(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111405
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】シェルター浮上装置
(51)【国際特許分類】
B63C 9/06 20060101AFI20220725BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20220725BHJP
B60P 3/022 20060101ALI20220725BHJP
B60P 3/335 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B63C9/06
E04H9/14 Z
B60P3/022
B60P3/335
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006799
(22)【出願日】2021-01-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA07
2E139AB23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水陸両用のシェルターが安定して水面に浮上できるシェルター浮上装置を提供する。
【解決手段】シェルター浮上装置は、シェルターの下面2に設けられており、突出フローター50、スコットラッセル機構ユニット60、ジャッキ80を有している。突出フローター50は、一対の支持装置70に支持された状態で、スコットラッセル機構ユニット60を介してジャッキ80(動作手段)に接続されている。ジャッキ80は、シェルターの下面2に固定されている。これにより、ジャッキ80を動作することで、突出フローター50は、直角方向Rの方向に沿って側面6aの外側に突出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車の牽引で道路を走行できる水陸両用のシェルターを、水面に浮上させるシェルター浮上装置であって、
前記シェルターに浮力を付与する突出フローターと、
前記突出フローターを平面視で第1方向に沿って前記シェルターの側面の外側に突出させる突出装置と、を備えることを特徴とするシェルター浮上装置。
【請求項2】
前記突出フローターを支持するための支持装置を備えることを特徴とする請求項1に記載のシェルター浮上装置。
【請求項3】
前記突出装置は、一対のスコットラッセル機構ユニットと、前記スコットラッセル機構ユニットを動作させる動作手段と、を有し、
前記スコットラッセル機構ユニットは、
一端が前記突出フローターに回動可能に固定されるとともに、他端が前記動作手段の動作によって第1方向に直交する第2方向に沿って移動する第1リンクと、
一端が前記第1リンクの中心部に回動可能に固定されるとともに、他端が前記シェルターの下面に回動可能に固定される第2リンクと、を含み、
前記動作手段を動作して、前記第1リンクの他端を、前記第2リンクの他端を通過して前記第2方向に延びる仮想線上に沿って移動させるとき、前記第1リンクの一端は前記第1方向に沿って移動することを特徴とする請求項1または2に記載のシェルター浮上装置。
【請求項4】
前記突出フローターは、前記突出フローターの突出が終了したとき膨張する膨張バルーンを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシェルター浮上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
牽引車の牽引で道路を走行できるとともに水面上に浮上できる水陸両用のシェルターを、水面に安定して浮上させるためのシェルター浮上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巨大津波から生命を守るためには、迅速に高台に避難することが防災上有効な手段の一つである。しかしながら、東海、東南海、南海の三連動地震が発生した場合、地震発生後わずか5分で30mの津波が襲来する地域も存在することが予測されており、このような短時間で高台に避難することは、極めて困難である。解決策として、水面上に浮上できる浮上式のシェルターが提案されている。
【0003】
