(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111702
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20220725BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
E04B1/343 U
E04H6/02 A
E04H6/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007309
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】利根川 勝
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中村 知朗
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多くの人が通行する通路を広く使用できる簡易構造物の提供。
【解決手段】簡易構造物Aは、桁2、3と、支柱1と、妻垂木4と、屋根端面被覆材とを備え、桁2、3は、対向して配置され、支柱1は、桁2、3を支え、妻垂木4は、桁間に取り付けられており、屋根端面被覆材は、桁の小口と妻垂木の端面を覆って設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁と、支柱と、妻垂木と、屋根端面被覆材とを備え、桁は、対向して配置され、支柱は、桁を支え、妻垂木は、桁間に取り付けられており、屋根端面被覆材は、桁の小口と妻垂木の端面を覆って設けられていることを特徴とする簡易構造物。
【請求項2】
請求項1記載の一の簡易構造物と、請求項1記載の他の簡易構造物があり、一の簡易構造物の長手方向端部側の側面側に他の簡易構造物の長手方向端部が対向して配置されており、一の簡易構造物の端部の支柱と他の簡易構造物の支柱が芯合わせされていることを特徴とする簡易構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェルター等の簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
シェルター等の簡易構造物は、支柱が通路の幅方向両側に、この通路の長手方向に沿って複数立設し、通路の長手方向に沿う支柱間に架設された桁に屋根を支持したものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のシェルターは、限られた面積の通路に設けられるものであるので、多くの人が通行する通路を広く使用できる簡易構造物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易構造物は、桁と、支柱と、妻垂木と、屋根端面被覆材とを備え、桁は、対向して配置され、支柱は、桁を支え、妻垂木は、桁間に取り付けられており、屋根端面被覆材は、桁の小口と妻垂木の端面を覆って設けられていることを特徴とする。
【0005】
また、請求項2による簡易構造物は、請求項1記載の一の簡易構造物と、請求項1記載の他の簡易構造物があり、一の簡易構造物の長手方向端部側の側面側に他の簡易構造物の長手方向端部が対向して配置されており、一の簡易構造物の端部の支柱と他の簡易構造物の支柱が芯合わせされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上の構成により、多くの人が通行する通路を広く使用できる簡易構造物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の簡易構造物であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図3】
図1(a)の中間省略した要部拡大図である。
【
図4】
図1(b)の中間省略した要部拡大図である。
【
図6】本発明に係る第2実施形態の簡易構造物の正面図である。
【
図8】(a)は
図6の中間省略した拡大図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易構造物A、Bを説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
〔第1実施形態の簡易構造物〕
最初に、第1実施形態の簡易構造物Aを
図1~
図5を参照して説明する。
[簡易構造物Aの構成]
本実施形態で示す簡易構造物Aは、
図1および
図2に示すように、通路rを通行する人に対して風雨や日差し等を避けるシェルターであり、通路rの長手方向に沿い、且つ端部が建物r1に近接するように立設されている。
なお、簡易構造物Aは、シェルターの他にもカーポートやサイクルポート等にも利用できる。
