(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111620
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】食器処理機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007169
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】衣川 潤
(72)【発明者】
【氏名】寺山 隼矢
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】菊川 智之
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082DA00
(57)【要約】
【課題】食器処理機の利便性を向上させる。
【解決手段】食器洗い機40は、開口部を有した本体と、本体内に設けられ、洗浄又は乾燥される被洗浄物8を収容する洗浄槽と、本体内に設けられ、被洗浄物8を移送するロボットアーム60と、を備え、ロボットアーム60は、少なくとも一部が本体の外部に移動可能であり、洗浄槽に収容された被洗浄物8を洗浄槽の外部に移送し、又は、洗浄槽の外部にある被洗浄物8を洗浄槽に収容する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有した筐体と、
前記筐体内に設けられ、洗浄又は乾燥される被処理物を収容する処理槽と、
前記筐体内に設けられ、前記被処理物を移送する移送装置と、
を備え、
前記移送装置は、少なくとも一部が前記筐体の外部に移動可能であり、前記処理槽に収容された被処理物を前記処理槽の外部に移送し、又は、前記処理槽の外部にある被処理物を前記処理槽に収容する
食器処理機。
【請求項2】
前記処理槽は、前記筐体内に出し入れ自在に設けられ、
前記処理槽の少なくとも一部が前記筐体から出されたときに、前記移送装置の少なくとも一部が前記筐体の外部に移動され、前記処理槽が前記筐体内に収納されたときに、前記移送装置が前記筐体内に収納される
請求項1に記載の食器処理機。
【請求項3】
前記移送装置は、前記処理槽の側壁に設置される
請求項1又は2に記載の食器処理機。
【請求項4】
前記移送装置は、
前記被処理物を保持するハンド部と、
前記ハンド部を所定の位置に移動させるアーム部と、
を備え、
前記アーム部は、直交座標型の移動機構を有する
請求項1から3のいずれかに記載の食器処理機。
【請求項5】
前記筐体は、キッチン内に収納され、
前記移送装置は、前記キッチン上に載置された被処理物を前記処理槽に収容する
請求項1から4のいずれかに記載の食器処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食器などの被処理物を洗浄または乾燥するための食器処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンのキャビネットなどに組み込まれる食器洗い機が提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された食器洗浄乾燥機の筐体は、前方が開放されていて、その内部に洗浄槽を出し入れ自在に収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、使用者自身が食器を配置する場所や順序を考えながら、食器を食器洗浄乾燥機の食器かごに配置する必要があった。
【0005】
本開示は、食器処理機の利便性を向上させるための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における食器処理機は、開口部を有した筐体と、筐体内に設けられ、洗浄又は乾燥される被処理物を収容する処理槽と、筐体内に設けられ、被処理物を移送する移送装置と、を備える。移送装置は、少なくとも一部が筐体の外部に移動可能であり、処理槽に収容された被処理物を処理槽の外部に移送し、又は、処理槽の外部にある被処理物を処理槽に収容する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、食器処理機の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る食器洗い機が設置されたシステムキッチンの外観図
【
