始めに、常磁性粒子は、患者の血液試料中の着目検体分子に最終的に結合する1種以上の捕捉試薬でコートされる。捕捉試薬が常磁性粒子に結合し、キュベットを洗浄処理に掛けた後、患者試料と、必要であれば任意で希釈液とを、反応キュベット内の粒子に加え、インキュベートする。これにより、患者血液試料中の着目検体を、常磁性粒子の表面に結合されている1種以上の捕捉試薬に結合させることができる。
【0017】
患者試料のインキュベーション期間の後、過剰な又は未結合の試料を除去するために別の洗浄処理が実行される。その後、コンジュゲートと発光ラベルとがキュベットに加えられる。キュベットに加えられたとき、コンジュゲートの一部がインキュベーション期間の後に常磁性粒子上の捕捉試薬/試料複合体に結合することが期待できる。その後、未結合のコンジュゲートを除去するために粒子は別の洗浄処理に掛けられる。その後、発光ラベルが反応キュベットに加えられ、化学発光反応が平衡に達することができる短時間にわたりインキュベートされる。平衡に達した後、試料の発光及び蛍光の読み取り値を取ることができるようになる。
【0018】
図1は、本開示に係る自動免疫化学分析装置1の実施形態の様々な部品を図示する。自動免疫化学分析装置1は、検体試料を取り、検体試料が常磁性粒子と結合できる環境を作り、幾回のもの洗浄工程を行い、そして、検体試料の発光シグナルを定量化及び標準化する。これは、ボルテックスミキサー2、R1ピペッター4、反応ローター6、光学ピペッター8、光学箱10、マルチリンスピペッター12、試薬ローター14、シングルリンスピペッター16、試料ローター18、試料ピペッター20、R2ピペッター22、及び混合基材容器24を用いた自動化処理により達成される。
【0019】
本開示のより一層の理解のために、ある試料処理工程について、本装置が検体試料の発光シグナルを定量化及び標準化できる可能な一方法を説明しつつ、概説する。ある実施形態では、自動免疫化学分析装置1は、蛍光ラベル化常磁性粒子又はフルオビーズ(fluo-beads)を反応ローター6内に配置されているキュベットに分注することをまず始めに行う。このフルオビーズは、最初はボルテックスミキサー2内に配置されており、R1ピペッター4により反応ローター6に移されてもよい。R1ピペッター4は、所望量のフルオビーズ混合物を吸引し、吸引分を反応ローター6(吸引分は反応ローター6のキュベットに注入される)に移してもよい。その後、光学ピペッター8が、反応ローター6のキュベットから試験試料を吸引し、この試験試料を蛍光及び発光の測定値を記録できる光学箱10に移してもよい。
【0020】
蛍光及び発光の測定は、少なくとも部分的に透明な光学ピペットチップを通して直接的に行ってもよい。光学箱は、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの検出器とを含んでもよい。(1つ又は複数の)光源は、光学ピペットチップに光を照射できる。検出器は、光学ピペットチップ及びその内容物を通して移動した光を捕捉するように光学ピペットチップの後ろに配置されてもよいし、散乱光又は反射光を集めることができる光学箱内の別の場所に配置されてもよい。当業者であれば、種々の構成を想像できるだろう。
【0021】
蛍光及び発光シグナルの初期記録は、試料中のフルオビーズの初期濃度に対応し得る蛍光シグナルのベースライン測定値として用いてもよい。測定値の記録後は、マルチリンスピペッター12が、洗浄バッファーを用いてキュベットをリンスしてもよい。
【0022】
次に、フルオビーズがボルテックスミキサー2からR1ピペッター4を介して反応ローター6内のキュベットに移されてもよい。R1ピペッター4は、試薬ローター14から1種以上の捕捉試薬を吸引し、この1種以上の捕捉試薬を反応ローター6内に配置されているキュベットに注入してもよい。インキュベーション期間後、シングルリンスピペッター16が捕捉試薬の結合反応を正確な時期に停止するためにリンスバッファーを注入してもよい。その後、懸濁されているフルオビーズの大部分が、反応ローター6内の磁石によりある期間にわたって局在化されてもよい。磁石がフルオビーズの大部分をキュベット内で局在化した後、マルチリンスピペッター12が、キュベット内で局在化されたフルオビーズの部分を残しつつ、リンスバッファーの部分を吸引・廃棄してもよい。マルチリンスピペッター12は、次に進み、反応ローター6のキュベットに洗浄バッファーを注入し、フルオビーズを再懸濁してもよい。フルオビーズは、磁石により反応ローター6内で再び局在化され、その後、マルチリンスピペッター12により、反応ローター6内のキュベットから局在化されなかった試料の部分が吸引・廃棄されてもよい。
【0023】
患者試料は試料ローター18内の試料チューブ内に収容されてもよい。さらに、患者試料は試料希釈液で部分的に希釈されてもよい。この時点で、試料ピペッター20は、患者試料の部分を吸引し、この患者試料を反応ローター6のキュベットに注入し、フルオビーズを再懸濁してもよい。その後、反応ローター6内の患者試料を含むキュベットは患者試料をインキュベートしてもよい。一実施形態では、インキュベーション温度は、約37℃±約0.2℃であってもよく、インキュベーション時間は、約37.75分±約2分であってもよい。インキュベーション後、マルチリンスピペッター12は、リンスバッファーを注入し、フルオビーズを再懸濁してもよい。反応ローター6により、フルオビーズの大部分がキュベット内で反応ローター6内の磁石に近い所に集まるようにすることで、別の局在化処理が実行される。フルオビーズの局在化の後、マルチリンスピペッター12は、局在化処理中に局在化されなかった反応ローター6のキュベット内の液体の部分を吸引・廃棄してもよい。
【0024】
その後、複数回のリンスサイクルが、反応ローター6のキュベット内の試料に対して行われてもよい。このリンスサイクルは、マルチリンスピペッター12を用いて洗浄バッファーをキュベット内に注入しフルオビーズを再懸濁することで行われてもよい。別の局在化工程で、反応ローター6内の磁石によりフルオビーズをキュベット内に集めてもよい。約90秒のフルオビーズ回収期間の後、マルチリンスピペッター12は、反応ローター6のキュベット内のフルオビーズの大部分を残しつつ、洗浄バッファーの部分を吸引・廃棄してもよい。その後、別のリンスサイクルが、マルチリンスピペッター12を用いて洗浄バッファーをキュベット内に再び注入しフルオビーズを再懸濁することで行われてもよい。別のフルオビーズ局在化処理が、反応ローター6内の磁石を用いてフルオビーズを残りの試料から局在化させることにより行われてもよい。最後に、マルチリンスピペッター12は、この局在化処理で局在化されなかった試料の部分を吸引してもよい。
【0025】
この時点で、R1ピペッター4は、試薬ローター14内のコンジュゲートキュベット内に含まれるコンジュゲートを吸引してもよい。その後、R1ピペッター4は、前述の通り吸引したコンジュゲートを反応ローター6のキュベットに注入してもよい。反応ローター6内で時間及び温度を制御しつつキュベットをインキュベートした後、マルチリンスピペッター12は、反応ローター6内のキュベットにリンスバッファーを注入してもよい。別のフルオビーズ局在化サイクルが、反応ローター6内の磁石によりフルオビーズをキュベット内で大部分局在化させることで行われてもよい。マルチリンスピペッター12は、この局在化サイクル中に局在化されなかったキュベット内の試料の部分を吸引・廃棄してもよい。
