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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111429
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】ツイーザー装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/03 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
B23K3/03 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006845
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000234339
【氏名又は名称】白光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】根本 尚生
(57)【要約】
【課題】一対の脚部材の先端同士の許容開き幅の調整を楽に行えるようにする。
【解決手段】ツイーザー装置10は、第1脚部材16と、第2脚部材18と、第1脚部材16及び第2脚部材18を互いに回動可能に連結する回動軸19と、回動軸19回りにおいて、第1脚部材16の先端と第2脚部材18の先端とが互いに離れる向きに第1脚部材16及び第2脚部材18を付勢する板バネ30と、第1脚部材16の先端と第2脚部材18の先端との間の開き幅の許容幅を、幅調整用ホイール33bの回動操作により調整する許容幅調整手段33と、を備える。幅調整用ホイール33bは、回動軸19よりも先端寄りの位置で、第1脚部材16の先端と第2脚部材18の開き方向に沿う軸心を中心として回動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1鏝先を取り付け可能に構成された第1取り付け部と、
前記第1取り付け部を保持する第1脚部材と、
第2鏝先を取り付け可能に構成された第2取り付け部と、
前記第2取り付け部を保持する第2脚部材と、
前記第1脚部材と前記第2脚部材を互いに回動可能に連結する回動軸と、
前記回動軸回りにおいて、前記第1脚部材における前記第1鏝先側の第1先端と前記第2脚部材における前記第2鏝先側の第2先端とが互いに離れる向きに前記第1脚部材及び第2脚部材を付勢する付勢部材と、
回動可能な幅調整用ホイールを含み、前記第1先端と前記第2先端との間の開き幅の許容幅を、前記幅調整用ホイールの回動操作により調整する許容幅調整手段と、を備え、
前記幅調整用ホイールは、前記回動軸よりも前記第1先端及び前記第2先端寄りの位置で、前記第1先端と前記第2先端の開き方向に沿う軸心を中心として回動可能である、ツイーザー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のツイーザー装置において、
前記付勢部材は、前記第1脚部材に係止される第1端部と、前記第2脚部材に係止される第2端部とを有し、前記第1脚部材及び前記第2脚部材に沿うように配置される板バネを含む、ツイーザー装置。
【請求項3】
請求項2に記載のツイーザー装置において、
前記回動軸の方向における、前記第1脚部材の前記第1先端と前記第2脚部材の前記第2先端との間の位置関係を調整する調整部材をさらに備え、
前記調整部材は、前記回動軸よりも先端側の位置で回動可能な位置調整用ホイールと、前記位置調整用ホイールの中心から偏心した位置に設けられた偏心軸と、を含み、
前記板バネには、長孔が形成され、
前記位置調整用ホイールの前記偏心軸が前記長孔に挿入され、前記位置調整用ホイールの回動操作によって、前記第1先端と前記第2先端の開き方向に直交する方向における前記第1先端と前記第2先端との間の相対位置関係を変える、ツイーザー装置。
【請求項4】
第1鏝先を取り付け可能に構成された第1取り付け部と、
前記第1取り付け部を保持する第1脚部材と、
第2鏝先を取り付け可能に構成された第2取り付け部と、
前記第2取り付け部を保持する第2脚部材と、
前記第1脚部材が固定される第1付勢部と、前記第2脚部材が固定されるとともに前記第1付勢部に接合された第2付勢部とを有し、前記第1脚部材における前記第1鏝先側の第1先端と前記第2脚部材における前記第2鏝先側の第2先端とが互いに離れる向きに前記第1脚部材及び第2脚部材を付勢する付勢部材と、
回動可能な幅調整用ホイールを含み、前記第1先端と前記第2先端との間の開き幅の許容幅を、前記幅調整用ホイールの回動操作により調整する許容幅調整手段と、を備え、
前記幅調整用ホイールは、前記第1付勢部及び前記第2付勢部の接続部よりも前記第1先端及び前記第2先端寄りの位置で、前記第1先端と前記第2先端の開き方向に沿う軸心を中心として回動可能である、ツイーザー装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のツイーザー装置において、
前記幅調整用ホイールは、前記第1脚部材における前記第2脚部材とは反対側の面に接触しており、
前記許容幅調整手段は、前記第2脚部材における前記第1脚部材とは反対側に位置するとともに前記幅調整用ホイールの回動操作によって前記幅調整用ホイールとの間の距離が変わる押え部を含み、
前記押え部と前記幅調整用ホイールとによって、前記許容幅が規制される、ツイーザー装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のツイーザー装置において、
前記許容幅は、前記第1鏝先と前記第2鏝先とが互いに接触するまで調整可能である、ツイーザー装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載のツイーザー装置において、
前記幅調整用ホイールは、前記第1脚部材から離れないように回動可能に保持されている、ツイーザー装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載のツイーザー装置において
前記第1取り付け部は、前記第1脚部材に対して前記第2脚部材とは反対側に位置し、前記第1取り付け部と前記第1脚部材との間にスペースが形成されており、
前記幅調整用ホイールは、前記スペースに配置されている、ツイーザー装置。
【請求項9】
請求項1、2又は4に記載のツイーザー装置において、
位置調整用ホイールをさらに備え、
