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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111698
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20220725BHJP
   F24F 6/16 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
F24F6/00 H
F24F6/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007303
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 長
(72)【発明者】
【氏名】宮島 晃
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BB03
3L055DA04
(57)【要約】
【課題】 オーバーフロー管に発生する笛吹音を防止すると共に、バイオフィルム発生の抑制する加湿装置を提供する。
【解決手段】 オーバーフロー管61の排水経路に絞り機構62を配置することにより、オーバーフロー発生時の排水流量を確保しつつ、流通する空気の風速を低くし、排水パイプ64の出口側における笛吹音の発生を防止することができる。更に、絞り機構62を継手63の直近に配置することにより、貯水室8の排水に伴う熱で絞り機構62に発生するバイオフィルムを抑制することができる。

【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、当該器具本体内に設置され空気を送風する送風ファンと、前記器具本体外の空気を吸入する吸入口と、当該吸入口を通過した空気が流通する送風経路と、当該送風経路内の空気が流入する貯水室流入口が形成され水を貯水する貯水室と、当該貯水室内の水からミストを発生させるミスト発生手段と、前記貯水室の壁面と接続し所定水位を超えた水を排水するオーバーフロー管とを備え、
当該オーバーフロー管の内径を小さくする絞り機構を当該オーバーフロー管の任意の位置に配置したことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記貯水室の水を加熱する加熱ヒータと、前記貯水室の底部と接続し前記貯水室の水を外部へ排水する排水管と、当該排水管に前記貯水室の水を当該排水管へ流通させるかの有無を切り替える排水弁と、前記排水管の当該排水弁より下流側に前記オーバーフロー管と前記排水管を接続する継手とを備え、前記絞り機構を当該継手の直近に配置することを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記ミスト発生手段は、前記貯水室内の水を回転により汲み上げて外周方向へ飛散させる回転体と、当該回転体を回転可能となるように軸支した駆動軸と接続するミストモータと、前記回転体により飛散した水が衝突する衝突体とで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミストを含む加湿空気を室内へ供給する加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、器具本体内に水を貯める貯水室と、当該貯水室に設置され加湿空気を発生させる加湿空気発生手段と、当該加湿空気発生手段で発生した加湿空気を送風口から室内へ送風する送風ファンと、貯水室へ水を供給する給水管途中に給水ポンプを備えた加湿装置において、貯水室に設置された水位センサが何らかの原因により故障して満水検知ができなかった時、給水ポンプが駆動し続けて貯水室への給水が停止せずとも、貯水室の壁面に貯水室内の水を排水するオーバーフロー管の接続口を形成し、万一水位センサが故障してもオーバーフロー管を介して排水可能な構造にすることで、貯水室から水が溢れ出す事態を防止するものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-165581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、送風ファンが駆動すると貯水室に接続されたオーバーフロー管内へ空気が流入し、オーバーフロー管の先端出口から空気が出る際に笛吹音が発生し、使用者が不快な思いをする虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、器具本体と、当該器具本体内に設置され空気を送風する送風ファンと、前記器具本体外の空気を吸入する吸入口と、当該吸入口を通過した空気が流通する送風経路と、当該送風経路内の空気が流入