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  • 特開-冷却水落下防止システム 図1
  • 特開-冷却水落下防止システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111624
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】冷却水落下防止システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/36 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
B23K11/36 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007179
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】591260948
【氏名又は名称】株式会社キョクトー
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】草野 寛和
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設備の規模や種類に影響を受けずに電極の交換作業時における溶接ガン先端からの冷却水の落下を確実に防ぐことができるスポット溶接機用の冷却水落下防止システムを提供する。
【解決手段】冷却水落下防止システム1は、冷却水供給配管15に第1ストップバルブ2が設けられ、冷却水排出配管16に第2ストップバルブ3が設けられる。冷却水供給配管15の第1ストップバルブ2よりも溶接ガン11側には、第1配管4の一端が接続される。冷却水排出配管16の第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11側には、第2配管5の一端が接続される。冷却水排出配管16の第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11から遠い側には、ドレン配管6の一端が接続される。第1配管4、第2配管5及びドレン配管6の各他端はポンプユニット7に接続され、ポンプユニット7は、第1配管4及び第2配管5から吸い上げる冷却水をドレン配管6へと排出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポット溶接機の溶接ガン先端に装着された電極の内部に冷却水供給通路及び冷却水排出通路を介して循環させる冷却水が前記溶接ガンの先端から前記電極を取り外した際に落下するのを防止する冷却水落下防止システムであって、
前記冷却水供給通路の中途部に設けられ、前記電極内部への冷却水の供給を停止可能な第1ストップバルブと、
前記冷却水排出通路の中途部に設けられ、前記電極内部からの冷却水の排出を停止可能な第2ストップバルブと、
一端が前記冷却水供給通路の前記第1ストップバルブよりも前記溶接ガン側に接続された第1配管と、
一端が前記冷却水排出通路の前記第2ストップバルブよりも前記溶接ガン側に接続された第2配管と、
一端が前記冷却水排出通路の前記第2ストップバルブよりも前記溶接ガンから遠い側に接続されたドレン配管と、
前記第1配管、第2配管及びドレン配管の各他端が接続され、前記第1及び第2配管から吸い上げる冷却水を前記ドレン配管へと排出可能なポンプユニットとを備えていることを特徴とする冷却水落下防止システム。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却水落下防止システムにおいて、
前記ポンプユニットは、前記第1配管及びドレン配管の他端同士を繋ぐ第1接続管と、前記第2配管及びドレン配管の他端同士を繋ぐ第2接続管と、前記第1接続管の中途部に連続して設けられ、当該第1接続管において前記第1配管側から前記ドレン配管側にのみ冷却水を通過させる一対の第1逆止弁と、前記第2接続管の中途部に連続して設けられ、当該第2接続管において前記第2配管側から前記ドレン配管側にのみ冷却水を通過させる一対の第2逆止弁と、一端にガイド孔を有する筒体と、該筒体の内部を筒中心線方向一側の第1空間と他側の第2空間とに仕切る仕切板と、前記ガイド孔にスライド可能に嵌挿され、一端が前記仕切板に接続されたガイド棒と、該ガイド棒の他端に接続され、且つ、当該ガイド棒をスライドさせる流体圧シリンダと、一端が前記第1空間に接続される一方、他端が前記第1接続管の両第1逆止弁の間に接続された第1吸込吐出用管と、一端が前記第2空間に接続される一方、他端が前記第2接続管の両第2逆止弁の間に接続された第2吸込吐出用管とを備えていることを特徴とする冷却水落下防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポット溶接機の溶接ガン先端に装着された電極の交換作業時において電極を溶接ガンの先端から取り外した際、電極冷却用の冷却水が溶接ガンの先端から落下しないようにする冷却水落下防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スポット溶接機における溶接ガンの先端に装着された電極は、所定の時期に交換作業が行われる。