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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111571
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/14 20060101AFI20220725BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B41J11/14
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007089
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】大関 将矢
(72)【発明者】
【氏名】窪田 裕人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】大塚 仁至
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EC12
2C056HA29
2C056HA32
2C058AB12
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF31
2C058DC05
2C058DC20
2C058DC26
(57)【要約】
【課題】ジャム発生時において、装置内に滞留している滞留用紙を容易に除去することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッド36の、用紙の搬送方向における上流側及び下流側に設けられ、ベルトプラテン搬送部3上に搬送される被印刷媒体をベルトプラテン搬送部3側に押圧するヘッド前ローラ91及びヘッド後ローラ92と、ヘッド前ローラ91、及びヘッド後ローラ92を昇降駆動するローラ昇降駆動部38を備える。更に、ベルトプラテン搬送部3を、昇降駆動するベルト昇降駆動部32と、排紙ローラ63及び中間搬送ローラ46を可逆的に回転駆動する排紙ローラ回転駆動部69、及び中間搬送ローラ回転駆動部59と、用紙にジャムが発生した際に、ローラ昇降駆動部38、ベルト昇降駆動部32、及び各ローラ回転駆動部69、59を制御する制御部8と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッド、及び該記録ヘッドの下方に設けられたベルト搬送機構を有し、前記ベルト搬送機構上で印刷した被印刷媒体を、該ベルト搬送機構の下流側に設けられた搬送ローラに送り出す機能を備えたインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドの、前記被印刷媒体の搬送方向における上流側及び下流側に設けられ、前記ベルト搬送機構上に搬送される前記被印刷媒体を前記ベルト搬送機構側に押圧するヘッド前ローラ及びヘッド後ローラと、
前記ヘッド前ローラ、及びヘッド後ローラを昇降駆動するローラ昇降駆動部と、
前記ベルト搬送機構を、昇降駆動するベルト昇降駆動部と、
前記搬送ローラを可逆的に回転駆動する搬送ローラ回転駆動部と、
前記被印刷媒体にジャムが発生した際に、前記ローラ昇降駆動部、前記ベルト昇降駆動部、及び前記搬送ローラ回転駆動部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に係り、特に、ジャム発生時において装置内に滞留している用紙を容易に除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、給紙部より搬送された印刷用の用紙にインクジェットヘッド(記録ヘッド)からインクを吐出して印刷するインクジェット記録装置では、搬送される用紙に用紙浮きエラーなどのジャムが生じることがある。このような場合にはユーザは、装置を停止させて装置内に滞留している滞留用紙を取り出す必要がある。
【0003】
特に、ベルト搬送機構の上流側となる搬送経路において、用紙浮き検知や重送検知などのジャムが発生すると、滞留用紙の取り出し時に該滞留用紙がインクジェットヘッドに接触することによりヘッドが破損する恐れがある。
【0004】
