(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111703
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20220725BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
E04B1/343 U
E04H6/02 A
E04H6/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007310
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】利根川 勝
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中村 知朗
(57)【要約】 (修正有)
【課題】落ち葉やごみの詰まりを防ぐことができる簡易構造物の提供。
【解決手段】簡易構造物は、横樋20と、集水部用キャップ材8とを備え、横樋20は、溝底23に集水孔200を有し、集水部用キャップ材8は、横樋の溝底23に取り付ける底枠80と、上枠81と、上枠81と底枠80をつなぐ支持脚82と、上枠81に間隔をおいて複数立設される棒材83を有し、集水部用キャップ材8が集水孔200の上部に位置していることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横樋と、集水部用キャップ材とを備え、横樋は、溝底に集水孔を有し、集水部用キャップ材は、横樋の溝底に取り付ける底枠と、上枠と、上枠と底枠をつなぐ支持脚と、上枠に間隔をおいて複数立設される棒材を有し、集水部用キャップ材が集水孔の上部に位置していることを特徴とする簡易構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
シェルター等の簡易構造物は、雨水を受けて排水するための樋部を備えたものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、樋部に風で運ばれてくる落ち葉やごみが侵入し、この落ち葉やごみが集水孔に詰まって、雨水の排水ができなくなることが生じるため、落ち葉やごみの詰まりを防ぐことができる簡易構造物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易構造物は、横樋と、集水部用キャップ材とを備え、横樋は、溝底に集水孔を有し、集水部用キャップ材は、横樋の溝底に取り付ける底枠と、上枠と、上枠と底枠をつなぐ支持脚と、上枠に間隔をおいて複数立設される棒材を有し、集水部用キャップ材が集水孔の上部に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上の構成により、落ち葉やごみの詰まりを防ぐことができる簡易構造物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る実施形態の簡易構造物の正面図である。
【
図4】
図3の集水部用キャップ材周りの拡大図である。
【
図6】集水部用キャップ材の上方で落ち葉を捕捉した状態を示す作用図である。
【
図7】集水部用キャップ材の側方で落ち葉を捕捉した状態を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易構造物Aを説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
[簡易構造物の構成]
本実施形態で示す簡易構造物Aは、
図1および
図2に示すように、通路rを通行する人に対して風雨や日差し等を避けるシェルターであり、通路rの長手方向に沿い、且つ端部が建物r1に近接するように立設されている。
なお、簡易構造物Aは、シェルターの他にもカーポートやサイクルポート等にも利用できる。
簡易構造物Aは、通路rの幅方向の前後で対向する支柱1に取り付けられた前桁2と後桁3とにわたり妻垂木4および複数の垂木5が架設され、前桁2と後桁3の建物r1側の端部にわたり破風7が架設されている。
前桁2と後桁3は、長手方向が簡易構造物Aの長手方向の略全長にわたる長さとして、支柱1の上端に連結具10(
図3参照)を介して連結されている。
破風7は、前桁2と後桁3の建物r1と反対側の端部にも同じ構成で架設されている(図示せず)。
なお、本発明の簡易構造物Aの構造は、例示する構造に限るものではなく、樋部20、30を有するものであればよい。
【0009】
[前桁および後桁の構成]
前桁2と後桁3は、
図3に示すように、簡易構造物Aの内側の面に樋部(横樋)20、30が一体形成されている。
樋部20、30の内側の壁部21、31の上端には妻垂木4および複数の垂木5が載置固定されている。
壁部21、31の高さは、樋部20、30の外側の壁部となる前桁本体22および後桁本体32よりも低く、かつ妻垂木4および垂木5を載置したときに、妻垂木4および垂木5の最上部が前桁本体22および後桁本体32の上端以下となる高さにされている。
【0010】
前桁2と後桁3は、
図1および
図2に示すように、長手方向が簡易構造物Aの長手方向の略全長にわたる長さとして、支柱1の上端に連結具10(
図3参照)を介して連結されている。
連結具10は、
図3に示すように、前桁本体22および後桁本体32の下端に長手方向の全域に凹設されたレール部11に対して長手方向にスライド自在および固定・固定解除自在に係合されていると共に、支柱1に対して固定されている。
すなわち、連結具10の固定を解除することにより、連結具10を前桁2および後桁3の長手方向に沿ってスライドさせることができ、目的の位置で固定することで、連結具10の位置を設定できる。
