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  • 特開-感熱記録用ラベル及びその使用方法 図1
  • 特開-感熱記録用ラベル及びその使用方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111565
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】感熱記録用ラベル及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/40 20060101AFI20220725BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B41M5/40 210
B41M5/40 220
B41M5/40 212
G09F3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007080
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 修平
(72)【発明者】
【氏名】羽田 豊
(72)【発明者】
【氏名】加美山 宗徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛訓
(72)【発明者】
【氏名】吉金 一郎
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB01
2H026FF29
(57)【要約】
【課題】環境負荷を十分に低減させることができる感熱記録用ラベルを提供する。
【解決手段】第1感熱層2cが設けられた感熱記録用ラベル本体2と、
感熱記録用ラベル本体2の裏面に設けられた裏紙3と、を有し、
裏紙3は、第2感熱層3cが設けられ、
第2感熱層3cには、第1感熱層2cに印字される際、印字されず、次の印字の際に印字される。そして、感熱記録用ラベル本体2は、粘着層2aと、第1基材2bと、第1感熱層2cと、で少なくとも構成され、裏紙3は、剥離層3aと、第2基材3bと、第2感熱層3cと、で少なくとも構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用に際して印字される第1感熱層が設けられた感熱記録用ラベル本体と、
前記感熱記録用ラベル本体の裏面に設けられた裏紙と、を有し、
前記裏紙には、
前記第1感熱層に印字される際、同時に印字されない第2感熱層が設けられてなる感熱記録用ラベル。
【請求項2】
前記感熱記録用ラベル本体は、
粘着層と、第1基材と、前記第1感熱層と、で少なくとも構成され、
前記裏紙は、
剥離層と、第2基材と、前記第2感熱層と、で少なくとも構成されてなる請求項1に記載の感熱記録用ラベル。
【請求項3】
感熱記録用ラベル本体に設けられている第1感熱層に第1の印字をした後、該感熱記録用ラベル本体の裏面に設けられた裏紙に設けられている第2感熱層に第2の印字をしてなる感熱記録用ラベルの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録用ラベル及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録用ラベルは、サーマルヘッド等の加熱によって化学反応により発色し、記録画像が得られるものであり、ファクシミリや自動券売機、科学計測機の記録用媒体としてだけではなく、小売店等のPOSシステム等広範な用途に使用されている。
【0003】
ところで、このような感熱記録用ラベルは、使用時に、裏紙を剥がして感熱記録用ラベルを物品に貼付けるというものであり、剥がされた裏紙は、回収し廃棄処分されることとなる。そのため、環境負荷が増大するといった問題があった。
【0004】
一方で、特許文献1に記載のような感熱記録用ラベルも知られている。この感熱記録用ラベルは、第1感熱層及び第2感熱層を同時に発色させ、第1感熱層が設けられている貼付部を商品ラベル等として使用し、第2感熱層が設けられている貼付部を保管用して使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59-160270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような感熱記録用ラベルは、保管用として一方の貼付部を回収せざるを得ないことから、環境負荷を低減させるには不十分であるといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、環境負荷を十分に低減させることができる感熱記録用ラベル及びその使用方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
請求項1の感熱記録用ラベルによれば、使用に際して印字される第1感熱層(2c)が設けられた感熱記録用ラベル本体(2,2A,2B)と、
前記感熱記録用ラベル本体(2,2A,2B)の裏面に設けられた裏紙(3)と、を有し、
前記裏紙(3)には、
前記第1感熱層(2c)に印字される際、同時に印字されない第2感熱層(3c)が設けられてなることを特徴としている。
【0010】
また、請求項2の感熱記録用ラベルによれば、上記請求項1に記載の感熱記録用ラベル(1,1A,1B)において、前記感熱記録用ラベル本体(2,2A,2B)は、
粘着層(2a)と、第1基材(2b)と、前記第1感熱層(2c)と、で少なくとも構成され、
前記裏紙(3)は、
剥離層(3a)と、第2基材(3b)と、前記第2感熱層(3c)と、で少なくとも構成されてなることを特徴としている。
