(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022111972
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】燃料電池システム及び燃料電池システムの動作方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220725BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20220725BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20220725BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20220725BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04858
H01M8/04701
H01M8/0432
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110872
(22)【出願日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0008345
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ スン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ジョン ボ
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AB24
5H127AC15
5H127BA02
5H127BB02
5H127CC07
5H127CC10
5H127DB47
5H127DB74
5H127DC75
5H127DC76
5H127DC79
5H127DC90
5H127FF07
(57)【要約】
【課題】燃料電池システムの冷却性能を保障し、且つ熱管理システムの効率性を高める。
【解決手段】燃料電池システムは、冷却水を冷却するように設定された冷却ファン520と、冷却水をポンピングするように設定されたポンプ530と、冷却ファン520およびポンプ530と連結される制御部510とを含み、制御部510は、予め設定された冷却ファン回転数およびポンプ回転数を呼び出し、前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加により、燃料電池スタック入口の冷却水の温度が指定された温度条件を満たすとともに消費電力の総和が最小になるように、前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化し、ここで、前記消費電力の総和は、前記冷却ファンの回転数に対応する消費電力および前記ポンプの回転数に対応する消費電力の総和を示し、前記最適化した冷却ファン回転数およびポンプ回転数を格納するように設定され得る。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムであって、
冷却水を冷却するように設定された冷却ファンと、
冷却水をポンピングするように設定されたポンプと、
前記冷却ファンおよび前記ポンプと連結される制御部とを含み、
前記制御部は、
予め設定された冷却ファン回転数およびポンプ回転数を呼び出し、
前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加により、燃料電池スタック入口の冷却水の温度が指定された温度条件を満たすとともに消費電力の総和が最小になるように、前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化し、ここで、前記消費電力の総和は、前記冷却ファンの回転数に対応する消費電力および前記ポンプの回転数に対応する消費電力の総和を示し、
前記最適化した冷却ファン回転数およびポンプ回転数を格納するように設定されている、燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記冷却ファンの回転数を制御する冷却ファン制御部と、
前記ポンプの回転数を制御するポンプ制御部とを含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記冷却ファン制御部および前記ポンプ制御部は、一つのモジュールとして統合されている、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記呼び出された冷却ファン回転数およびポンプ回転数で前記冷却水の温度が目標温度を超えるかを確認し、
前記冷却水の温度が前記目標温度を超えると、前記冷却水の温度が前記目標温度以下になるように、前記冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化し、
前記冷却水の温度が前記目標温度以下であると、前記冷却水の温度と前記目標温度との差が臨界値以内であり、且つ前記消費電力の総和が最小になるように、前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化するように設定されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記冷却水の温度が前記目標温度以下であると、前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加を行い、
前記減少した冷却ファン回転数および増加したポンプ回転数に対応する第1消費電力の総和を、以前の冷却ファン回転数およびポンプ回転数に対応する第2消費電力の総和と比較し、
前記第1消費電力の総和が前記第2消費電力の総和より小さいと、前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加を行い、
前記第1消費電力の総和が前記第2消費電力の総和より大きいか一致すると、前記以前の冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化した値として決定するように設定されている、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記冷却水の温度が前記目標温度を超えると、前記冷却ファン回転数が指定された最大回転数であるかを確認し、
前記冷却ファン回転数が前記指定された最大回転数であると、前記ポンプ回転数の増加により、前記冷却水の温度が前記目標温度を満たすように、前記ポンプ回転数を最適化するように設定されている、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数が最大であると、冷却負荷限界通知を出力するように設定されている、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池スタックを経由して第1冷却水が循環する第1冷却ラインと、
前記第1冷却ライン上に配置され、前記第1冷却水を冷却させるように設定された第1ラジエータと、
電装部品を経由して第2冷却水が循環する第2冷却ラインと、
前記第2冷却ライン上に配置され、前記第2冷却水を冷却させるように設定された第2ラジエータと、
前記第1冷却水および前記第2冷却水を熱交換するように設定された熱交換器とをさらに含み、
前記ポンプは、前記第2冷却ライン上に配置され、
