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特開2022-112002接着された接続ボックスを有するステアリングコンピュータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112002
(43)【公開日】2022-08-01
(54)【発明の名称】接着された接続ボックスを有するステアリングコンピュータ
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20220725BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20220725BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B62D5/04
H02G3/16
H01R13/52 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003056
(22)【出願日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】2100524
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】511110625
【氏名又は名称】ジェイテクト ユーロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダラクア クレモン
【テーマコード(参考)】
3D333
5E087
5G361
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB12
3D333CD07
3D333CD24
3D333CD26
3D333CD31
3D333CD37
3D333CD39
3D333CE03
3D333CE04
3D333CE06
5E087LL14
5E087MM05
5E087MM08
5E087QQ04
5E087RR12
5E087RR13
5G361BA01
5G361BA07
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC03
(57)【要約】
【課題】従来技術のものよりも小さい体積、組立速度、及び製造コストを有するステアリングコンピュータを提供する。
【解決手段】車両用ステアリングコンピュータ(1)は、外面(42)上に少なくとも1つの接続接点(41)を備えるコンピュータケーシング(4)の内側に配置された少なくとも1つのプリント回路と、少なくとも1つの接続接点(41)に接続される少なくとも1つのコネクタ(21)を有する少なくとも1つの接続ボックス(2)とを備え、少なくとも1つの接続ボックス(2)が少なくとも1つの固定要素(44)によってコンピュータケーシング(4)に固定され、少なくとも1つの固定要素(44)が少なくとも部分的に樹脂(8)に埋め込まれていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面(42)上に少なくとも1つの接続接点(41)を備えるコンピュータケーシング(4)の内側に配置された少なくとも1つのプリント回路と、
前記少なくとも1つの接続接点(41)に接続される少なくとも1つのコネクタ(21)を有する少なくとも1つの接続ボックス(2)とを備え、
前記少なくとも1つの接続ボックス(2)が、少なくとも1つの固定要素(44)によって前記コンピュータケーシング(4)に固定され、
前記少なくとも1つの固定要素(44)が、少なくとも部分的に樹脂(8)に埋め込まれていることを特徴とする、
車両用ステアリングコンピュータ(1)。
【請求項2】
前記樹脂(8)が、前記少なくとも1つの固定要素(44)と前記少なくとも1つの接続ボックス(2)との間に凝集破壊接着を生成する、
請求項1に記載のステアリングコンピュータ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの固定要素(44)が樹脂製である、
請求項1又は2に記載のステアリングコンピュータ(1)。
【請求項4】
前記コンピュータケーシング(4)が、金属製であり、かつ樹脂製の少なくとも1つのベース(43)を含み、
前記ベース(43)が前記少なくとも1つの固定要素(44)を含む、
請求項3に記載のステアリングコンピュータ(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの接続ボックス(2)が樹脂製である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のステアリングコンピュータ(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接続ボックス(2)が前記樹脂(8)によって完全に満たされている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のステアリングコンピュータ(1)。
