(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011201
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20220107BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20220107BHJP
F24C 15/20 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/06 101A
F24C3/12 Z
F24C15/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112180
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】今村 聡
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BK05
3L058BK09
(57)【要約】
【課題】換気装置の油煙フィルタの清掃あるいは交換の要否を精度よく判断する。
【解決手段】加熱調理器(10)または換気装置(20)の一方で、加熱調理中の時間を累積することによって、油煙フィルタ(23)の使用時間を取得する。そして、油煙フィルタの使用時間に基づいて、油煙フィルタの清掃または交換の一方についての要否を判断し、清掃または交換を要すると判断した場合には、その旨を報知する。こうすれば、加熱調理器で加熱調理が行われていない場合は、加熱調理中の時間が累積されないので、油煙フィルタの正しい使用時間を取得することができ、油煙フィルタの清掃はまた交換の要否を精度よく判断することが可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を加熱調理する加熱調理器と、前記加熱調理器に連動して換気ファンを回転させることによって、前記加熱調理中に生じた熱気を換気する換気装置とを有する換気システムにおいて、
前記換気装置は、前記熱気に含まれる油煙を捕捉する油煙フィルタを備えており、
前記加熱調理器または前記換気装置の何れか一方は、
前記加熱調理器が前記加熱調理中の時間を累積することによって、前記油煙フィルタの使用時間を取得する使用時間取得部と、
前記油煙フィルタの使用時間に基づいて、前記油煙フィルタの清掃または交換の要否を判断する要否判断部と、
前記油煙フィルタの清掃または交換を要すると判断された場合に、前記清掃または交換を要する旨を報知する報知部[佐橋3]とを備える
ことを特徴とする換気システム。
【請求項2】
請求項1に記載の換気システムにおいて、
前記加熱調理器は、少なくとも前記加熱調理中であることを表す加熱調理情報を外部に送信しており、
前記換気装置は、
前記使用時間取得部と、
前記要否判断部と、
前記報知部と、
前記加熱調理情報を取得する情報取得部と
を備え、
前記使用時間取得部は、前記加熱調理情報に基づいて前記加熱調理中か否かを判断することによって、前記油煙フィルタの使用時間を取得する
ことを特徴とする換気システム。
【請求項3】
請求項2に記載の換気システムにおいて、
前記加熱調理器は、前記加熱調理の内容に関する情報も含んだ前記加熱調理情報を送信しており、
前記使用時間取得部は、前記加熱調理の内容に応じた重みで前記加熱調理中の時間を累積する
ことを特徴とする換気システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の換気システムにおいて、
前記換気装置は、前記油煙フィルタの清掃または交換を要すると判断された場合に、前記清掃または交換を要する旨の情報を外部に送信する送信部を備えており、
前記加熱調理器は、前記油煙フィルタの清掃または交換を要する旨の情報を取得して、その旨を報知する加熱調理器側報知部を備える
ことを特徴とする換気システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の換気システムにおいて、
前記加熱調理器は、
前記加熱調理中の調理容器の温度を検出する鍋底温度センサを備え、
前記鍋底温度センサで検出した鍋底温度も含んだ前記加熱調理情報を送信しており、
前記使用時間取得部は、前記鍋底温度に応じた重みで前記加熱調理中の時間を累積する
ことを特徴とする換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理物を加熱調理する加熱調理器と、加熱調理器に連動して換気ファンを回転させることによって、加熱調理中に生じた熱気を換気する換気装置とを有する換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
調理物を加熱調理する加熱調理器には、ガスバーナで燃料ガスを燃焼させることによって加熱調理する方式の加熱調理器や、コイルに交流電流を流した時の誘導加熱を利用して加熱調理する方式の加熱調理器などが知られているが、何れの方式の加熱調理器でも、加熱調理中は熱気が発生する。そこで、加熱調理器と換気装置とを連動させて、加熱調理中は換気ファンを回転させることによって熱気を換気するようにした換気システムが知られている。
【0003】
また、加熱調理中の加熱調理器から発生する熱気には油煙が含まれていることが多いので、油煙によって換気装置の内部や換気ファンが汚れることを防止するために、換気装置が熱気を吸い込む吸引口には、熱気中の油煙を捕捉する油煙フィルタが搭載されている。この油煙フィルタは、捕捉した油煙が増加するに従って通気抵抗が増加し、換気ファンを回転させても十分に熱気を吸い込むことが出来なくなるため、適切なタイミングで油煙フィルタを清掃あるいは交換する必要がある。
【0004】
