(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111610
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/10 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
B65D35/10 Z BRL
B65D35/10 BSG
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007150
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 果穂
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA16
3E065BA18
3E065BA25
3E065BA27
3E065BA34
3E065BB03
3E065CA09
3E065CA20
3E065DA04
3E065DD05
3E065GA10
(57)【要約】
【課題】胴部を構成するフィルムと紙とを分離可能なチューブ容器を提供する。
【解決手段】紙層と基材フィルム層とシーラント層とを順に有する厚さ30μm以上300μm以下のシートで形成され、一方端が閉塞されたチューブ状の胴部と、胴部の他方端に取り付けられた注出口部とを備え、紙層と基材フィルム層とを剥離する際の剥離強度が0.1N/15mm以上10N/15mm以下である、チューブ容器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙層と基材フィルム層とシーラント層とを順に有する厚さ30μm以上300μm以下のシートで形成され、一方端が閉塞されたチューブ状の胴部と、
前記胴部の他方端に取り付けられた注出口部とを備え、
前記紙層と前記基材フィルム層とを剥離する際の剥離強度が0.5N/15mm以上10N/15mm以下である、チューブ容器。
【請求項2】
前記剥離強度が、1N/15mm以上3N/15mm以下である、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記紙層と前記基材フィルム層との間にイージーピール材が積層される、請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記紙層の前記基材フィルム層側の面および、前記基材フィルム層の前記紙層側の面の少なくとも一方に、剥離性を有するニスがパターンコートされる、請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項5】
前記紙層の前記基材フィルム層側の面に、前記基材フィルム層と同一の材料からなるフィルム層が積層され、
前記基材フィルム層の前記紙層側の面および、前記フィルム層の前記基材フィルム層側の面の少なくとも一方に、易接着性を有するニスがパターンコートされ、
前記易接着性を有するニスと接する位置に、前記易接着性を有するニスと強融着し、前記基材フィルム層と融着しない特性を有する樹脂層が積層される、請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項6】
前記紙層と前記基材フィルム層とが、感圧接着剤または再剥離粘着剤で接着されている、請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項7】
前記紙層の表面のベック平滑度が20秒以上300秒以下である、請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項8】
前記紙層の質量に対する、前記紙層と前記基材フィルム層との剥離後の前記基材フィルム層側に残存する前記紙層の質量が5%以下、または、前記基材フィルム層の質量に対する、前記紙層と前記基材フィルム層との剥離後の前記紙層側に残存する前記基材フィルム層の質量が5%以下である、請求項1~7のいずれかに記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品等の包装材として、樹脂を主体とした材料からなるチューブ容器が広く用いられている。例えば、特許文献1には、内容物を抽出する注出ユニットと、注出ユニットに溶着され、内容物を収容する胴部とから構成されるチューブ容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境負荷の軽減や資源保護の観点から、包装容器に使用する樹脂量の低減が要望されている。そこで、特許文献1に記載されるような樹脂性のチューブ容器において、樹脂量を低減するために、例えば、胴部を構成するフィルムを薄膜化することが考えられる。ところが、胴部を構成するフィルムを単に薄膜化すると、胴部のコシが弱くなり、容器の自立性が低下する。そのため、容器の自立性に必要なコシを確保するため、胴部を構成する素材の一部に紙を用いることが検討されている。
【0005】
このように胴部に樹脂と紙を用いるチューブ容器の場合、資源の再利用の観点から、フィルムと紙とを分離して廃棄できることが好ましい。しかしながら、従来検討されてきた胴部を構成する素材の一部に紙を用いるチューブ容器は、フィルムと紙との分離ができなかった。
【0006】
