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特開2022-111449画像取得装置、ランク推定装置、枝肉横断画像出力装置、画像取得方法、ランク推定方法、枝肉横断画像出力方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111449
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】画像取得装置、ランク推定装置、枝肉横断画像出力装置、画像取得方法、ランク推定方法、枝肉横断画像出力方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20220725BHJP
   G01N 33/12 20060101ALI20220725BHJP
   A01K 29/00 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
A61B8/00
G01N33/12
A01K29/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006874
(22)【出願日】2021-01-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人北海道国立大学機構
(71)【出願人】
【識別番号】521029508
【氏名又は名称】株式会社MIJ labo
(71)【出願人】
【識別番号】391041062
【氏名又は名称】福島県
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】口田 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】小峰 央志
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄治
(72)【発明者】
【氏名】原 恵
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大士
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601JC06
4C601KK33
4C601LL14
4C601LL21
(57)【要約】
【課題】従来、牛生体の早期の肉質判断が困難であった。
【解決手段】2以上の各牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像と牛の肉質のランクを示すランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理により得られた学習モデルが格納されるモデル格納部から学習モデルを取得するモデル取得部と、一の牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像を受け付ける画像受付部と、前記画像受付部が受け付けた1以上の超音波画像と前記モデル取得部が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得する予測部と、前記予測部が取得した前記ランク情報を出力する出力部とを具備するランク推定装置により、牛生体の早期の肉質判断が可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、略60から略80のゲインにより1以上の超音波画像を取得する画像取得部と、
前記1以上の超音波画像を蓄積する画像蓄積部とを具備する画像取得装置。
【請求項2】
前記所定領域は、牛生体の前足の後部閾値以内の範囲の胴部の領域である、請求項1記載の画像取得装置。
【請求項3】
2以上の各牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像と牛の肉質のランクを示すランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理により得られた学習モデルが格納されるモデル格納部から学習モデルを取得するモデル取得部と、
一の牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像を受け付ける画像受付部と、
前記画像受付部が受け付けた1以上の超音波画像と前記モデル取得部が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得する予測部と、
前記予測部が取得した前記ランク情報を出力する出力部とを具備するランク推定装置。
【請求項4】
前記教師データは、
牛生体の2以上の各箇所に対して発せられた超音波を用いて得られた2以上の超音波画像からなる画像セットとランク情報とを有する、請求項3記載のランク推定装置。
【請求項5】
前記超音波画像には、箇所を識別する箇所識別子が対応付いており、
前記教師データは、箇所識別子をも有する、請求項4記載のランク推定装置。
【請求項6】
前記教師データは、
牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、2以上の各ゲインにより得られた2以上の超音波画像からなる画像セットとランク情報とを有する、請求項3から請求項5いずれか一項に記載のランク推定装置。
【請求項7】
前記超音波画像には、ゲインを識別するゲイン識別子が対応付いており、
前記教師データは、ゲイン識別子をも有する、請求項6記載のランク推定装置。
【請求項8】
前記超音波画像は、請求項1または請求項2記載の画像取得装置が蓄積した超音波画像である、請求項3から請求項7いずれか一項に記載のランク推定装置。
【請求項9】
一の牛のランク情報であり、請求項3から請求項8いずれか一項に記載のランク推定装置が取得したランク情報を取得するランク取得部と、
前記一の牛の1以上の牛生体パラメータを取得するパラメータ取得部と、
前記ランク取得部が取得したランク情報と前記パラメータ取得部が取得した1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合を用いて、ランク情報と1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合に対応付いた1以上の枝肉横断画像が格納されている枝肉横断画像格納部の中の1以上の枝肉横断画像であり、近似条件を満たすパラメータ集合に対応付く1以上の枝肉横断画像を取得する枝肉横断画像取得部と、
前記枝肉横断画像取得部が取得した1以上の枝肉横断画像を出力する枝肉横断画像出力部とを具備する枝肉横断画像出力装置。
【請求項10】
前記パラメータ取得部は、
前記一の牛の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、取得された超音波画像に対して、画像認識処理を行い、前記1以上の牛生体パラメータを取得する、請求項9記載の枝肉横断画像出力装置。
【請求項11】
画像取得部と、画像蓄積部とにより実現される画像取得方法であって、
前記画像取得部が、牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、略60から略80のゲインにより1以上の超音波画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像蓄積部が、前記1以上の超音波画像を蓄積する画像蓄積ステップとを具備する画像取得方法。
【請求項12】
モデル取得部と、画像受付部と、予測部と、出力部とにより実現されるランク推定方法であって、
前記モデル取得部が、2以上の各牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像と牛の肉質のランクを示すランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理により得られた学習モデルが格納されるモデル格納部から学習モデルを取得するモデル取得ステップと、
前記画像受付部が、一の牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像を受け付ける画像受付ステップと、
前記予測部が、前記画像受付ステップで受け付けられた1以上の超音波画像と前記モデル取得部が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得する予測ステップと、
前記出力部が、前記予測ステップで取得された前記ランク情報を出力する出力ステップとを具備するランク推定方法。
【請求項13】
ランク情報と1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合に対応付いた1以上の枝肉横断画像が格納されている枝肉横断画像格納部と、ランク取得部と、パラメータ取得部と、枝肉横断画像取得部と、枝肉横断画像出力部とにより実現される枝肉横断画像出力方法であって、