前記冷却ファンは、前記第1ラジエータまたは前記第2ラジエータのうち少なくとも一つを冷却させるように設定されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記燃料電池スタックを経由して第1冷却水が循環する第1冷却ラインと、
前記第1冷却ライン上に配置され、前記第1冷却水を冷却させるように設定された第1ラジエータと、
電装部品を経由して第2冷却水が循環する第2冷却ラインと、
前記第2冷却ライン上に配置され、前記第2冷却水を冷却させるように設定された第2ラジエータと、
前記第1冷却水および前記第2冷却水を熱交換するように設定された熱交換器とをさらに含み、
前記ポンプは、前記第1冷却ライン上に配置され、
前記冷却ファンは、前記第1ラジエータまたは前記第2ラジエータのうち少なくとも一つを冷却させるように設定されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
燃料電池システムの動作方法であって、
予め設定された冷却ファン回転数およびポンプ回転数を呼び出す動作と、
前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加により、前記冷却水の温度が前記指定された温度条件を満たすとともに消費電力の総和が最小になるように、前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化する動作(ここで、前記消費電力の総和は、前記冷却ファンの回転数に対応する消費電力および前記ポンプの回転数に対応する消費電力の総和を示す)と、
前記最適化した冷却ファン回転数およびポンプ回転数を格納する動作とを含む、方法。
【請求項11】
前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化する動作は、
前記呼び出された冷却ファン回転数およびポンプ回転数で前記冷却水の温度が目標温度を超えるかを確認する動作と、
前記冷却水の温度が前記目標温度を超えると、前記冷却水の温度が前記目標温度以下になるように、前記冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化する動作、または前記冷却水の温度が前記目標温度以下であると、前記冷却水の温度と前記目標温度との差が臨界値以内であり、且つ前記消費電力の総和が最小になるように、前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化する動作とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化する動作は、
前記冷却水の温度が前記目標温度以下であると、前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加を行う動作と、
前記減少した冷却ファン回転数および増加したポンプ回転数に対応する第1消費電力の総和を、以前の冷却ファン回転数およびポンプ回転数に対応する第2消費電力の総和と比較する動作と、
前記第1消費電力の総和が前記第2消費電力の総和より小さいと、前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加を行う動作、または前記第1消費電力の総和が前記第2消費電力の総和より大きいか一致すると、前記以前の冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化した値として決定する動作とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化する動作は、
前記冷却水の温度が前記目標温度を超えると、前記冷却ファン回転数が指定された最大回転数であるかを確認する動作と、
前記冷却ファン回転数が前記指定された最大回転数であると、前記ポンプ回転数の増加により、前記冷却水の温度が前記目標温度を満たすように、前記ポンプ回転数を最適化する動作とを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム及び燃料電池システムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料電池スタックを用いて、電気エネルギーを発生させることができる。例えば、水素が燃料電池スタックの燃料として使用される場合、地球環境問題を解決する代案になることができ、燃料電池システムに関する研究開発が行われ続けている。燃料電池システムは、電気エネルギーを発生させる燃料電池スタックと、燃料電池スタックに燃料(水素)を供給する燃料供給装置と、燃料電池スタックに電気化学反応に必要な酸化剤である空気中の酸素を供給する空気供給装置と、燃料電池スタックの反応熱をシステムの外部に除去し、燃料電池スタックの運転温度を制御し、水管理機能を行う熱管理システム(thermal management system、TMS)とを含むことができる。
【0003】
熱管理システムは、冷却水の役割を果たす不凍液を燃料電池スタックで循環させて適正温度(例えば、60~70℃)を維持させる冷却装置の一種であり、冷却水が循環するTMSラインと、冷却水が貯蔵されたリザーバと、冷却水を循環させるポンプと、冷却水に含まれたイオンを除去するイオンフィルタと、冷却水の熱を外部に放出するラジエータとを含むことができる。また、熱管理システムは、冷却水を加熱するヒータと、冷却水を用いて、燃料電池システムが含まれた装置(例えば、車両)の内部を冷暖房する空調ユニット(例えば、暖房用ヒータ)などを含むことができる。熱管理システムは、燃料電池スタックだけでなく、車両の電装部品の適正温度を維持させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池システムは、冷却性能を向上させるために、冷却ファンとポンプを制御することができる。冷却ファンとポンプの回転数が増加すると、燃料電池システムにおいて冷却量(cooling capacity)が増加し得るが、回転数の増加によって冷却ファンおよびポンプの消費電力も増加する可能性がある。特に、回転数の上昇に伴う消費電力の増加の傾向は、二次関数の形態で現れるため、冷却性能の保障が、燃料電池システムの効率性を低下させるという問題を引き起こし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されている一実施形態による燃料電池システムは、冷却水を冷却するように設定された冷却ファンと、冷却水をポンピングするように設定されたポンプと、前記冷却ファンおよび前記ポンプと連結される制御部とを含み、前記制御部は、予め設定された冷却ファン回転数およびポンプ回転数を呼び出し、前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加により、燃料電池スタック入口の冷却水の温度が指定された温度条件を満たすとともに消費電力の総和が最小になるように、前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化し、ここで、前記消費電力の総和は、前記冷却ファンの回転数に対応する消費電力および前記ポンプの回転数に対応する消費電力の総和を示し、前記最適化した冷却ファン回転数およびポンプ回転数を格納するように設定され得る。
【0006】
