(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111630
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】伸展装置および安全装置
(51)【国際特許分類】
F16H 21/46 20060101AFI20220725BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20220725BHJP
A41D 13/015 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
F16H21/46
A41D13/05 125
A41D13/015
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007191
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】507212768
【氏名又は名称】株式会社三菱ケミカルホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】武田 行生
(72)【発明者】
【氏名】松尾 博史
(72)【発明者】
【氏名】山口 大介
(72)【発明者】
【氏名】大竹 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】日下 晴彦
【テーマコード(参考)】
3B011
3J062
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC04
3J062AA60
3J062AB28
3J062AC10
3J062BA40
3J062CB03
(57)【要約】
【課題】安全性確保の点で優れた伸展装置および安全装置を提供する。
【解決手段】伸展装置10は、伸展機構1と、駆動部2と、規制部3とを備える。伸展機構1は、回動可能に互いに連結された複数のセグメント13,14,16を有する。伸展機構1は、セグメント13,14,16同士の相対的な姿勢に応じて全体として伸長および収縮可能である。駆動部2は、セグメント13,14,16同士の相対的な姿勢を変化させることによって伸展機構1を伸長させる。規制部3は、伸展機構1が伸長した状態でセグメント13,14,16の変位を規制することによって伸展機構1の収縮を規制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動可能に互いに連結された複数のセグメントを有し、前記セグメント同士の相対的な姿勢に応じて全体として伸長および収縮可能な伸展機構と、
前記セグメント同士の相対的な姿勢を変化させることによって前記伸展機構を伸長させる駆動部と、
前記伸展機構が伸長した状態で前記セグメントの変位を規制することによって前記伸展機構の収縮を規制する規制部と、
を備える、伸展装置。
【請求項2】
流体の供給源をさらに備え、
前記駆動部は、前記供給源からの前記流体の供給により膨張することによって前記セグメント同士の相対的な姿勢を変化させる膨張部を備える、請求項1記載の伸展装置。
【請求項3】
回動可能に互いに連結された複数の前記セグメントは、
複数の第1セグメントと、
複数の第2セグメントと、
一端が前記第1セグメントに回動可能に連結され、他端が前記第2セグメントに回動可能に連結された複数の第3セグメントと、を含み、
前記第3セグメントは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントに対する回動によって、傾斜角度が異なる第1姿勢と第2姿勢とを切り替え可能であり、
複数の前記第1セグメントは、第1モジュールを構成し、
複数の前記第2セグメントは、第2モジュールを構成し、
前記第1モジュールから前記第2モジュールまでの、前記伸展機構の伸長および収縮方向の長さは、前記第3セグメントの姿勢を前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で切り替えることによって増減する、請求項1または2のうちいずれか1項に記載の伸展装置。
【請求項4】
前記伸展機構と、前記駆動部と、前記規制部とを含む伸展ユニットを複数備え、
複数の前記伸展ユニットは、前記伸展機構の伸長および収縮方向に連設されている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の伸展装置。
【請求項5】
前記伸展機構に加えられた収縮方向の荷重を緩衝する緩衝機構をさらに備える、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の伸展装置。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の伸展装置と、
前記伸展装置が取り付けられ、利用者に装着される装着具と、
前記装着具の動きを検出する運動センサと、
前記運動センサの検出結果に基づいて前記駆動部を稼働して前記伸展機構を伸長させる制御部と、
を備え、
前記伸展機構は、伸長したときに先端が被当接面に当たることによって前記装着具が前記被当接面に近づく方向に変位するのを規制する、安全装置。
【請求項7】
前記伸展装置を複数備え、
