(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111779
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】組立品及び板状部材
(51)【国際特許分類】
B65D 19/34 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
B65D19/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007431
(22)【出願日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】591108248
【氏名又は名称】カミ商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518394466
【氏名又は名称】オーシャンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】星川 裕子
(72)【発明者】
【氏名】福田 昌穂
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063AA04
3E063BA10
3E063CA04
3E063CA05
3E063CA06
3E063CA11
3E063CA13
3E063EE03
(57)【要約】
【課題】段ボールシートで組み立てられる組立品及び板状部材において、寸法の自由度を高める。
【解決手段】組立品10は、複数の半製品100、200で構成される。半製品100、200は、具体的には底部半製品100と上部半製品200とである。二つの底部半製品100と二つの上部半製品200とで一つの組立品10が構築される。組立品10は、運搬用差込口33と運搬用差込口133とを備える。運搬用差込口33は、底部半製品100の側面部30に設けられる。運搬用差込口133は、上部半製品200の側面部130に設けられる。各々の半製品100、200は、折り畳み自在な板状部材である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールシートを折り畳むことで構築される複数の底部半製品及び複数の上部半製品を備え、
前記底部半製品及び前記上部半製品のそれぞれは、
前記段ボールシートの山折りによって各々の半製品の面内をのびるように構築され、長さ方向の途中に切込部が設けられた支柱部と、
前記段ボールシートの外周側に前記支柱部と並列に設けられ、前記支柱部の突方向と同じ方向へ折り畳まれ、運搬用差込口が設けられた側面部と、
を有し、
各々の前記側面部が外側に位置するように前記複数の底部半製品と前記複数の上部半製品とがそれぞれ面方向に並べられ、前記複数の底部半製品の前記支柱部と前記複数の上部半製品の前記支柱部とが互いに直交しつつ対向させられ、且つ対向した前記支柱部の前記切込部が嵌り合うことで組み立てられた組立品。
【請求項2】
前記上部半製品及び前記底部半製品のそれぞれは、前記側面部とは反対側に設けられた半支柱部を、さらに有し、
前記半支柱部は、前記支柱部と並列にのび、前記支柱部の突方向と同じ方向へ折り畳まれ、且つ長さ方向の途中に切込部が設けられ、
各々の前記半支柱部を突き当てるように前記複数の底部半製品と前記複数の上部半製品とが面方向に並べられ、
対向した前記支柱部の前記切込部が嵌り合うときに、突き当てられた複数の前記半支柱部が重なった状態で対向する前記半支柱部および前記支柱部の前記切込部に嵌り合う請求項1に記載の組立品。
【請求項3】
前記複数の上部半製品が連結した上面と前記複数の底部半製品が連結した底面とのうち少なくとも一方の面に重ねられ、前記少なくとも一方の面の全部または一部を覆うようにひろがりながら面方向に並ぶ各々の半製品に固定される補強部材を、さらに備える請求項1または2に記載の組立品。
【請求項4】
前記補強部材は、前記複数の上部半製品が連結した上面に重ねられ、当該上面の全部を覆うようにひろがり、前記複数の上部半製品の双方に固定される上面補強部材を、
含む請求項3に記載の組立品。
【請求項5】
前記支柱部は、前記支柱部の両脇の面を寄せ合うように前記段ボールシートを折り畳むことで構築され、
前記底部半製品及び前記上部半製品のそれぞれは、前記支柱部を少なくとも二列ずつ備える請求項1~4のいずれか1項に記載の組立品。
【請求項6】
前記底部半製品は、窓部を備え、
前記窓部は、前記運搬用差込口にハンドリフトのフォークを差し込んだときに前記フォークに設けられたリフトホイールを下方へ通すように構築された請求項1~5のいずれか1項に記載の組立品。
【請求項7】
