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  • 特開-逆止弁 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111470
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20220725BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
F16K27/00 C
F16L55/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006912
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】391060029
【氏名又は名称】株式会社ダンレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】上村 高弘
(72)【発明者】
【氏名】田口 二郎
(72)【発明者】
【氏名】岩元 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一輝
【テーマコード(参考)】
3H025
3H051
【Fターム(参考)】
3H025BA22
3H025BB05
3H051AA01
3H051BB03
3H051CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】減圧弁の二次側通路と二次側機器配管との接続部に1工程で配設することができる逆止弁を提供する。
【解決手段】逆止弁1のケーシング3が連結接手Dの筒体を形成することにより、逆止弁1は連結接手Dと一体化している。逆止弁1と一体化した連結接手Dを用いて減圧弁Aの二次側通路A’’と二次側機器配管Bとを接続することにより、1工程で減圧弁Aの二次側通路A’’と二次側機器配管Bとの接続部に逆止弁1を配設することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路と管路の接続部に配設される逆止弁であって、逆止弁のケーシングが管路と管路を接続する連結継手の筒体を形成することを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
逆止弁は外周にOリングが装着された弁体と、ケーシングに形成され閉弁方向へ向けて漏斗状にテーパーした座面を有する弁座とを備えることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
弁体の閉弁方向への移動を規制するストッパーを備えることを特徴とする請求項2に記載の逆止弁。
【請求項4】
弁軸のガイドと、弁体のガイドとを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の逆止弁。
【請求項5】
弁体のガイドは周方向に間隔を隔てて弁体から径方向外方へ延びる3枚以上の羽根を備えることを特徴とする請求項4に記載の逆止弁。
【請求項6】
弁体のガイドは周方向に間隔を隔てて弁体の閉弁方向側端面から閉弁方向へ延びる3個以上の突起を備えることを特徴とする請求項4に記載の逆止弁。
【請求項7】
Oリング収容溝の閉弁方向側周側壁に周方向に間隔を隔てて複数の切欠が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の逆止弁。
【請求項8】
何れか2枚の隣接する羽根の弁座に対峙する端部を連結する壁を備えることを特徴とする請求項5に記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路と管路の接続部に配設される逆止弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一次側通路と二次側通路との境界部の流路面積を二次側通路の内圧に応じて可変調整する減圧弁の二次側通路と二次側機器配管との接続部に配設される逆止弁であって、減圧弁の二次側通路と二次側機器配管とを接続する連結継手の筒体に着脱可能に内挿される逆止弁が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3536112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の逆止弁には、減圧弁の二次側通路と二次側機器配管との接続部に逆止弁を配設する際に、連結継手に逆止弁を内挿する工程と、逆止弁が内挿された連結継手を減圧弁の二次側通路と二次側機器配管との間に配設する工程の2工程を要するという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、1工程で管路と管路の接続部に配設することができる逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、管路と管路の接続部に配設される逆止弁であって、逆止弁のケーシングが管路と管路を接続する連結継手の筒体を形成することを特徴とする逆止弁を提供する。
逆止弁のケーシングが連結継手の筒体を形成することにより、逆止弁は連結継手と一体化している。従って、連結継手を用いて管路と管路を接続することにより、1工程で管路と管路の接続部に逆止弁を配設することができる。