このため、用紙搬送ジャムが検出された場合には、用紙の搬送を即時に停止し、ユーザの手作業により滞留用紙を全て取り除く作業が生じ、インクジェット記録装置を長時間停止させることになる。更には、滞留用紙の取り忘れが生じることがある。特許文献1には、ベルトプラテンを傾斜させることにより、滞留用紙を排出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-160778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された技術では、ベルトプラテンの上流側に滞留している用紙を排出することができるものの、ベルトプラテンの下流側に用紙を搬送する搬送路を有する印刷装置においては、ベルトプラテンの下流側で生じた滞留用紙を除去することが難しい。
【0007】
また、給紙機構とベルトプラテンとの間の搬送路上でジャムが発生した場合であっても、滞留している用紙を取り出すためにユーザが手を入れるスペースが確保できないことがあり、滞留している用紙の除去が難しい。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ジャム発生時において、装置内に滞留している滞留用紙を容易に除去することが可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本願発明は、記録ヘッド、及び該記録ヘッドの下方に設けられたベルト搬送機構を有し、前記ベルト搬送機構上で印刷した被印刷媒体を、該ベルト搬送機構の下流側に設けられた搬送ローラに送り出す機能を備えたインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの、前記被印刷媒体の搬送方向における上流側及び下流側に設けられ、前記ベルト搬送機構上に搬送される前記被印刷媒体を前記ベルト搬送機構側に押圧するヘッド前ローラ及びヘッド後ローラと、前記ヘッド前ローラ、及びヘッド後ローラを昇降駆動するローラ昇降駆動部と、前記ベルト搬送機構を、昇降駆動するベルト昇降駆動部と、前記搬送ローラを可逆的に回転駆動する搬送ローラ回転駆動部と、前記被印刷媒体にジャムが発生した際に、前記ローラ昇降駆動部、前記ベルト昇降駆動部、及び前記搬送ローラ回転駆動部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ジャム発生時において、装置内に滞留している滞留用紙を容易に除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御ブロック図である。
図3図3は、インクジェット記録装置にジャムが発生したときに滞留した滞留用紙を取り出す処理を示す説明図であり、(a)はベルトプラテンの手前に滞留用紙が存在した状態、(b)はヘッド前ローラ及びヘッド後ローラが下降した状態、(c)は滞留用紙が下方に搬送される状態を示す。
図4図4は、インクジェット記録装置にジャムが発生したときに滞留した複数の滞留用紙を取り出す処理を示す説明図であり、(a)は複数の滞留用紙が存在した状態、(b)はヘッド前ローラ及びヘッド後ローラが下降した状態、(c)はレジストローラに滞留した滞留用紙が下方に搬送される状態を示す。
図5図5は、インクジェット記録装置にジャムが発生したときに滞留した複数の滞留用紙を取り出す処理を示す説明図であり、(a)は排紙ローラを逆回転させて滞留用紙を搬送する状態、(b)は中間搬送ローラを逆回転させて滞留用紙を搬送する状態、(c)は下部搬送ローラ及び上昇搬送ローラを回転させて滞留用紙を搬送する状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0013】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
[実施形態の構成]
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を模式的に示す説明図である。図2は、図1に示すインクジェット記録装置1の制御ブロック図である。以下の説明において、図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0015】
図1において太線で示す経路が、被印刷媒体である用紙が搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が印刷経路RP、一点鎖線で示す経路が循環経路RC、破線で示す経路が排紙経路RD、二点鎖線で示す経路が外部給紙経路RS1および内部給紙経路RS2である。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0016】