前記ランク取得部が、一の牛のランク情報であり、請求項3から請求項8いずれか一項に記載のランク推定装置が取得したランク情報を取得するランク取得ステップと、
前記パラメータ取得部が、前記一の牛の1以上の牛生体パラメータを取得するパラメータ取得ステップと、
前記枝肉横断画像取得部が、前記ランク取得ステップで取得されたランク情報と前記パラメータ取得ステップで取得された1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合を用いて、前記枝肉横断画像格納部の中の1以上の枝肉横断画像であり、近似条件を満たすパラメータ集合に対応付く1以上の枝肉横断画像を取得する枝肉横断画像取得ステップと、
前記枝肉横断画像出力部が、前記枝肉横断画像取得部が取得した1以上の枝肉横断画像を出力する枝肉横断画像出力ステップを具備する枝肉横断画像出力方法。
【請求項14】
コンピュータを、
牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、略60から略80のゲインにより1以上の超音波画像を取得する画像取得部と、
前記1以上の超音波画像を蓄積する画像蓄積部として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
コンピュータを、
2以上の各牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像と牛の肉質のランクを示すランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理により得られた学習モデルが格納されるモデル格納部から学習モデルを取得するモデル取得部と、
一の牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像を受け付ける画像受付部と、
前記画像受付部が受け付けた1以上の超音波画像と前記モデル取得部が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得する予測部と、
前記予測部が取得した前記ランク情報を出力する出力部として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータを、
一の牛のランク情報であり、請求項3から請求項8いずれか一項に記載のランク推定装置が取得したランク情報を取得するランク取得部と、
前記一の牛の1以上の牛生体パラメータを取得するパラメータ取得部と、
前記ランク取得部が取得したランク情報と前記パラメータ取得部が取得した1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合を用いて、ランク情報と1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合に対応付いた1以上の枝肉横断画像が格納されている枝肉横断画像格納部の中の1以上の枝肉横断画像であり、近似条件を満たすパラメータ集合に対応付く1以上の枝肉横断画像を取得する枝肉横断画像取得部と、
前記枝肉横断画像取得部が取得した1以上の枝肉横断画像を出力する枝肉横断画像出力部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛生体から取得した超音波画像を用いて、牛の肉質のランクを推定するランク推定等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、牛脂肪交雑は1~12段階で評価されるものであり、枝肉単価に大きな影響を与えている。生体の状態で脂肪交雑の状態が把握できると、それ以降の生産の効率化につながる。例えば、20か月齢で、脂肪交雑がある程度レベル以下の場合は、平均以下の枝肉となって仕上がることが予想される。黒毛和種の肥育には1日当たり500円の餌代のコストがかかるため、そのような牛は通常よりも数か月といったレベルで早期に出荷することがコストの削減につながる。
【0003】
一方、超音波画像から脂肪交雑の状態を読影することによる肉質の判定に関して、1990年代に富士平工業が「スーパーアイミート」を発売したころより本格化され、各県に導入されるに至った(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】福島県、“スーパーアイミートによる生体肉質診断が実施されました!”、[online]、[令和3年1月6日検索]、インターネット[URL:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36242a/kitakata226.html]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、超音波画像から脂肪交雑の状態を読影するには、熟練した技術を要するため、誰もができるものではなかった。つまり、従来、牛生体の早期の肉質判断が容易ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第一の発明の画像取得装置は、牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、略60から略80のゲインにより1以上の超音波画像を取得する画像取得部と、1以上の超音波画像を蓄積する画像蓄積部とを具備する画像取得装置である。
【0007】
かかる構成により、牛生体の早期の肉質判断が可能となる画像が得られる。
【0008】
また、本第二の発明の画像取得装置は、第一の発明に対して、所定領域は、牛生体の前足の後部閾値以内の範囲の胴部の領域である、画像取得装置である。
【0009】
かかる構成により、牛生体の早期の肉質判断が可能となる画像が得られる。
【0010】
また、本第三の発明のランク推定装置は、2以上の各牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像と牛の肉質のランクを示すランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理により得られた学習モデルが格納されるモデル格納部から学習モデルを取得するモデル取得部と、一の牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像を受け付ける画像受付部と、画像受付部が受け付けた1以上の超音波画像とモデル取得部が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得する予測部と、予測部が取得したランク情報を出力する出力部とを具備するランク推定装置である。
【0011】
かかる構成により、牛生体の早期の肉質判断を行うためのランク情報が得られる。
【0012】
また、本第四の発明のランク推定装置は、第三の発明に対して、教師データは、牛生体の2以上の各箇所に対して発せられた超音波を用いて得られた2以上の超音波画像からなる画像セットとランク情報とを有する、ランク推定装置である。
【0013】
かかる構成により、牛生体の早期の肉質判断を行うためのより正確なランク情報が得られる。
【0014】
また、本第五の発明のランク推定装置は、第四の発明に対して、超音波画像には、箇所を識別する箇所識別子が対応付いており、教師データは、箇所識別子をも有する、ランク推定装置である。
【0015】
かかる構成により、牛生体の早期の肉質判断を行うためのより正確なランク情報が得られる。
【0016】
また、本第六の発明のランク推定装置は、第三から第五いずれか1つの発明に対して、教師データは、牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、2以上の各ゲインにより得られた2以上の超音波画像からなる画像セットとランク情報とを有する、ランク推定装置である。
【0017】
かかる構成により、牛生体の早期の肉質判断を行うためのより正確なランク情報が得られる。
【0018】
また、本第七の発明のランク推定装置は、第六の発明に対して、超音波画像には、ゲインを識別するゲイン識別子が対応付いており、教師データは、ゲイン識別子をも有する、ランク推定装置である。
【0019】
かかる構成により、牛生体の早期の肉質判断を行うためのより正確なランク情報が得られる。
【0020】
また、本第八の発明のランク推定装置は、第一または第二の発明に対して、超音波画像は、画像取得装置が蓄積した超音波画像である、請求項3から請求項7いずれか一項に記載のランク推定装置である。
【0021】
かかる構成により、牛生体の早期の肉質判断を行うためのランク情報が得られる。
【0022】