それ故に、本発明は、胴部を構成するフィルムと紙とを分離可能なチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るチューブ容器は、紙層と基材フィルム層とシーラント層とを順に有する厚さ30μm以上300μm以下のシートで形成され、一方端が閉塞されたチューブ状の胴部と、胴部の他方端に取り付けられた注出口部とを備え、紙層と基材フィルム層とを剥離する際の剥離強度が0.1N/15mm以上10N/15mm以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、胴部を構成するフィルムと紙とを分離可能なチューブ容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図
【
図3】
図2に示したIII-IIIラインに沿う端面図
【
図4】チューブ容器の胴部を構成するシートの一例を示す断面図
【
図5】チューブ容器の胴部を構成するシートの一例を示す断面図
【
図6】チューブ容器の胴部を構成するシートの一例を示す断面図
【
図7】チューブ容器の胴部を構成するシートの一例を示す断面図
【
図8】チューブ容器の胴部を構成するシートの一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図であり、
図2は、
図1に示した注出口部の斜視図であり、
図3は、
図2に示したIII-IIIラインに沿う端面図である。
図2及び
図3は、注出口部に胴部をシールする前の状態を示している。
【0011】
チューブ容器100は、チューブ状の胴部1と、胴部1に取り付けられた注出口部2とを備える。
【0012】
胴部1は、内容物を収容するための部材であり、略平行な一対の端縁を有するシートを筒状に成形することにより形成されている。胴部1は、例えば、シートの一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着させることにより、筒状に形成されている。胴部1の一方の端部5a(
図1における下端)はシールされて閉塞されている。一方、胴部1の他方の端部5b(
図1における上端)の近傍部分は、折り畳まれた状態で、後述するフランジ部4の外面8にシールされている。胴部1とフランジ部4との溶着部には、胴部1を構成するシートが折り畳まれてなるプリーツ12が複数形成される。フィルムの端縁部分の貼り合わせにより胴部1に形成された貼り合わせ部7(背貼り部)は、胴部1の外面に沿うように折り曲げられて胴部1に貼り合わされていても良い。貼り合わせ部7の胴部1への貼合方法は特に限定されず、胴部1を構成するフィルムの表面全体または部分的に設けられるヒートシール性の樹脂を介して両者を溶着しても良いし、ホットメルト等の接着剤を介して両者を接着しても良い。
【0013】
図4~8は、チューブ容器の胴部を構成するシートの一例を示す断面図であり、
図9は、
図1に示したIX-IXラインに沿う断面図である。
【0014】
チューブ容器100の胴部1は、シート41により構成される。シート41は、紙層32の一方面側に、基材フィルム層33、バリア層34及びシーラント層35をこの順に積層し、紙層32の他方面側に、紙保護層37を積層し、更に紙保護層37上にインキ層38及びオーバーコートニス層39を積層した多層シートである。各層間には各層同士を接着する接着剤が使用されてもよい。
【0015】
紙層32と基材フィルム層33とはその間で易剥離性を有する。すなわち、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度は他の層間における剥離強度と比べて弱く設計されており、紙層32と基材フィルム層33とは剥離可能である。紙層32と基材フィルム層33とを剥離することで、シート41から紙層32および紙層32上に積層される層(
図4~8において紙保護層37、インキ層38、オーバーコートニス層39)を分離できる。紙層32と基材フィルム層33との剥離強度は0.5N/15mm以上10N/15mm以下であり、1N/15mm以上3N/15mm以下であることがより好ましい。剥離強度が0.5N/15mm未満の場合、接着強度が弱く、チューブ容器100の使用中に紙層32が意図せず剥離してしまう可能性があり、10N/15mmを超える場合、剥離強度が強く、紙層32と基材フィルム層33の分離が困難となる。
【0016】
以下、各層の詳細および易剥離性の付与方法について説明する。
【0017】
まず、各層の詳細について説明する。
【0018】
(紙層)
紙層32は、チューブ容器100に強度及びコシを付与する構造層である。紙層32を構成する用紙の種類は特に限定されないが、強度、屈曲耐性、印刷適性を備える点で、片艶クラフト紙または両艶クラフト紙を用いることが好ましい。また、紙層32を構成する用紙として、必要に応じて、耐水紙、耐油紙、またはカップ原紙等を使用しても良い。
【0019】
紙層32に用いる紙の坪量は、30~300g/m2であり、50~170g/m2であることが好ましい。紙層32に用いる紙の坪量が30g/m2未満である場合、胴部1のコシが不足する。コシを補うためには、例えば、紙層32より内側に設ける樹脂フィルムを厚くする必要があるが、樹脂比率の上昇に繋がり、環境負荷低減の面で望ましくない。また、紙層32に用いる紙の坪量が300g/m2を超える場合、紙のコシや断熱性により、製筒性(製袋性)、成型性及び溶着性が悪化する上、製造コストも増加するため好ましくない。また、紙層32に含まれるセルロース繊維の質量は、紙層32の全質量の50%以上である。