特許文献1の発明によれば、津波到来時においてはシェルター本体を浮遊させることができるとともに、津波が去った後にはシェルター本体を元の場所の近くに戻すことが可能である津波避難用シェルターが開示されている。具体的には、避難者を収容可能であって水に浮くことが可能なシェルター本体を備え、シェルター本体は地面上に固定された漂流防止用の連結部材に連結されており、水位の上昇に伴って地面からの突出長さが増加し、水位の低下に伴って地面からの突出長さが減少することを特徴とする浮上式のシェルターである。
【0004】
特許文献2の発明によれば、多くの家庭で購入することができて、庭の片隅に置き、水害時に、軽量で強度にすぐれたカプセル内に避難することにより、津波等の水害から避難を可能とする安価な避難救命カプセルが開示されている。具体的には、概ね枡形で下部が括れた形状のカプセル本体を樹脂で一体成形しカプセル本体の上部に防水シートカバーを被せるための骨組みを構築し、防水シートカバーには出入口扉を設け、カプセル本体には少なくとも4人の大人が膝を抱えて座ることができる空間を設けるとともに、シートベルトを取付け、カプセル本体の下部には重心を下げるための錘とキャスター付き台座を取り付けた浮上式のシェルターである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-74385号公報
【特許文献2】特開2014-58296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2で開示されている浮上式のシェルターは、道路上の走行を前提としているものではない。そのため、所定の設置場所へ設置するためには、シェルターをトラック等の輸送車両に積み込み設置場所に輸送し、積卸したうえで、基礎の上に設置する必要がある。また、避難空間は狭く、あくまで災害時のみの使用が考慮されたもので、通常時の使用を前提としているものではない。
【0007】
水陸両用のシェルターが道路上を走行する場合、車線幅の制約によって、幅方向の長さは制約されるので、幅方向の長さは、直進方向の長さに比べて短く設定せざるを得ない。そのため、水面に浮上するとき、波の影響で水陸両用のシェルターが直進方向の軸周りにローリングして安定性を欠く事態が想定される。
【0008】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、水陸両用のシェルターが安定して水面に浮上できるシェルター浮上装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、牽引車の牽引で道路を走行できる水陸両用のシェルターを、水面に浮上させるシェルター浮上装置であって、シェルターに浮力を付与する突出フローターと、突出フローターを平面視で第1方向に沿ってシェルターの側面の外側に突出させる突出装置を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、突出フローターは、平面視で第1方向に沿ってシェルターの側面の外側に突出するので、シェルターが水面に浮上したとき、波の影響で生じるローリングを抑制できる。また、シェルターは牽引車の牽引で道路を走行できるので、状況に応じて様々な場所に容易に据え付けできるとともに、平時においては、キャンピングカーとしても利用可能である。また、居住地の近傍、例えば家庭内の庭に据え付けることで、災害時に短時間で避難出来る。また、水上に浮上できるので津波が発生した場合でも避難可能である。
【0011】
好ましくは、突出フローターを支持するための支持装置を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、突出フローターは、支持装置で支持された状態で突出するので、突出フローターが平面視で第1方向に沿ってシェルターの側面の外側に突出したとき、水面に発生する波の影響で大きく変位することを回避できる。
【0013】
好ましくは、突出装置は、一対のスコットラッセル機構ユニットと、スコットラッセル機構ユニットを動作させる動作手段を有し、スコットラッセル機構ユニットは、一端が突出フローターに回動可能に固定されるとともに、他端が動作手段の動作によって第1方向に直交する第2方向に沿って移動する第1リンクと、一端が第1リンクの中心部に回動可能に固定されるとともに、他端がシェルターの下面に回動可能に固定される第2リンクを含み、動作手段を動作して、第1リンクの他端を、第2リンクの他端を通過して第2方向に延びる仮想線上に沿って移動させるとき、第1リンクの一端は第1方向に沿って移動することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、動作手段はスコットラッセル機構ユニットを介して突出装置を突出させるので、動作手段が、波の影響を直接受けることはない。これにより、突出装置の円滑な突出が可能となる。