本明細書に開示されている一実施形態による燃料電池システムの動作方法は、予め設定された冷却ファン回転数およびポンプ回転数を呼び出す動作と、前記冷却ファン回転数の減少および前記ポンプ回転数の増加により、前記冷却水の温度が前記指定された温度条件を満たすとともに消費電力の総和が最小になるように、前記冷却ファン回転数および前記ポンプ回転数を最適化する動作(ここで、前記消費電力の総和は、前記冷却ファンの回転数に対応する消費電力および前記ポンプの回転数に対応する消費電力の総和を示す)と、前記最適化した冷却ファン回転数およびポンプ回転数を格納する動作とを含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本明細書に開示されている実施形態によると、燃料電池システムは、冷却性能を保障し、且つ熱管理システムの効率性を高めることができる。
【0008】
本明細書に開示されている実施形態によると、燃料電池システムは、燃料電池スタックの冷却水と電装部品の冷却水との効率的な熱交換を図ることができる。
【0009】
その他、本文書により直接または間接に把握される様々な効果が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】様々な実施形態による燃料電池システムを示す図である。
【
図2】様々な実施形態による燃料電池システムを示す図である。
【
図3】様々な実施形態による燃料電池システムの他の例を示す図である。
【
図4】様々な実施形態による燃料電池システムの他の例を示す図である。
【
図5】様々な実施形態によって冷却ファンを制御する燃料電池システムのブロック図である。
【
図6】回転数および消費電力の関係を示すグラフである。
【
図7】様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための動作のフローチャートである。
【
図8】様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための他の動作のフローチャートである。
【
図9】様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための他の動作のフローチャートである。
【
図10】様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための他の動作のフローチャートである。
【
図11】様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための他の動作のフローチャートである。
【0011】
図面の説明と関連し、同一または類似した構成要素に対しては、同一または類似した参照符号が使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の様々な実施形態を添付の図面を参照して記載する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定するものではなく、本発明の実施形態の様々な変更(modification)、均等物(equivalent)、および/または代替物(alternative)を含むものと理解すべきである。
【0013】
本文書の様々な実施形態およびこれに使用された用語は、本文書に記載の技術的特徴を特定の実施形態で限定するものではなく、当該実施形態の様々な変更、均等物、または代替物を含むものと理解すべきである。図面の説明と関連して、類似したまたは関連する構成要素に対しては類似した参照符号が使用され得る。アイテムに対応する名詞の単数型は、関連文脈上、明らかに異なるように指示しない限り、前記アイテムの一つまたは複数個を含むことができる。本文書において、「AまたはB」、「AおよびBのうち少なくとも一つ」、「AまたはBのうち少なくとも一つ」、「A、BまたはC」、「A、BおよびCのうち少なくとも一つ」、および「A、B、またはCのうち少なくとも一つ」のような句それぞれは、その句のうち該当する句にともに並べられた項目のいずれか一つ、またはそれらのすべての可能な組み合わせを含むことができる。「第1」、「第2」、または「一番目」または「二番目」のような用語は、単に当該構成要素を他の当該構成要素と区別するために使用され得、当該構成要素を他の面(例えば、重要性または順序)で限定しない。ある(例えば、第1)構成要素が他の(例えば、第2)構成要素に、「機能的に」または「通信的に」という用語とともに、またはかかる用語なしに、「カップルド」または「コネクテッド」と言及された場合、それは、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接(例えば、有線で)、無線で、または第3構成要素を介して連結され得ることを意味する。
【0014】
本文書の様々な実施形態で使用されている用語「モジュール」は、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウエアで具現されたユニットを含むことができ、例えば、ロジック、論理ブロック、部品、または回路のような用語と相互互換的に使用され得る。モジュールは、一体に構成された部品もしくは一つまたはそれ以上の機能を行う、前記部品の最小単位またはその一部になり得る。例えば、一実施形態によると、モジュールは、ASIC(application‐specific integrated circuit)の形態に具現され得る。
【0015】
本文書の様々な実施形態は、機器(machine)により読み取り可能な記憶媒体(storage medium)(例えば、内蔵メモリまたは外装メモリ)に格納された一つ以上の命令語を含むソフトウェア(例えば、プログラム)として具現され得る。例えば、機器は、記憶媒体から格納された一つ以上の命令語のうち少なくとも一つの命令を呼び出し、それを実行することができる。これは、機器が前記呼び出した少なくとも一つの命令語にしたがって少なくとも一つの機能を行うように運営されることを可能にする。上述の一つ以上の命令語は、コンパイラによって生成されたコードまたはインタプリタによって実行され得るコードを含むことができる。機器で読み取り可能な記憶媒体は、非一時的(non‐transitory)記憶媒体の形態で提供され得る。ここで、「非一時的」は、記憶媒体が実在(tangible)する装置であり、信号(signal)(例えば、電磁波)を含まないことを意味するだけであって、この用語は、データが記憶媒体に半永久に格納される場合と臨時に格納される場合を区別しない。
【0016】
一実施形態によると、本文書に開示されている様々な実施形態による方法は、コンピュータプログラム製品(computer program product)に含まれて提供され得る。コンピュータプログラム製品は、商品として、販売者と購買者との間で取り引きされ得る。コンピュータプログラム製品は、機器で読み取り可能な記憶媒体(例えば、compact disc read only memory(CD‐ROM))の形態で配布されるか、またはアプリケーションストアを介してまたは二つのユーザ装置の間で直接、オンラインで配布(例えば、ダウンロードまたはアップロード)され得る。オンライン配布の場合に、コンピュータプログラム製品の少なくとも一部は、メーカーのサーバ、アプリケーションストアのサーバ、または中継サーバのメモリのような機器で読み取り可能な記憶媒体に少なくとも一時格納されるか、臨時に生成され得る。
【0017】
