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特開2022-111744ハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111744
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】ハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20220725BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20220725BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20220725BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
F01N3/20 K
B01J35/02 G
B01J35/04 301Z
H05B3/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007374
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 和弥
(72)【発明者】
【氏名】小崎 裕子
【テーマコード(参考)】
3G091
3K092
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB02
3G091AB03
3G091AB05
3G091AB06
3G091BA03
3G091BA25
3G091CA03
3G091GB03W
3G091GB04W
3G091GB05W
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091GB09W
3G091GB10W
3G091GB17X
3K092PP15
3K092QA05
3K092QB03
3K092QC19
3K092QC27
3K092RF06
3K092VV31
4G169AA01
4G169AA11
4G169CA03
4G169DA06
4G169EA19
4G169EA26
4G169EA27
4G169EB07
(57)【要約】
【課題】良好な耐熱衝撃性を有し、且つ、通電時に均一な発熱分布となるハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部と、柱状ハニカム構造部の中心軸を挟んで、外周壁の外面上において、セルの流路方向に帯状に延びるように設けられた一対の電極層と、を備え、柱状ハニカム構造部のセルの流路方向に垂直な断面において、領域S内に、外周壁にわたらない線状のスリットが設けられており、中心線Pに対するスリットの傾きの絶対値θが、60度以下であり、スリットが、少なくとも、柱状ハニカム構造部の一方の端面に設けられているハニカム構造体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部と、
前記柱状ハニカム構造部の中心軸を挟んで、前記外周壁の外面上において、前記セルの流路方向に帯状に延びるように設けられた一対の電極層と、
を備え、
前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、下記に示す領域S内に、前記外周壁にわたらない線状のスリットが設けられており、
中心線Pに対する前記スリットの傾きの絶対値θが、60度以下であり、
(前記中心線Pは、前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、一方の前記電極層の両端部を結ぶ線分の中点から、前記柱状ハニカム構造部の中心軸を通り、他方の前記電極層まで延びる直線を示す。
前記領域Sは、前記中心線Pに平行、かつ、前記中心軸から前記外周壁までの長さの4/5の距離だけ前記中心線Pから離れた直線を直線Q1、Q2としたとき、前記直線Q1、Q2と前記外周壁とで区画される領域を示す。)
前記スリットが、少なくとも、前記柱状ハニカム構造部の一方の端面に設けられているハニカム構造体。
【請求項2】
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部と、
前記柱状ハニカム構造部の中心軸を挟んで、前記外周壁の外面上において、前記セルの流路方向に帯状に延びるように設けられた一対の電極層と、
を備え、
前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、下記に示す領域S内に、前記外周壁にわたらずに、分岐していないスリットが設けられており、
中心線Pに対する前記スリットの傾きの絶対値θが、60度以下であり、
(前記中心線Pは、前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、一方の前記電極層の両端部を結ぶ線分の中点から、前記柱状ハニカム構造部の中心軸を通り、他方の前記電極層まで延びる直線を示す。
前記領域Sは、前記中心線Pに平行、かつ、前記中心軸から前記外周壁までの長さの4/5の距離だけ前記中心線Pから離れた直線を直線Q1、Q2としたとき、前記直線Q1、Q2と前記外周壁とで区画される領域を示す。)
前記スリットが、少なくとも、前記柱状ハニカム構造部の一方の端面に設けられているハニカム構造体。
【請求項3】
前記スリットが、前記スリットが延びる方向に沿って、分割して設けられている請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記スリットの、前記一方の端面からの前記セルの流路方向における深さが、前記柱状ハニカム構造部の全長の30%以上である請求項1~3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記スリットが、前記セルを含む請求項1~4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、前記スリットが、互いに独立して複数設けられている請求項1~5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、前記スリットが、前記柱状ハニカム構造部の中心部を通る請求項1~6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
(前記中心部は、前記柱状ハニカム構造部の中心軸から前記外周壁までの距離の1/3の領域である。)
【請求項8】
前記柱状ハニカム構造部が、前記外周壁に前記セルの流路方向に延びる外周スリットをさらに有し、
前記スリットと、前記外周スリットとが独立して存在している、請求項1~7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記スリット内の空間の少なくとも一部に充填材が設けられている請求項1~8のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記充填材が、前記スリット内の空間の全部に充填されている請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記充填材の電気抵抗率が、前記柱状ハニカム構造部の電気抵抗率の100~100000%である請求項9または10に記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記柱状ハニカム構造部の前記一方の端面が、排気ガス流れの上流側である、請求項1~11のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の前記電極層に電気的に接続された金属電極と、