簡易構造物Aは、通路rの幅方向の前後で対向する支柱1に取り付けられた前桁(桁)2と後桁(桁)3とにわたり妻垂木4および複数の垂木5が架設され、前桁2と後桁3の建物r1側の端部にわたり破風(屋根端部被覆材)7が架設されている。
前桁2と後桁3は、長手方向(左右方向)が簡易構造物Aの長手方向の略全長にわたる長さとして、支柱1の上端に連結具10(
図3参照)を介して連結されている。
破風7は、前桁2と後桁3の建物r1と反対側の端部にも同じ構成で架設されている(図示せず)。
簡易構造物Aのコーナー部にはコーナーカバー100(屋根端面被覆材)が配置されており、このコーナーカバー100によって前桁2および後桁3の小口と前桁2および後桁3と破風7との合わせ部分を隠している。
すなわち、屋根端面被覆材は、破風7とコーナーカバー100であり、妻垂木4の端面は破風7で覆われ、前桁2と後桁3の小口はコーナーカバー100で覆われている。
【0010】
[前桁および後桁の構成]
前桁2と後桁3は、
図4および
図5に示すように、簡易構造物Aの内側の面に樋部20、30が一体形成されている。
樋部20、30の内側の壁部21、31の上端には妻垂木4および複数の垂木5が載置固定されている。
壁部21、31の高さは、樋部20、30の外側の壁部となる前桁本体22および後桁本体32よりも低く、かつ妻垂木4および垂木5を載置したときに、妻垂木4および垂木5の最上部が前桁本体22および後桁本体32の上端以下となる高さにされている。
【0011】
前桁2と後桁3は、
図1(a)、
図2に示すように、長手方向が簡易構造物Aの長手方向の略全長にわたる長さとして、支柱1の上端に連結具10(
図4、
図5参照)を介して連結されている。
連結具10は、
図4、
図5に示すように、前桁本体22および後桁本体32の下端に長手方向の全域に凹設されたレール部11に対して長手方向にスライド自在および固定・固定解除自在に係合されていると共に、支柱1に対して固定されている。
すなわち、連結具10の固定を解除することにより、連結具10を前桁2および後桁3の長手方向に沿ってスライドさせることができ、目的の位置で固定することで、連結具10の位置を設定できる。
そして、位置が設定された連結具10に支柱1を連結固定することで、支柱1の位置を前桁2および後桁3の長手方向の目的の位置に配置することができる。
【0012】
[妻垂木および垂木の構成]
妻垂木4および垂木5は、
図1(b)に示すように、上方が膨らんだ円弧状に形成されており、その端部が前桁2および後桁3の樋部20、30の開口の一部にかかるように壁部21、31の上端に載置固定されている。
妻垂木4および垂木5には、妻垂木4および垂木5と同じように上方が膨らんだ円弧状に形成された屋根パネル6aが載置固定されている。
屋根パネル6aの前後端部は、樋部20、30の開口の一部にかかるようにされている。
妻垂木4および垂木5の最上部は、前桁2および後桁3ならびに破風7の上端と同面あるいはわずかに下側に位置するようにされている。
隣り合う妻垂木4と垂木5の間および隣り合う垂木5の間に屋根パネル6aが取り付けられることにより、上方が膨らんだ円弧状の屋根6が構成される。
すなわち、妻垂木4および垂木5が、前桁2および後桁3の内側に設けられた樋部20、30に載置固定されているので、前桁2および後桁3の前桁本体22および後桁本体32に設けられた連結具10のスライドが妻垂木4および垂木5に邪魔されることがない。
また、屋根6が円弧状であり、屋根パネル6aの前後端部が樋部20、30の開口の一部にかかるようにされているため、屋根6上の雨水が円弧状の屋根6に導かれて樋部20、30に排水される。
また、円弧状の妻垂木4と垂木5の最上部が前桁本体22および後桁本体32の上端以下となる高さにされているため、簡易構造物Aを外側から見た場合には、屋根6の膨らみが見えずあたかも角張った意匠として表れ、簡易構造物Aの内側から上方を見た場合には、屋根6の膨らみが見えてあたかも丸みを帯びた意匠として表れる。
すなわち、外側からの角張った意匠と内側からの丸みを帯びた意匠との異なる意匠という極めて特徴のあるデザインとなる。
【0013】
[破風の構成]
破風7は、
図3~
図5に示すように、前桁2と後桁3の端部および妻垂木4の全部を隠す大きさとして形成されており、前桁2および後桁3の端部に当接した状態で配置されている。
破風7は、前桁2の前桁本体22および後桁3の後桁本体32のそれぞれの内側にねじ止めされたブラケット71にビスb1によりねじ止めされている。
ブラケット71は、L型のアングルであり、一片が前桁2の前桁本体22および後桁3の後桁本体32の内側に突設されたリブ23、33にねじ止めされ、他片が破風7に内側から当接してビスb2によりねじ止めされている。
また破風7は、妻垂木4の上面に破風の内面と対向するように突設された突出面部40を貫通して破風7にねじ込まれたビスb3によりねじ止めされている。
ビスb1、b3は、簡易構造物Aの内側から前桁2および後桁3の長手方向と平行な方向からねじ止めするようにされている
