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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111590
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220725BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220725BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220725BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
G09F9/00 366
G02F1/1333
G02F1/1335 505
G09F9/30 349A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007121
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友幸
(72)【発明者】
【氏名】松永 和己
(72)【発明者】
【氏名】新木 盛右
(72)【発明者】
【氏名】望月 一秀
【テーマコード(参考)】
2H189
2H291
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA14
2H189HA16
2H189JA14
2H189LA14
2H189LA20
2H189LA27
2H189LA31
2H291FA06Y
2H291FA10Y
2H291FA91Y
2H291FD04
2H291GA04
2H291GA19
2H291HA15
2H291LA40
5C094BA43
5C094ED03
5C094ED20
5C094HA10
5G435BB12
5G435EE49
5G435GG12
(57)【要約】
【課題】 表示装置が備えるセンサにより検出される対象物が生体と模擬体のいずれであるかを判別可能とすること。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、第1開口、第2開口および第3開口を有するコリメート層と、前記第1開口と重なる第1色の第1カラーフィルタと、前記第2開口と重なる第2色の第2カラーフィルタと、前記第3開口と重なる第3色の第3カラーフィルタと、画素を含む表示領域に配置され、前記第1開口および前記第1カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第1検知信号を出力する第1センサと、前記表示領域に配置され、前記第2開口および前記第2カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第2検知信号を出力する第2センサと、前記表示領域に配置され、前記第3開口および前記第3カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第3検知信号を出力する第3センサと、を備えている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口、第2開口および第3開口を有するコリメート層と、
前記第1開口と重なる第1色の第1カラーフィルタと、
前記第2開口と重なる第2色の第2カラーフィルタと、
前記第3開口と重なる第3色の第3カラーフィルタと、
画素を含む表示領域に配置され、前記第1開口および前記第1カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第1検知信号を出力する第1センサと、
前記表示領域に配置され、前記第2開口および前記第2カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第2検知信号を出力する第2センサと、
前記表示領域に配置され、前記第3開口および前記第3カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第3検知信号を出力する第3センサと、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記画素と重なる前記第1色の第4カラーフィルタをさらに備え、
前記第1カラーフィルタは、前記第4カラーフィルタと繋がっている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1開口、前記第2開口および前記第3開口の少なくとも一つと重なる赤外線カット層をさらに備える、
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3センサを備える第1基板と、
前記コリメート層、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタおよび前記第3カラーフィルタを備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板の間の液晶層と、
を備える請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
画素を含む表示領域に配置され、前記画素から放たれて対象物で反射された反射光に応じた検知信号を出力するセンサと、
前記画素および前記センサを制御するドライバと、を備え、
前記画素は、第1色の光を放つ第1副画素と、第2色の光を放つ第2副画素と、第3色の光を放つ第3副画素とを含み、
前記ドライバは、第1期間において前記第1副画素を点灯させるとともに、前記第1副画素から放たれた前記第1色の光の反射光に応じた第1検知信号を前記センサに出力させ、第2期間において前記第2副画素を点灯させるとともに、前記第2副画素から放たれた前記第2色の光の反射光に応じた第2検知信号を前記センサに出力させ、第3期間において前記第3副画素を点灯させるとともに、前記第3副画素から放たれた前記第3色の光の反射光に応じた第3検知信号を前記センサに出力させる、表示装置。
【請求項6】
前記センサと重なり、前記第1副画素、前記第2副画素および前記第3副画素と重ならない赤外線カット層をさらに備える、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記センサを備える第1基板と、