前記位置調整用ホイールは、回動操作されることにより、前記第1脚部材及び前記第2脚部材の移動軌跡によって形成される仮想平面に直交する方向における前記第1先端と前記第2先端との間の位置関係を調整する、ツイーザー装置。
【請求項10】
請求項3又は9に記載のツイーザー装置において、
前記幅調整用ホイール及び前記位置調整用ホイールは、互いに並行する軸回りに回動可能である、ツイーザー装置。
【請求項11】
請求項3、9又は10に記載のツイーザー装置において、
前記第1取り付け部及び前記第2取り付け部を覆うハウジングをさらに備え、
前記幅調整用ホイール及び前記位置調整用ホイールは、前記ハウジングから同じ方向に向けて露出している、ツイーザー装置。
【請求項12】
請求項11に記載のツイーザー装置において、
前記ハウジングは、前記第1取り付け部を覆う第1ハウジングと、前記第2取り付け部を覆う第2ハウジングと、を有し、
前記幅調整用ホイールは、一部が露出するように前記第1ハウジング内に配置され、
前記位置調整用ホイールは、一部が露出するように前記第2ハウジング内に配置されている、ツイーザー装置。
【請求項13】
請求項9から12の何れか1項に記載のツイーザー装置において、
前記幅調整用ホイールと前記位置調整用ホイールは、側面視で一部が重なるように配置されている、ツイーザー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツイーザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の半田付け作業及び取り外し作業に用いられるツイーザー装置が知られている。この種のツイーザー装置は、例えば下記特許文献1に開示されるように、ヒンジで回動可能に結合された一対の脚部材を有し、この一対の脚部材にそれぞれ半田鏝が取り付けられる。特許文献1に開示されたツイーザー装置では、図5に示すように、一対の脚部材81,82の先端同士が広がる方向に一対の脚部材81,82を付勢するスプリング83と、一対の脚部材81,82の先端同士の開き幅を制限するためのスクリュー84とが設けられている。スクリュー84を回すことにより、一対の脚部材81,82の先端同士が開く幅の許容値を変更することができるため、一対の脚部材81,82の移動量を制限できて作業効率が悪化することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5145101号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたツイーザー装置では、一対の脚部材81,82の先端同士の許容開き幅を調整するためのスクリュー84の操作の作業が行い難いという問題がある。すなわち、スクリュー84が一対の脚部材81,82において手元側、すなわち、ヒンジ85よりも基端側に配置されているため、一対の脚部材81,82を握った手でスクリュー84を操作することはできず、もう一方の手でスクリュー84を操作しなければならない。
【0005】
本発明の目的は、一対の脚部材の先端同士の許容開き幅の調整を楽に行うことができるツイーザー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係るツイーザー装置は、第1鏝先を取り付け可能に構成された第1取り付け部と、前記第1取り付け部を保持する第1脚部材と、第2鏝先を取り付け可能に構成された第2取り付け部と、前記第2取り付け部を保持する第2脚部材と、前記第1脚部材と前記第2脚部材を互いに回動可能に連結する回動軸と、前記回動軸回りにおいて、前記第1脚部材における前記第1鏝先側の第1先端と前記第2脚部材における前記第2鏝先側の第2先端とが互いに離れる向きに前記第1脚部材及び第2脚部材を付勢する付勢部材と、回動可能な幅調整用ホイールを含み、前記第1先端と前記第2先端との間の開き幅の許容幅を、前記幅調整用ホイールの回動操作により調整する許容幅調整手段と、を備える。前記幅調整用ホイールは、前記回動軸よりも前記第1先端及び前記第2先端寄りの位置で、前記第1先端と前記第2先端の開き方向に沿う軸心を中心として回動可能である。
【0007】
前記ツイーザー装置では、第1脚部材の第1先端と第2脚部材の第2先端と間の許容開き幅を調整するための幅調整用ホイールが、第1脚部材と第2脚部材との回動軸よりも第1先端及び第2先端寄りの位置に配置されている。このため、ツイーザー装置を持った手の親指を幅調整用ホイールにかけることができる。しかも、幅調整用ホイールの軸心は、第1先端と第2先端の開き方向に沿う方向に延びている。したがって、ツイーザー装置を持った状態の手の親指を動かすことができる方向に幅調整用ホイールを回動させ易い。すなわち、ツイーザー装置を握った手で幅調整用ホイールを操作し易い。よって、一対の脚部材の先端同士の許容開き幅の調整を楽に行うことができる。また、幅調整用ホイールが回動軸よりも先端側に位置するので、ツイーザー装置が大型化しない。
【0008】
前記付勢部材は、前記第1脚部材に係止される第1端部と、前記第2脚部材に係止される第2端部とを有し、前記第1脚部材及び前記第2脚部材に沿うように配置される板バネを含んでいてもよい。
【0009】
この態様では、板バネを用いて第1脚部材と第2脚部材を付勢する。板バネが第1脚部材又は第2脚部材に沿うように配置されるため、付勢部材が目立たないようにできる。
【0010】
前記ツイーザー装置は、前記回動軸の方向における、前記第1脚部材の前記第1先端と前記第2脚部材の前記第2先端との間の位置関係を調整する調整部材をさらに備えてもよい。前記調整部材は、前記回動軸よりも先端側の位置で回動可能な位置調整用ホイールと、前記位置調整用ホイールの中心から偏心した位置に設けられた偏心軸と、を含んでもよい。また、前記板バネには、長孔が形成されてもよい。この場合には、前記位置調整用ホイールの前記偏心軸が前記長孔に挿入され、前記位置調整用ホイールの回動操作によって、前記回動軸の方向における前記第1先端と前記第2先端との間の相対位置関係を変えてもよい。
【0011】
この態様では、位置調整用ホイールを回動操作することにより、偏心軸が公転するため、板バネに対する位置調整用ホイール中心の相対的な位置が変わる。それにより、回転軸方向における第1先端と第2先端との間の相対的な位置関係が変わる。したがって、回動軸方向において、第1先端に対して第2先端を少しずれた位置に配置したい場合、回動軸方向において、第1先端と第2先端が微妙にずれている場合にそれらを位置合わせしたい場合等、に対応することができる。しかも、板バネに形成された長孔を位置調整用ホイールの偏心軸が挿通されるという簡単な構成で、第1先端及び第2先端の位置関係調整が可能となっている。