折り畳まれることで半製品となり、前記半製品を複数個組み合わせることで組立品が構築される、段ボールシート製の板状部材であって、
前記板状部材は、
段ボールシートの山折りに応じて前記半製品の面内をのびるように構築され、長さ方向の途中に切込部が設けられた支柱部と、
前記段ボールシートの外周側に前記支柱部と並列に設けられ、運搬用差込口が設けられ、前記支柱部の突方向と同じ方向へ折り畳まれることで前記半製品の側面となる側面部と、
を有し、
各々の前記側面部が外側に位置するように複数の前記半製品がそれぞれ面方向に並べられ、複数の前記半製品の前記支柱部と他の複数の半製品の支柱部とが互いに直交しつつ対向させられ、且つ対向した前記支柱部の前記切込部が嵌り合うことで組立品を構成しうる板状部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組立品及び板状部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-75734号公報には、板状部材を組み立てた組立品が記載されている。当該公報の組立品は、上部半製品と下部半製品とを組み合わせて一体化したものである。各々の半製品は、一枚の板状部材を折り畳むことで構築されている。板状部材の材質として、段ボールシートが例示されている。当該公報では、組立品の用途として、物品の運搬に用いるパレットが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現実の段ボール製造場面では、製造技術上の制約によって、製作可能な段ボールシート寸法に制限がある。具体的には、例えば、製造設備であるコルゲータの仕様によって、一定サイズを超える段ボールシートを製作しにくい。その結果、組立品の大きさが限定されてしまう問題があった。
【0005】
本開示は、段ボールシートで組み立てられる組立品及び板状部材において、寸法の自由度を高める技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
組立品の一態様は、段ボールシートを折り畳むことで構築される複数の底部半製品及び複数の上部半製品を備え、前記底部半製品及び前記上部半製品のそれぞれは、前記段ボールシートの山折りによって各々の半製品の面内をのびるように構築され、長さ方向の途中に切込部が設けられた支柱部と、前記段ボールシートの外周側に前記支柱部と並列に設けられ、前記支柱部の突方向と同じ方向へ折り畳まれ、運搬用差込口が設けられた側面部と、を有し、各々の前記側面部が外側に位置するように前記複数の底部半製品と前記複数の上部半製品とがそれぞれ面方向に並べられ、前記複数の底部半製品の前記支柱部と前記複数の上部半製品の前記支柱部とが互いに直交しつつ対向させられ、且つ対向した前記支柱部の前記切込部が嵌り合うことで組み立てられたものである。
【0007】
板状部材の一態様は、折り畳まれることで半製品となり、前記半製品を複数個組み合わせることで組立品が構築される、段ボールシート製の板状部材であって、前記板状部材は、前記段ボールシートの山折りに応じて前記半製品の面内をのびるように構築され、長さ方向の途中に切込部が設けられた支柱部と、前記段ボールシートの外周側に前記支柱部と並列に設けられ、運搬用差込口が設けられ、前記支柱部の突方向と同じ方向へ折り畳まれることで前記半製品の側面となる側面部と、を有し、各々の前記側面部が外側に位置するように複数の前記半製品がそれぞれ面方向に並べられ、複数の前記半製品の前記支柱部と他の複数の半製品の支柱部とが互いに直交しつつ対向させられ、且つ対向した前記支柱部の前記切込部が嵌り合うことで組立品を構成しうるものである。
【発明の効果】
【0008】
複数の半製品が連結することで面方向サイズが拡張されるので、組立品の寸法自由度を飛躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態の少なくとも1つに対応する、組み立てられた組立品を示す図である。
【
図2】実施の形態の少なくとも1つに対応する、半製品を示す図である。
【
図3】実施の形態の少なくとも1つに対応する、他の半製品を示す図である。
【
図4】実施の形態の少なくとも1つに対応する、上部半製品及び底部半製品の組み合わせを説明する図である。
【
図5】実施の形態の少なくとも1つに対応する、上部半製品及び底部半製品の組み合わせを説明する図である。
【
図6】実施の形態の少なくとも1つに対応する、補強部材を説明する図である。
【