様々な実施形態によると、上記の構成要素のそれぞれの構成要素(例えば、モジュールまたはプログラム)は、単数または複数の個体を含むことができ、複数の個体のうち一部は、他の構成要素に分離配置されることもある。様々な実施形態によると、上述の当該構成要素のうち一つ以上の構成要素または動作が省略されるか、または一つ以上の他の構成要素または動作が追加され得る。概してまたはさらに、複数の構成要素(例えば、モジュールまたはプログラム)は、一つの構成要素として統合され得る。この場合、統合された構成要素は、前記複数の構成要素それぞれの構成要素の一つ以上の機能を、前記統合の前に前記複数の構成要素のうち当該構成要素によって行われることと同一または類似して行うことができる。様々な実施形態によると、モジュール、プログラムまたは他の構成要素によって行われる動作は、順に、並列に、繰り返して、またはヒューリスティックに実行されるか、前記動作のうち一つ以上が異なる順序で実行されるか、省略されるか、または一つ以上の異なる動作が追加され得る。
【0018】
図1~
図2は様々な実施形態による燃料電池システムを示す。
【0019】
図1を参照すると、車両用燃料電池システムは、車両の燃料電池スタック10を経由する第1冷却水が循環する第1冷却ライン110と、車両の電装部品(power electronic parts)200を経由する第2冷却水が循環する第2冷却ライン120と、第1冷却水と第2冷却水を相互熱交換させる熱交換器300とを含むことができる。第1冷却ライン110および第2冷却ライン120は、第1冷却水および第2冷却水が熱交換を行いながら流動することができるTMS(thermal management system)ラインを構成することができ、この場合、第1冷却水または第2冷却水は、TMSライン上で冷媒(cooling medium)または熱媒(heat medium)として使用され得る。
【0020】
また、燃料電池システムは、第1冷却ライン110と加熱ループ(加熱循環経路、または暖房ループ)を形成するか、または第1冷却ライン110と冷却ラインを形成するために第1連結ライン130と、第2連結ライン150と、第3連結ライン140とを含むことができる。第1冷却水は、第1連結ライン130、第2連結ライン150、または第3連結ライン140を循環しながら冷却または加熱され得る。一例として、第1冷却ライン110は、車両の初期始動状態では冷間始動能力を確保するために、
図2に図示されているように、加熱ループを形成し、走行中には燃料電池スタック10から発生する熱を外部に放出するように、
図1に図示されているように、冷却ループを形成することができる。他の実施形態において、外気が指定された温度だけ高い場合、第1冷却ライン110は、加熱ループを形成せず、燃料電池システムは、燃料電池スタック10の熱により始動能力を確保することができる。第1冷却水が循環する第1冷却ライン110上には、燃料電池スタック10、第1バルブ20、第1ポンプ30、第2バルブ40、および第1ラジエータ60が配置され得る。
【0021】
燃料電池スタック10(または、「燃料電池」として参照され得る)は、燃料(例えば、水素)と酸化剤(例えば、空気)の酸化還元反応により電気を生産することができる構造に形成され得る。一例として、燃料電池スタック10は、水素イオンが移動する電解質膜を中心に膜の両側に電気化学反応が起こる触媒電極層が付着された膜電極接合体(membrane electrode assembly、MEA)と、反応ガスを均一に分布させ、発生した電気エネルギーを伝達する役割を行うガス拡散層(gas diffusion layer、GDL)と、反応ガスおよび第1冷却水の気密性と適正締結圧を維持するためのガスケットおよび締結機構と、反応ガスおよび第1冷却水を移動させる分離板(bipolar plate)とを含むことができる。
【0022】
燃料電池スタック10において、燃料である水素と酸化剤である空気(酸素)が分離板の流路を介して膜電極接合体のアノード(anode)とカソード(cathode)にそれぞれ供給されるが、水素はアノードに供給され、空気はカソードに供給され得る。アノードに供給された水素は、電解質膜の両側に構成された電極層の触媒によって水素イオン(proton)と電子(electron)とに分解され、このうち、水素イオンだけが、選択的に陽イオン交換膜である電解質膜を通過してカソードに伝達され、且つ電子は、導体であるガス拡散層と分離板を介してカソードに伝達され得る。カソードでは、電解質膜を介して供給された水素イオンと分離板を介して伝達された電子が空気供給装置によってカソードに供給された空気中の酸素と接して水を生成する反応を起こすことができる。この時に起こる水素イオンの移動に起因して外部導線による電子の流れが発生し、かかる電子の流れによって電流が生成され得る。
【0023】
第1バルブ20は、第1冷却ライン110上で、第1冷却水の流動経路をヒータ50が配置された第1連結ライン130または燃料電池スタック10に切り替えることができる。例えば、第1バルブ20は、第1冷却ライン110上で第1ポンプ30の一端、第1連結ライン130の一端、および燃料電池スタック10の一端と連結され得る。第1バルブ20は、第1冷却水の流動経路を選択的に切り替えることができる様々なバルブ手段を含むことができる。一例として、第1バルブ20は、三方バルブ(three way valve)であり得る。この場合、第1バルブ20は、第1ポンプ30によってポンピングされた第1冷却水が流入されるように第1冷却ライン110と連結される第1ポート21と、第1バルブ20を通過する第1冷却水が燃料電池スタック10に流入されるように第1冷却ライン110と連結される第2ポート22と、第1連結ライン130の一端と連結される第3ポート23とを含むことができる。第1バルブ20の第2ポート22および第3ポート23が開閉することで、第1冷却水の流動経路が、第1連結ライン130のヒータ50または燃料電池スタック10に切り替えられ得る。すなわち、第2ポート22が開放され、第3ポート23が遮断されると、第1冷却水は、燃料電池スタック10に流入され、逆に、第3ポート23が開放され、第2ポート22が遮断されると、第1冷却水は、第1連結ライン130を介してヒータ50に流入され得る。
【0024】
第1連結ライン130は、第1冷却水を加熱するために、第1冷却ライン110との加熱ループ(加熱循環経路)を形成することができる。例えば、第1連結ライン130に沿って流動する第1冷却水は、第1連結ライン130に設置されたヒータ50を通過する間に加熱され得る。第1連結ライン130の一端は、第1ポンプ30の出口と燃料電池スタック10との間に位置する第1地点で第1冷却ライン110に連結され、第1連結ライン130の他の一端は、第1ポンプ30の入口と燃料電池スタック10との間に位置する第2地点で第1冷却ライン110に連結され得る。ここで、第1ポンプ30の入口は、第1冷却水が第1ポンプ30に流入される入口として定義され得る。また、第1ポンプ30の出口は、第1ポンプ30を通過した第1冷却水が排出される出口として定義され得る。また、第1ポンプ30の出口と燃料電池スタック10との間は、第1ポンプ30から排出された第1冷却水が燃料電池スタック10の第1冷却水流入口(図示せず)まで流動する区間として定義され得る。また、第1ポンプ30の入口と燃料電池スタック10との間は、燃料電池スタック10の冷却水排出口(図示せず)から排出された第1冷却水が、第1ポンプ30の入口まで流動する区間として定義され得る。
【0025】
第1ポンプ30は、第1冷却水を強制に流動させるように設定され得る。第1ポンプ30は、第1冷却水をポンピングすることができる様々な手段を含むことができ、第1ポンプ30の種類および個数は、本文書で制限されない。
【0026】