を備えた電気加熱式担体。
【請求項14】
請求項13に記載の電気加熱式担体と、
前記電気加熱式担体を保持するための金属製の筒状部材と、
を有する排気ガス浄化装置。
【請求項15】
前記柱状ハニカム構造部の前記一方の端面が、排気ガス流れの上流側である、請求項14に記載の排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン始動直後の排気ガス浄化性能の低下を改善するため、電気加熱触媒(EHC)が提案されている。EHCは、例えば、導電性セラミックスからなる柱状のハニカム構造体に金属電極を接続し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、エンジン始動前に触媒の活性温度まで昇温できるようにしたものである。
【0003】
EHCは、エンジンからの熱や衝撃を受けるため、良好な耐熱衝撃性を有することを求められている。エンジンからの熱や衝撃によって、EHCのハニカム構造体にクラックが発生すると、ハニカム構造体内の通電経路が変わってしまい、局所的に発熱するため、触媒の劣化が生じる。また、通電抵抗が上昇し、通電制御が困難になる。その結果、EHCの排気ガス浄化効率が悪化するおそれがある。
【0004】
特許文献1には、導電性材料からなるハニカム構造体に通電用の電極を設けたハニカムヒーターにおいて、その発熱部分となるハニカム構造体の発熱量を調節するため、ハニカム構造体内に並列の回路が形成されるようにスリットを設けた構造が開示されている。なお、スリットとは、ハニカム構造体の隔壁等に入れた切れ込みである。
【0005】
特許文献2には、端面に複数のスリットを設けることで、当該端面を複数の電流路に分離したハニカム構造体が開示されている。また、当該ハニカム構造体の端面側に低導電性領域を設け、当該低導電性領域の深さをスリットの深さより浅くした構造を開示している。
【0006】
特許文献3には、電極部スリットが形成された電極部領域と、ハニカム構造部スリットが形成されたハニカム構造部領域とから構成される外周を有し、電極部スリットの深さがハニカム構造部スリットの深さより大きい構造を有するハニカム構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-103684号公報
【特許文献2】特許第6339577号公報
【特許文献3】特許第6126434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1~3に記載のハニカム構造体の端面にスリットを設ける技術では、耐熱衝撃性が向上し、クラックの発生を抑制することができる形態は開示されている。しかしながら、本発明者らの検討の結果、ハニカム構造体の端面にスリットを設けたことによって、ハニカム構造体の抵抗や電流経路が変わって通電による発熱分布が変化することが分かり、発熱分布の均一性という点で改善の余地があるものであった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、良好な耐熱衝撃性を有し、且つ、通電時に均一な発熱分布となるハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の本発明によって解決されるものであり、本発明は以下のように特定される。
(1)外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部と、
前記柱状ハニカム構造部の中心軸を挟んで、前記外周壁の外面上において、前記セルの流路方向に帯状に延びるように設けられた一対の電極層と、
を備え、
前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、下記に示す領域S内に、前記外周壁にわたらない線状のスリットが設けられており、
中心線Pに対する前記スリットの傾きの絶対値θが、60度以下であり、
(前記中心線Pは、前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、一方の前記電極層の両端部を結ぶ線分の中点から、前記柱状ハニカム構造部の中心軸を通り、他方の前記電極層まで延びる直線を示す。
前記領域Sは、前記中心線Pに平行、かつ、前記中心軸から前記外周壁までの長さの4/5の距離だけ前記中心線Pから離れた直線を直線Q1、Q2としたとき、前記直線Q1、Q2と前記外周壁とで区画される領域を示す。)
前記スリットが、少なくとも、前記柱状ハニカム構造部の一方の端面に設けられているハニカム構造体。
(2)外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部と、
前記柱状ハニカム構造部の中心軸を挟んで、前記外周壁の外面上において、前記セルの流路方向に帯状に延びるように設けられた一対の電極層と、
を備え、
前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、下記に示す領域S内に、前記外周壁にわたらずに、分岐していないスリットが設けられており、
中心線Pに対する前記スリットの傾きの絶対値θが、60度以下であり、
(前記中心線Pは、前記柱状ハニカム構造部の前記セルの流路方向に垂直な断面において、一方の前記電極層の両端部を結ぶ線分の中点から、前記柱状ハニカム構造部の中心軸を通り、他方の前記電極層まで延びる直線を示す。
前記領域Sは、前記中心線Pに平行、かつ、前記中心軸から前記外周壁までの長さの4/5の距離だけ前記中心線Pから離れた直線を直線Q1、Q2としたとき、前記直線Q1、Q2と前記外周壁とで区画される領域を示す。)
前記スリットが、少なくとも、前記柱状ハニカム構造部の一方の端面に設けられているハニカム構造体。
(3)(1)または(2)に記載のハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の前記電極層に電気的に接続された金属電極と、
を備えた電気加熱式担体。
(4)(3)に記載の電気加熱式担体と、
前記電気加熱式担体を保持するための金属製の筒状部材と、
を有する排気ガス浄化装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、良好な耐熱衝撃性を有し、且つ、通電時に均一な発熱分布となるハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態におけるハニカム構造体の外観模式図である。
図2】本発明の実施形態におけるハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図3】本発明の実施形態におけるハニカム構造体の「領域S」、「中心軸O」及び「中心線P」を説明するための断面模式図である。