図7】実施の形態の少なくとも1つに対応する、補強部材を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態の説明で「面方向」と述べた場合には、「折り畳まれていない段ボールシート状態の半製品(つまり板状部材)の平面と平行な方向」を意味する。面方向と垂直に、段ボールシートの厚さ方向が規定される。段ボールシートが折り畳まれて半製品が構築されたとき、半製品は、面方向と垂直な高さ方向に沿って一定の寸法を持つ。実施の形態の半製品は、「高さ方向に比して面方向の寸法が大きい平板状構造体」である。
【0011】
図1に示す実施の形態の組立品10は、一例として物品を移動するパレットである。組立品10は、複数の半製品100、200で構成される。半製品100、200は、具体的には底部半製品100と上部半製品200とである。実施の形態では、一例として、二つの底部半製品100と二つの上部半製品200とで一つの組立品10が構築される。実施の形態の組立品10は、一例として、運搬用差込口33と運搬用差込口133とを備える。運搬用差込口33は、底部半製品100の側面部30に設けられる。運搬用差込口133は、上部半製品200の側面部130に設けられる。
【0012】
各々の半製品100、200は、折り畳み自在な板状部材である。各々の半製品100、200が波形板紙の平坦なシート(例えば、段ボール等)で形成される。段ボールは、紙製でもよく、あるいは樹脂製(例えばポリプロピレン樹脂製など)でもよい。段ボールシートの種類は、用途に応じて任意のものを使用してもよい。段(フルート)は、A段、B段、C段、あるいはE段などでもよい。また、片面段ボール、両面段ボール(シングル)、複数両面段ボール(W:ダブル)、あるいは複々両面段ボール(トリプル)から任意に選択されてもよい。
【0013】
図2に示すように、底部半製品100は、端部20と側面部30と側部パネル40と中央パネル50と支柱部61、62、81、82と、半支柱部71、72と、端部パネル90とを含んでいる。
図2に示されるようにこれら各々の構成部が並列配置されることで一つの底部半製品100が構築されている。実施の形態では底部半製品100に対して二列の支柱部が設けられていて、そのうち一列は支柱部61、62からなる列であり、もう一列は支柱部81、82からなる一列である。一つの底部半製品100において半支柱部71、72が一列をなしている。二つの底部半製品100を面方向に突合せた際に、突合せられた半支柱部71、72同士が一列の支柱部を構築する。
【0014】
側面部30は、複数の折り畳み差込部31と、複数の突片差込口32と、運搬用差込口33とを含む。折り畳み差込部31は、側面部30の両端それぞれに設けられる。折り畳み差込部31は、他の半製品と組み合わせる際に折り畳んで用いられる。突片差込口32は、側面部30の両端それぞれであって、折り畳み差込部31よりも側面部30の内側寄りに設けられる。突片差込口32は、他の半製品が備える突片部を差し込み可能である。運搬用差込口33は、物体の運搬において使用される。実施の形態では、運搬用差込口33が、各々がフラップ状である4つの運搬用差込口33a、33b、33c及び33dで構成されている。一例として、一つの側面部30に対して、一つの開口となる運搬用差込口33a、33bと他の一つの開口となる運搬用差込口33c及び33dとが設けられる。
【0015】
側部パネル40は、複数の窓部41を含む。窓部41は、任意の運搬用差込口にハンドリフトのフォークを差し込んだときに、フォークに設けられたリフトホイール(ロードローラとも称される)を下方へ通す開口部である。リフトホイールが窓部41を通してその直下の地面に接することができる。なお、窓部41の寸法やフォーク間隔によっては、フォークのジャッキアップの際に、底部半製品100における窓部41周辺部がリフトホイールに接触する可能性がある。この点、実施の形態では底部半製品100が段ボールシート製なので、段ボールシートが持つ柔軟性によってその接触を受け入れつつリフトホイールを地面側へ逃がすことができる。このためハンドリフトの走行性が維持される利点がある。その一方で、ハンドリフト使用時に窓部41を使用しなくともよい場合もある。具体的には、ハンドリフトによってはフォーク全長が組立品10の平面寸法を超えるものもあり、そのような場合は一方の側の運搬用差込口から差し込んだフォークの先端が反対側の運搬用差込口を超え、その結果フォーク先端のリフトホイールが地面と接することとなる。このようにフォーク全長が長いハンドリフトでは、窓部41を使用しなくともよい場合もある。しかしながら、フォーク先端をはみ出させるために組立品10の周囲にスペースを設けなくてはならない等の欠点もある。フォーク全長の短いハンドリフトで窓部41をリフトホイールのために使用すれば、そのようなスペースが不要となる利点がある。いずれにしろ、窓部41を使用するかどうかは、どのようなハンドリフトを選択するか等を含めたユーザの選択に委ねられてもよい。
