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  • 特開-ラミネート型蓄電素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111526
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】ラミネート型蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/16 20060101AFI20220725BHJP
   H01M 50/10 20210101ALI20220725BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220725BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20220725BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20220725BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
H01M6/16 Z
H01M2/02 K
H01M10/052
H01M4/13
H01M4/48
H01M4/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007003
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池山 美紗子
(72)【発明者】
【氏名】花村 玲
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆二
(72)【発明者】
【氏名】柳木 弘
【テーマコード(参考)】
5H011
5H024
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011BB03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD13
5H011KK01
5H024AA03
5H024AA12
5H024CC04
5H024DD01
5H024FF11
5H024HH13
5H029AJ14
5H029AK02
5H029AL12
5H029AM01
5H029AM02
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029DJ02
5H029HJ04
5H050AA19
5H050BA15
5H050CA05
5H050CB12
5H050FA02
5H050HA04
(57)【要約】
【課題】電極体とラミネートフィルムに含まれる金属層との間の絶縁性の低下を抑制する。
【解決手段】ラミネート型蓄電素子10において、外装体11のラミネートフィルム11a,11bは、金属層11a2,11b2を樹脂層11a1,11b1と熱融着層11a3,11b3とで挟んで形成されている。電極体12は、セパレータ12bを介して対向配置された正極12a及び負極12cを有し、外装体11の内部に非水系有機電解液とともに封入されている。そして、正極12aまたは負極12cに含まれる粒子のD90粒子径は、熱融着層11a3,11b3の厚み以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層を樹脂層と熱融着層とで挟んで形成されたラミネートフィルムによる外装体と、
セパレータを介して対向配置された正極及び負極を有し、前記外装体の内部に非水系有機電解液とともに封入されており、前記正極または前記負極に含まれる粒子の90%累積粒子径が前記熱融着層の厚み以下である電極体と、
を有することを特徴とするラミネート型蓄電素子。
【請求項2】
前記熱融着層の厚みは、40μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項3】
前記正極及び前記負極は、前記熱融着層に熱溶着されていることを特徴とする請求項1または2に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項4】
前記熱融着層は変性ポリオレフィンによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項5】
前記粒子は、前記正極に含まれる正極活物質または前記負極に含まれる負極活物質であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項6】
前記粒子は、前記正極に含まれる正極活物質である二酸化マンガンであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項7】
前記負極は、金属リチウムまたはリチウム合金であることを特徴とする請求項6に記載のラミネート型蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート型蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ワンタイムパスワード機能やディスプレイを搭載したICカード、あるいはタグやトークン(ワンタイムパスワード生成機)など、電源を内蔵しながら極めて薄型の電子機器(以下、薄型電子機器)が実用化している。これらの薄型電子機器の実現には電源となる蓄電素子(一次電池、二次電池、電気二重層キャパシタなど)の小型化や薄型化が欠かせない。
【0003】