図4】本発明の実施形態におけるハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図5】本発明の実施形態におけるハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図6】(A)及び(B)は、本発明の実施形態におけるハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図7】本発明の実施形態におけるハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図8】(A)及び(B)は、本発明の実施形態におけるハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図9】本発明の実施形態における電気加熱式担体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図10】(A)及び(B)は、本発明の実施形態におけるハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図11】実施例及び比較例におけるスリットの配置形態を示すハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0014】
(1.ハニカム構造体)
図1は、本発明の実施形態におけるハニカム構造体10の外観模式図である。図2は、ハニカム構造体10のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。ハニカム構造体10は、柱状ハニカム構造部11と、電極層13a、13bとを備えている。
【0015】
(1-1.柱状ハニカム構造部)
柱状ハニカム構造部11は、外周壁12と、外周壁12の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセル18を区画形成する隔壁19とを有する。
【0016】
柱状ハニカム構造部11の外形は柱状である限り特に限定されず、例えば、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、柱状ハニカム構造部11の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、底面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
【0017】
柱状ハニカム構造部11は、セラミックス製であり、導電性を有する。導電性の柱状ハニカム構造部11が通電してジュール熱により発熱可能である限り、当該セラミックスの電気抵抗率については特に制限はないが、0.1~200Ωcmであることが好ましく、1~200Ωcmがより好ましい。本発明において、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
【0018】
柱状ハニカム構造部11の材質としては、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスからなる群から選択することができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、耐熱性と導電性の両立の観点から、柱状ハニカム構造部11の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするセラミックスを含有していることが好ましい。柱状ハニカム構造部11の材質が、珪素-炭化珪素複合材を主成分とするものであるというときは、柱状ハニカム構造部11が、珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。柱状ハニカム構造部11の材質が、炭化珪素を主成分とするものであるというときは、柱状ハニカム構造部11が、炭化珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0019】
柱状ハニカム構造部11が、珪素-炭化珪素複合材を含んでいる場合、柱状ハニカム構造部11に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、柱状ハニカム構造部11に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、柱状ハニカム構造部11に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率が、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。
【0020】
セル18の延伸方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらのなかでも、構造強度及び加熱均一性を両立させやすいという観点から、四角形及び六角形が好ましい。
【0021】
セル18を区画形成する隔壁19の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.15~0.25mmであることがより好ましい。本発明において、隔壁19の厚みは、セル18の延伸方向に垂直な断面において、隣接するセル18の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁19を通過する部分の長さとして定義される。
【0022】
柱状ハニカム構造部11は、セル18の流路方向に垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排気ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度は、外周壁12部分を除く柱状ハニカム構造部11の一つの底面部分の面積でセル数を除して得られる値である。
【0023】
柱状ハニカム構造部11の外周壁12を設けることは、柱状ハニカム構造部11の構造強度を確保し、また、セル18を流れる流体が外周壁12から漏洩するのを抑制する観点で有用である。具体的には、外周壁12の厚みは好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.15mm以上、更により好ましくは0.2mm以上である。但し、外周壁12を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁19との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下することから、外周壁12の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁12の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁12の箇所をセルの延伸方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁12の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0024】
隔壁19は多孔質としてもよい。多孔質とする場合、隔壁19の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることが更に好ましい。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0025】
