(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111446
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】自己発電装置、情報発信装置及び情報発信装置を用いた搬送システム
(51)【国際特許分類】
H02N 2/18 20060101AFI20220725BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
H02N2/18
G06K19/07 110
G06K19/07 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006868
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 卓樹
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 健治
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 史也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 将輝
(72)【発明者】
【氏名】大塚 努
(72)【発明者】
【氏名】新垣 陽輔
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA19
5H681BB08
5H681BB14
5H681DD03
5H681DD30
5H681DD34
5H681DD45
5H681DD53
5H681DD83
5H681EE20
(57)【要約】
【課題】 隠避性が高く、安価尚且つ小型化の情報発信装置、また、読み出し距離制限が低く、読み出す速度が高く、自動的に倉庫内の所在地を推測できる、コスト低い搬送システムを得る。
【解決手段】 搬送システム10は、搬送対象70と、搬送対象70に搭載され、特定の関連情報50を送信する情報発信装置14と、情報発信装置14から送信された関連情報50を受信し、付加情報51を付加する中間通信体12と、中間通信体12と双方向通信するデータセンター11と、を含む搬送システム10であって、中間通信体12は、情報発信装置14から送信された関連情報50及び付加情報51をデータセンター11に報告し、データセンター11はこれらの情報に基づいて、搬送対象70の位置を推定し、記録する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力の下で自己発電材料と、
前記自己発電材料から電力を取り出す集電部品と、
前記集電部品から負荷回路に、前記電力を搬送する出力部と
を有する自己発電装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の自己発電装置からなる電源部と、
関連情報を保存する記憶部と、
前記記憶部に保存されている前記関連情報を発信する発信部と、
発信指令体からの指令信号を受信する指令受信部と、
前記電源部、前記記憶部、前記発信部、及び前記指令受信部を制御する制御部と
を有する情報発信装置。
【請求項3】
搬送対象と、
前記搬送対象に搭載され、特定の関連情報を送信する情報発信装置と、
前記情報発信装置から送信された関連情報を受信し、付加情報を付加する中間通信体と、
前記中間通信体と双方向通信するデータセンターと、を含む搬送システムであって、
前記中間通信体は、前記情報発信装置から送信された前記関連情報及び前記付加情報を前記データセンターに報告し、
前記データセンターはこれらの情報に基づいて、前記搬送対象の位置を推定し、記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己発電装置、情報発信装置及び情報発信装置を用いた搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、物流分野においては、搬送対象物、例えばパレットにRFタグが貼り付けられ、搬送手段、例えばフォークリフトにより、出入庫作業が行われる。この時に、例えば先行特許文献1に示すように、効率化を高めるため、搬送を行う際、搬送手段に取り付けられたRFタグのリーダーにより、複数のRFタグの識別情報が読み込まれ、自動的にクラウドサーバーにアップロードされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、RFタグの読み出し距離が制限され、また、読み出すためには、一定の時間が必要とされる。また、このシステムに関しては、倉庫内のパレットの位置を自動識別できないため、パレットの位置の推測などにおいて、別途のシステム及び装置が必要となり、構成が複雑で、維持コストも高くなる。
【0005】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、自己発電装置を有する、隠避性が高く、安価尚且つ小型化の情報発信装置を第一目的とし、これらの自己発電装置及び情報発信装置により構成される、読み出し距離制限が低く、読み出す速度が高く、自動的に倉庫内の所在地を推測できる搬送システムを得ることを第二目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る自己発電装置は、外力の下で自己発電材料と、自己発電材料から電力を取り出す集電部品と、集電部品から負荷回路に、電力を搬送する出力部とを有する。
【0007】
本発明に係る情報発信装置は、自己発電装置からなる電源部と、関連情報を保存する記憶部と、記憶部に保存されている関連情報を発信する送信部と、発信指令体からの指令信号を受信する指令受信部と、電源部、記憶部、発信部、及び指令受信部を制御する制御部とを有する情報発信装置。
【0008】
本発明に係る搬送システムは搬送対象と、搬送対象に搭載され、特定の関連情報を送信する情報発信装置と、情報発信装置から送信された関連情報を受信し、付加情報を付加する中間通信体と、中間通信体と双方向通信するデータセンターと、を含む搬送システムであって、中間通信体は、情報発信装置から送信された関連情報及び付加情報をデータセンターに報告し、データセンターはこれらの情報に基づいて、搬送対象の位置を推定し、記録する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、隠避性が高く、安価尚且つ小型化の情報発信装置、また、読み出し距離制限が低く、読み出す速度が高く、自動的に倉庫内の所在地を推測できる、コスト低い搬送システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本発明に係る搬送システムを示す図である。
【
図2】
図2は本発明に係る中間通信体システムを示す模式図である。
【
図3】
図3は本発明に係る発信指令体システムを示す模式図である。
【
図4】
図4は本発明に係る情報発信装置システムを示す模式図である。
【
図5】
図5は本発明に係る自己発電装置を示す図である。
【
図6】
図6は本発明に係る搬送システムの動作を示すブログ図である。
【
図7】
図7は本発明に係る位置推定の実例を示す図である。
【
図8】
図8は本発明の係る位置推定の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
実施の形態1.