【0026】
複数回のリンスサイクルが、反応ローター6のキュベット内の試料に対して行われてもよい。マルチリンスピペッター12は、洗浄バッファーを注入しキュベット内のフルオビーズを再懸濁してもよい。別のフルオビーズ局在化サイクルが、十分な時間にわたり反応ローター6内の磁石の近くにキュベットを配置して、フルオビーズを局在化することにより行われてもよい。この局在化サイクルの後、マルチリンスピペッター12は、この局在化サイクル中に局在化されなかった試料の部分を吸引・廃棄してもよい。その後、別の洗浄サイクルが、マルチリンスピペッター12を用いて洗浄バッファーを注入しフルオビーズを再懸濁することで行われてもよい。別の局在化サイクルが、反応ローター6内の磁石を用いてキュベット内のフルオビーズを局在化することで行われてもよい。この局在化サイクル後、マルチリンスピペッター12は、この局在化サイクル後中に局在化されなかった試料の部分を吸引・廃棄してもよい。
【0027】
この時点で、R2ピペッター22は、試薬ローター14から第1基材及び第2基材の部分を吸引し、これらの基材を混合基材容器24に注入して、混合基材試料を作ってもよい。その後、R2ピペッター22は、混合基材容器24から混合基材試料を吸引し、この混合基材試料を反応ローター6のキュベットに注入し、この混合基材試料でフルオビーズを再懸濁してもよい。その後、この試料はある期間インキュベートされる。その後、反応ローター6のキュベット内の試料は、光学ピペッター8により吸引され、光学箱10内に置かれてもよい。光学箱10が蛍光及び発光の光学的観察を行った後、試料は廃棄され、マルチリンスピペッターは次の試験の準備のために反応ローター6のキュベットをリンスする。
【0028】
以上の工程ができるように、捕捉試薬は、反応ローター6内のキュベット内のフルオビーズと結合し、単一固相を形成する必要がある。この単一固相は、その後、患者試料と合わされる。本開示の一実施形態では、自動免疫化学分析装置1の使用者は、使用者が選択した数種の異なる捕捉試薬を用いてオンザフライで固相をカスタマイズできる。このカスタマイズできるという特徴は、複数のアレルゲンについて患者試料を試験する効率とタイミングを改善するため、有利である。
【0029】
ある実施形態では、自動免疫化学分析装置1は、使用者が固相をカスタマイズできるように共同して働くグラフィカルユーザーインターフェース(『GUI』)30及びロジックインプリメンタ32を含んでもよい。GUI30及びロジックインプリメンタ32は、自動免疫化学分析装置1に付属するものでも又その一部であってもよく、また、自動免疫化学分析装置1から遠隔的に配置され、無線又は有線データ接続を介して自動免疫化学分析装置1と通信するものでもよい。
【0030】
図2は、GUI30及びロジックインプリメンタ32を用いて、複数のアレルゲンについて患者試料を試験する単一固相を使用者が作れるような処理工程の流れ図を示す。まず、ステップ40で、使用者は、使用者が複数の捕捉試薬で単一固相をカスタマイズすることを望んでいることをGUI30に指示することにより、本処理工程を開始する。使用者は、単一の患者試料又は複数の患者試料について単一固相を作るようにGUI30に指示できる。使用者が予め固相をカスタマイズしておりそれらの固相をロジックインプリメンタ32に保存している場合、自動免疫化学分析装置1に利用可能な捕捉試薬に基づき自動免疫化学分析装置1がオンザフライで作ることができる予めプログラムされたカスタマイズ固相のライブラリーから予めカスタマイズされた固相をリコールするという選択肢を使用者に提示してもよい。使用者が新規のカスタマイズ固相を作ることを望む場合、ロジックインプリメンタ32はステップ42及び44に進む。使用者が予めプログラムされたカスタマイズ固相のライブラリーにアクセスすることを望む場合、ロジックインプリメンタ32はステップ46及び48に進む。
【0031】
ステップ42では、GUI30は、試薬ローター14内で利用可能な捕捉試薬に基づく一連の選択肢を使用者に提示する。この一連の選択肢は、ロジックインプリメンタ32により、GUI30に提供される。ロジックインプリメンタ32は、試薬ローター14内で利用可能な各捕捉試薬の情報を保存している。保存情報は、例えば、捕捉試薬の名前、試薬ローター14に現在ある捕捉試薬の量、及び各捕捉試薬の交差反応性干渉情報を含んでもよい。また、保存情報は、各捕捉試薬のクラス(例えば、アレルギー)及びサブクラス(例えば、草、カビ、環境因子など)を含んでもよい。ロジックインプリメンタ32は、保存情報を用いて、自動免疫化学分析装置1により作ることができる捕捉試薬の全ての組み合わせを求めることができる。
【0032】
各捕捉試薬のクラス及びサブクラスを用いて、GUI30は試験する捕捉試薬の推奨組み合わせを使用者に提示してもよい。ある実施形態では、GUI30は、1種以上の症状を使用者が選択できるような症状のリストを使用者に提示する。その後、GUI30は、選択された症状に基づき、捕捉試薬の推奨組み合わせを使用者に提示してもよい。例えば、一症状として、ワインを飲んだときのアレルギー反応によるものなどが挙げられる。使用者がこの症状を選択すると、GUI30は、ブドウ、イースト、酒石酸、及び他のワイン成分へのアレルギー反応を試験する捕捉試薬の組み合わせを提案することになるだろう。他の症状として、例えば、異なる自己免疫疾患に関する症状などが挙げられる。
【0033】
ロジックインプリメンタ32によりGUI30に提供された一連の選択肢は、いくつかの理由でロジックインプリメンタ32により狭められてもよい。例えば、使用者が複数の患者試料を試験するための固相を作ることを望むものの、各試料の試験に十分な固相を作ることができるほど試薬ローター14に保管されている捕捉試薬が十分ではない場合、ロジックインプリメンタ32は、選択肢からその捕捉試薬を取り除いてもよいし、使用者に捕捉試薬の欠乏を通知してもよいし、あるいは、試薬ローター14に捕捉試薬をもっと追加してもよい。
【0034】
ロジックインプリメンタは、ある捕捉試薬が他の捕捉試薬と組み合わせることができないかどうかを判断してもよいし、あるいは、組み合わせることができる捕捉試薬の総数に制限をかけてもよい。図3Aから3Cは、試薬ローター14内に保管されている5種の候補捕捉試薬が使用者に提示されるGUI30の例示的実施形態を示す。当業者であれば、殆どの場合に6種以上の捕捉試薬が試薬ローター14内に保管されることを認識しているだろうが、本例では簡略化のために数を減らしている。図3Aでは、使用者は、捕捉試薬を組み合わせ固相に追加するために、5種の個別の捕捉試薬の任意のひとつをクリックできる。図3Bでは、使用者は、捕捉試薬Aを固相に追加するために選択したところである。一方、使用者が捕捉試薬Aを選択したとき、ロジックインプリメンタ32は捕捉試薬Aが捕捉試薬Cと組み合わせることができないことを判断したので、ロジックインプリメンタ32は捕捉試薬Cを残りの選択肢から取り除き、そして、捕捉試薬Cは使用者が捕捉試薬Aの選択を解除するまで残りの選択肢のリストから取り除かれたままとなる。図3Cでは、使用者は、捕捉試薬Dを捕捉試薬Aと混合することを選択したところである。上と同じように、ここで、ロジックインプリメンタ32は、捕捉試薬Bが捕捉試薬Dと相性が悪いことを判断したので、ロジックインプリメンタ32は捕捉試薬Bを残りの選択肢から取り除き、そして、捕捉試薬Bは使用者が捕捉試薬Dの選択を解除するまで残りの選択肢のリストから取り除かれたままとなる。代替的な実施形態では、ロジックインプリメンタ32は、捕捉試薬Bが捕捉試薬Dと相性が良い可能性があっても、捕捉試薬Bが捕捉試薬A及び捕捉試薬Dの組み合わせと相性が悪いので、図3Cで捕捉試薬Bを取り除く。