第2バルブ40は、第1冷却ライン110上で第1冷却水の流動経路を第1ラジエータ60または燃料電池スタック10に切り替えることができる。例えば、第2バルブ40は、第1ポンプ30と第1ラジエータ60との間に位置するように第1冷却ライン110上に提供され、第3連結ライン140の一端および第1ラジエータ60の出口に連結され得る。第2バルブ40は、第1冷却水の流動経路を選択的に第1ラジエータ60または燃料電池スタック10に切り替えることができる様々なバルブ手段を含むことができる。一例として、第2バルブ40は、三方バルブ(three way valve)であり得る。この場合、第2バルブ40は、第3連結ライン140と連結される第1ポート41と、第1ラジエータ60を通過する第1冷却水が流入されるように第1冷却ライン110と連結される第2ポート42と、第1冷却水が第1ポンプ30に流入されるように第1冷却ライン110と連結される第3ポート44とを含むことができる。第2バルブ40の第1ポート41または第2ポート42が開閉することで、第1冷却水の流動経路が、第1ラジエータ60または燃料電池スタック10に切り替えられ得る。すなわち、第1ポート41が開放され、第2ポート42が遮断されると、第1冷却水は、第1ラジエータ60を経らずに燃料電池スタック10に流入され、逆に、第2ポート42が開放され、第1ポート41が遮断されると、第1冷却水は、第1ラジエータ60を経た後、燃料電池スタック10に流入され得る。
【0027】
第2連結ライン150は、空調ユニット(HAVC UNIT)90を加熱するために、第1冷却ライン110との暖房ループを形成することができる。一例として、第2連結ライン150は、空調ユニット90の暖房用ヒータ(図示せず)を加熱するループを形成することができる。第2連結ライン150の一端は、第1地点(第1連結ライン130の一端が第1冷却ライン110に連結される地点)と燃料電池スタック10の入口との間で第1冷却ライン110に連結され、第1冷却水の一部が第2連結ライン150を介して循環することができる。第2連結ライン150の他の一端は、第1ポンプ30と第2地点(第1連結ライン130の他の一端が第1冷却ライン110に連結される地点)との間で第1冷却ライン110に連結され得る。
【0028】
第2連結ライン150には、空調ユニット90を通過した第1冷却水のイオンをフィルタリングするイオンフィルタ95が備えられ得る。システムの腐食や溶出(exudation)などによって第1冷却水の電気伝導度が増加すると、第1冷却水に電気が流れて燃料電池スタック10が短絡されるか、第1冷却水の方に電流が流れるという問題が発生するため、第1冷却水は、低い電気伝導度を維持しなければならない。イオンフィルタ95は、第1冷却水の電気伝導度を所定水準以下に維持するために、第1冷却水に含まれたイオンを除去するように設定され得る。このように、燃料電池スタック10に流動する第1冷却水の供給が遮断(第1バルブ20の第2ポート22の遮断)される冷始動中に、第1冷却水は、第1連結ライン130のヒータ50を経由して循環(昇温ループ)するとともに、第2連結ライン150に沿っても循環するようにすることで、冷始動時にも、第2連結ライン150に備えられたイオンフィルタ95によるフィルタリング(第1冷却水に含まれたイオンの除去)が可能である。したがって、冷始動直後、燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の電気伝導度を所定水準以下に維持する有利な効果を得ることができる。
【0029】
第3連結ライン140は、第1冷却水を冷却するために、第1冷却ライン110との冷却ループを形成することができる。一例として、第3連結ライン140の一端は、第1ポンプ30と第1ラジエータ60との間で第1冷却ライン110に連結され、第3連結ライン140の他の一端は、燃料電池スタック10の冷却水排出口と第1ラジエータ60との間で第1冷却ライン110に連結され得る。
【0030】
第1ラジエータ60は、第1冷却水を冷却させるように設定され得る。第1ラジエータ60は、第1冷却水を冷却させることができる様々な構造に形成され得、第1ラジエータ60の種類および構造によって本発明が制限または限定されるものではない。第1ラジエータ60は、第1冷却水が貯蔵される第1リザーバ62に連結され得る。
【0031】
燃料電池システムは、燃料電池スタック10と第1地点(第1バルブ20)との間で第1冷却水の温度を測定する第1温度センサ112と、第1連結ライン130の他の一端と第1ポンプ30との間で第1冷却水の温度を測定する第2温度センサ114と、ヒータ50で第1冷却水の温度を測定する第3温度センサ116とを含むことができる。燃料電池システムは、第1温度センサ112、第2温度センサ114、および第3温度センサ116で測定された温度に基づいて、燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の流入流量を制御することができる。一例として、第1冷却ライン110に沿って循環する第1冷却水の測定温度が、予め設定された目標温度より低いと、第1冷却水の流入流量を予め設定された設定流量より低く制御することができる。このように、第1冷却水の測定温度が低いと、燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の流入流量を低く制御することにより、燃料電池スタック10の内部に停滞している第1冷却水の温度と、燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の温度との偏差による熱衝撃および性能の低下を最小化するという有利な効果を得ることができる。
【0032】
第2冷却ライン120は、車両の電装部品(power electronic parts)200を経由するように構成され、第2冷却水は、第2冷却ライン120に沿って循環することができる。ここで、車両の電装部品200は、車両の電源をエネルギー源として使用する部品として理解され得、車両の電装部品200の種類および個数によって本発明が制限または限定されるものではない。一例として、電装部品200は、第2冷却水をポンピングするための第2ポンプ205、燃料電池スタック10と前記車の高電圧バッテリー(図示せず)との間に備えられるBHDC(bi‐directional high voltage DC‐DC converter)210、燃料電池スタック10の駆動のための外気を供給するブロワ(図示せず)を制御するBPCU(blower pump control unit)220、高電圧バッテリーから供給を受けた直流高電圧を直流低電圧に変換するLDC(low‐voltage DC‐DC converter)230、燃料電池スタック10に供給される空気を圧縮する空気圧縮機(air compressor、ACP)240、およびエアクーラ(air cooler)250のうち少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0033】
第2冷却ライン120上には、第2冷却水を強制に流動させるための第2ポンプ(図示せず)が配置され得る。第2ポンプは、第2冷却水をポンピングすることができるポンピング手段を含むことができ、第2ポンプの種類および特性が制限または限定されるものではない。
【0034】
第2冷却ライン120上には、第2冷却水を冷却させるための第2ラジエータ70が配置され得る。第2ラジエータ70は、第2冷却水を冷却させることができる様々な構造に形成され得、第2ラジエータ70の種類および構造が制限または限定されるものではない。第2ラジエータ70は、第2冷却水が貯蔵される第2リザーバ72に連結され得る。
【0035】
