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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111488
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】静電容量センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/14 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
G01L1/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006938
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508282568
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 隆介
(72)【発明者】
【氏名】ミルザ サキーブ サーウォー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン ディー ダブリュー マッデン
(57)【要約】
【課題】耐久性を向上させることができる静電容量センサを提供することを目的とする。
【解決手段】静電容量センサ1は、基板10、4つの第1電極11a~11d、電極支持体14及び第2電極12を備えている。4つの第1電極11a~11dは、基板10に設けられており、電極支持体14は、誘電性及び弾性を有し、基板10に固定されている。第2電極12は、第1電極11a~11dとの間に間隔を存しながら第1電極11a~11dと対向するように電極支持体14内に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
当該基板に設けられた第1電極と、
前記基板に固定され、誘電性及び弾性を有する柔軟部材と、
前記第1電極との間に間隔を存しながら前記第1電極と対向するように前記柔軟部材内に設けられ、前記第1電極との間の静電容量を検出するための第2電極と、
を備えることを特徴とする静電容量センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の静電容量センサにおいて、
可撓性を有し、前記柔軟部材内を延びるとともに、一端部が前記第2電極に接続された電線をさらに備えることを特徴とする静電容量センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静電容量センサにおいて、
前記基板には、一対の前記第1電極を含む複数の前記第1電極が当該基板の表面に沿う方向に互いに間隔を存して設けられており、当該複数の第1電極は、当該基板に設けられた配線に接続されており、
前記一対の第1電極の各々は、前記第2電極側から見たときに、前記第2電極と対向する面の一部が前記第2電極に重なるように配置されていることを特徴とする静電容量センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の静電容量センサにおいて、
前記複数の第1電極は、他の一対の前記第1電極をさらに含んでおり、
当該他の一対の第1電極は、前記第2電極側から見たときに、互いに直交する2つの直線の一方に沿うとともに、当該他の一対の第1電極の各々における前記第2電極と対向する面の一部が前記第2電極に重なるように配置されており、
前記一対の第1電極は、前記第2電極側から見たときに、前記2つの直線の他方に沿うように配置されていることを特徴とする静電容量センサ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の静電容量センサにおいて、
前記柔軟部材は、前記第2電極を内蔵するとともに前記基板の表面との間に間隙を有する電極内蔵部と、当該電極内蔵部と前記基板との間に延びる複数の柱部とを有していることを特徴とする静電容量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力を検出するための静電容量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量センサとして特許文献1に記載されたものが知られている。この静電容量センサは、圧力検出用のものであり、可撓性を有するフレキシブル基板及び硬質基板などを備えている。フレキシブル基板の下面には、第1電極及び第2可動電極と、これらの可動電極に接続された信号線とが取り付けられている。
【0003】
