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  • 特開-飼育カゴ用保温装置 図1
  • 特開-飼育カゴ用保温装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111586
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】飼育カゴ用保温装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 31/20 20060101AFI20220725BHJP
   A01K 31/19 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
A01K31/20
A01K31/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007117
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】594192327
【氏名又は名称】共栄アクアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100080540
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】糸島 広宣
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA09
2B101BB01
2B101EC01
2B101EC04
(57)【要約】
【課題】広い飼育室を確保するとともに、頻繁な清掃を抑制する。
【解決手段】発熱するヒーター線31が取り付けられた本体23を飼育カゴ18の外側に被せたので、ヒーター線31、本体23は飼育室19の外側に存在し、広い飼育室19を容易に確保できる。また、本体23は飼育カゴ18の外側に被せられた状態で使用されるので、動物の糞は本体23に殆ど付着せず、清掃作業が容易となる。さらに、本体23を飼育カゴ18の外側に被せることで飼育カゴ18を外部から遮断しているため、飼育室19への外部空気の流入や、加熱された飼育室19内の空気の外部への流出を抑制でき、エネルギーの浪費が阻止される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を飼育する飼育室が内部に形成された飼育カゴの外側に被せられたとき、前記飼育カゴの外側形状に沿って延び、前記飼育カゴを外部から遮断する本体と、前記本体に取り付けられ、通電されたとき発熱する発熱体とを備えたことを特徴とする飼育カゴ用保温装置。
【請求項2】
前記発熱体は、前記本体に埋設されることによって前記本体に取り付けられている請求項1に記載の飼育カゴ用保温装置。
【請求項3】
前記本体の断熱性を、前記本体が前記飼育カゴの外側に被せられたときに前記飼育カゴに近接する内側より、前記本体が前記飼育カゴの外側に被せられたときに前記飼育カゴとは反対側になる外側において高くした請求項2に記載の飼育カゴ用保温装置。
【請求項4】
前記本体を撥水機能を有するシートから構成した請求項1から請求項3までのいずれかに記載の飼育カゴ用保温装置。
【請求項5】
前記本体は、変形可能であり、前記飼育カゴ用保温装置は、前記本体にスリットを成形するとともに、該スリットの両側に位置する前記本体の縁部同士を繋ぐことで該スリットを閉止する繋ぎ部材を設けた請求項1から請求項4までのいずれかに記載の飼育カゴ用保温装置。
【請求項6】
前記発熱体に対する通電を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記発熱体に対する通電量を変化させることで、前記発熱体の単位時間当たりの発熱量を調節することができる請求項1から請求項5までのいずれかに記載の飼育カゴ用保温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飼育カゴ内の飼育室を、飼育される動物の飼育に好適な温度に保つ飼育カゴ用保温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飼育カゴ用保温装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-335801号公報
【0004】
