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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111717
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】ジャケット型身体冷却装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007333
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】520275928
【氏名又は名称】菊池 真
(71)【出願人】
【識別番号】520275995
【氏名又は名称】株式会社大真
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】菊池 真
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 透
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AC02
3B011AC03
3B011AC18
3B011AC22
(57)【要約】
【課題】内部に十分な量の空気を流して冷却効果を高めるとともに、耐久性及び強度の向上を図ることができるジャケット型身体冷却装置を提供する。
【解決手段】上布2aと下布2bによって偏平な袋状を成し、装着状態において使用者の胸腹側と背中側にそれぞれ配されて上端部左右が互いに連結され、且つ、スペーサ7によって内部に空気流通路8がそれぞれ形成された一対のマット2F,2Bと、各マット2F,2Bの外面側の上布2aにそれぞれ取り付けられて外気を空気流通路8へと流す一対のファン9と、各ファン9にそれぞれ電力を供給するバッテリ(電源)12とを備えるジャケット型身体冷却装置1において、スペーサ7を、複数のスペーサ片7Aをマット2F,2Bの厚さ方向に重ねて多段構造として構成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上布と下布によって偏平な袋状を成し、装着状態において使用者の胸腹側と背中側にそれぞれ配されて上端部左右が互いに連結され、且つ、スペーサによって内部に空気流通路がそれぞれ形成された一対のマットと、
前記各マットの外面側の前記上布にそれぞれ取り付けられて外気を前記空気流通路へと流す一対のファンと、
前記各ファンにそれぞれ電力を供給する電源と、
を備えるジャケット型身体冷却装置において、
前記スペーサを、複数のスペーサ片を前記マットの厚さ方向に重ねて多段構造として構成したことを特徴とするジャケット型身体冷却装置。
【請求項2】
前記各マットの前記下布を通気性及び透湿性の高いメッシュ布で構成するとともに、その上端を前記各マットの上端面の幅方向中央部まで延ばしたことを特徴とする請求項1に記載のジャケット型身体冷却装置。
【請求項3】
前記各マットの上端面の幅方向中央部に前記空気流通路の空気を外部へ流出させる空気流出部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のジャケット型身体冷却装置。
【請求項4】
前記ファンの空気吸入口を着脱可能なメッシュ状のキャップで覆ったことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のジャケット型身体冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身体から発せられる汗の蒸発による気化熱(蒸発潜熱)を身体から奪って該身体を冷却するためのジャケット型身体冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防弾服や背負いバッグ、着ぐるみなどを着用する者にとっては、身体からの放熱が妨げられるために特に暑い夏季においては汗ばみ、非常な不快感を覚える。
【0003】
そこで、特許文献1,2には、身体から出る汗を蒸発させ、そのときの気化熱によって身体を冷却するようにした身体冷却装置が提案されている。この身体冷却装置は、上布と下布によって偏平な袋状を成すマットと、該マットの外側(身体とは反対側)の上布に取り付けられたファンと、該ファンに電力を供給する電源を備えている。
【0004】