また、硬質基板の上面には、固定電極、絶縁部及びメタル部が取り付けられている。固定電極は、第1及び第2可動電極に対向するように配置され、絶縁部は、固定電極の外周部を覆うように設けられている。さらに、メタル部は平面視円環状に構成され、絶縁部の上面と固定電極の下面に当接した状態で、両者の間に配置されている。この静電容量センサの場合、圧力がフレキシブル基板における第1可動電極の上側の部分に作用した場合、第1可動電極が固定電極側に移動し、静電容量が変化することで、圧力が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-90729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の静電容量センサによれば、2つの可動電極及び信号線がフレキシブル基板の下面に取り付けられている関係上、静電容量センサを、圧力がフレキシブル基板に対して繰り返し作用する環境下で長期間使用した場合、2つの可動電極及び信号線がフレキシブル基板から剥離するおそれがあり、耐久性が低いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、耐久性を向上させることができる静電容量センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る静電容量センサ1,1Aは、基板10と、基板10に設けられた第1電極11a~11dと、基板10に固定され、誘電性及び弾性を有する柔軟部材(電極支持体14,20)と、第1電極11a~11dとの間に間隔を存しながら第1電極11a~11dと対向するように柔軟部材内に設けられ、第1電極11a~11dとの間の静電容量を検出するための第2電極12と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この静電容量センサによれば、第1電極との間の静電容量を検出するための第2電極が第1電極との間に間隔を存しながら第1電極と対向するように柔軟部材内に設けられているので、第1電極を第2電極側に移動させるような力が柔軟部材に作用した際、これらの第1電極及び第2電極間の距離が変化し、静電容量が変化するのに伴って、その力を検出することができる。その際、第2電極が柔軟部材内に設けられているので、静電容量センサを、柔軟部材が弾性変形を繰り返すような環境下で長時間使用した際でも、第2電極が柔軟部材から剥離することがない。それにより、特許文献1の場合と比べて、静電容量センサの耐久性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の静電容量センサ1,1Aにおいて、可撓性を有し、柔軟部材内を延びるとともに、一端部が第2電極に接続された電線13をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
この静電容量センサによれば、電線が可撓性を有し、柔軟部材内を延びるとともに、一端部が第2電極に接続されているので、静電容量センサを、柔軟部材が弾性変形を繰り返すような環境下で長時間使用した際でも、電線が柔軟部材から剥離することがない。それにより、特許文献1の場合と比べて、静電容量センサの耐久性を向上させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の静電容量センサ1,1Aにおいて、基板10には、一対の第1電極(前後一対の第1電極11a,11b及び左右一対の第1電極11c,11dの一方)を含む複数の第1電極11a~11dが基板10の表面に沿う方向に互いに間隔を存して設けられており、複数の第1電極11a~11dは、基板10に設けられた配線に接続されており、一対の第1電極の各々は、第2電極12側から見たときに、第2電極12と対向する面の一部が、第2電極12に重なるように配置されていることを特徴とする。
【0012】
この静電容量センサによれば、基板には、一対の第1電極を含む複数の第1電極が基板の表面に沿う方向に互いに間隔を存して設けられており、複数の第1電極は、基板に設けられた配線に接続されているので、複数の電線を複数の第1電極にそれぞれ配線する場合と比べて、配線作業を簡易化することができる。また、一対の第1電極の各々は、第2電極側から見たときに、第2電極と対向する面の少なくとも一部が、第2電極に重なるように配置されているので、力が一対の第1電極の並んだ方向に沿って柔軟部材に作用した際、柔軟部材の弾性変形に伴い、一対の第1電極の各々において、第2電極と対向する面のオーバーラップ面積が変化し、静電容量が変化することになる。その結果、この静電容量の変化に基づき、一対の第1電極の並んだ方向に作用する力すなわちせん断力を検出することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の静電容量センサ1,1Aにおいて、複数の第1電極11a~11dは、他の一対の第1電極(前後一対の第1電極11a,11b及び左右一対の第1電極11c,11dの一方)をさらに含んでおり、他の一対の第1電極は、第2電極12側から見たときに、互いに直交する2つの直線の一方に沿うとともに、他の一対の第1電極の各々における第2電極12と対向する面の一部が第2電極12に重なるように配置されており、一対の第1電極は、第2電極12側から見たときに、2つの直線の他方に沿うように配置されていることを特徴とする。