複数の前記伸展装置のうち少なくとも2つは、前記利用者の身体の軸を囲む方向に位置を違えて前記装着具に取り付けられている、請求項6に記載の安全装置。
【請求項8】
前記伸展機構が物体に接触するのを検知する接触センサをさらに備え、
前記制御部は、前記接触センサが前記物体との接触を検知したときに前記駆動部を停止して前記伸展機構の伸長を停止させる、請求項6または7記載の安全装置。
【請求項9】
複数の前記伸展装置のうち隣り合う前記伸展装置は、前記伸展装置同士の離間方向の移動を規制する1または複数の弾性連結部によって連結され、
前記弾性連結部は、弾性的に伸縮可能である、請求項7に記載の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸展装置および安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転倒によるけがを防ぐためには、利用者の身体に装着可能な予防具が有効である(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の予防具は、転倒時の衝撃を吸収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記予防具は、転倒時に利用者の身体が受けるダメージを軽減する効果の点で十分とはいえなかった。そのため、利用者の安全性確保の点で優れた装置が求められていた。
【0005】
本発明の一態様は、安全性確保の点で優れた伸展装置および安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の一態様は、以下の手段を提供する。
[1]回動可能に互いに連結された複数のセグメントを有し、前記セグメント同士の相対的な姿勢に応じて全体として伸長および収縮可能な伸展機構と、前記セグメント同士の相対的な姿勢を変化させることによって前記伸展機構を伸長させる駆動部と、前記伸展機構が伸長した状態で前記セグメントの変位を規制することによって前記伸展機構の収縮を規制する規制部と、を備える、伸展装置。
[2]流体の供給源をさらに備え、前記駆動部は、前記供給源からの前記流体の供給により膨張することによって前記セグメント同士の相対的な姿勢を変化させる膨張部を備える、[1]記載の伸展装置。
[3]回動可能に互いに連結された複数の前記セグメントは、複数の第1セグメントと、複数の第2セグメントと、一端が前記第1セグメントに回動可能に連結され、他端が前記第2セグメントに回動可能に連結された複数の第3セグメントと、を含み、前記第3セグメントは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントに対する回動によって、傾斜角度が異なる第1姿勢と第2姿勢とを切り替え可能であり、複数の前記第1セグメントは、第1モジュールを構成し、複数の前記第2セグメントは、第2モジュールを構成し、前記第1モジュールから前記第2モジュールまでの、前記伸展機構の伸長および収縮方向の長さは、前記第3セグメントの姿勢を前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で切り替えることによって増減する、[1]または[2]のうちいずれか1つに記載の伸展装置。
[4]前記伸展機構と、前記駆動部と、前記規制部とを含む伸展ユニットを複数備え、複数の前記伸展ユニットは、前記伸展機構の伸長および収縮方向に連設されている、[1]~[3]のうちいずれか1つに記載の伸展装置。
[5]前記伸展機構に加えられた収縮方向の荷重を緩衝する緩衝機構をさらに備える、[1]~[4]のうちいずれか1つに記載の伸展装置。
[6][1]~[5]のうちいずれか1つに記載の伸展装置と、前記伸展装置が取り付けられ、利用者に装着される装着具と、前記装着具の動きを検出する運動センサと、前記運動センサの検出結果に基づいて前記駆動部を稼働して前記伸展機構を伸長させる制御部と、を備え、前記伸展機構は、伸長したときに先端が被当接面に当たることによって前記装着具が前記被当接面に近づく方向に変位するのを規制する、安全装置。
[7]前記伸展装置を複数備え、複数の前記伸展装置のうち少なくとも2つは、前記利用者の身体の軸を囲む方向に位置を違えて前記装着具に取り付けられている、[6]に記載の安全装置。
[8]前記伸展機構が物体に接触するのを検知する接触センサをさらに備え、前記制御部は、前記接触センサが前記物体との接触を検知したときに前記駆動部を停止して前記伸展機構の伸長を停止させる、[6]または[7]記載の安全装置。
[9]複数の前記伸展装置のうち隣り合う前記伸展装置は、前記伸展装置同士の離間方向の移動を規制する1または複数の弾性連結部によって連結され、前記弾性連結部は、弾性的に伸縮可能である、[7]に記載の安全装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、安全性確保の点で優れた伸展装置および安全装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1実施形態の伸展装置の分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態の伸展装置の拡大斜視図である。
【
図8】(A)バンドの斜視図である。(B)留め具の斜視図である。
【
図9】第1実施形態の伸展装置の一部の斜視図である。
【
図16】第1実施形態の安全装置の使用例の模式図である。