【0016】
支柱部61、62は、一つまたは複数の切込部63を備える。半支柱部71、72は、一つまたは複数の切込部73を備える。支柱部81、82は、一つまたは複数の切込部83を備える。これらの切込部63、73、83は、他の半製品との係合に用いられる。
【0017】
図3に示すように、上部半製品200は、端部120と側面部130と側部パネル140と中央パネル150と支柱部161、162、181、182と半支柱部171、172と端部パネル190とを含む。これら各々の構成部が並列配置されることで一つの上部半製品200が構築されている。実施の形態では上部半製品200に対して二列の支柱部が設けられていて、そのうち一列は支柱部161、162からなる列であり、もう一列は支柱部181、182からなる列である。一つの上部半製品200において半支柱部171、172が一列をなしている。二つの上部半製品200を面方向に突合せた際に、突合せられた半支柱部171、172同士が一列の支柱部を構築する。
【0018】
側面部130は、複数の突片部131と、複数の運搬用差込口133とを含む。突片部131は、側面部130の両端それぞれに設けられる。突片部131は、他の半製品が備える突片差込口に差し込み可能な部位である。運搬用差込口133は、物体の運搬時に使用される。実施の形態では、運搬用差込口133が、各々がフラップ状である4つの運搬用差込口133a、133b、133c及び133dで構成されている。
【0019】
支柱部161、162それぞれは、一つまたは複数の切込部163を備える。半支柱部171、172それぞれは、一つまたは複数の切込部173を備える。支柱部181、182は、一つまたは複数の切込部183を備える。これらの切込部163、173、183は、他の半製品と係合させる際に用いる切込みである。
【0020】
上部半製品200の側部パネル140、中央パネル150および端部パネル190には、運搬する物品が戴置されたり、あるいは他の組立品10が載せられたりする。底部半製品100の側部パネル40、中央パネル50、および端部パネル90は、地面と接する。
【0021】
底部半製品100及び上部半製品200の折り畳み方について説明する。底部半製品100において、支柱部61、62の両脇には、支柱部61、62を挟むように側部パネル40と中央パネル50とが伸びている。側部パネル40と中央パネル50とを寄せ合うように、支柱部61、62が、同一方向に、山折りまたは谷折りに折り畳まれる。同様に、側部パネル40と端部パネル90とを寄せ合うように、支柱部81、82が折り畳まれる。さらに、半支柱部71、72が、支柱部61、62、81、82と同じ側へ折り曲げられる。
【0022】
上部半製品200において、支柱部161、162の両脇には、支柱部161、162を挟むように側部パネル140と中央パネル150とが伸びている。側部パネル140と中央パネル150とを寄せ合うように、支柱部161、162が折り畳まれる。同様に、側部パネル140と端部パネル190とを寄せ合うように、支柱部181、182が、同一方向に、山折りまたは谷折りに折り畳まれる。さらに、半支柱部171、172が、支柱部161、162、181、182と同じ側へ折り曲げられる。この工程では、底部半製品100及び上部半製品200を折り畳むだけであり、接着剤等は使用しなくともよい。
【0023】
図4及び
図5を用いて、底部半製品100と上部半製品200との係合について説明する。
図4と
図5では、説明の便宜上、上部半製品200を図の上方に位置させている。
【0024】
図4のように、平面シート状態で複数の底部半製品100及び複数の上部半製品200が準備される。複数の底部半製品100及び複数の上部半製品200それぞれの折り畳みが実施される。
【0025】
図5に示すように、底部半製品100の折り畳まれた支柱部(以下、リブともいう)61、62、81、82及び半支柱部71、72と、上部半製品200の折り畳まれた支柱部(リブ)161、162、181、182及び半支柱部171、172とが、互いに交差した状態で組み合わせられる。
【0026】
このとき、複数の底部半製品100を面方向に半支柱部71同士で突き合わせるとともに、複数の上部半製品200を面方向に半支柱部171同士で突き合わせる。突合せた状態から、複数の底部半製品100及び複数の上部半製品200を鉛直方向に互いに嵌め合わせることで、これらが互いに係合される。前述したように、折り畳まれてリブ状となった支柱部および半支柱部それぞれに切込部が設けられる。具体的には、底部半製品100に切込部63、73、83が設けられていて、上部半製品200に切込部163、173、183が設けられている。切込部63、73、83と切込部163、173、183とが互いに嵌り合う。切込部を設けることで、接着剤を使用することなく半製品同士を組み合わせることができる。