また、本第九の発明の枝肉横断画像出力装置は、一の牛のランク情報であり、第三から第八いずれか1つの発明のランク推定装置が取得したランク情報を取得するランク取得部と、一の牛の1以上の牛生体パラメータを取得するパラメータ取得部と、ランク取得部が取得したランク情報とパラメータ取得部が取得した1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合を用いて、ランク情報と1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合に対応付いた1以上の枝肉横断画像が格納されている枝肉横断画像格納部の中の1以上の枝肉横断画像であり、近似条件を満たすパラメータ集合に対応付く1以上の枝肉横断画像を取得する枝肉横断画像取得部45と、枝肉横断画像取得部45が取得した1以上の枝肉横断画像を出力する枝肉横断画像出力部46とを具備する枝肉横断画像出力装置である。
【0023】
かかる構成により、牛の将来の予測される枝肉横断画像が得られる。
【0024】
また、本第十の発明の枝肉横断画像出力装置は、第九の発明に対して、パラメータ取得部は、一の牛の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、取得された超音波画像に対して、画像認識処理を行い、1以上の牛生体パラメータを取得する、枝肉横断画像出力装置である。
【0025】
かかる構成により、牛の将来の予測される枝肉横断画像が簡易に得られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による画像取得装置によれば、牛生体の早期の肉質判断が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施の形態1における牛情報処理システムAの構成図
図2】同牛情報処理システムAのブロック図
図3】同ランク推定装置3のブロック図
図4】同枝肉横断画像出力装置4のブロック図
図5】同画像取得装置1の動作例について説明するフローチャート
図6】同ランク推定装置3の動作例について説明するフローチャート
図7】同枝肉横断画像出力装置4の動作例について説明するフローチャート
図8】同ランク取得処理の例について説明するフローチャート
図9】同牛生体パラメータ取得処理の第一の例について説明するフローチャート
図10】同牛生体パラメータ取得処理の第二の例について説明するフローチャート
図11】同超音波画像を取得する領域を説明する図
図12】同超音波画像の例を示す図
図13】同超音波画像の例を示す図
図14】同教師データ管理表を示す図
図15】同BMSナンバーの予測処理の概念を示す図
図16】同枝肉横断画像格納部41の枝肉横断画像を示す図
図17】同超音波画像の例を示す図
図18】同出力例を示す図
図19】同コンピュータシステムの概観図
図20】同コンピュータシステムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、画像取得装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態において、牛生体から60dB~80dBの間のゲインによる超音波画像を取得し、蓄積する画像取得装置について説明する。なお、超音波画像を取得する領域は、牛生体の前足の後部の閾値以内の範囲の胴部であることは好適である。
【0030】
また、本実施の形態において、1以上の超音波画像を用いて、ランク情報を推定するために使用する学習モデルを構築する学習装置について説明する。
【0031】
また、本実施の形態において、1以上の超音波画像とランク情報とを有する2以上の教師データを学習して構成した学習モデルと、1以上の超音波画像とを用いて、ランク情報を推定するランク推定装置について説明する。
【0032】
さらに、本実施の形態において、ランク情報と、僧帽筋の厚さ、皮下脂肪の厚さ、広背筋の厚さ等の1以上の牛生体パラメータとを用いて、1以上の枝肉横断画像を取得し、出力する枝肉横断画像出力装置について説明する。
【0033】
図1は、本実施の形態における牛情報処理システムAの構成図である。牛情報処理システムAは、画像取得装置1、学習装置2、ランク推定装置3、および枝肉横断画像出力装置4を備える。なお、牛情報処理システムAを構成する2以上の装置が、一体に構成されていても良い。例えば、学習装置2、ランク推定装置3、および枝肉横断画像出力装置4は、一体の装置でも良い。
【0034】
また、画像取得装置1、学習装置2、ランク推定装置3、および枝肉横断画像出力装置4は、インターネット等のネットワークにより、通信可能でも良い。
【0035】
図2は、本実施の形態における牛情報処理システムAのブロック図である。図3は、ランク推定装置3のブロック図である。図4は、枝肉横断画像出力装置4のブロック図である。
【0036】
画像取得装置1は、画像格納部11、受付部12、画像取得部13、および画像蓄積部14を備える。
【0037】
学習装置2は、学習格納部21、学習受付部22、および学習処理部23を備える。学習格納部21は、教師データ格納部211、およびモデル格納部212を備える。学習処理部23は、学習部231、および学習蓄積部232を備える。
【0038】
ランク推定装置3は、格納部31、受付部32、処理部33、および出力部34を備える。格納部31は、モデル格納部212、および画像格納部311を備える。受付部32は、画像受付部321を備える。処理部33は、モデル取得部331、および予測部332を備える。
【0039】
枝肉横断画像出力装置4は、枝肉横断画像格納部41、受付部42、ランク取得部43、パラメータ取得部44、枝肉横断画像取得部45、および枝肉横断画像出力部46を備える。
【0040】
画像取得装置1を構成する画像格納部11には、1または2以上の超音波画像が格納される。超音波画像は、超音波をあてた箇所を識別する箇所識別子が対応付いていることは好適である。超音波画像は、ゲインを識別するゲイン識別子が対応付いていることは好適である。
【0041】
受付部12は、各種の指示や情報を受け付ける。各種の指示や情報は、画像取得指示、ゲイン識別子、箇所識別子である。画像取得指示は、超音波画像を取得する指示である。画像取得指示は、ゲイン識別子、箇所識別子を有しても良い。
【0042】
画像取得部13は、牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、1または2以上の超音波画像を取得する。画像取得部13は、公知技術であるので、詳細な説明を省略する。
【0043】
画像取得部13は、牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、略60から略80の間のゲインにより1または2以上の超音波画像を取得することは好適である。
【0044】
画像取得部13は、牛の2以上の箇所の超音波画像を取得することは好適である。例えば、画像取得部13は、牛の4つの箇所の超音波画像を取得する。
【0045】
画像取得部13は、2以上のゲインを用いて、2以上の超音波画像を取得することは好適である。例えば、画像取得部13は、2段階の各ゲインの超音波画像を取得する。
【0046】
例えば、画像取得部13は、牛の4つの各箇所に対して、2段階の各ゲインを用いて、8つの超音波画像を取得する。
【0047】
なお、所定領域は、牛生体の前足の後部の閾値以内の範囲の胴部の領域であることは好適である。かかる所定領域は、牛生体の肩甲骨の直ぐ後部の閾値以内の範囲の胴部の領域である。
【0048】
画像取得部13は、例えば、1以上の各箇所について、略60dBから略80dBの間の固定値(例えば、74dB)のゲインにより超音波画像を取得し、次に、ユーザからの指示または自動的にゲインを連続的に下げていき、像がクリアになったところで撮影し、超音波画像を取得する。なお、ここでのゲインは、最大感度を、便宜上、100dBと表現した場合の増幅度を示す情報である。つまり、ここでのゲインは、最大100で、正規化された増幅度を示す情報である。また、像がクリアになったとの判断は、人が行っても良いし、画像処理により自動的に行われても良い。
【0049】
画像蓄積部14は、画像取得部13が取得した1以上の超音波画像を蓄積する。画像蓄積部14は、画像取得部13が取得した1以上の超音波画像を、当該超音波画像を取得する際のゲインを識別するゲイン識別子と対にして蓄積することは好適である。画像蓄積部14は、画像取得部13が取得した1以上の超音波画像を、超音波をあてた箇所を特定する箇所識別子と対にして蓄積することは好適である。なお、箇所識別子は、通常、ユーザにより入力される。
【0050】
画像蓄積部14は、画像取得部13が取得した1以上の超音波画像を、通常、画像格納部11に蓄積する。ただし、画像蓄積部14は、外部の装置に、1以上の超音波画像を蓄積しても良い。
【0051】
学習装置2を構成する学習格納部21には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、後述する教師データ、後述する学習モデルである。
【0052】