【0013】
図1は本発明に係る搬送システム10を示す図であり、当該搬送システム10は、搬送対象70と、搬送対象70に搭載され、特定の関連情報50を送信する情報発信装置14と、情報発信装置14から送信された関連情報50を受信し、付加情報51を付加する中間通信体12と、中間通信体12と双方向通信するデータセンター11と、を含む搬送システム10であって、中間通信体12は、情報発信装置14から送信された関連情報50及び付加情報51をデータセンター11に報告し、データセンター11はこれらの情報に基づいて、搬送対象70の位置を推定し、記録する。
【0014】
まず、データセンター11とは、情報発信装置14に関する情報を収集し、収集された情報により、情報発信装置14を追跡する機能を有するデータ蓄積、処理するシステムである。一般的に通信、記録、及び計算等の機能を備える1つまたは複数のサーバを指す。
【0015】
具体的に、データセンター11には、内部及び外部ネットワークを通じて複数の中間通信体12と双方向通信する通信装置111を有する。
【0016】
また、データセンター11が、処理装置112を含む。処理装置112は、データセンター11における各種制御、計算、または指令等を行う装置で、その機能はハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組合により実現されてよい。
【0017】
さらに、データセンター11には、記憶装置113が含まれる。記憶装置113は、入力または計算された様々なデータを分類、保存する機能を有する。
【0018】
次に、
図2は本発明に係る中間通信体12のシステムを示す模式図である。中間通信体12は、情報収集部121、記憶部122、受信部123、制御部124及び送信部125を少なくとも含む。また、中間通信体12が受信部123を用いて不特定複数の情報発信装置14から関連情報50を収集し、自身の記憶部122にある関連情報台帳90に保存すると同時に、情報収集部121は中間通信体12或いは中間通信体12が搭載されている他のシステムから時間、位置等に関する付加情報51を取得し、前記の関連情報50と一緒に記憶部122にある関連情報台帳90に保存するとともに、データセンター11に関連情報50及び付加情報51を報告する。
【0019】
また、中間通信体12の前記機能はハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組合により前記機能を実現されてよい。
【0020】
また、中間通信体12はキャリア80に搭載されている。キャリア80は、ポスト、電柱、看板、充電装置、自動運転に係わる道路施設、電線、ガス、水道、無接点充電用装置、または、倉庫やヤードに設定されているネットワークの基地局などの固定体である。
【0021】
さらに、中間通信体12と情報発信装置14との間の通信は、RF(Radio Frequency)帯、例えば、760MHz帯域、5.9GHz帯域、さらに60GHz帯域の電波を利用し、無線通信を行う。また通信規格はブルートゥース(登録商標)、WIFI(登録商標)、enocean(登録商標)などの省電力の規格を使ってもよい。
【0022】
また、情報発信装置14の所有者のプライバシー保護および悪質な改ざん防止の観点から、中間通信体12にはブロックチェーンの技術を使うことができる。さらに、中間通信体12に保存されている履歴データに関しては、中間通信体12の所有者にも知られない、改ざんされないようにセキュリティ措置、例えば、全てのデータの暗号化などをとる。
【0023】
次に、
図3は本発明に係る発信指令体13のシステムを示す模式図である。発信指令体13はセンサー部131と、記憶部132と、送信部134と、センサー部131、記憶部132、及び送信部134を制御する制御部133とを有する。
【0024】
センサー部131は光電センサーや、無線センターなどで良く、搬送対象70の接近状態を認識する。また、記憶部132には発信指令や発信停止指令が保存されている。
【0025】
また、発信指令体13において、センサー部131により、搬送対象70の接近が検出されてから、制御部133の制御の下で、記憶部132に保存されている発信指令が送信部134により送信される。この発信指令は情報発信装置14の指令受信部145により受信される。