柱状ハニカム構造部11の隔壁19の平均細孔径は、2~15μmであることが好ましく、4~8μmであることが更に好ましい。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0026】
(1-2.電極層)
柱状ハニカム構造部11の中心軸を挟んで、外周壁12の外面上において、セル18の流路方向に帯状に延びるように、一対の電極層13a、13bが設けられている。一対の電極層13a、13bがこのように設けられていることで、柱状ハニカム構造部11の均一発熱性を高めることができる。電極層13a、13bは、柱状ハニカム構造部11の両底面間の80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが、電極層13a、13bの軸方向へ電流が広がりやすいという観点から望ましい。
【0027】
電極層13a、13bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。電極層13a、13bの厚みは、厚みを測定しようとする箇所をセル18の延伸方向に垂直な断面で観察したときに、電極層13a、13bの外面の当該測定箇所における接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0028】
電極層13a、13bの電気抵抗率を柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率より低くすることにより、電極層13a、13bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がセル18の流路方向及び周方向に広がりやすくなる。電極層13a、13bの電気抵抗率は、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の電気抵抗率の差が大きくなりすぎると、対向する電極層の端部間に電流が集中して柱状ハニカム構造部11の発熱が偏ることから、電極層13a、13bの電気抵抗率は、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。本発明において、電極層13a、13bの電気抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
【0029】
電極層13a、13bの材質は、導電性セラミックス、金属、又は金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属よりなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。導電性セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)が挙げられ、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。電極層13a、13bの材質としては、上記の各種金属及び導電性セラミックスの中でも、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材との組合せとすることが、柱状ハニカム構造部11と同時に焼成できるので製造工程の簡素化に資するという理由により好ましい。
【0030】
(1-3.スリット)
柱状ハニカム構造部11のセル18の流路方向に垂直な断面において、領域S内に、外周壁12にわたらない線状のスリット21a、21b、21cが設けられている。このような線状のスリットを有することにより、ハニカム構造体10の端面のクラックを抑制することができる。具体的には、車が急ブレーキをかけた際には高温のハニカム構造体に急に冷風があたって、ハニカム構造部のセルの流路方向で熱膨張差が発生し、それによって、ハニカム構造体の端面でクラックが発生しやすい。そこで、上記の線状のスリットを設けることによって、応力が緩和されて、熱膨張差の低減につながっていると考えられる。また、領域S内に上記の線状のスリットを設け、中心線Pに対するスリットの傾きの絶対値を60度以下の範囲内とすることで、スリットを設けても通電抵抗が上昇しないことにより、均一な発熱分布が得られると考えている。なお、本発明において、線状のスリットは、図1、2で示すような連続したスリット21a、21b、21cであってもよく、後述の図6(A)及び図6(B)に示すスリット22aのように、所々、途切れて分割されているが、全体として線状であってもよい。
【0031】
図1及び図2において、スリット21a、21b、21cは、柱状ハニカム構造部11における位置を示すものであり、細長状であれば、形状は特に限定されない。例えば、スリット21a、21b、21cは、隣接するセル同士が、間の隔壁19が除去されて連結して生じるような形状のスリット21a、21b、21cとなっていてもよい。スリット21a、21b、21cは、柱状ハニカム構造部11の一方の端面に設けられていてもよく、セルの延伸方向に当該スリットが延びて両方の端面にスリットが設けられている形態であってもよい。
【0032】
図3は、「領域S」、「中心軸O」及び「中心線P」を説明するための断面模式図であり、セル18、隔壁19、及び、スリット21a、21b、21cの図示は省略されている。上記領域Sは、図3に示すように、中心線Pに平行、かつ、中心軸Оから外周壁12までの長さの4/5の距離だけ中心線Pから離れた直線を直線Q1、Q2図3において、それぞれ点線で示している)としたとき、直線Q1、Q2と外周壁12とで区画される領域である。
【0033】
中心線P(図3において、点線で示している)は、柱状ハニカム構造部11のセル18の流路方向に垂直な断面において、一対の電極層13a、13bの一方の電極層13aの両端部を結ぶ線分27(図3において、点線で示している)の中点Mから、柱状ハニカム構造部11の中心軸Oを通り、一対の電極層13a、13bの他方の電極層13bまで延びる直線を示す。
【0034】
図1及び図2では、柱状ハニカム構造部11のセル18の流路方向に垂直な断面において、領域S内に、3つのスリット21a、21b、21cが設けられている例を示している。スリット21aは中心線P上を通り、スリット21b、21cは、それぞれスリット21aと平行に延びるように設けられている。
なお、本発明の実施形態におけるハニカム構造体に設けられた線状スリットは、直線状に延びるスリットから、一部分岐したスリットが存在するようなスリットの形態は含まない。すなわち、本発明の実施形態におけるハニカム構造体に設けられた線状スリットは分岐していないスリットである。
【0035】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体10は、上述のように、上記領域S内に線状のスリット21a、21b、21cが設けられているため、耐熱衝撃性が向上し、クラックの発生を抑制することができる。また、スリット21a、21b、21cは、それぞれ、中心線Pに対するスリット21a、21b、21cの傾きの絶対値が60度以下(0度以上60度以下)の範囲内に制御されているため、ハニカム構造体10の抵抗や電流経路の変化が抑えられ、通電による発熱分布の変化を抑制することができる。中心線Pに対するスリット21a、21b、21cの傾きの絶対値は、ハニカム構造体10の抵抗や電流経路の変化をより抑制するという観点から、45度以下であるのが好ましく、30度以下であるのがより好ましい。
【0036】