このものは、ニワトリの雛を飼育する飼育室が内部に形成された育雛器の前記飼育室下部に設置され、該飼育室を上下に区画するとともに、多数の通気孔が形成された水平な床部材と、前記飼育室のうち、雛が生活する遊び場を除いた狭い空間である保温室において床部材の下部に設置され、作動したとき発熱して保温室を雛の飼育に好適な温度に保持する電熱器とを備えたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の飼育カゴ用保温装置にあっては、電熱器が育雛器の飼育室(保温室)内部に設置されているため、該保温室の容積分だけ雛の生活空間(遊び場)が狭くなってしまうという課題があった。また、前述のように雛が歩き回る床部材には多数の通気孔が形成されているため、雛の糞が通気孔を通じて電熱器の上面に落下し、この結果、電熱器を頻繁に育雛器から取り出して清掃する必要があるという課題もあった。
【0006】
この発明は、広い飼育室を確保することができるとともに、頻繁な清掃を抑制することができる飼育カゴ用保温装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、動物を飼育する飼育室が内部に形成された飼育カゴの外側に被せられたとき、前記飼育カゴの外側形状に沿って延び、前記飼育カゴを外部から遮断する本体と、前記本体に取り付けられ、通電されたとき発熱する発熱体とを備えた飼育カゴ用保温装置により、達成することができる。
【0008】
本発明の飼育カゴ用保温装置において、前記発熱体は、前記本体に埋設されることによって前記本体に取り付けられていても良い。この構成により、本発明の飼育カゴ用保温装置は、発熱体が本体の外部に現れず、発熱体と本体との間に汚れが溜まり難いので、清掃作業を容易化することができるとともに、動物による発熱体への直接攻撃が防止されて発熱体の故障が抑制され、しかも、外部への放熱が低下して飼育室の保温効果を向上させることができる。
【0009】
本発明の飼育カゴ用保温装置において、前記本体の断熱性を、前記本体が前記飼育カゴの外側に被せられたときに前記飼育カゴに近接する内側より、前記本体が前記飼育カゴの外側に被せられたときに前記飼育カゴとは反対側になる外側において高くしても良い。この構成により、外部への放熱量が減少し飼育室の保温効果を向上させることができる。
【0010】
本発明の飼育カゴ用保温装置において、前記本体を撥水性能を有するシートから構成しても良い。この構成により、飼育している動物によって本体が汚されても水拭きすることで前記本体を常時綺麗に保持することができる。
【0011】
本発明の飼育カゴ用保温装置において、前記本体は、変形可能であり、前記飼育カゴ用保温装置は、前記本体にスリットを成形するとともに、該スリットの両側に位置する前記本体の縁部同士を繋ぐことで該スリットを閉止する繋ぎ部材を設けても良い。この構成により、スリットの両側に位置する本体の縁部同士の繋ぎを外したとき、スリット近傍の本体が変形容易となって飼育カゴに対する本体の着脱作業が容易となるとともに、飼育室内の空気の交換作業も容易となる。
【0012】
本発明の飼育カゴ用保温装置において、前記発熱体に対する通電を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記発熱体に対する通電量を変化させることで、前記発熱体の単位時間当たりの発熱量を調節することができても良い。この構成により、飼育する動物の変更、外気温の変化に応じて飼育室内を飼育に好適な温度に容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明においては、飼育カゴの外側に被せられたとき、前記飼育カゴの外側形状に沿って延び、飼育カゴを外部から遮断する本体に発熱体が取り付けられているので、発熱体、本体は飼育カゴの内部である飼育室ではなく、飼育室の外側に存在し、この結果、広い飼育室を容易に確保することができる。また、飼育カゴ用保温装置の本体は飼育カゴの外側に配置された状態で使用されるので、飼育する動物の糞など、飼育カゴの内部からの物による汚れが本体に殆ど付着することはなく、これにより、清掃作業の頻度を効果的に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施形態1を示す全体斜視図である。