そこで、換気装置が吸引した熱気の温度を検出して、高温の場合には低温の場合よりも大きな重みで換気装置の運転時間を累積することによって、油煙フィルタの清掃あるいは交換の要否を判断する技術が提案されている。高温の熱気には、低温の熱気よりも多くの油煙が含まれていると考えられるから、こうすれば油煙フィルタの清掃あるいは交換の要否を、精度よく判断することが可能になるものと期待されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した提案されている技術では、実際には、油煙フィルタの清掃あるいは交換の要否を精度良く判断することができないという問題があった。この理由は、換気装置は加熱調理器での加熱調理に連動して起動する場合に限らず、単なる空気の入れ換えのためにユーザが手動で起動させる場合もあり、ユーザが手動で起動させた場合には、油煙フィルタで油煙が捕捉されないにも拘わらず、換気装置の運転時間が累積されてしまうためである。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、換気装置に搭載された油煙フィルタの清掃あるいは交換の要否を精度よく判断することが可能な換気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の換気システムは次の構成を採用した。すなわち、
調理物を加熱調理する加熱調理器と、前記加熱調理器に連動して換気ファンを回転させることによって、前記加熱調理中に生じた熱気を換気する換気装置とを有する換気システムにおいて、
前記換気装置は、前記熱気に含まれる油煙を捕捉する油煙フィルタを備えており、
前記加熱調理器または前記換気装置の何れか一方は、
前記加熱調理器が前記加熱調理中の時間を累積することによって、前記油煙フィルタの使用時間を取得する使用時間取得部と、
前記油煙フィルタの使用時間に基づいて、前記油煙フィルタの清掃または交換の要否を判断する要否判断部と、
前記油煙フィルタの清掃または交換を要すると判断された場合に、前記清掃または交換を要する旨を報知する報知部[佐橋1]とを備える
ことを特徴とする。
【0009】
かかる本発明の換気システムにおいては、加熱調理器または換気装置の一方で、加熱調理器が加熱調理中の時間を累積することによって、油煙フィルタの使用時間を取得する。そして、油煙フィルタの使用時間に基づいて、油煙フィルタの清掃または交換の一方についての要否を判断し、清掃または交換を要すると判断した場合には、その旨を報知する。
【0010】
こうすれば、加熱調理器で加熱調理が行われていないにも拘らず換気ファンが回転している時間は累積されないので、油煙フィルタの正しい使用時間を取得することができる。その結果、油煙フィルタの清掃あるいは交換の要否を精度よく判断することが可能となる。
【0011】
また、上述した本発明の換気システムにおいては、加熱調理器から少なくとも加熱調理中であることを表す加熱調理情報を外部に送信し、この加熱調理情報を換気装置が受け取ることによって、加熱調理中か否かを判断して加熱調理中の時間を累積し、油煙フィルタの清掃または交換の要否を判断して、清掃または交換を要する旨を報知するようにしても良い。
【0012】
こうすれば、加熱調理器では加熱調理情報を送信するだけで、換気装置で、油煙フィルタの清掃または交換の要否を判断し、清掃または交換を要すると判断した場合には、その旨を報知することができる。
【0013】
また、上述した本発明の換気システムにおいては、加熱調理器から、加熱調理の内容に関する情報も含んだ加熱調理情報を送信するようにし、換気装置では、加熱調理中の換気ファンの回転時間を、加熱調理の内容に応じた重みで累積するようにしてもよい。
【0014】
加熱調理器で行われる加熱調理の内容に応じて、油煙フィルタの耐用時間は異なると考えられるから、加熱調理中の換気ファンの回転時間を、加熱調理の内容に応じた重みで累積すれば、より正確な油煙フィルタの使用時間を取得することができる。その結果、油煙フィルタの清掃あるいは交換の要否を更に正確に判断することが可能となる。
【0015】
また、上述した本発明の換気システムにおいては、換気装置で、油煙フィルタの清掃または交換を要すると判断した場合には、その旨の情報を外部に送信するようにしても良い。そして、加熱調理器側では、油煙フィルタの清掃または交換を要する旨の情報を受け取ると、その旨を報知するようにしても良い。
【0016】
こうすれば、換気装置の油煙フィルタの清掃または交換が必要となった場合には、その旨が加熱調理器側でも報知されるので、ユーザに対して、油煙フィルタの清掃または交換を確実に促すことが可能となる。
【0017】
また、上述した本発明の換気システムにおいては、加熱調理器に加熱調理中の調理容器の温度を検出する鍋底温度センサを搭載しておき、鍋底温度センサで検出した鍋底温度を含んだ加熱調理情報を送信するようにしても良い。そして、換気装置では、加熱調理中の換気ファンの回転時間を、鍋底温度に応じた重みで累積するようにしても良い。
【0018】
加熱調理中の調理容器の鍋底温度が高くなると油煙が発生しやすくなるため、油煙フィルタの耐用時間は短くなると考えられる。従って、加熱調理中の換気ファンの回転時間を、鍋底温度に応じた重みで累積すれば、より正確な油煙フィルタの使用時間を取得することができるので、油煙フィルタの清掃あるいは交換の要否を更に正確に判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施例の換気システム1の大まかな構造を示した説明図である。
【
図2】本実施例のガスコンロ10に搭載された制御部17の大まかな動作を示す説明図である。
【
図3】本実施例の換気装置20に搭載された制御部27の大まかな内部構成を示す説明図である。
【
図4】本実施例の換気装置20の制御部27が換気装置20の動作を制御する換気制御処理のフローチャートである。
【
図5】本実施例のガスコンロ10から送信される加熱調理情報を例示した説明図である。
【
図6】換気制御処理の中で実行される回転時間累積処理のフローチャートである。
【
図7】換気装置20の報知ランプ26が点灯された場合に開始される取り外し監視処理のフローチャートである。
【