【0012】
本発明の他の一局面に係るツイーザー装置は、第1鏝先を取り付け可能に構成された第1取り付け部と、前記第1取り付け部を保持する第1脚部材と、第2鏝先を取り付け可能に構成された第2取り付け部と、前記第2取り付け部を保持する第2脚部材と、前記第1脚部材が固定される第1付勢部と前記第2脚部材が固定される第2付勢部とを有し、前記第1脚部材における前記第1鏝先側の第1先端と前記第2脚部材における前記第2鏝先側の第2先端とが互いに離れる向きに前記第1脚部材及び第2脚部材を付勢する付勢部材と、回動可能な幅調整用ホイールを含み、前記第1先端と前記第2先端との間の開き幅の許容幅を、前記幅調整用ホイールの回動操作により調整する許容幅調整手段と、を備える。前記幅調整用ホイールは、前記第1付勢部及び前記第2付勢部の接続部よりも前記第1先端及び前記第2先端寄りの位置で、前記第1先端と前記第2先端の開き方向に沿う軸心を中心として回動可能である。
【0013】
前記ツイーザー装置では、第1脚部材の第1先端と第2脚部材の第2先端と間の許容開き幅を調整するための幅調整用ホイールが、第1付勢部と第2付勢部の接続部よりも第1先端及び第2先端寄りの位置に配置されている。このため、ツイーザー装置を持った手の親指を幅調整用ホイールにかけることができる。しかも、幅調整用ホイールの軸心は、第1先端と第2先端の開き方向に沿う方向に延びている。したがって、ツイーザー装置を持った状態の手の親指を動かすことができる方向に幅調整用ホイールを回動させ易い。すなわち、ツイーザー装置を握った手で幅調整用ホイールを操作し易い。よって、一対の脚部材の先端同士の許容開き幅の調整を楽に行うことができる。また、幅調整用ホイールが前記接続部よりも先端側に位置するので、ツイーザー装置が大型化しない。
【0014】
前記ツイーザー装置において、前記幅調整用ホイールは、前記第1脚部材における前記第2脚部材とは反対側の面に接触していてもよい。この場合、前記許容幅調整手段は、前記第2脚部材における前記第1脚部材とは反対側に位置するとともに前記幅調整用ホイールの回動操作によって前記幅調整用ホイールとの間の距離が変わる押え部を含んでもよい。前記押え部と前記幅調整用ホイールとによって、前記許容幅が規制される。
【0015】
この態様では、幅調整用ホイールと押え部が第1脚部材と第2脚部材の外側に位置している。そして、幅調整用ホイールと押え部との間の距離が変わることにより、第1先端及び第2先端の許容開き幅が調整される。
【0016】
前記許容幅は、前記第1鏝先と前記第2鏝先とが互いに接触するまで調整可能であってもよい。この態様では、非常に小さな電子部品をつまむことができる。また、第1鏝先と第2鏝先が互いに接触した状態で使用する場合には、ツイーザー装置をはんだ鏝としても利用可能である。
【0017】
前記幅調整用ホイールは、前記第1脚部材から離れないように回動可能に保持されてもよい。
【0018】
この態様では、幅調整用ホイールは第1脚部材から離れないように保持されているので、両脚部材を閉じる操作が行われたときには、幅調整用ホイールも第1脚部材と一緒に移動する。したがって、幅調整用ホイールが第1脚部材から脱落する事態を回避することができる。
【0019】
前記第1取り付け部は、前記第1脚部材に対して前記第2脚部材とは反対側に位置し、前記第1取り付け部と前記第1脚部材との間にスペースが形成されていてもよい。この場合、前記幅調整用ホイールは、前記スペースに配置されていてもよい。
【0020】
この態様では、第1鏝先を取り付けるための第1取り付け部と、第1取り付け部を保持する第1脚部材との間のスペースに幅調整用ホイールが配置される。すなわち、ツイーザー装置として必要な部材同士の間のスペースに幅調整用ホイールが配置される。このため、ツイーザー装置として大型化することを防止できる。
【0021】
前記ツイーザー装置は、位置調整用ホイールをさらに備えてもよい。この場合、前記位置調整用ホイールは、回動操作されることにより、前記第1脚部材及び前記第2脚部材の移動軌跡によって形成される仮想平面に直交する方向における前記第1先端と前記第2先端との間の位置関係を調整してもよい。
【0022】
この態様では、幅調整用ホイールに加えて位置調整用ホイールが設けられる。許容開き幅の調整、及び回動軸方向における第1先端と第2先端との間の位置関係の調整をそれぞれホイールの回動操作で行う。したがって、2種類の調整操作を行うことができ且つそれぞれ調整操作が楽なツイーザー装置とすることができる。
【0023】
前記幅調整用ホイール及び前記位置調整用ホイールは、互いに並行する軸回りに回動可能であってもよい。
【0024】
この態様では、許容開き幅の調整、及び回動軸方向における第1先端と第2先端との間の位置関係の調整を同じ方向の操作で行うことができる。
【0025】
前記ツイーザー装置は、前記第1取り付け部及び前記第2取り付け部を覆うハウジングをさらに備えてもよい。この場合、前記幅調整用ホイール及び前記位置調整用ホイールは、前記ハウジングから同じ方向に向けて露出していてもよい。
【0026】
この態様では、2つの調整(許容開き幅の調整、及び回動軸方向における第1先端と第2先端との間の位置関係の調整)を、ハウジングに対して同じ方向からアクセスして行うことができる。したがって、ハウジングの向きを変更しなくても2つの調整を行うことができる。
【0027】
前記ハウジングは、前記第1取り付け部を覆う第1ハウジングと、前記第2取り付け部を覆う第2ハウジングと、を有してもよい。この場合、前記幅調整用ホイールは、一部が露出するように前記第1ハウジング内に配置され、前記位置調整用ホイールは、一部が露出するように前記第2ハウジング内に配置されてもよい。
【0028】
この態様では、幅調整用ホイール及び位置調整用ホイールが、第1ハウジング及び第2ハウジングに分かれて配置されている。このため、ツイーザー装置の使用時において幅調整用ホイールと位置調整用ホイールを区別しやすくなる。
【0029】
前記幅調整用ホイールと前記位置調整用ホイールは、側面視で一部が重なるように配置されていてもよい。
【0030】
