(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112101
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】順番案内システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220726BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007753
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】514265360
【氏名又は名称】株式会社MI
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】東京UIT国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石橋 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 章嘉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC18
(57)【要約】
【課題】整理券番号のみならず,行列の回転時間および到着予想移動時間をも利用して最適な順番を案内する。
【解決手段】整理券発行/順番管理サーバは,利用者の施設までの所要移動時間が整理券番号の割り当てられていない最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えているかどうかを判断する(ステップ74)。超えていると判断されると(ステップ74でYES ),所要移動時間後に処理終了に至るまでの所要時間が到来する最先の空き案内枠に整理券番号が割り当てられる(ステップ76)。超えていないと判断されると(ステップ74でNO),最先の空き案内枠に整理券番号が割り当てられる(ステップ75)。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
待ち行列に並ぶ利用者の単位処理時間を表す回転時間を取得する回転時間取得手段,
発行されるたびにインクリメントされる整理券番号の整理券を利用者ごとに発行する整理券発行手段,
利用者ごとに現在地から利用施設に到着するまでに要する所要移動時間を取得する所要移動時間取得手段,ならびに
上記回転時間取得手段によって取得される回転時間にしたがう時間幅を有し,現時点から処理開始に至るまでの所要時間および現時点から処理終了に至るまでの所要時間がそれぞれ定められる,利用施設における案内順を定める複数の案内枠のそれぞれに,上記整理券発行手段によって発行される整理券の整理券番号を割り当てる案内枠管理手段を備え,
上記案内枠管理手段が,
上記整理券番号の小さい順に,上記整理券が発行された利用者について上記所要移動時間取得手段によって取得された上記所要移動時間が整理券番号の割り当てられていない最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えているかどうかを判断する判断手段,および
上記判断手段によって上記所要移動時間が最先の空き案内枠の終了に至るまでの所要時間を超えていると判断された場合に,所要移動時間後に処理終了に至るまでの所要時間が到来する最先の空き案内枠に整理券番号を割り当て,上記判断手段によって上記所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えていないと判断された場合に,最先の空き案内枠に整理券番号を割り当てる割り当て手段を備えている,
順番案内システム。
【請求項2】
上記回転時間の変更を受け付ける回転時間変更受付手段を備え,
上記回転時間変更受付手段によって回転時間が変更された場合に,上記案内枠管理手段の処理を再実行する,
請求項1に記載の順番案内システム。
【請求項3】
上記所要移動時間の変更を受け付ける所要移動時間変更受付手段を備え,
上記所要移動時間変更受付手段によって所要移動時間が変更された場合に,上記案内枠管理手段の処理を再実行する,
請求項1に記載の順番案内システム。
【請求項4】
発行された整理券のキャンセルを受け付けるキャンセル受付手段を備え,
上記キャンセル受付手段によって整理券のキャンセルが受け付けられた場合に,上記案内枠管理手段の処理を再実行する,
請求項1に記載の順番案内システム。
【請求項5】
上記案内枠管理手段の処理を再実行するときに,上記所要移動時間が所定時間以下である利用者の案内順を,所定時間を超える所要移動時間の利用者がより小さい順番の案内枠に割り当てられていないことを条件にして,維持する,
請求項2から4のいずれか一項に記載の順番案内システム。
【請求項6】
回転時間取得手段が,待ち行列に並ぶ利用者の単位処理時間を表す回転時間を取得し,
整理券発行手段が,発行されるたびにインクリメントされる整理券番号の整理券を利用者ごとに発行し,
所要移動時間取得手段が,利用者ごとに現在地から利用施設に到着するまでに要する所要移動時間を取得し,
案内枠管理手段が,上記回転時間取得手段が取得する回転時間にしたがう時間幅を有し,現時点から処理開始に至るまでの所要時間および現時点から処理終了に至るまでの所要時間がそれぞれ定められる,利用施設における案内順を定める複数の案内枠のそれぞれに,上記整理券発行手段が発行する整理券の整理券番号を割り当て,
ここで上記案内枠管理手段は,
上記整理券番号の小さい順に,上記整理券が発行された利用者について上記所要移動時間取得手段が取得された上記所要移動時間が整理券番号の割り当てられていない最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えているかどうかを判断し,