図8】変形例の換気システム1についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施例の換気システム1の大まかな構造を示した説明図である。図示されるように、本実施例の換気システム1は、鍋などの調理容器内の調理物を加熱調理するガスコンロ10と、ガスコンロ10での加熱調理に伴って発生する熱気を換気する換気装置20とを備えている。図示したガスコンロ10には、第1コンロ11と、第1コンロ11よりも大火力の第2コンロ12と、グリルコンロ13とが搭載されている。このうち、第1コンロ11および第2コンロ12は、上部を天板10a上から突出させた状態で搭載されており、グリルコンロ13は、ガスコンロ10の前面中央に設けられたグリル扉13aの奥側に搭載されている。尚、本実施例のガスコンロ10は、本発明における「加熱調理器」に対応する。また、ガスコンロ10の代わりに、いわゆる誘導加熱調理器(すなわち、コイルに交流電流を流した時の誘導加熱を利用して加熱調理する調理器)を用いることもできる。
【0021】
また、ガスコンロ10の前面には、グリル扉13aに向かって右側の位置に、第1コンロ11を点火したり火力調整したりするための操作ボタン11sと、第2コンロ12を点火したり火力調整したりための操作ボタン12sとが搭載されている。また、グリル扉13aに向かって左側の位置には、グリルコンロ13を点火したり火力調整したりするための操作ボタン13sが搭載されている。
【0022】
ガスコンロ10を用いて加熱調理する場合は、まず初めに、ガスコンロ10の前面に向かって右上隅の位置に搭載された電源スイッチ14をONにする。その後、第1コンロ11、または第2コンロ12、またはグリルコンロ13の中から使用するコンロに対応する操作ボタン11s、12s、13sを操作することによって点火する。操作ボタン11s、12s、13sは何れもプッシュ式になっており、第1コンロ11、第2コンロ12、およびグリルコンロ13の何れも使用しない間は、操作ボタン11s、12s、13sはガスコンロ10の前面とほぼ同じ位置まで後退した状態となっている。しかし、何れかの操作ボタン11s、12s、13sを押し込むと、押し込んだ操作ボタン11s、12s、13sがガスコンロ10の前面から突出した状態となって、その操作ボタン11s、12s、13sに対応するコンロ(第1コンロ11、または第2コンロ12、またはグリルコンロ13の何れか)での燃料ガスの燃焼が開始される。
【0023】
また、ガスコンロ10の前面から操作ボタン11s、12s、13sが突出した状態(すなわち、対応するコンロで燃料ガスが燃焼している状態)で、その操作ボタン11s、12s、13sを時計回りに回転させると、対応するコンロの火力を増加させることができ、反時計回りに回転させると火力を減少させることができる。その後、ガスコンロ10の前面から突出した状態の操作ボタン11s、12s、13sを押し込むと、再び、ガスコンロ10の前面とほぼ同じ位置まで後退した状態となって、押し込んだ操作ボタン11s、12s、13sに対応するコンロでの燃焼を終了させることができる。また、第1コンロ11の中央には、加熱調理中の調理容器の底部の温度を検出する鍋底温度センサ11Tが突設されている。同様に、第2コンロ12の中央にも、調理容器の底部の温度を検出する鍋底温度センサ12Tが突設されている。
【0024】
ガスコンロ10の前面には、操作ボタン11sおよび操作ボタン12sの下方の位置に操作扉15が搭載されており、操作扉15の奥には図示しない操作パネル15s(
図2参照)が収容されている。操作扉15は、操作扉15の上部を押し込むと、操作扉15の下端側を中心として、上端が手前側に倒れるようにして操作扉15が開くカンガルーポケット式の扉となっており、操作扉15が開くと、操作扉15の奥に収容されていた操作パネル15sが現れる。操作パネル15sには、ガスコンロ10で使用可能な各種の調理モードを設定するための複数の操作ボタンが搭載されている。本実施例のガスコンロ10では、調理モードとして、揚げ物調理用のモードや、炒め物調理用のモードや、高温調理モードを設定することができる。例えば、第1コンロ11に対して揚げ物調理用のモードを設定すると、第1コンロ11の鍋底温度センサ11Tで検出した調理容器の温度が揚げ物調理に適した温度となるように、第1コンロ11の火力を自動的に調整しながら、加熱調理を行うことができる。また、調理温度を通常よりも高めに設定したい[佐橋2]場合は、操作パネル15sに搭載された所定の操作ボタンを用いて、高温調理モードに設定することもできる。更に、第1コンロ11および第2コンロ12については、目標温度を設定することも可能となっている。
【0025】
また、ガスコンロ10の内部には、ガスコンロ10の全ての動作を制御する制御部17や、インターネット2に接続可能な調理器側通信部18も搭載されており、制御部17は調理器側通信部18に接続されている。このため制御部17は、調理器側通信部18を介して、インターネット2上のサーバ3に対して各種のデータ(例えば、加熱調理が行われているか否か、および加熱調理の内容など)を送信したり、サーバ3上のデータを読み出したりすることが可能となっている。後述するように本実施例のガスコンロ10は、インターネット2上のサーバ3を介して、換気装置20の油煙フィルタ23の清掃あるいは交換が必要な旨を認識すると、報知ランプ16を用いてその旨をユーザに報知することも可能となっている。
【0026】
換気装置20は、ガスコンロ10の上方に設置されており、内部に送風通路21aが形成された本体ケース21と、送風通路21a内の出口側に搭載された換気ファン22と、送風通路21aの入口側に搭載された油煙フィルタ23とを備えている。また、本体ケース21の前面側には手動スイッチ24が搭載されており、ユーザは手動スイッチ24を操作することによって、換気ファン22の回転を開始させたり、回転を停止させたりすることが可能となっている。そして、換気ファン22を回転させると、換気装置20の下方から吸い込まれた空気が、油煙フィルタ23を通過して送風通路21a内に吸い込まれ、送風通路21aの排出口21bから屋外に排出される。換気装置20の下方から吸い込んだ空気に油煙が含まれていた場合には、油煙フィルタ23で油煙が捕捉されるので、換気装置20の内部の送風通路21aや換気ファン22が汚れることを抑制することができる。
【0027】