図2】本体の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11は多数本の折り曲げられた針金を組み合わせて接合することで構成した隙間の多いカゴ本体であり、このカゴ本体11は四角形状の水平な頂壁部12と、この頂壁部12の各外縁から下方に向かって延びる4つの側壁部13(すなわち、側壁部13a、13b、13c、13d)とを有し、全体として下方が開放した四角枠状を呈している。前記側壁部13aには出入り口14が形成され、この出入り口14は側壁部13aに昇降可能に支持された扉15により開閉可能である。16はカゴ本体11の下端部に固定され該カゴ本体11の下端開口を閉止するプラスチック製の下枠であり、この下枠16には受け皿17が水平方向に移動可能に支持されている。前述したカゴ本体11、下枠16は全体として飼育カゴ18を構成し、この飼育カゴ18の内部には動物を飼育する飼育室19が形成される。なお、図1においては、側壁部13c、13dの一部と、飼育室19の内部とを省略して描いている。
【0016】
ここで、前述した動物として、例えば小鳥等の鳥類、ハムスター等の哺乳類、カエル等の両生類、トカゲ等の爬虫類を挙げることができる。なお、この発明においては、前記飼育カゴ18を図1に示す形状以外の形状にしてもよい。例えば、飼育カゴ18を円筒状としたり、六角枠状、八角枠状としてもよい。22は飼育カゴ用保温装置であり、この飼育カゴ用保温装置22は前記カゴ本体11とほぼ同一形状で該カゴ本体11の外側形状に沿って延びる本体23を有し、この本体23は前記頂壁部12とほぼ同一形状の頂壁24と、該頂壁24の各外縁から下方に向かって延び前記側壁部13とほぼ同一高さである4つの側壁25(すなわち、側壁25a、25b、25c、25d)とから構成される。そして、互いに隣接する側壁25同士は直角に交差するとともに、互いに隣接する側壁25同士の互いに近接する側端同士は連続している。
【0017】
前述した頂壁24、側壁25は全体として飼育カゴ18の外側形状に沿って延びる前記本体23を構成するが、この本体23は撥水機能を有する変形可能なシート、例えば撥水加工が施された織物、編物、不織布の布から構成することが好ましい。その理由は、本体23を撥水機能を有するシートから構成すれば、飼育している動物により本体23が汚されても、水拭きすることで該本体23を常時綺麗に保持することができるからである。ここで、撥水機能とは、シート表面が水を弾く機能で、フッ素系撥水剤等でシート表面をコーティングすることで得ることができる。そして、このような本体23は上方から下降させることで、図1に仮想線で示すように、前記飼育カゴ18の外側に被せられるが、このとき、カゴ本体11の外側は該本体23に覆われ、これにより、飼育室19は前記本体23により外部から遮断され、衆人環視や人工照明からも解放される。ここで、飼育室19が外部から遮断されるとは、完全に密閉状態となるわけではなく、若干の空気の出入りは許容されているという意味である。
【0018】
このように本体23がカゴ本体11の外側形状とほぼ同一形状であると、互いに隣接する側壁25同士の境界には上下方向に延びる稜線が形成されるが、この実施形態においては、各稜線上に下端が開放したスリット26が形成されている。27は各スリット26に設けられた繋ぎ部材としてのスライドファスナーであり、これらスライドファスナー27は、スリット26の両側に位置する側壁25の縁部にそれぞれ固定され多数の噛合エレメントが設けられたファスナーテープと、前記噛合エレメントを噛合、分離させるスライダーとを備え、該スライダーをスリット26に沿って上方に移動させると、噛合エレメント同士は次々に噛合してスリット26の両側に位置する側壁25の縁部同士は互いに繋がり、一方、該スライダーを下方に移動させると、スリット26の両側に位置する側壁25の縁部同士は繋ぎから解放される。なお、該スライダーを最下部に移動させると、スリット26の両側に位置する側壁25の縁部同士は繋ぎから完全に解放されることが可能である。
【0019】
このように変形可能な本体23に上下方向に延びるスリット26を成形するとともに、該スリット26の両側に位置する側壁25の縁部同士を繋ぐことで該スリット26を閉止するスライドファスナー27を設けるようにすれば、スリット26の両側に位置する側壁25の縁部同士の繋ぎを外したとき、スリット26近傍の本体23の変形が容易となって飼育カゴ18に対する本体23の着脱作業が容易となるとともに、飼育室19内の空気の流入出が容易となって該空気を短時間で交換することもできる。なお、この実施形態ではスリット26を稜線と同数、ここでは4個形成するようにしたが、この発明においては、スリット、繋ぎ部材を本体の所望の位置に1~3個あるいは5個以上設けるようにしてもよく、また、繋ぎ部材として面ファスナー、ホック、ボタン等を用いるようにしてもよい。
【0020】