上記所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えていると判断した場合に,所要移動時間後に処理終了に至るまでの所要時間が到来する最先の空き案内枠に整理券番号を割り当て,上記所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えていないと判断した場合に,最先の空き案内枠に整理券番号を割り当てる,
順番案内システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,順番案内システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発券機から発券されるまたはオンライン発券される整理券番号(発券されるたびにインクリメントされる整数)が記載された整理券を用いて受付順番(入場順番)をあらかじめ決定(予約)することがある。整理券は一般には申込みの早い順に小さい番号から発券され,処理(入場等)は整理券番号にしたがって小さい番号からすなわち先着順に行われる。
【0003】
特許文献1は,順番予約を受け付けるときに待ち人数やサービス提供可能時刻を通知するシステムを開示する。また特許文献1は現在位置からの所要時間を算出し,到着予定時刻以降の予約のみを受け付けることも開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは待ち人数やサービス提供可能時刻が事前に分かるので,現地到着を調整することによって,現地に到着してから自分の順番がくるまでに長時間にわたって待機せざるを得ないことになる可能性は低くなる。また,到着予定時刻以降の予約のみを受け付けることで現地到着前に自分の順番が来ることも防止される。しかしながら,たとえば自動車で現地に移動中に渋滞にはまり,到着までに予想以上の時間がかかった場合には自分の順番に間に合わないことが生じ得る。その場合,現地では整理券番号が繰り返し呼び出され,呼び出しに応じることができないと順番予約がキャンセルされることがある。このように遅れて現地に到着すると再び順番予約をせざるを得ないことが多い。
【0006】
この発明は,整理券番号のみならず,行列の回転時間および到着までに予想される移動時間をも利用して最適な順番を案内する,すなわち整理券番号と異なる順番に待ち行列を組み替えて効率よく待ち行列を処理することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による順番案内システムは,待ち行列に並ぶ利用者の単位処理時間を表す回転時間を取得する回転時間取得手段,発行されるたびにインクリメントされる整理券番号の整理券を利用者ごとに発行する整理券発行手段,利用者ごとに現在地から利用施設に到着するまでに要する所要移動時間(到着予想所要時間)を取得する所要移動時間取得手段,ならびに上記回転時間取得手段によって取得される回転時間にしたがう時間幅を有し,現時点から処理開始に至るまでの所要時間および現時点から処理終了に至るまでの所要時間がそれぞれ定められる,利用施設における案内順を定める複数の案内枠のそれぞれに,上記整理券発行手段によって発行される整理券の整理券番号を割り当てる案内枠管理手段を備え,上記案内枠管理手段が,上記整理券番号の小さい順に,上記整理券が発行された利用者について上記所要移動時間取得手段によって取得された上記所要移動時間が整理券番号の割り当てられていない最先の空き案内枠の終了時間を超えているかどうかを判断する判断手段,および上記判断手段によって上記所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えていると判断された場合に,所要移動時間後に処理終了に至るまでの所要時間が到来する最先の空き案内枠に整理券番号を割り当て,上記判断手段によって上記所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えていないと判断された場合に,最先の空き案内枠に整理券番号を割り当てる割り当て手段を備えている。
【0008】
この発明による順番案内システムの制御方法は,回転時間取得手段が,待ち行列に並ぶ利用者の単位処理時間を表す回転時間を取得し,整理券発行手段が,発行されるたびにインクリメントされる整理券番号の整理券を利用者ごとに発行し,所要移動時間取得手段が,利用者ごとに現在地から利用施設に到着するまでに要する所要移動時間を取得し,案内枠管理手段が,上記回転時間取得手段が取得する回転時間にしたがう時間幅を有し,現時点から処理開始に至るまでの所要時間および現時点から処理終了に至るまでの所要時間がそれぞれ定められる,利用施設における案内順を定める複数の案内枠のそれぞれに,上記整理券発行手段が発行する整理券の整理券番号を割り当て,ここで上記案内枠管理手段は,上記整理券番号の小さい順に,上記整理券が発行された利用者について上記所要移動時間取得手段が取得された上記所要移動時間が整理券番号の割り当てられていない最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えているかどうかを判断し,上記所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えていると判断した場合に,所要移動時間後に処理終了に至るまでの所要時間が到来する最先の空き案内枠に整理券番号を割り当て,上記所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えていないと判断した場合に,最先の空き案内枠に整理券番号を割り当てるものである。
【0009】
待ち行列に並ぶ利用者の単位処理時間を表す回転時間には,最も簡単には利用施設の運営者が入力する時間を用いることができる。この場合,運営者は待ち行列の進み具合を見ながら適時に回転時間を入力(変更)する。もちろん,監視カメラの画像解析,過去の統計データ(月日,曜日,時間帯)その他に基づいて回転時間を推定し,それを取得するようにしてもよい。回転時間は待ち行列が進むスピードを表すので,回転時間が短ければ自分の順番がくるまでの待ち時間は短くなり,回転時間が長ければ自分の順番がくるまでの待ち時間は長くなる。典型的には単位処理時間は一人当たりの処理時間とされるが,複数人をまとめて(同時に)処理できる施設であればその複数人あたりの処理時間であってもよい。