図1図2に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、給紙部2と、ベルトプラテン搬送部3(ベルト搬送機構)と、印刷部4と、循環搬送部5と、排紙部6と、操作パネル7と、制御部8と、各部を収納または保持する筐体9と、を備える。
【0017】
給紙部2は、未印刷の用紙P(被印刷媒体)をベルトプラテン搬送部3に給紙する。また、給紙部2は、両面印刷時に片面印刷後の用紙Pをベルトプラテン搬送部3に再給紙する。給紙部2は、外部給紙台11と、外部給紙ローラ12と、内部給紙台13A、13Bと、内部給紙ローラ14A、14Bと、内部給紙搬送ローラ16A~16Cと、縦搬送ローラ18と、レジストローラ20と、用紙センサ22~24とを備える。
【0018】
外部給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pを積載し、外部給紙ローラ12は、積層された用紙Pを1枚ずつ取り出し、ベルトプラテン搬送部3に向けて外部給紙経路RS1に沿ってレジストローラ20へ向けて搬送する。
【0019】
内部給紙台13A、13Bは、印刷に用いられる用紙Pを積載する。内部給紙ローラ14A、14Bは、内部給紙台13A、13Bに積層された用紙Pを1枚ずつ取り出して、ベルトプラテン搬送部3に向けて搬送する。
【0020】
内部給紙搬送ローラ16A、16B、16Cは、それぞれ内部給紙ローラ14A、14Bにより取り出された用紙Pを縦搬送ローラ18へ搬送する。
【0021】
縦搬送ローラ18は、内部給紙経路RS2に沿って内部給紙搬送ローラ16Cから搬送されてくる用紙Pをレジストローラ20へ搬送する。また、縦搬送ローラ18は、両面印刷時に循環経路RCに沿って循環搬送された片面印刷後の用紙Pをレジストローラ20へ搬送する。
【0022】
レジストローラ20は、外部給紙ローラ12または縦搬送ローラ18により搬送されてきた用紙Pを一旦止めて斜行補正した後、後述のベルトプラテン26へ搬送する。
【0023】
用紙センサ22、23は、内部給紙台13A、13Bから取り出されてレジストローラ20へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ24は、外部給紙台11及び内部給紙台13A、13Bから取り出されてレジストローラ20へ搬送される用紙Pを検出する。
【0024】
ベルトプラテン搬送部3は、給紙部2から搬送されてきた用紙Pを循環搬送部5または排紙部6へ搬送する。ベルトプラテン搬送部3は、給紙部2の下流側に配置されている。ベルトプラテン搬送部3は、ベルトプラテン26と、用紙センサ28と、ヘッド前ローラ91と、ヘッド後ローラ92と、を備える。
【0025】
ベルトプラテン26は、周回する環状の搬送ベルトを備えており、レジストローラ20により搬送されてきた用紙PをファンFaによるエアー吸引により搬送ベルト上に吸着保持して搬送する。
【0026】
ベルトプラテン26は、後述のベルト昇降駆動部32により、印刷位置、及び下限位置の間で上下方向に昇降可能になっている。印刷位置は、印刷部4による印刷中のベルトプラテン26の位置である。下限位置は、ベルトプラテン26を最大限に下降させた位置である。
【0027】
用紙センサ28は、レジストローラ20からベルトプラテン26へ搬送される用紙Pを検出する。
【0028】
ヘッド前ローラ91は、ベルトプラテン搬送部3の上方に設けられるインクジェットヘッド36(記録ヘッド)の上流側に設けられる。ヘッド後ローラ92は、インクジェットヘッド36の下流側に設けられる。各ローラ91、92は、ベルトの搬送駆動に合わせて従動する。各ローラ91、92は、図2に示すローラ昇降駆動部38により、上下方向に移動可能とされている。
【0029】
具体的には、ローラ昇降駆動部38は通常時において、ヘッド前ローラ91及びヘッド後ローラ92がレジストローラ20から搬送される用紙とほぼ同一レベルに位置するように制御する。このため通常の印刷時において、搬送中の用紙Pの浮き上がりを防止できる。
【0030】