前記赤外線カット層を備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板の間の液晶層と、
を備える請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2基板は、
基材と、
前記基材と前記液晶層の間に配置され、前記センサと重なる開口を有するコリメート層と、
をさらに備え、
前記赤外線カット層は、前記基材と前記コリメート層の間、または、前記コリメート層と前記液晶層の間に配置されている、
請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、指紋センサや静脈センサ等、生体情報を検出するセンサが内蔵された表示装置が開発されている。この種のセンサとしては、例えば光電変換素子を用いた光学センサが用いられる。
【0003】
例えば、光学センサにより指紋を検出する場合においては、指紋と同様の凹凸を有する模擬体がセンサにかざされても、ユーザの指(生体)の指紋と同様に検出され得る。そこで、センサにより検出されようとしている対象物が生体と模擬体のいずれであるかを判別可能とすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6479151号公報
【特許文献2】特許第3840595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表示装置が備えるセンサにより検出される対象物が生体と模擬体のいずれであるかを判別可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、第1開口、第2開口および第3開口を有するコリメート層と、前記第1開口と重なる第1色の第1カラーフィルタと、前記第2開口と重なる第2色の第2カラーフィルタと、前記第3開口と重なる第3色の第3カラーフィルタと、画素を含む表示領域に配置され、前記第1開口および前記第1カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第1検知信号を出力する第1センサと、前記表示領域に配置され、前記第2開口および前記第2カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第2検知信号を出力する第2センサと、前記表示領域に配置され、前記第3開口および前記第3カラーフィルタを通じて入射する光に応じた第3検知信号を出力する第3センサと、を備えている。
【0007】
他の実施形態に係る表示装置は、画素を含む表示領域に配置され、前記画素から放たれて対象物で反射された反射光に応じた検知信号を出力するセンサと、前記画素および前記センサを制御するドライバと、を備えている。前記画素は、第1色の光を放つ第1副画素と、第2色の光を放つ第2副画素と、第3色の光を放つ第3副画素とを含む。前記ドライバは、第1期間において前記第1副画素を点灯させるとともに、前記第1副画素から放たれた前記第1色の光の反射光に応じた第1検知信号を前記センサに出力させ、第2期間において前記第2副画素を点灯させるとともに、前記第2副画素から放たれた前記第2色の光の反射光に応じた第2検知信号を前記センサに出力させ、第3期間において前記第3副画素を点灯させるとともに、前記第3副画素から放たれた前記第3色の光の反射光に応じた第3検知信号を前記センサに出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る表示装置を概略的に示す平面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る画素のレイアウトの一例を示す概略的な平面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るカラーフィルタの形状の一例を示す概略的な平面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る表示パネルの概略的な断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係る第1基板に適用し得る構造の一例を示す概略的な断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係る第1基板に配置される要素の概略的な平面図である。
図8図8は、第1実施形態に係る検出動作の一例を示すタイミングチャートである。
図9図9は、第1実施形態に係る画素のレイアウトの他の一例を示す概略的な平面図である。
図10図10は、第2実施形態に係る表示装置の概略的な断面図である。
図11図11は、第3実施形態に係る表示装置の概略的な断面図である。
図12図12は、第3実施形態に係る検出動作の一例を示すタイミングチャートである。
図13図13は、第3実施形態に係る表示装置に適用し得る他の構造を示す概略的な断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る表示装置に適用し得るさらに他の構造を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一または類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
各実施形態においては、表示装置の一例として、透過型の液晶表示素子を備えた液晶表示装置を開示する。ただし、各実施形態は、他種の表示装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。他種の表示装置としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示素子やLED表示素子等の自発光型の表示素子を備えた表示装置が想定される。また、各実施形態にて開示するセンサに関する構成は、表示機能を有さない各種の検出装置に適用することもできる。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置DSP(以下、表示装置DSPと呼ぶ)を模式的に示す図である。表示装置DSPは、表示パネルPNLと、カバー部材CMと、第1偏光板PLZ1と、第2偏光板PLZ2と、照明装置BLとを備えている。
【0012】