教師データ格納部211には、2以上の教師データが格納される。教師データは、例えば、1または2以上の超音波画像とランク情報とを有する。教師データは、一つの超音波画像とランク情報だけでも良い。教師データは、例えば、1または2以上の各超音波画像から取得される1以上の特徴量とランク情報とを有する。教師データは、例えば、1または2以上の各超音波画像から取得される1以上の特徴量と1または2以上の超音波画像とランク情報とを有する。特徴量は、例えば、後述する牛生体パラメータである。特徴量は、例えば、画像の公知の特徴量でも良い。
【0053】
教師データが有する超音波画像は、当該超音波画像の対象の箇所を識別する箇所識別子が対応付いていることは好適である。箇所は、牛生体の箇所であり、超音波が発せられた箇所である。箇所は、観測対象の箇所である。箇所識別子が対応付いていることは、教師データが箇所識別子を有することでも良い。
【0054】
教師データが有する超音波画像は、当該超音波画像を得る際のゲインを識別するゲイン識別子が対応付いていることは好適である。また、当該ゲインは、略60から略80の間であることは好適である。当該ゲインは、例えば、74、71、67、66(単位は「dB」)である。超音波画像にゲイン識別子が対応付いていることは、教師データがゲイン識別子を有することでも良い。
【0055】
教師データは、2以上の超音波画像の組である画像セットを有しても良い。画像セットを構成する2以上の超音波画像は、牛生体の2以上の各箇所に対して発せられた超音波を用いて得られた2以上の超音波画像であることは好適である。画像セットを構成する2以上の超音波画像は、牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、2以上の各ゲインにより得られた2以上の超音波画像であることは好適である。
【0056】
画像セットを構成する2以上の超音波画像は、例えば、牛の所定領域の中の4箇所を対象とした超音波画像であり、箇所ごとに、2段階のゲイン(例えば、74、66)で各々取得された超音波画像である。かかる場合、画像セットを構成する超音波画像の数は、8である。
【0057】
ランク情報とは、牛の肉質のランクを示す情報である。ランク情報は、例えば、BMSナンバーである。但し、ランク情報は、例えば、等級であっても良く、問わない。ランク情報は、将来的に使用されることとなった情報であり、ランクを示す情報でも良い。
【0058】
モデル格納部212には、学習モデルが格納される。学習モデルは、学習器、分類器等と言っても良い。学習モデルは、1以上の超音波画像とともに、機械学習の予測処理に用いられ、ランク情報を出力するための情報である。学習モデルは、例えば、後述する学習部231が取得する情報である。
【0059】
学習受付部22は、各種の指示や情報等を受け付ける。各種の指示や情報等は、例えば、学習指示、教師データである。学習指示は、学習の開始指示である。
【0060】
各種の指示や情報等の入力手段は、タッチパネルやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。
【0061】
学習処理部23は、各種の処理を行う。各種の処理は、例えば、学習部231、学習蓄積部232が行う処理である。
【0062】
学習部231は、機械学習の学習処理を行う。学習部231は、教師データ格納部211の2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理を行い、学習モデルを取得する。さらに具体的には、学習部231は、教師データ格納部211から2以上の教師データを取得し、当該2以上の教師データを機械学習の学習処理を行うモジュールに与え、当該モジュールを実行し、学習モデルを取得する。
【0063】
学習部231は、学習処理の前に、教師データが有する各超音波画像から1以上の牛生体パラメータを取得しても良い。かかる場合、学習部231は、例えば、1以上の牛生体パラメータと超音波画像とランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理を行い、学習モデルを取得しても良い。なお、超音波画像から1以上の牛生体パラメータを取得する処理は、後述するパラメータ取得部44が行う処理である。
【0064】
学習部231は、学習処理の前に、教師データが有する各超音波画像から画像の1以上の特徴量を取得しても良い。かかる場合、学習部231は、例えば、1以上の特徴量と超音波画像とランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理を行い、学習モデルを取得しても良い。かかる場合、学習部231は、例えば、1以上の特徴量とランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理を行い、学習モデルを取得しても良い。
【0065】
ここで使用する機械学習のアルゴリズムは問わない。機械学習の学習処理を行うアルゴリズムは、深層学習が好適であるが、例えば、決定木、ランダムフォレスト、SVM、SVR等でも良く、機械学習の種類は問わない。また、学習モデルは、1以上の超音波画像を入力として、ランク情報を出力するためのモデルである。
【0066】
また、機械学習の学習処理を行うモジュールは、例えば、TensorFlowのライブラリの中の各種の関数、R言語のrandom forestのモジュール、tinySVM等である。
【0067】
学習蓄積部232は、学習部231が取得した学習モデルを蓄積する。学習蓄積部232は、通常、学習部231が取得した学習モデルをモデル格納部212に蓄積する。
【0068】
ランク推定装置3を構成する格納部31には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、学習モデル、1以上の超音波画像である。ここでの学習モデルは、学習装置2が取得したモデルであることは好適である。
【0069】
画像格納部311には、1以上の超音波画像が格納される。画像格納部311には、通常、一の牛生体の1以上の超音波画像が格納される。1以上の超音波画像は、ランク情報を取得する対象の牛の超音波画像である。
【0070】
画像格納部311には、生体識別子に対応付く1以上の超音波画像が格納されていても良い。つまり、画像格納部311には、2以上の各牛の超音波画像が格納されていても良い。
【0071】
受付部32は、各種の指示や情報を受け付ける。各種の指示や情報とは、例えば、予測指示、1以上の超音波画像である。
【0072】
各種の指示や情報の入力手段は、タッチパネルやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。
【0073】
画像受付部321は、1以上の超音波画像を受け付ける。超音波画像は、一の牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた画像である。画像受付部321が受け付けた1以上の超音波画像は、例えば、画像取得装置1が取得した超音波画像であり、画像格納部311に、少なくとも一時蓄積される。
【0074】
処理部33は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、モデル取得部331、予測部332が行う処理である。
【0075】
モデル取得部331は、モデル格納部212から学習モデルを取得する。なお、かかるモデル格納部212は、ランク推定装置3ではない外部の装置(図示しない)に存在しても良い。
【0076】
予測部332は、画像受付部321が受け付けた1以上の超音波画像とモデル取得部331が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得する。
【0077】
予測部332は、画像受付部321が受け付けた1以上の各超音波画像から1以上の牛生体パラメータを取得しても良い。そして、予測部332は、例えば、画像受付部321が受け付けた1以上の超音波画像と1以上の牛生体パラメータとモデル取得部331が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得しても良い。また、予測部332は、例えば、取得した1以上の牛生体パラメータとモデル取得部331が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得しても良い。
【0078】
予測部332は、画像受付部321が受け付けた1以上の各超音波画像から画像の1以上の特徴量を取得しても良い。そして、予測部332は、取得した1以上の特徴量とモデル取得部331が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得しても良い。
【0079】
さらに具体的には、予測部332は、画像受付部321が受け付けた1以上の超音波画像とモデル取得部331が取得した学習モデルとを、機械学習の予測処理を行うモジュールに与え、当該モジュールを実行し、予測結果であるランク情報を取得する。
【0080】