図17】実施の形態1に係る食器洗い機を制御するための制御部の構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0010】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1~17を用いて、実施の形態1を説明する。
【0012】
実施の形態1に係る食器処理機は、洗浄又は乾燥の対象となる被処理物を自動的に移送する移送装置の一例であるロボットアームを備える。ロボットアームは、食器処理機の筐体内に収納されており、被処理物を移送する際には少なくとも一部が筐体の外部に移動可能である。食器処理機を使用していないときには、ロボットアームがキッチンにおける作業の邪魔にならないように食器処理機の筐体内に収納されるので、作業空間を効率良く活用することができる。これにより、使用者の利便性を向上させることができる。
【0013】
以下の説明では、食器処理機の例として食器洗い機について説明するが、食器乾燥機についても同様である。
【0014】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1に係る食器洗い機が設置されたシステムキッチンの外観を示す。食器洗い機40は、システムキッチン50の内部に収納される。システムキッチン50には、ロボットアーム60およびカメラ53が設置される。ロボットアーム60は、カメラ53により撮像された画像に基づいて、後述する駆動制御部により制御される。ロボットアーム60は、システムキッチン50のワークトップ55上やシンク56内に置かれた被洗浄物8を自動で食器洗い機40の内部に載置する。また、ロボットアーム60は、食器洗い機40の内部に載置された被洗浄物8を自動で取り出す。ロボットアーム60は、食器洗い機40の筐体内に設置されてもよい。
【0015】
図2および
図3は、実施の形態1に係る食器洗い機40の断面を概略的に示す。
図2および
図3には、ロボットアーム60以外の構成を示している。食器洗い機40の本体1は、前方開口部を有する筐体であり、内部に洗浄槽2を備える。洗浄槽2は、引き出しレール等の手段(図示せず)により、本体1の前方開口部から前後に引き出し可能に支持される。洗浄槽2は、上方に開口部を有し、開口部から食器等の被洗浄物8の出し入れが可能となっている。洗浄槽2の中には、かご14が設置されている。本図の例では、1段のかご14が設置されているが、2段以上のかごが設置されてもよい。また、使用者が洗浄槽2を引き出さずに、本体1に駆動装置(図示せず)を設けて、自動で洗浄槽2を引き出す構成としてもよい。
【0016】
被洗浄物8を洗浄する際には、給水弁3を介して外部から洗浄槽2内に水または湯が供給される。洗浄槽2内に供給された洗浄水は、洗浄槽2の底部に設けられた排水孔4から排水された後、排水孔4に連通する洗浄ポンプ5により洗浄ノズル7から被洗浄物8へ噴射されて、洗浄槽2の内部を循環する。洗浄ノズル7と洗浄槽2の底部との間には、洗浄水加熱用のヒータ9が設けられる。排水孔4には、残さいを捕集するための残さいフィルタ6が設けられる。制御部12は、給水弁3や洗浄ポンプ5等の電装部品を制御する。
【0017】
かご14は、洗浄槽2が本体1から引き出された状態において、昇降手段により昇降可能に構成される。昇降手段は、洗浄槽2の底部に固着された固定プレートと、Xの字形状の昇降リンク18、19とを備える。昇降リンク18、19は、同じ長さを有し、中央の軸17にて交差するように設置される。昇降リンク18、19の少なくとも一方の下端は、固定プレートの左右端に設けられた長穴に枢支される。昇降リンク18または19の下端が長穴を摺動することにより、昇降リンク18、19の上端が昇降し、昇降リンク18、19の上に載置支持されたかご14が昇降する。
図2は、かご14が降下された状態を示し、
図3は、かご14が上昇された状態を示す。昇降手段として、ボールねじやベルト、エアシリンダのようなアクチュエータを用いてかご14を昇降させてもよい。
【0018】
かご14は、自動的に昇降可能に設けられてもよい。この場合、昇降手段は、昇降リンク18、19を昇降させるためのモータなどの駆動手段と、駆動手段を制御するための制御部とを備える。制御部は、使用者によるボタン操作などに応じてかご14を昇降させてもよいし、洗浄槽2が本体1から引き出されたことがセンサなどにより検知されたときに自動的にかご14を昇降させてもよい。かご14は、使用者により手動で昇降可能に設けられてもよい。この場合、昇降手段は、昇降リンク18、19を昇降させるための回転軸などの昇降機構と、昇降機構を動作させるためのハンドルなどの操作手段とを備える。昇降機構は、洗浄槽2が本体1から引き出されたときにバネなどにより昇降リンク18、19を昇降させる機構であってもよい。