【0026】
また、発信指令体13において、センサー部131により、搬送対象70の離脱が検出されてから、制御部133の制御の下で、記憶部132に保存されている発信停止指令が送信部134により送信される。この発信停止指令は情報発信装置14の指令受信部145により受信されてから、情報発信装置14は発信をとめ、待機状態に切り替える。
【0027】
さらに、発信指令体13と情報発信装置14との間の通信は、RF(Radio Frequency)帯、例えば、760MHz帯域、5.9GHz帯域、さらに60GHz帯域の電波を利用し、無線通信を行う。また通信規格はブルートゥース、WIFI、enoceanなどの省電力の規格を使ってもよい。
【0028】
次に、
図4は本発明に係る情報発信装置14のシステムを示す模式図である。情報発信装置14は搬送対象70に搭載されている。搬送対象70とは、例えば、乗用車、トラック、金庫、スーツケース、バックなどの手荷物、またはパレット等の物流用容器等である。情報発信装置14には事前に独自の関連情報50が付与、保存され、情報発信装置14から周期的に光電磁信号を通じて外部に対してその関連情報50発信されている。
【0029】
また、情報発信装置14は、例えば搬送対象70の製造後に、追加される装置でも良く、製造時に搬送対象70の一部と一体化されている装置でも良い。また、情報発信装置14を構成する電源やメモリや送信機などは、同じ搬送対象70の他システムと共用せず、独立系であることが望ましい。さらに、容易に察知されないように、その外観を偽装すること、例えば特殊塗装、某部分を倣う形状などが好ましい。
【0030】
情報発信装置14は、自己発電装置からなる電源部141と、関連情報50を保存する記憶部142と、記憶部142に保存されている関連情報50を発信する送信部144と、発信指令体13から指令信号を受信する指令受信部145と、時間を計測する計時部146と、電源部141、記憶部142、送信部144、指令受信部145及び計時部146を制御する制御部143とを有する。情報発信装置14に対して簡素な構成、簡単な形状、及び軽量化であることが望ましい。
【0031】
また、情報発信装置14から発信されている関連情報50に関しては、事前に情報発信装置14の記憶部142に保存され、暗号化されている情報であって、例えば、識別番号など唯一な情報である。また、関連情報50は8バイト(BYTE)以下であることが好ましい。
【0032】
こうすることにより、情報発信装置14から最小限の必須情報最短の時間内で送り出すことができ、また、中間通信体12から情報取得時間、場所、受信信号強度(RSSI)等の情報を付加することにより、データセンター11が全面的な情報を得ることができる。
【0033】
さらに、関連情報50は情報発信装置14の記憶部142に永久或いは半永久に保存されている。記憶部142は光媒体、半導体或いは磁気媒体などから構成されるもので、その中に保存されているデータは容易に書き換えられないように工夫している。また、読み出す場合、電気を使う観点から磁気、或いは電気のデータ保存形式が望ましい。また、データの保持の面において、常に電気的に接続されていることは必要なく、不揮発性メモリが好ましい。
【0034】
さらに、情報発信装置14の電源部141に関しては、独立に発電できる自己発電装置141A及び蓄電できる2次電池部141Bを少なくとも含む。自己発電装置141Aは外力の下で自己発電できる装置、例えば光電変換素子、電磁変換素子、熱電変換素子などである。特に、圧電発電素子、磁歪発電素子など振動エネルギーを電気エネルギーに変換できる振動発電素子が好ましい。
【0035】
これから、
図5を参照しながら、磁歪発電素子を使う自己発電装置141Aを一例として説明する。このような自己発電装置141Aは、外力の下で自己発電材料と、自己発電材料から電力を取り出す集電部品と、前記集電部品から負荷回路に、前記電力を搬送する出力部とを有する。
【0036】
図5は本発明に係る自己発電装置141Aを示す図である。