【0020】
(基材フィルム層)
基材フィルム層33は、シート41に耐熱性と強靱性等の物理的強度とを付与する層である。基材フィルム層33は、バリア層34の基材となる層でもある。基材フィルム層33を構成するフィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性及び物理的強度の観点から、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0021】
(バリア層)
バリア層34は、酸素や水蒸気等を遮断して、内容物の保存性を向上させる機能層である。バリア層34は、例えば、シリカやアルミナ等の無機化合物の蒸着膜、アルミニウム等の金属蒸着膜、アルミニウム等の金属箔、板状鉱物及び/またはバリア性樹脂を含むバリアコート剤の塗膜の1種以上により構成することができる。バリアコート剤に用いるバリア性樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を使用することができ、バリアコート剤にはバリア性樹脂以外のバインダー樹脂が適宜配合される。バリア層34は、予め基材フィルム層33上に積層されてバリアフィルムを構成していても良いし、単層膜として設けられても良い。
【0022】
(シーラント層)
シーラント層35は、貼り合わせ部7および注出口部2と胴部1との溶着のために設けられる層である。シーラント層35の材質は特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。シーラント層35は、軟化温度が基材フィルム層33の軟化温度より20℃以上低い樹脂を用いる。シーラント層35の軟化温度が、基材フィルム層33の軟化温度より20℃以上低くない場合、シール時に基材フィルム層33が軟化してピンホールが発生する可能性が高くなるため好ましくない。シーラント層35の軟化温度は、基材フィルム層33の軟化温度より40℃以上低いことが好ましい。
【0023】
シーラント層35に用いる熱可塑性樹脂は、後述する注出口部2の材料を構成する熱可塑性樹脂に対して接着性を有するものであれば良いが、注出口部2に用いる熱可塑性樹脂と同じ材質であることが好ましい。シーラント層35に用いる熱可塑性樹脂と注出口部2に用いる熱可塑性樹脂層とを同じにすることにより、胴部1と注出口部2とのシール強度を向上させることができる。
【0024】
(紙保護層)
紙保護層37は、シート41を構成する紙層32への内容物や汚れの付着から保護するための層である。紙保護層37の材料や形成方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の押出コートや、耐水剤あるいは耐油剤等のコート剤のコートにより紙保護層37を積層することができる。紙保護層37の厚みは、0.2~50μmであることが好ましく、0.5~20μmであることがより好ましい。紙保護層37の厚みが0.2μm未満である場合、紙保護層37にピンホールが発生する可能性があり、紙層32の保護が不十分となる場合がある。また、紙保護層37の厚みが50μmを超える場合、樹脂使用量や製造コストの面で好ましくない。
【0025】
(インキ層、オーバーコートニス層)
インキ層38は、各種表示を行うために印刷により施される層であり、オーバーコートニス層39は、耐摩性等を付与するための層である。インキ層38とオーバーコートニス層39の積層順序は
図4と逆であっても良い。また、オーバーコートニス層39が紙保護層37を兼ねていても良い。
【0026】
胴部1を構成するシート41の厚み(総厚)は、特に限定されないが、30~300μmであることが好ましい。胴部1を構成するフィルムの厚みが、この範囲であれば、製袋機やピロー・スティック包装機等を用いて胴部1を容易に筒状に加工することができる。また、紙層32によって強度とコシが付与されるため、一般的なラミネートチューブ(厚み300~500μm)と比べて、薄くすることができ、樹脂使用量も低減できる。
【0027】
胴部1を構成するシート41の樹脂比率を低減するため、シート41の質量のうち、紙層32の占める割合が50%以上であることが好ましい。樹脂の使用量を低減する観点では紙層32の割合は高いほど好ましい。
【0028】
尚、胴部1を構成するシート41は、バリア層34、紙保護層37、インキ層38及びオーバーコートニス層39の1層以上を省略しても良い。
【0029】
次に、紙層32と基材フィルム層33との間に易剥離性を付与する方法を説明する。易剥離性を付与する一例として、
図4のように、紙層32と基材フィルム層33との間に、易剥離層36aを積層する方法がある。易剥離層36aは、例えば、イージーピール材や疑似接着剤などを含む層であり、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度を脆弱にするために設けられる。以下に、易剥離層36aとして、イージーピール材および疑似接着剤を用いた場合について説明する。
【0030】
(EP材を用いる方法)