【0015】
好ましくは、突出フローターは、突出フローターの突出が終了したとき膨張する膨張バルーンを有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、突出フローターは、前記突出フローターの突出が終了したとき膨張する膨張バルーンを有することを特徴とするので、シェルターにより大きな浮力を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は、牽引車の牽引で道路を走行する状態を説明する側面図である。(b)は、陸上に据え付けた状態を説明する側面図である。
【
図2】(a)は、水面上に浮上した状態を説明する側面図である。(b)は、同正面図である。
【
図3】突出フローターの突出メカニズムを説明する底面図である。
【
図6】第1リンクの他端の接続状態を説明する背面図である。
【
図7】第1リンクと第2リンクの接続を説明する断面図である。
【
図8】第1リンクと突出フローターの接続を説明する背面図である。
【
図9】第2リンクが下面に固定される状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
【0019】
シェルター1は、水陸両用であり、台車10に固定されている。シェルター1が道路上を走行するときは、
図1(a)に示す通り、台車10に設けられた支点14を、牽引車120に回動可能に接続する。これにより、シェルター1は牽引車120に牽引されて道路上を走行できる。道路は一定の構造基準により作られているため、道路の構造を守り、交通の危険を防ぐ観点から、道路を通行する車両の大きさ等については、「一般的制限値」が設定されている。例えば、日本での「一般的制限値」は、幅2.5m、長さ12.0m、高さ3.8mである。シェルター1を陸上輸送するときは、特別な許可を得ることなく道路上を走行できること、すなわち「一般的制限」を遵守して走行することが好ましい。したがって、本実施形態におけるシェルター1の外形寸法は「一般的制限値」に収まることが好ましい。
【0020】
シェルター1は、下面2、上面3、前面4、後面5、および側面6a、6bを有する略直方体の筐体であり、内部空間110は災害時に避難する避難空間となる。内部空間110は、シェルター1が牽引車120で牽引されるときは移動空間として、地面に載置されるときは、居住空間、事務所等として使用できる。前面4に扉31、側面6a、6bに窓32が設けられている。
【0021】
台車10は、シェルター1を固定する固定部11、扉31を往来するためのデッキ部12、および車輪13を有している。 固定部11に固定されているシェルター1は、台車10と分離できる構造となっている。これにより、シェルター1と台車10のいずれか、または双方が破損したときの修理が容易となる。また、シェルター1と台車10を分離したとき、シェルター1は、避難施設として単独で利用できる。
【0022】
扉31は、外部空間130の方向に回動可能な開き戸であり、デッキ部12に隣接して設けられている。これにより、扉31を経由してデッキ部12、および内部空間110への往来が容易となる。また、扉31の外周部には、水密性を確保するためのパッキンが環状に設けられている。
【0023】
窓32は、シャッターが設けられた防弾ガラス製である。これにより、津波の漂流物が衝突した場合でも破損を免れ得る。
【0024】
シェルター1を陸上に据付けるときは、
図1(b)に示す通り、台車10に固定された状態で、別途、基礎20、および階段21を設ける。基礎20と車輪13で支持することでシェルター1は、安定して地面上に載置できる。また、階段21をデッキ部12に接続することで、扉31への円滑な往来が確保できる。本実施形態では、シェルター1は、台車10に固定された状態で地面に載置されているが、台車10と分離してシェルター1のみを単独で地面に載置してもよい。
【0025】
図2(a)に示す通り、シェルター浮上装置100(以後、浮上装置100という)は、シェルター1の下面2に設けられている。浮上装置100は、水中160に位置して、水中160の浮力を受けてシェルター1を水面150に浮上させる。シェルター1が水面150に浮上するときは、台車10から分離するとともに、
図2(b)に示す通り、突出フローター50を直角方向R(第1方向)に沿って突出させて、発泡ウレタンを充填して膨張バルーン51を膨張させる。ここで、直進方向S(第2方向)とは、側面6a、6bに沿う方向である。したがって、直角方向R(第1方向)は、側面6a、6bに直交する方向となる。