ローラ昇降駆動部38はまた、ベルトプラテン26が下降したときに、これに連動してヘッド前ローラ91及びヘッド後ローラ92を微小距離だけ下降させるように制御する(図3(b)参照)。各ローラ91、92を下降させることにより、用紙搬送エラーの発生時においてベルトプラテン26の上流側、及び下流側より搬送された滞留用紙をヘッドユニット31の下方に押圧し、下限位置に下降しているベルトプラテン26の上方へ導くことができる。
【0031】
印刷部4は、用紙Pを印刷する。印刷部4は、ベルトプラテン26の上方に配置されている。印刷部4は、ヘッドユニット31と、ベルト昇降駆動部32と、ローラ昇降駆動部38(図2参照)を備える。
【0032】
ヘッドユニット31は、ベルトプラテン26により搬送される用紙Pにインクを吐出して画像を印刷する。ヘッドユニット31は、複数のインクジェットヘッド36(印刷ヘッド)と、ヘッドホルダ37とを備える。
【0033】
インクジェットヘッド36は、前後方向に沿って配置された複数のノズルを有し、ノズルからインクを吐出する。複数のインクジェットヘッド36は、用紙Pの搬送方向(左右方向)に沿って並列配置されている。
【0034】
ヘッドホルダ37は、インクジェットヘッド36を保持する。ヘッドホルダ37は、筐体9内の所定位置に固定されている。
【0035】
ベルト昇降駆動部32は、ベルトプラテン26を印刷位置、及び下限位置の間で昇降させる。ベルト昇降駆動部32は、ヘッドホルダ37内に配置されている。ベルト昇降駆動部32は、ワイヤ、プーリ、モータ等を有し、ワイヤによりベルトプラテン26を吊り下げ支持している。ベルト昇降駆動部32は、モータによりプーリを回転させてワイヤの巻き取りおよび繰り出しを行うことで、ベルトプラテン26を昇降させる。
【0036】
循環搬送部5は、両面印刷時に片面印刷後の用紙Pを、ベルトプラテン26の下流端から縦搬送ローラ18へ循環経路RCに沿って搬送する。循環搬送部5は、中間搬送部41と、反転部42と、下部搬送部43と、上昇搬送部44とを備える。
【0037】
中間搬送部41は、両面印刷時に片面印刷後の用紙Pをベルトプラテン26から反転部42へ搬送する。中間搬送部41は、2対の中間搬送ローラ46と、用紙センサ48とを備える。
【0038】
中間搬送ローラ46(搬送ローラ)は、ベルトプラテン26から送り出された片面印刷後の用紙Pを受け取り、後述の反転ローラ49へ搬送する。用紙センサ48は、中間搬送ローラ46により反転ローラ49へ搬送される用紙Pを検出する。中間搬送ローラ46は、回転方向の切り替えが可能とされている。中間搬送ローラ46を順方向に回転させることにより、用紙Pを反転ローラ49に搬送することができる。中間搬送ローラ46を逆方向に回転させることにより、搬送エラーの発生時において中間搬送部41に滞留した滞留用紙をベルトプラテン搬送部3に搬送することができる。
【0039】
反転部42は、中間搬送ローラ46により搬送されてきた片面印刷後の用紙Pをスイッチバックする反転ローラ49を備える。
【0040】
下部搬送部43は、ベルトプラテン26の下方に配置されており、反転部42から上昇搬送部44へ用紙Pを搬送する。下部搬送部43は、3対の下部搬送ローラ51と、用紙センサ53、54とを備える。
【0041】
下部搬送ローラ51は、反転ローラ49によりスイッチバックされた用紙Pを上昇搬送ローラ56へ搬送する。下部搬送部43とベルトプラテン26との間には、ベルトプラテン26が昇降する際のスペースが設けられている。
【0042】
用紙センサ53、54は、反転ローラ49によるスイッチバック後、循環経路RCに沿って縦搬送ローラ18へ搬送される用紙Pを検出する。
【0043】
上昇搬送部44は、下部搬送ローラ51から搬送されてきた用紙Pを縦搬送ローラ18へ搬送する上昇搬送ローラ56を備える。
【0044】
また、循環搬送部5は、図2に示すように中間搬送ローラ回転駆動部59(搬送ローラ回転駆動部)を備えている。中間搬送ローラ回転駆動部59は、通常の印刷時において、中間搬送ローラ46を順方向に回転させて用紙Pを反転ローラ49に搬送する。また、ジャム発生時において、中間搬送ローラ46に滞留用紙がニップされた場合には、該中間搬送ローラ46を逆方向に回転させて滞留用紙をベルトプラテン搬送部3側へ搬送する制御を行う。即ち、中間搬送ローラ回転駆動部59は、中間搬送ローラ46を可逆的に回転駆動する制御を行う。
【0045】