【0027】
なお、上記の手順は一例である。面方向に並べた二つの底部半製品100に対して、上方から上部半製品200を一つずつ嵌め込む作業を繰り返してもよい。
【0028】
続いて、底部半製品100の側面部30及び上部半製品200の側面部130それぞれの折り畳み方について説明する。底部半製品100の側面部30及びその外側の端部20が折り曲げられることで、底部半製品100と上部半製品200とに挟まれた空間内部へ端部20が差し込まれる。端部20が上記内部空間へ差し込まれるときに、切込部21が、上部半製品200において折り畳まれた支柱部161、181及び半支柱部171を挟み込む。底部半製品100の側面部30には、折り畳み差込部31が設けられる。折り畳み差込部31も、折り畳まれることで、上記空間内部へ差し込まれる。この結果、端部20及び折り畳み差込部31は、底部半製品100と上部半製品200とに挟まれた空間内部に収納される。
【0029】
上部半製品200の側面部130および端部120も折り曲げられることで、底部半製品100と上部半製品200とに挟まれた空間内部へ端部120が差し込まれる。端部120が上記内部空間へ差し込まれるときに、切込部121が、底部半製品100において折り畳まれた支柱部61、81及び半支柱部71を挟み込む。
【0030】
組み立ての仕上げとして、突片部131が折り畳まれる。具体的には、側面部30に設けられた突片差込口32に、側面部130が備える突片部131を差し込む。なお、側面部30、130、折り畳み差込部31及び突片部131などの組み立てに関する具体的手順については、例えば特開2020-75734号公報における
図7、
図8及びそれらの説明事項が参照されてもよい。したがって、これ以上の説明は省略する。
【0031】
以上説明したように、実施の形態によれば、複数の半製品100、200が連結することで、組立品10の面方向サイズを拡張できる利点がある。この利点について、比較例を挙げて説明する。比較例として、仮に一枚の段ボールシートを大面積化することによって半製品の面方向サイズの拡張を試みたとする。しかし段ボールシートの大面積化には限度があり、製造設備(コルゲータ)の製造許容寸法を超えることはできない。製造設備(コルゲータ)の寸法制約は、一例として2.12mである。また、最大限に段ボールシートを大面積化したとしても、組立時の折り畳みによって面方向サイズは縮小しうる。結果的に、ここで述べた比較例では、組立品の面方向サイズを大型化しにくい。これとは対照的に、実施の形態では、各々の半製品100、200を製造許容寸法サイズ以下に抑えつつ、折り畳み後の複数の半製品100、200を面方向に並べることで組立品10の面方向サイズを拡張できる。このため、各々の半製品100、200の製造しやすさが低下することを抑制しつつ、組立品10の寸法自由度を飛躍的に高めることができる。
【0032】
実施の形態では、半支柱部71、72、171、172が設けられていることで、次の利点もある。複数の半製品100、200を面方向に並べて互いに突き合わせるときに、正確に位置決めをできる利点がある。また、二つの底部半製品100の半支柱部71、72が、対向配置された上部半製品200における共通の切込部121、163、173、183に差し込まれることで、二つの底部半製品100を連結できる利点がある。同様に、二つの上部半製品200の半支柱部171、172が、対向配置された底部半製品100における共通の切込部21、63、73、83に差し込まれることで、二つの上部半製品200を連結できる利点がある。さらに、半支柱部71、72、171、172それぞれが組立品10の強度を向上させる利点がある。
【0033】
なお、組立品10を段ボールパレットとして用いた場合、優れた耐圧強度が得られることが確認されている。具体的には、試験機「コンプレッションテスターT5-S(株式会社東洋精機製作所)」を用い、圧縮速度12mm/minで測定した際に、耐圧強度が2トン以上であるという試験結果が得られている。組立品10の段ボールシートのライナー構造は、例えば「K7A段」でもよく、あるいは「K6WF」でもよく、少なくともこれらの構造で優れた耐圧強度が得られることが判明している。
【0034】
底部半製品100と上部半製品200との寸法について説明する。
図2には、底部半製品100が折り畳まれる前の段ボールシートの状態における、幅寸法W1と長さ寸法L1とが図示されている。長さ寸法L1は、折り畳み差込部31を除いた底部半製品100の外形寸法である。