紙層32と基材フィルム層33との間に積層される易剥離層36aとして、イージーピール(EP)材からなるEP層が積層される。剥離強度が0.5N/15mm以上10N/15mm以下のEP材を用いることで、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度を0.5N/15mm以上10N/15mm以下とすることができ、紙層32と基材フィルム層33とは剥離可能になる。なお、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度はEP材の剥離強度と略等しくなる。そのため、EP材の剥離強度を調整することで、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度を好適に設定することができる。EP材としては、イージーピールフィルムを用いる、または、凝集力の弱いホットメルト材等が挙げられる。
【0031】
(疑似接着剤を用いる方法)
紙層32と基材フィルム層33との接着において、感圧接着剤や再剥離粘着剤のような疑似接着剤が使用される。このとき、塗布された疑似接着剤が易剥離層36aに相当する。これらの疑似接着剤の材料および塗布量は、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度が0.5N/15mm以上10N/15mm以下となるように、適宜選定、調整する。これにより、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度を好適に設定でき、紙層32と基材フィルム層33とは剥離可能になる。
【0032】
また、紙層32と基材フィルム層33との間に易剥離性を付与する他の方法として、例えば、
図5~7のように、紙層32と基材フィルム層33との間に剥離性ニスや易接着性ニスをパターンコートすることで、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度を脆弱にする方法がある。以下に、剥離性ニスや易接着性ニスをパターンコートする場合について説明する。
【0033】
(剥離性ニスをパターンコートする方法)
図5のように、紙層32の基材フィルム層33側の面および、基材フィルム層33の紙層32側の面の少なくとも一方に、剥離性を有するニス(剥離性ニス)36bがパターンコートされ、接着剤で紙層32と基材フィルム層33とが接着される。剥離性ニス36bの塗布量および塗布パターンは、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度が0.5N/15mm以上10N/15mm以下となるように、適宜調整される。これにより、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度を好適に設定でき、紙層32と基材フィルム層33とは剥離可能になる。基材フィルム層33と紙層32をラミネートする際、基材フィルム層33と紙層32に対して強接着し、剥離性ニスとは強接着しない熱可塑性樹脂でエクストルーダーしても良い。
【0034】
(易接着性ニスをパターンコートする方法)
図6および
図7のように、紙層32の基材フィルム層33側の面に、基材フィルム層33と同一の材料からなるフィルム層36cが積層され、基材フィルム層33の紙層32側の面および、フィルム層36cの基材フィルム層33側の面の少なくとも一方に、易接着性を有するニス(易接着性ニス)36dがパターンコートされる。さらに、易接着性ニス36dに隣接して樹脂層36fが積層される。樹脂層36fは、易接着性ニス36dと強融着し、基材フィルム層33(フィルム層36c)と融着しない特性を有しており、かつ、基材フィルム層33(フィルム層36c)との剥離強度が0.5N/15mm以上10N/15mm以下となる材料から構成される。これにより、紙層32と基材フィルム層33は、フィルム層36cと樹脂層36fとが、あるいは、樹脂層36fと基材フィルム層33とが剥離することで、剥離可能となる。なお、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度は、樹脂層36fと基材フィルム層33(フィルム層36c)との剥離強度と略等しくなる。そのため、樹脂層36fおよび基材フィルム層33(フィルム層36c)の材料を適宜選定することで、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度を好適に設定することができる。
【0035】
また、紙層32と基材フィルム層33との間に易剥離性を付与する他の方法として、例えば、特定の特性を有する紙を紙層32に用いる方法がある。この場合、紙層32と基材フィルム層33との接着には、他の層間の接着でも用いられるような、一般的な接着剤36eを用いることができる。以下に、特定の特性を有する紙を紙層32に用いる場合について、
図8を用いて説明する。
【0036】
(紙層の表面平滑度で調整する方法)