【0010】
整理券発行が要求されると,整理券番号を持つ整理券が発行される。たとえば発券機の発券ボタンを押す,携帯端末を用いて施設利用の申し込みをする等によって整理券は発行される。物理的な紙(用紙)に整理券番号を印字する形態であっても電子データによってたとえばスマートフォンの表示画面に整理券番号を表示する形態であってもよい。いずれにしても先着順(申し込み順)に整理券番号がインクリメントされる整理券が利用者ごとに発行される。
【0011】
利用者ごとに現在地から利用施設に到着するまでに要する所要移動時間が取得される。典型的には利用者の現在地を表すデータ(経度データおよび緯度データ等)および利用施設の所在地を表すデータが用いられて所要移動時間は算出され,これが取得される。
【0012】
利用者が現在地から利用施設に移動するときに用いる移動手段に応じて所要移動時間を異ならせてもよい。たとえば徒歩,自転車,自動車,電車,バス等が移動手段として指定される。もちろん過去の経験等に基づいて利用者が自分自身で入力する所要移動時間を取得してもよい。既存のウェブサービス等が算出する所要移動時間を取得してもよい。
【0013】
整理券とは別に利用施設における案内順を定める案内枠の概念が用いられる。案内枠は回転時間取得手段によって取得される回転時間にしたがう時間幅を有するもので,案内枠ごとに現時点から処理開始(たとえば入場開始)に至るまでの所要時間(たとえば10分後)および現時点から終了に至るまでの所要時間(たとえば15分後)を定めることができる。前後に隣り合う案内枠において前に位置する案内枠の処理終了に至るまでの所要時間と後に位置する案内枠の処理開始に至るまでの所要時間は一致させてもよいし,所定の間隔(たとえば1分等)をあけてもよい。いずれにしても,複数の案内枠が時間軸に沿って時間的に前後方向に並ぶ複数の案内枠が,整理券とは別概念として用意される。典型的には案内枠それ自体はコンピュータ装置のメモリ空間に形成され,物理的な枠体は必要ではない。案内枠のそれぞれに整理券の整理券番号が割り当てられることによって整理券番号順(先着順)とは異なる案内順が決定される。
【0014】
整理券番号の小さい順すなわち先着順に,上記整理券が発行された利用者の上記所要移動時間が,整理券番号の未だ割り当てられていない最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えているかどうかが判断される。所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えていると判断された場合に,所要移動時間後に処理終了に至るまでの所要時間が到来する最先の空き案内枠に整理券番号が割り当られる。所要移動時間が最先の空き案内枠の終了に至るまでの所要時間を超えていないと判断された場合,最先の空き案内枠に整理券番号が割り当てられる。
【0015】
整理券番号の小さい順に整理券番号の案内枠への割り当て処理が行われるので,たとえば,すべての利用者がすでに利用施設に到着している場合であれば(所要移動時間は0分),最先の案内枠から順番に小さい番号の整理券番号が割り当てられることになり,整理券番号の順序と案内順とが同じである待ち行列が編成される。他方,所要移動時間が最先の空き案内枠の処理終了に至るまでの所要時間を超えている,すなわち利用施設に到着するのが遅れる利用者については,所要移動時間後に処理終了に至るまでの所要時間が到来する最先の空き案内枠に整理券番号が割り当てられるので,整理券番号は一般には順番に並ばずに,大きい整理券番号が小さい整理券番号の前に並ぶ待ち行列が編成される。後ろにまわされるとしても所要移動時間後に処理終了に至るまでの所要時間が到来する最先の空き案内枠に整理券番号が割り当てられるので,所要移動時間経過後,すなわち利用施設に到着後,比較的短時間で処理が開始される(入場開始等される)ことになる。
【0016】
このようにこの発明によると,整理券番号(先着順)を遵守しつつも,到着が遅い利用者は到着後にすぐに処理が開始される案内枠に割り当てられるように順番が入れ替えられるので,待ち行列を効率的に処理することができる。すなわち,利用施設にまだ到着していない整理券番号の小さい利用者(すなわち申し込みが早かった利用者)を単純に待つ,複数回にわたって呼び出すといった無駄な時間を費やさずに済む。
【0017】
この発明による順番案内システムは,遊園地等における遊戯施設の利用順番や,病院における診察順番に好適に適用することができる。また,レストランにおいてオーダーメニューに整理券番号を対応づけることで,短時間のうちのすべてのオーダーメニューの調理を完了することができるように調理順番の決定するために用いることもできる。駐車場システムであれば駐車スペースの有効利用が実現される。ゴルフ場であれば一緒にコースを回るメンバーのいずれかがゴルフ場へ到着が遅れるときにスタート順番を変更するために用いることも可能である。
【0018】
一実施態様では,上記回転時間もしくは所要移動時間が変更されたとき,または整理券のキャンセルがあったときに,上記の案内枠への割り当て処理が再実行される。効率的な処理が可能な待ち行列を再編成することができる。
【0019】
好ましくは,上記案内枠管理手段の処理を再実行するときに,上記所要移動時間が所定時間以下である利用者の案内順を,所定時間を超える所要移動時間の利用者がより小さい順番の案内枠に割り当てられていないことを条件にして,維持する。既に施設に到着している,または短時間のうちに施設に到着する利用者の案内順を固定する(変更しない)ことで,施設利用開始の直前の並び替えによる混乱を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】順番案内システムのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】順番案内システムを構成するスマートフォンの表示画面に表示される待ち行列画面例である。