図3には、上部半製品200が折り畳まれる前の段ボールシートの状態における、幅寸法W2と長さ寸法L2とが図示されている。長さ寸法L2は、突片部131を除いた上部半製品200の外形寸法である。実施の形態では、幅寸法W1=W2であり、長さ寸法L1=L2である。一例としてW=1165mmでもよく、一例としてL1=1100mmでもよい。
【0035】
図5を見ると明らかなように、折り畳み後の底部半製品100は、幅寸法W1fを持っている。この「折り畳み後幅寸法W1f」は、
図2における、寸法W1a、W1b、W1cを合計した寸法に対応している。
図5を見ると明らかなように、折り畳み後の上部半製品200は、幅寸法W2fを持っている。この「折り畳み後幅寸法W2f」は、
図3における、寸法W2a、W2b、W2cを合計した寸法に対応している。ただし、ここでは説明の便宜上、段ボールシートの厚み分はここでは無視している。なお、一例として、W1c=W2c、W1b>W2b、且つW1a<W2aとされてもよい。
【0036】
図1及び
図5を見ると明らかなように、二つの底部半製品100が面方向に並ぶことで組立品10の底面が構築される。その一方で、二つの上部半製品200が面方向に並ぶことで組立品10の上面が構築される。組立品10の上面四辺のうち、対向する二辺は「W2fの2倍の寸法」を持ち、残りの二辺は「W1fの2倍の寸法」を持つこととなる。組立品10を平面視したときの面方向サイズは、L1×L2となる。各々の半製品100、200が持つ面方向寸法において、下記の式(1)及び式(2)の関係が成立している。
L1=W2f×2 ・・・(1)
L2=W1f×2 ・・・(2)
【0037】
組立品10を任意の面方向サイズに構築するためには、上記の寸法関係に従って、各々の半製品100、200を設計すればよい。面方向サイズのバリエーションの一例として、各々の底部半製品100を、寸法L11(ただしL11>L1)となるように構築する場合を検討する。L1からL11への寸法拡大に伴って、各々の上部半製品200の「折り畳み後幅寸法W2f」が、W22f(ただしW22f=L11/2)へと拡大される。その一方で、上部半製品200の寸法L2と底部半製品100の折り畳み後幅寸法W1fとは維持されるものとする。さらに、半製品100、200それぞれで、支柱部及び半支柱部それぞれの長さ、配置および数、並びに各々の切込部の位置および数が調節される。これにより「L11×L2」へと拡張された面方向サイズを持つ組立品10を構築できる。またL11>L2なので組立品10を平面視で長方形にできる。製造設備の仕様との関係で、幅寸法W1と長さ寸法L2とを製造許容寸法以内に収めることで、半製品100、200の製造しやすさが保たれる利点がある。また、支柱部および切込部の数を増やせば、それに応じて組立品10の強度を向上できる利点もある。
【0038】
一部の構成要素の縦横比や寸法を任意に変形することで、実施の形態の組立品10が例えばパレット、容器及び箱などの任意の用途に使用されてもよい。
【0039】
実施の形態には、次に述べる各種の変形が適用されてもよい。下記の変形群から、一種類または複数種類の任意の変形が選択されて、その変形が実施の形態にかかる組立品10に適用されてもよい。
【0040】
実施の形態の変形例として、
図6及び
図7の補強部材300がさらに設けられてもよい。
図6及び
図7の補強部材300は、具体的には、上面補強部材300である。組立品10の上面は、面方向に並ぶ複数の上部半製品200が連結した上面である。上面補強部材300は、
図6に示すように組立品10の上面に重ねられ、当該上面の全部を覆うようにひろがる。上面補強部材300は、複数の上部半製品200の双方に固定される。実施の形態では、固定手段の一例として、上面補強部材300が、運搬用差込口233を備える。運搬用差込口233は、運搬用差込口33と同様のフラップ構造を持っている。運搬用差込口233と運搬用差込口33とが重ねられた状態で運搬用差込口233のフラップ構造が内部へ折り畳まれると、上面補強部材300が組立品10に固定される。
【0041】
変形例として、上面補強部材300と組立品10との上記固定手段(運搬用差込口233)が任意の他の固定手段に置換されてもよく、あるいは他の任意の固定手段がさらに追加されてもよい。他の固定手段は、例えば、接着剤で接着する手段を含んでもよく、あるいは結合部材で結合する手段を含んでもよく、あるいはこれらを組み合わせてもよい。結合部材は、紙綴器(ステープラー)、ボルト・ナット、ネジ、及びその他の結合部材を含んでもよい。あるいはこれらの結合部材から選択した任意の複数種類を併用してもよい。
【0042】
補強部材300は、