表示パネルPNLは、透過型の液晶表示パネルであり、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向する第2基板SUB2と、シール材SEと、液晶層LCとを備えている。液晶層LCは、シール材SEにより第1基板SUB1と第2基板SUB2の間に封入されている。本実施形態の表示パネルPNLは、第1基板SUB1の背面側からの光を第2基板SUB2の上面側に選択的に透過させることで画像を表示する。
【0013】
第1基板SUB1は、センサSSと、コリメート層CL11とを備えている。コリメート層CL11は、センサSSと液晶層LCの間に位置している。本実施形態において、コリメート層CL11は金属材料で形成され、遮光性を有している。そのため、コリメート層CL11を金属層や遮光層と呼ぶこともできる。
【0014】
第2基板SUB2は、コリメート層CL21,CL22を備えている。コリメート層CL22は、コリメート層CL21よりも液晶層LC側に位置している。コリメート層CL21,CL22は、例えば黒色樹脂で形成され、遮光性を有している。コリメート層CL21,CL22は、遮光層と呼ぶこともできる。
【0015】
コリメート層CL11は、センサSSと重なる開口O11を有している。コリメート層CL21は、センサSSと重なる開口O21を有している、コリメート層CL22は、センサSSと重なる開口O22を有している。また、コリメート層CL22は、センサSSと重ならない位置において、画素開口OPを有している。開口O11,O21,O22は、互いに重なっている。例えば、開口O11は開口O21,O22よりも小さく、開口O21と開口O22は同じ大きさである。
【0016】
シール材SEは、第1基板SUB1と第2基板SUB2を接着している。第1基板SUB1と第2基板SUB2の間には、図示しないスペーサによって所定のセルギャップが形成される。液晶層LCは、このセルギャップ内に充填されている。
【0017】
カバー部材CMは、表示パネルPNLの上に設けられている。例えば、カバー部材CMとしてはガラス基板や樹脂基板を用いることができる。カバー部材CMは、センサSSによる検出の対象物が接触する上面USFを有している。図1の例においては、対象物の一例である指Fが上面USFに接触している。第1偏光板PLZ1は、表示パネルPNLとカバー部材CMの間に設けられている。
【0018】
照明装置BLは、表示パネルPNLの下に設けられ、第1基板SUB1に光Lを照射する。照明装置BLは、例えばサイドエッジ型のバックライトであり、プレート状の導光体と、この導光体の側面に光を放つ複数の光源とを備えている。第2偏光板PLZ2は、表示パネルPNLと照明装置BLの間に設けられている。
【0019】
光Lのうち指Fで反射された反射光は、開口O21,O22,O11を順に通ってセンサSSに入射する。すなわち、指Fで反射された反射光は、センサSSに入射するまでに、カバー部材CM、第1偏光板PLZ1、第2基板SUB2、液晶層LC、さらには第1基板SUB1のうちセンサSSより上層に位置する部分を透過する。
【0020】
センサSSは、入射した光に応じた検知信号を出力する。後述するように、表示パネルPNLは複数のセンサSSを備えており、これらセンサSSが出力する検知信号に基づけば、指Fの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出することができる。
【0021】
センサSSは、より正確な検知信号を得るために、上面USFの法線方向と平行な入射光を検知することが望ましい。コリメート層CL11,CL21,CL22は、センサSSに入射する光を平行化するコリメータとして機能する。つまり、コリメート層CL11,CL21,CL22によって上面USFの法線方向に対して傾斜した光が遮断される。
【0022】
このように表示装置DSPにセンサSSを搭載することで、表示装置DSPに指紋センサとしての機能を付加することができる。また、センサSSは、指紋の検出に加えて、あるいは指紋の検出に代えて、指Fの内部で反射された光に基づき生体に関する情報を検出する用途で用いることもできる。生体に関する情報は、例えば、静脈等の血管像や脈拍、脈波等である。
【0023】
図2は、本実施形態に係る表示装置DSPを概略的に示す平面図である。図2に示すように、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを定義する。一例では、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに直交しているが、これら方向は90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向Xおよび第2方向Yは、表示装置DSPに含まれる各基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは表示装置DSPの厚さ方向に相当する。本明細書においては、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を上といい、その逆方向を下ということがある。また、第3方向Zと平行に表示装置DSPやその構成要素を見ることを平面視という。
【0024】
表示装置DSPは、上述した表示パネルPNLと、表示パネルPNLに実装された配線基板1とを備えている。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む非表示領域NDA(周辺領域)とを有している。
【0025】
第1基板SUB1は、第2基板SUB2と重ならない実装領域MAを有している。シール材SEは、非表示領域NDAに位置している。図2においては、シール材SEが配置された領域が斜線で示されている。表示領域DAは、シール材SEの内側に位置している。表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。
【0026】
画素PXは、赤色(R)の光を放つ副画素SP1と、緑色(G)の光を放つ副画素SP2と、青色(B)の光を放つ副画素SP3とを含む。なお、画素PXは、赤色、緑色および青色以外の色の光を放つ副画素を含んでもよい。
【0027】
図2の例においては、各画素PXに対して1つずつセンサSSが配置されている。表示領域DA全体では、複数のセンサSSは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に並んでいる。