【0019】
図4Aおよび
図4Bは、食器洗い機40の外観を示す。
図4Aは、ロボットアーム60が本体1内に収納された状態を示し、
図4Bは、ロボットアーム60が本体1から展開された状態を示す。ロボットアーム60は、食器洗い機40の洗浄槽2の側壁に設置され、洗浄槽2が本体1から引き出されるときに、洗浄槽2とともに引き出される。洗浄槽2が本体1から引き出された状態において、ロボットアーム60は、昇降手段61により上方に移動される。このとき、アーム部62が展開され、アーム部62の少なくとも一部とハンド部63がワークトップ55の上方に移動される。これにより、ワークトップ55上に載置されている被洗浄物8をハンド部63で把持して洗浄槽2内に移動させることができる。洗浄槽2を本体1内に収納するときには、アーム部62が折り畳まれるとともに、ロボットアーム60が昇降手段61により下方に移動される。ロボットアーム60は、洗浄槽2とともに本体1内に収納される。
図4Aに示した例では、アーム部62は、洗浄槽2の右側の側壁と本体1との間、および、洗浄槽2の手前側の側壁と本体1との間に収納され、ハンド部63およびロボットハンド78は、洗浄槽2の手前側の側壁と本体1との間に収納される。直交座標型のロボットアーム60を採用することにより、直方体の洗浄槽2の周囲にロボットアーム60を収納しやすくすることができる。
【0020】
図5は、ロボットアーム60の詳細を示す。ロボットアーム60のアーム部62は、第1リンク62a、第2リンク62b、および第3リンク62cを含む。第3リンク62cは、洗浄槽2の幅方向(X軸方向)にハンド部63を移動させる。第2リンク62bは、高さ方向(Z軸方向)に第3リンク62cおよびハンド部63を移動させる。第1リンク62aは、洗浄槽2の奥行き方向(Y軸方向)に第2リンク62b、第3リンク62c、およびハンド部63を移動させる。ロボットアーム60が本体1内に収納されるときには、第2リンク62bまたは第3リンク62cが第1リンク62aと重なるように回転され、または折り畳まれてもよい。この場合、洗浄槽2が本体1から引き出され、ロボットアーム60が上方に移動されたときに、第2リンク62bおよび第3リンク62cが
図5に示すように展開されてもよい。
【0021】
図6Aは、第1リンク62aの詳細を示す。第1リンク62aは、ベルトプーリ機構を用いた多段式の伸縮機構を有する。これにより、洗浄槽2の奥にあるワークトップ55上までハンド部63を移動させることができる。第1リンク62aは、下段リンク64a、中段リンク64b、上段リンク64c、モータ65、ボールねじ66、ボールねじナット67、タイミングベルト68、およびリニアガイド69を有する。モータ65によりボールねじ66が回転されると、ボールねじナット67が移動する。ボールねじナット67と中段リンク64bは固定されているので、ボールねじナット67の移動とともに中段リンク64bがリニアガイド69に沿って移動する。下段リンク64aと中段リンク64bのタイミングベルト68は固定されているので、中段リンク64bが下段リンク64aに対して相対的に移動すると、中段リンク64bのタイミングベルト68が回転する。中段リンク64bのタイミングベルト68と上段リンク64cは固定されているので、中段リンク64bのタイミングベルト68の回転とともに上段リンク64cがリニアガイド69に沿って移動する。このようにして、下段リンク64a、中段リンク64b、および上段リンク64cが連動して伸縮し、上段リンク64cに固定された第2リンク62bがY軸方向に移動される。
【0022】
図6Bは、第1リンク62aの動作原理を示す。中央の収縮時から、ボールねじナット67を正方向に移動させると、右側に示すように正方向に伸張する。ボールねじナット67を負方向に移動させると、左側に示すように負方向に伸張する。
【0023】
図6Cは、第1リンク62aの別の例の動作原理を示す。
図6Cに示す例では、下段リンク64aもタイミングベルトとプーリを有しており、下段リンク64aのプーリをモータ65で回転させることにより、下段リンク64a、中段リンク64b、および上段リンク64cが連動して伸縮する。
【0024】
図7Aは、第2リンク62bの詳細を示す。
図7Bは、