図6及び
図7の例に限られず、様々な形態で提供されてもよい。補強部材300は、組立品10の上面ではなく底面に設けられてもよく、組立品10の上面と底面の両方に設けられてもよい。組立品10の底面は、面方向に並ぶ複数の底部半製品100が連結した底面である。このように、補強部材300は、組立品10の上面と底面とのうち「少なくとも一方の面」に設けることができる。
【0043】
上記の場合に、補強部材300は、上面と底面の少なくとも一方の面の「全部」を覆うようにひろがってもよいし、あるいはその少なくとも一方の面の「一部のみ」を覆うようにひろがってもよい。例えば、補強部材300が、上面と底面の少なくとも一方の面における、面の中央部分を覆いつつ、面の片端または両端を露出させてもよい。逆に、補強部材300が、面の片端または両端を覆いつつ、面の中央部分を露出させてもよい。
【0044】
なお、各々の半製品100、200に設ける支柱部の列数は二列に限定されず、各々の半製品100、200に一列以上あればよい。各々の半製品100、200が持つ支柱部の列数は、一列に削減されてもよくあるいは三列以上に増加されてもよく、必要な強度に応じて適宜個数を変更することができる。支柱部の列数変更に応じて切込部の個数も調節してもよい。これに応じて組立品10の強度を向上できる利点もある。なお、支柱部の列数を増やすために折り目の数を増やすことで、折り畳み後の半製品100、200の面方向サイズが短くなる。具体的には、例えば、
図2の半製品100で支柱部の列数が増えれば、その分だけ
図5の折り畳み後幅寸法W1fが縮小する。この点、実施の形態では、個々の半製品100、200の面方向サイズが小さくても、複数の半製品100、200を面方向に連結できるので組立品10全体で面方向サイズを大きくしやすい。このように、実施の形態は、支柱部の列数増加による組立品10の強度向上と、組立品10の面方向サイズ拡張とを、高次元に両立できる利点がある。
【0045】
変形例として半支柱部71、171が省略されてもよい。他の変形例として、運搬用差込口33a~33dと運搬用差込口133a~133dとのうち、片方が省略されてもよい。これによりフォーク差込口が二方差しになり、組立品10の強度アップが可能となる。さらに他の変形例として、各々の運搬用差込口33a~33d、133a~133dは、フラップ状ではなく、矩形開口、円形開口、あるいは楕円形開口などの完全に切り抜かれた開口でもよい。さらに他の変形例として、底部半製品100から窓部41が省略されてもよく、これにより剛性が高まる利点がある。さらに、変形例として、上部半製品200に、窓部41と同様の窓部が追加されてもよい。上部半製品200に設けた窓部41は内部構造の折り畳み具合やフォークの差込具合を見るための確認窓として用いてもよい。さらに他の変形例として、支柱部61、62の間の開口、支柱部81、82の間の開口、支柱部161、162の間の開口、及び支柱部181、182の間の開口、半支柱部71、72の間の凹状切込、あるいは半支柱部171、172の間の凹状切込が省略されてもよい。この場合には、支柱部61、62と、支柱部81、82と、支柱部161、162と、支柱部181、182と、半支柱部71、72と、半支柱部171、172とのうちの少なくとも一つが一列の連続した支柱部を構築してもよい。これにより強度が向上する。
【0046】
なお、
図2及び
図3には、折り畳み前の段ボールシート状態の半製品100、200が図示されていて、これらは実施の形態にかかる「板状部材」に相当している。この板状部材が取引対象として市場を流通してもよい。その場合には、板状部材を購入した使用者がその板状部材を折り畳むことで底部半製品100と上部半製品200を構築し、組立品10を組み立ててもよい。また、底部半製品100と上部半製品200との上下を逆にして組立品10が用いられてもよい。理由として、例えば、ハンドリフトの使用時には窓部41を地面側に向ける必要があるが、フォークリフトであれば窓部41の向きは上下どちらでもよいからである。
【符号の説明】
【0047】
10 :組立品
20、120 :端部
30、130 :側面部
31 :折り畳み差込部
32 :突片差込口
33、33a~33d、133、133a~133d、233 :運搬用差込口
40、140 :側部パネル
41 :窓部
50、150 :中央パネル
61、62、81、82、161、162、181、182: 支柱部
71、72、171、172 : 半支柱部
90、190: 端部パネル
21、63、73、83、121、163、173、183 :切込部
100 :半製品(底部半製品)
131 :突片部
200 :半製品(上部半製品)
300 :補強部材(上面補強部材)