この電極の交換作業は、冷却水通路に設けられたストップバルブを閉めて冷却水の循環を止めた後、溶接ガンの先端に取り付けられた使用済みの電極を取り外すとともに、新たな電極を溶接ガンの先端に取り付けることにより終了するが、使用済みの電極を溶接ガンの先端から取り外した際に、冷却水通路の一部に溜まる冷却水が溶接ガン先端の開口部分から落下して作業員の身体や他の設備などを濡らしてしまうという問題があった。
【0003】
これに対応するために、例えば、特許文献1に開示されている冷却水落下防止装置は、一端開口が冷却水通路に接続される一方、他端中央にガイド孔を有する筒体と、筒体における筒中心線と直交する方向に並設された一対の流体圧シリンダとを備えている。筒体の内部には、筒体の内部を冷却水通路側空間とガイド孔側空間とに仕切る仕切板と、ガイド孔にスライド可能に嵌挿され、一端が仕切板に接続されたガイド棒とが配設され、ガイド棒の他端と流体圧シリンダのピストンロッドとが連結ブラケットで繋がっている。そして、電極を溶接ガンの先端から取り外した際、冷却水通路に設けられたストップバルブにて冷却ユニットによる冷却水の循環を止めるとともに、流体圧シリンダにおけるピストンロッドを伸長させて筒体の内部における冷却水通路側の空間を負圧にすることにより、冷却水通路側の空間に冷却水通路の冷却水を吸い込んで溶接ガン先端の開口部分から冷却水を落下させないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/087959号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の如き冷却水落下防止装置は、筒体内部の空間に予め決められた量以上に冷却水を吸い込むことができず、例えば、溶接ガンの種類が変更になって大型化するような場合、冷却水通路におけるストップバルブよりも溶接ガン側に位置する全ての冷却水を筒体内部に吸い込むことができずに冷却水を溶接ガンの先端から落下させてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、設備の規模や種類に影響を受けずに電極の交換作業時における溶接ガン先端からの冷却水の落下を確実に防ぐことができるスポット溶接機用の冷却水落下防止システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、電極を交換する際、ポンプユニットを用いて冷却水通路から繰り返し冷却水を吸い上げるようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、スポット溶接機の溶接ガン先端に装着された電極の内部に冷却水供給通路及び冷却水排出通路を介して循環させる冷却水が前記溶接ガンの先端から前記電極を取り外した際に落下するのを防止する冷却水落下防止システムにおいて、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、前記冷却水供給通路の中途部に設けられ、前記電極内部への冷却水の供給を停止可能な第1ストップバルブと、前記冷却水排出通路の中途部に設けられ、前記電極内部からの冷却水の排出を停止可能な第2ストップバルブと、一端が前記冷却水供給通路の前記第1ストップバルブよりも前記溶接ガン側に接続された第1配管と、一端が前記冷却水排出通路の前記第2ストップバルブよりも前記溶接ガン側に接続された第2配管と、一端が前記冷却水排出通路の前記第2ストップバルブよりも前記溶接ガンから遠い側に接続されたドレン配管と、前記第1配管、第2配管及びドレン配管の各他端が接続され、前記第1及び第2配管から吸い上げる冷却水を前記ドレン配管へと排出可能なポンプユニットとを備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記ポンプユニットは、前記第1配管及びドレン配管の他端同士を繋ぐ第1接続管と、前記第2配管及びドレン配管の他端同士を繋ぐ第2接続管と、前記第1接続管の中途部に連続して設けられ、当該第1接続管において前記第1配管側から前記ドレン配管側にのみ冷却水を通過させる一対の第1逆止弁と、前記第2接続管の中途部に連続して設けられ、当該第2接続管において前記第2配管側