【
図3】順番案内システムを構成するスマートフォンの機能ブロック図を示す。
【
図4】順番案内システムを構成する整理券発行/順番管理サーバの機能ブロック図である。
【
図5】スマートフォンの処理と整理券発行/順番管理サーバの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示す。
【
図7】5分後の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示す。
【
図8】さらに10分後の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示す。
【
図9】さらに5分後の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示す。
【
図10】さらに1分後の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示す。
【
図11】さらに1分後の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は順番案内システムのハードウェア構成を概略的に示している。
図2は順番案内システムを構成するスマートフォン10の表示画面に表示される待ち行列画面の一例を示している。
図3は順番案内システムを構成するスマートフォン10の機能ブロック図を,
図4は順番案内システムを構成する整理券発行/順番管理サーバ20の機能ブロック図を,それぞれ示している。
【0022】
図1を参照して,順番案内システムは,スマートフォン10,整理券発行/順番管理サーバ20,地図/交通情報サーバ30,ナブスター衛星(GPS(Global Positioning System )衛星)40および回転時間設定端末装置50を含む。スマートフォン10,整理券発行/順番管理サーバ20,地図/交通情報サーバ30および回転時間設定端末装置50は,いずれもインターネット等のネットワーク1に通信可能に接続される。ナブスター衛星(GPS衛星)40とスマートフォン10とは直接にデータの送受信が可能である。
【0023】
図2を参照して,順番案内システムを構成するスマートフォン10には待ち行列画面が表示される。待ち行列画面には現在時刻(一例として午前9時55分)における,施設たとえば遊園地におけるアトラクションの順番を待つ待ち行列の様子が表示される。具体的には,待ち行列画面には,自分の整理券番号(8番),待ち行列における自分の順番(10番目),回転時間(一人当たりの処理時間,自分の順番が一つ前になるために要する時間)(5分),現在地から現場(施設)までの所要移動時間(約67分),待ち時間(70分)等が表示(記述)される。また,待ち行列画面には待ち行列の長さ(人数),待ち行列中の自分の順番,および自分の整理券番号がグラフィカルに表示され,施設の混雑具合,行列中の自分の順番等を一目で認識することができる。
【0024】
順番案内システムでは,後述するように,申し込み順(整理券発行要求順,先着順)に利用者に整理券番号が付与されるが,整理券番号がそのまま案内順には用いられない。たとえば,
図2の待ち行列画面において,整理券番号3番の利用者は整理券番号4番の利用者よりも発券(申し込み)が早いが,整理券番号4番の利用者は整理券番号3番の利用者よりも前に並んでおり,案内順は整理券番号4番の利用者の方が早くなっている。整理券番号(申し込み順)に必ずしもよらずに案内順が決定されることで,後述するように,無駄に待機する時間が少なくされたり,現地到着が遅れたために順番待ちがキャンセルされたりすることが防止されることになる。順番案内システムによる案内順決定の手順の詳細は後述する。
【0025】
図3はスマートフォン10の機能ブロック図である。スマートフォン10は,制御装置11,制御装置11に接続された記憶装置12,通信装置13,現在地検出装置14,操作装置15および表示装置16を含む。
【0026】
制御装置11はCPU(Central Processing Unit )を含む集積回路によって構成され,スマートフォン10の動作を統括的に制御する。半導体メモリ,ハードディスク等によって構成される記憶装置12に記憶されるアプリケーション・ソフトウエア12c(オペレーティング・システムも含む)が制御装置11によって実行されることで,制御装置11は整理券発行要求部11a,データ送信部11b,データ受信部11c,表示制御部11d等として機能する。もちろん,スマートフォン10であるから,制御装置11は通話(電話)等のその他の機能も実現可能であるが,この実施例における順番案内システムに直接に関連する機能ではないので,その図示は
図3において省略されている。
【0027】
整理券発行要求部11aは,操作装置15を用いた利用者の操作にしたがって整理券発行を要求する。整理券発行対象の施設が複数存在すれば,複数の施設のうちのいずれの施設についての整理券の発行を要求するかについての入力も求められる。整理券発行要求はデータ送信部11b,通信装置13のネットワーク通信部13a,ネットワーク1を通じて整理券発行/順番管理サーバ20に送信され,そこで整理券が発行されることになる。整理券発行要求には,記憶装置12に記憶されたID情報12b(ユーザIDでもスマートフォン10の識別IDでもよい)を含ませてもよい。整理券と利用者とを関連付けることができる。
【0028】
データ送信部11bは,順番案内システムを構成する整理券発行/順番管理サーバ20および地図/交通情報サーバ30に各種の情報を送信する。たとえば,上述した整理券発行要求,スマートフォン10の現在地情報,移動手段情報(徒歩,自転車,自動車,バス,電車等),整理券キャンセル要求などである。
【0029】