【0014】
この静電容量センサによれば、複数の第1電極が他の一対の第1電極をさらに含んでおり、他の一対の第1電極は、第2電極側から見たときに、他の一対の第1電極の各々における第2電極と対向する面の一部が第2電極に重なるように配置されている。それにより、力が他の一対の第1電極の並んだ方向に沿って柔軟部材に作用した際、柔軟部材の弾性変形に伴い、他の一対の第1電極の各々において、第2電極と対向する面のオーバーラップ面積が変化し、静電容量が変化することになる。その結果、この静電容量の変化に基づき、他の一対の第1電極の並んだ方向に作用する力すなわちせん断力を検出することができる。さらに、他の一対の第1電極は、互いに直交する2つの直線の一方に沿うように配置され、一対の第1電極は、2つの直線の他方に沿うように配置されている。したがって、この静電容量センサによれば、直交3軸方向の力を検出することができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の静電容量センサ1Aにおいて、柔軟部材(電極支持体20)は、第2電極12を内蔵するとともに基板10の表面との間に間隙を有する電極内蔵部21と、電極内蔵部21と基板10との間に延びる複数の柱部(第1柱部22)とを有していることを特徴とする。
【0016】
この静電容量センサによれば、柔軟部材は、第2電極を内蔵するとともに基板の表面との間に間隙を有する電極内蔵部と、電極内蔵部と基板との間に延びる複数の柱部とを有しているので、この電極内蔵部に対して力が作用した場合、複数の柱部が弾性変形することによって、第2電極及び第1電極が両者の対向方向の距離が近くなるように変化する状態と、両者の位置関係が基板の表面に沿う方向にずれる状態とを発生させることができる。その際、第2電極及び第1電極の位置関係が基板の表面に沿う方向にずれる状態が、柔軟部材が中実の場合よりも発生しやすくなることで、せん断力の検出感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る静電容量センサなどの構成を示す平面図である。
図2】静電容量センサの正面図である。
図3】第2実施形態に係る静電容量センサの構成を示す平面図である。
図4図3のI-I線に沿う断面図である。
図5図4のII-II線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る静電容量センサについて説明する。図1に示すように、本実施形態の静電容量センサ1は、5本の電線16を介して力検出装置30に接続されている。この力検出装置30は、後述するように、静電容量センサ1による静電容量の検出結果に基づいて、静電容量センサ1に作用する直交3軸方向の力を検出するものである。
【0019】
本実施形態の静電容量センサ1は、図1及び図2に示すように、プリント基板10、4つの第1電極11a~11d、第2電極12、電線13及び電極支持体14などを備えている。
【0020】
なお、以下の説明では、便宜上、図1の左側を「左」、図1の右側を「右」、図1の下側を「前」、図1の上側を「後ろ」、図1の手前側を「上」、図1の奥側を「下」という。
【0021】
プリント基板(以下「基板」という)10は、平面視矩形のリジッド基板タイプのものであり、その表面には、図示しないプリント配線が形成されている。なお、基板10をフレキシブル基板で構成してもよい。
【0022】
4つの第1電極11は、これらを平面視した場合、前後一対の第1電極11a,11bの中心間を結んだ直線が、左右一対の第1電極11c,11dの中心間を結んだ直線と直交するとともに、前後の第1電極11a,11bの中心間の距離と、左右の第1電極11c,11dの中心間の距離が同一になるように配置されている。なお、本実施形態では、前後一対の第1電極11a,11b及び左右一対の第1電極11c,11dの一方が一対の第1電極に相当し、他方が他の一対の第1電極に相当する。
【0023】