なお、上述した通り、機械学習のアルゴリズムは問わない。機械学習の予測処理を行うアルゴリズムは、深層学習が好適であるが、例えば、決定木、ランダムフォレスト、SVR、SVM等でも良く、機械学習の種類は問わない。
【0081】
機械学習の予測処理を行うモジュールは、例えば、TensorFlowのライブラリの中の各種の関数、R言語のrandom forestのモジュール、tinySVM等である。
【0082】
出力部34は、予測部332が取得したランク情報を出力する。ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0083】
枝肉横断画像出力装置4を構成する枝肉横断画像格納部41には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、1以上の枝肉横断画像である。枝肉横断画像は、ランク情報と1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合に対応付いている。なお、枝肉横断画像格納部41は、枝肉横断画像出力装置4ではない、外部の装置に存在していても良い。
【0084】
枝肉横断画像格納部41には、予測される枝肉横断画像を取得する対象の一の牛の1以上の超音波画像、一の牛のランク情報、または一の牛の1以上の牛生体パラメータが格納されていても良い。
【0085】
受付部42は、各種の指示や情報を受け付ける。各種の指示や情報は、例えば、枝肉横断画像出力指示、1以上の牛生体パラメータである。枝肉横断画像出力指示とは、枝肉横断画像の出力の指示である。
【0086】
ランク取得部43は、ランク推定装置3が取得したランク情報を取得する。ランク情報は、枝肉横断画像格納部41に格納されていても良い。ランク取得部43は、ランク推定装置3であっても良い。
【0087】
パラメータ取得部44は、一の牛の1以上の牛生体パラメータを取得する。1以上の牛生体パラメータは、例えば、僧帽筋の厚さ、僧帽筋直上の皮下脂肪の厚さ、皮下脂肪の厚さ、バラの厚さ、広背筋の厚さ、シコリの有無である。
【0088】
パラメータ取得部44は、例えば、一の牛の1以上の超音波画像に対して、画像処理を行い、1以上の牛生体パラメータを取得する。画像処理の例の詳細は後述する。
【0089】
パラメータ取得部44は、例えば、人手により入力された1以上の牛生体パラメータを取得しても良い。人手により入力された1以上の牛生体パラメータは、例えば、人が、超音波画像を検査し、取得したパラメータである。人手により入力された1以上の牛生体パラメータは、受付部42が受け付けた情報である。
【0090】
枝肉横断画像取得部45は、ランク取得部43が取得したランク情報とパラメータ取得部44が取得した1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合を用いて、枝肉横断画像格納部41の中の1以上の枝肉横断画像であり、近似条件を満たすパラメータ集合に対応付く1以上の枝肉横断画像を取得する。近似条件は、2つのパラメータ集合が近似すると判断されるための条件である。近似条件は、例えば、2つのパラメータ集合の類似度が閾値以上または閾値より大きいことである。近似条件は、例えば、2つのパラメータ集合の類似度が最大であることである。近似条件は、例えば、2つのパラメータ集合の類似度の順位が閾値以内または閾値より小さいことである。近似条件は、例えば、機械学習の予測処理により近似する、と判定されることである。
【0091】
枝肉横断画像出力部46は、枝肉横断画像取得部45が取得した1以上の枝肉横断画像を出力する。
【0092】
枝肉横断画像出力部46または図示しない出力部は、パラメータ取得部44が取得した1以上の牛生体パラメータを出力しても良い。
【0093】
ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0094】
画像格納部11、学習格納部21、教師データ格納部211、モデル格納部212、格納部31、モデル格納部212、画像格納部311、および枝肉横断画像格納部41は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0095】
画像格納部11等に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が画像格納部11等で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が画像格納部11等で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が画像格納部11等で記憶されるようになってもよい。
【0096】
画像取得部13は、超音波発生器(例えば、「DIAGNOSTIC SCANNER HS-1600V」)が利用可能である。
【0097】
画像蓄積部14、学習処理部23、学習部231、学習蓄積部232、処理部33、モデル取得部331、予測部332、ランク取得部43、パラメータ取得部44、および枝肉横断画像取得部45は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。画像蓄積部14等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0098】
受付部12、学習受付部22、受付部32、画像受付部321、および受付部42は、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
【0099】
出力部34、および枝肉横断画像出力部46は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部34等は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0100】
次に、牛情報処理システムAの動作例について説明する。まず、画像取得装置1の動作例について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0101】
(ステップS501)画像取得装置1の受付部12は、画像取得指示を受け付けたか否かを判断する。画像取得指示を受け付けた場合はステップS502に行き、画像取得指示を受け付けなかった場合はステップS506に行く。なお、画像取得指示は、超音波を発して、超音波画像を取得する指示である。
【0102】
(ステップS502)受付部12は、箇所識別子を受け付けたか否かを判断する。箇所識別子を受け付けた場合はステップS503に行き、箇所識別子を受け付けなかった場合はステップS502に戻る。
【0103】
(ステップS503)画像取得部13は、画像格納部11のゲイン識別子を取得する。
【0104】
(ステップS504)画像取得部13は、超音波を発して、ゲイン識別子が示すゲインに対応する超音波画像を取得する。
【0105】
(ステップS505)画像蓄積部14は、ステップS502で受け付けられた箇所識別子と、ステップS503で取得されたゲイン識別子とに対応付けて、ステップS504で取得された超音波画像を画像格納部11に蓄積する。ステップS501に戻る。
【0106】
(ステップS506)受付部12は、ゲインの設定を受け付けたか否かを判断する。ゲインの設定を受け付けた場合はステップS507に行き、ゲインの設定を受け付けなかった場合はステップS501に戻る。
【0107】
(ステップS507)画像取得部13は、ステップS506で受け付けられた設定に対応するゲイン識別子を取得する。画像蓄積部14は、当該ゲイン識別子を画像格納部11に蓄積する。ステップS501に戻る。
【0108】
なお、図5のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0109】
次に、学習装置2の動作例について説明する。学習装置2の学習受付部22が、教師データの入力を受け付けた場合、学習処理部23は、当該教師データを教師データ格納部211に蓄積する。そして、2以上の教師データが格納された後、学習受付部22は、学習指示を受け付ける。次に、学習部231は、教師データ格納部211から2以上の教師データを読み出し、機械学習の学習処理を行うモジュールに、当該2以上の教師データを与え、当該モジュールを実行し、学習モデルを取得する。次に、学習蓄積部232は、当該学習モデルをモデル格納部212に蓄積する。
【0110】
次に、ランク推定装置3の動作例について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0111】
(ステップS601)画像受付部321は、ランクを決定する対象の牛生体の1以上の超音波画像を受け付けたか否かを判断する。1以上の超音波画像を受け付けた場合はステップS602に行き、1以上の超音波画像を受け付けなかった場合はステップS603に行く。画像受付部321が受け付ける1以上の超音波画像は、画像取得装置1が取得した超音波画像であることは好適である。また、各超音波画像は、ゲイン識別子および箇所識別子に対応付いていることは好適である。