また、本体ケース21内には、換気装置20の動作を制御するための制御部27や、インターネット2上のサーバ3に接続してデータの送受信が可能な換気装置側通信部28が搭載されている。前述したように、ガスコンロ10の制御部17は、ガスコンロ10で加熱調理が行われている旨や加熱調理の内容などの情報を、インターネット2上のサーバ3に送信可能となっている。そこで、換気装置20の制御部27は、インターネット2上のサーバ3を介して、ガスコンロ10で加熱調理が開始されたことを検知すると、自動的に換気ファン22の回転を開始させ、ガスコンロ10で加熱調理が停止されたことを検知すると、自動的に換気ファン22の回転を停止させる。
【0028】
更に、制御部27は、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換が必要か否かを判断しており、清掃あるいは交換が必要な場合には、換気装置20の前面に搭載された報知ランプ26を点灯させることによって、その旨を報知する機能も有している。更に、油煙フィルタ23が装着される箇所には、油煙フィルタ23が装着されていることを検知する検知スイッチ23sも搭載されている。
【0029】
図2は、本実施例のガスコンロ10に搭載された制御部17の大まかな動作を示す説明図である。図示されるように制御部17には、電源スイッチ14や、第1コンロ11や、第1コンロ11用の操作ボタン11sや、第2コンロ12や、第2コンロ12用の操作ボタン12sや、グリルコンロ13や、グリルコンロ13用の操作ボタン13sや、報知ランプ16や、操作パネル15sや、調理器側通信部18などが接続されている。
【0030】
ユーザによって電源スイッチ14がONにされると、ガスコンロ10の制御部17が動作を開始して、操作ボタン11s、12s、13sの状態(すなわち、ガスコンロ10の前面から突出した状態になったか否か)を監視する。そして、何れかの操作ボタン11s、12s、13sが突出した状態になると、第1コンロ11、第2コンロ12、グリルコンロ13の中で、突出した状態の操作ボタン11s、12s、13sに対応するコンロに燃料ガスを供給すると共に、図示しない点火プラグを用いて燃料ガスに点火することによって燃料ガスの燃焼を開始させる。その後、押されて突出した状態となった操作ボタン11s、12s、13sをユーザが時計方向に回した場合には、制御部17は回転量に応じて、燃焼中のコンロの火力を増加させる。逆に、ユーザが反時計方向に回した場合には、制御部17は回転量に応じて、コンロの火力を減少させる。
【0031】
更に、ユーザが操作パネル15sを操作することによって、調理モードや加熱調理の目標温度などの調理内容を設定した場合には、制御部17はそれらの設定内容を取得する。そして、第1コンロ11に搭載されている鍋底温度センサ11T(
図1参照)、あるいは第2コンロ12に搭載されている鍋底温度センサ12T(
図1参照)で検出した調理容器の鍋底温度が適切な温度となるように、第1コンロ11あるいは第2コンロ12の火力を自動的に調節する。また、第1コンロ11または第2コンロ12に加熱調理の目標温度が設定されている場合には、第1コンロ11の鍋底温度センサ11T、あるいは第2コンロ12の鍋底温度センサ12Tで検出した鍋底温度が目標温度となるように、第1コンロ11あるいは第2コンロ12の火力を自動的に調節する。更に、突出した状態の操作ボタン11s、12s、13sが押されて、ガスコンロ10の前面と同じ位置まで後退した状態となった場合には、制御部17は、対応するコンロでの加熱調理が終了したものと判断して、そのコンロへの燃料ガスの供給を停止する。
【0032】
また、制御部17は、第1コンロ11や第2コンロ12やグリルコンロ13で加熱調理が行われているか否かについての情報や、これらのコンロの火力についての情報、調理モードに関する情報、鍋底温度センサ11Tで検出した鍋底温度(第1鍋底温度)、12Tで検出した鍋底温度(第2鍋底温度)に関する情報などを、調理器側通信部18を介してインターネット2上のサーバ3に送信する機能を有している。加えて、制御部17は、調理器側通信部18を介して、インターネット2上のサーバ3から各種のデータを読み込むことも可能である。その結果、換気装置20に装着されている油煙フィルタ23の清掃または交換が必要である旨の情報を取得した場合には、報知ランプ16を点灯させることによって、その旨をユーザに報知することも可能となっている。従って、本実施例の制御部17は、本発明における「加熱調理器側報知部」に対応している。
【0033】
図3は、本実施例の換気装置20に搭載された制御部27の大まかな内部構成を示す説明図である。図示されるように換気装置20の制御部27の内部には、回転制御部27aと、使用時間取得部27bと、要否判断部27cと、報知部27dなどが搭載されている。更に、制御部27には、換気装置側通信部28も接続されている。尚、これらの「部」は、本実施例の換気装置20が、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換の要否を判断することに関連して備える機能を概念的にまとめたものであり、制御部27の内部が、これらの「部」に対応する部分に、物理的に区分されていることを表すわけではない。これらの「部」は、コンピュータのプログラムによって実現することもできるし、LSIなどの集積回路によって実現することもできるし、これらの組み合わせによって実現することもできる。
【0034】
回転制御部27aは、換気ファン22や手動スイッチ24や換気装置側通信部28に接続されている。回転制御部27aは、換気装置側通信部28から、ガスコンロ10での加熱調理の状況に関する情報を取得して、その内容に応じて換気ファン22を回転あるいは停止させる。また、ユーザによって手動スイッチ24が操作された場合にも、その操作内容に応じて、換気ファン22を回転あるいは停止させる。尚、本実施例の換気装置側通信部28は、本発明における「情報取得部」に対応する。
【0035】
使用時間取得部27bは、回転制御部27aと、換気装置側通信部28と、検知スイッチ23sとに接続されている。使用時間取得部27bは、回転制御部27aから換気ファン22が回転中であることを示す情報を取得すると共に、換気装置側通信部28からガスコンロ10での加熱調理に関する情報を取得して、加熱調理中の換気ファン22の回転時間を累積することによって、油煙フィルタ23の使用時間を取得する。そして、得られた使用時間を要否判断部27cに出力する。また、検知スイッチ23sの出力から、油煙フィルタ23が取り外されたことを検知すると、油煙フィルタ23の使用時間を初期化した後、新たな使用時間の累積を開始する。この点については後程詳しく説明する。