図7Aの矩形部分の詳細を示す。第2リンク62bは、モータ70、タイミングベルト71、ボールねじ72、ボールねじナット73、およびリニアガイド74を含む。モータ70の回転は、タイミングベルト71によりボールねじ72に伝達され、ボールねじナット73に固定された第3リンク62cがリニアガイド74に沿ってY軸方向に移動する。
【0025】
図8は、第3リンク62cの詳細を示す。第3リンク62cは、モータ75、タイミングベルト76、および連結部77を含む。モータ75の回転によりタイミングベルト76が回転され、ハンド部63が連結される連結部77がX軸方向に移動する。
【0026】
図9は、ハンド部63の詳細を示す。ロボットアーム60のハンド部63は、第4リンク62d、第5リンク62e、および第6リンク62fを含む。第6リンク62fは、T軸(wrist Turning:手首回転)の周りでロボットハンド78を回転させる。第5リンク62eは、B軸(wrist Bending:手首曲げ)の周りで第6リンク62fおよびロボットハンド78を回転させる。第4リンク62dは、R軸(wrist Rotation:手首旋回)の周りで第5リンク62e、第6リンク62f、およびロボットハンド78を回転させる。
【0027】
図10は、第4リンク62dの詳細を示す。第4リンク62dは、モータ79、およびハーモニックドライブ(登録商標)減速機80を含む。モータ79の回転は、ハーモニックドライブ減速機80により減速されて、第5リンク62eをR軸の周りで回転させる。
【0028】
図11は、第5リンク62eの詳細を示す。第5リンク62eは、モータ81、タイミングベルト82、ウォーム83、およびウォームホイール84を含む。モータ81の回転は、タイミングベルト82によりウォーム83に伝達され、ウォーム83とウォームホイール84により減速されて、第6リンク62fをB軸の周りで回転させる。
【0029】
図12は、第6リンク62fの詳細を示す。第6リンク62fは、モータ85、タイミングベルト86、ウォーム87、およびウォームホイール88を含む。モータ85の回転は、タイミングベルト86によりウォーム87に伝達され、ウォーム87とウォームホイール88により減速されて、ロボットハンド78をT軸の周りで回転させる。
【0030】
重力によるモーメントが働く第5リンク62eと第6リンク62fの回転関節にウォーム減速機構を用いることにより、停電時などに回転関節が重力により回転して、ロボットハンド78が把持した物が脱落してしまうのを防ぐことができる。
【0031】
このように、実施の形態1におけるロボットアーム60は、直交座標型の移動機構を有しており、各自由度が独立しているので、誤差の累積が抑えられる。これにより、ロボットハンド78の移動や姿勢の制御の精度を向上させることができる。
【0032】
図13は、ロボットアーム60の別の例を示す。本図に示すロボットアーム60のアーム部62は、第1リンク89a、第2リンク89b、および第3リンク89cを含む。第3リンク89cは、高さ方向(Z軸方向)にハンド部63を移動させる。第2リンク89bは、洗浄槽2の幅方向(X軸方向)に第3リンク89cおよびハンド部63を移動させる。第1リンク89aは、洗浄槽2の奥行き方向(Y軸方向)に第2リンク89b、第3リンク89c、およびハンド部63を移動させる。第1リンク89aの移動機構は、第1リンク62aと同様である。第2リンク89bおよび第3リンク89cの移動機構は、第2リンク62bまたは第3リンク62cと同様であってもよい。
【0033】
図14Aは、ロボットアーム60の別の例を示す。本図に示すロボットアーム60は、第2リンク89bが巻き取り式の伸縮機構90を有する。その他の構成は、
図13に示したロボットアーム60と同様である。
【0034】
図14Bは、巻き取り式の伸縮機構90の内部の側面図であり、
図14Cは、巻き取り式の伸縮機構90の上面図である。伸縮機構90は、複数のブロック91を含み、ブロック91を押し出したり巻き取ったりして伸縮させる。これにより、第2リンク89bにおける洗浄槽2の幅方向への出っ張りをなくすことができる。
【0035】
図15は、ロボットアーム60の別の例を示す。本図に示すロボットアーム60は、円筒座標型の移動機構を有する。ロボットアーム60は、第1リンク92a、第2リンク92b、および第3リンク92cを含む。第3リンク92cは、高さ方向にハンド部63を移動させる。第2リンク92bは、半径方向に第3リンク92cおよびハンド部63を移動させる。第1リンク92aは、周方向に第2リンク92b、第3リンク92c、およびハンド部63を移動させる。これにより、アーム部62の構造を簡略化することができるので、剛性を高めることができるとともに、アーム部62を軽量化することができる。