上記身体冷却装置に備えられているマットは、その内部にスペーサが収容されており、このスペーサによって上布と下布とが所定距離だけ離され、両者の間に空気流通路が形成されている。
【0005】
ところで、従来の身体冷却装置には、装着状態において使用者の胸腹側と背中側にマットがそれぞれ配され、両マット同士の上端部左右が互いに連結されたジャケット型のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5397828号公報
【特許文献2】実用新案登録第3207262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
身体冷却装置においては、前述のようにマットの内部にスペーサが収容され、このスペーサによって上布と下布との間に空気流通路が形成されているが、従来はスペーサが1層構造のものであった。このため、マット自体が薄く構成され、このマットの上布と下布との間隔が狭くなって該マット内に形成される空気流通路の流路面積が小さくなり、十分な冷却効果が得られないという問題がある。
【0008】
また、マットに加えられる外力は、該マットの内部に収容されたスペーサによって受けられるが、スペーサの厚さが薄い場合には、このスペーサによって外力を十分受けることができないためにマットやファンの耐久性及び強度が低下するという問題もある。
【0009】
さらに、装着状態において使用者の胸腹側と背中側にそれぞれ配された前後のマットの上端部左右同士が互いに連結されたジャケット型身体冷却装置においては、各マットの上端部から冷気が排出される構成が採用されていないため、使用者の首周り部分に冷気が届かず、使用者に十分な清涼感を与えることができないという問題もある。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、内部に十分な量の空気を流して冷却効果を高めるとともに、耐久性及び強度の向上を図ることができるジャケット型身体冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、上布(2a)と下布(2b)によって偏平な袋状を成し、装着状態において使用者の胸腹側と背中側にそれぞれ配されて上端部左右が互いに連結され、且つ、スペーサ(7)によって内部に空気流通路(8)がそれぞれ形成された一対のマット(2F,2B)と、前記各マット(2F,2B)の外面側の前記上布(2a)にそれぞれ取り付けられて外気を前記空気流通路(8)へと流す一対のファン(9)と、前記各ファン(9)にそれぞれ電力を供給する電源(12)と、を備えるジャケット型身体冷却装置(1)において、前記スペーサ(7)を、複数のスペーサ片(7A)を前記マット(2F,2B)の厚さ方向に重ねて多段構造として構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、スペーサが多層構造として構成されてその厚さが厚くなるため、各マットの上布と下布との間に形成される空気流通路の流路面積が大きくなって、この空気流通路を流れる空気の流量が増え、使用者から発せられる汗の蒸発が促進される。このため、汗の蒸発に伴うより多くの気化熱が使用者の身体から奪われ、使用者の身体が効果的に冷却される。
【0013】
また、各マットに加えられる外力は、厚さが厚くなったスペーサによって効果的に受けられるため、マットやファンの外力による損傷等を効果的に防ぐことができ、これらの耐久性が高められる。
【0014】
ここで、前記各マット(2F,2B)の前記下布(2b)を通気性及び透湿性の高いメッシュ布で構成するとともに、その上端を前記各マット(2F,2B)の上端面の幅方向中央部まで延ばしても良い。あるいは、前記各マット(2F,2B)の上端面の幅方向中央部に前記空気流通路(8)の空気を外部へ流出させる空気流出部(2b1)を設けてもよい。
【0015】
上記構成によれば、各マットの空気流通路を上方に向かって流れる冷気の一部が下布のマットの上端面の位置から使用者の首周りに向けて排出されるため、使用者の首周りが効果的に冷却され、使用者は、一層高い清涼感を感じることができる。
【0016】
また、前記ファン(9)の空気吸入口(10a)を着脱可能なメッシュ状のキャップ(14)で覆っても良い。
【0017】