排紙部6は、印刷済みの用紙Pを排紙する。排紙部6は、切替部61と、3対の排紙ローラ63と、用紙センサ65、66と、排紙台67とを備える。
【0046】
切替部61は、用紙Pの搬送経路を排紙経路RDと循環経路RCとの間で切り替える。排紙ローラ63(搬送ローラ)は、ベルトプラテン26から搬送されてくる用紙Pを受け取って排紙台67へ排紙する。用紙センサ65、66は、排紙経路RDに沿って搬送される用紙Pを検出する。排紙台67は、排紙ローラ63により排紙された用紙Pが積載されるものである。
【0047】
排紙ローラ63は、順方向への回転、及び逆方向への回転が可能である。後述するように、排紙ローラ63は、用紙の搬送エラー発生時において印刷が終了している用紙は、順方向に回転させて排紙台67へ搬送する。一方、印刷が終了していない用紙(滞留用紙)は、逆方向に回転させて、ベルトプラテン搬送部3側へ搬送する。
【0048】
排紙部6はまた、図2に示すように排紙ローラ回転駆動部69(搬送ローラ回転駆動部)を備えている。排紙ローラ回転駆動部69は、通常の印刷時において、排紙ローラ63を順方向に回転させて用紙Pを排紙台67に搬送する。また、ジャム発生時において、排紙ローラ63に印刷が終了していない滞留用紙がニップされた場合には、該排紙ローラ63を逆方向に回転させてニップされている滞留用紙をベルトプラテン搬送部3側へ搬送する制御を行う。即ち、排紙ローラ回転駆動部69は、排紙ローラ63を可逆的に回転駆動する制御を行う。
【0049】
操作パネル7は、各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。操作パネル7は、図2に示すように、液晶ディスプレイなどの表示部71と、タッチパネルや操作キーなどの入力部72とを備える。
【0050】
制御部8は、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。制御部8は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0051】
具体的には、制御部8は、給紙部2により用紙Pをベルトプラテン26に給紙し、ベルトプラテン26により用紙Pを搬送しつつ、インクジェットヘッド36からインクを吐出して用紙Pに印刷するよう制御する。両面印刷の場合、制御部8は、片面印刷後の用紙Pを循環搬送部5により表裏反転して給紙部2の縦搬送ローラ18へ搬送し、縦搬送ローラ18およびレジストローラ20によりベルトプラテン26に再給紙して未印刷面に印刷するよう制御する。制御部8は、印刷済みの用紙Pを排紙部6により排紙するよう制御する。
【0052】
制御部8は、用紙センサ22~24、28、48、53、54、65、66による検出結果に基づいて、搬送中の用紙Pにジャムなどの搬送エラーが発生しているか否かを判断する。具体的には、制御部8は、用紙センサ22~24、28、48、53、54、65、66の少なくともいずれかにおける用紙Pの検出タイミングが理論値より閾値以上遅れた場合、用紙ジャム等の搬送エラーが発生したと判断する。
【0053】
制御部8は、印刷動作時において、用紙にジャムが発生した場合には、ベルトプラテン26による用紙の搬送を停止し、更に、ファンFaによるエアー吸引を停止する。制御部8はまた、ベルト昇降駆動部32を駆動させてベルトプラテン26を印刷位置から下降位置まで下降させる。
【0054】
制御部8はまた、ベルトプラテン26を下降位置に下降させた際には、ローラ昇降駆動部38により、ヘッド前ローラ91、及びヘッド後ローラ92を微小距離だけ下降させる。具体的には、後述する図3(b)に示すように、各ローラ91、92をレジストローラ20よりも微小距離だけ下方に移動させる。
【0055】
制御部8はまた、印刷動作時において用紙Pにジャムが発生した場合において、レジストローラ20にニップされた滞留用紙が存在する場合には、この滞留用紙をそのまま下流側へ送り出す。制御部8はまた、中間搬送部41に滞留用紙が存在する場合には、中間搬送ローラ46を逆方向に回転させてこの滞留用紙をベルトプラテン搬送部3側へ搬送する。
【0056】
制御部8はまた、排紙部6に滞留用紙が存在する場合において、この滞留用紙の印刷が終了している場合には、排紙ローラ63を順方向に回転させて、この滞留用紙を排紙台67側へ搬送する。制御部8はまた、滞留用紙の印刷が終了していない場合には、排紙ローラ63を逆方向に回転させてこの滞留用紙をベルトプラテン搬送部3側へ搬送する。