上述の、中心線Pに対するスリット21a、21b、21cの傾きの絶対値について、図10(A)、(B)を用いて説明する。図10(A)に示すスリット21aは、中心線Pに対して、反時計回りにθ度傾いている。図10(B)に示すスリット21aは、中心線Pに対して、時計回りにθ度傾いている。本発明において、このような中心線Pに対して反時計回りに傾いている角度及び時計回りに傾いている角度を、いずれも、中心線Pに対するスリット21a、21b、21cの傾きの絶対値(θ)としている。
【0037】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体10は、スリット21a、21b、21cを設ける端面を、排気ガス流れの上流側に設けるのが好ましい。このような構成によれば、より高温の排気ガスが通過する端面にスリット21a、21b、21cが形成されていることになり、熱衝撃を良好に緩和することができ、クラック発生をより良好に抑制することができる。
【0038】
スリット21a、21b、21cの、柱状ハニカム構造部11の外径に対する長さの割合は、25~99%であるのが好ましい。スリット21a、21b、21cの、柱状ハニカム構造部11の外径に対する長さの割合が25%以上であると、熱衝撃をより良好に緩和することができ、クラック発生をより良好に抑制することができる。
【0039】
スリット21a、21b、21cの、ハニカム構造体10における一方の端面からのセル18の流路方向における深さが、柱状ハニカム構造部11の全長の30%以上であるのが好ましい。スリット21a、21b、21cの当該深さが、柱状ハニカム構造部11の全長の30%以上であると、より耐熱衝撃性が向上する。スリット21a、21b、21cの当該深さは、柱状ハニカム構造部11の全長の30~100%であるのがより好ましく、50~100%であるのが更により好ましく、70~100%であるのが更により好ましい。
【0040】
スリット21a、21b、21cは、セル18を含むように形成されていてもよく、隔壁19のみに形成されていてもよい。スリット21a、21b、21cがセル18を含むように形成されていると、隣接するセル18の間の隔壁19を除去するのみで、複数のセル18が連結した構造のスリットを形成することができ、製造効率が良好となる。
【0041】
スリットの数は特に限定されず、図1、2に示すように、柱状ハニカム構造部11のセル18の流路方向に垂直な断面において、スリット21a、21b、21cが、互いに独立して複数設けられていてもよく、図4に示すように、1本のスリット21aのみが形成されていてもよい。なお、図4に記載されたスリット21aは、柱状ハニカム構造部11のセル18の流路方向に垂直な断面における位置を示すものであり、スリット21aの形状は特に限定されない。これは、後述の図5~10に記載された各スリットについても同様である。
【0042】
スリットは、2本、または、4本以上が独立して形成されていてもよい。スリットが複数本、独立して形成されていることで、ハニカム構造体10におけるクラックの発生を良好に制御することができる。また、スリットの幅は特に限定されない。例えば、スリットが、隣接するセル同士で、間の隔壁19が除去されて連結して生じるような形状である場合、当該スリットの幅はセル18の幅と同程度に形成される。または、スリットの幅を、セル18の幅より小さく、または大きく形成してもよい。各スリットの幅は、特に限定されないが、1~10mmであってもよい。各スリットの幅は、ハニカム構造体10の大きさ、材質、用途、及び、スリットの本数や長さ等によって適宜調整可能である。
【0043】
図1、2及び4に示す例では、スリット21aが、柱状ハニカム構造部11のセル18の流路方向に垂直な断面において、柱状ハニカム構造部11の中心軸Oを通っているが、これに限られず、図5に示すように、中心軸Oを通らないスリット21b、21cのみで構成されていてもよい。
【0044】
本発明の実施形態において、柱状ハニカム構造部11のセル18の流路方向に垂直な断面において、スリットが、柱状ハニカム構造部11の中心部を通ることが好ましい。当該中心部は、柱状ハニカム構造部11の中心軸Oから外周壁12までの距離の1/3の領域である。このような構成によれば、ハニカム構造体10の抵抗や電流経路の変化をより良好に抑制することができる。当該中心部は、柱状ハニカム構造部11の中心軸Oから外周壁12までの距離の1/4の領域であるのがより好ましく、1/5の領域であるのがより好ましい。
【0045】
図6(A)、(B)に示すように、線状のスリット22aが、スリット22aが延びる方向に沿って、分割して設けられていてもよい。図6(A)では、同程度の長さのスリットに分割されており、図6(B)では、長さの異なるスリットに分割されている。スリットを分割して形成することで、ハニカム構造体10におけるクラックの発生を良好に制御することができる。スリット22aの分割数は特に限定されず、2つ、3つ、または、4つ以上に分割して形成されていてもよい。また、分割して形成されたスリットと、分割していないスリットとの混合による、複数本のスリットが設けられていてもよい。
【0046】
図7に示すように、柱状ハニカム構造部11は、外周壁12にセル18の流路方向に延びる外周スリット23a~23hをさらに有し、スリット21aと、外周スリット23a~23hとが独立して存在していてもよい。スリット21aに加えて、更に外周スリット23a~23hを形成することで、耐熱衝撃性がより向上する。図7では、中心線Pの延長線上に外周スリット23a及び23eが形成されている。また、柱状ハニカム構造部11のセル18の流路方向に垂直な断面において、外周スリット23a及び23eが中心軸Oからそれぞれ0度、180度の方向の外周壁12に形成されているとすると、外周スリット23c、23gは、中心軸Oからそれぞれ、90度、270度の方向の外周壁12に形成されており、外周スリット23b、23d、23f、23hは、中心軸Oからそれぞれ、60度、120度、240度、300度の方向の外周壁12に形成されている。また、外周スリット23a、23eは、いずれも、電極層13a、13bまで延びており、これによって電極層13a、13bがそれぞれ分割されている。また、スリットが分割したものであっても、同様に、外周スリットを設けてもよい。このようなハニカム構造体として、図8(A)、(B)では、上述の図6(A)、(B)で示した分割したスリット22aが形成されたハニカム構造体において、同様に、外周スリット23a~23hが設けられた構成を示している。
【0047】
外周スリット23a~23hの幅は、特に限定されないが、1~10mmであってもよい。外周スリット23a~23hの幅は、ハニカム構造体10の大きさ、材質、用途、及び、外周スリット23a~23hの本数や長さ等によって適宜調整可能である。
【0048】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体10は、スリット21a、21b、21c、22a内の空間の少なくとも一部に充填材が設けられていてもよい。このように、スリット21a、21b、21c、22a内の空間の少なくとも一部に充填材が設けられることにより、ハニカム構造体10のアイソスタティック強度が向上する。「少なくとも一部」に充填する場合、スリット21a、21b、21c、22aの深さ方向における「一部」に充填してもよく、スリット21a、21b、21c、22aの長さ方向における「一部」に充填してもよく、これらの組合せでもよい。また、スリット21a、21b、21c、22a内の空間の全てに充填材を設けてもよい。