紙層32として、表面平滑度がJISP8119に規定されるベック式平滑度において20~300秒である紙を用いる。当該平滑度を有する紙層32の表面は微細な凹凸形状を有しており、紙層32と、基材フィルム層33または基材フィルム層33上に塗布される接着剤36eとは、点で接触するため接着面積が小さくなり、剥離強度も小さくなる。このように、表面平滑度が20~300秒である紙を用いることで、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度が0.5N/15mm以上10N/15mm以下とすることができ、紙層32と基材フィルム層33とは剥離可能になる。また、紙層32と基材フィルム層33とを貼り合わせるために用いられる接着剤36eとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、厚みは5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上50μm以下がより好ましい。10μm未満では、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度が弱く、100μmを超えると、剥離強度が強すぎて易剥離ではなくなる。このように、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度は、紙の表面平滑度および接着剤の材料や厚みを調整することで、好適に設定することができる。
【0037】
上述した紙層32と基材フィルム層33との間に易剥離性を付与する方法は一例であり、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度が0.5N/15mm以上10N/15mm以下となるのであれば、上述の方法に限定されない。また、上述の方法を適宜組み合わせることで、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度を調節してもよい。
【0038】
図9を用いて、胴部1から紙層32を分離する方法について説明する。
図9において、Aは紙層32および紙層32上に積層される層であり、胴部1から分離される層である。
図7(a)は、分離前の様子を表す。この状態から、貼り合わせ部7を起点として胴部1から紙層32を剥離させ(
図7(b))、そのまま胴部1のフィルムの外周に沿って剥離を進め、最終的に胴部1から紙層32および紙層32上に積層される層を分離する(
図7(c))。また、貼り合わせ部7の一部にノッチを形成してもよい。ノッチを形成することで、紙層32と基材フィルム層33の分離のきっかけとなり、紙層32と基材フィルム層33との剥離をさらに容易にすることができる。ノッチは、紙層32および紙層32上に積層される層のみに設けられてもよいし、シート41を構成する全ての層に設けられてもよい。
【0039】
再度、
図1~
図3を参照して、注出口部2は、胴部1に収容された内容物を外部に抽出するためのスパウトであり、筒状の注出筒部3とフランジ部4とを備える。フランジ部4は、注出筒部3の一方の端部6a(
図1における下端)に接続され、注出筒部3の外方に延伸する平板状の部分である。本実施形態では、フランジ部4は、注出筒部3の軸方向と直交する方向(
図1における左右方向)に延伸するように形成されている。本実施形態では、フランジ部4は、円環状に形成されているが、胴部1を接合することができる限り、フランジ部4の形状は限定されず、楕円形、長円形、トラック形、多角形等であっても良い。
【0040】
注出口部2は、熱可塑性樹脂と、樹脂以外のフィラーを含む材料により成型される。注出口部2の材料に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド及びシクロポリオレフィンのいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。フィラーとしては、タルク、カオリン、紙粉及びセルロース繊維のいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。注出口部2の材料として、熱可塑性樹脂と、樹脂以外のフィラーの混合物を用いることにより、成型性や胴部1のシート材との熱溶着性を維持しつつ、樹脂の使用量を低減することが可能となる。注出口部2の成型方法は特に限定されないが、射出成形、真空成形・熱板圧空成型等のサーモフォーミング、コンプレッション成型等の既存の成型方法を利用可能である。
【0041】
図2及び
図3に示すように、フランジ部4の外面8(注出筒部3の端部6b側の面)には、円環状の凸部9及び凹部10が設けられている。注出口部2のフランジ部4に胴部1を溶着する際、凸部9が最初に溶融し、溶融した樹脂が胴部1の内面とフランジ部4との間に広がる。また、溶融した樹脂の一部は凹部10に流れ込む。この結果、凸部9が溶融した樹脂を介して、胴部1の内面とフランジ部4の外面8とを面で溶着することができ、溶着強度を向上できる。
【0042】
チューブ容器100の製造時に胴部1及び注出口部2を溶着する方法としては、超音波溶着、高周波溶着、ヒートシール溶着、ホットエア溶着、胴部インサートのコンプレッション成型等を利用することができるが、紙の断熱性に左右されにくい点で超音波溶着を採
用することが好ましい。
【0043】
チューブ容器100は、
図1に示すように、注出口部2の注出筒部3に螺合により着脱可能なスクリューキャップ11を更に備えていても良い。チューブ容器100がスクリューキャップ11を備える場合、チューブ容器100の開封後に再封することが容易と
なる。
【0044】
また、チューブ容器100は、スクリューキャップ11に代えて、ヒンジキャップを備えていても良い。ヒンジキャップを設ける場合、
図1に示した注出筒部3に螺合によりヒンジキャップを注出口部2に取り付けても良い。あるいは、注出筒部3の外面にネジ山の代わりにリブを設け、リブを介した嵌合によりヒンジキャップを注出口部2に取り付けても良い。
【0045】