する貯水室流入口が形成され水を貯水する貯水室と、当該貯水室内の水からミストを発生させるミスト発生手段と、前記貯水室の壁面と接続し所定水位を超えた水を排水するオーバーフロー管とを備え、当該オーバーフロー管の内径を小さくする絞り機構を当該オーバーフロー管の任意の位置に配置したことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2では、前記貯水室の水を加熱する加熱ヒータと、前記貯水室の底部と接続し前記貯水室の水を外部へ排水する排水管と、当該排水管に前記貯水室の水を当該排水管へ流通させるかの有無を切り替える排水弁と、前記排水管の当該排水弁より下流側に前記オーバーフロー管と前記排水管を接続する継手とを備え、前記絞り機構を当該継手の直近に配置することを特徴としている。
【0007】
また、請求項3では、前記ミスト発生手段は、前記貯水室内の水を回転により汲み上げて外周方向へ飛散させる回転体と、当該回転体を回転可能となるように軸支した駆動軸と接続するミストモータと、前記回転体により飛散した水が衝突する衝突体とで構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、オーバーフロー管の内径を小さくする絞り機構を設けたので、オーバーフロー管の先端出口を通過する空気の風速を低下させることができ、笛吹音の発生を防止することができる。
【0009】
また、貯水室と接続し貯水を排水する排水管とオーバーフロー管とを接続する継手を設けると共に、前記絞り機構を当該継手の直近に配置したので、加熱ヒーターで加熱された貯水が継手を通過しながら排水することで、継手の直近にある絞り機構が排水に伴う熱により熱せられるため、絞り機構に発生するバイオフィルムを抑制することができる。
【0010】
また、ミスト発生手段は、貯水室内の水を回転により汲み上げて外周方向へ飛散させる回転体と、当該回転体を回転可能となるように軸支した駆動軸と接続するミストモータと、回転体により飛散した水が衝突することで微細ミスト及び大径ミストを発生させる衝突体とで構成されているので、貯水室内の水を回転体で汲み上げて衝突体に衝突させる簡易な構成によってミストを含む加湿空気を多量に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態の外観を説明する斜視図
図2】同実施形態の概略構成図
図3】同実施形態の制御ブロック図
図4】同実施形態の操作部を説明する図
図5】同実施形態の運転開始から終了までの動作を説明するフローチャート
図6】同実施形態の器具本体内における空気の流通経路を説明する斜視図
図7】同実施形態のオーバーフロー管における空気の流通経路を説明する部分拡大図
図8】同実施形態の絞り機構及び継手の構造を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明の一実施形態における加湿装置を図に基づいて説明する。
【0013】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、図1図2、及び図6から図8における定義に従う。また、上下方向は、器具本体1の設置時における鉛直方向に対応する。前後方向及び左右方向は、器具本体1の設置時における水平方向に対応する。
【0014】
1は器具本体、2は器具本体1上部に器具本体1の前面と平行な位置関係となるように形成され複数のルーバー3が設置された送風口、4は器具本体1の正面上部を構成する上面パネル、5は器具本体1の正面下部を構成する下面パネル、6は複数のスイッチが備えられ各種操作指令を行う操作部、7は図示しないブレーカーを隠すブレーカーカバーである。
【0015】
8は器具本体1内の略中段高さ位置にあって所定量の水を貯水する貯水室であり、この貯水室8内には、水に下端を水没させ駆動軸9に軸支された筒状の回転体10が備えられている。
【0016】
前記回転体10は、中空逆円錐形で上方に向かって円周が徐々に拡大するものであり、駆動軸9に接続され回転体10を回転駆動させるミストモータ11を駆動させ、回転体10が回転することによる回転の遠心力で貯水室8の水を汲み上げ、回転体10の外壁及び内壁を伝わせて水を押し上げて、回転体10の外壁を伝わせて押し上げた水を周囲に飛散させると共に、回転体10の内壁を伝わせて押し上げた水を回転体10の上端に形成された複数の図示しない飛散口から外周方向へ飛散させる。
【0017】
12は回転体10の上部外周に所定間隔を離間させて位置し、回転体10と共に回転する円筒状の多孔体で、該多孔体12には、その全周壁に多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る衝突体としての多孔部13が設置されている。また、回転体10とミストモータ11と多孔部13とでミスト発生手段が構成されており、簡易な構成によってミストを含む加湿空気を多量に発生させることができ、ミストモータ11と駆動軸9を組み付けるだけであることから、組み付けが容易で低コストとなっている。