この態様では、幅調整用ホイール及び位置調整用ホイールを配置するために必要なスペースを抑制できる。したがって、ツイーザー装置として大型化することを防止できる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、一対の脚部材の先端同士の許容開き幅の調整を楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態に係るツイーザー装置が適用された半田付け装置の斜視図である。
図2】前記ツイーザー装置を、ハウジングを外した状態で示す図である。
図3】前記ツイーザー装置の一部を示す図であり第2脚部材側のから見た図である。
図4】前記ツイーザー装置を、ハウジングを外した状態で示す斜視図である。
図5】第2実施形態に係るツイーザー装置を、ハウジングを外した状態で示す図である。
図6】第2実施形態に係るツイーザー装置に設けられる付勢部材の変形例を説明するための図である。
図7】従来のツイーザー装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るツイーザー装置10は、一対の鏝先1,2を取り付けて使用するものであり、ツイーザー装置10に一対の鏝先(第1鏝先及び第2鏝先)1,2が取り付けられることにより、電子部品の装着及び取り外しを行うための半田付け装置5が構成される。
【0035】
ツイーザー装置10は、第1鏝先1が保持される側の第1ハウジング12aと、第2鏝先2が保持される側の第2ハウジング12bと、第1ハウジング12a及び第2ハウジング12bの基端側に位置する基端ハウジング12cと、を有するハウジング12を備えている。
【0036】
図2に示すように、ツイーザー装置10は、第1鏝先1を取り付け可能に構成された第1取り付け部15と、第1取り付け部15を保持する第1脚部材16と、第2鏝先2を取り付け可能に構成された第2取り付け部17と、第2取り付け部17を保持する第2脚部材18と、第1脚部材16及び第2脚部材18を回動可能に連結する回動軸19と、を備えている。図2では、ハウジング12が省略されて描かれているが、第1脚部材16に第1ハウジング12aが取り付けられ、この第1ハウジング12a内に第1取り付け部15の基側部15aが配置されている。また、第2脚部材18に第2ハウジング12bが取り付けられ、この第2ハウジング12b内に第2取り付け部17の後述する基側部17aが配置されている。
【0037】
第1取り付け部15には、電力供給線21が接続されており、この電力供給線21を通して供給される電力により、第1取り付け部15に取り付けられた第1鏝先1を発熱させる。また、電力供給線21は、第2取り付け部17にも接続されており、電力供給線21を通して供給される電力により、第2取り付け部17に取り付けられた第2鏝先2も発熱させる。
【0038】
第1取り付け部15は、第1脚部材16に対して第2脚部材18とは反対側に位置している。一方、第2取り付け部17は、第2脚部材18に対して第1脚部材16とは反対側に位置している。すなわち、第1取り付け部15及び第2取り付け部17は、第1脚部材16及び第2脚部材18の外側に位置している。
【0039】
また、第1取り付け部15と第1脚部材16との間にはスペース20aが形成され、第2取り付け部17と第2脚部材18との間にもスペース20bが形成されている。そして、第1取り付け部15は、第1脚部材16に対して傾斜した方向を向いて第1脚部材16に保持され、第2取り付け部17は、第2脚部材18に対して傾斜した方向を向いて第2脚部材18に保持されている。すなわち、第1取り付け部15は、第1脚部材16の延長線の延びる方向に対して、第1鏝先1が内側を向くように、第1脚部材16に保持されている。また、第2取り付け部17は、第2脚部材18の延長線の延びる方向に対して、第2鏝先2が内側を向くように、第2脚部材18に保持されている。
【0040】
第1取り付け部15は、第1接続部25を介して第1脚部材16及び第1ハウジング12aに保持されている。第2取り付け部17は、第2接続部26を介して第2脚部材18及び第2ハウジング12bに保持されている。
【0041】
第1取り付け部15は、第1ハウジング12a及び第1脚部材16によって区画される空間内に配置され、第2取り付け部17は、第2ハウジング12b及び第2脚部材18によって区画される空間内に配置される。一方、第1接続部25は、第1ハウジング12aの先端(図2における上端)に露出するように配置され、第2接続部26は、第2ハウジング12bの先端(図2における上端)に露出するように配置されている(図1参照)。なお、第1脚部材16は第1ハウジング12aによって覆われるように配置されてもよく、また、第2脚部材18は第2ハウジング12bによって覆われるように配置されてもよい。
【0042】
第1接続部25は、第1脚部材16の先端(図2における上端)と第1ハウジング12aとによって挟持されている。なお、第1接続部25は、第1脚部材16の先端に位置する構成に限られるものではなく、例えば、第1脚部材16の中間位置に配置されてもよい。
【0043】
第1取り付け部15と第2取り付け部17は同じ構成であり、また第1接続部25と第2接続部26は同じ構成である。図3は第2取り付け部17及び第2接続部26を示しているので、ここでは、図3を参照しつつ第2取り付け部17及び第2接続部26の構成について説明する。
【0044】
第2接続部26は、第2取り付け部17が挿通されるように、環状の部材によって構成されている。第2接続部26は、周方向に並ぶ複数の凸状のつまみ26aと、つまみ26aの基端側に位置する円筒部26bと、を有する。円筒部26bは、第2ハウジング12bの内側に位置しており、第2脚部材18の第2先端保持部18bと第2ハウジング12bとによって回動可能に挟持されている。一方、つまみ26aは、第2ハウジング12bの外側に露出しており、第2接続部26を回動させるのに利用される。
【0045】
第2取り付け部17は、基側部17aと、基側部17aとは別体に構成されるとともに基側部17aの先側に位置する先側部17bと、を有する。第2鏝先2は、先側部17bに挿通された上で基側部17aに挿入され、基側部17aによって支持される。先側部17bは、第2接続部26内において基側部17aに連結されており、基側部17aに対して回動可能となっている。先側部17bは、基側部17aに対して回動されると、基側部17aに保持された第2鏝先2を回動させるように構成されている。
【0046】