【0026】
発泡ウレタンは水に比べて比重が小さいため、膨張バルーン51が水中160に位置する状態では、浮力による上昇力が発生する。また、所定のクッション性能を具備しているので、衝撃、例えば津波による漂流物の衝突力を緩和できる。
【0027】
本実施形態では、発泡ウレタンを充填して膨張バルーン51を膨張させているが、不活性ガスを充填して膨張させてもよい。この場合、発泡ウレタンの充填に比べ、充填時間を短縮できる。また、発泡ウレタンを充填した場合は膨張バルーン51の再利用はできないが、不活性ガスを充填した場合は、不活性ガスを抜くことで再利用が可能となる。
【0028】
上述した「一般的制限値」により、シェルター1は長さに比べて幅の制限を大きく受ける。そのため、水面150に浮上したとき、直進方向Sに沿う方向の軸廻りにローリングして転覆しやすくなる。本実施形態では、突出フローター50を突出させ、膨張バルーン51を膨張させることで、浮上装置100の直角方向Rの方向の離隔距離を長くできるので、シェルター1のローリングを抑制できて、転覆を回避できる。
【0029】
扉31は水面150の上方に位置することが好ましい。これにより、扉31からの浸水を回避できるとともに、水圧の影響を受けることなく容易に開閉できる。また、膨張バルーン51は全体が水中160に位置することが好ましい。これにより大きな浮力を得ることができる。
【0030】
図3に示す通り、突出フローター50は、一対の支持装置70、70に支持された状態で、スコットラッセル機構ユニット60、60(以後、ユニット60という。)を介してジャッキ80(動作手段)に接続されている。ジャッキ80は、シェルター1の下面2に固定されている。これにより、ジャッキ80を動作することで、突出フローター50は、直角方向Rの方向に沿って側面6a、6bの外側に突出する。なお、
図3では一対のユニット60、60のうち一方を省略している。
【0031】
ユニット60は、第1リンク61、および第2リンク62を有している。第1リンク61の一端61aは、回動部65を介して、突出フローター50の端部に固定されている。第1リンク61の他端61bは、回動部85を介してジャッキ80に回動可能に固定されている。
【0032】
回動部85は、ガイド81に画定されたガイド溝81aにスライド可能に嵌合している。ガイド溝81aは、直進方向Sの方向に沿って延びている。これにより、回動部85は、直進方向Sの方向に沿って移動できる。
【0033】
第2リンク62の一端62aは、回動部95を介して第1リンク61に回動可能に固定されている。第2リンク62の他端62bは、回動部75を介して、シェルター1の下面2に回動可能に固定されている。
【0034】
回動中心軸65c(回動部65の回動中心軸)から回動中心軸95c(回動部95の回動中心軸)までの距離L1、回動中心軸95cから回動中心軸85c(回動部85の回動中心軸)までの距離L2、および回動中心軸95cから回動中心軸75c(回動部75の回動中心軸)までの距離L3は同じである。また、回動中心軸85cと回動中心軸75cを通過する仮想線K1は、直進方向Sの方向に延びている。また、回動中心軸65cと回動中心軸75cを通過する仮想線K2は、直角方向Rの方向に延びている。
【0035】
図4に示す通り、突出フローター50は、膨張バルーン51と、膨張バルーン51を収容する収容筐体52を有している。(
図4においては、ユニット60は省略されている。)収容筐体52は、膨張バルーン51を収容するための収容凹部52aが画定されている。膨張バルーン51は、蛇腹状に折り畳まれた状態で収容凹部52aに収容されている。収容凹部52aは、膨張バルーン51が突出する方向に向かって開口する凹部である。膨張バルーン51が、収容凹部52aに収容されるとき、収容凹部52aは、膨張バルーン51の先端に設けられた保護板53によって塞がれている。
【0036】
収容筐体52は、膨張バルーン51に発泡ウレタンを供給するための供給管55が設けられている。供給管55の一端は、膨張バルーン51の内部に貫入している。また、収容筐体52に設けられた孔55a、および固定バー73の内部を経由して、他端は、発泡ウレタンが充填されたボンベ(図示略)に接続されている。ボンベに充填された発泡ウレタンが、供給管55を経由して膨張バルーン51に充填されることで、膨張バルーン51は、平面視でシェルター1の側面6aの外側の方向に、直角方向Rの方向に沿って突出する。
【0037】