【0028】
センサSSは必ずしも全ての画素PXに対して配置される必要はない。例えば、センサSSは、複数の画素PXに対して1つの割合で配置されてもよい。また、センサSSは、表示領域DAにおける一部の領域の画素PXに対して配置され、その他の領域の画素PXに対して配置されなくてもよい。
【0029】
配線基板1は、例えばフレキシブル回路基板であり、実装領域MAに設けられた端子部に接続されている。また、配線基板1は、表示パネルPNLを駆動するドライバ2を備えている。なお、ドライバ2は、実装領域MA等の他の位置に実装されてもよい。例えば、ドライバ2は、各画素PXによる表示動作を制御するICと、センサSSによる検出動作を制御するICとを含む。これらICは、それぞれ異なる位置に実装されてもよい。センサSSが出力する検知信号は、配線基板1およびドライバ2を介してコントローラCTに出力される。コントローラCTは、複数のセンサSSからの検知信号に基づき、指紋を検出するための演算処理等を実行する。
【0030】
図3は、画素PXのレイアウトの一例を示す概略的な平面図である。上述のコリメート層CL22は、副画素SP1において画素開口OP1を有し、副画素SP2において画素開口OP2を有し、副画素SP3において画素開口OP3を有している。これら画素開口OP1,OP2,OP3は、図1に示した画素開口OPの一例である。
【0031】
さらに、コリメート層CL22は、各画素PXにおいてセンサSSと重なる2つの開口O22を有している。これら2つの開口O22は、第2方向Yに並んでいる。なお、1つのセンサSSと重なる開口O22の数は2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。1つのセンサSSと重なる複数の開口O22は、必ずしも第2方向Yに並ぶ必要はなく、種々の態様にて配置することができる。
【0032】
開口O22は、例えば図示したように円形である。ただし、開口O22の形状はこれに限られず、矩形などの他の形状であってもよい。図1に示した開口O11,O21は、開口O22と同様の形状を有している。
【0033】
コリメート層CL22は、副画素SP1,SP2,SP3の境界に配置され、全体として格子状である。このようなコリメート層CL22は、ブラックマトリクスと呼ぶこともできる。
【0034】
図3の例において、画素開口OP1,OP2,OP3は、この順で第1方向Xに並んでいる。画素開口OP3の第2方向Yにおける幅は、画素開口OP1,OP2の第2方向Yにおける幅よりも小さい。これにより生じたスペースに開口O22が配置されている。開口O22は、画素開口OP2と第1方向Xに並ぶとともに、画素開口OP3と第2方向Yに並んでいる。
【0035】
副画素SP1には赤色のカラーフィルタCF1aが配置され、副画素SP2には緑色のカラーフィルタCF2aが配置され、副画素SP3には青色のカラーフィルタCF3aが配置されている。カラーフィルタCF1a,CF2a,CF3aは、それぞれ画素開口OP1,OP2,OP3と重なっている。
【0036】
さらに、開口O22およびセンサSSは、赤色のカラーフィルタCF1b、緑色のカラーフィルタCF2bおよび青色のカラーフィルタCF3bのいずれかと重なっている。以下の説明においては、カラーフィルタCF1bと重なるセンサSSをセンサSS1と呼び、カラーフィルタCF2bと重なるセンサSSをセンサSS2と呼び、カラーフィルタCF3bと重なるセンサSSをセンサSS3と呼ぶ。
【0037】
図3の例においては、センサSS1、センサSS2およびセンサSS3がこの順で第1方向Xに並んでいる。また、センサSS1、センサSS3およびセンサSS2がこの順で第2方向Yに並んでいる。これにより、第1方向Xおよび第2方向YのいずれにおいてもセンサSS1,SS2,SS3が分散される。
【0038】
図4は、カラーフィルタCF1a,CF2a,CF3a,CF1b,CF2b,CF3bの形状の一例を示す概略的な平面図である。図4においては、画素開口OP1,OP2,OP3および開口O22も鎖線で示している。
【0039】
カラーフィルタCF1aは、第2方向Yに並ぶ複数の画素開口OP1にわたって直線状に形成されている。カラーフィルタCF2aは、第2方向Yに並ぶ複数の画素開口OP2にわたって直線状に形成されている。カラーフィルタCF3aは、第2方向Yにおいて断続的に形成されている。一部のカラーフィルタCF3aは2つの画素開口OP3と重なっているが、他のカラーフィルタCF3aは1つの画素開口OP3とのみ重なっている。
【0040】
カラーフィルタCF1bは、第2方向Yに並ぶ2つのカラーフィルタCF3aの間に配置されている。本実施形態においては、カラーフィルタCF1a,CF1bが同じ材料で形成されている。カラーフィルタCF1bは、隣接するカラーフィルタCF1aと一体的に繋がっている。
【0041】
カラーフィルタCF2bは、第1方向Xに並ぶカラーフィルタCF1a,CF2aと、第2方向Yに並ぶ2つのカラーフィルタCF3aとで囲われた領域において島状に配置されている。本実施形態においては、カラーフィルタCF2a,CF2bが異なる材料で形成されている。例えば、カラーフィルタCF2bは、カラーフィルタCF2aよりも赤外線の透過率が低い材料(赤外線の吸収率または反射率が高い材料)により形成されている。この場合においては、カラーフィルタCF2bを赤外線カット層と呼ぶこともできる。
【0042】
本実施形態においては、カラーフィルタCF3a,CF3bが同じ材料で形成されている。カラーフィルタCF3bは、第2方向Yに隣接する2つのカラーフィルタCF3aと一体的に繋がっている。換言すれば、表示領域DAには第2方向Yに隣接する2つの画素開口OP3およびその間の2つの開口O22と重なる大きさの青色のカラーフィルタが配置され、このカラーフィルタのうち画素開口OP3と重なる部分がカラーフィルタCF3aに相当し、開口O22と重なる部分がカラーフィルタCF3bに相当する。
【0043】
図5は、表示パネルPNLの概略的な断面図である。ここでは、副画素SP1,SP2およびセンサSS1を含む断面構造を示している。センサSS2,SS3を含む断面構造もセンサSS1を含む断面構造と同様である。
【0044】
第1基板SUB1は、センサSS1,SS2,SS3およびコリメート層CL11に加え、透明な第1基材10と、絶縁層15,17,18とを備えている。
【0045】