破風7の下半部には、前桁2の樋部20および後桁3の樋部30のそれぞれの端面の小口を塞ぐ小口キャップ8を呑み込む凹部70が形成されている。
破風7の厚みは、少なくとも、ねじ込まれるビスb1、b3が破風7を貫通して外側に飛び出さず、小口キャップ8が呑み込める程度の厚みであればよく、このような厚みにすることにより、前桁2および後桁3の長さを延長できる。
【0014】
このような破風7により、前桁2と後桁3の端部および妻垂木4の全部を隠すことができるため意匠性の向上が期待できる。
また、破風7が前桁2と後桁3の端部に配置されているため、レール部11を前桁2と後桁3の端部まですべて使用することができると共に、前述のように妻垂木4が連結具10のスライドを邪魔しないので、支柱1の位置を妻垂木4の下方、且つ前桁2と後桁3の端部近くまで寄せることができる。
したがって、通路rを広くとることができると共に、前桁2と後桁3に対する連結具10の固定を確実に行うことができる。
【0015】
[小口キャップの構成]
小口キャップ8は、破風7の一部を構成するものであり、前桁2の樋部20および後桁3の樋部30のそれぞれの端面の小口を塞ぐことができる大きさに形成されていると共に、破風7の凹部70に呑み込まれる大きさ位に形成されており、樋部20および樋部30の端面の小口に配置されている。
小口キャップ8は、前桁2および後桁3に対してビスb4によって外側からのねじ込みによってねじ止めされている。
小口キャップ8は、樋部20、30の小口からの水漏れを防ぐものであり、小口キャップ8の取付けの際には、小口キャップ8と樋部20、30との間に防水材(図示せず)を介在するとよい。
小口キャップ8については、破風7の凹部70が設けられた部分を樋部20、30の小口に当接するように平面形状とすることで、小口キャップ8を不要として破風7のみで樋部20、30の防水を行うことができる。
【0016】
〔第2実施形態の簡易構造物B〕
次に、第2実施形態の簡易構造物Bを
図6~
図9を参照して説明する。
[簡易構造物の構成]
本実施形態で示す簡易構造物Bは、第1実施形態で例示した簡易構造物Aを2個使用したものであり、以下、一の簡易構造物Aを第1簡易構造物A1とし、他の簡易構造物Aを第2簡易構造物A2として説明する。
【0017】
簡易構造物Bは、
図7に示すように第1簡易構造物A1と第2簡易構造物A2とを平面L型に配置してなるものであり、
図6~
図9に示すように第1簡易構造物A1の前桁2の側面側に、第2簡易構造物A2の破風(長手方向端部)7を対向させて配置されている。
具体的には、
図8及び
図9に示すように、第1簡易構造物A1の破風7の前面と第2簡易構造物A2の破風7の側面とが面一になるように配置されて平面L型にされている。
第1簡易構造物A1と第2簡易構造物A2との境には、連結カバー9が取り付けられており、この連結カバー9によって第1簡易構造物A1と第2簡易構造物A2との境を隠している。
また、
図9に示すように、第1簡易構造物A1の端部側に配置された支柱1と第2簡易構造物A2の支柱1とが芯合わせ(センターラインCLで表す)して配置されている。
【0018】
このような簡易構造物Bは、前述のように、第1簡易構造物A1と第2簡易構造物A2の破風7が前桁2と後桁3の端部に配置されているため、レール部11を前桁2と後桁3の端部まですべて使用することができると共に、前述のように妻垂木4が連結具10のスライドを邪魔しないので、支柱1の位置を妻垂木4の下方、且つ前桁2と後桁3の端部近くまで寄せることができる。
したがって、通路rを広くとることができると共に、前桁2と後桁3に対する連結具10の固定を確実に行うことができる。
しかも、第1簡易構造物A1の端部側に配置された支柱1と第2簡易構造物A2の支柱1との芯合わせや屋根合わせを容易に行うことができる。
【0019】
以上、本発明に係る実施形態の簡易構造物を、図面を参照して詳述してきたが、具体的
な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0020】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互い
の技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
A:簡易構造物
B:簡易構造物
A1:第1簡易構造物
A2:第2簡易構造物
1:支柱
2:前桁
3:後桁
4:妻垂木
5:垂木
6:屋根
7:破風
8:小口キャップ
9:連結カバー
10:連結具
11:レール部
100:コーナーカバー
20:樋部
30:樋部
21:壁部
31:壁部
22:前桁本体
32:後桁本体
6a:屋根パネル
71:ブラケット
23:リブ
33:リブ
40:突出面部
70:凹部
r:通路
r1:建物
b1:ビス
b2:ビス
b3:ビス
b4:ビス
CL:センターライン