データ受信部11cは,順番案内システムを構成する整理券発行/順番管理サーバ20,地図/交通情報サーバ30,ナブスター衛星40からの各種の情報を受信する。受信した情報は制御装置11によって処理され,必要なデータが記憶装置12に記憶される。たとえば,上述した待ち行列画面(
図2)を表示するためのデータは,整理券発行/順番管理サーバ20からスマートフォン10に送信されてデータ受信部11cによって受信され,受信されたデータ(たとえばhtmlデータ)は記憶装置12に画面情報12aとして記憶され,表示装置16における画面表示に用いられる。
【0030】
現在地検出装置14は,通信装置13のGPS通信部13bによって受信されるナブスター衛星40からのGPS(Global Positioning System )信号を用いて,スマートフォン10の現在位置を検出する。現在地検出装置14によって検出された現在位置を表すデータは上述したようにデータ送信部11bから整理券発行/順番管理サーバ20に送信され,後述するように現在位置から目的地(この実施例では特定の利用施設)への移動に要する時間が算出される。
【0031】
操作装置15は文字,数字等を入力するためのキー,エンターキー,矢印キーなどを含むキーボードや電源ボタンなどである。表示装置16はLCD(Liquid Crystal Display),有機EL(Electroluminescence )ディスプレイなどを含み,たとえば上述した待ち行列画面が表示される。表示装置16に表示される表示画面は表示制御部11dによって制御される。また,表示装置16は操作装置15を兼ねることができる。
【0032】
図4は整理券発行/順番管理サーバ20の機能ブロック図である。整理券発行/順番管理サーバ20は,制御装置21,通信装置22および記憶装置23を含むコンピュータ装置によって実現される。
【0033】
制御装置21はCPUを含む集積回路によって構成され,整理券発行/順番管理サーバ20の動作を統括的に制御する。半導体メモリ等によって構成される記憶装置23に記憶されるアプリケーション・ソフトウエア23c(オペレーティング・システムも含む)が制御装置21によって実行されることによって,制御装置21は整理券発行部21a,回転時間取得部21b,所要移動時間算出部21c,案内枠管理部21d,待ち行列画面作成部21e,データ送信部21fおよびデータ受信部21gとして機能する。
【0034】
整理券発行部21aは,スマートフォン10から送信される整理券発行要求にしたがって整理券を発行する。この実施例では,物理的な用紙に数字が印字された整理券は発行されず,整理券発行が要求されるたびに順番に整理券番号を採番する処理が整理券発行部21aによって実行され,上述した待ち行列画面(
図2)に整理券番号が画面表示される。スマートフォン10から整理券発行/順番管理サーバ20に送信される整理券発行要求にID情報(会員ID,スマートフォン10の固有ID)を含ませておくことで,発券された整理券(特定の整理券番号)と特定の利用者またはスマートフォン10とを関連付けることができる。記憶装置23の会員情報記憶部23aにID情報やパスワード等を包含する会員情報を登録しておけば,順番案内システムを特定の利用者のみに利用させることもできる。
【0035】
回転時間取得部21bは,施設における回転時間(一人当たりの処理時間)を取得する。典型的には施設に設置された回転時間設定端末装置50(
図1)に施設管理者によって回転時間が入力され,これが整理券発行/順番管理サーバ20の回転時間取得部21bによって受信される。もちろん,たとえば施設に設置された監視カメラによる撮像画像の解析,施設入口のドアや入場ゲートの開閉動作等を利用して回転時間を把握することもできる。
【0036】
所要移動時間算出部21cは,スマートフォン10の位置(利用者の現在位置)から施設に移動するのに要する時間を予測する。スマートフォン10の現在位置および移動手段が整理券発券要求のときにスマートフォン10から送信されるデータが用いられる。スマートフォン10の現在位置はナブスター衛星40から送信されるGPSデータを用いて特定される。施設の位置はあらかじめ把握されている。現在位置から施設までの移動経路が予測され,予測された移動経路を通って特定の移動手段を用いて移動したときの所要時間が算出される。
【0037】
移動経路の予測および所要移動時間の算出に地図/交通情報サーバ30(
図1)を利用することができる。地図/交通情報サーバ30は道路地図,鉄道地図を備え,渋滞発生情報等をリアルタイムに取得する機能を持つ。たとえば移動手段が自動車であり現在位置から施設までの移動経路中に渋滞が発生している道路が含まれていれば,所要移動時間算出部21cのその情報を取得して渋滞による予測遅延時間を所要移動時間に加算する処理等を実行する。
【0038】
現在位置から施設までの所要移動時間については既存のウェブサービスを利用して予測される時間を用いることができるのは言うまでもない。この場合には,制御装置21に所要移動時間算出部21cの機能を持たせる必要はなく,既存のウェブサービスによって予測される時間を用いればよい。
【0039】
案内枠管理部21dは後述する案内枠に整理券番号を関連付けて,整理券番号と案内順番の関係を管理する処理を実行する。この案内枠管理部21dの処理によって,整理券番号がそのまま案内順には用いられずに適切な案内順が決定されることになる(詳しくは後述する)。
【0040】
待ち行列画面作成部21eは,上述した待ち行列画面(
図2)を作成する。
【0041】
案内枠管理部21dによって決定された案内順を表す待ち行列編成データが,記憶装置23の待ち行列記憶部23bに記憶され,待ち行列記憶部23bに記憶された待ち行列編成データが用いられて待ち行列画面作成部21eによって作成された待ち行列画面(たとえばhtmlデータ)が,データ送信部21fから通信装置22,ネットワーク1を経てスマートフォン10に送信される。整理券発行/順番管理サーバ20の処理に必要とされるデータはデータ受信部21gによって取得される。