【0036】
要否判断部27cは、使用時間取得部27bから油煙フィルタ23の使用時間を受け取ると、所定の閾値時間と比較することによって、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換が必要か否かを判断して、その結果を報知部27dおよび換気装置側通信部28に出力する。
【0037】
報知部27dは報知ランプ26に接続されている。そして、要否判断部27cから、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換である旨の判断結果を受け取った場合には、報知ランプ26を点灯させることによって、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換が必要である旨を報知する。また、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換は不要である旨の判断結果を受け取った場合には、報知ランプ26を消灯させる。
【0038】
また、換気装置側通信部28は、要否判断部27cから、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換の要否についての判断結果を受け取ると、その内容をインターネット2上のサーバ3に送信する。従って、換気装置側通信部28は、本発明における「送信部」にも対応する。
【0039】
以上に説明した制御部27を搭載した本実施例の換気装置20は、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換が必要か否かを精度良く判断することが可能となる。以下では、このようなことを実現するために、換気装置20の制御部27が実行している処理について説明する。
【0040】
図4は、本実施例の換気装置20に搭載された制御部27が換気ファン22の回転を制御するために実行する換気制御処理のフローチャートである。油煙フィルタ23の清掃あるいは交換の要否の判断は、この換気制御処理の中で行われる。図示されるように、制御部27は換気制御処理を開始すると、先ず初めにガスコンロ10で加熱調理が開始されたか否かを判断する(STEP10)。
図2を用いて前述したように、ガスコンロ10の制御部17は、加熱調理中であるか否かに関する情報を、調理器側通信部18を介してインターネット2上のサーバ3に一定周期で送信しており、更に、換気装置20の制御部27は、
図3を用いて前述したように、一定周期でインターネット2上のサーバ3からデータを取得している。このため制御部27は、ガスコンロ10で加熱調理が開始されれば直ちにそのことを認識することができる。
【0041】
その結果、ガスコンロ10で加熱調理が開始されていないと判断した場合は(STEP10:no)、換気装置20の手動スイッチ24(
図1参照)がONにされたか否かを判断する(STEP11)。
図3に示したように、手動スイッチ24の出力は制御部27に入力されているので、制御部27は手動スイッチ24がONにされれば直ちにそのことを認識することができる。その結果、手動スイッチ24がONにされていないと判断した場合は(STEP11:no)、再び、ガスコンロ10で加熱調理が開始されたか否かを判断する(STEP10)。
【0042】
このように、換気装置20の換気制御処理では、ガスコンロ10で加熱調理が開始されるか、あるいは手動スイッチ24がONにされるまで、STEP10およびSTEP11の判断を繰り返すことによって待機状態となる。そして、ガスコンロ10で加熱調理が開始された場合は、STEP10で「yes」と判断して、累積フラグをONに設定した後(STEP12)、ガスコンロ10の加熱調理情報を取得する(STEP13)。ここで、累積フラグとは、換気ファン22の回転時間を累積することを示すフラグである。換気ファン22の回転時間を累積する処理については、後ほど詳しく説明する。また、加熱調理情報についても後述する。一方、手動スイッチ24がONに設定された場合は、STEP11で「yes」と判断されて、(累積フラグをONにすることなく)ガスコンロ10の加熱調理情報を取得する(STEP13)。ここで、ガスコンロ10の加熱調理情報とは、ガスコンロ10で加熱調理が開始されると、ガスコンロ10の制御部17が調理器側通信部18を介してインターネット2上のサーバ3に一定周期で送信する情報である(
図2参照)。
【0043】
図5は、本実施例のガスコンロ10がサーバ3に送信している加熱調理情報を例示した説明図である。図示されるように、加熱調理情報には、「加熱調理の有無」や、「合計火力」や、「グリル調理」や、「調理モード」や、「第1鍋底温度」や、「第2鍋底温度」などの各種の項目が含まれている。ここで、加熱調理の有無とは、ガスコンロ10に搭載された第1コンロ11、第2コンロ12、またはグリルコンロ13の何れかで加熱調理が行われているか否かに関する情報であり、「有」または「無」の何れかの値を取る。また、合計火力とは、第1コンロ11、第2コンロ12、またはグリルコンロ13の何れかで加熱調理が行われている場合に、各コンロに供給される燃料ガス量の合計値に関する情報であり、合計値が小さい順に「小」、「中」、「大」の何れかの値を取る。
【0044】
また、グリル調理とは、特にグリルコンロ13で加熱調理が行われているか否かに関する情報であり、「有」または「無」の何れかの値を取る。調理モードとは、ガスコンロ10のユーザが操作パネル15s(
図2参照)を用いて設定した調理モードであり、「揚げ物調理」、「炒め物調理」、「高温調理」の何れかの値を取る。更に、第1鍋底温度とは、第1コンロ11に搭載された鍋底温度センサ11Tで検出された鍋底温度のデータであり、第2鍋底温度とは、第2コンロ12に搭載された鍋底温度センサ12Tで検出された鍋底温度のデータである。ガスコンロ10の制御部17は、これらのデータを、調理器側通信部18を介してインターネット2上のサーバ3に、一定周期で送信している。
【0045】