本発明の好ましい態様においては、逆止弁は外周にOリングが装着された弁体と、ケーシングに形成され閉弁方向へ向けて漏斗状にテーパーした座面を有する弁座とを備える。
弁体外周にOリングを装着することにより、弁体外周をシール部として使用できるので、弁穴を弁体と略同一径まで拡大でき、逆止弁による流量低減を防止できる。弁座の座面を閉弁方向へ向けて漏斗状にテーパーさせることにより、弁体が多少傾いてもシールを維持することができる。弁体の傾斜に対するシールの感受性を抑制するためにテーパー角度は緩やかであることが望ましい。
本発明の好ましい態様においては、逆止弁は、弁体の閉弁方向への移動を規制するストッパーを備える。
弁体の閉弁方向への移動を適正に規制することにより、Oリングの過度の変形を抑制しOリングの損傷を防止できる。
本発明の好ましい態様においては、逆止弁は、弁軸のガイドと、弁体のガイドとを備える。
弁軸と弁体をガイドすることにより、弁体の傾斜を抑制し、シール性の悪化を防止できる。
本発明の好ましい態様においては、弁体のガイドは周方向に間隔を隔てて弁体から径方向外方へ延びる3枚以上の羽根を備える。
3枚以上の羽根の径方向外縁をケーシング内周面に微少隙間を隔てて対峙させることにより、弁体をガイドできる。
本発明の好ましい態様においては、弁体のガイドは周方向に間隔を隔てて弁体の閉弁方向側端面から閉弁方向へ延びる3個以上の突起を備える。
3個以上の突起の径方向外縁を弁穴周面に微少隙間を隔てて対峙させることにより、低流量時に弁体をガイドできる。
本発明の好ましい態様においては、Oリング収容溝の閉弁方向側周側壁に周方向に間隔を隔てて複数の切欠が形成されている。
弁体端面から閉弁方向へ延びる突起が低流量時に弁穴周面に微少隙間を隔てて対峙するので、低流量時の逆止弁の流体通過面積が微少になり、弁体周囲の流速が増加する。この結果、低流量時に異音が発生する場合がある。Oリング収容溝の閉弁方向側周側壁に周方向に間隔を隔てて形成した複数の切欠に流体を流すことにより、低流量時の逆止弁の流体通過面積を増加させ、弁体周囲の流速を低減させて低流量時の異音発生を抑制することができる。
本発明の好ましい態様においては、逆止弁は、何れか2枚の隣接する羽根の弁座に対峙する端部を連結する壁を備える。
高流量時に、羽根とケーシング内周壁が接触を繰り返して異音が発生する場合がある。何れか2枚の隣接する羽根の弁座に対峙する端部を壁で連結し、壁に流体を衝突させて弁体を傾斜させ、壁で連結されていない羽根をケーシング内周壁に強制的に押し付けることにより、羽根とケーシング内周壁の接触の繰り返しを抑制して、高流量時の異音発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】減圧弁の二次側通路と二次側機器配管との接続部に配設された本発明の実施例に係る逆止弁の断面図である。逆止弁の弁体は、閉弁時の断面と開弁時の断面とを示している。
図2図1の部分拡大図である。
図3】本発明の実施例に係る逆止弁の構造図である。(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は背面図であり、(d)は(a)のa-a断面図である。
図4】本発明の実施例に係る逆止弁の分解斜視図である。(a)は上流側から見た図であり、(b)は下流側から見た図である。
図5】シール用ディスクを備える逆止弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
減圧弁の二次側通路と二次側機器配管との接続部に配設された本発明の実施例に係る減圧弁を説明する。
図1、2において左方を上流と呼び、右方を下流と呼ぶ。
図1に示すように、一次側通路A’と二次側通路A”との境界部の流路面積を二次側通路A”の内圧に応じて可変調整する減圧弁Aの二次側通路A”と、減圧弁Aの下流側に配設された二次側機器配管Bとの接続部に、二次側機器で発生する逆圧から減圧弁Aを保護する逆止弁1が内挿され、二次側通路A”の端部とに二次側機器配管Bの端部とがクイックファスナーCによって締結されている。
図1~4に示すように、逆止弁1は、上流側外周と下流側外周とにそれぞれOリング2が配設された筒状のケーシング3を備えている。上流側へ、即ち閉弁方向に漏斗状にテーパーした環状座面4aを有する弁座4がケーシング3の上流部に形成されている。弁座4の下流側に、漏斗状斜面から成る、後述する弁体用の、環状ストッパー5が形成されている。
逆止弁1は、弁座4に対峙する厚圧円板状の弁体6を備えている。弁体6の上流部外周、即ち閉弁側端部外周にOリング7が装着されている。弁体6の下流部外周面から周方向に間隔を隔てて4枚の羽根8が径方向外方へ延びている。羽根8の径方向外縁はケーシング3の内周面に微少隙間を隔てて対峙しており、上流側縁部はストッパー5に対峙している。図3、4に示すように、特定の隣接する2枚の羽根8の上流側端部、すなわち弁座4に対峙する端部が壁8aによって連結されており、径方向外縁部が壁8bによって連結されている。前記特定の2枚の羽根8を除く他の2枚の羽根8は、他の羽根8とは連結されていない。弁体6の上流側端面、即ち閉弁方向側端面から、周方向に間隔を隔てて4個の突起9が上流方向、即ち閉弁方向へ延びている。突起9の径方向外縁は、図2に示すように、弁座4の中心部に形成された開口である弁穴10の周面に微少隙間を隔てて対峙可能である。図3、4に示すように、弁体6の閉弁側端部外周に形成されたOリング7の収容溝の上流側周側壁、即ち閉弁方向側周側壁に周方向に間隔を隔てて複数の切欠6aが形成されている。図2~4に示すように、弁体6から下流側へ弁軸6’が延びている。