小型化や薄型化に適した蓄電素子としてラミネート型蓄電素子がある。ラミネート型蓄電素子は、ラミネートフィルムを用いた外装体内に電極体が密閉された構成を有する。ラミネートフィルムは、金属層を樹脂層と熱融着層とで挟んだ構成を有し、熱融着層が外装体の内側に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-24877号公報
【特許文献2】特開2009-266392号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】FDK株式会社、“薄型二酸化マンガンリチウム一次電池”、[online]、[令和2年12月10日検索]、インターネット<URL:https://www.fdk.co.jp/battery/lithium/thin/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のラミネート型蓄電素子では、製造時などにおいて電極体に含まれる正極や負極から剥がれ落ちた活物質粒子などの粒子が、ラミネートフィルムの熱融着層を突き破り、金属層が露出し、金属層と電極体との間の絶縁性が低下する可能性があった。たとえば、上記のような粒子が金属層に接触し、金属層と正極や負極が粒子を介して導通してしまう可能性があり、この場合、金属層を介して正極と負極が繋がることで内部短絡を起こす可能性があった。また、リチウムイオン系のラミネート型蓄電素子の場合、露出した金属層がリチウム電位となることによって腐食するなどの不具合が発生する可能性もある。
【0007】
1つの側面では、本発明は、電極体とラミネートフィルムに含まれる金属層との間の絶縁性の低下を抑制可能なラミネート型蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施態様では、金属層を樹脂層と熱融着層とで挟んで形成されたラミネートフィルムによる外装体と、セパレータを介して対向配置された正極及び負極を有し、前記外装体の内部に非水系有機電解液とともに封入されており、前記正極または前記負極に含まれる粒子の90%累積粒子径が前記熱融着層の厚み以下である電極体と、を有するラミネート型蓄電素子が提供される。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、本発明は、電極体とラミネートフィルムに含まれる金属層との間の絶縁性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態のラミネート型蓄電素子の一例を示す断面図である。
図2】本実施の形態のラミネート型蓄電素子の一例を示す斜視図である。
図3】比較例のラミネート型蓄電素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態のラミネート型蓄電素子の一例を示す断面図である。また、図2は、本実施の形態のラミネート型蓄電素子の一例を示す斜視図である。
【0012】
なお、図1は、図2のI-I線における断面の一部を示したものである。
本実施の形態のラミネート型蓄電素子10は、ラミネートフィルム11a,11bによる外装体11と、外装体11の内部に図示しない非水系有機電解液とともに封入されている電極体12を有する。
【0013】
ラミネートフィルム11a,11bは、熱ラミネート加工されたものであり、たとえば、押し出しラミネート法で作製されている。ラミネートフィルム11a,11bは、金属層11a2,11b2を樹脂層11a1,11b1と、熱融着層11a3,11b3とで挟んで形成されている。
【0014】
金属層11a2,11b2は、ラミネートフィルム11a,11bの基材であり、たとえば、箔状のアルミニウムまたはステンレスなどによって形成されている。
樹脂層11a1,11b1は、ラミネート型蓄電素子10の表面側に位置するものであり、たとえば、PET(PolyEthylene Terephthalate)などにより形成されている。
【0015】
熱融着層11a3,11b3は、ラミネート型蓄電素子10の内側(電極体12の側)に位置するものであり、たとえば、変性ポリオレフィンなどの熱溶融性を有する樹脂が用いられる。
【0016】
このようなラミネートフィルム11a,11bによる外装体11は、周辺領域において互いの熱融着層11a3,11b3が熱溶着されており、電極体12と非水系有機電解液を封入するように、袋状に加工されている。
【0017】
電極体12は、セパレータ12bを介して対向配置された正極12a及び負極12cを有する。
正極12aは、たとえば、ステンレスなどによる金属板や金属箔である集電体の一主面に、正極活物質を含む正極材が配置されたものである。
【0018】
セパレータ12bには、たとえば、セルロース製品などが用いられる。
負極12cは、たとえば、ステンレスなどによる金属板や金属箔である集電体の一主面に、負極活物質を含む負極材が配置されたものである。
【0019】
電極体12は、ラミネートフィルム11a,11bに熱溶着されていてもよい。この場合、正極12aは、熱融着層11b3によってラミネートフィルム11bに熱溶着され、負極12cは、熱融着層11a3によってラミネートフィルム11aに熱溶着される。
【0020】
カード用電源に用いられるような小型で薄いラミネート型蓄電素子10において、組立時に電極体12などの位置ずれの許容範囲は±200μm程度となる。熱融着層11a3,11b3を用いて、電極体12をラミネートフィルム11a,11b自体に熱溶着することで、容易に電極体12を固定することができ、位置ずれを抑制することができる。また、絶縁テープなどを間に挟まず、電極体12をラミネートフィルム11a,11bに直接熱溶着することで、ラミネート型蓄電素子10の厚み方向においてスペースを無駄なく使用可能となるため、高エネルギー密度化が可能となる。