から前記ドレン配管側にのみ冷却水を通過させる一対の第2逆止弁と、一端にガイド孔を有する筒体と、該筒体の内部を筒中心線方向一側の第1空間と他側の第2空間とに仕切る仕切板と、前記ガイド孔にスライド可能に嵌挿され、一端が前記仕切板に接続されたガイド棒と、該ガイド棒の他端に接続され、且つ、当該ガイド棒をスライドさせる流体圧シリンダと、一端が前記第1空間に接続される一方、他端が前記第1接続管の両第1逆止弁の間に接続された第1吸込吐出用管と、一端が前記第2空間に接続される一方、他端が前記第2接続管の両第2逆止弁の間に接続された第2吸込吐出用管とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明では、電極の交換作業を行う際、第1及び第2ストップバルブにより電極内部の冷却水の循環を停止させた後、ポンプユニットを起動させると、冷却水供給通路における第1ストップバルブよりも溶接ガン側に溜まる冷却水が第1配管を介してポンプユニットに吸い上げられるとともに、冷却水排出通路における第2ストップバルブよりも溶接ガン側に溜まる冷却水が第2配管を介してポンプユニットに吸い上げられるようになる。そして、ポンプユニットにて吸い上げられる冷却水は、ドレン配管を介して順次冷却水排出通路における第2ストップバルブよりも溶接ガンから遠い側に戻されるので、冷却水排出通路に戻された冷却水は、第2ストップバルブによって溶接ガンに向かっては移動せずにそのまま排出されるようになる。このように、電極を溶接ガンの先端から取り外す際に、溶接ガンの種類や大きさに関係無く、冷却水供給通路における第1ストップバルブよりも溶接ガン側の全領域に溜まる冷却水の全てと、冷却水排出通路における第2ストップバルブよりも溶接ガン側の全領域に溜まる冷却水の全てとを取り除くことができるので、設備の規模や種類に影響を受けずに電極の交換作業時における溶接ガン先端からの冷却水の落下を確実に防ぐことができる。
【0012】
第2の発明では、第2空間に冷却水が溜まる状態において流体圧シリンダを作動させてガイド棒を一方側にスライドさせることにより第1空間が広くなるように仕切板を移動させると、2つの第1逆止弁によって冷却水供給通路における第1ストップバルブよりも溶接ガン側の冷却水が第1空間に第1配管、第1接続管及び第1吸込吐出用管を介して吸い込まれる一方、2つの第2逆止弁によって第2空間に溜まる冷却水が第2吸込吐出用管、第2接続管及びドレン配管を介して冷却水排出通路における第2ストップバルブよりも溶接ガンから遠い側に排出されるようになる。一方、第1空間に冷却水が溜まる状態において流体圧シリンダを作動させてガイド棒を他方側にスライドさせることにより第2空間が広くなるように仕切板を移動させると、2つの第2逆止弁によって冷却水排出通路における第2ストップバルブよりも溶接ガン側の冷却水が第2空間に第2配管、第2接続管及び第2吸込吐出用管を介して吸い込まれる一方、2つの第1逆止弁によって第1空間に溜まる冷却水が第1吸込吐出用管、第1接続管及びドレン配管を介して冷却水排出通路における第2ストップバルブよりも溶接ガンから遠い側に排出されるようになる。このように、1つの筒体の内部の仕切板の位置を往復させることにより、冷却水供給通路及び冷却水排出通路の冷却水を交互に吸い上げるとともに、吸い上げた冷却水を冷却水排出通路に戻すことができるようになるので、効率の良い安価なシステムにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る冷却水落下防止システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るポンプユニットの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る冷却水落下防止システム1が接続されたスポット溶接機10を示す。該スポット溶接機10は、例えば、自動車の生産ラインで複数のプレス部品(図示せず)をスポット溶接で組み立てるのに用いられるものであり、正面視で略C字状をなす溶接ガン11を備えている。
【0016】
該溶接ガン11の先端には、細棒状をなす一対のシャンク11aが互いに対向するように設けられ、一方のシャンク11a側部分が他方のシャンク11aに対して接近離間可能になっている。
【0017】
各シャンク11aの先端には、正面視で略釣鐘状をなす電極12が着脱可能に取り付けられ、両電極12間に溶接対象物(図示せず)を配置した状態において、溶接ガン11における一方のシャンク11a側部分を他方のシャンク11aに対して接近させて両電極12で溶接対象物を挟み込んで加圧した後、両電極12間に電流を流すことにより溶接対象物にスポット溶接を施すようになっている。
【0018】