【0042】
図5はスマートフォン10と整理券発行/順番管理サーバ20の処理(案内順決定処理)の流れを示すフローチャートである。
図6は午前9時55分時点における,待ち行列記憶部23bに記憶されている待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示している。
【0043】
はじめに利用者は特定施設の整理券の発行を要求する(ステップ61)。ID情報,現在位置,利用交通手段,利用人数等がスマートフォン10から整理券発行/順番管理サーバ20に送信される。分かりやすくするために,以下の説明では利用人数を「1名」とする。
【0044】
整理券発行/順番管理サーバ20は施設に設置されたコンピュータ端末装置50から回転時間をあらかじめ取得する(ステップ71)。また,スマートフォン10の現在地から施設に到着するまでに要する時間(移動時間)を算出する(ステップ72)。
【0045】
整理券発行/順番管理サーバ20は整理券発行要求に応じて整理券を発行する(ステップ73)。発行要求が早い順(先着順)に整理券番号が採番されていく。
【0046】
次に,案内順の決定処理に進む。案内順は,発行された整理券の整理券番号を以下に説明する案内順を規定する案内枠に割り当てることによって行われる。
【0047】
図6を参照して,整理券を案内枠に割り当てる処理を具体的に説明する。
図6には施設利用の案内順を規定する案内枠が矩形枠によって横向きに並べられて示されている。矩形の案内枠のそれぞれの上方のローマ数字I,II,III,...,XVIの番号が枠番号(案内順)である。また,矩形の案内枠内のそれぞれにアラビア数字1,2,3...または「空」の文字のいずれかが格納されている。このアラビア数字のそれぞれが発券された整理券の番号であり,「空」は空いている(整理券番号が割り当てられていない)案内枠(空き枠)を意味する。たとえば枠番号IIIの案内枠には整理券番号4が割り当てられており,整理券番号と案内順とは必ずしも一致しない。
【0048】
図6にはさらに,案内枠ごとに待ち時間(分)および到着までの移動時間(分)も示されている。
図6に示す例では回転時間が5分であることから,待ち時間は5分刻みでインクリメントされている。たとえば,枠番号IIの案内枠は待ち時間が10分であり,処理(入場等)の開始時が10分後(現時点から処理開始に至るまでの所要時間が10分),終了時が15分後(現時点から処理終了に至るまでの所要時間が15分)であることを意味する。到着までの移動時間は利用者ごとに異なる。たとえば,整理券番号3番の利用者は整理券発行/順番管理サーバ20の所要移動時間算出部21cによって算出された移動時間に基づいて,現在時刻から施設に到着するまでに「21分」の時間を要する。
【0049】
上述したように,整理券番号は整理券の要求順にしたがう。
図6に示す例では整理券番号11番まで発行されており,整理券番号の順番で各利用者は整理券の発行要求(ステップ61)をしたことを示している。
【0050】
はじめに到着までの移動時間が,空いている最先の案内枠(最先の空き枠)の終了時を超えているかどうかが判断される(ステップ74)。
【0051】
図6を参照して,整理券番号1番の利用者は到着までの移動時間が「0」分であり,すでに施設に到着している。到着までの移動時間は最先の空き枠ここでは枠番号Iの案内枠の処理終了時(5分後)を超えていないので(ステップ74でNO),最先の空き枠,ここでは枠番号Iの案内枠に整理券番号1が割り当てられる(ステップ75)。次に整理券番号2番の利用者の処理に進む。整理券番号2番の利用者も到着までの移動時間が「0」分であり,到着までの移動時間は最先の空き枠ここでは枠番号IIの案内枠の処理終了時(10分後)を超えていない(ステップ74でNO)。最先の空き枠,ここでは枠番号IIの案内枠に整理券番号2が割り当てられる。整理券番号1番および2番については整理券番号と案内順は一致する。
【0052】
次に,整理券番号3番の利用者は到着までの移動時間が「21分」である。この整理券番号を最先の空き枠である枠番号IIIの案内枠に割り当てると,枠番号IIIの案内枠の処理開始時(15分後)から処理終了時(20分後)までに整理券番号3番の利用者は施設に到着せず,枠番号IIIの案内枠が完全に空いてしまう(枠番号IIIの案内枠の時間帯に全く処理が行われない)ことになる。
【0053】
到着までの移動時間が最先の空き枠の終了時を超えている場合(ステップ74でYES ),到着までの移動時間後に終了時が到来する最先の空き枠に整理券が割り当てられる(ステップ76)。整理券番号3番の利用者の到着は21分後であり,到着までの移動時間後に終了時が到来する最先の空き枠は枠番号IVの案内枠である。整理券番号3番は枠番号IVの案内枠に割り当てられる。枠番号IIIの案内枠はこの時点では空き枠となる。
【0054】
枠番号IVの案内枠は処理開始時が20分後,処理終了時が25分後の枠であり,枠番号IVの案内枠の時間帯中に整理券番号3番の利用者は施設に到着することが予想される。整理券番号3番の利用者は施設に到着した後すぐに処理(入場等)を開始することができる。
【0055】
次に整理券番号4番の利用者は到着までの移動時間が「19分」であり,枠番号IIIの案内枠の処理終了時(20分後)に間に合う。整理券番号4番の利用者には空き枠とされている枠番号IIIの案内枠が割り当てられる(ステップ74でNO,ステップ75)。
【0056】
整理券番号5の利用者は到着までの移動時間が「0」分であり,すぐに処理を始められるが,枠番号I~IVの案内枠がすでに埋まっているので最先の空き枠である枠番号Vの案内枠が割り当てられる(ステップ74でNO,ステップ75)。
【0057】
整理券番号6の利用者は到着までの移動時間が「15分」である。15分後には処理を始められるが,15分後に処理開始される枠番号IIIの案内枠から枠番号Vまでの案内枠はすでに埋まっているので,最先の空き枠である枠番号VIの案内枠が割り当てられる(ステップ74でNO,ステップ75)。