また、4つの第1電極11a~11dは、図2に示すように、板状で基板10よりも薄い厚みを有しており、基板10の上面に面一の状態で設けられているとともに、基板10のプリント配線及び4本の電線16を介して、力検出装置30に接続されている。
【0024】
さらに、4つの第1電極11a~11dは、これらを平面視した場合、互いに同じサイズの正方形に形成され、四辺の各々が互いに平行になるように配置されている。なお、以下の説明では、4つの第1電極11a~11dの各々を適宜、「各第1電極11」という。
【0025】
一方、電極支持体14は、誘電性及び弾性(又は可撓性)を有する半透明のシリコンゴムで構成されており、基板10の上面に固定されている。電極支持体14は、本体部14a及び電線保護部14bを備えており、この本体部14aは、中実の直方体形状を有している。電線保護部14bは、断面矩形の柱状に形成され、本体部14aから左方に延びた後、直角に折れ曲がって基板10まで延びている。なお、本実施形態では、電極支持体14が柔軟部材に相当する。
【0026】
また、第2電極12は、板状の可撓性を有するフレキシブル電極タイプのものであり、平面視正方形に形成されている。第2電極12は、これを平面視した場合、四辺の各々が各第1電極11の四辺の各々と平行になるとともに、各第1電極11の表面の半分が第2電極12に重なるように配置されている。第2電極12は、基板10と平行な姿勢に保持されるとともにその全体が本体部14aに密着した状態で、本体部14aに内蔵されている。
【0027】
さらに、電線13は、可撓性を有するフレキシブル電線タイプのものであり、第2電極12から電極支持体14の本体部14a及び電線保護部14bの内部を左方に延びた後、下方に直角に折れ曲がって電線保護部14b内を延び、その先端部が端子15に接続されている。この端子15は、基板10のプリント配線に接続されており、それにより、第2電極12は、電線13、端子15、プリント配線及び電線16を介して、力検出装置30に接続されている。
【0028】
一方、力検出装置30は、マイクロコンピュータ及び電気回路を組み合わせて構成されている。この力検出装置30では、各第1電極11と第2電極12との間に電圧を印加することにより、各第1電極11と第2電極12との間の静電容量が検出される。
【0029】
そして、これらの4つの静電容量に基づき、図示しない演算式により、静電容量センサ1に対して、下向きに作用する力(荷重)、左右方向に作用するせん断力及び前後方向に作用するせん断力が演算される。すなわち、本実施形態の静電容量センサ1は、3軸力センサとしての機能を備えている。
【0030】
以上のように、第1実施形態の静電容量センサ1によれば、第2電極12が、各第1電極11との間に間隔を存しながら各第1電極11と対向するように、電極支持体14内に設けられている。したがって、下向きの力(荷重)が電極支持体14に作用した際、各第1電極11及び第2電極12間の距離が変化し、静電容量が変化するのに伴って、その力を検出することができる。その際、第2電極12が電極支持体14に内蔵されているので、各第1電極11と第2電極12の間の短絡を回避できるとともに、静電容量センサ1を、電極支持体14が弾性変形を繰り返すような環境下で長時間使用した際でも、第2電極12が電極支持体14から剥離することがない。それにより、特許文献1の場合と比べて、静電容量センサ1の耐久性を向上させることができる。
【0031】
さらに、4つの第1電極11a~11dは、基板10に設けられたプリント配線に接続されているので、4つの電線を4つの第1電極11a~11dにそれぞれ配線する場合と比べて、配線作業を簡易化することができる。さらに、4つの第1電極11a~11dは、これらを平面視した場合、前後一対の第1電極11a,11bの中心間を結んだ直線が、左右一対の第1電極11c,11dの中心間を結んだ直線と直交するとともに、各第1電極11の表面の半分が第2電極12に重なるように配置されている。
【0032】
したがって、基板10の表面に沿う直交2軸方向の力すなわちせん断力が電極支持体14に作用した際、電極支持体14が弾性変形するのに伴い、各第1電極11と第2電極12の間において、互いに対向する面のオーバーラップ面積が変化し、静電容量が変化することになる。それにより、これらの静電容量の変化に基づき、直交2軸方向のせん断力を検出することができる。以上のように、静電容量センサ1を用いて、直交3軸方向の力を検出することができる。
【0033】
なお、第1実施形態は、第2電極12の全体が電極支持体14に内蔵されるように構成したが、これに代えて、第2電極12の一部が電極支持体14から外方に露出するように構成してもよい。その場合、電極支持体14が弾性変形したときに、第2電極12が第1電極11と短絡しないように構成されていればよい。
