(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111629
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/44 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
B65H3/44 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007190
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】岩見 優輝
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FB01
3F343FC18
3F343HA36
3F343HB03
3F343KB03
3F343LA03
3F343LC09
3F343LC19
3F343MA03
3F343MA23
3F343MB02
3F343MB13
3F343MC09
3F343MC21
(57)【要約】
【課題】用紙切れにより装置が停止することを防止する。
【解決手段】用紙を積載する複数の給紙台11,13を備え、複数の給紙台11,13のいずれかから用紙を給紙する給紙部2と、給紙部2により給紙された用紙に印刷する印刷部3と、複数の給紙台11,13のうち、給紙部2が給紙していない給紙台が開放された場合に、印刷部3の印刷速度を低下するように制御する制御部6とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を積載する複数の給紙台を備え、前記複数の給紙台のいずれかから前記用紙を給紙する給紙部と、
前記給紙部により給紙された用紙に印刷する印刷部と、
前記複数の給紙台のうち、前記給紙部が給紙していない給紙台が開放された場合に、前記印刷部の印刷速度を低下するように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載台に積載されたシートを供給し、供給されたシートに印刷する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、給紙台に積載された最上部の用紙を1枚ずつ取り出し、取り出した用紙を搬送ベルトに吸着させながら、画像データに基づいてインクジェットヘッドによりインクを吐出して用紙に印刷を行う。
【0003】
特許文献1には、複数の給紙トレイのうち、印刷要求により指定された用紙が収容されている給紙トレイを選択し、選択した給紙トレイの用紙残枚数が、印刷要求に対して必要な用紙の枚数より少ない場合、選択した給紙トレイを別の給紙トレイに変更し別の給紙トレイを使用して印刷を実行するか、選択した給紙トレイへの用紙補充指示を報知する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、給紙台に積載された用紙がなくなってしまった場合、給紙台に用紙を補充する必要があるが、用紙を補充するために給紙台を引き出すと装置が停止してしまう。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、用紙切れにより装置が停止することを防止する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置の特徴は、
用紙を積載する複数の給紙台を備え、前記複数の給紙台のいずれかから前記用紙を給紙する給紙部と、
前記給紙部により給紙された用紙に印刷する印刷部と、
前記複数の給紙台のうち、前記給紙部が給紙していない給紙台が開放された場合に、前記印刷部の印刷速度を低下するように制御する制御部と、
を備えたことにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像形成装置の特徴によれば、用紙切れにより装置が停止することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置であるインクジェット記録装置の要部の概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図1に示すインクジェット記録装置の制御ブロック図である。
【
図3】(a)は、本実施形態のインクジェット記録装置において、通常時の印刷部3の印刷速度を示しており、(b)は、本実施形態のインクジェット記録装置において、給紙していない給紙台が開放された場合の印刷部の印刷速度を示している。
【
図4】本実施形態のインクジェット記録装置が備える操作パネルに表示される画面の一例を示した図である。
【
図5】本実施形態のインクジェット記録装置が備える操作パネルに表示される画面の一例を示した図である。
【
図6】本実施形態のインクジェット記録装置が備える操作パネルに表示される画面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0011】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置であるインクジェット記録装置の要部の概略構成を示す説明図である。
図2は、
図1に示すインクジェット記録装置の制御ブロック図である。なお、
図1に示すインクジェット記録装置は、インクジェット方式のラインカラープリンタであるものとする。