【0018】
前記ミスト発生部を構成するミストモータ11を駆動させ、回転体10を回転させたことで発生する遠心力で貯水室8内の水を汲み上げると共に空気を飛散させ、多孔部13を通過した水滴が破砕されることで、水を微細化して粒径がナノメートル(nm)サイズのミスト(以下、微細ミスト)が多量に生成されると共に、比較的粒径の大きな水滴(以下、大径ミスト)とが生成され、水の微細化によるレナード効果によって微細ミストに負イオンが帯電し、大径ミストに正イオンが帯電した状態となる。
【0019】
14は下面パネル5内に設置され所定の回転数で駆動することで室内の乾燥空気を吸引して器具本体1の上方向へ送風する送風ファン、15は当該送風ファン14で送風された空気を貯水室8の上部の一端(右側)に形成されミストモータ11の側面を通過して貯水室8内へ空気が流入可能な貯水室流入口16まで案内する送風経路であり、器具本体1の下部から吸い込まれた乾燥空気が前記送風経路15を通過して器具本体1の上部へ案内され、貯水室8内へ流入する。
【0020】
17は貯水室8の上方の他端(左側)に流路が鉛直上向きとなるよう接続され貯水室8内で発生した微細ミスト及び大径ミストを含む加湿空気が内部を流通する気水分離風路、18は当該気水分離風路17内の途中に複数設置され鉛直上方へ傾斜する傾斜面を備えた気水分離手段としてのバッフル板である。バッフル板18は、気水分離風路17内の上段に設置されたバッフル板18a、中段に設置されたバッフル板18b、下段に設置されたバッフル板18cで構成されている。
気水分離風路17内に加湿空気が流入すると、各バッフル板18を蛇行するように加湿空気が流通することで加湿空気中の大径ミストが傾斜面により分離され、分離された大径ミストが集まると重力の影響で傾斜面に沿ってバッフル板18の下端まで流動して貯水室8へ落下するため、送風口2へ案内される大径ミストの量を減少させると共に、微細ミストを多く含んだ加湿空気を送風口2へ案内する。
【0021】
19は貯水室8内に設置され貯水を加熱する加熱ヒータであり、貯水室8の外壁に設置され貯水温度を検知する貯水温度センサ20で検知される温度が所定温度となるよう、ON/OFF状態が適宜切り替えられる。
【0022】
21は貯水室8内に設置されフロートが上下することで水位を検知する水位センサであり、貯水室8内の水位が低下して所定水位以下になったらOFF信号を出力し、水位が上昇して所定水位以上になったらON信号を出力し、更に水位が上昇して貯水室8内が満水となったら満水信号を出力する。
【0023】
22は貯水室8側面に接続され貯水室8内に水を供給する給水管であり、該給水管22の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室8内への給水を制御する給水弁23と、給水圧を所定値まで減圧する減圧弁24とが備えられている。
【0024】
25は貯水室8底部に接続され貯水室8内の水を器具本体1外部に排水する排水管であり、当該排水管25の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室8内の水の排水を制御する排水切り替え手段としての排水弁26が備えられている。
【0025】
27は送風口2の上壁面に設置され送風口2から室内へ向けて送風される加湿空気の温度を検知する送風温度センサ、28は送風ファン14の近傍に設置され器具本体1の下部から吸い込まれた室内空気の温度を検知する吸気温度センサ、29は前記吸気温度センサ28の近傍に設置され器具本体1が設置された室内の湿度を検知する湿度センサであり、各センサで検知された温度や湿度に基づいて、ミストモータ11や送風ファン14の回転数を変化させ、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替える。
【0026】
操作部6には、ミスト運転の開始及び停止を指示する運転切り替え手段としての運転スイッチ30と、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替えることで貯水室8内の貯水温度を変化させ、送風口2から室内に送風される加湿空気に含有可能な水分量の割合を変化させた3段階の加湿レベルと、湿度センサ29で検知された湿度が予め設定された湿度となるよう前記加湿レベルを変化させるオートモードとから選択可能な加湿スイッチ31と、ミストモータ11と送風ファン14との回転数の大小を設定可能な三段階の風量レベルと、湿度センサ29で設定された湿度が予め設定された湿度となるよう前記風量レベルを変化させるオートモードとから選択可能な風量スイッチ32と、加湿空気を室内に供給するミスト運転の開始時間と停止時間とを設定するタイマー切替スイッチ33と、前記風量スイッチ32で設定された風量で送風ファン14のみを駆動させ室内の空気清浄を行う空清モードを実施する空清スイッチ34と、現在時刻を設定する時刻設定スイッチ35と、スイッチを操作することで運転停止以外の動作を禁止するチャイルドロックスイッチ36とが備えられている。