【0035】
ロジックインプリメンタ32は、このため、使用者が選択を行うときに使用者に利用可能な可能性のある選択肢を継続的に再評価し、GUI30を新しい情報で更新してもよい。図3Aから3Cの代替的な実施形態では、使用者は、5種全ての選択肢を提示されてもよく、そして、ロジックインプリメンタは、選択された捕捉試薬同士の相性が良いかを判断するために、使用者が所望の捕捉試薬を選択した後まで待機してもよい。また、ロジックインプリメンタ32は、使用者が自動免疫化学分析装置1により作ることができない組み合わせを選択した場合に、使用者に代わりの捕捉試薬を提案するようにプログラムされてもよい。
【0036】
図2のステップ44では、使用者は組み合わせに追加する各捕捉試薬を個別に選択する。使用者は、このため、選択した組み合わせの最終確認を行い、その後、ロジックインプリメンタ32は、選択された捕捉試薬のそれぞれが試薬ローター14内に配置されているかを判断する。その後、ロジックインプリメンタ32は、適切な量のフルオビーズを反応ローター6内に配置されたキュベットに分注し、そして、R1ピペッター4及び試薬ローター14を制御して、R1ピペッター4に、試薬ローター14から個別に選択され捕捉試薬のそれぞれを吸引させ、この捕捉試薬を反応ローター6内に配置されたキュベットに注入させることができる。
【0037】
使用者がステップ40で予めプログラムされたカスタマイズ固相のライブラリーにアクセスすることを選択した場合、本処理工程はステップ40からステップ46に進み、このステップでロジックインプリメンタ32はGUI30に予め保存された組み合わせのリストを提供する。ある実施形態では、ステップ44で使用者は選択した組み合わせをロジックインプリメンタにより後でアクセスするためのライブラリーに保存することができる。代わりに、保存された組み合わせが、使用者が自動免疫化学分析装置1を起動するまえにプログラムされていてもよいし、また、無線又は有線データ接続を介して自動免疫化学分析装置1にダウンロードされてもよい。また、ロジックインプリメンタ32は、例えば、使用者が特定の症状を提示したか、組み合わせに含まれる捕捉試薬が選択時に混合物への添加に利用可能か、または、利用可能な捕捉試薬の量が選択された試験に十分かなどに基づき、使用者による選択に利用可能なライブラリーからの選択を狭めてもよい。ステップ48で、使用者は、ロジックインプリメンタ32により提供されたリストから選択を行い、そして、その後、ロジックインプリメンタ32が、適切な量のフルオビーズを反応ローター6内に配置されたキュベットに分注し、そして、R1ピペッター4及び試薬ローター14を制御して、R1ピペッター4に、試薬ローター14から選択され組み合わせの捕捉試薬のそれぞれを吸引させ、この捕捉試薬を反応ローター6内に配置されたキュベットに注入させることができる。
【0038】
ある実施形態では、ステップ47及び/又は49が実装されてもよい。ステップ47が実装される場合、使用者がステップ44で選択肢を選択した後、次に、使用者は予め保存されたリストにアクセスできる。これは、予めの類似のリストに基づく推奨追加試験の形態でもよいし、選択された事項に対して代替又は追加として本システムにより提案されるリストであってもよい。ステップ49が実装される場合、使用者がステップ46及び48で予め保存されたリスト及び固相フォームにアクセスした後、次に、使用者はステップ44で選択肢を選択できる。これは、使用者が予め保存されたリストをカスタマイズすることを可能とする。
【0039】
図2のステップ50で、組み合わせ固相は、患者試料と組み合わせて、インキュベートされ、結合され、上述したように、数回の洗浄ステップを行い、コンジュゲート及び基材を加え、その後、光学箱10が蛍光及び発光測定を行えるように患者試料を光学ピペッター8に吸引することで、試験される。当業者であれば理解できるように、捕捉試薬の混合物について光学箱10により判断された陽性の結果は、混合物中の捕捉試薬の少なくとも1つについての陽性の結果を意味する。例えば、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cを含む混合物についての陽性試験は、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cの少なくとも1つについての陽性試験を意味する。この場合、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cの1種以上のいずれが陽性試験の原因であるかを判断することはできない。一方、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cの混合物についての陰性の結果は、患者試料が、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cのいずれについても試験で陽性とでなかったことを確定的に意味する。
【0040】
ロジックインプリメンタ32は、このため、ステップ50で患者試料の光学分析が陰性の結果である場合、試験を終了してもよい。即ち、ステップ50でロジックインプリメンタ32が捕捉試薬の混合物が陰性の結果となったことを判断した場合、ロジックインプリメンタ32は、ステップ56に進み、GUI30又は他の機構を介して、選択された混合物内の捕捉試薬のいずれについても患者試料の試験で陰性とでたことを使用者に報告することができる。
【0041】
一方、ステップ50で混合物が試験で陽性とでた場合、ロジックインプリメンタ32はステップ52に進んでもよい。ステップ52で、ロジックインプリメンタは、例えば以下の図6で示すように、この陽性の結果が混合物内の特定の捕捉試薬に起因し得るか、又は、混合物内の特定の捕捉試薬が陽性の結果の原因として排除できるかを判断する。ロジックインプリメンタ32が組み合わせに含まれる各捕捉試薬が陽性の結果の原因となったかなり得なかったかを確定的に判断できた場合、ロジックインプリメンタ32は、ステップ56に進み、GUI30又は他の報告機構を介して、組み合わせに含まれる各捕捉試薬の結果を使用者に報告することができる。
【0042】
ロジックインプリメンタ32が、混合物内のいずれ1つの捕捉試薬が陽性の結果の原因であるか及び混合物内の残りの捕捉試薬を排除できるかを確定的には判断できなかった場合、ロジックインプリメンタ32はステップ54に進む。ステップ54で、ロジックインプリメンタは、組み合わせに含まれる捕捉試薬の数、又は、陽性の結果を得られた捕捉試薬の数に基づいて、捕捉試薬をサブグループに分けるか、個別の捕捉試薬のそれぞれについて別々に試験を行うかする。ロジックインプリメンタは、いったん、捕捉試薬の追加の試験を行い、各捕捉試薬が陽性試験又は陰性試験となったことを判断すると、ロジックインプリメンタ32は、ステップ56に進み、GUI30又は他の報告機構を介して、組み合わせに含まれる各捕捉試薬の結果を使用者に報告することができる。代替的な実施形態では、ロジックインプリメンタは、ステップ52及び54をスキップし、GUI30又は他の報告機構を介して、患者試料が混合物内の捕捉試薬の少なくとも1種について試験で陽性とでたことを使用者に単に報告することができる。