図4のSTEP13では、換気装置20の制御部27が、換気装置側通信部28を介してインターネット2上のサーバ3から、これらのデータを取得する。すなわち、換気装置20の制御部27は、ガスコンロ10で加熱調理が行われているかについては、所定の一定周期でサーバ3に接続することによって監視しているが、加熱調理情報についてはデータ量が大きいので、STEP13で取得することとしている。
【0046】
続いて、加熱調理情報に基づいて換気風量を決定する(STEP14)。本実施例の換気装置20では、換気風量を3段階に切り換え可能となっており、ガスコンロ10での合計火力が「小」の場合は最も小さな風量(以下、風量小)に決定する。また、合計火力が「中」の場合は中間の風量(以下、風量中)に決定し、合計火力が「大」の場合は最も大きな風量(以下、風量大)に決定する。更に、グリル調理が行われていた場合や、揚げ物調理が行われていた場合は、合計火力に基づいて決定した風量を一段階ずつ増加させる。すなわち、決定した風量が風量小であった場合は、風量中に増加させ、決定した風量が風量中であった場合は、風量大に増加させる。但し、合計火力に基づいて決定した風量が風量大であった場合は、それ以上に風量を増加させることができないので、そのままの風量とする。また、炒め物調理が行われている場合は、風量は増加させないものとしているが、炒め物調理で且つ高温調理が行われている場合は、グリル調理などと同様に風量を増加させることとしても良い。
【0047】
以上のようにして換気風量を決定したら(STEP14)、決定した換気風量に対応する回転速度で換気ファン22の回転を開始する(STEP15)。そして、累積フラグがONに設定されているか否かを判断する(STEP16)。前述したように累積フラグとは、ガスコンロ10で加熱調理が開始された場合に(STEP10:yes)、ONに設定されるフラグである。
【0048】
その結果、累積フラグがONに設定されていた場合は(STEP16:yes)、後述する回転時間累積処理(STEP100)を行った後、手動スイッチ24がOFFにされたか否かを判断する(STEP17)。これに対して、累積フラグがONに設定されていなかった場合は(STEP16:no)、回転時間累積処理(STEP100)は行わずに、手動スイッチ24がOFFにされたか否かを判断する(STEP17)。
【0049】
そして、手動スイッチ24がOFFにされていない場合は(STEP17:no)、今度は、ガスコンロ10で加熱調理が行われているか否かを判断する(STEP18)。その結果、加熱調理が行われている場合は(STEP18:yes)、換気ファン22の回転を継続する必要があると考えられるので、STEP13に戻って再び加熱調理情報を取得した後、換気風量を決定して(STEP14)、続く上述した一連の手順を実行する。
【0050】
これに対して、手動スイッチ24がOFFにされた場合や(STEP17:yes)、ガスコンロ10での加熱調理が終了した場合は(STEP18:no)、もはや換気ファン22を回転させる必要はないと考えられる。そこで、換気ファン22の回転を停止すると共に、累積フラグをOFFに設定した後(STEP19)、処理の先頭に戻って、以上に説明した手順を初めから実行する。
【0051】
また、累積フラグがONに設定されていた場合は、STEP16で「yes」と判断されることによって、以下に示すような回転時間累積処理(STEP100)が開始される。
図6は、回転時間累積処理のフローチャートである。この処理は、換気ファン22が回転しており、且つ、累積フラグがONに設定されている場合に、換気装置20の制御部27によって実行される。
【0052】
図示されるように、換気装置20の制御部27は回転時間累積処理を開始すると、先ず初めに、加熱調理情報に基づいて重み係数を決定する(STEP101)。ここで加熱調理情報は、
図4を用いて前述した換気制御処理のSTEP13で予め取得されている。また、重み係数は、取得しておいた加熱調理情報の「合計火力」の項目を参照して基準となる重み係数を決定し、続いて、加熱調理情報の他の項目を参照して基準の重み係数を修正することによって、最終的な重み係数を決定する。
【0053】
図5に示した加熱調理情報の各項目には、重み係数の計算に用いる値が設定されている。例えば、合計火力の「小」という値に対しては、基準の重み係数として「1.0」が設定されている。また、合計火力の「中」という値に対しては、基準の重み係数として「1.1」が設定され、合計火力の「大」という値に対しては、基準の重み係数として「1.2」が設定されている。また、グリル調理が「有」であった場合には、基準の重み係数に「0.1」が加算される。調理モードに「揚げ物調理」、「炒め物調理」、「高温調理」が設定されていた場合には、基準の重み係数に対して、それぞれ「0.2」、「0.1」、「0.1」が加算される。更に、鍋底温度センサ11Tで検出した鍋底温度(第1鍋底温度)が、所定の閾値温度を超えていた場合には、基準の重み係数に対して「0.1」が加算される。同様に、鍋底温度センサ12Tで検出した鍋底温度(第2鍋底温度)が、所定の閾値温度を超えていた場合にも、基準の重み係数に対して「0.1」が加算される。例えば、合計火力が「中」で、グリル調理が行われ、高温調理での炒め物調理が行われており、且つ、第1鍋底温度が閾値温度を超えていた場合には、基準の重み係数「1.1」に、グリル調理の「0.1」と、炒め物調理の「0.1」と、高温調理の「0.1」と、第1鍋底温度の「0.1」を加算することによって、最終的な重み係数は「1.5」と求められることになる。
【0054】
図6のSTEP101では、以上のようにして、加熱調理情報に基づいて重み係数を決定する。続いて、決定した重みを付けて換気ファン22の回転時間を累積する(STEP102)。例えば、重み係数が「1.5」の場合は、換気ファン22の回転開始後、1秒が経過する度に、1.5秒を加算することによって、換気ファン22の回転時間を累積する。また、換気ファン22の回転中に、例えばグリル調理が終了して合計火力が「中」から「小」に変更された場合には、基準の重み係数の減少分と、グリル調理の加算分が無くなるため、重み係数が「1.5」から「1.3」に減少する。従って、その後は、換気ファン22が回転している状態で1秒が経過する度に、1.3秒を加算することによって、換気ファン22の回転時間を累積する。こうして回転時間を累積した値が、その時点での油煙フィルタ23の使用時間となる。尚、換気ファン22の回転時間を累積するに際しては、換気装置20に油煙フィルタ23が装着されていることを検知スイッチ23sによって確認してから累積するようにしても良い。