【0112】
(ステップS602)処理部33は、ステップS601で受け付けられた1以上の超音波画像を画像格納部311に蓄積する。ステップS601に戻る。
【0113】
なお、画像格納部311に蓄積される超音波画像は、ゲイン識別子および箇所識別子に対応付いていることは好適である。
【0114】
(ステップS603)受付部32は、予測指示を受け付けたか否かを判断する。予測指示を受け付けた場合はステップS604に行き、予測指示を受け付けなかった場合はステップS601に戻る。
【0115】
(ステップS604)モデル取得部331は、モデル格納部212の学習モデルを取得する。
【0116】
(ステップS605)予測部332は、画像格納部311の1以上の超音波画像を取得する。
【0117】
(ステップS606)予測部332は、ステップS604で取得された学習モデルと、ステップS605で取得した1以上の超音波画像とを、機械学習の予測処理を行うモジュールに与え、当該モジュールを実行し、ランク情報を取得する。
【0118】
(ステップS607)出力部34は、ステップS606で取得されたランク情報を出力する。ステップS601に戻る。
【0119】
なお、図6のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0120】
次に、枝肉横断画像出力装置4の動作例について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0121】
(ステップS701)受付部42は、枝肉横断画像出力指示を受け付けたか否かを判断する。枝肉横断画像出力指示を受け付けた場合はステップS702に行き、枝肉横断画像出力指示を受け付けなかった場合はステップS701に戻る。
【0122】
(ステップS702)ランク取得部43は、対象となる牛生体のランク情報を取得する。なお、ランク情報を取得する処理であるランク取得処理の例について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、ここで、ランク取得部43は、枝肉横断画像格納部41に格納されているランク情報を読み出す処理を行っても良い。
【0123】
(ステップS703)パラメータ取得部44は、対象となる牛生体の1以上の牛生体パラメータを取得する。かかる牛生体パラメータ取得処理の例について、図9図10のフローチャートを用いて説明する。
【0124】
なお、ここで、パラメータ取得部44は、枝肉横断画像格納部41に格納されている1以上の牛生体パラメータを読み出す処理を行っても良い。また、パラメータ取得部44は、複数の牛生体パラメータのうちの一部の牛生体パラメータを、図9図10のフローチャートで説明する牛生体パラメータ取得処理により取得し、他の牛生体パラメータを枝肉横断画像格納部41から読み出しても良い。なお、枝肉横断画像格納部41の牛生体パラメータは、例えば、ユーザが入力した牛生体パラメータである。
【0125】
(ステップS704)枝肉横断画像取得部45は、ステップS702で取得されたランク情報とステップS703で取得された1以上の各牛生体パラメータを要素とするベクトルを構成する。
【0126】
(ステップS705)枝肉横断画像取得部45は、カウンタiに1を代入する。
【0127】
(ステップS706)枝肉横断画像取得部45は、i番目の枝肉横断画像が枝肉横断画像格納部41に存在するか否かを判断する。i番目の枝肉横断画像が存在する場合はステップS707に行き、存在しない場合はステップS710に行く。
【0128】
(ステップS707)枝肉横断画像取得部45は、i番目の枝肉横断画像と対になるベクトルを枝肉横断画像格納部41から取得する。
【0129】
(ステップS708)枝肉横断画像取得部45は、ステップS704で構成したベクトルとステップS707で取得したベクトルとの類似度を算出する。なお、2つのベクトルの類似度は、通常、2つのベクトルの距離(コサイン値)であるが、他のアルゴリズムで類似度を取得しても良い。他のアルゴリズムは、例えば、2つのベクトルの間で一致する要素の割合を類似度として算出することである。また、2つのベクトルの類似度を算出する技術は公知技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0130】
(ステップS709)枝肉横断画像取得部45は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS706に戻る。
【0131】
(ステップS710)枝肉横断画像取得部45は、ステップS708で算出した類似度が近似条件を満たす1以上のベクトルを決定する。なお、近似条件は、例えば、「類似度が最大であること」「類似度が上位N(Nは自然数)であること」「類似度が閾値以上または閾値より大きいこと」である。
【0132】
(ステップS711)枝肉横断画像取得部45は、ステップS710で決定した1以上の各ベクトルと対になる枝肉横断画像を枝肉横断画像格納部41から取得する。
【0133】
(ステップS712)枝肉横断画像出力部46は、ステップS711で取得した1以上の枝肉横断画像を出力する。ステップS701に戻る。
【0134】
なお、図7のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0135】
次に、ステップS702のランク取得処理の例について、図8フローチャートを用いて説明する。ステップS702のランク取得処理の例は、ランク取得部43が、図6のステップS604、S605、およびS606の処理を行い、ランク情報を取得する処理である。
【0136】
なお、図8のフローチャートにおいて、学習モデルは、枝肉横断画像格納部41に格納されている、とする。また、ランク取得部43は、予測部332と同じ処理を行う、とする。
【0137】
次に、ステップS703の牛生体パラメータ取得処理の第一の例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0138】
(ステップS901)パラメータ取得部44は、カウンタiに1を代入する。
【0139】
(ステップS902)パラメータ取得部44は、i番目のパラメータを取得するか否かを判断する。i番目のパラメータを取得する場合はステップS903に行き、i番目のパラメータを取得しない場合は上位処理にリターンする。なお、取得するパラメータは、予め決められている。
【0140】
(ステップS903)パラメータ取得部44は、i番目のパラメータに対応する箇所識別子と対になる超音波画像を枝肉横断画像格納部41から取得する。
【0141】
(ステップS904)パラメータ取得部44は、i番目のパラメータを、画像処理により取得するか、機械学習処理により取得するかを決定する。画像処理により取得する場合はステップS905に行き、機械学習処理により取得する場合はステップS907に行く。なお、i番目のパラメータの取得方法は、予め決められている。
【0142】
(ステップS905)パラメータ取得部44は、ステップS903で取得した超音波画像に対する輪郭抽出処理により、i番目のパラメータの取得のための境界線を取得する。例えば、i番目のパラメータが「僧帽筋の厚さ」である場合、パラメータ取得部44は、僧帽筋の上の境界と下の境界の2つの境界のラインを決定する。
【0143】
(ステップS906)パラメータ取得部44は、i番目のパラメータの取得のための境界線の間の距離に対応する厚さ(i番目のパラメータ)を取得し、当該厚さをi番目のパラメータの識別子に対応付けて、図示しないバッファに一時蓄積する。ステップS909に行く。
【0144】
(ステップS907)パラメータ取得部44は、i番目のパラメータを取得するための学習モデルを枝肉横断画像格納部41から取得する。
【0145】
(ステップS908)パラメータ取得部44は、ステップS903で取得した超音波画像とステップS908で取得した学習モデルとを、機械学習の予測処理を行うモジュールに与え、当該モジュールを実行し、i番目のパラメータを取得し、i番目のパラメータの識別子に対応付けて、図示しないバッファに一時蓄積する。なお、i番目のパラメータは、例えば、「シコリの有無」である。また、かかる場合の学習モデルは、「シコリ有り」の1以上の画像(正例)と「シコリなし」の1以上の画像(負例)とを教師データとして学習処理を行い、取得された情報である。
【0146】
(ステップS909)パラメータ取得部44は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS902に戻る。
【0147】
次に、ステップS703の牛生体パラメータ取得処理の第二の例について、図10のフローチャートを用いて説明する。第二の例は、第一の例を、より具体的にした例である。
【0148】