【0034】
また、第1実施形態の静電容量センサ1において、シールドを電極支持体14内の第2電極12の上側に設けるとともに、物体の接近を検出するための第3電極をこのシールドの上側にさらに設けるように構成してもよい。このように構成した場合、3軸力センサとしての機能に加えて、近接センサとしての機能を確保することができる。
【0035】
さらに、第1実施形態は、柔軟部材として、シリコンゴムで構成された電極支持体14を用いた例であるが、本発明の柔軟部材は、これに限らず、誘電性及び弾性を有するものであればよい。例えば、柔軟部材として、チオフェン系導電性高分子もしくはPSSなどの導電性樹脂、PVCゲル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂もしくはエポキシ系樹脂、または、これらの任意の組み合わせの複合材料などの誘電体を用いてもよい。
【0036】
また、第1実施形態は、柔軟部材として、直方体状の電極支持体14を用いた例であるが、これに代えて、小判形状、円筒形状及び半球形状などの様々な形状の柔軟部材を用いてもよい。
【0037】
一方、第1実施形態は、4つの第1電極11a~11dとして、平面視したときに正方形のものを用いた例であるが、これらに代えて、4つの第1電極11a~11dとして、平面視したときに正方形以外の矩形のものを用いてもよく、平面視したときに対称性を有する形状のものであればよい。
【0038】
また、第1実施形態は、第2電極12として、平面視したときに正方形のものを用いた例であるが、これに代えて、第2電極12として、平面視したときに正方形以外の矩形のものを用いてもよく、平面視したときに対称性を有する形状のものであればよい。
【0039】
さらに、第1実施形態は、静電容量センサ1が、前後一対の第1電極11a,11b及び左右一対の第1電極11c,11dを備えている例であるが、これに代えて、静電容量センサ1が、前後一対の第1電極11a,11b及び左右一対の第1電極11c,11dの一方のみを備えているように構成してもよく、1つの第1電極11のみを備えるように構成してもよい。
【0040】
一方、第1実施形態は、電線13が電極支持体14の本体部14a内を延びるように構成した例であるが、これに代えて、電線13が電極支持体14の本体部14aの外部を延びるように構成してもよい。
【0041】
以下、図3~5を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る静電容量センサ1Aについて説明する。本実施形態の静電容量センサ1Aは、第1実施形態の静電容量センサ1と比較した場合、電極支持体14に代えて、電極支持体20を備えている点が異なっているので、以下、この電極支持体20を中心に説明する。
【0042】
以下、第1実施形態と同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。また、図3においては、図1に示す力検出装置30などが省略されている。
【0043】
本実施形態の静電容量センサ1Aは、図3~5に示す電極支持体20を備えており、この電極支持体20は、第1実施形態の電極支持体14と同様に、半透明のシリコンゴムで構成されている。電極支持体20は、中空に構成されており(図4参照)、電極内蔵部21、10個の第1柱部22及び11個の第2柱部23などを備えている。なお、本実施形態では、電極支持体20が柔軟部材に相当する。
【0044】
電極内蔵部21は、平面視矩形の薄板状に形成され、基板10に対して平行に設けられているとともに、上下方向の厚さが第2電極12よりも厚くなっている。第2電極12は、これを平面視したときに電極内蔵部21の中央部に位置しているとともに、基板10に対して平行な姿勢でかつ外部に露出しない状態で、電極内蔵部21に内蔵されている。
【0045】
図3及び図5に示すように、10個の第1柱部22の各々と、11個の第2柱部23の各々は、左右方向及び前後方向に交互に並んだ状態でかつ等間隔で配置されている。各第1柱部22は、平面視矩形の断面形状を有しており(図5参照)、そのサイズは、第1電極11を平面視したときのサイズと同一に設定されている。各第1柱部22は、電極内蔵部21から一体に下方に延び、その先端部が基板10に固定されている。
【0046】
また、図3に示すように、電極支持体20を平面視した場合、4つの第1柱部22が、電極支持体20の中心から等距離の位置に十字状に配置されている。これら4つの第1柱部22のうちの内側の2つの第1柱部22,22は、左右の第1電極11c,11dに対応する位置に設けられており、それらの先端部が左右の第1電極11c,11dの表面を覆う状態で第1電極11に固定されている(図4参照)。