【0036】
図16A、
図16B、および
図16Cは、ロボットアーム60の別の例を示す。
図16Aに示したロボットアーム60は、直交関節型のアーム部62を有する。この場合、ロボットアーム60は、洗浄槽2の側壁に設置されてもよい。
図16Bに示したロボットアーム60は、垂直多関節型のアーム部62を有する。この場合、ロボットアーム60は、本体1の側壁または上面に設置されてもよい。
図16Cに示したロボットアーム60は、水平多関節型のアーム部62を有する。この場合、ロボットアーム60は、洗浄槽2の上部または側壁または上部に設置されてもよい。
【0037】
図17は、実施の形態1に係る食器洗い機を制御するための制御部の構成を示す。制御部12は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、集積回路などのハードウェアにより実現される。
【0038】
制御部12は、工程制御部23、駆動制御部24、およびメモリ25を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0039】
工程制御部23は、食器洗い機40による洗浄運転を制御する。工程制御部23は、食器洗い機40の本体1に設けられたボタンやスイッチなどにより構成される操作部22から使用者による指示を受け付け、指示にしたがって洗浄運転を制御する。工程制御部23は、洗浄工程、すすぎ工程、および乾燥工程を連続的に実行してもよいし、いずれかの工程のみを実行してもよいし、いずれか2以上の工程の組合せを任意の順序で実行してもよい。
【0040】
駆動制御部24は、ロボットアーム60を制御する。駆動制御部24は、カメラ53により撮像された画像に基づいて、アーム部62およびハンド部63の移動を制御し、ロボットハンド78により被洗浄物8を把持させる。駆動制御部24は、ロボットアーム60のアーム部62またはハンド部63の展開および収納を制御する。
【0041】
[1-2.動作]
以上のように構成された食器洗い機40について、以下その動作、作用を説明する。
【0042】
使用者が洗浄槽2を食器洗い機40の本体1から前方に引き出し、かご14を上方に移動させると、駆動制御部24は、ロボットアーム60を上方に移動させる。このとき、駆動制御部24は、ロボットアーム60の少なくとも一部が本体1および洗浄槽2の外部に出るように、ロボットアーム60を移動するとともに、アーム部62を展開する。駆動制御部24は、ロボットアーム60を制御して、ワークトップ55上などにある被洗浄物8を把持して洗浄槽2の内部に載置する。被洗浄物8の移動が終了すると、駆動制御部24は、アーム部62を元に戻すとともに、ロボットアーム60を元の位置に戻す。使用者は、洗浄槽2内に洗剤を投入し、洗浄槽2を本体1に収納して洗浄を開始させる。ロボットアーム60は、洗浄槽2とともに本体1に収納される。
【0043】
工程制御部23は、給水弁3を開いて洗浄槽2内に水または湯を供給する。洗浄槽2内に供給された洗浄水は、残さいフィルタ6を通過して排水孔4から洗浄ポンプ5に吸い込まれ、洗浄ポンプ5より洗浄槽2の内底部に設けられた洗浄ノズル7に供給される。洗浄ノズル7から噴射された洗浄水は、被洗浄物8を洗浄した後、再び排水孔4に戻るという経路で循環する。この際、被洗浄物8から脱落した残さい等は、洗浄水とともに残さいフィルタ6に流入し、この残さいフィルタ6を通過できない大きさの残さいは、残さいフィルタ6に捕集される。
【0044】
洗浄後に被洗浄物8を取り出す際には、使用者が洗浄槽2を食器洗い機の本体1から前方に引き出し、かご14を上方に移動させると、駆動制御部24は、ロボットアーム60を上方に移動させる。駆動制御部24は、ロボットアーム60を制御して、かご14から被洗浄物8を取り出してワークトップ55上などに載置する。被洗浄物8の移動が終了すると、駆動制御部24は、アーム部62を元に戻すとともに、ロボットアーム60を元の位置に戻す。