【0049】
充填材は、柱状ハニカム構造部11の主成分が炭化珪素、又は炭化珪素-金属珪素複合材である場合、炭化珪素を20質量%以上含有することが好ましく、20~50質量%含有することが更に好ましい。これにより、充填材の熱膨張係数を、柱状ハニカム構造部11の熱膨張係数に近い値にすることができ、ハニカム構造体10の耐熱衝撃性を向上させることができる。充填材は、シリカ、アルミナ等を50質量%以上含有するものであってもよい。
【0050】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体10において、充填材のヤング率は、0.001~20GPaであることが好ましく、0.005~15GPaであることが更に好ましく、0.01~10GPaであることが特に好ましい。充填材のヤング率が0.001GPa以上であると、ハニカム構造体10の機械的強度が良好となる。充填材のヤング率が20GPa以下であると、ハニカム構造体10の耐熱衝撃性が良好となる。
【0051】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体10において、充填材の電気抵抗率は、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の100~100000%であることが好ましい。また、充填材の電気抵抗率は、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の200~100000%であることが更に好ましく、300~100000%であることが特に好ましい。充填材の電気抵抗率が、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の100%以上であると、充填材に電流が流れ難くなるため、柱状ハニカム構造部11に均一に電流を流すことが容易となる。充填材の電気抵抗率は、高くても特に問題はない。充填材は絶縁体であってもよい。充填材の電気抵抗率は、実際には、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の100000%程度が上限となる。充填材としては、複数種の充填材を併用してもよい。例えば、1本のスリットの中で部位によって使い分けたり、スリットによって使い分けたりすることができる。
【0052】
(2.電気加熱式担体)
図9は、本発明の実施形態における電気加熱式担体30のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。電気加熱式担体30は、ハニカム構造体10と、ハニカム構造体10の電極層13a、13bに電気的に接続された金属電極33a、33bとを備えている。
【0053】
(2-1.金属電極)
金属電極33a、33bは、ハニカム構造体10の電極層13a、13b上に設けられている。金属電極33a、33bは、一方の金属電極33aが、他方の金属電極33bに対して、柱状ハニカム構造部11の中心軸を挟んで対向するように配設される一対の金属電極であってもよい。金属電極33a、33bは、電極層13a、13bを介して電圧を印加すると通電してジュール熱により柱状ハニカム構造部11を発熱させることが可能である。このため、電気加熱式担体30はヒーターとしても好適に用いることができる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、64~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
【0054】
金属電極33a、33bの材質としては、金属であれば特段の制約はなく、単体金属及び合金等を採用することもできるが、耐食性、電気抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。金属電極33a、33bの形状及び大きさは、特に限定されず、電気加熱式担体30の大きさや通電性能等に応じて、適宜設計することができる。
【0055】
電気加熱式担体30に触媒を担持することにより、電気加熱式担体30を触媒体として使用することができる。ハニカム構造体10の複数のセル18の流路には、例えば、自動車排気ガス等の流体を流すことができる。触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はこれら以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒からなる群から選択される2種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、従来、ハニカム構造体に触媒を担持する担持方法に準じて行うことができる。
【0056】
(3.ハニカム構造体の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るハニカム構造体10を製造する方法について例示的に説明する。本発明の実施形態に係るハニカム構造体10の製造方法は一実施形態において、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を得る工程A1と、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を焼成してハニカム構造体を得る工程A2とを含む。
【0057】
工程A1は、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を得る工程である。
まず、外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部を準備する。
次に、柱状ハニカム構造部の端面から線状のスリットとなるように隔壁を取り除くことにより、線状のスリットを形成する。なお、線状のスリットは、ハニカム構造部を焼成した後に、加工によって隔壁を除去することでも形成することができる。
次に、未焼成ハニカム構造部の所定領域に、電極層形成ペーストを塗布する。これによって、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部が得られる。
【0058】
工程A1の柱状ハニカム構造部の作製としては、まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素粉末の質量との合計に対して、金属珪素粉末の質量が10~40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)における金属珪素粒子の平均粒子径は、2~35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。なお、これは、工程A1の柱状ハニカム構造部の材質を、珪素-炭化珪素系複合材とする場合の成形原料の配合であり、当該材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
【0059】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
【0060】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
