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▶ 株式会社リーガルコーポレーションの特許一覧

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  • 特開-防水靴 図1
  • 特開-防水靴 図2
  • 特開-防水靴 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111540
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】防水靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 19/00 20060101AFI20220725BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20220725BHJP
   A43B 23/08 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
A43B19/00
A43B23/02 103
A43B23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007029
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】390010571
【氏名又は名称】株式会社リーガルコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦史
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050AA11
4F050BD06
4F050BF01
4F050EA23
4F050FA04
4F050HA80
(57)【要約】
【課題】 防水靴としても踵部分を踏めるサンダルとしても使用することができる防水靴を提供する。
【解決手段】 本発明の防水靴10は、表底1とアッパー2の内側に袋状の防水インナー3が内装された防水靴10である。アッパー2は、着用者の足の甲側を被覆する甲側被覆部2aと着用者の踵側を被覆する踵側被覆部2bと当該踵側被覆部2bを内向きに倒伏させる折り曲げ部6を備え、防水インナー3は弾性変形可能な伸縮性を備えた素材で構成されている。踵側被覆部2bは折り曲げ部6から内向きに折り曲げて防水インナー3と共に倒伏できるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表底とアッパーの内側に袋状の防水インナーが内装された防水靴であって、
前記アッパーは、着用者の足の甲側を被覆する甲側被覆部と、当該着用者の踵側を被覆する踵側被覆部と、当該踵側被覆部を内向きに倒伏させる折り曲げ部を備え、
前記防水インナーは弾性変形可能な伸縮性を備えた素材で構成され、
前記踵側被覆部は前記折り曲げ部から内向きに折り曲げて前記防水インナーと共に倒伏させることができる、
ことを特徴とする防水靴。
【請求項2】
請求項1記載の防水靴において、
踵部分にカウンターが設けられ、
前記カウンターは内側保形部と外側保形部と踵側保形部を一連に備え、
前記踵側保形部は前記内側保形部及び外側保形部よりも低く構成された、
ことを特徴とする防水靴。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の防水靴において、
倒伏した踵側被覆部に復帰方向の力が加わると、当該踵側被覆部が防水インナーの弾性力によって元の位置に復帰する、
ことを特徴とする防水靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水インナーが内装された防水靴に関し、より詳しくは、踵部分を内向きに倒伏させてサンダルとしても使用することのできる防水靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防水靴として袋状に形成された防水インナーが内装されたもの(たとえば、特許文献1から3)が知られている。また、防水靴ではないが、踵部分を内向きに倒伏させてサンダルとしても使用することのできる靴(特許文献4)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-083707号公報
【特許文献2】特開2012-029756号公報
【特許文献3】実開平04-064204号公報
【特許文献4】特開2000-070006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1から3のような防水靴は、降雨時に靴の中が濡れないという点で優れているが、通気性が悪く、室内では靴の中が蒸れるという難点がある。かかる難点は、特許文献4のように踵部分を内向きに倒伏させることで解消することができるが、踵部分を倒伏させられる構造の防水インナーは存在しなかった。
【0005】
従来の防水インナーでも、踵部分を内向きに倒伏させられないこともないが、そのようにすると折り曲げ部分が欠損し、そこから水が浸入して防水という本来の目的を達成できなくなるおそれがあるため、防水靴においては、通常そのようなことが行われることはなかった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、防水靴としても踵部分を踏めるサンダルとしても使用することができる防水靴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の防水靴は、表底とアッパーの内側に袋状の防水インナーが内装された防水靴である。アッパーは、着用者の足の甲側を被覆する甲側被覆部と着用者の踵側を被覆する踵側被覆部と当該踵側被覆部を内向きに倒伏させる折り曲げ部を備え、防水インナーは弾性変形可能な伸縮性を備えた素材で構成されている。踵側被覆部は折り曲げ部から内向きに折り曲げて防水インナーと共に倒伏できるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の防水靴は、防水インナーとして弾性変形可能な伸縮性を有するものを用いており、踵側被覆部を内向きに折り曲げて倒伏させても折り曲げ部が欠損しにくいため、防水靴としても踵部分を踏めるサンダルとしても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の防水靴の一例を示すものであって、(a)は踵部分を立てた状態の斜視図、(b)は踵部分を折り曲げ部から内向きに倒伏させた状態の斜視図。