【0055】
そして、累積した回転時間(すなわち、油煙フィルタ23の使用時間)が所定の閾値時間に達したか否かを判断する(STEP103)。その結果、まだ閾値時間に達していない場合は(STEP103:no)、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換は不要と判断できるので、
図6の回転時間累積処理を終了して、
図4の換気制御処理に復帰する。そして、換気制御処理では、換気装置20の手動スイッチ24が押されたか否か、あるいはガスコンロ10での加熱調理が継続中か否かを判断して(STEP17、STEP18)、手動スイッチ24がOFFにされるか、加熱調理が終了しない限りは、再び加熱調理情報を取得した後(STEP13)、前述した続く一連の処理を行う。そして、累積フラグがONに設定されていれば(STEP16:yes)、再び、
図6の回転時間累積処理(STEP100)が開始されて、換気ファン22の回転時間が累積されることになる。
【0056】
このようにして、本実施例の換気装置20では、ガスコンロ10で加熱調理が開始されると累積フラグがONに設定され(
図4のSTEP12)、累積フラグがONに設定されている間は、換気ファン22の回転時間が累積されるようになっている(STEP100)。また、手動スイッチ24がOFFにされた場合(STEP17:yes)や、ガスコンロ10での加熱調理が終了したりした場合(STEP18:no)は、換気ファン22の回転は一旦停止される(STEP19)。しかし、その後、ガスコンロ10で加熱調理が再開されると、累積フラグがONに設定されるので(STEP12)、再び換気ファン22の回転時間の累積が開始される(
図6のSTEP101およびSTEP102)。
【0057】
このような手順を繰り返しているうちに、累積した回転時間が所定の閾値時間に達したと判断したら(STEP103)、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換を要する旨を表す報知ランプ26を点灯して(STEP104)、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換を要する旨を、換気装置側通信部28を介してインターネット2上のサーバ3に送信する(STEP105)。そして、油煙フィルタ23が取り外されたことを監視するための取り外し監視処理(STEP150)を開始した後、
図6の回転時間累積処理を終了して、
図4の換気制御処理に復帰する。
【0058】
図7は、取り外し監視処理のフローチャートである。この処理は、前述した回転時間累積処理の中で、油煙フィルタ23の使用時間が閾値時間に達して(STEP103:yes)、報知ランプ26が点灯された場合(STEP104)に、換気装置20の制御部27によって実行される処理である。
【0059】
図示したように、取り外し監視処理(STEP150)を開始すると、制御部27は、油煙フィルタ23が取り外されたか否かを判断する(STEP151)。すなわち、報知ランプ26が点灯されると、換気装置20のユーザは、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換を要する旨を認識して、油煙フィルタ23を取り外すと考えらえる。そこで、制御部27は、報知ランプ26を点灯させると、検知スイッチ23sの出力に基づいて、油煙フィルタ23が脱着されたか否かを監視する。
【0060】
その結果、油煙フィルタ23が取り外されていない場合は(STEP151:no)、まだ油煙フィルタ23の清掃あるいは交換を行っていないと考えられるので、STEP151の判断を繰り返すことによって、油煙フィルタ23が取り外されるまで待機状態となる。その後、油煙フィルタ23が取り外されたら(STEP151:yes)、油煙フィルタ23が清掃あるいは交換されたものと考えられる。そこで、報知ランプ26を消灯すると共に(STEP152)、換気ファン22の回転時間を新たに累積可能とするために、それまでに累積していた回転時間を初期化する(STEP153)。その後、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換が不要である旨を、換気装置側通信部28を介してインターネット2上のサーバ3に送信して(STEP154)、
図7の取り外し監視処理を終了する。
【0061】
また、ガスコンロ10の制御部17は、調理器側通信部18を介してインターネット2上のサーバ3から一定周期でデータを受信しており、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換が必要である旨の情報を受信すると、ガスコンロ10の前面に搭載された報知ランプ16(
図1参照)を点灯させることによって、その旨をユーザに報知する。更に、ユーザが油煙フィルタ23を清掃あるいは交換することによって、換気装置20の制御部27が、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換は不要である旨をサーバ3に送信すると(
図7のSTEP154参照)、その旨をガスコンロ10の制御部17が受信して、報知ランプ16を消灯させる。
【0062】
以上に詳しく説明したように、本実施例の換気システム1では、単に換気ファン22が回転している時間を累積するのではなく、累積フラグがONの状態(すなわち、ガスコンロ10の加熱調理中)で換気ファン22が回転している時間を累積することによって、油煙フィルタ23の使用時間を取得する。そして、油煙フィルタ23の使用時間が所定の閾値時間になったら、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換を要するものと判断する。
【0063】