【0061】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
【0062】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
【0063】
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成した後、坏土を成形(例えば、押出成形)してハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム成形体の両底部を切断して所望の長さとすることができる。乾燥後のハニカム成形体をハニカム乾燥体と呼ぶ。
【0064】
工程A1における、電極層を形成するための電極層形成ペーストの調合について説明する。電極層形成ペーストは、電極層の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、及び/又は、セラミックス粉末等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。電極層を積層構造とする場合、第一の電極層用のペースト中の金属粉末の平均粒子径に比べて、第二の電極層用のペースト中の金属粉末の平均粒子径を大きくすることにより、金属端子と電極層の接合強度が向上する傾向にある。金属粉末の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0065】
電極層形成ペーストを調合する方法、及び電極層形成ペーストをハニカム成形体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極層をハニカム構造部に比べて低い電気抵抗率にするために、ハニカム構造部よりも金属の含有比率を高めたり、金属粒子の粒径を小さくしたりすることができる。
【0066】
柱状ハニカム構造体の製造方法の変更例として、工程A1において、電極層形成ペーストを塗布する前に、ハニカム成形体を一旦焼成してもよい。すなわち、この変更例では、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製し、当該ハニカム焼成体に、電極層形成ペーストを塗布する。
【0067】
工程A2では、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を焼成して、ハニカム構造体10を得る。焼成を行う前に、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を乾燥してもよい。また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。焼成条件としては、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200~1350℃で、1~10時間、酸化処理を行うことが好ましい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。
【0068】
(4.電気加熱式担体の製造方法)
本発明の実施形態に係る電気加熱式担体30の製造方法は一実施形態において、ハニカム構造体10の電極層上に、金属電極を固定する。固定方法としては、例えば、レーザー溶接、溶射、超音波溶接など、従来知られている方法が挙げられる。より具体的には、ハニカム構造体10の柱状ハニカム構造部の中心軸を挟んで、電極層の外面上において、一対の金属電極を設ける。このようにして、本発明の実施形態に係る電気加熱式担体30が得られる。
【0069】
(5.排気ガス浄化装置)
上述した本発明の実施形態に係る電気加熱式担体30は、排気ガス浄化装置に用いることができる。当該排気ガス浄化装置は、電気加熱式担体30と、当該電気加熱式担体30を保持する金属製の筒状部材とを有する。排気ガス浄化装置において、電気加熱式担体30は、エンジンからの排気ガスを流すための排気ガス流路の途中に設置される。排気ガス浄化装置において、柱状ハニカム構造部11の一方の端面が、排気ガス流れの上流側に設けられていることが好ましい。このような構成によれば、より高温の排気ガスが通過する端面にハニカム構造体10のスリット21a、21b、21cが形成されていることになり、熱衝撃を良好に緩和することができ、クラック発生をより良好に抑制することができる。
【実施例0070】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0071】
<実施例1>
(1.坏土の作製)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。そして、セラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部とした。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0072】
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの流路方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状ハニカム成形体を得た。このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、ハニカム乾燥体を作製した。
次に、ハニカム乾燥体の端面から線状のスリットとなるように隔壁を取り除くことにより、線状のスリットを形成した。
【0073】
(3.電極層形成ペーストの調製)
金属珪素(Si)粉末、炭化珪素(SiC)粉末、メチルセルロース、グリセリン、及び水を、自転公転攪拌機で混合して、電極層形成ペーストを調製した。Si粉末、及びSiC粉末は体積比で、Si粉末:SiC粉末=40:60となるように配合した。また、Si粉末、及びSiC粉末の合計を100質量部としたときに、メチルセルロースは0.5質量部であり、グリセリンは10質量部であり、水は38質量部であった。金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素粉末の平均粒子径は35μmであった。これらの平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0074】
(4.電極層形成ペーストの塗布及び焼成)
次に、この電極層形成ペーストを曲面印刷機によって、ハニカム乾燥体に対して適切な面積及び膜厚で塗布し、さらに熱風乾燥機で120℃、30分乾燥した。
次に、「スリットを形成した電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体」に充填材用原料を、箆(へら)を用いて充填し、「充填材用原料付きハニカム乾燥体」を得た。その後、「充填材用原料付きハニカム乾燥体」を70℃で乾燥した。その後、このハニカム乾燥体をAr雰囲気にて1400℃で3時間焼成し、柱状ハニカム構造体とした。充填材用原料は、電極部形成原料と同じ組成とした。
【0075】
柱状ハニカム構造体は、底面が外径(直径)100mmの円形であり、高さ(セルの流路方向における長さ)が100mmであり、外周壁の厚みは0.5mmであった。セル密度は93セル/cm2であり、隔壁の厚みは101.6μmであり、隔壁の気孔率は45%であり、隔壁の平均細孔径は8.6μmであった。電極層の厚みは0.3mmであった。