【請求項7】
前記樹脂(8)が熱硬化性である、
請求項1から6のいずれか1項に記載のステアリングコンピュータ(1)。
【請求項8】
前記樹脂(8)に少なくとも部分的に埋め込まれた少なくとも1つの固定突出部(71)によって前記少なくとも1つの接続ボックス(2)に固定された少なくとも1つの保護カウル(7)を更に含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載のステアリングコンピュータ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの固定突出部(71)が、少なくとも1つの角度を有する形状を有する、
請求項8に記載のステアリングコンピュータ(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のステアリングコンピュータ(1)を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のパワーステアリングシステムの分野、より詳細には、ステアリングコンピュータ、及び、このようなステアリングコンピュータを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ステアリングシステムの目的は、運転者がハンドルに力を加えることによって車両の軌道を制御できるようにすることである。
【0003】
一般に、ステアリングシステムは、ステアリングコラムに接続されたハンドル、ラック、及び各々コネクティングロッドに接続された2つの車輪を含むいくつかの要素を含む。ラックとは、ハンドルをコネクティングロッド及びステアリングコラムを介して、車輪に接続することを可能にする部分である。すなわち、ラックは、運転者がハンドルに加える力を車両の車輪の転向に変換する。
【0004】
車両の電動パワーステアリングシステムは、ステアリングコンピュータによって駆動されるアシストモータを使用して、運転者がハンドルに加える力を減らして車両の車輪を転向させる。
【0005】
より正確には、ステアリングコンピュータは、電子カードとも呼ばれるプリント回路を備えており、このプリント回路は、コンピュータケーシングと呼ばれる密閉されたケース内に配置されている。コンピュータケーシングは、車両の動作中にその信頼性を保証するために、プリント回路がクリーンな環境に維持されることを保証する。クリーンな環境は、湿度レベル及び塵埃レベルが制御される材料として定義される。したがって、逆に、汚れた環境は、湿度レベル及び塵埃レベルが制御されずに変化する材料として定義される。
【0006】
ステアリングコンピュータは、一方ではステアリングコンピュータに動力を供給し、他方では車両の他の部分と通信することができるようにする電線の束も備えている。電線は絶縁シースで絶縁された電気ケーブルである。電線は、特定の接続ボックスを介してプリント回路に接続される。より正確には、電線はコネクタに接続され、コネクタは次に、コンピュータケーシングの接続接点に接続される。このように、接続ボックスは、クリーンな環境内に留まらなければならないプリント回路と、車両内(換言すれば汚れた環境内)に配置された電線の束との間に密封されたインターフェースを提供する。
【0007】
図1に示すように、ネジ5’によってコンピュータケーシング4’のカウル3’に固定された接続ボックス2’を備えたステアリングコンピュータ1’が知られている。このために、カウル3’は、ネジが挿入されるボス部31’を含む。
【0008】
また、ステアリングコンピュータ1’は、接続ボックス2’と同様にネジ5’によってコンピュータケーシング4’のカウル3’にも固定される電線61’のための保護カウル7’と電線61’の束6’を含む。
【0009】
より具体的には、電線61’は、ハンダ付けによって接続ボックス2’のコネクタ21’に接続される。コネクタ21’は、次いで、コンピュータケーシング4’の接続接点41’に接続される。
【0010】
接続ボックス2’の密封確保のために、樹脂8’が充填されている。
【0011】