【0013】
また、以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を左右方向とし、紙面表方向を右側とする。また、
図1における紙面の上下を上下方向とし、
図1における紙面の水平方向を前後方向とする。なお、紙面右方向を前方、左方向を後方とする。また、
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路Rである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路Rにおける上流、下流を意味する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、給紙部2と、印刷部3と、操作パネル4とを備える。
【0015】
給紙部2は、用紙Pを印刷部3に給紙する。給紙部2は、外部給紙台11と、外部給紙ユニット12と、複数の内部給紙台13と、複数対の内部給紙ローラ14と、複数対の内部給紙搬送ローラ15と、レジストローラ16とを備える。
【0016】
外部給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台11は、一部がインクジェット記録装置1の筐体(図示せず)の外部に露出して設置されている。外部給紙台11には、例えば、用紙補充のために装置から引き出された(開放された)か否かを検出するトレイセンサ11aが設けられている。
【0017】
外部給紙ユニット12は、外部給紙台11から用紙Pを1枚ずつ取り出し、搬送経路Rに沿ってレジストローラ16へ向けて搬送する。具体的には、外部給紙ユニット12は、図示しないモータにより回転駆動されるベルト12aの周回方向に沿って用紙Pを前方の搬送経路Rに向けて搬送する。ベルト12aには、空気を吸引するための吸引孔(図示せず)が設けられており、ベルト12aの内側に設けられたファン(図示しない)を駆動することにより、用紙Pは、ベルト12aの吸引孔から吸引する空気によりベルト12aの表面に吸着されて搬送される。
【0018】
内部給紙台13は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台13は、インクジェット記録装置1の筐体(図示せず)の内部に配置されている。内部給紙台13それぞれには、例えば、用紙補充のために装置から引き出された(開放された)か否かを検出するトレイセンサ13aが設けられている。
【0019】
内部給紙ローラ14は、内部給紙台13から用紙Pを1枚ずつ取り出して搬送経路Rへ送り出す。内部給紙ローラ14は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0020】
内部給紙搬送ローラ15は、内部給紙台13から取り出された用紙Pをレジストローラ16に向けて搬送する。内部給紙搬送ローラ15は、内部給紙ローラ14とレジストローラ16との間の搬送経路Rに沿って配置されている。内部給紙搬送ローラ15は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0021】
レジストローラ16は、外部給紙ユニット12または内部給紙搬送ローラ15から搬送されてきた用紙Pを一旦止めた後、印刷部3に向けて搬送する。レジストローラ16は、外部給紙ユニット12及び内部給紙搬送ローラ15の下流側に配置されている。レジストローラ16は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0022】
印刷部3は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。印刷部3は、ベルト搬送部3aと、インクジェットヘッド部3bとを備える。
【0023】
ベルト搬送部3aは、レジストローラ16により搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。ベルト搬送部3aは、レジストローラ16の下流側に配置されている。
【0024】
インクジェットヘッド部3bは、用紙Pの搬送方向と直交する方向(左右方向)に沿って複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッド(図示せず)を有する。インクジェットヘッド部3bは、ベルト搬送部3aの上方に配置されている。インクジェットヘッド部3bは、ベルト搬送部3aにより搬送される用紙Pにインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して画像を印刷する。
【0025】
操作パネル4は、表示/入力パネル(図示しない)と、読み取りや印刷等を開始させるためのスタートキー、読み取りや印刷等を停止させるためのストップキー、印刷枚数等を入力するためのテンキー(いずれも図示せず)等の各種操作キーとを備え、利用者操作に基づく操作信号を制御部6に供給する。
【0026】
操作パネル4は、前面に配置された感圧式あるいは静電式の透明なタッチパネルと、このタッチパネルの裏面に配置され、各種表示画面を表示する液晶表示パネル(いずれも図示せず)とを有している。
【0027】