(ステップS1001)パラメータ取得部44は、「箇所識別子=僧帽筋等」に対応する超音波画像を枝肉横断画像格納部41から取得する。
【0149】
(ステップS1002)パラメータ取得部44は、ステップS1001で取得した超音波画像に対する輪郭抽出処理により、皮と皮下脂肪の境界線、および僧帽筋の境界線を決定する。なお、画像の境界線を決定する輪郭抽出処理は公知技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0150】
(ステップS1003)パラメータ取得部44は、ステップS1002で決定された皮と皮下脂肪の境界線の情報を用いて、「僧帽筋直上の皮下脂肪の厚さ」を取得する。なお、パラメータ取得部44は、例えば、皮下脂肪の複数の箇所の厚さのうちの代表値(例えば、最大値、平均値、隅の厚さ)を「僧帽筋直上の皮下脂肪の厚さ」として取得する。
【0151】
(ステップS1004)パラメータ取得部44は、ステップS1002で決定された僧帽筋の境界線の間の距離である「僧帽筋の厚さ」を取得する。なお、パラメータ取得部44は、例えば、境界線の間の複数の距離のうちの代表値(例えば、最大値、平均値、隅の厚さ)を「僧帽筋の厚さ」として取得する。
【0152】
(ステップS1005)パラメータ取得部44は、僧帽筋の下の所定領域の画素の集合を取得する。
【0153】
(ステップS1006)パラメータ取得部44は、ステップS1005で取得した画素の集合がシコリ条件に合致するか否かを判断する。シコリ条件に合致する場合はステップS1007に行き、シコリ条件に合致しない場合はステップS1008に行く。なお、シコリ条件は、シコリの有無を判断するための条件であり、ここでは「シコリ=あり」とするための条件である。シコリ条件は、例えば、画素値に関する代表値(例えば、画素値の平均値、閾値以上の画素値の数、閾値以上の画素値の割合)が閾値以上または閾値より大きいことである。
【0154】
(ステップS1007)パラメータ取得部44は、パラメータ「シコリ=あり」を取得する。ステップS1009に行く。
【0155】
(ステップS1008)パラメータ取得部44は、パラメータ「シコリ=なし」を取得する。
【0156】
(ステップS1009)パラメータ取得部44は、「箇所識別子=皮下脂肪等」に対応する超音波画像を枝肉横断画像格納部41から取得する。
【0157】
(ステップS1010)パラメータ取得部44は、ステップS1009で取得した超音波画像に対する輪郭抽出処理により、皮下脂肪と広背筋との間の境界線を決定する。
【0158】
(ステップS1011)パラメータ取得部44は、ステップS1010で決定した境界線の情報を用いて、皮下脂肪の厚さを取得する。
【0159】
(ステップS1012)パラメータ取得部44は、ステップS1009で取得した超音波画像に対する輪郭抽出処理により、広背筋と内部の脂肪との間の境界線を決定する。
【0160】
(ステップS1013)パラメータ取得部44は、ステップS1012で決定した境界線の情報を用いて、広背筋の厚さを取得する。
【0161】
(ステップS1014)パラメータ取得部44は、ステップS1009で取得した超音波画像に対する輪郭抽出処理により、内部の脂肪と肋骨との間の境界線を決定する。
【0162】
(ステップS1015)パラメータ取得部44は、ステップS1014で決定した境界線の情報を用いて、バラ厚を取得する。上位処理にリターンする。
【0163】
以下、本実施の形態における牛情報処理システムAの具体的な動作例について説明する。
牛情報処理システムAの概念図は図1である。
【0164】
今、ユーザは、画像取得装置1を使用し、牛生体の肩甲骨の領域1101の直ぐ後部の閾値以内の範囲の胴部の領域1102に、発生させた超音波を当て、超音波画像を取得した、とする(図11参照)。なお、画像取得装置1は、領域1102の中の4箇所において、各々、2段階のゲインで、一の牛に対して、8枚の超音波画像を取得し、画像格納部11に蓄積した、とする。なお、画像取得装置1として、「DIAGNOSTIC SCANNER HS-1600V」(URL: https://www.honda-el.co.jp/medical/hs1600v.html)が使用可能である。
【0165】
また、画像取得装置1が使用した2段階のゲインのうちの一つは固定値(例えば、ここでは「74」)である。また、画像取得装置1が使用した2段階のゲインのうちの他は、ゲインを連続的に下げ、像がクリアになった時のゲインである。なお、霜降りが多いと、ゲインが低い場合(例えば、「66」)に画像がクリアとなる(図12参照)。一方、霜降りが少ないと、ゲインが高い場合(例えば、「71」)でも画像がクリアとなる(図13参照)。つまり、ここでは、牛によって一つの採用されるゲインは異なる。図12図13は、学習装置2が使用する教師データを作成するために取得された超音波画像の例である。
【0166】
また、画像取得装置1は、一の牛に対して、ゲイン識別子と箇所識別子と対にして、8枚の超音波画像を画像格納部11に蓄積した、とする。
【0167】
さらに、画像取得装置1は、多数の牛に対して、上記の処理により、8枚の超音波画像を画像格納部11に蓄積した、とする。
【0168】
次に、ユーザは、各牛の8枚の超音波画像に対応付けて、BMSナンバーを対応付けて、学習装置2の教師データ格納部211に蓄積した、とする。そして、教師データ格納部211には、図14に示す教師データ管理表が蓄積された、とする。
【0169】
教師データ管理表は、多数の教師データを管理する。教師データ管理表は、牛ごとに「1」から「8」の8枚の超音波画像およびBMSナンバーを有する。また、各超音波画像は、「ゲイン識別子」「箇所識別子」に対応付いている。「箇所識別子」は、「1」「2」「3」「4」のいずれかである。箇所識別子「1」は、例えば、箇所識別子「僧帽筋等」であり、僧帽筋の厚さ、僧帽筋直上の皮下脂肪の厚さ等を取得できる箇所を特定する情報である。「2」は、例えば、箇所識別子「皮下脂肪等」であり、皮下脂肪の厚さ、広背筋の厚さ、バラ厚を取得できる箇所を特定する情報である。
【0170】
次に、ユーザは、学習装置2に対して学習指示を入力した、とする。すると、学習装置2の学習受付部22は、学習指示を受け付ける。次に、学習部231は、教師データ格納部211から2以上の教師データ(図14)を読み出し、機械学習の学習処理を行うモジュール(例えば、深層学習のモジュール)に、当該2以上の教師データを与え、当該モジュールを実行し、学習モデルを取得する。次に、学習蓄積部232は、当該学習モデルをモデル格納部212に蓄積する。
【0171】
次に、ユーザは、ランク推定装置3に対して、BMSナンバーの予測対象の牛の1または2以上の超音波画像と、各超音波画像に対応するゲイン識別子と箇所識別子とを、ランク推定装置3に与え、予測指示を入力した、とする。
【0172】
なお、ここで、ランク推定装置3は、ゲイン識別子と箇所識別子とを使用せずに、BMSナンバーを取得しても良い。かかる場合の学習モデルは、ゲイン識別子と箇所識別子とを使用せずに構築された情報である。
【0173】
次に、ランク推定装置3の受付部32は、予測指示を受け付ける。次に、モデル取得部331は、学習装置2が取得した学習モデルを、モデル格納部212から取得する。
【0174】
次に、予測部332は、取得された学習モデルと、受け付けた1以上の超音波画像とゲイン識別子と箇所識別子との組を、機械学習の予測処理を行うモジュールに与え、当該モジュールを実行し、BMSナンバーを取得する。出力部34は、取得されたBMSナンバーを出力する。なお、かかる処理の概念を図15に示す。
【0175】
次に、枝肉横断画像出力装置4の動作の具体例を説明する。今、枝肉横断画像出力装置4の枝肉横断画像格納部41には、図16に示すように多数の枝肉横断画像が格納されている、とする。また、枝肉横断画像格納部41の枝肉横断画像には、枝肉横断画像の対象である牛のBMSナンバー、および1以上の牛生体パラメータが対応付いている、とする。また、1以上の牛生体パラメータは、ここでは、僧帽筋の厚さ、僧帽筋直上の皮下脂肪の厚さ、皮下脂肪の厚さ、バラの厚さ、広背筋の厚さ、シコリの有無である、とする。
【0176】
そして、枝肉横断画像出力装置4の受付部42は、枝肉横断画像出力指示を受け付けた、とする。かかる枝肉横断画像出力指示は、ランク推定装置3が受け付けた1以上の超音波画像と、ランク推定装置3が出力したBMSナンバーとを有する、とする。
【0177】
次に、ランク取得部43は、枝肉横断画像出力指示が有するランク情報「BMSナンバー:12」を取得する。
【0178】
次に、パラメータ取得部44は、枝肉横断画像出力指示が有する超音波画像のうちの、箇所識別子「1」に対応する超音波画像を取得する。かかる画像は、図17の(a)である。次に、パラメータ取得部44は、図17の(a)の画像に対する上述した画像処理により、僧帽筋の境界線を決定する。そして、パラメータ取得部44は、僧帽筋の厚さ「3.8」、僧帽筋直上の皮下脂肪の厚さ「2.0」を取得した、とする。