実施形態において、第1ラジエータ60および第2ラジエータ70は、一つの冷却ファン80によって同時に冷却されるように構成され得る。一例として、第1ラジエータ60および第2ラジエータ70は、並行して配置され、冷却ファン80は、第1ラジエータ60および第2ラジエータ70に外気を送風するように設定され得る。一つの冷却ファン80によって第1ラジエータ60および第2ラジエータ70が同時に冷却されるようにすることで、燃料電池システムの構造を簡素化し、設計自由度および空間活用性を向上することができ、第1ラジエータ60および第2ラジエータ70を冷却させるための電力消耗が最小化することができる。
【0036】
熱交換器300は、第1冷却水と第2冷却水を相互熱交換させるように設定され得る。電装部品を冷却する第2冷却水の温度が、燃料電池スタック10を冷却する第1冷却水の温度より相対的に低く形成されるため、燃料電池システムは、第1冷却水と第2冷却水を相互熱交換させることで、第1ラジエータ60および冷却ファン80の容量を増加させなくても第1冷却水の温度を下げることができ、燃料電池スタック10の冷却効率を向上させることができ、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。また、燃料電池システムは、走行風を使用できない車両(例えば、建設機械)の停車中に第1冷却水の温度を下げることができ、燃料電池スタック10の高出力運転を保障し、安全性および耐久性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0037】
実施形態において、熱交換器300は、第1ラジエータ60の出口と燃料電池スタック10との間で第1冷却ライン110に連結され、第2冷却ライン120は、熱交換器300を経由するように第2ラジエータ70の出口と電装部品を連結することができる。例えば、第1冷却水は、第1冷却ライン110に連結された熱交換器300に沿って流動することができ、第2冷却ライン120は、第1冷却水に露出(例えば、第1冷却水が第2冷却ライン120の周縁に沿って流動)するように熱交換器300の内部を通過することができる。このように、燃料電池システムは、第1冷却水と第2冷却水の相互熱交換によって燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の温度を下げることができる。第1ラジエータ60を通過した第1冷却水の第1温度は、第2ラジエータ70を通過した第2冷却水の第2温度より高く形成され、熱交換器300を通過した第1冷却水の第3温度は、第1温度より低く形成され得る。一例として、第1冷却水の第1温度は、第2冷却水の第2温度より略10℃高く形成され得、熱交換器300を通過(第2冷却水と熱交換)した第1冷却水の第3温度は、第1温度より1℃低く形成され得る。
【0038】
燃料電池スタック10に流入される第1冷却水の温度を下げるために、燃料電池システムは、冷却ファン80の回転数を増加させるか、第1ポンプ30の回転数を増加させることができる。また、燃料電池システムは、第2ポンプ(205)の回転数を増加させることで、第2冷却水に対する流量を増加させることができる。この場合、熱交換器300での熱交換量が増加し、熱交換量の増加によって第1冷却水に対する冷却量が増加することができる。冷却ファン80もしくは、ポンプ30または205の回転数の増加は、冷却量を増加させることができるが、冷却ファン80もしくは、ポンプ30または205の消費電力も増加し得る。実施形態による燃料電池システムは、燃料電池スタック10の入口の第1冷却水の温度を目標温度に維持し、且つ消費電力を効率的に管理するように、冷却ファン80、および、ポンプ30または205の回転数を最適化することができる。
【0039】
図3~
図4は様々な実施形態による燃料電池システムの他の例を示す図である。
【0040】
図1~
図2による熱交換器300は、第1ラジエータ60とは別に配置されるが、
図3による実施形態において、熱交換器300´は、第1ラジエータ60に直接連結され得る。熱交換器300´は、第1ラジエータ60と連結され得る様々な構造に形成され得、熱交換器300´の構造および連結構造が制限または限定されるものではない。例えば、熱交換器300´は、第1ラジエータ60の指定された位置(左側上端部)に連結され得るが、熱交換器300´が連結される第1ラジエータ60の指定された位置は変更され得る。
【0041】
図4を参照すると、第1ラジエータ60を冷却させるための第1冷却ファン80と、第2ラジエータ70を冷却させるための第2冷却ファン100が別に配置され得る。この場合、燃料電池システムは、第1冷却ファン80の回転数を制御する時に電装部品200の熱負荷と関連するパラメータを排除することができる。
【0042】
図1~
図2で言及している最適化する原理は、
図3~
図4の燃料電池システムにおいて同様に適用され得る。この場合、燃料電池システムのポンプ30または205の回転数と、第1冷却ファン80または第2冷却ファン100の回転数を最適化することができる。
【0043】
図5は様々な実施形態によって冷却ファンを制御する燃料電池システムのブロック図である。
図5を参照すると、燃料電池システムは、制御部510と、冷却ファン520と、ポンプ530とを含むことができる。冷却ファン520は、
図1~
図4に記載の冷却ファン80、または90に対応することができる。ポンプ530は、
図1~4に記載の第1ポンプ30または第2ポンプ205に対応することができる。
【0044】
制御部510は、冷却ファン520およびポンプ530を最適化するためのハードウェアまたはソフトウェアモジュールであり得る。制御部510は、冷却ファン520およびポンプ530と電気的に連結され、冷却ファン520およびポンプ530の回転数を制御する燃料電池システムの全般的な動作を行うことができる。例えば、制御部510は、予め設定された冷却ファン520の回転数およびポンプ530の回転数を呼び出し、冷却ファン520の回転数の減少およびポンプ530の回転数の増加により、燃料電池スタック10の入口の冷却水(すなわち、第1冷却水)の温度が指定された条件を満たし、且つ消費電力の総和が最小になるように、冷却ファン520の回転数およびポンプ530の回転数を最適化することができる。消費電力の総和は、特定の回転数での冷却ファン520の消費電力と、特定の回転数でのポンプ530の消費電力との和を意味し得る。制御部510は、最適化した冷却ファン520の回転数およびポンプ530の回転数を格納することができる。
【0045】
制御部510は、燃料電池スタック10の入口の冷却水の温度を測定するように設定された温度測定部512(例えば、
図1の第1温度センサ112)と、冷却ファン520およびポンプ530の消費電力を測定するように設定された消費電力測定部514と、冷却ファン520の回転数を制御するように設定された冷却ファン制御部516と、ポンプ530の回転数を制御するように設定されたポンプ制御部518とを含むことができる。実施形態によると、温度測定部512、消費電力測定部514、冷却ファン制御部516、およびポンプ制御部518は、一つのモジュールとして統合されるか、または別のモジュールとして構成され得る。
【0046】
図6は回転数および消費電力の関係を示すグラフである。
【0047】
図6を参照すると、グラフの横軸は、冷却ファン520またはポンプ530の回転数(単位:RPM)を示し、グラフの縦軸は、冷却ファン520またはポンプ530の消費電力を示すことができる。回転数の増加に伴う消費電力の増加は、二次関数の形態で現れるため、冷却ファン520またはポンプ530の回転数が最大回転数に達するにつれて消費電力が急増し得る。また、回転数に対する消費電力の増加幅は、冷却ファン520がポンプ530より大きいため、ポンプ530の回転数が減少しても、冷却ファン520の回転数の増加によって消費電力の総和は増加し得る。