【
図17】第1実施形態の安全装置の動作の例を示す模式図である。
【
図18】第2実施形態の安全装置の模式的な斜視図である。
【
図19】第2実施形態の安全装置の模式的な平面図である。
【
図20】第3実施形態の伸展装置の一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において例示される構成は一例である。本発明はそれらに限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0010】
[伸展装置](第1実施形態)
図1は、第1実施形態の伸展装置10の斜視図である。
図2は、伸展装置10の分解斜視図である。
図3は、第1モジュール11の平面図である。
図4は、伸展装置10の側面図である。
図5は、伸展装置10の拡大斜視図である。
図6は、駆動部2の平面図である。
図7は、第1結束バンド31の斜視図である。
図8(A)は、第1結束バンド31のバンド33の斜視図である。
図8(B)は、第1結束バンド31の止め具34の斜視図である。
【0011】
図1および
図2に示すように、伸展装置10は、伸展機構1と、複数の駆動部2(
図5および
図6参照)と、2つの結束バンド(規制部)3と、流体の供給源4とを備える。伸展機構1と、複数の駆動部2と、2つの結束バンド3とは、伸展ユニット5(
図1参照)を構成する。
なお、
図2では、駆動部2を図示していない。
【0012】
以下、
図1および
図4に即して各構成の位置関係を規定する。
図1および
図4に示すように、伸展装置10は、第1モジュール11を上に向け、第2モジュール12を下に向けた姿勢とされている。第1モジュール11および第2モジュール12は、水平な姿勢をとる。そのため、第1モジュール11および第2モジュール12の中心軸は上下方向に向く。第1モジュール11および第2モジュール12の中心軸の方向を「軸方向」という。ここで定めた位置関係は、伸展装置の使用時の姿勢を限定しない。
【0013】
図1および
図2に示すように、伸展機構1は、1つの第1モジュール11と、1つの第2モジュール12と、複数の連結体13と、を備える。
第1モジュールは「上部モジュール」ともいう。第2モジュールは「下部モジュール」ともいう。複数の連結体は「中間モジュール」または「第3モジュール」ともいう。
【0014】
伸展機構1の概略構成を説明する。
図2に示すように、第1モジュール11は、ヒンジ部15を介して連結された複数の第1セグメント14を備える。同様に、第2モジュール12は、ヒンジ部17を介して連結された複数の第2セグメント16を備える。
連結体13は、第1連結部22と、第2連結部23と、これらを繋ぐシャフト部21とを備える。連結体13は、第1モジュール11および第2モジュール12に連結される。複数の連結体13は、連結体13の集合体である第3モジュール(中間モジュール)18を構成する。
【0015】
伸展機構1の詳細な構成を説明する。
図1および
図2に示すように、第1モジュール11は、複数の第1セグメント14を備える。第1セグメント14は、例えば、矩形の板状とされている。第1セグメント14は、例えば、長方形の板状とされている。複数の第1セグメント14は、一列に並んで連結され、全体として帯状とされている。複数の第1セグメント14のうち隣り合う第1セグメント14は、長さ方向の端部同士がヒンジ部15を介して連結されている。ヒンジ部15の回動軸は、第1セグメント14の短手方向に沿う。第1セグメント14は、ヒンジ部15の回動軸の周りに回動可能である。この実施形態では、第1モジュール11は、12個の第1セグメント14を備える。第1セグメント14は、「セグメント」の一例である。
【0016】
図1~
図3に示すように、第1モジュール11は、ヒンジ部15を介して回動可能に連結されているため、リング状または渦巻き状の形態をとることができる。第1モジュール11は、一方の端部11aを含む長さ部分(第1領域)と、他方の端部11bを含む長さ部分(第2領域)とが第1セグメント14の厚さ方向から見て重なるように配置されることによって、渦巻き状の形態をとることができる。第1モジュール11は、第1領域と第2領域との重なり部分の長さが増減するように、その形態を調整することができる(
図3および
図10参照)。第1領域と第2領域との重なり部分の長さを増減させることによって、第1モジュール11の外径は増減する。
【0017】
図1~
図3に示す第1モジュール11において、第1領域と第2領域との重なり部分の長さは、1つの第1セグメント14の長さに満たない(
図3参照)。
図1~
図3に示す第1モジュール11の形態を「第1形態」という。第1形態では、第1モジュール11の外径はD1である(
図2参照)。
【0018】
第2モジュール12は、複数の第2セグメント16を備える。第2セグメント16は、例えば、矩形の板状とされている。第2セグメント16は、例えば、長方形の板状とされている。複数の第2セグメント16は、一列に並んで連結され、全体として帯状とされている。複数の第2セグメント16のうち隣り合う第2セグメント16は、長さ方向の端部同士がヒンジ部17を介して連結されている。ヒンジ部17の回動軸は、第2セグメント16の短手方向に沿う。第2セグメント16は、ヒンジ部17の回動軸の周りに回動可能である。この実施形態では、第2モジュール12は、12個の第2セグメント16を備える。第2セグメント16は、「セグメント」の一例である。