【0043】
図4Aは、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cの試験をロジックインプリメンタ32がどのように行うことができるかの簡単な例を示す流れ図である。図示されているように、ロジックインプリメンタ32は、まず、ステップ60aで、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cの混合物の試験を行う。混合物が陰性の結果となった場合、ロジックインプリメンタは、ステップ62aで、患者試料は捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cのいずれについても試験で陰性とでたことを確定的に報告することができる。この初期試験が陰性の結果となった場合、3種の異なる試薬について報告するためにたった1回の試験のみを要する。
【0044】
混合物が陽性の結果となった場合、ロジックインプリメンタは、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cを、それぞれ、ステップ64a、66a、及び68aで別々に試験する。その後、ロジックインプリメンタは、ステップ70a、72a、及び74aで、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cのそれぞれの結果を報告することができる。
【0045】
図4Bは、特定の患者試料について捕捉試薬Cのみが試験で陽性とでた場合に、図4Aの試験がどのように進行するかの例を示す。ステップ60bで、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cの混合物について試験が陽性の結果となった。ロジックインプリメンタ32は、このため、ステップ64b、66b、及び68bで、それぞれ、捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cについて別々に試験を行う。ステップ64b及び66bで、ロジックインプリメンタ32は、捕捉試薬A及び捕捉試薬Bが陰性の結果となったことを判断する。この結果は、ステップ70b及び72bで使用者に報告される。ステップ68bで、ロジックインプリメンタ32は捕捉試薬Cが陽性の結果となったことを判断する。この結果は、ステップ74bで使用者に報告される。
【0046】
図4Bから明らかなように、ロジックインプリメンタ32は、試料が捕捉試薬Cについて試験で陽性とでることを判断するために、4回の別々の試験(60b、64b、66b、68b)を行う。一方、当初から捕捉試薬A、捕捉試薬B、及び捕捉試薬Cのそれぞれについて別々に試験を行っていれば、必要なのは3回の試験のみである。しかし、試験は数百又は数千の試料について行われているのであり、3種の捕捉試薬のそれぞれについて患者試料が試験で陰性とでることを判断するために、3種の試薬の混合物の陰性試験はすべて(3回の個別の試験に対して)1回の試験を要するのみであることを理解されたい。患者試料数が増えると、総試験数は著しく減る。例えば、図4Aの例を用いれば、3種の異なる試薬について100個の患者試料を試験し、これらの半分が3種全ての試薬について陰性の結果となる場合、1試料当たりの平均試験数は2.5回まで減る(一方、各捕捉試薬を別々に試験する場合、1試料当たりの平均試験数は3回である)(50×1+50×4=250;250/100=2.5)。そして、この例では、100個の患者試料についての試験回数の総数は、300回(個別の試験の場合)から250(本開示に係る混合試験の場合)に減る。
【0047】
本明細書に記載のある実施形態では、混合試験を用いた試験回数は、約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約5%から約20%の間、約10%から約20%の間、約15%から約20%の間、約5%から約15%の間、又は約5%から約30%の間だけ、減少し得る。
【0048】
試験総数の減少は、試験する捕捉試薬の数が増えるにつれてより顕著になる。図5Aは、ロジックインプリメンタ32が陽性の結果の原因を判断するために10種の試薬の混合物をサブグループに分けるという、より複雑な仕組みからなる別の例を示す。上と同じように、10種の試薬の混合物が陰性の結果となった場合、ロジックインプリメンタ32は患者試料が捕捉試薬A-Jのそれぞれについて試験で陰性とでたことを確定的に報告することができる。10種の試薬の混合物が陽性の結果となった場合、ロジックインプリメンタ32は次の試験に進む。
【0049】
図5Aにおいて、ロジックインプリメンタ32は、まず、ステップ80aで、捕捉試薬A-Jの混合物を試験する。この混合物が陰性の結果となった場合、ロジックインプリメンタ32は、ステップ82aで、患者試料が捕捉試薬A-Jのいずれについても試験で陰性とでたことを確定的に報告することができる。この初期試験が陰性の結果となった場合、10種の異なる試薬について報告するためにたった1回の試験のみを要する。
【0050】
ステップ80の試験が陽性の結果となった場合、ロジックインプリメンタ32はステップ84a及び86aに移り、これらのステップでロジックインプリメンタ32は10種の捕捉試薬をそれぞれ5種の試薬からなる2つのサブグループに分ける。その後、ロジックインプリメンタ32は、2つのサブグループのそれぞれを試験し、いずれかのサブグループが陰性の試験結果となった場合、ロジックインプリメンタ32は、そのサブグループ内の5種の捕捉試薬がそれぞれ陰性の結果となったことを報告することができる。2つのサブグループの一方又は両方が陽性の結果となった場合、ロジックインプリメンタ32はステップ90a-99aに進むことができ、これらのステップで捕捉試薬は別々に試験される。その後、この結果をロジックインプリメンタ32はステップ100a-109aで報告できる。
【0051】
図5Bは、特定の患者試料について捕捉試薬Cのみが試験で陽性とでた場合に、図5Aの試験がどのように進行するかの例を示す。ステップ80bで、捕捉試薬A-Jの混合物について試験が陽性の結果となった。ロジックインプリメンタ32は、このため、捕捉試薬A-Jを、捕捉試薬A-Eからなる第1サブグループと、捕捉試薬F-Jからなる第2サブグループとに分け、第1サブグループ及び第2サブグループをそれぞれステップ84a及び84bで別々に試験する。
【0052】
ステップ86bで、ロジックインプリメンタ32は捕捉試薬F-Jからなる第2サブグループが陰性の結果となったことを判断する。ロジックインプリメンタ32は、このため、捕捉試薬F-Jのいずれもがステップ80bでの陽性の結果の原因ではないことを確定的に判断することができ、また、ロジックインプリメンタ32は、ステップ89bで、捕捉試薬F-Jのそれぞれについて陰性の結果を報告できる。
【0053】