【0021】
ラミネート型蓄電素子10がリチウム一次電池である場合、正極12aは、MnO(二酸化マンガン)などの正極活物質を含んだスラリー状の正極材が集電体の一主面に塗布されたものである。また、負極12cは、集電体がなく、箔状または平板状の金属リチウムあるいはリチウム合金である。
【0022】
なお、正極12aには、端子となるタブ13aが接続され、負極12cにも、端子となるタブ13bが接続されている。タブ13a,13bは、ラミネートフィルム11a,11bの一辺から外方に導出されている。
【0023】
このような電極体12において、本実施の形態のラミネート型蓄電素子10では、正極12aまたは負極12cに含まれる粒子の90%累積粒子径(以下D90粒子径という)が、熱融着層11a3,11b3の厚み以下となっている。なお、最大粒子径を採用せず、D90粒子径を採用した理由は、最大粒子径は、ばらつく可能性があるためである。
【0024】
正極12aまたは負極12cに含まれる上記の粒子は、たとえば、正極活物質または負極活物質であるが、スラリーに含まれる導電助剤などその他の物質であってもよい。ただ、ラミネート型蓄電素子10がリチウム一次電池である場合、正極材に含まれる粒子のうち、正極活物質である二酸化マンガンの粒子の粒子径が最も大きいため、正極活物質のD90粒子径を上記のように、熱融着層11a3,11b3の厚み以下とすればよい。つまり、正極12aまたは負極12cに含まれる物質のうち最大の粒子径をもつものについて、そのD90粒子径を熱融着層11a3,11b3の厚み以下とすればよい。
【0025】
また、正極12a及び負極12cの両方に含まれる粒子のD90粒子径を、熱融着層11a3,11b3の厚み以下としてもよいが、一方のみこのような粒子径となるようにしてもよい。ラミネート型蓄電素子10がリチウム一次電池である場合、たとえば、箔状または平板状の金属リチウムあるいはリチウム合金が用いられる負極12cは、製造時などにおいて粒子が剥がれ落ちる可能性は低い。そのため、正極12aについてのみ上記のD90粒子径と熱融着層11a3,11b3の厚みとの関係を満たすようにすればよい。
【0026】
上記の関係を満たすD90粒子径は、たとえば、ジェットミルなどの粉砕機を用いて、正極活物質または負極活物質の粒子を所定時間、粉砕していくことで得られる。D90粒子径の測定は、たとえば、レーザ回折法などによって行われる。
【0027】
図3は、比較例のラミネート型蓄電素子の断面図である。図3において図1と同じ要素については同一符号が付されている。
比較例のラミネート型蓄電素子20では、電極体21において正極21a及び負極21cは、本実施の形態のラミネート型蓄電素子10の正極12aまたは負極12cとは異なり、含まれる粒子のD90粒子径が上記の関係を満たすように制御されていない。このため、たとえば、図3のように、正極21aから剥がれ落ちた導電性のある粒子21a1(たとえば、MnO)が、ラミネートフィルム11bの熱融着層11b3を貫通して金属層11b2に接触する可能性がある。この場合、正極21aと金属層11b2とが粒子21a1を介して導通してしまう。
【0028】
薄型電子機器では、近年ディスプレイの搭載などにより主電源の高エネルギー密度化とともに、蓄電素子も同様に高エネルギー密度化が求められるようになってきている。ただし、カード用途のため蓄電素子の単純な寸法・厚みのサイズアップはできない。ラミネート型蓄電素子では、エネルギー密度の高い電極体、電極体のサイズアップにより高エネルギー密度化することができるが、単純な電極体のサイズアップは電極体とラミネートフィルム間の絶縁性が低下し品質を低下させてしまう。絶縁性を高める方法として、電極体を絶縁テープで保護すればよいが、厚み0.6mm以下のようなラミネート型蓄電素子の場合、絶縁テープを使用した場合、電極体を配置するスペースが限られるためサイズアップが制限され高エネルギー密度化が困難である。そのため、絶縁テープを用いず電極体をラミネートフィルムに直接熱溶着することが望ましい。ただ、図3に示したような問題が生じる可能性がある。
【0029】
これに対して、本実施の形態のラミネート型蓄電素子10では、正極12aまたは負極12cは、含まれる粒子のD90粒子径が熱融着層11a3,11b3の厚み以下となっている。このため、たとえば、図1のように、正極12aから粒子12a1が剥がれ落ちたとしても、正極12aと金属層11b2とが粒子12a1を介して導通することが抑制される。したがって、電極体12とラミネートフィルム11a,11bに含まれる金属層11a2,11b2との間の絶縁性の低下を抑制できる。
【0030】
また、このようなラミネート型蓄電素子10は、絶縁テープを用いなくても絶縁性の低下を抑制できるため、電極体12のサイズアップが可能となり、高エネルギー密度化が図れる。
【0031】
なお、ラミネート型蓄電素子10のような薄型電池は、電池厚みが決められている。このため、ラミネート型蓄電素子10では、電池容量を担保するために薄いラミネートフィルム11a,11bが使用されることとなる。ラミネートフィルム11a,11bの厚みが薄いほど絶縁性の低下の可能性が大きくなる。そのため、上記のように正極12aまたは負極12cに含まれる粒子のD90粒子径を、熱融着層11a3,11b3の厚み以下とすることの有効性が高まり、その厚みが40μm以下のラミネートフィルム11a,11bにおいて、より有効である。
【0032】
<性能評価>
以下、上記のラミネート型蓄電素子10について、製造条件の異なるいくつかの実施例のそれぞれに対する性能評価結果を示す。