また、注出筒部3の端部6bには、チューブ容器100の未開封状態において注出筒部3を閉鎖するフィルムがシールされていても良い。
【0046】
更に、注出筒部3の内部は、チューブ容器100の未開封状態において容器内部を密閉状態に保つために、隔壁により閉鎖されていても良い。隔壁を設ける場合、注出筒部3の内周に沿って円形状のハーフカットを設けると共に、ハーフカットによって囲まれた部分に接続されるプルリングを設けることが好ましい。このように構成すれば、チューブ容器100の開封時には、使用者がプルリングを引っ張って隔壁のハーフカットの部分を破断させることにより、ハーフカットで囲まれた隔壁の一部を除去して、胴部1から注出筒部3へと内容物を注出するための開口部を形成することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態においては、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度が0.5N/15mm以上10N/15mm以下であるため、貼り合わせ部7を起点として胴部1から紙層32を分離することができ、かつ、チューブ容器100の使用中に紙層32が意図せず剥離してしまうことがない。従って、本実施形態によれば、胴部1を構成するフィルムと紙とを分離可能なチューブ容器100を提供することができる。
【0048】
また、紙層32と基材フィルム層33との間の剥離強度が1N/15mm以上3N/15mm以下であれば、さらに胴部1から紙層32を容易に分離することができる。
【実施例0049】
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
【0050】
(実施例1)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、剥離強度が0.50N/15mm、厚み30μmのEP材(DIC株式会社製、商品名:E3701T)と、厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせて、未晒クラフト紙と透明バリアフィルムとの間の剥離強度が0.50N/15mmとなるように、胴部形成用のシートを作製した。
【0051】
作製したシートにインキ層およびオーバーコートニス層を積層し、背張り製袋機で加工し直径35mm×長さ180mmの背張りパウチ(胴部)を作製した。
【0052】
注出口栓を、ポリエチレン樹脂を用い、射出成型により成型した。
【0053】
作製した胴部及び注出口部を専用の加工装置を用いて熱溶着することにより、直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0054】
(実施例2)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、剥離強度1N/15mm、厚み30μmのEP材(DIC株式会社製、商品名:E3701T)と、厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製、商品名:E5100)と、厚み9μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせて、未晒クラフト紙とPETフィルム間との間の剥離強度が1N/15mmとなるように、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0055】
(実施例3)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、剥離強度3.1N/15mm、厚み30μmのEP材(DIC株式会社製、商品名:E3701T)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み9μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせて、未晒クラフト紙と延伸ナイロンフィルムと間の剥離強度が3.1N/15mmとなるように、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0056】
(実施例4)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、このとき、未晒クラフト紙と透明バリアフィルムとの間の剥離強度が0.70N/15mmとなるように、未晒クラフト紙と透明バリアフィルムとの間にシリコン系剥離ニスをパターンコートして、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0057】
(実施例5)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、厚み9μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、このとき、未晒クラフト紙とアルミニウム箔との間の剥離強度が1.2N/15mmとなるように、未晒クラフト紙とアルミニウム箔との間にシリコン系剥離ニスをパターンコートして、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0058】