図3、5に示す通り、支持装置70は、シェルター1の下面2に固定される固定部材71、72と、固定部材71、72に設けられた孔71a、72aを貫通する固定バー73を有している。固定バー73は円筒形であり、一端は突出フローター50に固定されている。また、固定バー73の他端は、ストッパー74が固定されている。孔71a、72aは固定バー73が自由にスライドできる程度の大きさに設定されている。ストッパー74は、突出フローター50の直角方向Rの方向の突出を制限するためのものである。具体的には、固定バー73が直角方向Rの方向に移動して、ストッパー74が固定部材72に接触することで、突出フローター50の直角方向Rの突出が制限される。固定バー73は、水面150の波力等に起因する突出フローター50の変位を抑制するためのものである。具体的には、突出フローター50が、波力等によって変位しようとするとき、固定部材71、72によって、固定バー73には相反する外力が負荷されて、変位が拘束される。固定バー73の変位が拘束されることで、突出フローター50の変位は抑制される。
【0038】
図6に示す通り、第1リンク61の他端61bは、回動部85を介してジャッキ80と回動可能に接続している。第1リンク61とブラケット82は、ピン85aによって回動中心軸85c廻りに相互に回動する。ブラケット82はジャッキ80に固定されている。また、ピン85aは、ガイド81に画定されたガイド溝81aにスライド可能に嵌合している。ガイド溝81aは、直進方向Sの方向に沿って延びている。ジャッキ80を動作するとブラケット82は直進方向Sの方向に沿って移動する。ブラケット82の移動に伴って、第1リンク61の他端61bは、回動部85での回動を伴って、直進方向Sの方向に沿って移動する。
【0039】
第1リンク61の中間部と第2リンク62の一端62aは、回動中心軸95c廻りに相互に回動できる構造となっている(
図3参照)。
図7に示す通り、第2リンク62は回動部95で二股に分岐して第1リンク61を挟持している。さらに、第1リンク61を挟持している領域に設けられた孔にピン95aが貫通している。これにより、ピン95aの中心軸が回動中心軸95cとなる。
【0040】
図8に示す通り、回動部65は、第1リンク61の一端を挟持する一対の挟持板57、57を有している。挟持板57は、収容筐体52に固定されている。回動部65は、収容筐体52の端部に設けられている。また収容筐体52の先端部に固定バー73が固定されている(
図3参照)。さらに、第1リンク61を挟持している領域に設けられた孔にピン65aが貫通している。これにより、ピン65aの中心軸が回動中心軸65cとなり、第1リンク61の一端61aは、回動中心軸65c廻りの回動を伴いながら直角方向Rの方向へ移動できる。
【0041】
図9に示す通り、回動部75は、第2リンク62の他端62bを回動可能に固定するピン75aを有している。ピン75aは、第2リンク62の他端に設けられた孔を貫通した状態で、シェルター1の下面2に固定されている。これにより、ピン75aの中心軸が回動中心軸75cとなり、第2リンク62の他端62bは、回動中心軸75c廻りに回動する。
【0042】
ジャッキ80を動作したときの、ユニット60、突出フローター50の挙動について
図3を参照して説明する。
【0043】
一対のユニット60、60に回動部85、85を介して接続するジャッキ80、80を動作して、回動部85、85を仮想線K1が延びる方向に沿って互いの距離が広がる方向に同一の速度で移動する。このとき、回動部65、65は、仮想線K2が延びる方向に沿って、側面6aの外側に向かって同一の速度で移動する。これにより、突出フローター50は、直角方向Rの方向に沿って、側面6aの外側に向かって突出する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る浮上装置は、シェルターに取り付けることで、シェルターを水陸両用の用途に使用できる。これにより、シェルターを避難施設、事務所等の用途で、陸上、水上で使用できる等、多目的な使用が可能であることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0045】
1:シェルター
50:突出フローター
51:膨張バルーン
60:ユニット(スコットラッセル機構ユニット)
61:第1リンク
62:第2リンク
61a、62a:一端
61b、62b:他端
70:支持装置
80:ジャッキ(動作手段)
100:浮上装置(シェルター浮上装置)
120:牽引車
R:直角方向(第1方向)
S:直進方向(第2方向)