【0058】
整理券番号7の利用者は到着までの移動時間が「60分」である。最先の空き枠である枠番号VIIの案内枠の終了時(40分後)を超えているので,到着までの移動時間後に終了時が到来する最先の空き枠,ここでは60分後に処理が開始され,65分後に処理が終了する枠番号XIIの案内枠が割り当てられる(ステップ74でYES ,ステップ76)。この時点では枠番号VII~XIの案内枠は空き枠とされる。
【0059】
整理券番号8の利用者は到着までの移動時間が「52分」である。到着までの移動時間は最先の空き枠の終了時,ここでは枠番号VIIの案内枠の終了時(40分後)を超えているので,到着までの移動時間後に終了時が到来する最先の空き枠,ここでは枠番号Xの案内枠が割り当てられる(ステップ74でYES ,ステップ76)。整理券番号8の利用者は施設到着後すぐに処理を開始することができる。整理券番号8番の利用者は整理券番号7番の利用者よりも先の案内順となる。
【0060】
整理券番号9の利用者は到着までの移動時間が「30分」である。30分後には処理を始められるが30分後に処理開始される枠番号VIの案内枠まではすでに埋まっているので,最先の空き枠である枠番号VIIの案内枠が割り当てられる(ステップ74でNO,ステップ75)。
【0061】
整理券番号10の利用者は到着までの移動時間が「30分」である。30分後には処理を始められるが30分後に処理開始される枠番号VI,その次の枠番号VIIの案内枠はすでに埋まっているので,最先の空き枠である枠番号VIIIの案内枠が割り当てられる(ステップ74でNO,ステップ75)。
【0062】
整理券番号11の利用者は到着までの移動時間が「67分」である。到着までの移動時間は最先の空き枠の終了時,ここでは枠番号IXの案内枠の終了時を超えているので,到着までの移動時間後に終了時が到来する最先の空き枠,ここでは枠番号XIVの案内枠が割り当てられる(ステップ74でYES ,ステップ76)。整理券番号11番の利用者は,到着後(67分後)すぐに(70分後)処理が開始される。
【0063】
整理券番号,決定された枠番号,回転時間,到着までの所要移動時間,待ち時間等を含む待ち行列画面(
図2)が整理券発行/順番管理サーバ20の待ち行列画面作成部21eによって作成され,スマートフォン10に送信される(ステップ77)。スマートフォン10の表示画面に待ち行列画面が表示される(ステップ62)。待ち行列画面の作成処理(ステップ77)および表示処理(ステップ62)はたとえば所定時間ごとに繰り返し,所定時間ごとに待ち行列画面を更新するようにしてもよい。
【0064】
このように,回転時間に応じて処理開始時および処理終了時が定められる時間幅を持つ案内枠が設定され,この案内枠に先着順に発行される整理券番号が順番に割り当てられる。整理券番号の案内枠への割り当ては,整理券番号による先着順を基本としつつも,利用者の到着までの移動時間を用いて到着してすぐに処理を開始できる案内枠に割り当てられ,処理終了時に到着が間に合う空き枠があれば先着順に関わらずに空いている案内枠に割り当てられる。
【0065】
たとえば,整理券番号3番の利用者は,後から整理券が発行された整理券番号4番の利用者よりも後の案内順にまわされることになるが,整理券番号4番の利用者は整理券番号3番の利用者が施設に到着するよりも前に処理が開始され(たとえば整理券番号が呼び出される)ことになるから,整理券番号3番の利用者が不公平を感じる可能性は少ない。整理券番号(先着順)をそのまま案内順にする場合に比べて,効率よく処理可能な待ち行列を編成することができる。
【0066】
案内順は,回転時間の変動,キャンセル,特定の利用者の遅延(所要移動時間の延長)があったときに再計算される。すなわち,回転時間設定端末装置50から回転時間の変更が入力されたとき,利用者のスマートフォン10からキャンセルの入力があったとき,地図/交通情報サーバ30から渋滞情報の発生を示すデータが送信されたときに,
図5に示す処理(整理券発行要求処理(ステップ61)および整理券発行処理(ステップ73)を除く)が再度実行される。案内順決定の再実行は,再実行のタイミングにおいて既に処理を終えている(または処理に進んでいる)利用者については実行されず,また以下に説明するように案内順が維持されるべき利用者についても実行されない。それ以外の利用者について,整理券番号が小さい順に,案内順決定が再実行される時点において整理券が発券されている利用者の全員についてそれぞれ案内順が再計算される。
【0067】
また,案内順決定の再実行が回転時間の変動に起因する場合であれば,移動時間の算出処理(ステップ72)は再実行処理においてはスキップしてもよい。案内順決定の再実行が特定の利用者の遅延(所要移動時間の延長)に起因する場合であれば,回転時間の取得処理(ステップ71)はスキップしてもよい。案内順決定の再実行が特定の利用者のキャンセルに起因する場合であれば,回転時間の取得処理(ステップ71)および移動時間の算出処理(ステップ72)はスキップしてもよい。
【0068】
なお,到着までの移動時間がたとえば15分以内の利用者については,案内順の再決定の対象とせずに,所定時間を超える所要移動時間の利用者がより小さい順番の案内枠に割り当てられていないことを条件にして,元の案内順をそのまま維持してもよい。たとえば
図6に示す例では到着までの移動時間が15分以内である利用者は整理券番号1番および2番である。整理券番号5番の利用者は到着までの移動時間は15分以内であるが,整理券番号5番よりも前の(より小さい)案内順の整理券番号4番の利用者の到着までの移動時間が19分(15分を超えている)であるので,案内順は維持されない。
【0069】
図7は
図6に示す状態から5分後(午前10時)の待ち行列編成データ(案内順データ)を示すもので,再実行された案内順決定処理後の様子を示している。ここでは回転時間が5分から4分に短縮された結果,案内順決定処理(