【0019】
図2に示すように、第2モジュール12は、ヒンジ部17を介して回動可能に連結されているため、リング状または渦巻き状の形態をとることができる。第2モジュール12は、一方の端部を含む長さ部分(第1領域)と、他方の端部を含む長さ部分(第2領域)とが第2セグメント16の厚さ方向から見て重なるように配置されることによって、渦巻き状の形態をとることができる。第2モジュール12は、第1領域と第2領域との重なり部分の長さが増減するように、その形態を調整することができる。第1領域と第2領域との重なり部分の長さを増減させることによって、第2モジュール12の外径は増減する。
【0020】
図2に示す第2モジュール12において、第1領域と第2領域との重なり部分の長さは、1つの第2セグメント16の長さに満たない。
図2に示す第2モジュール12の形態を「第1形態」という。第1形態では、第2モジュール12の外径はD1である。
第1セグメント14および第2セグメント16は、例えば、樹脂などで構成される。
【0021】
連結体13は、シャフト部21と、第1連結部22と、第2連結部23とを備える。
シャフト部21は、棒状とされている。
第1連結部22は、シャフト部21の一端部に設けられる。第1連結部22は、板状とされている。第1連結部22の端部は、ヒンジ部24を介して第1セグメント14の下縁に連結されている。ヒンジ部24の回動軸は、第1セグメント14の長手方向に沿う。第1連結部22は、第1セグメント14に対して、ヒンジ部24の回動軸の周りに回動可能である。そのため、連結体13の一端は、第1セグメント14に回動可能に連結されている。
【0022】
第2連結部23は、シャフト部21の他端部に設けられる。第2連結部23は、板状とされている。第2連結部23の端部は、ヒンジ部25を介して第2セグメント16の上縁に連結されている。ヒンジ部25の回動軸は、第2セグメント16の長手方向に沿う。第2連結部23は、第2セグメント16に対して、ヒンジ部25の回動軸の周りに回動可能である。そのため、連結体13の他端は、第2セグメント16に回動可能に連結されている。
シャフト部21は、例えば、金属などで構成される。第1連結部22および第2連結部23は、例えば、樹脂などで構成される。
【0023】
複数の連結体13の一端は、それぞれ異なる第1セグメント14に連結される。複数の連結体13の他端は、それぞれ異なる第2セグメント16に連結される。
連結体13は、「セグメント」および「第3セグメント」の一例である。
【0024】
図4に示すように、連結体13は、第1モジュール11および第2モジュール12の軸方向(
図4における上下方向)に対して傾斜した姿勢をとる。この連結体13の姿勢を「第1姿勢」という。
図4に示す伸展機構1の軸方向の長さをL1という。長さL1は、連結体13が第1姿勢にあるときの、第1モジュール11から第2モジュール12までの長さ(伸展機構1が伸長および収縮する方向の長さ)である。連結体13が第1姿勢にあるとき、伸展装置10は収縮状態にある。
【0025】
図5および
図6に示すように、駆動部2は、膨張部27と、供給路28と、筒体29とを備える。
膨張部27は袋体である。膨張部27は、例えば、重ね合わされた2枚の樹脂シートの周縁部を互いに接合することによって袋状に形成されている。膨張部27は、供給路28から流体が供給されると、内部圧力の上昇により体積が増大する。膨張部27は、供給路28を通して流体が排出されると、内部圧力の低下により体積が減少する。
【0026】
供給路28は、膨張部27に接続された管路である。供給路28は、供給源4(
図5参照)からの流体を膨張部27に供給する。供給路28は、膨張部27内の流体を排出することもできる。筒体29は、膨張部27に収容されている。筒体29には、連結体13のシャフト部21が挿通する。
【0027】
図1および
図2に示すように、2つの結束バンド3のうち一方を第1結束バンド31という。2つの結束バンド3のうち他方を第2結束バンド32という。
第1結束バンド31は、第1モジュール11の外面に取り付けられている。第1結束バンド31は、帯状のバンド33と、止め具34とを備える。
【0028】
図8(A)に示すように、バンド33は、基端33aに近い固定箇所33bにおいて、固定具35によって第1モジュール11の外面に固定されている。バンド33には、複数の係止歯部33cが形成されている。複数の係止歯部33cは、バンド33の長さ方向に並んで形成されている。
【0029】
図8(B)に示すように、止め具34は、枠部34aと、係止片34bとを備える。枠部34aは、矩形枠状に形成されている。枠部34aは、バンド33が挿通する挿通孔34cを有する。係止片34bは、枠部34aの内面に形成されている。係止片34bは、バンド33の係止歯部33c(
図8(A)参照)に係止可能である。
図7に示すように、バンド33は挿通孔34cに挿通する。係止片34b(
図8(B)参照)と係止歯部33c(
図8(A)参照)とが係止することによって、バンド33は止め具34に対して位置決めされる。
【0030】
図3に示すように、この実施形態では、止め具34は、12個の第1セグメント14のうち、一方の端部11aを含む第1セグメント14に設けられる。バンド33は、他方の端部11bを含む第1セグメント14から数えて4つめの第1セグメント14に固定されている。