図4に示すように、自己発電装置141Aは外力の下で自己発電材料である磁歪材1411、自己発電材料から電力を取り出す集電部品、すなわち、コイル1412、及び集電部品から負荷回路に、電力を搬送する出力部である出力回路1413を含む。また、三者を固定する固定材1414をさらに含むことが好ましい。磁歪材1411は搬送対象70から伝えてくる振動により、一部撓むようになり、周囲の磁場ベクトルを変える。そのため、磁歪材1411の周囲に配置されているコイル1412には、その磁場ベクトルの変動により電流Iが生じられ、その電流Iは出力部1413を経由して取り出される。
【0037】
また、発電部141Aから取り出される電力は、2次電池部141Bに蓄積されても良く、直接に電源部141の出力になっても良く、両方使えるようにハイブリッドの使い方でも良い。
【0038】
また、情報発信装置14は搬送対象70或いは搭載対象の一部に埋め込まれる、または隠される。例えば、搬送対象70はパレットである場合、そのフレームの一部に埋め込まれる、または隠すことができる。また、埋め込む際、フレーム一部に空洞部を形成し、情報発信装置14を空洞部に設置した後、空洞部の開口を樹脂などの非磁性封止材料で封止する。また、情報発信装置14とパレットと一体成形されても良い。
【0039】
次に、
図6を参照しながら、パレットの搬送過程を例として、本発明に係る搬送システム10に関して、説明する。ここでは、自己発電装置141Aは磁歪式振動発電装置141Aと、搬送システム10はパレットの搬送システム10と読み替えることができる。
【0040】
図6は本発明に係るパレットの搬送システム10の動作を示すブログ図である。
図6に示すように、それぞれの情報発信装置14に付与された独自番号、例えば識別番号、及び計時部146から取得した自身の時間情報が関連情報50として記憶部142に書き込まれる。同時に、独自番号もデータセンター11に事前登録される。
【0041】
また、パレットの製造時に、それぞれのパレットに1つまたは複数の情報発信装置14を車体の各部分に、分解できないように埋め込むか、秘密に取り付ける工程を実施する。または、パレットが製造した後、情報発信装置14を取り付ける。
【0042】
また、
図7は本発明に係る位置推定の実例を示す図である。この
図7に示すように、倉庫の所有者は事前に、倉庫内に複数の中間通信体12を設置し、各中間通信体12の位置情報を取得する。そして、中間通信体12間の距離は3メートル以上、100メートル以下であることが良く、5メートル以上、80メートル以下であることが好ましく、10メートル以上、60メートル以下であることが更に好ましい。
【0043】
さらに、倉庫の各場所での情報発信装置14からの信号強度を測定しており、位置―強度曲線をまとめ、データセンター11の記憶装置113に保存する。
【0044】
また、トラックなどで、搬送対象70であるパレットを指定場所(倉庫300の前)に運ばれてから、フォークリフトにより、パレットをトラックから降ろす。この際、フォークリフトの先端に搭載されている発信指令体13のセンサー部131、例えば赤外線接近センサーは、パレットの接近状態を検出する。
【0045】
その後、制御部133の制御の下で、記憶部132に保存されている発信指令が、送信部134により送信される。
【0046】
情報発信装置14の指令受信部145、例えばアンテナとマイコンから構成されているRFIDがこの発信指令を受信し、待機状態から仕事状態に切り替えるためのトリッガ信号を制御部143に送る。そして、制御部143の制御の下で、記憶部142に保存されている関連情報50が送信部144により外部に送信される。
【0047】
また、送信されている関連情報50が中間通信体12の受信部により受信され、中間通信体12の情報収集部121から収集されている自身の時間情報、位置情報、及び受信した関連情報50の信号強弱などの情報を付加情報51として取得し、関連情報50と付加情報51が共に記憶部122にある関連情報台帳90に保存され、同時にデータセンター11にも報告される。
【0048】
データセンター11は複数の中間通信体12から送信されたデータに基づいて、例えば