【0027】
また、操作部6の各スイッチ上部には各スイッチに対応したランプが備えられており、運転スイッチ30が操作されたら点灯する運転ランプ37と、ミスト運転が所定時間以上継続したら開始する除菌運転時に点灯する除菌ランプ38と、加湿スイッチ31で設定された加湿レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する加湿レベルランプ39と、風量スイッチ32で設定された風量レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する風量レベルランプ40と、タイマー切替スイッチ33でミスト運転の開始及び停止が設定されたら、それぞれのランプが点灯するタイマーランプ41と、空清スイッチ34が操作され空清モードが設定されたら点灯する空清モードランプ42と、時刻設定スイッチ35で設定された現在時刻を表示する時刻表示パネル43と、チャイルドロックスイッチ36が操作されたら点灯するチャイルドロックランプ44とが備えられている。
【0028】
45は各センサで検知された検知値や操作部6上に備えられた各スイッチでの設定内容に基づき、運転内容や弁の開閉を制御するマイコンで構成された制御部であり、ミストモータ11を所定の回転数で駆動させるミストモータ制御手段46と、送風ファン14を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段47と、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替えて貯水室8内の水温を制御する加熱ヒータ制御手段48とが備えられている。
【0029】
49は器具本体1の前面下方に形成され室内空気を器具本体1内に取り込む吸気口である。
【0030】
51は気水分離風路17の壁面を貫通し送風経路15から分岐して貯水室8をバイパスするバイパス経路50を流通する空気が流入可能なバイパス流入口である。当該バイパス流入口51は、送風口2に最も近い位置にある気水分離風路17内の最上段に設置されたバッフル板18aの上方へ傾斜した傾斜面と対向し、かつ気水分離風路17の壁面を貫通するように形成されており、バイパス流入口51から気水分離風路17内へ空気が流入することで、貯水室8から上昇してきた加湿空気の風量を増大させ、送風口2から室内へ送風される加湿空気の送風量を上昇させることができる。
【0031】
61は一端が貯水室8の壁面と接続されたオーバーフロー管であり、万一水位センサ21が故障して満水検知ができず、給水管22からの給水が停止されずに貯水室8の水位が異常に上昇しても、オーバーフロー管61を介して貯水室8内の水を排水することができる。
オーバーフロー管61の他端には、オーバーフロー管61の内径を小さくし、流路を縮小する絞り機構62が接続される。なお、本実施形態における絞り機構62は、図8に示すように、内径を小さく(縮管)した後、再び内径を大きく(拡管)するオリフィス構造となっている。
【0032】
63は配管を接合するため三方向分岐でT型の形状をしたティーズ等の継手である。当該継手63は、排水弁26が設置された排水管25aと、絞り機構62が設置されたオーバーフロー管61と、排水管25a及びオーバーフロー管61からの水を器具本体1外部へ排水するための排水管25bと、が接続される。
【0033】
64は排水管25bと接続され、硬質塩化ビニル管やフレキシブル配管で構成された排水パイプである。排水パイプ64は、排水管25bからの水を排水するため器具本体1の外部に設置された排水ホッパー65へ導く。排水パイプ64の出口側は、排水ホッパー65と直結すると排水が逆流する虞があるため排水ホッパー65とは直結せず、間接排水としている。
【0034】
次に、この一実施形態での運転開始から終了までの動作について図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操作部6の運転スイッチ30が操作されたか、もしくはタイマー切替スイッチ33で設定された運転開始時刻になったら、制御部45は、排水弁26を開放して貯水室8内の水を排水し、水位センサ21でOFF信号が検知されたら、給水弁23を開放して貯水室8内を水で洗い流すクリーニング動作を行い、所定時間経過したら排水弁26を閉止することで給水弁23から流入する水を貯水室8内に供給し、水位センサ21でON信号が検知されたら、所定量の水が貯水室8内に供給されたとして給水弁23を閉止する水入替モードを行う(ステップS101)。