上記構成によれば、ファンの空気吸入口への異物の吸入がキャップによって防がれるため、異物の混入によるファンの損傷が防がれ、ファンによる空気の空気流通路内への導入が安定的になされて当該ジャケット型身体冷却装置による使用者の身体の冷却が安定的になされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ジャケット型身体冷却装置の内部に十分な量の空気を流して冷却効果を高めるとともに、該ジャケット型身体冷却装置の耐久性及び強度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るジャケット型身体冷却装置の斜視図である。
図2】ジャケット型身体冷却装置を使用者が装着している状態を示す側面図である。
図3】ジャケット型身体冷却装置のマットの正面図である。
図4】ジャケット型身体冷却装置のマットの背面図である。
図5図3のA-A線断面図である。
図6図5のB部拡大詳細図である。
図7】ジャケット型身体冷却装置のマットの概略斜視図である。
図8】スペーサを構成するスペーサ片の正面図である。
図9】スペーサ片の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係るジャケット型身体冷却装置の斜視図、図2は同ジャケット型身体冷却装置を使用者が装着している状態を示す側面図である。
【0022】
本発明に係るジャケット型身体冷却装置1は、図1及び図2に示すように、使用状態において使用者の胸腹側と背中側にそれぞれ配される前後のマット2F,2Bの上端部左右同士をバンド3L,3Rによって互いに連結して構成されている。
【0023】
前後のマット2F,2Bは、正面視矩形の偏平な袋状を成しており、これらの上端部左右同士を互いに連結する左右のバンド3L,3Rは、使用者の体格に合わせてその長さを調整することができる。具体的には、図1に示すように、左右のバンド3L,3Rは、前側のマット2Fの上端部左右に縫い付けられた長さの短いバンド片3L1,3R1と、後側のマット2Bの上端部左右に連結された矩形リング状の金具4に通されて固定された長さの長いバンド片3L2,3R2とで構成されており、左側のバンド片3L1,3L2同士及び右側のバンド片3R1,3R2同士をこれらの端部に設けられた不図示の面ファスナーで接合することによって、前述のように左右のバンド3L,3Rの長さを調整することができる。
【0024】
また、図2に示すように、当該ジャケット型身体冷却装置1を使用者が装着した状態では、前後のマット2F,2Bの下端部同士はベルト5によって使用者の胴周りにおいて互いに連結される。すなわち、図1及び図3に示すように、前側のマット2Fの表面下部には長さの短いベルト片5Fが幅方向に沿って水平に縫い付けられており、このベルト片5Fの左右両端部には長円リング状の金具6が取り付けられている。
【0025】
そして、図1に示すように、後側のマット2Bの表面の下部左右にはベルト片5Bが幅方向に沿って水平に縫い付けられており、このベルト片5Bのマット2Bから左右に延びる端部を前側のベルト片5Fに取り付けられた左右の金具6に通し、その端部に設けられた不図示の面ファスナーを前側のマット2Fの表面下部に縫い付けられたベルト片5Fに設けられた不図示の面ファスナーに接合することによって、図2に示すように、前後のマット2F,2B同士をベルト5によって使用者の胴周りに締め付けて固定することができる。
【0026】
本発明に係るジャケット型身体冷却装置1は、前側のマット2Fが使用者の胸腹部側に位置し、後側のマット2Bが使用者の背中側に位置するように配置した状態で、使用者が左右のバンド3L,3Rの間に頭を下方から通し、左右のバンド3L,3Rを使用者の肩に掛けることによって使用者の身体に装着される。そして、前述のようにベルト5の後側のマット2Bの左右から延びるベルト片5Bの左右両端部を前側のマット2Fの下部に取り付けられた左右の金具6に通し、その端部を前側のマット2Fの表面下部に縫い付けられたベルト片5Fに面ファスナーによって接合することによって、図2に示すように、当該ジャケット型身体冷却装置1が使用者に装着される。
【0027】
ここで、前側のマット2Fの構成の詳細を図3図6に基づいて以下に説明する。なお、後側のマット2Bの基本構成は前側のマット2Fのそれと同じであるため、これについての図示及び説明は省略する。
【0028】
図3は本発明に係るジャケット型身体冷却装置のマットの正面図、図4は同マットの背面図、図5図3のA-A線断面図、図6図5のB部拡大詳細図、図7はジャケット型身体冷却装置のマットの概略斜視図である。