【0048】
実施形態による燃料電池システムは、冷却ファン520の回転数を減少させながらポンプ530の回転数を増加させることで、冷却性能を失わない状態で消費電力を減少させることができる。例えば、冷却ファン520の回転数が、最大回転数RPM冷却ファン、Maxから最適の回転数RPM冷却ファン、Optに減少すると(A1)、冷却ファン520の消費電力は、最大消費電力P冷却ファン、Maxから最適の消費電力P冷却ファン、Optに減少し(A2)、ポンプ530の回転数が、予め設定された回転数RPMポンプから最適の回転数RPMポンプ、Optに増加すると(B1)、ポンプ530の消費電力は、既存の消費電力Pポンプから最適の消費電力Pポンプ、Optに増加することができる(B2)。この場合、増加したポンプ530の消費電力B2より減少した冷却ファン520の消費電力A2が大きいため、消費電力の総和は減少することができる。
【0049】
図7は様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための動作のフローチャートである。以下の
図7~
図11の動作のフローチャートに含まれた動作は、燃料電池システムによって具現されるか、もしくは燃料電池システムの構成要素によって具現され得る。
【0050】
図7を参照すると、動作705において、燃料電池システムは、冷却ファン520の予め設定された冷却ファン回転数A
N‐1およびポンプ530の予め設定されたポンプ回転数B
N‐1を呼び出すことができる。ここで、Nは、自然数を意味し得る。一実施形態において、燃料電池システムは、冷却ファン520およびポンプ530の消費電力の総和SUM
N‐1を算出することができる。例えば、制御部510は、消費電力測定部514を介して呼び出された冷却ファン回転数およびポンプ回転数に対応する消費電力をそれぞれ測定し、測定した消費電力の和を算出することができる。
【0051】
動作710において、燃料電池システムは、呼び出された冷却ファン回転数およびポンプ回転数での燃料電池スタック10の入口の冷却水の温度(または、「スタック入口温度」として参照され得る)が、目標温度を超えるかを確認することができる。目標温度は、例えば、燃料電池スタック10を効率的に作動させることができる最適の温度値(または範囲)を意味し得る。スタック入口温度が目標温度であるかまたは目標温度未満であると、燃料電池システムは、消費電力効率を高めるために、動作715~740を行うことができる。スタック入口温度が目標温度を超えると、燃料電池システムは、冷却性能を確保するために、動作745~780を行うことができる。
【0052】
動作715において、燃料電池システムは、冷却ファン回転数を減少させることができる(例えば、AN‐1→AN)。一実施形態において、燃料電池システムは、回転数が減少した冷却ファン520の消費電力を測定することができる。
【0053】
動作720において、燃料電池システムは、ポンプ回転数を増加させることができる(例えば、BN‐1→BN)。一実施形態において、燃料電池システムは、回転数が増加したポンプ530の消費電力を測定することができる。一実施形態において、燃料電池システムは、回転数が減少した冷却ファン520の消費電力と、回転数が増加したポンプ530の消費電力との和SUMNを算出することができる。
【0054】
動作725において、燃料電池システムは、変更された冷却ファンおよびポンプの回転数に対応するスタック入口温度と目標温度との差が、指定された臨界値以内(例えば、目標温度のa%以内)であるかを確認することができる。スタック入口温度と目標温度との差が指定された臨界値を超えると、燃料電池システムの冷却効率が低下し得るため、動作735において、燃料電池システムは、以前の冷却ファン回転数AN‐1およびポンプ回転数BN‐1を使用して、動作740において最適化を完了することができる。
【0055】
スタック入口温度と目標温度との差が指定された臨界値以内であると、動作730において燃料電池システムは、変更された回転数での消費電力の総和SUMNが以前の回転数での消費電力の総和SUMN‐1より小さいかを確認することができる。変更された回転数での消費電力の総和SUMNが以前の回転数での消費電力の総和SUMN‐1より小さいと、スタック入口温度が目標温度を維持しながら消費電力が減少することができる冷却ファンおよびポンプの回転数をさらに確認するために、燃料電池システムは、動作715~動作730を繰り返して行うことができる。変更された回転数での消費電力の総和SUMNが以前の回転数での消費電力の総和SUMN‐1と一致するか大きいと、燃料電池システムは、冷却ファン520およびポンプ530の以前の回転数AN‐1、BN‐1を最適化した値として決定し、所定の値を格納することで、最適化を完了することができる。
【0056】
動作745において、燃料電池システムは、呼び出された冷却ファン回転数AN‐1が指定された最大回転数であるかを確認することができる。冷却ファン回転数が指定された最大回転数ではないと、動作750において燃料電池システムは、冷却ファン回転数を増加させ、動作705~動作710をまた行うことができる。
【0057】
冷却ファン回転数が指定された最大回転数であると、動作755において、燃料電池システムは、呼び出されたポンプ回転数BN‐1が指定された最大回転数であるかを確認することができる。ポンプ回転数が指定された最大回転数であると、燃料電池システムは、これ以上、冷却ファン回転数およびポンプ回転数の制御により燃料電池スタック10を冷却させることができないため、動作760において冷却負荷限界通知を出力することができる。
【0058】
ポンプ回転数が指定された最大回転数ではないと、燃料電池システムは、ポンプ回転数の増加により、スタック入口温度を目標温度まで冷却させることができる。例えば、動作765において燃料電池システムは、ポンプ回転数を増加させることができる。動作770において燃料電池システムは、増加したポンプ回転数が指定された最大回転数であるかを確認することができる。増加したポンプ回転数が指定された最大回転数であると、動作760において燃料電池システムは、冷却負荷限界通知を出力することができる。増加したポンプ530回転数が指定された最大回転数ではないと、動作775において、燃料電池システムは、増加したポンプ回転数に対応するスタック入口温度が目標温度と一致するかを確認することができる。スタック入口温度が目標温度を超えると、燃料電池システムは、動作765~動作775を繰り返して行うことができる。スタック入口温度が目標温度以内であると、燃料電池システムは、増加したポンプ回転数を使用し、動作780において、冷却ファンおよびポンプの回転数の最適化を完了することができる。
【0059】
実施形態によると、制御部510は、燃料電池スタック10の入口の冷却水の温度と目標温度との差に応じて必要なポンプ回転数増加量を示すテーブル情報に基づいて、ポンプ530の回転数を調節することができる。例えば、テーブル情報は、下記の[表1]のように表現され得る。
【0060】
【0061】
[表1]のテーブル情報は、A<B<C<D<Eおよびa<b<c<d<eの関係を前提することができる。
【0062】
図8は様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための他の動作のフローチャートである。
【0063】