【0033】
(実施例1)
正極12aは、ステンレス集電体の一主面に、水系スラリーである正極材を塗布したものである。正極材は、MnO(D90粒子径が24.2μm)を90.2重量部、AB(アセチレンブラック)を5重量部、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)を3.7重量部、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)を0.8重量部の組成に調整されている。MnOは正極活物質、ABは導電助剤、SBRはバインダ、HECは増粘剤である。正極材の塗布量は31mg/cmとし、塗布後に乾燥及びプレス加工が行われ、その後、20×13mm(端子溶接部を除く)で切り出されることで、正極12aが得られる。
【0034】
セパレータ12bは、厚み20μmのセルロース製品である。
負極12cは、金属リチウムあるいはリチウム合金を、19×12mmのサイズで切り出したものである。
【0035】
電極体12は、正極12a、セパレータ12b、負極12cの順に積層したものである。
このような電極体12は、正極12aをラミネートフィルム11bの熱融着層11b3に熱溶着したものと、負極12cをラミネートフィルム11aの熱融着層11a3に熱溶着したものとを、セパレータ12bを挟んで貼り合わせることで得られる。
【0036】
なお、ラミネートフィルム11a,11bは、アルミニウムである金属層11a2,11b2と、変性ポリオレフィンの一例である、厚みが30μmのPPa(変性ポリプロピレン)である熱融着層11a3,11b3を含む。
【0037】
ラミネートフィルム11a,11bは、電極体12を挿入した状態で、周囲の4辺のうち3辺が互いに貼り合わされ封止され、一辺が開口された袋状の外装体11が作製される。そして、外装体11の開口部から非水系有機電解液が注入され、減圧含浸後、真空封止される(残りの一辺が封止される)。
【0038】
なお、封止幅を2mmとして、180℃のヒートバーにて封止が行われる。
(実施例2)
ラミネート型蓄電素子10の実施例2の製造条件は、MnOのD90粒子径を28.2μmとした以外は、実施例1の製造条件と同じである。
【0039】
(実施例3)
ラミネート型蓄電素子10の実施例3の製造条件は、MnOのD90粒子径を23.6μmとした以外は、実施例1の製造条件と同じである。
【0040】
(比較例1)
図3に示したようなラミネート型蓄電素子20の例として、正極21aに含まれるMnOのD90粒子径が、43.5μmであるものを比較例1とした。その他の製造条件は、実施例1の製造条件と同じである。
【0041】
(比較例2)
図3に示したようなラミネート型蓄電素子20の例として、正極21aに含まれるMnOのD90粒子径が、56.5μmであるものを比較例2とした。その他の製造条件は、実施例1の製造条件と同じである。
【0042】
(実施例4)
ラミネート型蓄電素子10の実施例4の製造条件は、MnOのD90粒子径を24.4μmとし、ラミネートフィルム11a,11bの熱融着層11a3,11b3を、厚み40μmのPPaとした以外は、実施例1の製造条件と同じである。
【0043】
(実施例5)
ラミネート型蓄電素子10の実施例5の製造条件は、MnOのD90粒子径を56.5μmとし、ラミネートフィルム11a,11bの熱融着層11a3,11b3を、厚み80μmのPPaとした以外は、実施例1の製造条件と同じである。
【0044】
(性能評価結果)
ラミネート型蓄電素子10の性能評価として、絶縁検査を行った結果を以下の表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1には、上記の実施例1~5と比較例1,2のそれぞれについて、MnOのD50粒子径、D90粒子径(A)、熱融着層11a3,11b3の厚み(B)、A/B、絶縁不良率、電池容量の測定結果が示されている。
【0047】
なお、絶縁検査は、作製したラミネート型蓄電素子10(比較例1,2の場合はラミネート型蓄電素子20)のタブ13a,13bとラミネートフィルム11a,11b間に直流5.0Vの電圧を印加したときの抵抗値を測定することで行われた。このとき、100MΩ未満を不良品として、いくつかのサンプルを用いて絶縁不良率が測定された。
【0048】
表1のように、MnOのD90粒子径が熱融着層11a3,11b3の厚み以下の場合、すなわちA/Bが1以下の場合、絶縁不良率は0.00%となっており、よい絶縁性が得られることがわかる。これに対して、比較例1,2のように、MnOのD90粒子径が熱融着層11a3,11b3の厚みより大きい場合、すなわちA/Bが1より大きい場合、絶縁不良率は0.32%や0.86%となっており、絶縁性が低下していることがわかる。
【0049】
なお、表1のように、熱融着層11a3,11b3の厚みが厚くなると、電池容量が低下する。たとえば、熱融着層11a3,11b3の厚みが、30μmの場合に対して、80μmの場合では、電池容量が半分以下に低下している。このため、熱融着層11a3,11b3の厚みが、40μm以下であることが望ましい。
【0050】
以上、実施の形態に基づき、本発明のラミネート型蓄電素子の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0051】
10 ラミネート型蓄電素子
11 外装体
11a,11b ラミネートフィルム
11a1,11b1 樹脂層
11a2,11b2 金属層
11a3,11b3 熱融着層
12 電極体
12a 正極
12b セパレータ
12c 負極
13a,13b タブ
図1
図2
図3