【0029】
マット2Fは、装着状態において使用者の胸腹部とは逆側に位置する上布2aと使用者の胸腹部側に位置する下布2bの周囲を縫着することによって正面視略矩形の偏平な袋状に構成されており、図1に示すように、その左右両側部には所定幅の帯状の側布2cがそれぞれ縫着されることによって当該マット2Fには所定の厚さが確保されている。
【0030】
ここで、マット2Fの上布2aと側布2cには、空気を通しにくいもの、例えばポリエステル布、ナイロン布などのプラスチック繊維で織られた布、糸を高密度で織ることによって得られた高密度布などが使用される。また、下布2bには、図4に示すように、通気性と透湿性の高いメッシュ布が使用されており、このメッシュ布(下布)2bは、図5に示すように、マット2Fの上端面の幅方向中央部(左右のバンド3L,3Rの間の部分)まで延びている。これにより、マット2Fの上端面の幅方向中央部には、空気の出口である流出口2b1が形成されている。
【0031】
ところで、図5に示すように、マット2Fの内部にはスペーサ7が収納されており、このスペーサ7によって上布2aと下布2bとの間隔が所定値に保たれ、これらの上布2aと下布2bとの間には空気流通路8が形成されている。
【0032】
また、図3に示すように、上布2aの幅方向の中央部における上下方向の中央よりやや上方の位置にはファン9が取り付けられている。このファン9は、円筒状のケース10の空気流通路8に臨む部分に収納された電動モータを内蔵したもの(電動モータ一体型のもの)であって、不図示の電動モータには、電源コード11を介して電源である充電可能なバッテリ12が電気的に接続されている。なお、電源コード11の途中にはスイッチ13が接続されている。
【0033】
スイッチ13がONされてバッテリ12からファン9に電力が供給されると、ファン9が回転し、このファン9の回転によってケース10の円形の吸入口10aから空気(外気)が空気流通路8へと吸引される。なお、吸入口10aには、図1に示す目の細かいメッシュ状のキャップ14を必要に応じて着脱可能に装着して吸入口10aを該キャップ14で覆っても良い。
【0034】
ところで、スペーサ7は、図6に示すように、4つのスペーサ片7Aをマット2Fの厚さ方向(図6の左右方向)に重ねて4層構造として構成されている。ここで、各スペーサ片7Aの構成を図7及び図8に基づいて以下に説明する。
【0035】
図8はスペーサ片の正面図、図9は同スペーサ片の部分斜視図であり、スペーサ片7Aは、矩形枠状の枠状部7a1を有する多数の凸部7aと、隣接する枠状部7a1同士を連結する可撓性連結部7a2とを備えている。そして、上記凸部7aは、枠状部7a1と、一端が枠状部7a1に連なって該枠状部7a1から起立する4本の柱部7a3と、これらの4本の柱部7a3の他端を連結する矩形の連結起立部7a4とを備えている。
【0036】
以上のように構成されたスペーサ片7Aは、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂の射出成形によって一体成形される。なお、このスペーサ片7Aの以上説明した構成は一例であって、その他の種々の構成を採用することができ、その具体的な構成は、特許第4067034号公報に記載されている構成とすることができる。
【0037】
本実施の形態では、前述のように(図6参照)、スペーサ7は、図8及び図9に示すスペーサ片7Aをマット2Fの厚さ方向に4段に重ねて4層構造として構成したため、このスペーサ7によってマット2Fの上布2aと下布2bとの間隔が広げられ、マット2F内に形成された空気流通路8の流路幅(流路面積)も広げられる。なお、本実施の形態では、4つのスペーサ片7Aを4段に重ねて4層構造としたが、スペーサ片7Aを重ねる段数は任意である。
【0038】
以上のように構成されたジャケット型身体冷却装置1は、前述のようにして図2に示すように使用者に装着されるが、以下、使用者の胸腹部側に配置される前側のマット2Fにおける冷却作用について説明する。
【0039】
ジャケット型身体冷却装置1を装着した使用者がスイッチ13をONすると、前述のようにバッテリ12から電源コード11を経てファン(電動モータ)9に電力が供給され、該ファン9が所定の速度で回転駆動される。このようにファン9が回転駆動されると、空気(外気)が上布2aに開口する吸入口10aからマット2F内に吸引され、この空気(外気)は、マット2F内に形成された空気流通路8を上方に向かって流れる。