先側部17bには突起17cが設けられており、この突起17cは、先側部17bが回動操作されたときに、第2脚部材18に形成された凸部18eに係合可能となっている。これにより、先側部17bの回動範囲、すなわち第2鏝先2の回動範囲が規制される。
【0047】
第2接続部26の円筒部26bにおける内周面には雌ネジ26dが設けられている。一方、第2取り付け部17の基側部17aの先端には、その外周面に雄ネジ17dが切られており、この雄ネジ17dは第2接続部26の雌ネジ26dに螺合している。このため、第2接続部26のつまみ26aが回動操作されると、第2取り付け部17は、第2接続部26に対して前後方向(図2における上下方向)に変位する。これにより、第2取り付け部17に取り付けられた第2鏝先2を前後方向に変位させることができる。
【0048】
第1接続部25も第2接続部26と同様に構成されているため、第1取り付け部15に取り付けられた第1鏝先1を前後方向に変位させることができ、また第1鏝先1を回動させることもできる。したがって、前後方向における、第1鏝先1の先端と第2鏝先2の先端の相対的な位置関係を調整できる。
【0049】
図2に戻る。図2に示すように、第1脚部材16及び第2脚部材18は、基端(図2おける下端)において回動軸19に連結されている。第1脚部材16及び第2脚部材18には、回動軸19が貫通する貫通孔が形成された孔部がそれぞれ設けられている。第1脚部材16は、孔部から先端に向けて一方向に延びる形状に形成され、第2脚部材18は、孔部から先端に向けて一方向に延びる形状に形成されている。第1脚部材16の先端には、第1ハウジング12aと協働して第1接続部25の円筒部25bを保持するための第1先端保持部16bが形成され、また、第2脚部材18の先端には、第2ハウジング12bと協働して第2接続部26の円筒部26bを保持するための第2先端保持部18bが形成されている。なお、第1脚部材16及び第2脚部材18は樹脂製である。
【0050】
第1脚部材16には、孔部の基端側においてブロック状の基部16cが設けられている。この基部16cの上側には、電力供給線21が通されている。また、基部16cには、板バネ30が固定されている。
【0051】
板バネ30は、第1脚部材16の先端である第1先端16dと第2脚部材18の先端である第2先端18dとが互いに離れる向きに第1脚部材16及び第2脚部材18を付勢する付勢部材として機能する部材である。板バネ30は、第1脚部材16の基部16cから第2脚部材18に亘り、第1脚部材16及び第2脚部材18の外面に沿って延びる形状を有しており、第1脚部材16に係止される第1端部30aと、第2脚部材18に係止される第2端部30bと、を有する。
【0052】
板バネ30の第1端部30aは第1脚部材16の基部16cにおける側面16eであって、前後方向(図2における上下方向)に延びる側面16eに固定されている。この側面16eの延長面は後述する軸部材33aに直交又は略直交している。そして、板バネ30は、この側面16eに面接触するとともに、この側面16eから先端側に向かって延びている。したがって、板バネ30の第2端部30bの位置が、基部16cの側面16eの延長面に対して第2脚部材18寄りに変位するように弾性変形することにより、板バネ30は、第1脚部材16の第1先端16dと第2脚部材18の第2先端18dとが互いに離れる方向の弾性力を発生する。このため、第1鏝先1と第2鏝先2を近づける操作を行った場合には、板バネ30に復元力が生ずる。
【0053】
板バネ30により、第1脚部材16の第1先端16dと第2脚部材18の第2先端18dとが互いに離れる方向に付勢されているが、第1先端16dと第2先端18dとの間の許容開き幅は、後述の幅調整用ホイール33bと押え部33cとにより規制される。
【0054】
ツイーザー装置10には、第1先端16dと第2先端18dとの間の開き幅の許容幅を調整するための許容幅調整手段33が設けられている。具体的に、許容幅調整手段33は、第1脚部材16と第2脚部材18とに架け渡される軸部材33aと、許容幅調整のための操作をするための幅調整用ホイール33bと、幅調整用ホイール33bと協働して第1脚部材16と第2脚部材18との間の開き幅を規制する押え部33cと、軸部材33aに対する幅調整用ホイール33bの位置を変更する変位手段33dと、を含む。
【0055】
軸部材33aは、一端部が第1脚部材16に形成された貫通孔に挿通され、他端部が第2脚部材18に形成された貫通孔に挿通されている。軸部材33aの軸心は、第1先端16dと第2先端18dの開き方向に沿う方向に延びている。この軸心の方向は回動軸19に対して直交する方向となっている。なお、本実施形態では、軸部材33aは軸心周りに回転しないように、貫通孔に挿通されている。例えば、軸部材33aは断面円形ではなく、断面が非円形に形成されている。
【0056】
幅調整用ホイール33b及び押え部33cは、第1脚部材16及び第2脚部材18を間に挟み込むように配置されている。すなわち、幅調整用ホイール33bは、第1脚部材16に対して第2脚部材18とは反対側に配置され、押え部33cは、第2脚部材18に対して第1脚部材16とは反対側に配置されている。
【0057】
押え部33cは、軸部材33aの端部に設けられており、軸部材33aよりも大きな幅を有して、貫通孔を通過できない大きさに形成されている。したがって、軸部材33aは第2脚部材18の貫通孔から外れない。なお、押え部33cは軸部材33aと一体的に形成されているが、軸部材33aと別体に形成された上で軸部材33aに固定されていてもよい。
【0058】
変位手段33dは、軸部材33aにおいて、押え部33cが設けられた端部とは反対側の端部に形成された雄ねじ部33eと、軸部材33aに外嵌される環状に形成された幅調整用ホイール33bの内周面に設けられた雌ねじ部33fと、を含む。したがって、軸部材33aに対して幅調整用ホイール33bが回動操作されることにより、幅調整用ホイール33bと押え部33cとの間の間隔が変わるように、幅調整用ホイール33bは軸部材33aの軸心方向に変位する。この結果、第1脚部材16と第2脚部材18の許容開き幅が調整される。この許容開き幅は、第1鏝先1と第2鏝先2が互いに接触するまで小さくすることができる。なお、幅調整用ホイール33bの内周面の雌ねじ部33fは、幅調整用ホイールに埋め込まれたナットに形成されてもよい。
【0059】