【0011】
一方、請求項3の感熱記録用ラベルの使用方法によれば、感熱記録用ラベル本体(2,2A,2B)に設けられている第1感熱層(2c)に第1の印字をした後、該感熱記録用ラベル本体(2,2A,2B)の裏面に設けられた裏紙(3)に設けられている第2感熱層(3c)に第2の印字をしてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1の発明によれば、第1感熱層(2c)が設けられた感熱記録用ラベル本体(2,2A,2B)をラベルとして使用する際は、第1感熱層(2c)に印字を行うようにする。この際、第1感熱層(2c)に印字される際、第2感熱層(3c)は同時に印字されないことから、感熱記録用ラベル本体(2)をラベルとして使用した後は、裏紙(3)に設けられた第2感熱層(3c)に印字を行うことが可能となり、もって、使用者は、新たな感熱紙として、裏紙(3)を直ちに利用することが可能となる。これにより、従来のように裏紙(3)を回収せずとも良くなることから、環境負荷を十分に低減させることができる。
【0014】
また、上記のような感熱記録用ラベルとしては、請求項2の発明のように、感熱記録用ラベル本体(2,2A,2B)が、粘着層(2a)と、第1基材(2b)と、第1感熱層(2c)と、で少なくとも構成され、裏紙(3)が、剥離層(3a)と、第2基材(3b)と、第2感熱層(3c)と、で少なくとも構成されていれば良い。
【0015】
一方、請求項3の発明によれば、第1感熱層(2c)が設けられた感熱記録用ラベル本体(2,2A,2B)をラベルとして使用する際は、第1感熱層(2c)に第1の印字を行うようにする。そして、感熱記録用ラベル本体(2)をラベルとして使用した後は、裏紙(3)に設けられた第2感熱層(3c)に、第2の印字を行うことができる。これにより、使用者は、新たな感熱紙として、裏紙(3)を直ちに利用することが可能となり、もって、従来のように裏紙(3)を回収せずとも良くなることから、環境負荷を十分に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る感熱記録用ラベルの層構成を示した縦断面説明図、(b)は同実施形態に係る裏紙の層構成を示した縦断面説明図である。
図2】同実施形態に係る感熱記録用ラベルの変形例を示した縦断面説明図である。
図3】同実施形態に係る感熱記録用ラベルの図2とは異なる変形例を示した縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る感熱記録用ラベルの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
図1(a)に示すように、感熱記録用ラベル1は、感熱記録用ラベル本体2と、裏紙3と、で構成されている。この感熱記録用ラベル本体2は、図1(a)に示すように、断面視横長矩形状の粘着層2aと、粘着層2aの上面に積層された第1基材2bと、第1基材2bの上面に積層された第1感熱層2cと、で構成されている。
【0019】
粘着層2aは、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エマルジョン型粘着剤、有機溶剤を使用した溶剤型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等により形成されている。
【0020】
第1基材2bは、粘着層2a及び第1感熱層2cを支持する支持部材であって、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの樹脂フィルムや、上質紙、再生紙、片艶紙、耐油紙、コート紙、アート紙、クラフト紙、グラシン紙、キャストコート紙、樹脂含浸紙、合成繊維紙などの紙を用いて形成されている。
【0021】
第1感熱層2cは、加熱によって発色するものであって、加熱により発色する発色剤、顕色剤、結着剤、及び滑剤などを含む材料にて形成されている。
【0022】
一方、裏紙3は、粘着層2aの下面に積層された剥離層3aと、剥離層3aの下面に積層された第2基材3bと、第2基材3bの下面に積層された第2感熱層3cと、で構成されている。
【0023】
剥離層3aは、粘着層2aに対して剥離性を備えているもので、剥離剤または離型剤を含み形成されている。剥離剤または離型剤としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが例示できる。これらの剥離剤は、粘着剤の種類に対応させて、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。また、必要に応じて、公知の添加剤を含んでもよい。
【0024】
第2基材3bは、剥離層3a及び第2感熱層3cを支持する支持部材であって、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの樹脂フィルムや、上質紙、再生紙、片艶紙、耐油紙、コート紙、アート紙、クラフト紙、グラシン紙、キャストコート紙、樹脂含浸紙、合成繊維紙などの紙を用いて形成されている。
【0025】
第2感熱層3cは、加熱によって発色するものであって、加熱により発色する発色剤、顕色剤、結着剤、及び滑剤などを含む材料にて形成されている。
【0026】
ところで、第1感熱層2cと、第2感熱層3cとは、サーマルヘッド等の加熱によって、同時に印字できないように構成されている。すなわち、具体的な構成としては、第1感熱層2cがサーマルヘッド等の加熱によって印字される際、第2感熱層3cが同時に印字されないように、第1感熱層2cと第2感熱層3cとを、上下方向(厚み方向)に十分に離間するようにする。或いは、十分に離間できない場合、第2感熱層3cの発色温度を、第1感熱層2cの発色温度より高くする等が例示される。