図2に示すように、制御部6は、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。制御部6は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0028】
具体的には、制御部6は、給紙部2により用紙Pを給紙し、給紙された用紙Pを、印刷部3のベルト搬送部3aで搬送しつつ、インクジェットヘッド部3bからインクを吐出して用紙Pに印刷するよう制御する。
【0029】
また、制御部6は、トレイセンサ11aおよびトレイセンサ13aの検出結果に基づいて、外部給紙台11および内部給紙台13のうち、給紙部2として給紙していない給紙台が開放された場合に、印刷部3の印刷速度を低下するように制御する。
【0030】
図3(a)は、本実施形態のインクジェット記録装置1において、通常時の印刷部3の印刷速度を示しており、
図3(b)は、本実施形態のインクジェット記録装置1において、給紙していない給紙台が開放された場合の印刷部3の印刷速度を示している。単位はppm(page per minute)で示している。
【0031】
図3(a)に示すように、通常印刷時では、例えば、用紙サイズがA4で片面印刷である場合、108(ppm)となり、両面印刷である場合、54(ppm)となる。
【0032】
一方、
図3(b)に示すように、給紙していない給紙台が開放された場合、例えば、用紙サイズがA4で片面印刷である場合、72(ppm)となり、両面印刷である場合、36(ppm)となる。
【0033】
このように、制御部6は、トレイセンサ11aおよびトレイセンサ13aの検出結果に基づいて、外部給紙台11および内部給紙台13のうち、給紙部2として給紙していない給紙台が開放された場合に、印刷部3の印刷速度を低下するように制御する。
【0034】
そのため、印刷部3が印刷中に用紙を補充しようとする際に補充に要する時間を確保できるため、使用中である給紙台が用紙切れになる前に、使用していない給紙台への用紙の補充を完了することができる。
【0035】
また、用紙補充作業による振動でジャムが発生したり、印字品質が低下することも抑制することができる。
【0036】
また、制御部6は、操作パネル4に装置状態や操作指示などの画面を表示させる。
【0037】
図4~
図6は、本実施形態のインクジェット記録装置1が備える操作パネル4に表示される画面の一例を示した図である。
【0038】
制御部6は、印刷状態に基づいて、操作パネル4に「どこから給紙しているか」を表示させる。
【0039】
例えば、
図4に示すように、「トレイ1またはトレイ2から給紙中です。」というメッセージが画面に表示される。
【0040】
このように、インクジェット記録装置1における給紙の状態情報を操作パネル4に表示させるので、センサや音の報知装置が必要なく製造コストを低減させることができる。
【0041】
また、
図5に示すように、操作パネル4に「トレイ1またはトレイ2から給紙中です。」というメッセージに加え、「給紙台に用紙をセットできます。」というメッセージを表示されている。
【0042】
このように、「どこから給紙しているか」だけでなく、「どのトレイに用紙を補充して良いか」を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは用紙を補充して良いトレイ(給紙台)が分かるため、トレイ開時の印刷停止、印刷不良の発生を低減することができる。
【0043】
また、
図6に示すように、操作パネル4に「トレイ1またはトレイ2から給紙中です。ジョブXXX印刷中に用紙がなくなる可能性があります。給紙台に用紙をセットしてください。」というメッセージを表示されている。
【0044】
このように、ジョブ中に用紙切れが発生する可能性がある場合、操作パネル4上に「補充を促すメッセージ」を表示するようにしてもよい。
【0045】
これにより、用紙の残量とジョブの印刷枚数から、用紙切れを判定し、用紙補充を促すことで、用紙切れを起こさせないようにすることができる。
【0046】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0047】
(付記1)
用紙を積載する複数の給紙台を備え、前記複数の給紙台のいずれかから前記用紙を給紙する給紙部と、
前記給紙部により給紙された用紙に印刷する印刷部と、
前記複数の給紙台のうち、前記給紙部が給紙していない給紙台が開放された場合に、前記印刷部の印刷速度を低下するように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0048】
これにより、印刷部が印刷中に用紙を補充しようとする際に補充に要する時間を確保できるため、使用中である給紙台が用紙切れになる前に、使用していない給紙台への用紙の補充を完了することができる。そのため、用紙切れにより装置が停止することを防止することができる。
【0049】
また、用紙補充作業による振動でジャムが発生したり、印字品質が低下することも抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 インクジェット記録装置
2 給紙部
3 印刷部
3a ベルト搬送部
3b インクジェットヘッド部
4 操作パネル
6 制御部
11 外部給紙台(給紙台)
11a,13a トレイセンサ
12 外部給紙ユニット
12a ベルト
13 内部給紙台(給紙台)
14 内部給紙ローラ
15 内部給紙搬送ローラ
16 レジストローラ