前記本体23には発熱体としてのヒーター線31が埋設され、このヒーター線31は該本体23を構成する側壁25b、25c、25dにおいて略W状を呈しながら延びており、通電されたとき発熱して飼育室19に熱を付与し、該飼育室19で飼育されている小動物や雛などの動物を保温する。このように、この実施形態においては、本体23の一部である頂壁24や側壁25b、25c、25dにヒーター線31を埋設する一方、側壁25aには埋設していないが、この発明においては、ヒーター線31を頂壁24だけのような狭い範囲に、あるいは、本体23の全体に埋設してもよく、本体23の少なくとも一部に埋設すればよい。ここで、前述のヒーター線31としては、防滴仕様のシリコンゴムヒーター線、即ち、ガラス芯にニッケル・クロム合金、鉄・ニッケル合金等からなる発熱材を螺旋状に巻き付けるとともに、その外側を耐熱シリコンゴムで被覆したものを用いているが、この発明においては、炭素繊維やアルミ箔を軟質フィルムでラミネート加工したヒーター線や、その他の構造のヒーター線を用いるようにしてもよい。
【0021】
なお、この発明においては、ヒーター線を本体の内側面または外側面に接触させながら前記本体に取り付けるようにしてもよいが、前述のようにヒーター線31は本体23に埋設することで前記本体23に取り付けることが好ましい。その理由は、ヒーター線を本体の内側面に取り付けた場合に比較し、この実施形態の場合には、ヒーター線31が本体23の外部に現れず、ヒーター線31と本体23との間に汚れが溜まり難くなって、清掃作業を容易化することができるとともに、動物によるヒーター線31への直接攻撃が防止されてヒーター線31の故障が抑制され、また、ヒーター線を本体の外側面に取り付けた場合に比較し、この実施形態の場合には、外部への放熱が低下して飼育室の保温効果を向上させることができるからである。
【0022】
そして、このような本体23は、例えば、前述のような撥水機能を有する変形可能なシートを2枚用意し、これらのシートによりヒーター線31を挟持しながらこれらのシートを互いに接着して複合シートを構成するとともに、前記複合シートの外側を断熱性の高い断熱シートで被覆することで構成することができる。これにより、本体23の断熱性は、カゴ本体11に近接する内側より、カゴ本体11とは反対側の外側において高くなる。そして、このようにすれば、本体の断熱性を外側より内側において高くした場合に比較し、外部への放熱量が減少して飼育室19の保温効果を向上させることができる。ここで、前述のような断熱性の高い素材としては、例えば中空ポリエステル繊維を挙げることができる。
【0023】
前述のように通電されたとき発熱するヒーター線31が埋設されている本体23を飼育カゴ18の外側に被せるようにすれば、ヒーター線31、本体23は飼育カゴ18の内部に位置する飼育室19ではなく、飼育室19の外側に存在することになり、この結果、広い飼育室19を容易に確保することができる。また、飼育カゴ用保温装置22の本体23は飼育カゴ18の外側に被せられた状態で使用されるので、飼育する動物の糞など、飼育カゴ18の内部からの物による汚れが本体23に殆ど付着することはなく、これにより、清掃作業の頻度を効果的に低減させることができる。さらに、飼育カゴ用保温装置22の本体23を飼育カゴ18の外側に被せることで該飼育カゴ18を外部から遮断するようにしているため、ヒーター線31により加熱された飼育室19内の空気が外部に流出する事態が効果的に抑制され、これにより、エネルギーの浪費を阻止することができる。
【0024】
34はヒーター線31に対する通電を制御する制御手段であり、この制御手段34と商用交流電源のコンセントに差し込まれるプラグ35とは電源線36により接続されている。また、前記制御手段34とヒーター線31の両端とは一部が本体23に埋設されたリード線37により接続されているが、該リード線37の途中で本体23に埋設されている部位にはヒーター線31における通電によって本体23が異常高温まで上昇したとき、ヒーター線31における通電を遮断するバイメタル式等のサーマルプロテクタ38が設けられている。ここで、前述のヒーター線31には、例えば 5~24ボルトの低電圧である直流電流を通電するようにしているが、このように低電圧の電流を通電するようにすれば、飼育している動物が本体23を引っ掻いたりつついたりしてヒーター線31の被覆を破損させたような場合にも動物への被害を効果的に抑制することができる。なお、このような効果はヒーター線31における通電が低電圧の交流電流でも同様に発揮することができる。
【0025】