第1基材10は、例えばガラス基板や樹脂基板である。絶縁層15,17,18は、例えば有機材料で形成され、第1基材10の上に順に積層されている。センサSS1は、絶縁層15,17の間に位置している。コリメート層CL11は、絶縁層17,18の間に位置している。コリメート層CL11は、開口O11の部分を除き、第3方向ZにおいてセンサSS1の全体と重なっている。
【0046】
第2基板SUB2は、上述のコリメート層CL21,CL22およびカラーフィルタCF1a,CF2a,CF3a,CF1b,CF2b,CF3bに加え、透明な第2基材20と、絶縁層21と、オーバーコート層22とを備えている。
【0047】
第2基材20は、例えば第1基材10と同じくガラス基板や樹脂基板である。絶縁層21およびオーバーコート層22は、例えば有機材料で形成され、第2基材20の下に順に積層されている。絶縁層21は、有機材料で形成された層と、無機材料で形成された層とが積層された構造を有してもよい。コリメート層CL21は、第2基材20と絶縁層21の間に位置している。コリメート層CL22およびカラーフィルタCF1a,CF2a,CF3a,CF1b,CF2b,CF3bは、絶縁層21とオーバーコート層22の間に位置している。
【0048】
第1基板SUB1に適用し得る構造につき、図6および図7を用いてより詳細に説明する。なお、図6および図7は、それぞれ断面図および平面図によって第1基板SUB1の構成を概略的に示すものであり、必ずしも両図における各要素の位置関係や形状を一致させたものではない。
【0049】
図6は、第1基板SUB1に適用し得る構造の一例を示す概略的な断面図である。第1基板SUB1は、図5に示した絶縁層15,17,18に加え、無機材料で形成された絶縁層11,12,13,14,16,19と、配向膜ALとを備えている。絶縁層11,12,13,14,15,16,17,18,19および配向膜ALは、第1基材10の上方において、この順で第3方向Zに積層されている。
【0050】
第1基板SUB1は、画像表示に関わる要素として、信号線S1と、走査線G1と、スイッチング素子SW1と、画素電極PEと、共通電極CEと、中継電極R1,R2,R3,R4,R5と、給電線PLとを備えている。画素電極PEおよびスイッチング素子SW1は、副画素SP1,SP2,SP3のそれぞれに対して設けられている。共通電極CEは、例えば複数の副画素SP1,SP2,SP3にわたって設けられている。
【0051】
スイッチング素子SW1は、半導体層SC1を含む。半導体層SC1は、絶縁層11,12の間に配置されている。走査線G1は、絶縁層12,13の間に配置され、半導体層SC1と対向している。信号線S1は、絶縁層14,15の間に配置され、絶縁層12,13,14を貫通するコンタクトホールを通じて半導体層SC1に接触している。
【0052】
中継電極R1は、絶縁層14,15の間に配置され、絶縁層12,13,14を貫通するコンタクトホールを通じて半導体層SC1に接触している。中継電極R2は、絶縁層15,16の間に配置され、絶縁層15を貫通するコンタクトホールを通じて中継電極R1に接触している。中継電極R3は、絶縁層16,17の間に配置され、絶縁層16を貫通するコンタクトホールを通じて中継電極R2に接触している。中継電極R4は、絶縁層17,18の間に配置され、絶縁層17を貫通するコンタクトホールを通じて中継電極R3に接触している。中継電極R5は、絶縁層18,19の間に配置され、絶縁層18を貫通するコンタクトホールを通じて中継電極R4に接触している。
【0053】
画素電極PEは、絶縁層19と配向膜ALの間に配置され、絶縁層19を貫通するコンタクトホールを通じて中継電極R5に接触している。給電線PLは、絶縁層17,18の間に配置されている。共通電極CEは、絶縁層18,19の間に配置され、絶縁層18を貫通するコンタクトホールを通じて給電線PLに接触している。
【0054】
給電線PLには、共通電圧が供給される。この共通電圧は、共通電極CEに印加される。信号線S1には映像信号が供給され、走査線G1には走査信号が供給される。走査線G1に走査信号が供給されたとき、信号線S1の映像信号が半導体層SC1および中継電極R1,R2,R3,R4,R5を通じて画素電極PEに印加される。このとき、画素電極PEと共通電極CEの間には共通電圧と映像信号の電位差に起因した電界が発生し、この電界が液晶層LCに作用する。
【0055】
第1基板SUB1は、センサSS(SS1,SS2,SS3)に関わる要素として、上述のコリメート層CL11に加え、信号線S2と、走査線G2と、スイッチング素子SW2と、中継電極R6,R7,R8と、金属層MLとを備えている。また、センサSSは、第1電極E1(下部電極)と、第2電極E2(上部電極)と、光電変換素子PCとを備えている。
【0056】
スイッチング素子SW2は、半導体層SC2を含む。半導体層SC2は、絶縁層11,12の間に配置されている。走査線G2は、絶縁層12,13の間に配置され、半導体層SC2と対向している。
【0057】
中継電極R6は、絶縁層14,15の間に配置され、絶縁層12,13,14を貫通するコンタクトホールを通じて半導体層SC2に接触している。中継電極R7は、絶縁層15,16の間に配置され、絶縁層15を貫通するコンタクトホールを通じて中継電極R6に接触している。信号線S2は、絶縁層16,17の間に配置され、絶縁層16を貫通するコンタクトホールを通じて中継電極R7に接触している。中継電極R8は、絶縁層14,15の間に配置され、絶縁層12,13,14を貫通するコンタクトホールを通じて半導体層SC2に接触している。
【0058】
光電変換素子PCは、第1基材10に対向する第1面F1と、液晶層LCに対向する第2面F2とを有している。光電変換素子PCは、絶縁層15,16の間に位置している。第1電極E1は、光電変換素子PCと絶縁層15の間に配置され、第1面F1に接触している。第1電極E1は、光電変換素子PCの下方において絶縁層15を貫通するコンタクトホールを通じて中継電極R8に接触している。
【0059】
絶縁層16は、光電変換素子PCの上において開口16aを有している。第2電極E2は、光電変換素子PCと絶縁層17の間に配置され、開口16aを通じて第2面F2に接触している。第2電極E2の一部は、絶縁層16,17の間に位置している。
【0060】
金属層MLは、光電変換素子PCの上方において絶縁層16,17の間に位置している。金属層MLは、第1電極E1のうち絶縁層16,17の間に位置する部分に接触している。