バンド33の先端に近い箇所は、止め具34の挿通孔34cに挿通し、係止片34bに係止している。なお、第1形態では、バンド33は止め具34に係止していなくてもよい。
【0031】
図1および
図2に示すように、第2結束バンド32は、第2モジュール12の外面に取り付けられている。第2結束バンド32は、第1結束バンド31と同様の構成を有する。
【0032】
図1に示すように、供給源4は、供給路28を通して膨張部27に流体(気体または液体)を供給する。気体としては、空気、窒素、二酸化炭素などが使用できる。液体としては、各種機械油、シリコン油が使用できる。供給源4は、例えば、原料の燃焼によって気体を発生させてもよいし、複数の原料を混合し、それらの化学反応によって気体を発生させてもよい。供給源4は、気体を充てんした高圧容器から気体を供給できる構成であってもよい。流体としては、膨張部27への送入速度を考慮すれば、気体が好ましい。
【0033】
次に、伸展装置10の動作について説明する。
図1に示す伸展装置10では、第1モジュール11および第2モジュール12は、重なり部分の長さが短い第1形態をとる。第1モジュール11および第2モジュール12の外径は比較的大きい。
【0034】
図12は、収縮時の膨張部27の模式図である。
図13は、膨張時の膨張部27の模式図である。
図12に示すように、膨張部27が収縮しているときは、隣り合う連結体13の距離は小さい。連結体13は、第1姿勢(
図4参照)をとる。
【0035】
図13に示すように、供給源4(
図1参照)から供給路28を通して膨張部27に流体を供給すると、膨張部27は膨張する。これにより、隣り合う連結体13の距離が大きくなるとともに、連結体13は、第2姿勢に移行する。第2姿勢では、モジュール11,12の軸方向に対する連結体13の傾斜角度θ2は、第1姿勢における傾斜角度θ1(
図12参照)に比べて小さい。そのため、この操作によって、連結体13と、モジュール11,12との相対的な姿勢は変化する。このように、連結体13は、第1姿勢と第2姿勢とを切り替え可能である。
【0036】
図11に示すように、連結体13が第1姿勢から第2姿勢に移行すると、軸方向に対する連結体13の傾斜角度が小さくなるため、第1モジュール11は上昇する。そのため、伸展機構1の軸方向の長さL2は、連結体13が第1姿勢をとるときの伸展機構1の長さL1(
図4参照)に比べて大きくなる。よって、連結体13が第1姿勢から第2姿勢に移行することによって、伸展機構1は軸方向に伸長する。長さL2は、連結体13が第2姿勢にあるときの、第1モジュール11から第2モジュール12までの長さ(伸展機構1が伸長および収縮する方向の長さ)である。連結体13が第2姿勢にあるとき、伸展装置10は伸長状態にある。
このように、伸展機構1の軸方向の長さは、連結体13を第1姿勢と第2姿勢との間で切り替えることによって増減する。
【0037】
モジュール11,12と連結体13とは回動可能である。そのため、結束バンド3による動作規制がないと仮定すれば、伸展機構1は、連結体13の傾斜角度が大きくなることによって、
図4に示す形態に戻る。すなわち、伸展機構1は、軸方向に収縮することもできる。
【0038】
図9は、伸展装置10の一部の斜視図である。
図10は、第1モジュール11の平面図である。
図9に示すように、連結体13の傾斜角度が小さくなることによって、軸方向から見た連結体13の寸法は小さくなる。そのため、モジュール11,12の外径は、第1形態における外径D1(
図2参照)より小さい外径D2となる。モジュール11,12は、第1形態に比べて、第1領域と第2領域との重なり部分の長さが長くなる(
図10参照)。
図9に示すモジュール11,12において、この重なり部分の長さは、1つのセグメント14,16の長さより長くなる。
図9に示すモジュール11,12の形態を「第2形態」という。
【0039】
図10に示すように、第1モジュール11の外径が小さくなると、バンド33は止め具34の挿通孔34cに対して進行し、係止歯部33c(
図8(A)参照)は、第1形態に比べて基端33aに近い位置で係止片34b(
図8(B)参照)に係止する。第1結束バンド31は、バンド33が止め具34に係止することによって、第1モジュール11の外径が大きくなる方向の変位を規制する。すなわち、第1結束バンド31は、第2形態の第1モジュール11が第1形態に戻るのを規制する。
【0040】
図9に示すように、第2結束バンド32においても、バンド33は止め具34の挿通孔34cに対して進行し、係止歯部33c(
図8(A)参照)は、第1形態に比べて基端33aに近い位置で係止片34b(
図8(B)参照)に係止する。第2結束バンド32は、バンド33が止め具34に係止することによって、第2モジュール12の外径が大きくなる方向の変位を規制する。すなわち、第2結束バンド32は、第2形態の第2モジュール12が第1形態に戻るのを規制する。
【0041】
第1結束バンド31および第2結束バンド32は、モジュール11,12が第2形態(
図11参照)から第1形態(
図4参照)に移行するのを規制することによって、伸展機構1の長さ方向の収縮を規制する。
【0042】
[伸展装置](第2実施形態)
図14は、第2実施形態の伸展装置20の側面図である。
図14に示すように、伸展装置20は、複数の伸展ユニット45と、伸展ユニット5(