ステップ84bで、ロジックインプリメンタ32は捕捉試薬A-Eからなる第1サブグループが陽性の結果となったことを判断する。その後、ロジックインプリメンタ32は、第1サブグループを追加のサブグループに分けるか、各捕捉試薬を別々に試験するかできる。図示した例では、ロジックインプリメンタ32は、第1サブグループ内の各捕捉試薬を別々に試験し、ステップ92bで、捕捉試薬Cがステップ80bでの初期の陽性の結果の原因であることを判断している。その後、捕捉試薬Cについての陽性の結果及び他の捕捉試薬のそれぞれについての陰性の結果は、ステップ89b及び100b-104bで、使用者に報告される。
【0054】
図5Bの例では、ロジックインプリメンタ32は、試料が捕捉試薬Cについて試験で陽性とでることを判断するために、合計で8回の試験(80b、84b、86b、90b、91b、92b、93b、94b)を行う。一方、当初から捕捉試薬A-Jのそれぞれについて別々の試験を行っていれば、10回の試験が必要である。図4の例と比較すると、図5は、初期混合物内の捕捉試薬の数が増えると、実施される試験の相対数が減ることを示している。図5Bの例で、10個の異なる試薬について100個の患者試料を試験し、これらの半分が1種の試薬について陽性の結果となる場合、1試料当たりの平均試験数は4.5回まで減る(一方、各捕捉試薬を別々に試験する場合、1試料当たりの試験数は10回である)(50×1+50×8=450;450/100=4.5)。そして、この例では、100個の患者試料についての試験回数の総数は、1000回(個別の試験の場合)から450(本開示に係る混合試験の場合)に減る。
【0055】
図6は、ロジックインプリメンタ32が、どのように、特定の捕捉試薬を再試験することなく、陽性の試験結果の原因からある捕捉試薬を排除できるかの一例示的実施形態を示す。図6では、ロジックインプリメンタ32は2つの別々の試験を開始する。ステップ120で、ロジックインプリメンタ32は症状Aについての試験を捕捉試薬A及びBの混合物を試験することで開始し、ステップ122で、ロジックインプリメンタ32は症状Bについての試験を捕捉試薬B、C、及びDの混合物を試験することで開始する。ステップ124で、ロジックインプリメンタは、捕捉試薬をA及びBの混合物が陽性の結果となったことを判断する。この結果は、捕捉試薬A、捕捉試薬B、又は捕捉試薬A及びBの両方に起因し得る。一方、ステップ126で、ロジックインプリメンタは、捕捉試薬B、C、及びDの混合物が陰性の結果となったことを判断する。これは、患者試料が捕捉試薬B、C、及びDのいずれについても試験で陰性となったことを意味し、このことを、ロジックインプリメンタは、ステップ128で、GUI30又は他のメカニズムを介して、使用者に報告できる。ステップ130で、ロジックインプリメンタは、症状A及び症状Bの試験をまとめ、ステップ126で患者試料が捕捉試薬Bについて試験で陰性とでたことから、捕捉試薬Bが捕捉試薬A及びBの混合物についての陽性の結果の原因ではないことを判断する。ロジックインプリメンタ32は、このため、ステップ132で、捕捉試薬Aが捕捉試薬A及びBの混合物についての陽性の結果の原因であることを使用者に報告できる。
【0056】
図7は、上述の処理工程を実行するためにロジックインプリメンタ32により制御される複数の最適化モジュールを備えたシステム210の実施形態を示す。図示した実施形態では、システム210は、選択モジュール220、在庫追跡モジュール230、混合モジュール240、及び分析モジュール250、報告モジュール260、通信モジュール270、及び在庫補充モジュール280を含む。当業者であれば、本開示に関して採用できるモジュールの数を増減させることができることを認識しているであろう。
【0057】
選択モジュール220は、図2から5に示される処理を、例えば、使用者が自動免疫化学分析装置1の電源を入れたとき、又は、使用者がGUI30を介して自動免疫化学分析装置1を用いて新規試験を行うことを知らせたときに、開始する。ある実施形態では、選択モジュール220は、使用者が1種以上の新規試験に用いるための1種以上の患者試料をGUI30を介して選択することを可能とする。1種以上の患者試料の選択は、処理工程の開始時に又はその後に行われてもよい。代替的な実施形態では、患者データが通信モジュール270(無線ネットワーク又は有線接続を含み得る)を介して選択モジュール220にダウンロードされてもよい。別の実施形態では、1種以上の患者試料の選択はダウンロードされたデータを介して生じてもよい。
【0058】
いったん処理が開始されると、選択モジュール220は新規試験が行われることを通信モジュール270を介して在庫追跡モジュール230に伝達する。在庫追跡モジュール230は、自動免疫化学分析装置1により使用可能な試薬及び/又は患者試料を、例えば、試薬ローター14内で利用可能な各捕捉試薬及び/又は試料ローター18内に保管されている各患者試料の保存情報にアクセスすることで、追跡し続ける。保存情報は、新しい試薬及び/又は患者試料が自動免疫化学分析装置1に追加されたときに使用者によりプログラムされてもよいし、試験の開始に先立って(例えば、バーコードスキャナーなどの機械可読データスキャナーにより)システム内に読み取られてもよいし、選択モジュール220により新規試験が開始されるときに機械可読データスキャナーを介して在庫追跡モジュール230により生成されてもよい。保存情報は、例えば、捕捉試薬の名前、試薬ローター14に現在ある捕捉試薬の量、各捕捉試薬の交差反応性干渉情報、及び/又は、患者同定又は血液試料情報を含んでもよい。また、保存情報は、各捕捉試薬のクラス(例えば、アレルギー免疫原)及びサブクラス(例えば、草、カビ、環境因子など)を含んでもよい。
【0059】
また、在庫追跡モジュール230は、1種以上の試薬が、試薬ローター14内では利用不可能であるものの、自動免疫化学分析装置1により利用可能である場合に、在庫補充モジュール280と通信してもよい。ある実施形態では、予備の捕捉試薬が、試薬ローター14の外部に保管されており、必要なときに試薬ローター14にアクセス又は追加されてもよい。
【0060】
在庫追跡モジュール230は、いったん利用可能な在庫を調べると、通信モジュール270を介して利用可能な在庫を選択モジュール220に伝達する。その後、選択モジュール220は、利用可能な在庫を整理し、GUI30を介してこの利用可能な在庫を使用者に提示する。ある実施形態では、選択モジュール220は、試薬ローター14内の利用可能な捕捉試薬に基づく一連の選択肢を使用者に提示する。この一連の選択肢は、個別の選択のために利用可能な試薬のリストであってもよい。代わりに、この一連の選択肢は、利用可能な個別の試薬に基づき、使用者に利用可能である、予めプログラムされた組み合わせであってもよい。ある実施形態では、この予めプログラムされた組み合わせは、患者が呈する特定の症状に基づいている。例えば、使用者が、予めカスタマイズされた固相を持っており、これらの固相をセーブしていた場合、前述の利用可能な在庫に基づき自動免疫化学分析装置1がオンザフライで作ることができる予めプログラムされたカスタマイズ固相のライブラリーから予めカスタマイズされた固相をリコールするという選択肢を使用者に提示してもよい。
【0061】