ここで、前述の制御手段34としては、例えば高周波パルスを生成した後これを整流平滑化することで交流を直流に変換するタイプのスイッチング電源を用いることができるが、この場合、制御手段34の調節つまみ41を回転させることで、スイッチング電源のパルスの幅または周波数を変更し、これにより、ヒーター線31に対する通電量を断続的または連続的に変化させて該ヒーター線31の単位時間当たりの発熱量を調節するようにしてもよい。そして、このようにすれば、飼育する動物の変更、外気温の変化に対応して飼育室19内を動物の飼育に好適な温度に容易に調整することができる。
【0026】
なお、この発明においては、制御手段としてリニア電源(ドロッパー電源)を用いるようにしてもよい。さらに、この発明においては、電源としてリチウムイオン電池、乾電池、バッテリー等の携帯可能な直流電源を用いてもよく、このようにすれば、動物を保温しながら飼育カゴを携帯して問題なく外出することもできる。また、前述のような直流電源を用いる場合には、例えば直列に接続されている電池の数を変更したり、リニアレギュレータ、スイッチングレギュレータを用いて出力を変更することもできる。また、この発明においては、ヒーター線に交流電流を通電するようにしてもよく、この場合にはトランスを用いることで出力を容易に変更することができる。 さらに、この発明においては、飼育室内の温度を検出する温度センサから出力された検出信号と、飼育室の温度を所望の温度に設定する設定器から出力された設定信号とを基にヒーター線への通電量を変化させることによって、飼育室内の温度を所望の温度に制御するようにしてもよい。
【0027】
次に、ヒーター線31への出力を強中弱の3段階に切換えたときのヒーター線31の表面温度、飼育室19内の測定温度をそれぞれ示すが、出力が強のときはそれぞれ80℃、30℃、出力が中のときはそれぞれ70℃、25℃、出力が弱のときはそれぞれ60℃、20℃であった。このときの外気温(室温)は15℃であった。45は本体23、ここでは側壁25aに形成されたコの字形の切り込みであり、この切り込み45により該本体23には本体23を貫通する窓46および該窓46を開閉可能なフラップ47が形成される。また、前記窓46の周囲の本体23には透明プラスチックからなる透明シート48の外縁部が固着されており、これにより、前記窓46は透明シート48により閉止され、窓46を通じての空気の流れが遮断される。そして、前記フラップ47をめくり上げれば、透明シート48を通じて飼育カゴ18内における動物の状態を観察することができる。50はフラップ47、透明シート48に固定された係止部材であり、この係止部材50はフラップ47を透明シート48に係止させることでフラップ47によって窓46を覆い、飼育室19内への光の侵入を遮断する。
【0028】
次に、前記実施形態1の作用について説明する。
外気温が低下してくると、飼育カゴ18内の温度を上昇させて飼育室19で飼育している動物を保温する必要が生じてくるが、この場合には、いずれかのスライドファスナー27のスライダーを引き下げる。これにより、スリット26の両側に位置する側壁25の縁部同士の繋ぎが外されて側壁25の下部が拡開可能となる。この状態で本体23を上方から下降させてカゴ本体11の外側に被せるが、このとき、スリット26近傍の本体23の変形が容易であるため、本体23の飼育カゴ18への装着作業が容易となる。次に、スライドファスナー27のスライダーを引き上げてスリット26を閉じると、カゴ本体11は本体23によって全体が覆われ、飼育室19は前記本体23により外部から遮断される。
【0029】
次に、プラグ35を交流電源のコンセントに差し込むと、交流電流は制御手段34のスイッチング電源により低電圧の直流に変換されてヒーター線31に供給される。この結果、ヒーター線31は発熱して飼育室19に熱カロリーを付与し、該飼育室19で飼育されている動物を保温する。このとき、飼育カゴ18の外側には本体23が被せられているので、適切な温度まで加熱された飼育室19内の空気が外部に流出する事態を効果的に抑制することができる。また、このとき、本体23、ヒーター線31は飼育カゴ18の外側に存在しているため、容易に広い飼育室19を確保することができるとともに、動物の糞など、飼育カゴ18の内部からの物による汚れが本体23に殆ど付着することはなく、清掃作業が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、飼育カゴ内の飼育室を、飼育される動物の飼育に好適な温度に保つ産業分野に適用できる。
【符号の説明】
【0031】
18…飼育カゴ 19…飼育室
22…飼育カゴ用保温装置 23…本体
26…スリット 27…スライドファスナー(繋ぎ部材)
31…ヒーター線(発熱体)
34…制御手段
図1
図2