一般に、ステアリングコンピュータの製造は、次のように行われる。プリント回路は、「クリーンルーム」と呼ばれるクリーンな環境を有する第1の場所でコンピュータケーシング内に取り付けられる。コンピュータケーシングは、この第1の場所で閉じられる。したがって、第1の場所を離れると、コンピュータケーシングは密封され(したがって、プリント回路は保護される)、外部表面上に接続接点を有する。コンピュータのケーシングは、車両に近づけて固定されるか、「クリーンルーム」とは考えられない別の工場に運ばれる。次いで、接続ボックスのコネクタを接続接点にハンダ付けし、接続ボックスをカウル上にネジによって固定する。コネクタには、電線の束がハンダ付けされる。最後に、接続ボックスに樹脂を注入して接続ボックスを封止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来技術のものよりも小さい体積、組立速度、及び製造コストを有するステアリングコンピュータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、以下の車両用のステアリングコンピュータを提供することで前述の欠点の全部又は一部を改善することにより達成される。
【0014】
前記車両用のステアリングコンピュータは、少なくとも1つの接続接点を外面上に備えるコンピュータケーシングの内側に配置された少なくとも1つのプリント回路と、
少なくとも1つの接続接点に接続される少なくとも1つのコネクタが設けられた少なくとも1つの接続ボックスと、を備え、
少なくとも1つの接続ボックスが少なくとも1つの固定要素によってコンピュータケーシングに固定され、前記少なくとも1つの固定要素が少なくとも部分的に樹脂に埋め込まれていることを特徴とする。
【0015】
少なくとも1つの接続接点は、少なくとも1つのプリント回路に接続される。
【0016】
樹脂は、コンピュータケーシングに(より正確にはコンピュータケーシングの外面に)固定された固定要素と、接続ボックスとの間の結合を形成する。したがって、接続ボックスは、接着によってコンピュータケーシング上に保持される。樹脂は、固定要素及び接続ボックスの壁に当接する。したがって、本発明によるステアリングコンピュータは、ネジが挿入されるボス部を必要としないので、従来技術のものよりも小さな膨出部を有する。
【0017】
使用される樹脂は、接続ボックスを封止することも可能にする。
【0018】
本発明によるステアリングコンピュータは、従来技術のコンピュータよりも多くの樹脂を必要としない。
【0019】
さらに、本発明に係るコンピュータは、一方では、ネジ等の追加の締結部品を必要としないため経済的な利得を有し、他方では、接続ボックスの固定が、事前のネジ止め工程を伴わずに樹脂によって直接製造されるという点で、製造時間を節約する。
【0020】
本発明の1つの特徴によれば、固定要素は固定伸長部である。
【0021】
本発明の1つの特徴によれば、少なくとも1つの接続ボックスは、少なくとも1つの固定要素が接続ボックス内に挿入されるオリフィスを備える。
【0022】
本発明の1つの特徴によれば、コンピュータケーシングのカウルは樹脂製である。
【0023】
本発明の1つの特徴によれば、コンピュータケーシングのカウルは、着脱不能に固定された少なくとも1つの固定要素を含む。
【0024】
本発明の特徴によれば、樹脂は、少なくとも1つの固定要素と少なくとも1つの接続ボックスとの間に「凝集破壊」接着を作り出す。
【0025】
「凝集破壊」接着は、接続ボックスがコンピュータケーシングから引っ張られると、樹脂、固定要素又は接続ボックスの内側で破壊が生じることを意味する。凝集破壊は、「固定要素/樹脂又は接続ボックス/樹脂」界面が材料自体よりも強く挙動したことを示す。
【0026】
これにより、接続ボックスがコンピュータ筐体に完全に固定される。
【0027】
本発明の1つの特徴によれば、少なくとも1つの固定要素は樹脂製である。
【0028】
これにより、樹脂を接着可能な樹脂類を容易に見つけることができる。
【0029】
本発明の1つの特徴によれば、コンピュータケーシングは金属製であり、少なくとも1つの樹脂ベースを含み、ベースは少なくとも1つの固定要素を含む。
【0030】
したがって、コンピュータケーシングは、良好な機械的強度を有し、プリント回路を効果的に保護し、一方、固定要素を含むベースは、樹脂との良好な凝集を保証する。
【0031】
本発明の1つの特徴によれば、固定要素はベースに固定される。
【0032】
本発明の1つの特徴によれば、固定要素はベースと一体である。
【0033】
本発明の1つの特徴によれば、ベースは、少なくとも1つの接続接点を含む。
【0034】
ベースが樹脂で作られているので、ベースと接続接点との間のシールが容易になる。
【0035】
本発明の1つの特徴によれば、少なくとも1つの固定要素は直線形状を有する。
【0036】
本発明の1つの特徴によれば、少なくとも1つの接続ボックスは樹脂製である。
【0037】
これにより、樹脂を接着可能な樹脂を容易に見つけることができる。
【0038】
本発明の1つの特徴によれば、樹脂は、少なくとも1つの接続ボックスを完全に充填する。
【0039】
したがって、樹脂は接続ボックスも封止する。
【0040】
本発明の1つの特徴によれば、樹脂は熱硬化性である。
【0041】
これにより、樹脂が接続ボックスに注入される。次いで、樹脂は、固定要素を接続ボックスに完全に結合することができる。
【0042】