図7に示すように、三角測量方法を用いて、情報発信装置14及び情報発信装置14が搭載されている搬送対象70の倉庫内でのリアルタイムの位置情報を算出する。また、倉庫に設置された複数の中間通信体12の位置情報も事前に記憶装置113に登録されているため、搬送対象70が倉庫内での運動ルートと方向も算出し、保存する。
【0049】
具体的に、
図8を用いてその計算手順を説明する。
図8は本発明の係る位置推定の手順を示す図である。この
図8に示すように、複数の中間通信体12が、情報発信装置14からの関連情報50を受信し、さらに付加情報51を取得してから、二つの情報をデータセンター11に送る。
【0050】
次に、データセンター11は、任意の中間通信体12のA1、A2及びB1の受信信号強度情報に基づいて、三角測量方法を用いて搬送対象70に搭載されている情報発信装置14の位置を算出し、第1位置情報として保存する。また、この場合、最大3Cm通りの第1位置情報があって、mは倉庫300に設置されている中間通信体12の数である。
【0051】
次に、この算出された第1位置情報のそれぞれ結果に対して、前述した位置―強度曲線を用いて補正することにより、第2位置情報を計算する。
【0052】
さらに、複数の第2位置情報から、明らかにバラツキが大きな第2位置情報を除外して、残りの第2位置情報に対して、例えば、最小二乗誤差法(MINIMUM MEAN-SQUARE ERROR, MMSE)を用いて、その結果を平均化することで、最終的に唯一の第3位置情報を算出する。この第3位置情報を情報発信装置14のリアルタイムの位置情報として記録する。
【0053】
そして、フォークリフトがパレットを倉庫内の指定場所に搬送したら、フォークリフトの先端がパレットから離れるようになる。そして、フォークリフトの先端に搭載されている発信指令体13のセンサー部131、例えば赤外線接近センサーは、パレットの離脱状態を検出する。
【0054】
その後、制御部133の制御の下で、記憶部132に保存されている発信停止指令が、送信部134により送信される。
【0055】
情報発信装置14の指令受信部145、例えばアンテナとマイコンから構成されているRFIDがこの発信停止指令を受信し、仕事状態から待機状態に切り替えるためのトリッガ信号を制御部143に送る。
【0056】
そして、制御部143の制御の下で、まず記憶部142に保存されている関連情報50が外部に1回~数回送信される。次に、制御部143の制御の下で、外部への送信が停止され、情報発信装置14は待機状態になる。
【0057】
また、データセンター11はパレットのリアルタイムの位置情報を追跡しているため、最後に受信した第3位置情報をパレットの保存場所と推定し、その場所をデータセンター11の記憶装置113に保存する。また、時間―第3位置情報(運動ルート)から、「入庫」だと判断し、「入庫」との情報も記憶装置113に保存する。
【0058】
また、搬送対象70のパレットが倉庫から搬出される場合、フォークリフトにより、パレットを保存場所から搬送する。その際、フォークリフトの先端に搭載されている発信指令体13のセンサー部131、例えば赤外線接近センサーは、パレットの接近状態を検出する。
【0059】
情報発信装置14の指令受信部145、例えばアンテナとマイコンから構成されているRFIDがこの発信指令を受信し、待機状態から仕事状態に切り替えるためのトリッガ信号を送る。そして、制御部143の制御の下で、記憶部142に保存されている関連情報50が送信部144により外部に送信される。
【0060】
また、送信されている関連情報50が中間通信体12の受信部により受信され、中間通信体12の情報収集部121から収集されている時間、位置、関連情報50の受信信号強弱などに関する付加情報51が更に付加され、関連情報50と付加情報51が共に記憶部122にある関連情報台帳90に保存され、同時にデータセンター11にも報告される。
【0061】
データセンター11は複数の中間通信体12から送信されたデータに基づいて、上述した位置測定方法により、情報発信装置14及び情報発信装置14が搭載されている搬送対象70の倉庫内でのリアルタイムの位置情報を算出する。また、倉庫に設置された複数の中間通信体12の位置情報も事前に記憶装置113に登録されているため、搬送対象70が倉庫内での運動ルートと方向も算出し、保存する。