【0179】
また、パラメータ取得部44は、枝肉横断画像出力指示が有する超音波画像のうちの、箇所識別子「2」に対応する超音波画像を取得する。かかる画像は、図17の(b)である。次に、パラメータ取得部44は、図17の(b)の画像に対する上述した画像処理により、皮下脂肪の厚さ「3.9」、広背筋の厚さ「3.6」、バラ厚「8.6」を取得した、とする。
【0180】
なお、パラメータ取得部44は、ユーザにより入力された牛生体パラメータを取得しても良い。
【0181】
次に、枝肉横断画像取得部45は、取得されたランク情報「BMSナンバー:12」と取得された1以上の各牛生体パラメータを要素とするベクトル(12,3.8,2.0,3.9,3.6,8.6)を構成する。
【0182】
次に、枝肉横断画像取得部45は、取得したベクトル(12,3.8,2.0,3.9,3.6,8.6)に最も近似するベクトルを、枝肉横断画像格納部41から検索する。次に、枝肉横断画像取得部45は、当該最も近似するベクトルと対になる枝肉横断画像を枝肉横断画像格納部41から取得する。
【0183】
次に、枝肉横断画像出力部46は、取得した枝肉横断画像を出力する。かかる出力例は、図18である。図18において、BMSナンバー、牛生体パラメータ、および枝肉横断画像が出力されている。
【0184】
以上、本実施の形態の画像取得装置1によれば、牛生体の早期の肉質判断を可能とするための適切な超音波画像が得られる。
【0185】
また、本実施の形態の学習装置2によれば、牛生体の早期の肉質判断を可能とするための適切な学習モデルが得られる。
【0186】
また、本実施の形態のランク推定装置3によれば、牛生体の早期の肉質判断を行うためのランク情報が得られる。
【0187】
また、本実施の形態のランク推定装置3によれば、牛生体の早期の肉質判断を行うための正確なランク情報が得られる。
【0188】
また、本実施の形態の枝肉横断画像出力装置4によれば、牛の将来の予測される枝肉横断画像が簡易に得られる。
【0189】
なお、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における画像取得装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて、略60から略80のゲインにより1以上の超音波画像を取得する画像取得部と、前記1以上の超音波画像を蓄積する画像蓄積部として機能させるためのプログラムである。
【0190】
また、本実施の形態におけるランク推定装置3を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、2以上の各牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像と牛の肉質のランクを示すランク情報とを有する2以上の教師データに対して、機械学習の学習処理により得られた学習モデルが格納されるモデル格納部から学習モデルを取得するモデル取得部と、
一の牛生体の所定領域に対して発せられた超音波を用いて得られた1以上の超音波画像を受け付ける画像受付部と、前記画像受付部が受け付けた1以上の超音波画像と前記モデル取得部が取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、ランク情報を取得する予測部と、前記予測部が取得した前記ランク情報を出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
【0191】
また、本実施の形態における枝肉横断画像出力装置4を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、一の牛のランク情報であり、請求項3から請求項8いずれか一項に記載のランク推定装置が取得したランク情報を取得するランク取得部と、前記一の牛の1以上の牛生体パラメータを取得するパラメータ取得部と、前記ランク取得部が取得したランク情報と前記パラメータ取得部が取得した1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合を用いて、ランク情報と1以上の牛生体パラメータとを有するパラメータ集合に対応付いた1以上の枝肉横断画像が格納されている枝肉横断画像格納部の中の1以上の枝肉横断画像であり、近似条件を満たすパラメータ集合に対応付く1以上の枝肉横断画像を取得する枝肉横断画像取得部と、前記枝肉横断画像取得部が取得した1以上の枝肉横断画像を出力する枝肉横断画像出力部として機能させるためのプログラムである。
【0192】
また、図19は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した種々の実施の形態の牛情報処理システムAを構成する各装置を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図19は、このコンピュータシステム300の概観図であり、図20は、システム300のブロック図である。
【0193】
図19において、コンピュータシステム900は、CD-ROMドライブを含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを含む。
【0194】
図20において、コンピュータ901は、CD-ROMドライブ905に加えて、MPU911と、CD-ROMドライブ905等に接続されたバス915と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク914とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ301は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0195】
コンピュータシステム900に、上述した実施の形態の牛情報処理システムAを構成する各装置の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM921に記憶されて、CD-ROMドライブ905に挿入され、さらにハードディスク914に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。プログラムは、CD-ROM921またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0196】
プログラムは、コンピュータ901に、上述した実施の形態の牛情報処理システムAを構成する各装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム300がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0197】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信するステップや、情報を受信するステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0198】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。つまり、牛情報処理システムAを構成する各装置は、一のスタンドアロンの装置であっても良く、2以上の装置から構成されても良い。
【0199】
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
【0200】
また、上記各実施の形態において、各処理は、単一の装置によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0201】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0202】
以上のように、本発明にかかるランク推定装置は、牛生体の早期の肉質判断を行うためのより正確なランク情報が得られるという効果を有し、ランク推定装置等として有用である。
【符号の説明】
【0203】
1 画像取得装置
2 学習装置
3 ランク推定装置
4 枝肉横断画像出力装置
11、311 画像格納部
12、32、42 受付部
13 画像取得部
14 画像蓄積部
21 学習格納部
22 学習受付部
23 学習処理部
31 格納部
33 処理部
34 出力部
41 枝肉横断画像格納部
43 ランク取得部
44 パラメータ取得部
45 枝肉横断画像取得部
46 枝肉横断画像出力部
211 教師データ格納部
212 モデル格納部
231 学習部
232 学習蓄積部
321 画像受付部
331 モデル取得部
332 予測部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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