(実施例6)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、厚み9μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)と、厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製、商品名:E5100)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、このとき、未晒クラフト紙とALとの間の剥離強度が2.5N/15mmとなるように、未晒クラフト紙とアルミニウム箔との間にシリコン系剥離ニスをパターンコートして、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0059】
(実施例7)
坪量100g/m2の未晒耐油紙(大興製紙株式会社製)上に、厚み9μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、このとき、未晒クラフト紙とアルミニウム箔との間の剥離強度が6N/15mmとなるように、未晒クラフト紙とアルミニウム箔との間にシリコン系剥離ニスをパターンコートして、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0060】
(実施例8)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製、商品名:E5100)と、厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、このとき、PETフィルムと透明バリアフィルムとの間に再剥離粘着剤(トーヨーケム株式会社製、商品名:サイアバインSP-205)を使用して剥離強度が0.70N/15mmとなるように、塗布量10g/m2(dry)でラミネートし、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0061】
(実施例9)
厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)上に、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、平滑度20~300秒、坪量100g/m2の片艶未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)の艶面と透明バリアフィルムとを、厚み5~100μmのポリオレフィン系樹脂で貼り合わせて、未晒クラフト紙と透明バリアフィルムとの間の剥離強度が1.4N/15mmとなるように、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0062】
(実施例10)
厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)上に、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、平滑度20~300秒、坪量100g/m2の片艶未晒耐油紙(大興製紙株式会社製)の艶面と透明バリアフィルムとを、厚み5~100μmのポリオレフィン系樹脂で貼り合わせて、未晒耐油紙と透明バリアフィルムとの間の剥離強度が2.8N/15mmとなるように、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0063】
(比較例1)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせた。この際、未晒クラフト紙/透明バリアフィルム間は塗布量2g/m2(dry)、その他の部分は塗布量5g/m2(dry)とした。易剥離性を付与する工程を省略して胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0064】
(比較例2)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせた。この際、未晒クラフト紙/透明バリアフィルム間は塗布量7g/m2(dry)、その他の部分は塗布量5g/m2(dry)とした。易剥離性を付与する工程を省略して胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0065】
(比較例3)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、剥離強度が0.35N/15mm、厚み30μmのEP材(DIC株式会社製、商品名:E3701T)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み9μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせて、未晒クラフト紙と透明バリアフィルムとの間の剥離強度が0.35N/15mmとなるように、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0066】
(比較例4)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、厚み9μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、このとき、未晒クラフト紙とアルミニウム箔との間にシリコン系剥離ニスをパターンコートして、未晒クラフト紙とアルミニウム箔との間の剥離強度が13N/15mmとなるように、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0067】