図1参照)と、供給源4とを備える。複数の伸展ユニット45,5は、伸展機構41,1の伸長および収縮方向(モジュール11,12の軸方向)に連設されている。
伸展ユニット45は、伸展機構41と、駆動部2と、結束バンド3とを備える。伸展機構41は、第1モジュール11と、複数の連結体13とを備える。
【0043】
伸展装置20は、複数の伸展ユニット45,5を備えるため、伸長状態における伸展装置20の軸方向の長さは、第1実施形態の伸展装置10(
図4参照)に比べて長い。
【0044】
[安全装置](第1実施形態)
図15は、第1実施形態の安全装置100の斜視図である。
図16は、安全装置100の使用例の模式図である。
【0045】
図15に示すように、安全装置100は、複数の伸展装置20(
図14参照)と、装着具101と、運動センサ102と、制御部103と、複数の弾性連結部104(
図17(D)参照)とを備える。
【0046】
装着具101は、ベルト111と、止め具112と、を備える。ベルト111の一端部111aは、止め具112に取り付けられている。ベルト111の一方の面(第1面111c)には、係止部113と、被係止部114とが設けられている。係止部113は、第1面111cのうち他端部111bを含む部分に設けられている。係止部113は、例えば、オス型の面ファスナーである。被係止部114は、第1面111cのうち、係止部113に比べて他端部111bから離れた位置に設けられている。被係止部114は、例えば、メス型の面ファスナーである。係止部113は、被係止部114に着脱自在に係止する。
【0047】
図16に示すように、装着具101は、利用者Uの身体に装着することができる。装着具101は、例えば、利用者Uの体幹(例えば、胴部)に装着することができる。装着具101は、利用者Uの身体に対し、装着箇所における身体の軸を囲む方向に巻き付けることができる。装着具101は、例えば、胴部を包囲するように装着することができる。装着具101は、装着された状態では、利用者Uの身体を囲む環状となっている。「体幹」は、身体のうち胸部、胴部および臀部を含む部分である。「身体の軸」とは、胸部から臀部にかけて体幹の中心を通る軸である。
【0048】
図15に示すように、ベルト111は、止め具112の開口に挿通して折り返されている。装着具101は、ベルト111を利用者に巻き付けた状態で係止部113を被係止部114に係止させることによって、利用者の身体に装着される。装着具101の長さは、被係止部114に対する係止部113の止め位置によって調整することができる。
【0049】
運動センサ102は、例えば、装着具101に取り付けられている。運動センサ102は、例えば、装着具101の運動を検出する。運動とは、例えば、速度、加速度、角速度、角加速度のうち1または2以上である。運動センサ102は、例えば、装着具101が基準軸121(
図16参照)の周りに変位する際の角速度と、装着具101の加速度とを検出するのが好ましい。
【0050】
基準軸121は、環状の装着具101の中心軸に対して交差する(例えば、装着具101の中心軸と直交する)軸である。基準軸121は、例えば、装着具101を体幹(例えば、胴部)に装着した利用者Uの身体の軸に対して交差する(例えば、身体の軸と直交する)。基準軸121は、装着具101を体幹に装着した利用者Uにとっては、例えば、前後方向、左右方向などに沿う軸である。
図16に示す基準軸121は、利用者Uの前後方向に沿う。
なお、この実施形態では、運動センサ102を使用するが、運動センサ102に代えて、装着具101の、鉛直方向に対する傾きを検知する傾きセンサを使用してもよい。
【0051】
図15に示すように、制御部103は、運動センサ102の検出結果に基づいて伸展装置20の駆動部2(
図1参照)を稼働し、伸展機構を伸長させる。制御部103は、例えば、運動センサ102によって検出された角速度と加速度が、予め定められた設定値以上となったときに、供給源4から膨張部27に流体を供給し、膨張部27を膨張させる(
図5参照)。これにより、伸展機構は伸長する。
【0052】
複数の伸展装置20は、装着具101の周方向に位置を違えて装着具101の外面に取り付けられている。複数の伸展装置20は、装着具101の周方向に間隔をおいて設けられていることが好ましい。これにより、複数の伸展装置20は、利用者Uの身体の軸を囲む方向に位置を違えて配置される。複数の伸展装置20は、これらのうち少なくとも2つが装着具101の長さ方向に位置を違えて装着具101に取り付けられていればよい。
【0053】
弾性連結部104(
図17(D)参照)は、装着具101の周方向に隣り合う伸展装置20を互いに連結するように設けられている。弾性連結部104は、ひも状の弾性体である。弾性連結部104は、例えば、ゴムなどで構成される。弾性連結部104は、長さ方向に弾性的に伸縮可能である。隣り合う伸展装置20は、複数の弾性連結部104によって連結される。これら複数の弾性連結部104は、伸展装置20の長さ方向に位置を違えて設けられている。
【0054】
弾性連結部104は、複数の伸展装置20が互いに離れる方向(伸展装置同士の離間方向)の移動を規制する。そのため、伸展装置20は、先端が被当接面Gに近づく方向に向けられる。伸展装置20の先端は、例えば、斜め下方に向けられる(
図17(C)および
図17(D)参照)。なお、弾性連結部104の数は、複数に限らず、1でもよい。