図2、4に示すように、逆止弁1は、ケーシング3の下流端にスナップ嵌めされた、弁軸用の二重リング状のガイド11を備えている。二重のリングは複数の腕部材で連結されている。内側リング11aに弁軸6’が摺動可能に挿通されている。
逆止弁1は、ガイド11と弁体6の間に配設されて弁体6を上流側、すなわち閉弁方向へ付勢するコイルバネ12を備えている。
【0008】
逆止弁1の作動を説明する。
減圧弁Aの通常作動時は、上流側から下流側へ流れる流体からの付勢力を受けた弁体6がコイルバネ12の付勢力に抗して下流側へ移動し、Oリング7が弁座面4aから離れて、逆止弁1は開弁している。
二次側機器の不具合や二次側機器で発生した水撃などにより、二次側機器配管B内に過大な逆圧が発生すると、コイルバネ12の付勢力と前記逆圧とを受けた弁体6が弁座4に接近し、Oリング7が弁座面4aに当接し、次いで羽根8がストッパー5に当接して逆止弁1が閉弁する。逆止弁1の閉弁により前記逆圧が減圧弁Aに印加される事態の発生を防止し、減圧弁Aの損傷を防止する。
図1から分かるように、逆止弁1は減圧弁Aの二次側通路A”と二次側機器配管Bとを接続する連結継手Dとして機能している。すなわち、逆止弁1のケーシング3が連結継手Dの筒体を形成することにより、逆止弁1は連結継手Dと一体化している。従って、逆止弁1と一体化した連結継手Dを用いて減圧弁Aの二次側通路A”と二次側機器配管Bとを接続することにより、1工程で減圧弁Aの二次側通路A”と二次側機器配管Bとの接続部に逆止弁1を配設することができる。
逆止弁1においては、弁体6外周にOリング7を装着したので、弁体6外周をシール部として使用することができ、弁穴10を弁体6と略同一径まで拡大でき、逆止弁1による流量低減を防止できる。弁座4の座面4aを閉弁方向へ向けて漏斗状にテーパーさせたので、弁6が多少傾いてもシールを維持することができる。弁体6の傾斜に対するシールの感受性を抑制するためにテーパー角度は緩やかであることが望ましい。
逆止弁1においては、閉弁する際に羽根8をストッパー5に当接させて、弁体6の閉弁方向への過度の移動を規制することにより、Oリング7の過度の変形を抑制しOリング7の損傷を防止している。
逆止弁1においては、羽根8の径方向外縁がケーシング3の内周面に微少隙間を隔てて対峙することによる弁体6のガイドと、内側リング11aに弁軸6が摺動可能に挿通されることによる弁軸6’のガイドとを設けることにより、流量の如何に関わらず弁体6の傾斜を抑制して、Oリング7と弁座面4aとの間のシール性の悪化を防止している。
逆止弁1においては、突起9の径方向外縁を弁穴10の周面に微少隙間を隔てて対峙させることにより、低流量時に弁体6をガイドし、弁体6の傾斜を抑制して、Oリング7と弁座面4aとの間のシール性の悪化を防止している。
弁体6の閉弁方向側端面から閉弁方向へ延びる突起9が低流量時に弁穴10の周面に微少隙間を隔てて対峙するので、低流量時の逆止弁1の流体通過面積が微少になり、弁体6周囲の流速が増加する。この結果、低流量時に異音が発生する場合がある。弁体6に形成したOリング7収容溝の閉弁方向側周側壁に周方向に間隔を隔てて複数の切欠6aを形成し、切欠6aに流体を流すことにより、低流量時の逆止弁1の流体通過面積を増加させ、弁体周囲の流速を低減させて定流量時の異音発生を抑制した。
高流量時に、羽根8とケーシング3内周壁が接触を繰り返して異音が発生する場合がある。何れか2枚の隣接する羽根8の弁座4に対峙する端部を壁8aで連結し、壁8aに流体を衝突させて弁体6を傾斜させ、壁で連結されていない羽根8をケーシング3内周壁に強制的に押し当てることにより、羽根8とケーシング3内周壁の接触の繰り返しを抑制して、高流量時の異音発生を抑制した。
【0009】
特定の隣接する3枚の羽根8の上流側端部を壁8aによって連結しても良い。
羽根8の枚数、突起9の個数は、上記実施例記載の数に限定されない。
図5に示すように、Oリングに代えて弁体6の閉弁方向側端面にシール用ディスク13を装着しても良い。
上記実施例に係る逆止弁は、減圧弁の二次側通路と二次側機器配管との接続部のみならず、広く管路と管路の接続部に、配設可能である。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、管路と管路の接続部に配設される逆止弁に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0011】
A 減圧弁
A’ 一時側通路
A” 二次側通路
B 二次側機器配管
C クイックファスナー
D 連結継手
1 逆止弁
2 Oリング
3 ケーシング
4 弁座
4a 弁座面
5 ストッパー
6 弁体
6a 切欠
6’ 弁軸
7 Oリング
8 羽根
8a 壁
9 突起
10 弁穴
11 ガイド
11a 内側リング
12 コイルバネ
13 シール用ディスク
図1
図2
図3
図4
図5