幅調整用ホイール33bは、第1脚部材16に形成されたホイール保持部(第1ホイール保持部)16f内に配置され、第1ホイール保持部16fと第1ハウジング12aとによって回動可能に保持されている。第1ホイール保持部16fは、第1脚部材16における第1先端16dと基端(回動軸19を支える孔部)との間の中間部に位置し、第1脚部材16の外側(第2脚部材18とは反対側)において、第1脚部材16に一体的に形成されている。このため、幅調整用ホイール33bは、回動軸19よりも先端側に配置されている。言い換えると、幅調整用ホイール33bは、回動軸19よりも第1先端16d及び第2先端18dに近い位置に配置されている。
【0060】
第1ホイール保持部16fは、幅調整用ホイール33bの外周面に沿う内周面を有しており、また、第1ホイール保持部16fには第1ハウジング12aが隣接している。このため、幅調整用ホイール33bは、第1ホイール保持部16fから離れないように保持されている。すなわち、幅調整用ホイール33bは第1脚部材16から離れない。したがって、軸部材33aに対する幅調整用ホイール33bの位置が変位した場合でも、第1脚部材16に対する幅調整用ホイール33bの位置は変わることはない。なお、第1鏝先1と第2鏝先2とを互いに近づける操作(開口幅の調整ではなく、電子部品をつまむために閉じる操作)が行われた場合には、第1脚部材16は幅調整用ホイール33bから離れないが、第2脚部材18は、押え部33cから離れる。
【0061】
幅調整用ホイール33bは、第1脚部材16と第1取り付け部15との間のスペース20aに配置されている。
【0062】
ツイーザー装置10は、回動軸19の延びる方向における、第1脚部材16の第1先端16dと第2脚部材18の第2先端18dとの間の相対的な位置関係を調整する調整部材36をさらに備えている。調整部材36は、第1脚部材16と第2脚部材18の移動軌跡によって形成される仮想平面に直交する方向(図2の紙面に直交する方向)における第1先端16dと第2先端18dの相対的な位置関係を調整する。
【0063】
調整部材36は、位置調整用ホイール36aと偏心軸36bとを含む。図4にも示すように、位置調整用ホイール36aは、第2脚部材18に設けられた第2ホイール保持部18fに回動可能に保持されて、回動軸19よりも先端側の位置に配置されている。言い換えると、位置調整用ホイール36aは、回動軸19よりも第1先端16d及び第2先端18dに近い位置に配置されている。第2ホイール保持部18fは、第2脚部材18において第1脚部材16とは反対側の面に設けられている。第2ホイール保持部18fは、第1ホイール保持部16fよりも回動軸19に近い位置に配置されている。すなわち、第1ホイール保持部16fと第2ホイール保持部18fとは前後方向にずれた位置に配置されている。このため、幅調整用ホイール33bと位置調整用ホイール36aとは、前後方向にずれている。ただし、幅調整用ホイール33bと位置調整用ホイール36aは、側面視で(軸部材33aの延びる方向に見て)、一部が重なるように配置されている。したがって、前後方向において、両ホイール33b、36aを配置するために第1脚部材16及び第2脚部材18が過大になることを抑制できる。
【0064】
偏心軸36bは第1脚部材16と板バネ30とに架け渡されている。したがって、位置調整用ホイール36aが傾くことが防止されている。また、偏心軸36bは、軸部材33aと平行に配置されている。したがって、幅調整用ホイール33b及び位置調整用ホイール36aは、互いに平行な軸回りに回動可能となっている。このため、両ホイール33b、36aの操作を同じ方向の操作で行うことができる。
【0065】
偏心軸36bは、位置調整用ホイール36aの中心に対して偏心した位置において、位置調整用ホイール36aに固定されている。そして、偏心軸36bは、第1脚部材16に形成された長孔16g(図4参照)に挿入されるとともに板バネ30に形成された長孔30c(図3参照)に挿入されている。長孔16g及び長孔30cは、偏心軸36bが公転する範囲をカバーする長さである。このため、偏心軸36bは、位置調整用ホイール36aが回動操作されることによって公転すると、長孔16g及び長孔30c内を往復移動する。
【0066】
偏心軸36bが公転すると、第1脚部材16は、第1先端16dが第2先端18dに対して回動軸19の延びる方向に変位するように、回動軸19の連結部位を中心として揺動する。この揺動に伴い、回動軸19の方向における第1脚部材16の第1先端16dと第2脚部材18の第2先端18dとの間の相対位置関係が変わる。なお、第2脚部材18と第1脚部材16との連結部には、この揺動が許容される程度の遊びがある。板バネ30は、第1端部30aにおいて第1脚部材16の基部16cに結合されているため、偏心軸36bの公転に伴って回動軸19の連結部位を中心として揺動する。
【0067】
図1に示すように、幅調整用ホイール33b及び位置調整用ホイール36aは、ハウジング12から同じ方向に向けて露出している。すなわち、ハウジング12は、互いに反対を向く一対の面(図1における上面及び下面)を有していて、幅調整用ホイール33b及び位置調整用ホイール36aは何れもその一方の面(図1における上面)から露出している。なお、この一対の面は、回動軸19の延びる方向において、互いに反対側を向いている。
【0068】
幅調整用ホイール33bは第1ハウジング12aから露出し、位置調整用ホイール36aは第2ハウジング12bから露出している。すなわち、幅調整用ホイール33bは、一部が露出した状態で第1ハウジング12a側に配置され、位置調整用ホイール36aは、一部が露出した状態で第2ハウジング12b側に配置されている。幅調整用ホイール33b及び位置調整用ホイール36aが第1ハウジング12aと第2ハウジング12bに分かれて配置されているため、ツイーザー装置10の使用時において両ホイール33b、36aを区別しやすくなり、誤って操作することを抑制できる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態では、第1脚部材16の第1先端16dと第2脚部材18の第2先端18dと間の許容開き幅を調整するための幅調整用ホイール33bが、第1脚部材16と第2脚部材18との回動軸19よりも第1先端16d及び第2先端18d寄りの位置に配置されている。このため、第1脚部材16及び第2脚部材18を持った手の親指を幅調整用ホイール33bにかけることができる。しかも、軸部材33aは、第1先端16dと第2先端18dとを結ぶ方向に平行な方向に延びている。したがって、第1脚部材16及び第2脚部材18を持った状態の手の親指を動かすことができる方向に幅調整用ホイール33bを回動させ易い。すなわち、ツイーザー装置10を握った手で幅調整用ホイール33bを操作し易い。よって、一対の脚部材16,18の先端16d、18d同士の許容開き幅の調整を楽に行うことができる。また、幅調整用ホイール33bが回動軸19よりも先端側に位置するので、ツイーザー装置10が大型化しない。