【0055】
図17(A)~
図17(D)は、安全装置100の動作の例を示す模式図である。
図17(A)に示すように、利用者Uは、胴部に安全装置100を装着している。利用者Uが通常の姿勢をとるときには、伸展装置20(
図14参照)は収縮状態にある。
図17(A)では、利用者Uの身体の軸は、ほぼ鉛直方向に沿う。被当接面Gは、例えば、利用者Uが立つ地面である。
【0056】
図17(B)に示すように、利用者Uの姿勢が傾いた場合、利用者Uの身体の軸が傾くとともに、装着具101も傾く。この際、装着具101の、基準軸121(
図16参照)の周りの角速度と加速度が設定値以上となると、運動センサ102は、検出信号を制御部103に送信する。制御部103は、供給源4に駆動信号を送信する。
なお、運動センサ102に代えて傾きセンサ(図示略)を用いる場合には、鉛直方向に対する装着具101の傾きが設定値以上となったときに、制御部103は、供給源4に駆動信号を送信する。
【0057】
図17(C)に示すように、供給源4は、膨張部27に流体を供給し、膨張部27を膨張させる。これにより、伸展装置20は、被当接面Gに近づく方向(例えば、斜め下方)に伸長する。
【0058】
図17(D)に示すように、伸展装置20は伸長し、その先端が被当接面Gに当たる。結束バンド31,32は、伸長状態の伸展機構の収縮を規制する(
図9参照)。そのため、伸展装置20は、装着具101が被当接面Gに近づく方向に変位するのを規制する。これにより、利用者Uは、被当接面Gに近づく方向の移動が規制される。したがって、利用者Uは、転倒しにくくなる。利用者Uが転倒した場合でも、伸展装置20によって利用者Uの身体の落下スピードが抑えられるため、利用者Uが被当接面Gから受ける衝撃は小さくなる。
【0059】
[伸展装置および安全装置が奏する効果]
伸展装置20は、伸長および収縮可能な伸展機構と、伸展機構を伸長させる駆動部2と、伸展機構の収縮を規制する結束バンド31,32とを備える。そのため、安全装置100を装着した利用者Uは、転倒しにくくなる。利用者Uが転倒した場合でも、利用者Uが被当接面Gから受ける衝撃を小さくできる。よって、利用者Uの安全性を高めることができる。
【0060】
伸展装置20の駆動部2は、流体により膨張することによって、連結体13(
図1参照)とモジュール11,12との相対的な姿勢を変化させる膨張部27を備える。そのため、利用者Uの姿勢が傾いたときに、直ちに膨張部27を膨張させ、伸展装置20を伸長させることができる。したがって、利用者Uの姿勢が傾いてから短時間で伸展装置20を伸長させることができる。よって、利用者Uの安全性を高めることができる。
【0061】
伸展機構を構成するモジュール11,12および連結体13は、第1姿勢(
図4参照)と、第1姿勢に比べて連結体13の傾斜角度が小さい第2姿勢(
図11参照)と、を切り替え可能である。そのため、伸展機構の構造を簡略にすることができる。よって、伸展機構の小型化、軽量化、低コスト化などに有利となる。
【0062】
伸展ユニットを複数備える伸展装置20(
図14参照)は、伸長状態において十分な長さを確保できる。そのため、伸展装置20を被当接面Gに到達させ、利用者Uの安全性を高めることができる。
【0063】
安全装置100は、複数の伸展装置20と、装着具101と、運動センサ102と、制御部103とを備えるため、安全装置100を装着した利用者Uは、被当接面Gに近づく方向に変位しにくくなる。したがって、利用者Uは、転倒しにくくなる。利用者Uが転倒した場合でも、利用者Uが被当接面Gから受ける衝撃を小さくできる。よって、利用者Uの安全性を高めることができる。
【0064】
安全装置100は、利用者Uの身体の軸を囲む方向に位置を違えて設けられた複数の伸展装置20を備えるため、複数の方向の利用者Uの転倒に対応できる。よって、利用者Uの安全性を高めることができる。
【0065】
安全装置100は、隣り合う伸展装置20が弾性連結部104で連結されているため、伸展装置20を被当接面Gに向かって伸長させることができる。そのため、伸展装置20の先端を被当接面Gに到達させ、利用者Uの安全性を高めることができる。
【0066】
[安全装置](第2実施形態)
図18は、第2実施形態の安全装置200の模式的な斜視図である。
図19は、安全装置200の模式的な平面図である。
図18に示すように、安全装置200は、複数の接触センサ201を備えている点で、第1実施形態の安全装置100(
図15参照)と異なる。
接触センサ201は、物体202との接触を検知することができる。接触センサ201としては、例えば、圧力センサ、3軸方位センサ、タクトスイッチなどが使用できる。接触センサ201は、複数の伸展装置20の先端部にそれぞれ設けられている。
【0067】
制御部103(
図15参照)は、接触センサ201が物体との接触を検知したときに、駆動部2(
図1参照)を停止して伸展機構の伸長を停止させる。
【0068】
図18および
図19に示すように、利用者Uの周囲に物体202がある場合を想定する。伸展装置20が伸長し、物体202に当たると、接触センサ201は、検出信号を制御部103に送信する。制御部103は、供給源4に停止信号を送信する。これにより、供給源4から膨張部27への流体の供給は停止し、駆動部2(
図1参照)は停止する。そのため、伸展機構の伸長は停止する。伸展装置20の伸長が停止するため、物体202が伸展装置20に押されて倒れるなどの事故は起こりにくい。