【0062】
そして、フォークリフトがパレットをトラックに載せたら、フォークリフトの先端がパレットから離れるようになる。そして、フォークリフトの先端に搭載されている発信指令体13のセンサー部131、例えば赤外線接近センサーは、パレットの離脱状態を検出する。
【0063】
その後、制御部133の制御の下で、記憶部132に保存されている発信停止指令が、送信部134により送信される。
【0064】
情報発信装置14の指令受信部145、例えばアンテナとマイコンから構成されているRFIDがこの発信停止指令を受信し、仕事状態から待機状態に切り替えるためのトリッガ信号を送る。
【0065】
そして、制御部143の制御の下で、まず記憶部142に保存されている関連情報50が外部に送信される。次に、制御部143により、外部への送信が停止され、情報発信装置14は待機状態になる。
【0066】
また、データセンター11はパレットのリアルタイムの位置情報を追跡しているため、最後に受信した信号位置をパレットの最終所在場所と推定し、その場所をデータセンター11の記憶装置113に保存する。また、時間―第3位置情報(運動ルート)から、「出庫」だと判断し、「出庫」との情報も記憶装置113に保存する。
【0067】
こうすることによって、搬送対象70の入出庫及び位置情報が自動的に管理・追跡され、人件費を抑えることができる。また、主動電源141の使用により、通信距離及び速度においては、RFタグよりはるかに優れるブルートゥース等の通信規格も使える。
【0068】
変形例1
【0069】
実施形態1には、発信指令体13を用いて、情報発信装置14に対して発信指令と、発信停止指令とを発信することが記載されている。
【0070】
しかし、発信指令体13は別途形成・取付の必要があるので、コストを削減するため、変形例1には、発信指令体13は不要なシステムを開示する。即ち、情報発信装置14中の磁歪式発電機141Aは発電機とする一方、振動センサーとしても使う。
【0071】
この変形例1の場合、フォークリフトによる搬送時、磁歪式素子141A´は搬送の振動を感知し、さらにこの振動は閾値を超えると判断した場合、中間通信体12に対して、1回~数回のリクエスト信号を発信するとのトリッガ信号を送る。そして、制御部143の制御の下で、記憶部142に保存されているリクエスト信号が発信部144を経由して発送される。
【0072】
中間通信体12は、このリクエスト信号を受信してから、発信指令を送る。情報発信装置14の指令受信部145はこの発信指令を受信し、待機状態から仕事状態に切り替えるためのトリッガ信号を制御部143に送る。そして、制御部143の制御の下で、記憶部142に保存されている関連情報50が送信部144により外部に送信される。
【0073】
また、情報発信装置14から発信されたリクエスト信号に対して、発信指令が一定時間内で受信できない場合、現在場所は倉庫ではないと判断し、指令受信部145は待機状態から仕事状態に切り替えるためのトリッガ信号を送らないようにする。
【0074】
また、本発明は独立のシステムとしても、他のシステムの一部としても利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、パレット等の追跡や、倉庫管理など様々の場面に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 搬送システム
11 データセンター
12 中間通信体
13 発信指令体
14 情報発信装置
50 関連情報
51 付加情報
70 搬送対象
80 キャリア
90 関連情報台帳
111 通信装置
112 処理装置
113 記憶装置
121 情報収集部
122 記憶部
123 受信部
124 制御部
125 送信部
131 センサー部
132 記憶部
133 制御部
134 送信部
141 電源部
141A 自己発電装置
141A´ 磁歪式素子
141B 2次電池部
142 記憶部
143 制御部
144 送信部
145 指令受信部
300 倉庫
1411 磁歪材
1412 コイル
1413 出力回路
1414 固定材