単純に換気ファン22の回転時間を累積したのでは、ガスコンロ10で加熱調理していないのに、ユーザが室内の換気のために換気ファン22を回転させた場合など、油煙フィルタ23で油煙が捕捉されない条件での回転時間も累積されてしまうので、油煙フィルタ23の正確な使用時間を取得することができず、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換の要否を正確に判断することができない。しかし、本実施例の換気システム1では、換気ファン22が回転していても、ガスコンロ10が加熱調理中でなければ換気ファン22の回転時間が累積されないので、油煙フィルタ23の正確な使用時間を取得することができ、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換の要否を正確に判断することが可能となる。
【0064】
また、上述した本実施例の換気システム1では、換気ファン22の回転時間を累積するに際して、ガスコンロ10での加熱調理の状況(例えば、コンロでの火力の大きさや、調理モードなど)を考慮した重みを付けて、回転時間を累積する。ガスコンロ10での加熱調理の状況は、油煙フィルタ23の耐用時間に大きな影響を与えると考えられるので、加熱調理の状況に応じた重みを付けて回転時間を累積すれば、油煙フィルタ23の使用時間を正確に把握することができ、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換の要否を正確に判断することが可能となる。
【0065】
また、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換を要すると判断した場合には、換気装置20の報知ランプ26だけでなく、ガスコンロ10の報知ランプ16も用いて、その旨をユーザに報知する。このため、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換が必要なことを、ユーザに確実に気付かせることが可能となる。
【0066】
尚、上述した実施例では、ユーザが手動スイッチ24をONにすることによって換気ファン22の回転が開始された場合は、累積フラグがOFFになっているままなので、換気ファン22の回転時間は累積されないものとして説明した。しかし、ユーザが手動スイッチ24をONにして換気を始めた場合でも、換気の途中で、ガスコンロ10で加熱調理を開始する場合も起こり得る。従って、ユーザが手動スイッチ24をONにすることによって換気ファン22の回転が開始された場合でも、その後にガスコンロ10での加熱調理が開始されたことを検知したら、累積フラグをONにするようにしても良い。こうすれば、油煙フィルタ23の使用時間を正確に把握することができるので、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換の要否を、より一層正確に判断することが可能となる。
【0067】
また、上述した実施例では、油煙フィルタ23を清掃のために取り外した場合と、交換のために取り外した場合とを区別することなく、同じように取り扱うものとして説明した。すなわち、累積していた換気ファン22の回転時間を初期化して(
図7のSTEP152)、加熱調理中の換気ファン22の回転時間を累積し(
図6のSTEP101、STEP102)、累積した回転時間が閾値時間に達するまでは、報知ランプ26が消灯したままになるものとして説明した。
【0068】
しかし、油煙フィルタ23を清掃した場合は、油煙フィルタ23を交換した場合に比べて油煙フィルタ23の耐用時間は短いものと考えられる。そこで、換気装置20に専用のボタンを設けて、油煙フィルタ23の清掃なのか、あるいは交換なのかをユーザが指定できるようにしておく。そして、累積していた回転時間を初期化する際に(
図7のSTEP153)、油煙フィルタ23を清掃したのか交換したのかを判断して、油煙フィルタ23の清掃の場合は交換の場合に比べて短い閾値時間を設定するようにしても良い。こうすれば、油煙フィルタ23の清掃あるいは交換の要否を更に正確に判断することが可能となる。
【0069】
また、上述した実施例では、ガスコンロ10と換気装置20とは、インターネット2を介して通信可能になっているものとして説明した。しかし、
図8に示すように、ガスコンロ10の調理器側通信部18と、換気装置20の換気装置側通信部28とで、直接通信するようにしても良い。
図8に示した変形例の換気システム1は、
図1に示した本実施例の換気システム1に対して、ガスコンロ10の調理器側通信部18と換気装置20の換気装置側通信部28とが、直接に通信可能となっている点が異なっているが、他の点については同様である。このような変形例の換気システム1でも、ガスコンロ10から換気装置20に向かって、
図5に例示した加熱調理情報を送信すれば、換気装置20側では上述した実施例と同様な処理を実行することができるので、同様な効果を得ることが可能となる。
【0070】
以上、本実施例の換気システム1について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上述した実施例では、使用時間取得部27bや、要否判断部27cや、報知部27dが、換気装置20の制御部27に搭載されているものとして説明した。しかし、使用時間取得部27bや、要否判断部27cや、報知部27dは、ガスコンロ10の制御部17に搭載されていても構わない。
【符号の説明】
【0071】
1…換気システム、 2…インターネット、 3…サーバ、
10…ガスコンロ、 10a…天板、 11…第1コンロ、
11T…鍋底温度センサ、 11s…操作ボタン、 12…第2コンロ、
12T…鍋底温度センサ、 12s…操作ボタン、 13…グリルコンロ、
13a…グリル扉、 13s…操作ボタン、 14…電源スイッチ、
15…操作扉、 15s…操作パネル、 16…報知ランプ、
17…制御部、 18…調理器側通信部、 20…換気装置、
21…本体ケース、 21a…送風通路、 21b…排出口、
22…換気ファン、 23…油煙フィルタ、 23s…検知スイッチ、
24…手動スイッチ、 26…報知ランプ、 27…制御部、
27a…回転制御部、 27b…使用時間取得部、 27c…要否判断部、
27d…報知部、 28…換気装置側通信部。