図2】本発明の防水靴の一例を示すものであって、(a)は踵部分を立てた状態の側面図、(b)は踵部分を折り曲げ部から内向きに倒伏させた状態の側面図。
図3】本発明の防水靴の一例を示す詳細説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本発明の防水靴10の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の防水靴10は、表底(アウトソール)1と、アッパー2と、防水インナー3を備えた短靴(踝が露出する深さの靴)であり、図1(a)及び図2(a)に示すような防水靴10として使用するほか、図1(b)及び図2(b)のようなサンダルとして使用することができる。
【0011】
前記表底1は防水靴10のベースとなる部分である。表底1には、一般的な防水靴に使用される既存のものを用いることができる。表底1と防水インナー3の間には図示しないシャンク(踏まず芯)を設けることもできる。
【0012】
前記アッパー2は、着用者の甲側(足の甲やつま先、両側面)を被覆する甲側被覆部2aと、着用者の踵側を被覆する踵側被覆部2bを備えている。甲側被覆部2a及び踵側被覆部2bには、一般的な防水靴に使用される既存のものを用いることができる。甲側被覆部2aと踵側被覆部2bは縫合されて一体に構成されている。縫合された甲側被覆部2aと踵側被覆部2bの間には、着用者が足を出し入れするための履き口2cが設けられている。
【0013】
踵側被覆部2bの上周縁寄りの位置には踵クッション2d(図3)が内蔵されている。踵クッション2dには、たとえば、ウレタンスポンジなどを用いることができる。踵側被覆部2bの厚さは、後述する踵側保形部4cの高さ寸法と同じ又はそれよりも薄くするのが好ましい。踵側被覆部2bの厚さをこの程度とすることで、踵側被覆部2bを内向きに倒伏させた際に踵側保形部4cとの段差が生じにくく、足裏に踵側保形部4cが触れることによる違和感をおさえることができる。
【0014】
防水靴10の踵部分には、防水靴10の形状を保持するカウンター4(図3)が設けられている。カウンター4には樹脂製のものや革製のものなどを用いることができる。この実施形態のカウンター4は、靴の内側に位置する内側保形部4aと、靴の外側に位置する外側保形部4bと、靴の踵部分の後方に位置する踵側保形部4cとが一連に構成された平面視U字状の部材である。
【0015】
この実施形態のカウンター4は、踵側保形部4cが内側保形部4a及び外側保形部4bに比べて低くなるように構成されている。踵側保形部4cを内側保形部4a及び外側保形部4bよりも低くしたのは、踵側被覆部2bを甲側被覆部2aとの縫合部(折り曲げ部)6から内向きに倒伏させてサンダルとして使用するときに、カウンター4が足裏に触れることによる違和感をおさえるためである。
【0016】
前記防水インナー3は靴の内部に水が浸入するのを防止するための袋状の部材である。この実施形態の防水インナー3は、弾性変形可能な伸縮性及び防水透湿性を備えた素材で構成されている。防水インナー3は、伸縮性及び防水透湿性を備える単層構造の素材や複数層構造の素材で構成することができる。
【0017】
防水インナー3を構成する前記素材は弾性変形可能な伸縮性を備えているため、折り曲げても折り曲げ部6が簡単に欠損することがない。また、前述のとおり、この実施形態では、カウンター4の踵側保形部4cを通常のカウンターに比べて低くしているが、防水インナー3が弾性変形可能な伸縮性を備えた素材で構成されているためフィッティング力を維持することができる。
【0018】
防水インナー3は、接着剤や接着テープなどの各種接着手段で表底1やアッパー2に固定されている。このとき、防水インナー3の透湿性を損なわないよう、接着手段は防水インナー3の全体に使用するのではなく、部分的に使用する。
【0019】
防水インナー3の内部には、中底(インソール)5が設けられている。インソール5には、一般的な防水靴に使用される既存のものを用いることができる。この実施形態では、インソール5として、取り外し可能なカップインソールを用いている。
【0020】
この実施形態では、甲側被覆部2aと踵側被覆部2bの縫合部6を折り曲げ部として、踵側被覆部2bを防水インナー3と共に内向きに倒伏させられるようにしてある。倒伏した踵側被覆部2bは、元の位置に復帰させるまでは倒伏位置にとどまるようにしてある。踵側被覆部2bに復帰方向の力が加わると、当該踵側被覆部2bが防水インナー3の弾性力によって元の位置に弾性復帰するようにしてある。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の防水靴10は、紳士靴をはじめ、婦人靴や子供靴として利用することができる。防水靴10の中でも、いわゆる完全防水靴に特に好適に用いることができる。ここでいう完全防水靴とは、防水インナー3で覆われた部分からは水が中に入り込まない靴を意味する。
【符号の説明】
【0022】
1 表底(アウトソール)
2 アッパー
2a 甲側被覆部
2b 踵側被覆部
2c 履き口
2d 踵クッション
3 防水インナー
4 カウンター
4a 内側保形部
4b 外側保形部
4c 踵側保形部
5 中底(インソール)
6 縫合部(折り曲げ部)
10 防水靴
図1
図2
図3