【0035】
ステップS101の水入替モードが終了したら、制御部45は、貯水温度センサ20で検知される貯水温度が室温と同値になるまで加熱ヒータ制御手段48で加熱ヒータ19をON状態にして、ミストモータ11及び送風ファン14が所定の回転数となるようミストモータ制御手段46及び送風ファン制御手段47で制御する立ち上げ動作を実行する立ち上げモードを行う(ステップS102)。
【0036】
ステップS102の立ち上げモードが終了したら、制御部45は、加湿スイッチ31及び風量スイッチ32で設定された加湿レベルと風量レベルとに基づいて、ミストモータ11と送風ファン14とが所定の回転数で駆動するようミストモータ制御手段46と送風ファン制御手段47とで回転数を制御し、加熱ヒータ19のON/OFF状態を加熱ヒータ制御手段48で切り替えて制御して、加湿レベルと風量レベルとに合わせた所定の温度範囲内にするミスト運転を実行する通常運転モードを行う(ステップS103)。
【0037】
ステップS103の通常運転モード中に運転スイッチ30が操作され運転終了の指示があったと判断したら、制御部45は、ミストモータ11を停止させてから排水弁26を開弁して貯水室8内の水を排水し、所定時間経過したら給水弁23を開放して貯水室8内を洗浄してから排水弁26を閉止して貯水室8内に所定量だけ貯水する水入替運転を行い、その後、加熱ヒータ19をON状態にして水を加熱することで除菌を行う除菌運転を所定時間行い、その後、所定時間経過後に貯水室8内を冷却する冷却運転を実行し、貯水温度が所定温度以下になったら排水弁26を開放して排水するクリーニングモードを行う(ステップS104)。
【0038】
ステップS104のクリーニングモードが終了したら、制御部45は、送風ファン14が所定の回転数(例えば、800rpm)で駆動するよう送風ファン制御手段47で制御し、貯水室8や送風経路15に送風して乾燥させることで菌の増殖を防止する乾燥モードを行い(ステップS105)、送風ファン14の駆動時間が所定時間(例えば、3時間)をカウントしたか判断し、3時間カウントしたら、送風ファン14を停止させて運転を終了する。
【0039】
次に、ミスト運転時における乾燥空気及び加湿空気の流路について図6に基づいて説明する。
【0040】
まず、ミスト運転が開始されミストモータ11及び送風ファン14が所定の回転数で駆動すると、器具本体1の底面及び前面の吸入口49から室内の空気が吸い込まれる。
そして、吸い込まれた空気は送風経路15を上昇し、貯水室流入口16内へ流入する空気と、バイパス経路50を介してバイパス流入口51へ向かう空気とに分流する。
【0041】
貯水室流入口16から貯水室8内へ流入した空気は、回転体10により汲み上げられ多孔部13によって破砕されることで発生した微細ミスト、大径ミスト及びマイナスイオンを含んだ加湿空気として気水分離風路17を上昇する。また、当該加湿空気は加熱ヒータ19で貯水を加熱しているため、室温より温度が高い加湿空気となっている。
気水分離風路17を上昇する時、バッフル板18a、18b、18cによって流路が蛇行し、各バッフル板18の傾斜面を舐めるように流通することで加湿空気中の大径ミストが各バッフル板18の表面に付着し、傾斜した各バッフル板18の下端まで達すると、重力により水滴が貯水室8へ落下するため、送風口2まで運ばれる大径ミストの量を減少させることができる。
【0042】
一方で、バイパス経路50に分流した空気は、バイパス経路50を通過した後、バイパス流入口51を介して気水分離風路17内へ流入する。
そして、貯水室8から気水分離風路17を上昇した加湿空気とバイパス経路50で分流しバイパス流入口51から流入した空気とが、気水分離風路17の下流側の端部と接続した上部空間52内で混合する。
そして、当該上部空間52内に設置された案内板及び整流板(図示せず)によって送風口2方向へ加湿空気が案内され、微細ミストとマイナスイオンとを含む加湿空気が室内へ供給される。
【0043】
次に、オーバーフロー管61の内径を小さくする絞り機構62を設けることにより、排水パイプ64の出口付近から発生する笛吹音を防止する効果について、図7及び図8に基づいて説明する。
【0044】
図7を参照する。ミスト運転中にミストモータ11及び送風ファン14が駆動すると、吸入口49から室内の空気が吸い込まれて前述した送風経路を通過し、加湿空気として送風口2から送風される一方で、貯水室8内の壁面と接続されたオーバーフロー管61にも空気が流入する。つまり、オーバーフロー管61を流通した空気は継手63に達した後、排水弁26が閉となっているため排水管25aへは流通しないが、一方で排水パイプ64の出口側(排水ホッパー65側の端部)は間接排水であり外気へ開放となっているため、排水管25b及び排水パイプ64を流通し、器具本体1の外部へ送出される。