【0045】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、食器洗い機40は、開口部を有した本体1と、本体1内に設けられ、洗浄又は乾燥される被処理物を収容する洗浄槽2と、本体1内に設けられ、被処理物を移送するロボットアーム60と、を備え、ロボットアーム60は、少なくとも一部が本体1の外部に移動可能であり、洗浄槽2に収容された被処理物を洗浄槽2の外部に移送し、又は、洗浄槽2の外部にある被処理物を洗浄槽2に収容する。これにより、ロボットアーム60により自動的に被処理物を出し入れすることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。また、食器処理機を使用していないときには、ロボットアーム60が食器洗い機40の本体1内に収納されるので、作業空間を効率良く活用することができる。
【0046】
また、本実施の形態において、洗浄槽2は、本体1内に出し入れ自在に設けられ、洗浄槽2の少なくとも一部が本体1から出されたときに、ロボットアーム60の少なくとも一部が本体1の外部に移動され、洗浄槽2が本体1内に収納されたときに、ロボットアーム60が本体1内に収納される。これにより、食器洗い機40を小型化することができ、作業空間を効率良く活用することができる。
【0047】
また、本実施の形態において、ロボットアーム60は、洗浄槽2の側壁に設置される。これにより、食器洗い機40を小型化することができ、作業空間を効率良く活用することができる。また、洗浄槽2内部にロボットアーム60を設けていないため、防水・耐熱・耐洗剤性が必要なく、安価な食器洗い機を提供することができる。
【0048】
また、本実施の形態において、ロボットアーム60は、被処理物を保持するハンド部63と、ハンド部63を所定の位置に移動させるアーム部62と、を備え、アーム部62は、直交座標型の移動機構を有する。これにより、誤差の蓄積を抑え、移動精度を向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態において、本体1は、キッチン内に収納され、ロボットアーム60は、キッチン上に載置された被処理物を洗浄槽2に収容する。これにより、作業空間を効率良く活用することができる。
【0050】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0051】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0052】
実施の形態1では、上方に開口部を有する洗浄槽2が、前方に前方開口部を有する本体1から前後に出し入れ可能に設けられる例を示したが、別の例では、洗浄槽2の開閉扉が洗浄槽2の上方に設けられていてもよい。この場合、洗浄槽2は本体1から前後に出し入れ可能に設けられてもよいし、本体1の内部に固定的に収納されてもよい。
【0053】
実施の形態では、食器洗い機40がシステムキッチン50の内部に収納される例を示したが、別の例では、食器洗い機40は独立した装置として構成されてもよい。
【0054】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、食器などの被処理物を洗浄または乾燥するための食器処理機に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 本体
2 洗浄槽
3 給水弁
4 排水孔
5 洗浄ポンプ
6 フィルタ
7 洗浄ノズル
8 被洗浄物
9 ヒータ
12 制御部
17 軸
18 昇降リンク
22 操作部
23 工程制御部
24 駆動制御部
25 メモリ
40 食器洗い機
50 システムキッチン
53 カメラ
55 ワークトップ
56 シンク
60 ロボットアーム
61 昇降手段
62 アーム部
62a 第1リンク
62b 第2リンク
62c 第3リンク
62d 第4リンク
62e 第5リンク
62f 第6リンク
63 ハンド部
64a 下段リンク
64b 中段リンク
64c 上段リンク
65 モータ
66 ボールねじ
67 ボールねじナット
68 タイミングベルト
69 リニアガイド
70 モータ
71 タイミングベルト
72 ボールねじ
73 ボールねじナット
74 リニアガイド
75 モータ
76 タイミングベルト
77 連結部
78 ロボットハンド
79 モータ
80 ハーモニックドライブ減速機
81 モータ
82 タイミングベルト
83 ウォーム
84 ウォームホイール
85 モータ
86 タイミングベルト
87 ウォーム
88 ウォームホイール
89a 第1リンク
89b 第2リンク
89c 第3リンク
90 伸縮機構
91 ブロック
92a 第1リンク
92b 第2リンク
92c 第3リンク。