【0070】
また、本実施形態では、許容開き幅は、第1鏝先1と第2鏝先2とが互いに接触するまで調整可能なため、半田付け装置5によって非常に小さな電子部品をつまむことができるまた、第1鏝先1と第2鏝先2とを互いに接触させて使う場合には、2本分の熱容量のあるはんだ鏝としても利用可能である。
【0071】
また、本実施形態では、第1脚部材16の第1ホイール保持部16fによって幅調整用ホイール33bを保持するため、軸部材33aを支持する部材を第1脚部材16に設けなくても、幅調整用ホイール33bを回動させることができる。また、幅調整用ホイール33bは第1脚部材16から離れないように保持されているので、両脚部材16,18を閉じる操作が行われたときには、幅調整用ホイール33bも第1脚部材16と一緒に移動する。したがって、幅調整用ホイール33bが第1脚部材16から脱落する事態を回避することができる。なお、このとき、押え部33cが第2脚部材18から離れるため、幅調整用ホイール33bが第1脚部材16から離れないように保持されていても、脚部材16,18を閉じる操作に支障がでることはない。
【0072】
また、本実施形態では、第1取り付け部15と第1脚部材16との間のスペース20aに幅調整用ホイール33bが配置される。すなわち、ツイーザー装置10として必要な部材同士の間のスペースに幅調整用ホイール33bが配置される。このため、ツイーザー装置10として大型化することを防止できる。
【0073】
また、本実施形態では、板バネ30を用いて第1脚部材16と第2脚部材18を付勢する構成であり、しかも板バネ30が第1脚部材16又は第2脚部材18に沿うように配置される。このため、脚部材16,18を付勢する部材が目立たないようにできる。
【0074】
また、本実施形態では、位置調整用ホイール36aを回動操作することにより、偏心軸36bが公転するため、板バネ30に対する位置調整用ホイール36a中心の相対的な位置が変わる。それにより、回動軸19の延びる方向における第1先端16dと第2先端18dとの間の相対的な位置関係が変わる。したがって、回動軸19方向において、第1先端16dに対して第2先端18dを少しずれた位置に配置したい場合、回動軸19方向において、第1先端16dと第2先端18dが微妙にずれている場合にそれらを位置合わせしたい場合等、に対応することができる。しかも、板バネ30に形成された長孔30cを位置調整用ホイール36aの偏心軸36bが挿通されるという簡単な構成で、第1先端16d及び第2先端18dの位置関係調整が可能となっている。
【0075】
また、許容開き幅の調整、及び回動軸19方向における第1先端16dと第2先端18dとの間の位置関係の調整をそれぞれホイール33b、36aの回動操作で行う。したがって、2種類の調整操作を行うことができ且つそれぞれ調整操作が楽なツイーザー装置10とすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、幅調整用ホイール33b及び位置調整用ホイール36aが、ハウジング12から同じ方向に向けて露出しているため、2つの調整(許容開き幅の調整、及び回動軸19方向における第1先端16dと第2先端18dとの間の位置関係の調整)を、ハウジング12に対して同じ方向からアクセスして行うことができる。したがって、ハウジング12の向きを変更しなくても2つの調整を行うことができる。
【0077】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係るツイーザー装置50を示している。なお、図5では、第1ハウジング12a及び第2ハウジング12bが取り外された状態のツイーザー装置50が描かれている。ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0078】
第1実施形態では、第1脚部材16と第2脚部材18とを回動可能に連結する回動軸19が設けられている。これに対し、第2実施形態のツイーザー装置50では、回動軸19が設けられることなく、第1脚部材16と第2脚部材18の閉じ操作が可能となっている。
【0079】
具体的に、ツイーザー装置50は、第1付勢部52aと第2付勢部52bとを有する付勢部材52を備えている。付勢部材52は、第1付勢部52aの基端部と第2付勢部52bの基端部とを互いに接続する接続部52cを有する。付勢部材52は、第1付勢部52aの先端と第2付勢部52bの先端とが互いに離れる方向(開く方向)に付勢されている。第1付勢部52aには、接続部52cよりも先側において第1脚部材16が固定され、第2付勢部52bには、接続部52cよりも先側において第2脚部材18が固定されている。
【0080】
付勢部材52は、第1脚部材16の第1先端16dと第2脚部材18の第2先端18dとが互いに離れる方向の弾性力を有している。そして、許容幅調整手段33の幅調整用ホイール33bと押え部33cとによって、第1脚部材16(又は第1付勢部52a)と第2脚部材18(又は第2付勢部52b)の開き幅の許容幅が調整される。
【0081】
幅調整用ホイール33bは、第1付勢部52aの基端部と第2付勢部52bの基端部との接続部52cよりも、第1先端16d及び第2先端18d寄りの位置に配置されている。幅調整用ホイール33bの軸心すなわち、軸部材33aの軸心は、第1先端16dと第2先端18dの開き方向に沿っている。
【0082】
したがって、第2実施形態では、第1脚部材16の第1先端16dと第2脚部材18の第2先端18dと間の許容開き幅を調整するための幅調整用ホイール33bが、第1付勢部52aと第2付勢部52bの接続部52cよりも第1先端16d及び第2先端18d寄りの位置に配置されている。このため、ツイーザー装置50を持った手の親指を幅調整用ホイール33bにかけることができる。しかも、幅調整用ホイール33bの軸心は、第1先端16dと第2先端18dの開き方向に沿う方向に延びている。したがって、ツイーザー装置50を持った状態の手の親指を動かすことができる方向に幅調整用ホイール33bを回動させ易い。すなわち、ツイーザー装置50を握った手で幅調整用ホイール33bを操作し易い。よって、一対の脚部材16,18の先端16d,18b同士の許容開き幅の調整を楽に行うことができる。また、幅調整用ホイール50が接続部52cよりも先端側に位置するので、ツイーザー装置50が大型化しない。