【0061】
コリメート層CL11は、絶縁層17,18の間に配置されている。図6の例において、コリメート層CL11は、絶縁層17を貫通するコンタクトホールCHを通じて金属層MLに接触している。すなわち、コリメート層CL11は、第2電極E2と電気的に接続されている。これにより、コリメート層CL11、金属層MLおよび第2電極E2の間で電位差が形成されず、センサSSが出力する信号に当該電位差に起因したノイズが混入することを抑制できる。
【0062】
信号線S1および中継電極R1,R6,R8は、同じ金属材料で形成されている。走査線G1,G2は、同じ金属材料で形成されている。第1電極E1および中継電極R2,R7は、同じ金属材料で形成されている。信号線S2、金属層MLおよび中継電極R3は、同じ金属材料で形成されている。コリメート層CL11、給電線PLおよび中継電極R4は、同じ金属材料で形成されている。第2電極E2、画素電極PEおよび共通電極CEは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料で形成されている。
【0063】
金属材料で形成された第1電極E1は、遮光層としても機能し、下方からの光の光電変換素子PCへの入射を抑制している。光電変換素子PCは、例えばフォトダイオードであり、入射する光に応じた電気信号を出力する。より具体的には、光電変換素子PCとしては、PIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードを用いることができる。この種のフォトダイオードは、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を有している。p型半導体層は第2電極E2側に位置し、n型半導体層は第1電極E1側に位置し、i型半導体層はp型半導体層とn型半導体層の間に位置している。
【0064】
p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層は、例えばアモルファスシリコン(a-Si)によって形成されている。なお、半導体層の材料はこれに限定されず、アモルファスシリコンが多結晶シリコンや微結晶シリコン等に置換されてもよいし、多結晶シリコンがアモルファスシリコンや微結晶シリコン等に置換されてもよい。
【0065】
走査線G2には、センサSSによる検知を実施すべきタイミングで走査信号が供給される。走査線G2に走査信号が供給されたとき、光電変換素子PCにて生成される信号が第1電極E1、中継電極R8、半導体層SC2、中継電極R6,R7を通じて信号線S2に出力される。信号線S2に出力された信号は、例えばドライバ2を介してコントローラCTに出力される。
【0066】
図7は、第1基板SUB1に配置される要素の概略的な平面図である。ここでは、第2方向Yに並ぶ2つの画素PXの構成を示している。これら画素PXには、それぞれセンサSS1,SS3が配置されている。走査線G1,G2、信号線S1,S2、画素電極PE、コリメート層CL11、第1電極E1および光電変換素子PC以外の要素は省略している。なお、図7の例においては、副画素SP1,SP2,SP3が第2方向Yに対して傾斜している。副画素SP1,SP2,SP3は、図3および図4に示した例と同様に、第2方向Yに対して傾斜していなくてもよい。
【0067】
走査線G1は、第2方向Yに並ぶ画素PXの間にそれぞれ配置されている。信号線S1は、第1方向Xに並ぶ副画素SP1,SP2,SP3の間にそれぞれ配置されている。走査線G1は、第1方向Xに延びている。信号線S1は、屈曲しながら第2方向Yに延びている。
【0068】
1つの画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3の画素電極PEは、同じ形状を有している。各画素電極PEは、2つの走査線G1と2つの信号線S1とで囲われた領域にそれぞれ配置されている。図7の例において、画素電極PEは、第1方向Xに並ぶ2つの線部LPを有している。上述の画素開口OP1,OP2,OP3は、それぞれ副画素SP1,SP2,SP3の画素電極PEの線部LPと重なっている。
【0069】
走査線G2は、第2方向Yに隣り合う2つの走査線G1の間において、第1方向Xに延びている。走査線G2は、画素開口OP1,OP2,OP3と重なっていない。すなわち、走査線G2は、コリメート層CL11と重なっている。信号線S2は、信号線S1と同じく、第1方向Xに並ぶ副画素SP1,SP2,SP3の間にそれぞれ配置されている。図7の例においては、信号線S1,S2が重なっている。
【0070】
コリメート層CL11、第1電極E1および光電変換素子PCは、2つの走査線G1と2つの信号線S1とで囲われた領域に配置されている。コリメート層CL11、第1電極E1および光電変換素子PCは、第2方向Yにおいて画素開口OP3と走査線G1との間に位置し、走査線G2と重なっている。コリメート層CL11、第1電極E1および光電変換素子PCは、副画素SP3の画素電極PEの線部LPとも重なっている。開口O11,O21,O22は、光電変換素子PCと重なるとともに、線部LPとも部分的に重なっている。
【0071】
上段の画素PXにおいて、信号線S1,S2、線部LP、コリメート層CL11、第1電極E1および光電変換素子PCは、第2方向Yに対し反時計回りに角度θを成すように傾いている。また、下段の画素PXにおいて、信号線S1,S2、線部LP、コリメート層CL11、第1電極E1および光電変換素子PCは、第2方向Yに対し時計回りに角度θを成すように傾いている。これにより、上段と下段の画素PXにおいて疑似的なマルチドメインの構造を実現できる。
【0072】
図8は、複数のセンサSSを用いた検出動作の一例を示すタイミングチャートである。検出動作においては、検知期間Tが繰り返し到来する。各検知期間Tにおいて、ドライバ2は、センサSS(SS1,SS2,SS3)が配置された各画素PXの副画素SP1,SP2,SP3を点灯させる(ON)。これにより、赤色、緑色および青色の光が混合された白色光が、カバー部材CMの上面USFに接触または近接する対象物に照射される。なお、検知期間Tにおける副画素SP1,SP2,SP3の階調値(輝度)は、白色光が得られるならば特に限定されないが、一例では最大階調値(最大輝度)である。
【0073】