(比較例5)
坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)上に、厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製、商品名:E5100)と、厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)と、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、このとき、PETフィルムと透明バリアフィルムとの間に再剥離粘着剤(トーヨーケム株式会社製、商品名:サイアバインSP-205)を使用して剥離強度が12N/15mmとなるように、塗布量30g/m2(dry)でラミネートし、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0068】
(比較例6)
厚み12μmの透明バリアフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GL-RD)上に、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:ONBC)と、厚み50μmの直鎖状低融点ポリエチレン(LLDPE、タマポリ化学株式会社製、商品名:SE625N)とをこの順に、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートにより貼り合わせ、平滑度5~20秒未満で坪量100g/m2の未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)を透明バリアフィルムとを、厚み5~100μmのポリオレフィン系樹脂で貼り合わせて、未晒クラフト紙と透明バリアフィルムとの間の剥離強度が0.35N/15mmとなるように、胴部形成用のシートを作製したことを除き、実施例1と同様にして直径35mmのチューブ容器を作製した。
【0069】
実施例1~10および比較例1~6で作成したチューブ容器に対して、揉み試験、落下試験、振動試験、分離性試験を行った。揉み試験では、100mLの水をチューブ容器に充填した状態で100回揉み、紙層の剥離状態を確認した。落下試験では、100mLの水をチューブ容器に充填した状態で、1.5mの高さからチューブ容器の姿勢がランダムになるように10回落下させ、紙層の剥離状態を確認した。振動試験では、チューブ容器に与える振動の振幅および周波数がランダムになるようにz軸方向(垂直方向であり、容器の軸方向)に15分間振動させ、紙層の剥離状態を確認した。分離性試験では、紙層を胴部から分離し、基材フィルム層側に残存する紙層の質量が、分離前の紙層の質量の5%以下(紙残りが5%以下)であるか、または、紙層側に残存する基材フィルム層の質量が、分離前の基材フィルム層の質量の5%以下(樹脂残りが5%以下)であるかを判定した。
【0070】
表1に各実施例及び各比較例に係るチューブ容器の構成、易剥離性付与方法、剥離強度、各試験の評価、総合評価を示す。なお、表1における胴部の構成欄に記載の数値は、紙の坪量(g/m2)または層の厚み(μm)を表す。
【0071】
表1における各試験結果および総合評価は以下の基準により評価した。
<揉み試験・落下試験・振動試験>
+:剥離なし
-:剥離あり
<分離試験>
+:紙残りまたは樹脂残りが5%以下
-:紙残りまたは樹脂残りが5%超
<総合評価>
++:剥離強度が1N/15mm以上3N/15mm以下で特に好ましく、揉み試験・落下試験・振動試験・分離試験において全てが良好(すべて+)
+ :剥離強度が0.5N/15mm以上1N/15mm未満かつ3N/15mm超10N/15mm以下であり、揉み試験・落下試験・振動試験・分離試験において全てが良好(すべて+)
- :剥離強度が0.5N/15mm未満または10N/15mm超であり、揉み試験・落下試験・振動試験・分離試験のいずれかが不良(いずれか-)
【0072】
【0073】
表1に示すように、実施例1~10に係るチューブ容器はいずれも、揉み試験、落下試験、振動試験において紙層が剥離することが無く耐久性が優れていた。さらに、分離性試験において紙残りおよび樹脂残りがいずれも5%以下であり、分離性も優れていた。特に、実施例2、5、6、9、10においては、剥離強度が特に好ましい1N/15mm以上3N/15mm以下であり、剥離強度が0.5N/15mm以上1N/15mm未満かつ3N/15mm超10N/15mm以下の実施例1、3、4、7、8と比較して、耐久性と分離性のバランスがより優れていた。
【0074】
これに対して、比較例1、3、6に係るチューブ容器は、分離試験において紙残りおよび樹脂残がいずれも5%以下で分離性が優れており、また、落下試験および振動試験においては剥離が生じなかった。しかし、剥離強度が0.5N/15mm未満のため、揉み試験において紙層の剥離が生じた。
【0075】
比較例2、4、5に係るチューブ容器は、揉み試験、落下試験、振動試験において紙層が剥離することが無く耐久性は優れていたが、剥離強度が10N/15mmを超えていたため、分離試験において紙残りおよび樹脂残がいずれも5%を超え、分離性が劣っていた。