そして、位置が設定された連結具10に支柱1を連結固定することで、支柱1の位置を前桁2および後桁3の長手方向の目的の位置に配置することができる。
【0011】
[妻垂木および垂木の構成]
妻垂木4および垂木5は、
図3に示すように、上方が膨らんだ円弧状に形成されており、その端部が前桁2および後桁3の樋部20、30の開口の一部にかかるように壁部21、31の上端に載置固定されている。
妻垂木4および垂木5には、妻垂木4および垂木5と同じように上方が膨らんだ円弧状に形成された屋根パネル6aが載置固定されている。
屋根パネル6aの前後端部は、樋部20、30の開口の一部にかかるようにされている。
妻垂木4および垂木5の最上部は、前桁2および後桁3ならびに破風7の上端と同面あるいはわずかに下側に位置するようにされている。
隣り合う妻垂木4と垂木5の間および隣り合う垂木5の間に屋根パネル6aが取り付けられることにより、上方が膨らんだ円弧状の屋根6が構成される。
【0012】
すなわち、妻垂木4および垂木5が、前桁2および後桁3の内側に設けられた樋部20、30に載置固定されているので、前桁2および後桁3の前桁本体22および後桁本体32に設けられた連結具10のスライドが妻垂木4および垂木5に邪魔されることがない。
また、屋根6が円弧状であり、屋根パネル6aの前後端部が樋部20、30の開口の一部にかかるようにされているため、屋根6上の雨水が円弧状の屋根6に導かれて樋部20、30に排水される。
また、円弧状の妻垂木4と垂木5の最上部が前桁本体22および後桁本体32の上端以下となる高さにされているため、簡易構造物Aを外側から見た場合には、屋根6の膨らみが見えずあたかも角張った意匠として表れ、簡易構造物Aの内側から上方を見た場合には、屋根6の膨らみが見えてあたかも丸みを帯びた意匠として表れる。
すなわち、外側からの角張った意匠と内側からの丸みを帯びた意匠との異なる意匠という極めて特徴のあるデザインとなる。
【0013】
図3に示すように、樋部(横樋)20、30には、集水部用キャップ材8が取り付けられている。
なお、以下では、樋部20、30は双方同じ構成であるので、
図4において樋部20および樋部20に取付けられる集水部用キャップ材8を図示して説明する。
図4に示すように、樋部20の溝底23には、集水孔200が開孔されており、この集水孔200の直上に集水部用キャップ材8が取り付けられている。
集水部用キャップ材8は、
図4に示すように、集水孔200に貫通するように取り付けられた水抜き9に接続されている。
水抜き9は、集水部用キャップ材8と係合する係合部90を有しており、この係合部90に集水部用キャップ材8が係合することで、この集水部用キャップ材8が溝底23に取付けられている。
水抜き9は、溝部20の溝底23にねじ止めにより固定されており、溝部20の下方には、排水管91が接続されている。
【0014】
[集水部用キャップ材の構成]
集水部用キャップ材8は、
図6および
図7に示すように、溝部20を流れる雨水に混入した落ち葉Hやごみ(図示せず)を捕捉して、これら落ち葉Hやごみを集水孔200に入らないようにして集水孔200の詰まりを防ぐものである。
集水部用キャップ材8は、
図4および
図5に示すように、水抜き9の係合部90に係合する底枠80と、上枠81と、底枠80と上枠81をつなぐ支持脚82と、上枠81に間隔をおいて複数立設された棒材83とを有している。
上枠81の外周は、底枠80の外周より小さくされており、底枠80と上枠81とをつなぐ4本の支持脚82が、
図4および
図5において上方に向かって先細り状となるように傾斜させて配置されている。
棒材83は、本実施形態において8本配置されており、支持脚82の本数よりも多い本数としている。
棒材83の長さは、落ち葉Hやごみを捕捉できる長さであればよいが、好ましくは2mm以上である。
【0015】
このような構成とした集水部用キャップ材8は、
図6および
図7に示すように、上枠81の外周を底枠80の外周より小さくし、支持脚82を上方に向かって先細り状となるように傾斜させて配置したことにより、雨水の表面や表面近くで浮遊する落ち葉Hやごみを集水部用キャップ材8の上寄りで捕捉しやすくなる。
また、棒材83の本数を支持脚82の本数よりも多くしたことにより、雨水の表面や表面近くで浮遊する落ち葉Hやごみを集水部用キャップ材8の棒材83で捕捉することができる。
すなわち、雨水の表面や表面近くで浮遊する落ち葉Hやごみを集水部用キャップ材8の内側に入りにくくし、しかも、上枠81側に落ち葉Hやごみが張り付いても集水部用キャップ材8の側方から樋部20を流れる雨水を集水孔200に流すことができる。
したがって、落ち葉Hやごみの詰まりを防ぐことができる簡易構造物Aを提供できる。
棒材83の本数は8本に限らず、支持脚82の本数よりも多い本数であればよい。
また、支持脚82の本数と同じであってもよい。
【0016】
以上、本発明に係る実施形態の簡易構造物を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0017】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0018】
A: 簡易構造物
1:支柱
2:前桁
3:後桁
4:妻垂木
5:垂木
6:屋根
7:破風
8:集水部用キャップ材
20:樋部
30:樋部
21:壁部
31:壁部
22:前桁本体
32:後桁本体
23:溝底
6a:屋根パネル
200:集水孔
9:水抜き
90:係合部
80:底枠
81:上枠
82:支持脚
83:棒材
H:落ち葉