また、検知期間Tにおいて、ドライバ2は、各センサSSのスイッチング素子SW2に走査信号を順次供給する(ON)。センサSS1は、センサSS1の上方の開口O11,O21,O23およびカラーフィルタCF1bを通じて入射する光に応じた検知信号Sout1を出力する。センサSS2は、センサSS2の上方の開口O11,O21,O23およびカラーフィルタCF2bを通じて入射する光に応じた検知信号Sout2を出力する。センサSS3は、センサSS3の上方の開口O11,O21,O23およびカラーフィルタCF3bを通じて入射する光に応じた検知信号Sout3を出力する。ドライバ2は、これら検知信号Sout1,Sout2,Sout3を順次取得する。
【0074】
本実施形態においては、カラーフィルタCF1b,CF2b,CF3bの色がそれぞれ赤色、緑色および青色である。したがって、検知信号Sout1は対象物の反射光のうち赤色の成分(波長域)に対応し、検知信号Sout2は対象物の反射光のうち緑色の成分に対応し、検知信号Sout3は対象物の反射光のうち青色の成分に対応する。
【0075】
検知期間Tの後、コントローラCTは、検知信号Sout1,Sout2,Sout3に基づく各種の演算(CAL)を実行する。例えばコントローラCTは、検知信号Sout1,Sout2,Sout3に基づき、対象物の表面の凹凸(指紋)を検出する。
【0076】
さらに、コントローラCTは、複数の検知期間Tにおいて得られた検知信号Sout1,Sout2,Sout3に基づき、対象物の表面の色の経時変化を検出する。この経時変化に基づけば、対象物がユーザの指(生体)であるか、模擬体であるかを判別することが可能である。
【0077】
すなわち、対象物が指であれば、上面USFに押し当てられる際の圧力の変化に起因して、皮膚表面の色が変化する。一方、対象物が模擬体であれば、このような色の変化は殆ど生じない。そこで、例えばコントローラCTは、経時変化が予め定められた閾値以上である場合に対象物が指であると判定でき、経時変化が当該閾値未満である場合に対象物が模擬体であると判定できる。
【0078】
以上の本実施形態のように、対象物の反射光のうち赤色、緑色および青色の光をそれぞれ検知するセンサSS(SS1,SS2,SS3)を表示装置DSPが備えていれば、対象物が生体と模擬体のいずれであるかを判別することが可能となる。したがって、例えばセンサSSにより指紋を検出する場合には、この指紋がユーザの指のものであるのか、模擬体に付されたものであるのかを判別できる。
【0079】
近年、指紋によりスマートフォン等の電子機器のロック解除やアプリケーションによる各種動作の実行が認証されることが多い。そのため、指紋がユーザの指のものであるのか模擬体に付されたものであるのかを判別できれば、表示装置DSPが搭載される電子機器のセキュリティを高めることができる。
【0080】
本実施形態においては、対象物が生体と模擬体のいずれであるかを判別するための構成が、センサSSとカラーフィルタの組み合わせにより実現されている。このように、一般的な液晶表示装置も備えるカラーフィルタを利用すれば、対象物の判別のための特別な素子を設ける必要がない。
【0081】
図4の例においては、副画素SP1用のカラーフィルタCF1aとセンサSS1用のカラーフィルタCF1bが同じ材料で形成され、かつ互いに繋がっている。このような構成であれば、カラーフィルタCF1a,CF1bを同時に形成できるため、カラーフィルタCF1a,CF1bを別々の材料で形成する場合に比べて製造工程が簡略化される。カラーフィルタCF3a,CF3bについても同様である。
【0082】
また、上述のようにカラーフィルタCF2bを赤外線の透過率が低い材料で形成すれば、センサSS2の検知信号に赤外線に起因したノイズが混入することを抑制できる。
【0083】
図7の例においては、センサSSおよびコリメート層CL11が画素電極PEと重なっている。このような構成であれば、当該画素電極PEが配置される副画素の構造を他の副画素と大きく異ならせる必要がない。本実施形態のように副画素SP3の画素電極PEとセンサSSが重なる場合には、副画素SP3の画素開口OP3を小さくする必要が生じる。この点に関し、青色の副画素SP3のサイズが表示品位に与える影響は、赤色および緑色の副画素SP1,SP2のサイズが表示品位に与える影響よりも軽微である。
【0084】
図3の例においては、3種類のセンサSS1,SS2,SS3のうち同じ種類のセンサが第1方向Xおよび第2方向Yのいずれにも連続しないように、センサSS1,SS2,SS3が表示領域DAにおいて分散されている。このような構成であれば、対象物の表面の色のばらつきに関わらず、精度良く対象物の表面の凹凸を検出できる。
【0085】
以上の他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。また、本実施形態にて開示した構成は種々の態様に変形し得る。
図9は、画素PXのレイアウトの他の一例を示す概略的な平面図である。図9の例においては、画素PXが第2方向Yに並ぶ2つの副画素SP1a,SP1bと、第2方向Yに並ぶ2つの副画素SP2a,SP2bと、1つの副画素SP3とを備えている。副画素SP1a,SP2a,SP3は、第1方向Xに並んでいる。副画素SP1b,SP2bおよびセンサSS(SS1,SS2,SS3)は、第1方向Xに並んでいる。また、図9の例においては、開口O22が矩形である。開口O22は、図3の例と同じく円形であってもよい。このようなレイアウトであっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態に係る表示装置DSPの概略的な断面図である。ここでは、図5と同様に副画素SP1,SP2およびセンサSS1を含む表示パネルPNLの断面構造を示している。本実施形態において特に言及しない構成については、第1実施形態と同様のものを適用できる。
【0087】
図10に示す表示パネルPNLは、第2基材20とコリメート層CL21の間に赤外線カット層IRCが配置されている点で図5に示す表示パネルPNLと相違する。例えば、赤外線カット層IRCは、カラーフィルタCF1a,CF2a,CF3a,CF1b,CF2b,CF3bよりも赤外線の透過率が低い材料(赤外線の吸収率または反射率が高い材料)により形成されている。赤外線カット層IRCは、異なる屈折率の複数の誘電体を含む誘電体多層膜を用いたバンドパスフィルタであってもよい。
【0088】