【0045】
このとき、排水パイプ64がフレキシブル配管のような蛇腹管構造になっていて、流通する空気の風速が高い場合、排水パイプ64内で共鳴が発生して排水パイプ64の出口側から笛吹音が発生しやすい。笛吹音は、フレキシブル配管の波型形状に起因する共鳴現象等によって発生する騒音であり、使用者が不快な思いをする虞がある。
【0046】
そこで、図8に示すように、オーバーフロー管61と継手63の間に絞り機構62を設け、オーバーフロー管61の内径φd1を絞り機構62によって内径φd2に小さくすることにより、絞り機構62の圧力損失により排水パイプ64を流通する空気の風速を低くすることができるため、排水パイプ64の出口側における笛吹音の発生を防止することができる。なお、絞り機構62によって絞る内径φd2の大きさは、水位センサ21の故障により貯水室8の水位が異常に上昇してオーバーフローが発生しても、オーバーフロー管61から問題なく排水可能な流量を確保できるような大きさとなっている。
【0047】
次に、絞り機構62を継手63の直近に配置することにより、バイオフィルム(微生物)の発生を抑制する効果について、図7及び図8に基づいて説明する。
【0048】
笛吹音の発生を防止するためには、オーバーフロー管61や排水パイプ64を流通する空気の風速を低くすることが必要であることから、絞り機構62で内径を小さくする方法を記述した。一方で水配管に発生するバイオフィルムによる影響を抑制するためには、バイオフィルムによって配管が閉塞しないように配管の内径を大きくすることが必要であり、笛吹音発生の防止とバイオフィルム発生の抑制はトレードオフの関係にある。
ここで、絞り機構62における内径φd2の絞り箇所は、オーバーフロー管61の内径φd1に比べて径が小さくなっており、オーバーフロー管61より絞り機構62の方が、バイオフィルムが発生しやすくなっている。
【0049】
一方で、ミスト運転中に運転スイッチ30が操作され運転が終了すると、制御部45は、排水弁26を開弁して貯水室8内の水を排水する制御を行う。このときの貯水温度は、運転停止直後のため約60℃と高温になっている。また排水経路は、排水管25a、継手63、排水管25b、排水パイプ64を流通した後、排水ホッパー65へ排水処理される。
【0050】
そこで、バイオフィルムが発生しやすい絞り機構62を、継手63の直近に配置することにより、運転終了のタイミングで排水に伴う熱が絞り機構62に加わるため、熱による殺菌効果で絞り機構62に発生するバイオフィルムを抑制することができる。
【0051】
また、絞り機構62で内径をφd2に絞ることにより笛吹音の発生を防止できることから、オーバーフロー管61の内径φd1を逆に大きくすることができるため、オーバーフロー管61に発生するバイオフィルムによる影響を抑制することができる。
【0052】
以上のように、オーバーフロー管61の排水経路に絞り機構62を配置することにより、オーバーフロー発生時の排水流量を確保しつつ、流通する空気の風速を低くし、排水パイプ64の出口側における笛吹音の発生を防止することができる。更に、絞り機構62を継手63の直近に配置することにより、貯水室8の排水に伴う熱で絞り機構62に発生するバイオフィルムを抑制することができる。つまり、トレードオフの関係にあった笛吹音発生の防止とバイオフィルム発生の抑制を同時に達成することができ、ユーザーが不快な思いをすることが回避できる。
【0053】
なお、本実施形態では、絞り機構62はオーバーフロー管61を縮管した後、拡管するオリフィス構造としているが、オーバーフロー管61を縮管するだけの構造であっても良い。
【0054】
また、本実施形態では、貯水室8内にある水を回転体10を回転駆動させることで揚水し、多孔部13で破砕させることで発生したナノミストとマイナスイオンとを加湿空気として室内へ放出する加湿装置で説明したが、水を含ませたフィルタに対して送風することで加湿空気を室内へ放出する気化式の加湿装置であっても良い。
【0055】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 器具本体
8 貯水室
10 回転体
11 ミストモータ
13 多孔部(衝突体)
14 送風ファン
15 送風経路
19 加熱ヒータ
25 排水管
26 排水弁
49 吸入口
61 オーバーフロー管
62 絞り機構
63 継手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8