【0083】
なお、図5に示す付勢部材52では、第1付勢部52aと第2付勢部52bとの接続部52cが、第1付勢部52aと第2付勢部52bとが面接合された構成となっているが、これに限られるものではない。例えば、図6に示すように、接続部52cは、第1付勢部52aの基端部と第2付勢部52bの基端部とが互いに湾曲状に連続するように接続する構成であってもよい。
【0084】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0085】
(その他の実施形態)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、第1及び第2実施形態では、幅調整用ホイール33bの雌ねじ部33fが軸部材33aの雄ねじ部33eに対して回動することにより、許容開き幅が調整されるが、この構成に限られない。例えば、幅調整用ホイール33bが軸部材33aと一体的に形成されて軸部材33aも回動する構成でもよく、この場合には、雌ねじ部33fが第1脚部材16に固定されて、この雌ねじ部33fが軸部材33aの雄ねじ部33eと螺合してもよい。
【0086】
また、幅調整用ホイール33bが軸部材33aと一体的に設けられる場合、幅調整用ホイール33bは第1脚部材16から離れることが許容されてもよい。この場合、押え部33cに雌ねじ部33fが設けられ、軸部材33aにこの雌ねじ部33fと螺合する雄ねじ部33eが設けられる。このとき、押え部33cは第2脚部材18から離れない。
【0087】
第1及び第2実施形態では、幅調整用ホイール33bと押え部33cによって、第1脚部材16及び第2脚部材18を両側から挟み込むが、これに限られない。例えば、幅調整用ホイール33bが第1脚部材16と第2脚部材18との間に配置される一方で、軸部材33aには、押え部33cと反対側の端部に雌ねじ部材(図示省略)が設けられ、この雌ねじ部材と押え部33cとによって第1脚部材16及び第2脚部材18を両側から挟み込んでもよい。
【0088】
第1実施形態では、板バネ30が係止される基部16cが第1脚部材16に設けられたが、板バネ30が係止される基部は、図2において基部16cが設けられる位置において、第1脚部材16ではなく第2脚部材18に設けられてもよい。この場合、板バネ30の第2端部30bが第2脚部材18の基部に係止され、板バネ30において第1脚部材16に係止される第1端部30aが、第2脚部材18の基部よりも先端側に位置する構成となる。つまり、第1端部30a及び第2端部30bの前後関係が第1実施形態と逆になり、板バネ30は、第2脚部材18の基部から第1脚部材16に沿って一方向に延びる形状となる。
【0089】
第1実施形態では、板バネ30は、第1脚部材16の基部16cから第2脚部材18に沿って一方向に延びる形状に形成されたが、この構成に限られない。例えば、板バネ30は、U字状に形成されて、第1脚部材16及び第2脚部材18に沿うように配置されてもよい。つまり、板バネ30は、第1脚部材16の外側に位置する第1部位と、第2脚部材18の外側に位置する第2部位と、第1部位の基端と第2部位の基端とを接続する部位とを含む構成となる。この場合、板バネ30は、第1脚部材16及び第2脚部材18の外面に沿うように配置されてもよく、内面に沿うように配置されてもよい。
【0090】
また、第1実施形態では、第1脚部材16及び第2脚部材18を付勢する付勢部材として板バネ30が用いられたが、板バネ30に代え、コイルバネが用いられてもよい。この場合、コイルバネは、第1脚部材16と第2脚部材18との間に、圧縮された状態で配置される。
【0091】
第1及び第2実施形態では、接続部25,26が設けられ、第1接続部25は、第1取り付け部15を第1脚部材16に対して前後方向に変位可能に構成されているが、これに限られない。例えば、第1接続部25は第1取り付け部15を前後移動させない構成であってもよい。また、第1接続部25を省略してもよい。この場合、第1取り付け部15は、前後移動しない状態で第1脚部材16と第1ハウジング12aとによって保持される構成となる。第2接続部26についても、同様に省略可能である。
【0092】
第1取り付け部15は、第1鏝先1を回動可能に保持するが、この構成に限られるものではない。第1取り付け部15は、第1鏝先1が回動しないように保持する構成でもよい。また、第2取り付け部17についても同様である。
【0093】
前記実施形態では、幅調整用ホイール33bが第1取り付け部15と第1脚部材16との間にスペース20aに配置されているが、この構成に限られない。幅調整用ホイール33bが第1取り付け部15に重なる位置に配置されてもよい。
【0094】
第1実施形態では、回動軸19方向における第1鏝先1と第2鏝先2との間の位置関係を調整するための調整部材36が設けられているが、調整部材36を省略してもよい。また、調整部材36は、板バネ30を利用することなく、位置関係を調整する構成であってもよい。
【0095】
幅調整用ホイール33b及び位置調整用ホイール36aは、ハウジング12から異なる方向に向けて露出していてもよい。また、幅調整用ホイール33b及び位置調整用ホイール36aは、何れも第1ハウジング12a内に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 :第1鏝先
2 :第2鏝先
10 :ツイーザー装置
12 :ハウジング
12a :第1ハウジング
12b :第2ハウジング
15 :第1取り付け部
16 :第1脚部材
16d :第1先端
16f :第1ホイール保持部
17 :第2取り付け部
18 :第2脚部材
18d :第2先端
19 :回動軸
20a :スペース
30 :板バネ
30a :第1端部
30b :第2端部
30c :長孔
33 :許容幅調整手段
33b :幅調整用ホイール
33c :押え部
36 :調整部材
36a :位置調整用ホイール
36b :偏心軸
50 :ツイーザー装置
52 :付勢部材
52a :第1付勢部
52b :第2付勢部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7