その後、選択モジュール220は、使用者が、GUI30を介して、組み合わせるために個別の捕捉試薬を選択したり、捕捉試薬の組み合わせを選択したり、及び/又は、試験する患者試料を選択したりすることを可能とする。また、次回の試験でリコールできる選択した捕捉試薬の組み合わせを保存するという選択肢を使用者に提示してもよい。
【0062】
捕捉試薬の組み合わせの選択がいったんなされると、選択モジュール220は選択された組み合わせを通信モジュール270を介して混合モジュール240に伝達する。その後、混合モジュール140は、R1ピペッター4を介して試薬ローター14にアクセスすると、選択された捕捉試薬のそれぞれを反応ローター6内のあるキュベット内に追加させる。
【0063】
ある実施形態では、選択された組み合わせを在庫追跡モジュール230に伝達するために、捕捉試薬が混合される前に、混合モジュール240は通信モジュール270を介して在庫追跡モジュール230と通信する。その後、在庫追跡モジュール230は、選択された捕捉試薬のそれぞれが使用可能であることを確認し、試薬ローター14内の選択された捕捉試薬のそれぞれの正確な位置を混合モジュール240に送信する。捕捉試薬が在庫補充モジュール280による補充を必要とする場合、在庫追跡モジュール230は、必要な捕捉試薬が試薬ローター14に追加されるように在庫補充モジュール280と通信し、その後、新しく追加した捕捉試薬の位置を混合モジュール240に伝達する。混合モジュール240は、いったん選択された組み合わせの個別の捕捉試薬のそれぞれの位置を把握すると、R1ピペッター4に各捕捉試薬を別々に吸引させ、各捕捉試薬を反応ローター6内のあるキュベットに注入させることができる。代替的な実施形態では、試薬ローター14内の選択された組み合わせの捕捉試薬のそれぞれの位置は、混合モジュール240が在庫追跡モジュール230と通信することを必要とせずに、選択モジュール220により混合モジュール240に伝達されてもよい。
【0064】
選択された捕捉試薬がいったん混合・インキュベートされ、患者血液試料中の着目検体が捕捉試薬に結合され、この補足試薬が今度は常磁性粒子の表面に結合されると、分析モジュール250は、光学箱10内の蛍光及び発光のためにコンジュゲート及び基材の添加を通じて患者試料を試験に掛け、その後、この結果を分析し、試験が陽性又は陰性の結果のいずれとなったかを判断する。上述したように、捕捉試薬の混合物について光学箱10により判断された陽性の結果は、混合物中の捕捉試薬の少なくとも1種についての陽性の結果を意味し、一方、捕捉試薬の混合物について光学箱10により判断された陰性の結果は、混合物中の捕捉試薬のいずれについても患者試料が試験で陽性とでなかったことを確定的に意味する。このため、分析モジュール250は、混合物中の捕捉試薬のそれぞれについて試験の結果を確定的に判断できるか否かを判断するために、試験の結果を分析する。
【0065】
混合物について試験結果が陰性である場合、分析モジュール250は、混合物中の捕捉試薬のそれぞれについても患者試料が試験で陰性とでたと判断し、報告モジュール260が結果を処理しGUI30又は他の報告機構を介して使用者にこの結果を報告できるように、通信モジュール270を介して報告モジュール260と通信する。混合物について試験結果が陽性である場合、分析モジュール250は、この陽性の結果が混合物内の特定の捕捉試薬に起因し得るか、又は、混合物内の特定の捕捉試薬が陽性の結果の原因として排除できるかを判断する。分析モジュール250が組み合わせに含まれる各捕捉試薬が陽性の結果の原因となったかなり得なかったかを確定的に判断できた場合、分析モジュール250は、報告モジュール260が結果を処理しGUI30又は他の報告機構を介して使用者にこの結果を報告できるように、通信モジュール270を介して報告モジュール260と通信する。
【0066】
分析モジュール250が、組み合わせに含まれる各捕捉試薬が陽性の結果の原因となったかなり得なかったかを確定的には判断できなかった場合、分析モジュール250は、組み合わせに含まれる捕捉試薬の数、又は、陽性の結果を得られた捕捉試薬の数に基づいて、捕捉試薬の混合物をサブグループに分けるか、個別の捕捉試薬のそれぞれについて別々に試験を行うかすることができる。ある実施形態では、さらなる試験のための在庫が十分あることを確実なものとするために、混合物をサブグループ又は個別の捕捉試薬に分ける間、分析モジュール250は在庫追跡モジュール230と通信する。別の実施形態では、分析モジュール250は、捕捉試薬の混合物を残りの在庫に基づいて分ける。例えば、ある捕捉試薬があと1回の試験を行う分しか残っていない場合、分析モジュール250は、非確定的な試験をもう1回行う危険を犯すよりも、むしろ、その捕捉試薬についての個別の試験を行うことを選択してもよい。
【0067】
分析モジュール250は、次の試験をどのように行うかをいったん決定すると、混合モジュール240が新しい混合物又は新しい個別の試料を調整できるように、通信モジュール270を介して混合モジュール240に次の試験を伝達する。混合モジュール240は、通信モジュール270を介して在庫追跡モジュール230と再び通信を行い、次の試験を在庫追跡モジュール230に伝達し、必要な捕捉試薬のそれぞれが使用可能であることを確認し、R1ピペッター4で吸引するために選択された捕捉試薬のそれぞれの正確な位置を受け取る。選択された捕捉試薬がいったん混合・インキュベートされ、患者血液試料中の着目検体が捕捉試薬に結合され、この補足試薬が今度は常磁性粒子の表面に結合されると、分析モジュール250は、再び、光学箱10内の蛍光及び発光のためにコンジュゲート及び基材の添加を通じて患者試料を試験に掛け、その後、この結果を分析し、試験が陽性又は陰性の結果のいずれとなったかを判断する。その後、分析モジュール250は、追加の試験を行うべきか、それとも、報告モジュール260が、最終結果を処理し、GUI30又は他の報告機構を介してこの結果を使用者に報告してもよいかを判断する。
【0068】
本明細書は、捕捉試薬の組み合わせで患者試料を試験するための方法及びシステムを開示する。代替的な実施形態では、この組み合わせは、2から12種の捕捉試薬を含む。別の実施形態では、この組み合わせは、3種以上、4種以上、5種以上、又は6種以上の捕捉試薬を含む。さらに別の実施形態では、この組み合わせは、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、又は10種の捕捉試薬を含む。
【0069】
ある実施形態では、本明細書に記載のシステムは、自動反応(auto-reflexing)機能を備えていてもよい。自動反応機能は、試験の応答が陽性と帰ってきた場合に試料中の個別の検体の分析が望ましいかもしれないことを本システムが使用者に警告できるような、メモリ上に保存されたプログラムに、プロセッサを用いてアクセスする。別の実施形態では、陽性の結果を受け取った際に、本システムは、試料中の個別の検体を自動的に分析してもよい。自動化は使用者の介入が不要でもよい。別の実施形態では、個別の検体についてのさらなる試験を行うに先立ち、使用者の介入が必要かもしれない。
【0070】
別の実施形態では、本明細書に記載の陽性又は陰性の結果は、質的でも量的でもよい。ある実施形態では、結果は、所定の基準に基づく、単純な、陽性(例えば、真)又は陰性(例えば、偽)であってもよい。別の実施形態では、結果は、特定の値であってもよく、その後、この特定の値は、調整され、所定の基準に基づき陽性又は陰性であるかを判断される。