【0069】
[伸展装置](第3実施形態)
図20は、第3実施形態の伸展装置410を示す模式図である。
伸展装置410は、結束バンド431,432に、緩衝部(緩衝機構)434が設けられている点で、
図1に示す伸展装置10と異なる。緩衝部434が設けられた結束バンド431,432を、それぞれ結束バンドユニット431A,432Aという。
【0070】
緩衝部434は、結束バンドユニット431A,432Aのバンド433に連結して形成されている。緩衝部434は、帯状の弾性体である。緩衝部434は、例えば、ゴムなどによって構成される。緩衝部434は、バンド433の長さ方向に弾性的に伸縮可能である。
【0071】
結束バンドユニット431A,432Aは、第1実施形態の伸展装置10における結束バンド31,32と同様に、モジュール11,12が第2形態から第1形態に戻るのを規制する。そのため、伸長状態の伸展装置410に収縮方向の荷重が加えられた場合、伸展装置410が長さ方向に収縮するのを規制する。
【0072】
結束バンドユニット431A,432Aに、伸縮可能な緩衝部434が設けられているため、伸展装置410は、収縮方向の荷重が加えられると、緩衝部434が弾性的に伸びることによって、わずかに収縮可能である。そのため、この荷重を緩衝することができる。
【0073】
利用者が転倒しそうになると、伸展装置410が伸長してその先端が被当接面に当接し、伸展装置410に収縮方向の荷重が加えられる。この際、伸展装置410の基端部は、利用者に突き当て力を作用させる可能性がある。伸展装置410は、荷重を緩衝する緩衝部434を備えるため、利用者に作用する突き当て力を緩和することができる。よって、安全性を高めることができる。
【0074】
緩衝機構は、緩衝部434に限らない。例えば、緩衝機構は、伸展機構1の伸長および収縮方向に伸展ユニット5が連設された伸展装置において、隣り合う伸展ユニット5の間に設けられた弾性体であってもよい。この伸展装置は、弾性体を備えるため、収縮方向の荷重が加えられた場合、わずかに収縮可能である。そのため、収縮方向の荷重を緩衝することができる。よって、利用者に作用する突き当て力を緩和し、安全性を高めることができる。
【0075】
図21は、伸展機構の他の例である伸展機構301を示す模式図である。
伸展機構301は、セグメントユニット302を複数備える。セグメントユニット302は、第1セグメント314と、第2セグメント316とを備える。第1セグメント314および第2セグメント316は、長板状とされている。第1セグメント314と、第2セグメント316とは、長さ方向の中央においてヒンジ部315を介して連結されている。第1セグメント314および第2セグメント316は、ヒンジ部315の回動軸の周りに回動可能である。
【0076】
複数のセグメントユニット302は、連なって連結されている。隣り合うセグメントユニット302の第1セグメント314と第2セグメント316とは、ヒンジ部317を介して回動可能に連結されている。
伸展機構301は、第1セグメント314と第2セグメント316との相対的な姿勢に応じて全体として伸長および収縮可能である。
【0077】
伸展機構301は、構造が簡略であるため、小型化および軽量化が可能である。
【0078】
本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、伸展装置の用途は、
図15に示す安全装置に限定されない。伸展機構は、小さな入力動作により大きく伸長することに利点がある。そのため、伸展装置は、状況に対応して高速で動作することが要求される用途、例えば、防護柵、安全フェンス、自動開閉扉、緊急停止装置などに適用することができる。
【0079】
図1に示す伸展装置10は、1つの伸展機構1と、複数の駆動部2と、2つの結束バンド3と、1つの供給源4とを備えるが、これらの構成要素の数は特に限定されない。伸展機構の数は1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。駆動部の数は1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。結束バンドの数は1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。供給源の数は1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。駆動部2は、モータ等でもよい。
図15に示す安全装置100が備える伸展装置20の数は複数であるが、安全装置が備える伸展装置の数は複数に限らず、1でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1,41,301…伸展機構、2…駆動部、3…結束バンド(規制部)、4…供給源、5,45…伸展ユニット、10,20,410…伸展装置、11…第1モジュール、12…第2モジュール、13…連結体(セグメント、第3セグメント)、14…第1セグメント(セグメント)、16…第2セグメント(セグメント)、27…膨張部、31,431…第1結束バンド(規制部)、32,432…第2結束バンド(規制部)、101…装着具、102…運動センサ、103…制御部、104…弾性連結部、201…接触センサ、434…緩衝部(緩衝機構)、G…被当接面。