【0027】
かくして、上記のように構成される感熱記録用ラベル1は、以下のように使用される。
【0028】
すなわち、使用者は、感熱記録用ラベル1を使用するにあたって、サーマルヘッド等の加熱によって、第1感熱層2cに所定の印字を行う。そして、粘着層2aから剥離層3aを剥離し、感熱記録用ラベル本体2から裏紙3を分離させる。これにより、感熱記録用ラベル本体2は、粘着層2aを用いて、所定の物品に貼付けることができ、もって、ラベルとしての役割を担うことができる。
【0029】
一方、分離された裏紙3は、図1(b)に示すような状態となる。この裏紙3は、従来であれば、回収し廃棄処分されるものである。しかしながら、この裏紙3は、図1(b)に示すように、第2感熱層3cが設けられていることから、使用者は、サーマルヘッド等の加熱によって、第2感熱層3cに所定の印字を行うことができる。それゆえ、従来のように、裏紙3の回収をせず、使用者は、新たな感熱紙として、直ちに利用することが可能となる。なお、この裏紙3は、感熱記録用ラベル本体2のように粘着層2aが無いことから、所定の物品に貼付ける必要のない、例えば、レシートなどに使用することができる。
【0030】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、第1感熱層2cが設けられた感熱記録用ラベル本体2をラベルとして使用する際は、第1感熱層2cに印字を行うようにする。そして、感熱記録用ラベル本体2をラベルとして使用した後は、裏紙3に設けられた第2感熱層3cに印字を行うことにより、使用者は、新たな感熱紙として、裏紙3を直ちに利用することが可能となる。これにより、従来のように裏紙3を回収せずとも良くなることから、環境負荷を十分に低減させることができる。
【0031】
また、このように裏紙3を新たな感熱紙として再利用することができるような構成にすれば、第1感熱層2cを印字し、その後、第2感熱層3cを印字できるように、感熱記録用ラベル1のサイズや規格を統一化して、新たな印字装置を製造することも可能となる。しかして、このような新たな印字装置を製造すれば、環境負荷をより十分に低減させることができる。
【0032】
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、感熱記録用ラベル1を、図2に示すような感熱記録用ラベル1Aに変形することも可能である。なお、感熱記録用ラベル1と同一構成については、同一の符号を付し、説明は省略することとする。
【0033】
図1に示す感熱記録用ラベル1と、図2に示す感熱記録用ラベル1Aの相違は、感熱記録用ラベル本体2の構成が異なるだけである。すなわち、図2に示す感熱記録用ラベル本体2Aは、粘着層2aと、粘着層2aの上面に積層された第1基材2bと、第1基材2bの上面に積層されたアンダーコート層2bAと、アンダーコート層2bAの上面に積層された第1感熱層2cと、第1感熱層2cの上面に積層されたオーバーコート層2dAと、で構成されている。アンダーコート層2bAは、第1感熱層2cを発色させるためにサーマルヘッド等から与えられた熱の放散を防ぐ断熱性やクッション性等の機能を有するものである。
【0034】
一方、オーバーコート層2dAは、主として、第1感熱層2cの耐水性、耐薬品性、耐可塑剤性等を向上させ、サーマルヘッド等に対する第1感熱層2cのマッチング性を向上させて、第1感熱層2cにおける発色が適切に行われるようにするためのものである。
【0035】
かくして、感熱記録用ラベル本体2Aを上記のように構成したものであっても、感熱記録用ラベル1と同様の効果を奏することとなる。
【0036】
また一方、感熱記録用ラベル1を、図3に示すような感熱記録用ラベル1Bに変形することも可能である。なお、感熱記録用ラベル1と同一構成については、同一の符号を付し、説明は省略することとする。
【0037】
図1に示す感熱記録用ラベル1と、図3に示す感熱記録用ラベル1Bの相違は、感熱記録用ラベル本体2の構成が異なるだけである。すなわち、図3に示す感熱記録用ラベル本体2Bは、粘着層2aと、粘着層2aの上面に積層された第1基材2bと、第1基材2bの上面に積層された第1感熱層2cと、第1感熱層2cの上面に積層された中間層2dBと、中間層2dBの上面に積層されたトップコート層2eBと、で構成されている。中間層2dBは、水や油に対するバリアー性を有し、アクリル樹脂のエマルション、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂等の水溶性樹脂、SBR樹脂などによって形成されている。
【0038】
一方、トップコート層2eBは、サーマルヘッド等に対する第1感熱層2cのマッチング性を向上させて、第1感熱層2cにおける発色が適切に行われるようにするためのものである。
【0039】
かくして、感熱記録用ラベル本体2Bを上記のように構成したものであっても、感熱記録用ラベル1と同様の効果を奏することとなる。
【0040】
しかして、感熱記録用ラベル本体は、粘着層2aと、第1基材2bと、第1感熱層2cと、で少なくとも構成され、裏紙は、剥離層3aと、第2基材3bと、第2感熱層3cと、で少なくとも構成されていれば、どのようなものにも変形可能である。
【符号の説明】
【0041】
1,1A,1B 感熱記録用ラベル
2,2A,2B 感熱記録用ラベル本体
2a 粘着層
2b 第1基材
2c 第1感熱層
3 裏紙
3a 剥離層
3b 第2基材
3c 第2感熱層
図1
図2
図3