【0071】
さらに、本明細書に記載の論理ステップは、使用者、又は、メモリに保存された指令を実行している1つ以上のプロセッサにより完遂されてもよい。
【0072】
本明細書に記載の上述の好ましい例示的実施形態への種々の変形及び修正が当業者にとって明白であることも理解されたい。こうした変形及び変形は、主題の精神と範囲を逸脱することなく、且つ、意図した利点を損なわずになすことができる。このため、こうした変形及び修正も特許請求の範囲に記載の請求項により包含される。
【0073】
特記のない限り、本明細書及び請求項に記載の、成分、性質(分子量、反応条件など)を表す全ての数字は、全ての場合について『約』という用語により修飾されているものと理解すべきである。従って、矛盾のない限り、本明細書及び請求項に記載の数値パラメーターは、本開示により得ようとする所望の性質に依存して変わり得る近似値である。本出願の均等範囲を特許請求の範囲の記載に限定することを意図するわけではないが、最低限、各数値パラメーターは、少なくとも、示された有効数字の数値を鑑み、通常の丸め方法を適用してもとめられるべきである。本開示の広範な範囲を規定する数値範囲及びパラメーターは近似値であるものの、具体的実施例に記載の数値は可能な限り正確に記載されている。もっとも、いかなる数値も対応する試験測定につきものの標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を本質的に含んでいる。
【0074】
本開示の文脈(特に、請求項の文脈)において、単数の表記は、本明細書で特記がなく且つ明白に文脈に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書に記載の数値範囲の記載は、その範囲内に収まる一つ一つの数値を個別に参照する簡単な方法としての役割を意図したにすぎない。本明細書で特記のない限り、個別の各数値も、本明細書で個別に記載したかのように、本明細書に取り込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書で特記がなく且つ明白に文脈に矛盾しない限り、任意の適切な順番で行うことができる。本明細書で提供した、任意の及び全ての実施例又は例示的記載(例えば、『など』)は、本発明をより明瞭にすることを意図するにすぎず、請求項に記載した本開示の範囲への制限をもたらすものではない。本明細書の記載は、本開示の実施に必須な請求項に記載のない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0075】
本開示は選択肢及び『及び/又は』のみに言及する定義を支持するものの、請求項において『又は』、『若しくは』という用語は、選択肢のみを指すことが明白だったり、選択肢が相互に排他的であったりしない限り、『及び/又は』を意味する。
【0076】
本明細書に記載の本開示の択一的な要素又は実施形態のグループ分けは制限と解釈されるべきではない。各グループの構成要素は、個別に、又は、同グループの他の構成要素や本命最初に記載の他の要素と任意に組み合わせて、参照して請求項に記載してもよい。あるグループの1つ以上の構成要素を、便宜性及び/又は特許性のために、あるグループに追加したり、あるグループから削除したりすることも予期される。こうした追加や削除が生じた場合、本明細書は、修正後のグループを含むものとみなされるので、特許請求の範囲に記載の請求項で用いられる全てのマーカッシュグループの記載要件を充足する。
【0077】
本開示の好ましい実施形態を本明細書に記載したが、これは本開示を実施するにあたり最良であると発明者が考えるものを含んでいる。もちろん、上述の記載を読み込んだ当業者にとってこうした実施形態の修正例は明らかであろう。当業者であればこうした修正例を適切に採用すると本発明者は期待し、本明細書に具体的に記載したのとは異なるやり方で本開示は実施されると本発明者は意図している。従って、本開示は、適用可能な法律により許容されるように、特許請求の範囲に記載の請求項に記載されている主題の全ての変形例及び均等物を包含する。さらに、その全ての可能な修正例内の上述の要素の任意の組み合わせも、本明細書で特記がなく且つ明白に文脈に矛盾しない限り、本開示に包含される。
【0078】
本明細書に記載の特定の実施形態は、請求項において、『からなる』又は『から実質的になる』という表現を用いて制限されることもある。請求項で用いられる場合、出願当初から記載されているか補正により加入されたかによらず、『からなる』という移行句は、請求項で特定されていない、いかなる要素、工程、又は成分をも排除する。『から実質的になる』という移行句は、請求項の範囲を、特定された材料又は工程、及び、基本的且つ新規の特徴に実質的な影響を及ぼさない材料又は工程に限定する。このように請求項に記載された本開示の実施形態は、本明細書中に内在的に又は明示的に記載されており、実施可能なものである。
【0079】
さらに、本明細書に記載の本開示の実施形態は本開示の原理の例示であることも理解されたい。採用できる他の変形例も本開示の範囲内である。そこで、制限ではなく、例示として、本明細書の技術に基づき、本開示の代替的な構成を採用することもできる。従って、本開示は図示し記載したものに厳密に制限されるわけではない。
【0080】
[付記]
[付記1]
複数のアレルゲンについて患者試料を光学的に分析するシステムであって、
複数の捕捉試薬と、複数の常磁性粒子とを保管するよう構成されている自動免疫化学分析装置と、
前記複数の捕捉試薬から2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択できるように構成されているユーザーインターフェースと、
(i)前記自動免疫化学分析装置に前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの各捕捉試薬をまとめて混合させるように、(ii)前記自動免疫化学分析装置に前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの混合物を前記常磁性粒子に結合させるように、(iii)前記自動免疫化学分析装置に前記患者試料由来の検体分子を前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの結合済みの前記混合物に結合させるように、且つ(iv)前記自動免疫化学分析装置に前記患者試料由来の結合済みの前記検体分子を光学的に分析させるように構成されているロジックインプリメンタと、
を備える、システム。
【0081】
[付記2]
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせは、3種以上の捕捉試薬の組み合わせである、付記1に記載のシステム。
【0082】
[付記3]
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせは、4種以上の捕捉試薬の組み合わせである、付記1に記載のシステム。
【0083】
[付記4]
前記ロジックインプリメンタは、前記ユーザーインターフェースで選択が可能な捕捉試薬の数を制限するように構成されている、付記1に記載のシステム。