溶接ガン11には、前記両電極12を冷却する冷却ユニット13が接続されている。
【0019】
該冷却ユニット13は、冷却水を循環させるポンプ14a及び冷却水を貯留するタンク14bを有するユニット本体14と、該ユニット本体14から各電極12にまで延びる冷却水供給配管15(冷却水供給通路)と、各電極12からユニット本体14にまで延びる冷却水排出配管16(冷却水排出通路)とを備え、ポンプ14aを作動させることによりタンク14bの冷却水を冷却水供給配管15及び冷却水排出配管16を介して各電極12の内部に循環させて当該各電極12を冷却するようになっている。
【0020】
冷却水落下防止システム1は、冷却水供給配管15の中途部に設けられた第1ストップバルブ2と、冷却水排出配管16の中途部に設けられた第2ストップバルブ3とを備え、第1ストップバルブ2は、電極12内部への冷却水の供給を停止可能である一方、第2ストップバルブ3は、電極12からの冷却水の排出を停止可能になっている。
【0021】
冷却水供給配管15における第1ストップバルブ2よりも溶接ガン11側には、第1配管4の一端が接続されている。
【0022】
一方、冷却水排出配管16における第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11側には、第2配管5の一端が接続され、冷却水排出配管16における第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11から遠い側には、ドレン配管6の一端が接続されている。
【0023】
第1配管4、第2配管5及びドレン配管6の他端には、ポンプユニット7が接続されている。
【0024】
該ポンプユニット7は、ボックス形状をなす本体ケース70を備え、該本体ケース70の内部には、図2に示すように、第1配管4の他端とドレン配管6の他端とを繋ぐ第1接続管71と、第2配管5の他端とドレン配管6の他端とを繋ぐ第2接続管72とが配策されている。
【0025】
第1接続管71の中途部には、当該第1接続管71において第1配管4側からドレン配管6側にのみ冷却水を通過させる一対の第1逆止弁73が冷却水の通過方向に連続して設けられている。
【0026】
第2接続管72の中途部には、当該第2接続管72において第2配管5側からドレン配管6側にのみ冷却水を通過させる一対の第2逆止弁74が冷却水の通過方向に連続して設けられている。
【0027】
また、本体ケース70の内部には、一端にガイド孔75aを有する筒体75と、該筒体75の内部を筒中心線方向一側の第1空間S1と他側の第2空間S2とに仕切る仕切板76と、ガイド孔75aにスライド可能に嵌挿されたガイド棒77とを備え、該ガイド棒77の一端は、仕切板76に接続されている。
【0028】
筒体75における筒中心線方向他側には、複動式のエアシリンダ78が配設され、該エアシリンダ78は、ソレノイドバルブ79を介してエア供給源に接続されている。
【0029】
エアシリンダ78のピストンロッド78aは、筒体75の筒中心線上に位置するとともにガイド棒77の他端に接続されており、伸縮動作によって仕切板76とガイド棒77とを筒体75の筒中心線に沿ってスライドさせるようになっている。
【0030】
第1接続管71と筒体75との間には、一端が第1空間S1に接続される一方、他端が第1接続管71における両第1逆止弁73の間に接続された第1吸込吐出用管7aが配策され、第2接続管72と筒体75との間には、一端が第2空間S2に接続される一方、他端が第2接続管72における両第2逆止弁74の間に接続された第2吸込吐出用管7bが配策されている。
【0031】
次に、本発明の実施形態にかかる冷却水落下防止システム1の動作について詳述する。
【0032】
上述の溶接ガン11において電極12の交換作業を行う際、冷却水落下防止システム1を起動させると、図示しない制御部が第1ストップバルブ2及び第2ストップバルブ3を起動させて電極12内部の冷却水の循環を停止させた後、ポンプユニット7を起動させてエアシリンダ78を作動させる。エアシリンダ78のピストンロッド78aが伸長すると、一方側にスライドするガイド棒77と共に仕切板76が移動して第1空間S1を広げる一方、第2空間S2を狭くする。すると、2つの第1逆止弁73によって冷却水供給配管15における第1ストップバルブ2よりも溶接ガン11側の冷却水が第1空間S1に第1配管4、第1接続管71及び第1吸込吐出用管7aを介して吸い込まれる。
【0033】
