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  • 特開-工具用ソケット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111559
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】工具用ソケット
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/12 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
B25B23/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007063
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】福田 真志
(72)【発明者】
【氏名】湯蓋 智裕
(72)【発明者】
【氏名】吉川 貴
(72)【発明者】
【氏名】加藤 研司
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA04
3C038BB02
3C038EA06
(57)【要約】
【課題】 締付けおよび取外し作業における締結部材の脱落を防止しつつ、当該締結部材の締付けおよび取外しを連続的に行うことが可能な工具用ソケットを提供する。
【解決手段】 ソケットAは、動力工具の回転軸が取り付けられる取付け部10と、取付け部10につながり、かつ磁性体である複数の締結部材41が収容される本体部20とを備える。本体部20は、前記回転軸の軸心方向において取付け部10から最も離れて位置する装着部21と、前記軸心方向において装着部21と取付け部10との間に位置する装填部22とを有する。装着部21は、複数の締結部材41のいずれかを前記軸心方向の回りに囲んで保持する。装填部22には、複数の締結部材41のうち装着部21に保持されたもの以外が収容される。装着部21には、複数の締結部材41のうち装着部21に保持されたものを磁力により吸着する吸着機構213が前記軸心方向の回りに設けられている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力工具の回転軸が取り付けられる取付け部と、前記取付け部につながり、かつ磁性体である複数の締結部材が収容される本体部と、を備え、
前記本体部は、前記回転軸の軸心方向において前記取付け部から最も離れて位置する装着部と、前記軸心方向において前記装着部と前記取付け部との間に位置し、かつ前記装着部に通じる装填部と、を有し、
前記装着部は、前記複数の締結部材のいずれかを前記軸心方向の回りに囲んで保持し、
前記装填部には、前記複数の締結部材のうち前記装着部に保持されたもの以外が収容され、
前記装着部には、前記複数の締結部材のうち前記装着部に保持されたものを磁力により吸着する吸着機構が前記軸心方向の回りに設けられていることを特徴とする、工具用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力工具に装着されるとともに、ナットなどの締結部材の締付けおよび取外し作業に利用される工具用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、締結部材の締付けおよび取外し作業に利用されるソケットが開示されている。当該ソケットは、動力工具のドライブ軸に取り付けられる。当該ソケットは、ドライブ軸の軸心方向に対して直交する方向に締結部材を抑えつける抑え部材と、当該抑え部材を動作させるスライド部材とを備える。これにより、締結部材の締付けおよび取外し作業において、当該締結部材がソケットから脱落することを防止できる。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されているソケットは、締付けおよび取外しがなされた締結部材をソケットから引き抜く際に、逐一、スライド部材を手で操作する必要がある。このことは、作業効率の低下につながる。さらに、当該ソケットは、1つの締結部材しか収容できないため、締結部材の締付けおよび取外し作業を連続的に行うことが困難な構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-39757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑み、締付けおよび取外し作業における締結部材の脱落を防止しつつ、当該締結部材の締付けおよび取外しを連続的に行うことが可能な工具用ソケットを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される工具用ソケットは、動力工具の回転軸が取り付けられる取付け部と、前記取付け部につながり、かつ磁性体である複数の締結部材が収容される本体部と、を備え、前記本体部は、前記回転軸の軸心方向において前記取付け部から最も離れて位置する装着部と、前記軸心方向において前記装着部と前記取付け部との間に位置し、かつ前記装着部に通じる装填部と、を有し、前記装着部は、前記複数の締結部材のいずれかを前記軸心方向の回りに囲んで保持し、前記装填部には、前記複数の締結部材のうち前記装着部に保持されたもの以外が収容され、前記装着部には、前記複数の締結部材のうち前記装着部に保持されたものを磁力により吸着する吸着機構が前記軸心方向の回りに設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる工具用ソケットによれば、締付けおよび取外し作業における締結部材の脱落を防止しつつ、当該締結部材の締付けおよび取外しを連続的に行うことが可能となる。
【0008】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態にかかる工具用ソケットの平面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4図1に示す工具用ソケットを用いて複数の締結部材を締め付ける手順を示す断面図である。
図5図1に示す工具用ソケットを用いて複数の締結部材を締め付ける手順を示す断面図である。
図6図1に示す工具用ソケットを用いて複数の締結部材を締め付ける手順を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1図3に基づき、本発明の一実施形態にかかる工具用ソケット(以下「ソケットA」という。)について説明する。ソケットAは、インパクトレンチなどの動力工具に取り付けられる。ソケットAには、ナットなどの締結部材が保持される。ソケットAは、締結部材の締付けおよび取外し作業に利用される。ソケットAは、取付け部10および本体部20を備える。
【0012】
取付け部10には、図1に示すように、動力工具の回転軸30が取り付けられる。取付け部10は、取付け孔11および挿入孔12を有する。取付け孔11には、回転軸30が挿入される。挿入孔12は、回転軸30の軸心方向に対して直交する方向に沿って取付け部10を貫通している。ここで、軸心方向は、回転軸30の軸心Nが延びる方向を指す。