【0057】
制御部8はまた、下部搬送部43に滞留用紙が存在する場合には、3対の下部搬送ローラ51を回転させてこの滞留用紙を縦搬送ローラ18側へ搬送する。
【0058】
即ち、制御部8は、被印刷媒体にジャムが発生した際に、ローラ昇降駆動部38、ベルト昇降駆動部32、中間搬送ローラ回転駆動部59(搬送ローラ回転駆動部)、排紙ローラ回転駆動部69(搬送ローラ回転駆動部)を制御する機能を備えている。
【0059】
[本実施形態の動作]
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の動作について説明する。なお、図3図5において、黒丸で示すローラは用紙を搬送するために回転するローラを示している。
【0060】
(第1実施例)
図3(a)~(c)は、ベルトプラテン搬送部3の上流側のレジストローラ20にて搬送中の用紙に用紙浮きエラー(ジャム)が発生したときの、滞留用紙の取り出し手順を示す説明図である。
【0061】
図3(a)に示すように、ベルトプラテン搬送部3の手前で用紙浮きエラーが発生し、この用紙が滞留用紙p1となった場合には、図1に示した用紙センサ24、28において、滞留用紙p1が検出される。
【0062】
滞留用紙p1が検出されると、制御部8は、図3(b)に示すように、ベルト昇降駆動部32を駆動させてベルトプラテン26を通常位置から下降位置まで下降させる。
【0063】
制御部8はまた、ローラ昇降駆動部38を駆動させてヘッド前ローラ91、及びヘッド後ローラを下方へ移動させる。その結果、各ローラ91、92は、レジストローラ20よりも微小距離だけ下方に位置することになる。
【0064】
制御部8は、この状態でレジストローラ20を駆動させる。すると、図3(c)に示すように、滞留用紙p1はレジストローラ20により下流側に搬送される。更に、滞留用紙p1は、ヘッド前ローラ91により下方に導かれて、ベルトプラテン26の上面に搬送される。ベルトプラテン26上に搬送された滞留用紙p1は、図示省略のドアを開放することにより、ユーザにより取り出される。このように、ユーザは滞留用紙p1を簡単な操作で取り出すことができる。
【0065】
(第2実施例)
前述した第1実施例では1枚の滞留用紙が存在する例であるのに対し、第2実施例では、装置内に複数の用紙が滞留している場合の動作について説明する。図4(a)~(c)、図5(a)~(c)は、ベルトプラテン26の手前、排紙ローラ63、中間搬送ローラ46、及び、下部搬送ローラ51にそれぞれ滞留用紙p1、p2、p3、p4が存在する場合の動作を示す説明図である。
【0066】
図4(a)に示すように、ベルトプラテン搬送部3の手前で用紙浮きエラーが発生し、この用紙が滞留用紙となった場合には、図1に示した用紙センサ24、28において、滞留用紙p1が検出される。排紙ローラ63にて用紙が滞留している場合には、用紙センサ65にて滞留用紙p2が検出される。中間搬送ローラ46にて用紙が滞留している場合には、用紙センサ48にて滞留用紙p3が検出される。下部搬送ローラ51にて用紙が滞留している場合には、用紙センサ53、54にて滞留用紙p4が検出される。
【0067】
滞留用紙が検出されると、前述した第1実施例と同様に制御部8は、図4(b)に示すように、ベルト昇降駆動部32を駆動させてベルトプラテン26を通常位置から下降位置まで下降させる。
【0068】
制御部8はまた、図4(b)に示すように、ローラ昇降駆動部38を駆動させて、ヘッド前ローラ91、及びヘッド後ローラ92を下方へ移動させる。その結果、各ローラ91、92は、レジストローラ20よりも微小距離だけ下方に位置することになる。
【0069】
制御部8は、図4(c)に示すように、レジストローラ20を回転駆動させて該レジストローラ20にニップされている滞留用紙p1をベルトプラテン搬送部3側へ搬送する。この滞留用紙p1は、下降位置とされたヘッド前ローラ91により下方に導かれ、図5(a)に示すようにベルトプラテン26の上方に搬送される。
【0070】
次いで、制御部8は排紙部6の排紙ローラ63に未印刷の滞留用紙p2がニップされている場合には、図5(a)に示すように、排紙ローラ63を逆方向に回転させてこの滞留用紙p2をベルトプラテン搬送部3側へ搬送する。この際、ヘッド後ローラ92は微小距離だけ下降しているので、滞留用紙p2は下方に導かれる。滞留用紙p2はベルトプラテン26の上方に搬送される。