【0047】
また、残りの2つの第1柱部22,22は、基板10の中心を通って前後方向に並んだ2つの第1電極11a,11bに対応する位置に設けられており、それらの先端部が2つの第1電極11a,11bの表面を覆う状態で第1電極11に固定されている。
【0048】
さらに、電線13は、第2電極12から電極内蔵部21内を通って左方に延びた後、下方に折れ曲がり、左端の第1柱部22内を通って基板10まで延びている。
【0049】
一方、11個の第2柱部23の各々は、平面視「×」状の断面を有しており、電極内蔵部21から一体に下方に延びるとともに、その先端部が基板10の表面との間に所定間隔を有するように設けられている。以上の構成により、下向きの荷重(力)が電極支持体20に作用し、電極内蔵部21が基板10側に撓むのに伴って、いくつかの第2柱部23が基板10に当接した際、荷重がそれらの第2柱部23によって支持される状態となる。それにより、それ以降、電極支持体20の弾性変形度合いが抑制されることになる。すなわち、電極支持体20の過剰な弾性変形を回避することができる。
【0050】
以上のように、第2実施形態の静電容量センサ1Aによれば、第1実施形態の静電容量センサ1と同様に、直交3軸方向の力を検出することができる。さらに、静電容量センサ1Aを、電極支持体20が弾性変形を繰り返すような環境下で長時間使用した際でも、第2電極12が電極支持体20から剥離することがなく、それにより、特許文献1の場合と比べて、静電容量センサ1Aの耐久性を向上させることができる。
【0051】
これに加えて、電極支持体20が、電極内蔵部21と、電極内蔵部21と基板10との間に延びる10個の第1柱部22を有しているので、この電極内蔵部21に対して力が作用した場合、10個の第1柱部22が弾性変形することによって、第2電極12及び各第1電極11の位置関係が基板10の表面に沿う方向にずれやすくなるとともに、その状態が第1実施形態の電極支持体14よりも発生しやすくなる。それにより、この静電容量センサ1Aによれば、第1実施形態の静電容量センサ1と比べて、せん断力の検出感度を向上させることができる。
【0052】
なお、第2実施形態は、柔軟部材として電極支持体20を用いた例であるが、本発明の柔軟部材は、これに限らず、誘電性及び弾性を有するものであればよい。また、電極支持体20として、正方形以外の断面形状(例えば、円形又は正多角形の断面形状)を備えた第1柱部22を有するものを用いてもよい。
【0053】
さらに、電極支持体20の第1柱部22の数は、10個に限らず、複数であればよい。また、電極支持体20の第2柱部23の数は、11個に限らず、1個以上であればよいとともに、第2柱部23を省略してもよい。また、第2柱部23としては、平面視したきの断面が「×」状のものに限らず、平面視したきの断面が多角形又は円形のものを用いてもよい。
【0054】
一方、第2実施形態は、第2電極12を、その全体が電極支持体20の電極内蔵部21に内蔵されるように構成したが、これに代えて、第2電極12の一部が電極内蔵部21から外方に露出するように構成してもよい。その場合、電極支持体20が弾性変形したときに、第2電極12が第1電極11と短絡しないように構成されていればよい。
【0055】
また、第2実施形態は、柔軟部材として、シリコンゴムで構成された電極支持体20を用いた例であるが、本発明の柔軟部材は、これに限らず、誘電性及び弾性を有するものであればよい。例えば、柔軟部材として、チオフェン系導電性高分子もしくはPSSなどの導電性樹脂、PVCゲル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂もしくはエポキシ系樹脂、または、これらの任意の組み合わせの複合材料などの誘電体を用いてもよい。
【0056】
さらに、第2実施形態は、静電容量センサ1Aが、前後一対の第1電極11a,11b及び左右一対の第1電極11c,11dを備えている例であるが、これに代えて、静電容量センサ1Aが、前後一対の第1電極11a,11b及び左右一対の第1電極11c,11dの一方のみを備えているように構成してもよく、1つの第1電極11のみを備えるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 静電容量センサ
10 プリント基板(基板)
11a 第1電極
11b 第1電極
11c 第1電極
11d 第1電極
12 第2電極
13 電線
14 電極支持体(柔軟部材)
1A 静電容量センサ
20 電極支持体(柔軟部材)
21 電極内蔵部
22 第1柱部(複数の柱部)
図1
図2
図3
図4
図5