【0084】
[付記5]
前記ロジックインプリメンタは、前記自動免疫化学分析装置内の前記捕捉試薬の利用可能性に基づいて、前記ユーザーインターフェースで選択が可能な前記捕捉試薬の数を制限するように構成されている、付記4に記載のシステム。
【0085】
[付記6]
前記ロジックインプリメンタは、前記ユーザーインターフェースで選択が可能な捕捉試薬の数を前記選択がなされているときに調整するように構成されている、付記1に記載のシステム。
【0086】
[付記7]
前記ロジックインプリメンタは、前記ユーザーインターフェースを用いて選択するための、2種以上の捕捉試薬の予めプログラムされた複数の組み合わせを記憶するように構成されている、付記1に記載のシステム。
【0087】
[付記8]
前記予めプログラムされた複数の組み合わせは、前記患者が呈する症状の種類に基づいてソートされている、付記7に記載のシステム。
【0088】
[付記9]
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの選択は、当該組み合わせに含まれる捕捉試薬のそれぞれを個別に選択することにより行われる、付記1に記載のシステム。
【0089】
[付記10]
前記ロジックインプリメンタは、前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせを用いた試験が陽性の結果を返した場合に、前記自動免疫化学分析装置に、当該2種以上の捕捉試薬の少なくとも1種を用いた追加の分析を実行させるように構成されている、付記1に記載のシステム。
【0090】
[付記11]
複数のアレルゲンについて患者試料を光学的に分析する方法であって、
選択可能な複数の捕捉試薬から2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択する工程と、
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの各捕捉試薬を常磁性粒子を含む容器に加える工程と、
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせを前記常磁性粒子に結合させる工程と、
前記患者試料由来の検体分子を前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせに結合させる工程と、
前記患者試料由来の結合済みの前記検体分子を光学的に分析する工程と、
を備える、方法。
【0091】
[付記12]
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせは、3種以上の捕捉試薬の組み合わせである、付記11に記載の方法。
【0092】
[付記13]
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせは、4種以上の捕捉試薬の組み合わせである、付記11に記載の方法。
【0093】
[付記14]
選択に利用可能な捕捉試薬の数を狭める工程を含む、付記11に記載の方法。
【0094】
[付記15]
選択可能な複数の捕捉試薬から選択する工程は、2種以上の捕捉試薬の予めプログラムされた複数の組み合わせから選択する工程を含む、付記11に記載の方法。
【0095】
[付記16]
選択可能な複数の捕捉試薬から選択する工程は、選択可能な複数の捕捉試薬から捕捉試薬をそれぞれ個別に選択する工程を含む、付記11に記載の方法。
【0096】
[付記17]
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせを用いた試験が陽性の結果を返した場合に、当該組み合わせに由来する2種以上の捕捉試薬の少なくとも1種を用いて追加の光学的分析を行う工程を含む、付記11に記載の方法。
【0097】
[付記18]
複数のアレルゲンについて患者試料を光学的に分析するシステムであって、
複数の捕捉試薬と、
複数の常磁性粒子と、
前記複数の捕捉試薬から2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択することを可能とする選択モジュールと、
(i)前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの各捕捉試薬をまとめて混合し、(ii)前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの混合物を前記常磁性粒子に結合させ、且つ(iii)前記患者試料由来の検体分子を前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの結合済みの前記混合物に結合させる混合モジュールと、
1つ以上の陽性又は陰性の結果について前記患者試料由来の結合済みの前記検体分子を光学的に分析する分析モジュールと、
前記分析モジュールにより判断された前記1つ以上の陽性又は陰性の結果を報告する報告モジュールと、
を備える、システム。
【0098】
[付記19]
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせは、3種以上の捕捉試薬の組み合わせである、付記18に記載のシステム。
【0099】
[付記20]
前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせは、4種以上の捕捉試薬の組み合わせである、付記18に記載のシステム。
【0100】
[付記21]
前記複数の捕捉試薬の位置を記憶する在庫追跡モジュールを含む、付記18に記載のシステム。
【0101】
[付記22]
前記在庫追跡モジュールは、前記複数の捕捉試薬の前記位置を、(i)前記選択モジュール、(ii)前記混合モジュール、及び(iii)分析モジュールの少なくとも1つに伝達する、付記21に記載のシステム。
【0102】
[付記23]
前記複数の捕捉試薬を補充する在庫補充モジュールを含む、付記18に記載のシステム。
【0103】
[付記24]
前記分析モジュールは、前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせを用いた試験が陽性の結果を返した場合に、2種以上の捕捉試薬の第2の組み合わせを混合するように、前記混合モジュールに指令する、付記18に記載のシステム。
【0104】
[付記25]
前記選択モジュールは、前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせの捕捉試薬のそれぞれを個別に選択することを可能とする、付記18に記載のシステム。
【0105】
[付記26]
前記選択モジュールは、2種以上の捕捉試薬の予めプログラムされた複数の組み合わせから前記2種以上の捕捉試薬の組み合わせを選択することを可能とする、付記18に記載のシステム。
【0106】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年9月4日に出願された米国仮出願第62/214740号、及び、2015年7月15日に出願された米国仮出願第62/192989号の優先権の利益を主張する。当該出願の内容を参照により本明細書で援用する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7