次に、第1空間S1に冷却水が溜まる状態において、エアシリンダ78のピストンロッド78aが収縮すると、他方側にスライドするガイド棒77と共に仕切板76が移動して第2空間S2を広げる一方、第1空間S1を狭くする。すると、2つの第2逆止弁74によって冷却水排出配管16における第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11側の冷却水が第2空間S2に第2配管5、第2接続管72及び第2吸込吐出用管7bを介して吸い込まれる一方、2つの第1逆止弁73によって第1空間S1に溜まる冷却水が第1吸込吐出用管7a、第1接続管71及びドレン配管6を介して冷却水排出配管16における第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11から遠い側に排出される。
【0034】
さらに、第2空間S2に冷却水が溜まる状態において、エアシリンダ78のピストンロッド78aが伸長すると、一方側にスライドするガイド棒77と共に仕切板76が移動して第1空間S1を広げる一方、第2空間S2を狭くする。すると、2つの第1逆止弁73によって冷却水供給配管15における第1ストップバルブ2よりも溶接ガン11側の冷却水が第1空間S1に第1配管4、第1接続管71及び第1吸込吐出用管7aを介して吸い込まれる一方、2つの第2逆止弁74によって第2空間S2に溜まる冷却水が第2吸込吐出用管7b、第2接続管72及びドレン配管6を介して冷却水排出配管16における第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11から遠い側に排出される。
【0035】
このように、ポンプユニット7は、第1配管4及び第2配管5から吸い上げる冷却水をドレン配管6へと排出可能になっている。
【0036】
以上より、本発明の実施形態における冷却水落下防止システム1は、冷却水供給配管15における第1ストップバルブ2よりも溶接ガン11側に溜まる冷却水が第1配管4を介してポンプユニット7に吸い上げられるとともに、冷却水排出配管16における第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11側に溜まる冷却水が第2配管5を介してポンプユニット7に吸い上げられるようになる。そして、ポンプユニット7にて吸い上げられる冷却水は、ドレン配管6を介して順次冷却水排出配管16における第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11から遠い側に戻されるので、冷却水排出配管16に戻された冷却水は、第2ストップバルブ3によって溶接ガン11に向かっては移動せずにそのまま排出されるようになる。したがって、電極12を溶接ガン11の先端から取り外す際に、溶接ガン11の種類や大きさに関係無く、冷却水供給配管15における第1ストップバルブ2よりも溶接ガン11側の全領域に溜まる冷却水の全てと、冷却水排出配管16における第2ストップバルブ3よりも溶接ガン11側の全領域に溜まる冷却水の全てとを取り除くことができるので、設備の規模や種類に影響を受けずに電極12の交換作業時における溶接ガン11先端からの冷却水の落下を確実に防ぐことができる。また、1つの筒体75の内部の仕切板76の位置を往復させることにより、冷却水供給配管15及び冷却水排出配管16の冷却水を交互に吸い上げるとともに、吸い上げた冷却水を冷却水排出配管16に戻すことができるようになるので、効率の良い安価なシステムにすることができる。
【0037】
尚、本発明の実施形態では、筒体75内部の仕切板76を往復移動させながら冷却水を吸い上げるポンプユニット7を用いて冷却水供給配管15及び冷却水排出配管16の冷却水を吸い上げているが、第1配管4及び第2配管5から冷却水を吸い上げてドレン配管6に冷却水を排出できるのであれば、その他の種類のポンプユニットを用いてもよい。
【0038】
また、本発明の実施形態では、ポンプユニット7を起動させる流体圧シリンダとしてエアシリンダ78を用いているが、その他の種類の流体圧シリンダであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、スポット溶接機に接続され、電極の交換作業時において電極を溶接ガンの先端から取り外した際、電極冷却用の冷却水が溶接ガンの先端から落下しないようにする冷却水落下防止システムに適している。
【符号の説明】
【0040】
1 冷却水落下防止システム
2 第1ストップバルブ
3 第2ストップバルブ
4 第1配管
5 第2配管
6 ドレン配管
7 ポンプユニット
7a 第1吸込吐出用管
7b 第2吸込吐出用管
10 スポット溶接機
11 溶接ガン
11a シャンク
12 電極
15 冷却水供給配管(冷却水供給通路)
16 冷却水排出配管(冷却水排出通路)
71 第1接続管
72 第2接続管
73 第1逆止弁
74 第2逆止弁
75 筒体
75a ガイド孔
76 仕切板
77 ガイド棒
78 エアシリンダ(流体圧シリンダ)
S1 第1空間
S2 第2空間
図1
図2