【0040】
他方、使用者の胸腹部から発せられた汗は蒸発し、透湿性を有する下布2bを介して空気流通路8内に取り込まれ、空気流通路8を上方に向かって流れる空気(外気)と共にマット2F外へと排出される。そして、汗が蒸発する際に使用者の身体から気化熱(蒸発潜熱)が奪われることによって使用者の身体(胸腹部)が冷却される。ここで、本実施の形態では、スペーサ7が4層構造として構成されてその厚さが厚くなるため、マット2Fの上布2aと下布2bとの間に形成された空気流通路8の流路面積が大きくなって、この空気流通路8を流れる空気(外気)の流量が増え、使用者から発せられる汗の蒸発が促進される。このため、汗の蒸発に伴うより多くの気化熱が使用者の身体から奪われ、使用者の身体が効果的に冷却される。
【0041】
また、本実施の形態では、メッシュ布から成る下布2bをマット2Fの上端面の幅方向中央部(左右のバンド3L,3Rの間の部分)まで延長したため、この部分から冷気が使用者の首周りに向かって噴出する。このため、使用者の首周りも冷気によって冷やされ、使用者により一層の清涼感を与えることができる。
【0042】
また、マット2Fに加えられる外力は、厚さが厚くなったスペーサ7によって効果的に受けられるため、マット2Fやファン9に強い外力が作用した場合でもそれらが損傷することなどを防止でき、これらの耐久性が高められるという効果も得られる。
【0043】
さらに、必要な場合には、ファン9の吸入口10aを着脱可能なメッシュ状のキャップ14で覆うことによって、吸入口10aへの異物の吸入がキャップ14によって防がれるため、異物の混入によるファン9の損傷が防がれ、ファン9による空気の空気流通路8内への導入が安定的になされて当該ジャケット型身体冷却装置1による使用者の身体の冷却が安定的になされる。
【0044】
上記構成のジャケット型身体冷却装置1は、特に、スペーサ片7Aを複数段重ねた積層構造を採用していることでスペーサ7に適度な厚みと強度を確保している。そのため、サバイバルゲームにおいて使用される防弾用ベスト(プレートキャリア)としての使用に適している。この場合、ファン9の吸入口10aに上記のメッシュ状のキャップ14を取り付けることで、サバイバルゲーム用の弾丸がファン9の内部に入り込むことを防止できるので、ファン9の故障などの不具合の発生を回避できる。
【0045】
また、上記構成のジャケット型身体冷却装置1は、既述のように、スペーサ片7Aを複数段重ねた積層構造を採用していることで空気流通路8における空気の十分な流れを確保していることで、使用者の身体を十分に冷却できると共に、マット2Fの上端面の幅方向中央部に空気の流出口2b1が形成されていることで、使用者の首回りに冷気を送り込んで使用者に適切な清涼感を与えることができる。そのため、人形や動物などの着ぐるみを着用する際に、当該着ぐるみの下にこのジャケット型身体冷却装置1を着用して使用することも可能である。これにより、着ぐるみを着ている使用者の身体を効果的に冷却できると共に、使用者に清涼感を与えることができる。
【0046】
なお、以上は使用者の胸腹部側に配置される前側のマット2Fにおける冷却作用について説明したが、使用者の背中側に配置される後側のマット2Bにおける冷却作用も同様になされ、使用者の背中から発せられる汗が蒸発する際の気化熱(蒸発潜熱)が使用者の身体から奪われることによって、使用者の背中側も同様に冷却される。その他、後側のマット2Bにおいても前記と同様の効果が得られる。
【0047】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、ジャケット型身体冷却装置1の内部に十分な量の空気を流して冷却効果を高めるとともに、該ジャケット型身体冷却装置1の耐久性及び強度の向上を図ることができるという効果が得られる。
【0048】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 ジャケット型身体冷却装置
2F,2B マット
2a 上布
2b 下布
7 スペーサ
7A スペーサ片
8 空気流通路
9 ファン
10 ケース
10a 吸入口
12 バッテリ(電源)
14 キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9