図8を参照すると、動作810において、燃料電池システムは、予め設定された冷却ファン回転数およびポンプ回転数を呼び出すことができる。実施形態によると、予め設定された冷却ファン回転数を有する冷却ファン520は、第1ラジエータ60または第2ラジエータ70のうち少なくとも一つを冷却するように設定され得る。また、予め設定されたポンプ回転数を有するポンプ530は、車両の電装部品200を経由する第2冷却水をポンピングするように設定され得る。第2冷却水の温度が、燃料電池スタック10を経由する第1冷却水の温度より低い場合、ポンプ回転数が増加すると、第2冷却水の流動量が増加するため、熱交換によって第1冷却水の温度が減少し、第1冷却水の温度が減少すると、燃料電池スタック10の温度が減少し得る。他の実施形態において、予め設定されたポンプ回転数を有するポンプ530は、燃料電池スタック10を経由する第1冷却水をポンピングするように設定され得る。
【0064】
動作820において、燃料電池システムは、燃料電池スタック10の入口の冷却水の温度が温度条件を満たすとともに消費電力の総和が最小になるように、冷却ファン回転数の減少およびポンプ回転数の増加により、最適化を行うことができる。
【0065】
動作830において、燃料電池システムは、最適化した冷却ファン回転数およびポンプ回転数を格納することができる。
【0066】
図9は様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための他の動作のフローチャートである。
図9に図示されている動作は、例えば、
図8の動作820の一実施形態であり得る。
【0067】
図9を参照すると、動作910において、燃料電池システムは、現在の冷却ファン回転数およびポンプ回転数でスタック入口温度が第1温度条件を満たすかを確認することができる。例えば、燃料電池システムは、スタック入口温度が目標温度未満であると、第1温度条件を満たすものと決定することができる。目標温度は、燃料電池スタック10を効率的に作動させることができる最適の温度値(または範囲)を意味し得る。
【0068】
冷却水の温度が第1温度条件を満たすと、動作920において、燃料電池システムは、スタック入口温度が第2温度条件を満たすとともに消費電力の総和が最小になるように、冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化することができる。例えば、燃料電池システムは、調節された冷却ファン回転数およびポンプ回転数に対応するスタック入口温度が目標温度より低いとともに、スタック入口温度と目標温度との差が臨界値未満であると、スタック入口温度が第2温度条件を満たすものとして決定することができる。消費電力の総和は、調節された冷却ファン回転数に対応する冷却ファン520の消費電力と、調節されたポンプ回転数に対応するポンプ530の消費電力との和であり得る。
【0069】
冷却水の温度が第1温度条件を満たさないと、動作930において燃料電池システムは、スタック入口温度が第1温度条件を満たすように、冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化することができる。
【0070】
図10は様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための他の動作のフローチャートである。
図10に図示されている動作は、
図9の動作920の一実施形態であり得る。
【0071】
図10を参照すると、動作1010において、燃料電池システムは、呼び出された冷却ファン回転数を減少させ、呼び出されたポンプ回転数を増加させることができる。動作1020において、燃料電池システムは、現在の冷却ファン回転数およびポンプ回転数に対応するスタック入口温度が、第2温度条件を満たすかを確認することができる。スタック入口温度が第2温度条件を満たさないと、動作1040において燃料電池システムは、以前の冷却ファン回転数および以前のポンプ回転数を最適化した値として決定することができる。
【0072】
スタック入口温度が第2温度条件を満たすと、動作1030において、燃料電池システムは、現在消費電力の総和が、以前の消費電力の総和より小さいか否かを確認することができる。現在の消費電力の総和が、以前の消費電力の総和より小さいと、燃料電池システムは、動作1010~1030を繰り返して行うことができる。現在の消費電力の総和が、以前の消費電力の総和より大きいか一致すると、動作1040において燃料電池システムは、以前の冷却ファン回転数および以前のポンプ回転数を最適化した値として決定することができる。上述の動作により、燃料電池システムは、温度条件を満たすとともに消費電力を最小化する冷却ファン回転数およびポンプ回転数を決定することができる。
【0073】
図11は様々な実施形態によって冷却ファン回転数およびポンプ回転数を最適化するための他の動作のフローチャートである。
図11に図示されている動作は、
図9の動作930の一実施形態であり得る。
【0074】
図11を参照すると、動作1110において燃料電池システムは、呼び出された冷却ファン回転数が、指定された最大回転数であるかを確認することができる。呼び出された冷却ファン回転数が指定された最大回転数ではないと、動作1170において燃料電池システムは、冷却ファン回転数を増加させ、動作1150において増加した冷却ファン回転数と呼び出されたポンプ回転数を格納することができる。次に、燃料電池システムは、
図8の動作820をまた行うことができる。
【0075】
呼び出された冷却ファン回転数が指定された最大回転数であると、動作1120において燃料電池システムは、呼び出されたポンプ回転数が指定された最大回転数であるかを確認することができる。呼び出されたポンプ回転数が指定された最大回転数であると、冷却ファン520およびポンプ530の回転数の制御により、スタック入口温度を下げることができないため、動作1160において燃料電池システムは、冷却負荷限界通知を出力することができる。
【0076】
呼び出されたポンプ回転数が指定された最大回転数ではないと、燃料電池システムは、動作1130においてポンプ回転数を増加させ、動作1140において増加したポンプ回転数に対応するスタック入口温度が、第1温度条件を満たすかを確認することができる。スタック入口温度が第1温度条件を満たさないと、燃料電池システムは、動作1120~1140を繰り返して行うことができる。
【0077】
スタック入口温度が第1温度条件を満たすと、動作1150において、燃料電池システムは、呼び出された冷却ファン回転数と変更されたポンプ回転数を格納することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 燃料電池スタック、20 第1バルブ、21 第1ポート、22 第2ポート、23 第3ポート、30 第1ポンプ、40 第2バルブ、41 第1ポート、42 第2ポート、44 第3ポート、50 ヒータ、60 第1ラジエータ、62 第1リザーバ、70 第2ラジエータ、72 第2リザーバ、80 冷却ファン(第1冷却ファン)、90 空調ユニット、95 イオンフィルタ、100 第2冷却ファン、110 第1冷却ライン、112 第1温度センサ、114 第2温度センサ、116 第3温度センサ、120 第2冷却ライン、130 第1連結ライン、140 第3連結ライン、150 第2連結ライン、200 電装部品、205 第2ポンプ、210 BHDC、220 BPCU、230 LDC、240 空気圧縮機、250 エアクーラ、300 熱交換器、510 制御部、512 温度測定部、514 消費電力測定部、516 冷却ファン制御部、518 ポンプ制御部、520 冷却ファン、530 ポンプ。