取付け孔11に回転軸30を挿入した後、回転軸30に連通するように固定ピン31を挿入孔12に挿入すると、回転軸30が取付け部10に固定される。これにより、動力工具を作動させると回転軸30とともにソケットAが軸心Nの回りに回転する。
【0013】
本体部20は、図3に示すように、取付け部10につながり、かつ複数の締結部材41が収納される。複数の締結部材41は、たとえば車両のハブベアリングに車輪を取り付けるためのハブナットである。複数の締結部材41は、磁性体である。本体部20には、最大で4つの締結部材41が収容されるようになっている。本体部20は、装着部21および装填部22を有する。
【0014】
図2および図3に示すように、装着部21は、複数の締結部材41のいずれかを保持する。装着部21は、これに保持された締結部材41を軸心方向の回りに囲んでいる。装着部21は、軸心方向において取付け部10から最も離れて位置する。装着部21は、外周面211、内周面212、吸着機構213、および複数の拡張溝214を有する。
【0015】
図2および図3に示すように、外周面211および内周面212は、軸心方向に対して直交する方向において互いに反対側を向く。内周面212は、装着部21に嵌め込まれた締結部材41の形状に整合した複数の領域からなる。内周面212は、当該締結部材41に接触する。これにより、当該締結部材41においては、装着部21に対して軸心方向の回りの相対回転が規制される。
【0016】
図2および図3に示すように、吸着機構213は、軸心方向の回りに設けられている。ソケットAにおいては、吸着機構213は、複数の支持孔213A、および複数の吸着体213Bを有する。複数の支持孔213Aは、外周面211から内周面212に至って貫通し、かつ装着部21に嵌め込まれた締結部材41を軸心方向の回りに囲んでいる。複数の支持孔213Aの各々においては、内周面212との境界をなす孔縁が囲む面積よりも外周面211との境界をなす孔縁が囲む面積の方が大である。複数の吸着体213Bは、外周面211から複数の支持孔213Aに個別に保持されている。複数の吸着体213Bは、外周面211および内周面212から露出している。複数の吸着体213Bの各々において、内周面212から露出する面積よりも外周面211から露出する面積の方が大である。複数の吸着体213Bは、磁石である。当該磁石の組成は、たとえばネオジムを含む。したがって、複数の吸着体213Bから磁力が発生するため、装着部21に嵌め込まれた締結部材41は、磁力により吸着機構213に吸着される。ソケットAにおいては、軸心方向において2列の吸着機構213が設けられている。吸着機構213のいずれかの列においては、内周面212の複数の領域の各々に支持孔213Aが設けられ、かつ当該支持孔213Aに吸着体213Bが保持されている。
【0017】
図2および図3に示すように、複数の拡張溝214の各々は、内周面212のうち軸心方向の回りにおいて隣り合う2つの領域の間に位置し、かつ当該2つの領域につながっている。複数の拡張溝214は、内周面212から凹み、かつ軸心方向に沿って延びている。
【0018】
図3に示すように、装填部22は、装着部21と取付け部10との間に位置する。装填部22は、装着部21に通じている。装填部22には、複数の締結部材41のうち装着部21に保持されたもの以外が収容される。装填部22には、複数の締結部材41が収容されるようになっている。装填部22に収容される締結部材41の個数は限定されない。
【0019】
次に、図4図6に基づき、ソケットAを用いて複数の締結部材41を被締結部材42に締め付ける手順について説明する。
【0020】
まず、図4に示すように、複数の締結部材41を本体部20に収納する。複数の締結部材41は、装着部21から順次送り出すことにより本体部20に収納される。複数の締結部材41のうち回転軸30から最も離れて位置する締結部材41は、吸着機構213に吸着された状態で装着部21に保持される。
【0021】
次いで、図5に示すように、装着部21に保持された締結部材41を被締結部材42に噛み合わせた後、回転軸30を軸心方向の回りに回転させる。これにより、被締結部材42に噛み合わされた締結部材41が装着部21と一体となって回転することにより、締結部材41が締結対象43とともに被締結部材42に締め付けられる。被締結部材42は、たとえば車両のハブベアリングに固定されたハブボルトである。締結対象43は、たとえば車輪のホイールである。
【0022】
次いで、図6に示すように、被締結部材42に締め付けられた締結部材41を装着部21から引き抜くとともにソケットAを下に向ける。これにより、装填部22に収容され、かつ装着部21から最も近くに位置する締結部材41が、装着部21に瞬時に送り出され、かつ装着部21に保持される。この状態から図5および図6の手順を順次繰り返すことによって、複数の締結部材41を連続的に締め付けることができる。
【0023】
一方、ソケットAを用いて複数の締結部材41を被締結部材42から取り外す手順は、図4図6に示す手順とは逆の手順を踏むことでなされる。この際、既に装着部21に保持された締結部材41は、新たに装着部21に取り込まれた締結部材41により装着部21から装填部22に自動的に送り出される。これにより、複数の締結部材41が本体部20に順次収容される。
【0024】
次に、ソケットAの作用効果について説明する。
【0025】
ソケットAは、装着部21および装填部22を有するとともに、磁性体である複数の締結部材41が収容される本体部20を備える。装着部21は、複数の締結部材41のいずれかを回転軸30の軸心方向の回りに囲んで保持する。装填部22には、複数の締結部材41のうち装着部21に保持されたもの以外が収容される。装着部21には、複数の締結部材41のうち装着部21に保持されたものを磁力により吸着する吸着機構213が軸心方向の回りに設けられている。これにより、締結部材41の締付けおよび取外し作業において、装着部21から締結部材41が脱落することを防止しつつ、作業後に締結部材41を装着部21から効率よく引き抜くことができる。その後、次の締付けおよび取外し作業に移行する際、装填部22に収容された締結部材41が装着部21に瞬時に送り出され、かつ装着部21に装着される。したがって、ソケットAによれば、締付けおよび取外し作業における締結部材41の脱落を防止しつつ、締結部材41の締付けおよび取外しを連続的に行うことが可能となる。
【0026】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、複数の締結部材41がハブナットのみならず、磁性体である種々のナットに適用可能である。さらに本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0027】
A:ソケット
10:取付け部
11:取付け孔
12:挿入孔
20:本体部
21:装着部
211:外周面
212:内周面
213:吸着機構
213A:支持孔
213B:吸着体
214:拡張溝
30:回転軸
31:固定ピン
41:締結部材
42:被締結部材
43:締結対象
N:軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6