本発明の1つの特徴によれば、ステアリングコンピュータは、樹脂に少なくとも部分的に埋め込まれた少なくとも1つの固定突出部によって少なくとも1つの接続ボックスに固定された少なくとも1つの保護カウルも備える。
【0043】
保護カウルは、接続ボックスの一部を構成することにより、電線を保護したり、樹脂の保持に関与したりするためのものである。
【0044】
本発明によれば、保護カウルは、コンピュータケーシングの外面に直接取り付けられるのではなく、接続ボックスを介して取り付けられる。
【0045】
固定突出部は、少なくとも部分的に樹脂に埋め込まれ、接続ボックスを固定することも可能にする。保護カウル上では、固定突出部は、カウルと一体であるか、又は、ネジ止め、溶接、接着、若しくは任意の他の既知手段によってカウルに固定される。
【0046】
本発明の1つの特徴によれば、少なくとも1つの固定突出部は、少なくとも1つの角度を有する形状を有する。
【0047】
本発明の1つの特徴によれば、角度は、10°、又は30°、又は90°よりも大きい。
【0048】
本発明はまた、本発明によるステアリングコンピュータを備える車両に関する。
【0049】
本発明は、非限定的な例として与えられ、添付の概略図を参照して説明される、本発明による実施形態に関する以下の説明により、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】従来技術に係るステアリングコンピュータの斜視図である。
図2】本発明に係るステアリングコンピュータの組立時の分解図である。
図3】本発明に係るステアリングコンピュータの組立時の斜視図である。
図4】本発明に係るステアリングコンピュータの拡大図である。
図5】本発明に係るステアリングコンピュータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図2図5は、本発明によるステアリングコンピュータ1を示す。ステアリングコンピュータ1は、コンピュータケーシング4の内側に配置されたプリント回路を備える。コンピュータケーシング4は、アルミニウム等の金属からなる。コンピュータケーシング4は、カウル3に対応する外面42に、樹脂製のベース43を備えている。ベース43は、コンピュータケーシング4に封止されている。ベース43は、接続接点41を含む。接続接点41は、プリント回路への電気的接続を保証する。ベース43はまた、ベース43と同じ材料、すなわち樹脂で作られた固定要素44を備える。固定要素44はベース43と一体である。
【0052】
また、ステアリングコンピュータ1は、コネクタ21を備えた接続ボックス2を備えている。接続ボックス2は樹脂製である。
【0053】
ステアリングコンピュータ1はまた、電線61の束6を備える。電線61はコネクタ21に電気的に接続され、コネクタ21は接続接点41に電気的に接続される。
【0054】
接続ボックス2は、接続ボックス2内に挿入され、熱硬化性樹脂8内に埋め込まれた固定要素44によってコンピュータケーシング4に固定される。樹脂8は、固定要素44と接続ボックス2との間に「凝集破壊」接着を形成する。樹脂8は、それが完全に充填されるように接続ボックス2に注がれる。
【0055】
さらに、ステアリングコンピュータ1は、電線61を保護することを目的とした保護カウル7を備えている。保護カウル7は、コンピュータケーシング4のカウル3と実質的に平行に延びている。保護カウル7は、樹脂8に埋め込まれた固定突出部71によって接続ボックス2に固定されている。固定突出部71は、90°の角度を有する。
【0056】
ステアリングコンピュータ1の製造は、次のようになされる。すなわち、プリント回路は、クリーンな環境を有する第1の場所で、コンピュータケーシング4内に取り付けられる。コンピュータケーシング4は、最初にカウル3によって閉じられている。したがって、第1の場所を離れるときには、コンピュータケーシング4は密封され、接続接点41を外面42上に有する状態にある。コンピュータケーシング4は、固定される車両のところに持ち込まれる。そして、接続ボックス2のコネクタ21は、接続接点41にハンダ付けされる。電線61の束6は、コネクタ21上にハンダ付けされる。最後に、接続ボックス2の密封を達成するために、樹脂8が接続ボックス2に注がれる。
【0057】
もちろん、本発明は、添付の図面に記載され、表された実施形態に限定されない。本発明の保護範囲から逸脱することなく、特に様々な要素の構成の観点から、又は技術的均等物の置換によって、変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 ステアリングコンピュータ
2 接続ボックス
3 カウル
4 コンピュータケーシング
6 束
7 保護カウル
8 樹脂
21 コネクタ
41 接続接点
42 外面
43 ベース
44 固定要素
61 電線
71 固定突出部
図1
図2
図3
図4
図5