【0071】
なお、排紙部6にニップされている滞留用紙が既に印刷済みである場合には、排紙ローラ63を順方向に回転させて、この滞留用紙を排紙台67に搬送する。
【0072】
制御部8は、循環搬送部5の中間搬送ローラ46に滞留用紙p3がニップされている場合には、図5(b)に示すように、該中間搬送ローラ46を逆方向に回転させて滞留用紙p3をベルトプラテン搬送部3側へ搬送する。この滞留用紙は、下降位置とされたヘッド後ローラ92により下方に導かれ、ベルトプラテン26の上方に搬送される。
【0073】
制御部8は、下部搬送部43の下部搬送ローラ51に滞留用紙p4がニップされている場合には、図5(c)に示すように、該下部搬送ローラ51、上昇搬送ローラ56、及び縦搬送ローラ18を回転させて滞留用紙p4を、レジストローラ20側へ搬送する。この滞留用紙p4はレジストローラ20によりベルトプラテン搬送部3側へ搬送され、ヘッド前ローラ91により下方に導かれ、ベルトプラテン26の上方に搬送される。
【0074】
ベルトプラテン26の上方に蓄積された滞留用紙は、図示省略のドアを開放することにより、ユーザにより取り出される。
【0075】
[本実施形態の効果]
このようにして、本実施形態に係るインクジェット記録装置1では、用紙(被印刷媒体)にジャムなどの搬送エラーが発生した場合に、搬送路上に滞留している滞留用紙を搬送してベルトプラテン26の上方へ蓄積することができる。即ち、滞留用紙を一箇所に集約することができる。従って、ユーザはジャム発生時における滞留用紙を容易且つ安全に取り出すことが可能となる。
【0076】
また、ベルトプラテン26が下降した際には、これに連動してヘッド前ローラ91、及びヘッド後ローラ92が下降するので、ベルトプラテン搬送部3に向けて搬送された滞留用紙は、各ローラ91、92により下方に導かれてベルトプラテン26の上方に蓄積される。従って、滞留用紙がインクジェットヘッド36に接触して該インクジェットヘッド36を損傷するというトラブルの発生を回避することが可能となる。
【0077】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0078】
[付記1]
記録ヘッド、及び該記録ヘッドの下方に設けられたベルト搬送機構を有し、前記ベルト搬送機構上で印刷した被印刷媒体を、該ベルト搬送機構の下流側に設けられた搬送ローラに送り出す機能を備えたインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドの、前記被印刷媒体の搬送方向における上流側及び下流側に設けられ、前記ベルト搬送機構上に搬送される前記被印刷媒体を前記ベルト搬送機構側に押圧するヘッド前ローラ及びヘッド後ローラと、
前記ヘッド前ローラ、及びヘッド後ローラを昇降駆動するローラ昇降駆動部と、
前記ベルト搬送機構を、昇降駆動するベルト昇降駆動部と、
前記搬送ローラを可逆的に回転駆動する搬送ローラ回転駆動部と、
前記被印刷媒体にジャムが発生した際に、前記ローラ昇降駆動部、前記ベルト昇降駆動部、及び前記搬送ローラ回転駆動部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【符号の説明】
【0079】
1 インクジェット記録装置
2 給紙部
3 ベルトプラテン搬送部
4 印刷部
5 循環搬送部
6 排紙部
7 操作パネル
8 制御部
9 筐体
11 外部給紙台
12 外部給紙ローラ
13A、13B 内部給紙台
14A、14B 内部給紙ローラ
16A、16B、16C 内部給紙搬送ローラ
18 縦搬送ローラ
20 レジストローラ
22、23、24、28、48、53、54、65、66 用紙センサ
26 ベルトプラテン
31 ヘッドユニット
32 ベルト昇降駆動部
36 インクジェットヘッド
37 ヘッドホルダ
38 ローラ昇降駆動部
41 中間搬送部
42 反転部
43 下部搬送部
44 上昇搬送部
46 中間搬送ローラ
49 反転ローラ
51 下部搬送ローラ
56 上昇搬送ローラ
59 中間搬送ローラ回転駆動部
61 切替部
63 排紙ローラ
67 排紙台
69 排紙ローラ回転駆動部
71 表示部
72 入力部
91 ヘッド前ローラ
92 ヘッド後ローラ
図1
図2
図3
図4
図5