赤外線カット層IRCは、開口O11,O21,O23およびセンサSS1と重なっている。赤外線カット層IRCは、副画素SP1,SP2とは重っていない。図10の断面には表れていないが、赤外線カット層IRCは、副画素SP3とも重っていない。
【0089】
センサSS2,SS3に対しても、センサSS1と同様に赤外線カット層IRCが配置されている。他の例として、センサSS1,SS2,SS3のいずれか1つまたは2つに対してのみ赤外線カット層IRCが配置されてもよい。また、上述のようにカラーフィルタCF2bを赤外線の透過率が低い材料で形成する場合には、センサSS2に対して赤外線カット層IRCを設けなくてもよい。
【0090】
本実施形態の構造であれば、センサSS(SS1,SS2,SS3)に入射する光から赤外線を除去し、センサSSの検知信号に赤外線に起因したノイズが混入することを抑制できる。
【0091】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態に係る表示装置DSPの概略的な断面図である。ここでは、図5と同様に副画素SP1,SP2およびセンサSS1を含む表示パネルPNLの断面構造を示している。本実施形態において特に言及しない構成については、第1実施形態または第2実施形態と同様のものを適用できる。
【0092】
図11に示す表示パネルPNLは、センサSS1と重なるカラーフィルタが配置されてない点で図5に示す表示パネルPNLと相違する。図11の断面には表れていないが、センサSS2,SS3についても同様に、これらと重なるカラーフィルタが配置されていない。
【0093】
図12は、本実施形態における検出動作の一例を示すタイミングチャートである。この図の例において、検知期間Tは、第1期間T1と、第1期間T1に続く第2期間T2と、第2期間T2に続く第3期間T3とを含む。ドライバ2は、第1期間T1において各画素PXの副画素SP1を点灯させ、第2期間T2において各画素PXの副画素SP2を点灯させ、第3期間T3において各画素PXの副画素SP3を点灯させる。
【0094】
また、ドライバ2は、第1期間T1においてセンサSS1の検知信号Sout1を取得し、第2期間T2においてセンサSS2の検知信号Sout2を取得し、第3期間T3においてセンサSS3の検知信号Sout3を取得する。
【0095】
検知期間Tの後、コントローラCTは、第1実施形態と同様に検知信号Sout1,Sout2,Sout3に基づく各種の演算(CAL)を実行する。
【0096】
第1期間T1においては、副画素SP1から放たれた赤色の光が対象物に照射される。したがって、検知信号Sout1は、赤色の反射光に対応する。同様に、第2期間T2においては副画素SP2から放たれた緑色の光が対象物に照射されるので検知信号Sout2は緑色の反射光に対応し、第3期間T3においては副画素SP3から放たれた青色の光が対象物に照射されるので検知信号Sout3は青色の反射光に対応する。これらの検知信号Sout1,Sout2,Sout3に基づけば、第1実施形態と同様に対象物がユーザの指であるか模擬体であるかを判別することが可能である。
【0097】
本実施形態にて開示した構成は種々の態様に変形し得る。
図13は、本実施形態に係る表示装置DSPに適用し得る他の構造を示す概略的な断面図である。図10の例と同じく、第2基材20とコリメート層CL21の間に赤外線カット層IRCが配置されている。赤外線カット層IRCは、開口O11,O21,O23およびセンサSS1と重なっている。赤外線カット層IRCは、センサSS2,SS3に対してもそれぞれ配置されている。
【0098】
図14は、本実施形態に係る表示装置DSPに適用し得るさらに他の構造を示す概略的な断面図である。この図の例においては、コリメート層CL22と液晶層LCの間に赤外線カット層IRCが配置されている。より具体的には、赤外線カット層IRCは、コリメート層CL22とオーバーコート層22の間に位置している。
【0099】
赤外線カット層IRCは、開口O11,O21,O23およびセンサSS1と重なり、開口O22を満たしている。赤外線カット層IRCは、センサSS2,SS3に対してもそれぞれ配置されている。
【0100】
これら図13および図14のような構成であれば、センサSS1,SS2,SS3に入射する光から赤外線を除去し、検知信号に赤外線に起因したノイズが混入することを抑制できる。
【0101】
以上の第1乃至第3実施形態において、赤色、緑色および青色は、それぞれ第1色、第2色および第3色の一例である。副画素SP1,SP2,SP3は、それぞれ第1副画素、第2副画素および第3副画素の一例である。センサSS1,SS2,SS3は、それぞれ第1センサ、第2センサおよび第3センサの一例である。センサSS1と重なる開口O11,O21,O23は第1開口の一例であり、センサSS2と重なる開口O11,O21,O23は第2開口の一例であり、センサSS3と重なる開口O11,O21,O23は第3開口の一例である。カラーフィルタCF1b,CF2b,CF3bは、それぞれ第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタおよび第3カラーフィルタの一例である。カラーフィルタCF1aは、第4カラーフィルタの一例である。検知信号Sout1,Sout2,Sout3は、それぞれ第1検知信号、第2検知信号および第3検知信号の一例である。
【0102】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0103】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0104】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0105】
DSP…表示装置、PNL…表示パネル、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、LC…液晶層、BL…照明装置、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、CL11,CL21,CL22…コリメート層、SS1,SS2,SS3…センサ、CF1a,CF2a,CF3a,CF1b,CF2b,CF3b…カラーフィルタ、2…ドライバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14