【0076】
実施例1で形成されたスリットは、柱状ハニカム構造体のセルの流路方向に垂直な断面において、上述の領域S内に、外周壁にわたらずに線状に設けた。
実施例1のスリットの幅は1mm、長さは99mmであり、柱状ハニカム構造体の外径(直径)に対するスリットの長さの割合は、99%であった。
実施例1の上述の中心線Pに対するスリットの傾きの絶対値は0度であった。
また、スリットの、柱状ハニカム構造体における一方の端面からのセルの流路方向における深さの割合は、100%とした。
【0077】
<実施例2>
スリットの幅を3mmとした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0078】
<実施例3>
柱状ハニカム構造体の外径に対するスリットの長さの割合を80%とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0079】
<実施例4>
柱状ハニカム構造体の外径に対するスリットの長さの割合を60%とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0080】
<実施例5>
柱状ハニカム構造体の外径に対するスリットの長さの割合を80%とし、スリットの、柱状ハニカム構造体における一方の端面からのセルの流路方向における深さの割合を60%とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0081】
<実施例6>
柱状ハニカム構造体の外径に対するスリットの長さの割合を80%とし、上述の中心線Pに対するスリットの傾きの絶対値を30度とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0082】
<実施例7>
柱状ハニカム構造体の外径に対するスリットの長さの割合を80%とし、上述の中心線Pに対するスリットの傾きの絶対値を60度とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0083】
<実施例8>
スリットを、略等間隔にミシン目のように部分的に途切れた線状とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0084】
<実施例9>
スリットを、柱状ハニカム構造体の中心部では連続し、外周付近ではミシン目のように部分的に途切れた線状とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0085】
<実施例10>
実施例3のスリットに対し、当該スリットの両脇において、当該スリットに平行して等間隔に離間した、それぞれ1本のスリットを設けた以外は、実施例3と同様にサンプルを作製した。当該スリット(表1の「中央」)に平行して等間隔に離間して設けられた各スリット(表1の「外側」)については、柱状ハニカム構造体の外径に対するスリットの長さの割合を60%とした。
【0086】
<比較例1>
スリットを設けなかった以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0087】
<比較例2>
上述の中心線Pに対するスリットの傾きの絶対値を90度とした以外は、実施例3と同様にサンプルを作製した。
【0088】
図11に、実施例1~10及び比較例1~2におけるスリットの配置形態を示すハニカム構造体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図を示す。実施例1~10のスリットは、いずれも上述の領域S内に形成されている。また、表1に、実施例1~10及び比較例1~2におけるハニカム構造部及びスリットの各構成を示す。
【0089】
(5.通電抵抗)
実施例1~10及び比較例1~2の各サンプルに対し、外周面に銀ペーストを塗布し、配線して通電できるようにした。次に、サンプルに電圧印加電流測定装置をつないだ。次に、サンプルの中央部に熱電対を設置して、電圧を印加し、電圧印加時の試験片温度の経時変化をレコーダーにて確認した。具体的には、100~200Vの電圧を印加し、サンプル温度が400℃の状態における電流値及び電圧値を測定し、得られた電流値及び電圧値から通電抵抗(Ω)を算出した。
【0090】
(6.通電性能)
実施例1~10及び比較例1~2の各サンプルに対し、200Vの電圧を印加し、通電試験を行った。そして、その際のサンプルの最高温度を測定した。本試験では、最高温度が高いほど、発熱に偏りがあることを意味し、通電時にクラックが発生しやすくなる。
【0091】
(7.耐熱衝撃性試験)
サンプルを収納する金属ケースと、当該金属ケース内に加熱ガスを供給することができるプロパンガスバーナーと、を備えたプロパンガスバーナー試験機を用いてサンプルの加熱冷却試験を実施した。上記加熱ガスは、ガスバーナー(プロパンガスバーナー)でプロパンガスを燃焼させることにより発生する燃焼ガスとした。そして、上記加熱冷却試験によって、サンプルにクラックが発生するか否かを確認することにより、耐熱衝撃性を評価した。具体的には、まず、プロパンガスバーナー試験機の金属ケースに、得られたサンプルを収納(キャニング)した。そして、金属ケース内に、プロパンガスバーナーにより加熱されたガス(燃焼ガス)を供給し、ハニカム構造体内を通過するようにした。金属ケースに流入する加熱ガスの温度条件(入口ガス温度条件)を以下のようにした。まず、5分で指定温度まで昇温し、指定温度で10分間保持し、その後、5分で100℃まで冷却し、100℃で10分間保持した。このような昇温、冷却、保持の一連の操作を「昇温、冷却操作」と称する。その後、サンプルのクラックを確認した。そして、指定温度を825℃から25℃ずつ上昇させながら上記「昇温、冷却操作」を繰り返した。指定温度は、825℃から25℃ずつ、14段階設定した。つまり、上記「昇温、冷却操作」は、指定温度が1150℃になるまで行った。指定温度が高くなると昇温峻度が大きくなり、中心部に対して外周部の昇温が遅れることにより、中心部と外周部の温度差が拡大し、発生応力が大きくなる。表1において、「耐熱衝撃性試験」の欄は、耐熱衝撃性試験において、ハニカム構造体にクラックが発生したときの指定温度を示している。
試験条件及び評価結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
(8.考察)
実施例1~10のサンプルは、それぞれ、柱状ハニカム構造体の断面における上述の領域S内に、外周壁にわたらずに、分岐していないスリットが設けられており、中心線Pに対するスリットの傾きの絶対値θが60度以下であった。このため、いずれも通電性能が良好となり、耐熱衝撃性が良好であった。
比較例1は、スリットを設けておらず、耐熱衝撃性が不良であった。
比較例2は、中心線Pに対するスリットの傾きの絶対値θが90度であり、通電性能が不良であった。
【符号の説明】
【0094】
10 ハニカム構造体
11 柱状ハニカム構造部
12 外周壁
13a、13b 電極層
18 セル
19 隔壁
21a、21b、21c スリット
22a スリット
23a、23b、23c、23d、23e、23f、23g、23h 外周スリット
30 電気加熱式担体
33a、33b 金属電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11