図5)が再度実行されたものとする。また,整理券番号14番まで発行されたものとする。整理券番号1の利用者は処理が済んでいるので整理券番号2の利用者が再編成された待ち行列の先頭にいる。また5分の時間が経過したことで各利用者の到着までの移動時間が
図6と比較して5分短くなっている。
【0070】
再実行される案内順決定処理も整理券番号順に実行される(案内順が維持される利用者を除く)。整理券番号1番および2番の利用者については案内順が維持されるので,
図7に示す例では整理券番号3番から始まり,整理券番号14番まで順番に案内順決定処理が再実行される。
【0071】
整理券番号3番の利用者は到着までの移動時間が「16」分であり,到着までの移動時間が最先の空き枠IIの終了時(8分後)を超えている。到着までの移動時間後に終了時が到来する最先の空き枠に整理券が割り与えられる。整理券番号3番の利用者の到着までの移動時間後に終了時が到来する最先の空き枠は枠番号IVの案内枠であるから,整理券番号3番の利用者には枠番号IVの案内枠に割り当てられる(
図5のステップ74でYES ,ステップ76)。この時点では枠番号IIおよびIIIが空き枠となる。整理券番号3番の利用者のスマートフォン10には案内順の再計算によって決定された新たな案内順を含む待ち行列画面が送信され(ステップ77),表示画面に表示されることになる(ステップ62)。これは他の利用者についても同様である。
【0072】
次に整理券番号4番の利用者は到着までの移動時間が「14」分であり,到着までの移動時間が最先の空き枠である枠番号IIの案内枠の終了時(8分後)を超えている。到着までの移動時間後に終了時が到来する最先の空き枠は枠番号Vの案内枠である(枠番号IVの案内枠は整理券番号3の利用者に割り当てられている)ので,整理券番号4番の利用者は枠番号Vの案内枠に割り当てられる(
図5のステップ74でYES ,ステップ76)。
【0073】
整理券番号5番の利用者は到着までの移動時間が「0」分であり,到着までの移動時間が最先の空き枠の終了時(8分後)を超えていないので,最先の空き枠である枠番号IIの案内枠に割り当てられる(ステップ74でNO,ステップ75)。
【0074】
整理券番号6番の利用者は到着までの移動時間が「10」分であり,到着までの移動時間が最先の空き枠の終了時(12分後)を超えていないので,最先の空き枠である枠番号IIIの案内枠に割り当てられる(ステップ74でNO,ステップ75)。
【0075】
このようにして,回転時間が変動すると案内順に変動が生じる。たとえば,整理券番号5番の利用者は
図6のときは待ち時間が25分であったが,
図7に示す案内順再決定処理後では待ち時間が8分となり,待ち時間が短くなっている。順番が後ろにまわされたたとえば整理券番号4番の利用者は,
図6のときには到着後すぐに処理を開始される順番であったが,
図7に示す案内順再決定処理後では到着後6分の待ち時間が発生する。待ち時間は長くなるが整理券番号3番の利用者の次の順番であるから特に不公平感を感じずに済むことになる。回転時間は変動したタイミングで案内順再決定処理を実行することによって,案内枠を無駄なくかつ効率よく利用することができる。
【0076】
図8は,
図7に示す状態からさらに10分後(午前10時10分)の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示している。整理券番号16番まで発行され,かつ回転時間が4分から7分に延長されたものとする。整理券番号2番および5番の利用者は処理が済んだので,整理券番号6番の利用者が行列の先頭にいる。10分が経過したことで各整理券番号の利用者の到着までの移動時間が
図7と比較して10分短くなっている。また,
図7において整理券番号2番,5番および6番の利用者については案内順の先頭から後方に向かって到着までの移動時間が15分以内であるので,案内順が維持される。
【0077】
回転時間が長くなることで各案内枠の開始時および終了時が変動し,
図7において空き枠であった枠番号XおよびXIの案内枠にも利用者が割り当てられている。
【0078】
新たに申し込みをした整理券番号16番の利用者は,到着までの移動時間が5分であるが,申し込みのタイミングが最後であるので,先着順にしたがって整理券番号15番の利用者の次の枠番号XIIIの案内枠が割り当てられている。
【0079】
図9は
図8に示す状態からさらに5分後(午前10時15分)の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示している。整理券番号9番の利用者がキャンセル処理をしたことに起因する案内順再決定処理後の待ち行列である。
図8において整理券番号6番,3番,4番,12番,9番および10番の利用者は到着までの移動時間が15分以内であるので,案内順が維持される。
【0080】
整理券番号9番の利用者がキャンセルすることによって,整理券番号9番の利用者が割り当てられていた案内枠が空き枠となり,そこに別の利用者が割り当てられる。
【0081】
図10は
図9に示す状態からさらに1分後(午前10時16分)の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示している。整理券番号8番の到着が10分遅延したことに起因する案内順再決定処理後の待ち行列である。
図9において整理券番号3番,4番,12番,10番および13番の利用者は到着までの移動時間が15分以内であるので,案内順は維持される。
【0082】
整理券番号8番の利用者の到着が遅れることに起因して,整理券番号14番の利用者が整理券番号8番の利用者よりも前の案内順とされている。しかしながら,整理券番号8番の利用者は
図9に示す状態では待ち時間が到着から10分であったが,
図10に示す状態では待ち時間が到着から1分と短くなっており,結果的には効率よく待ち行列を処理する順番となっている。
【0083】
図11は
図10に示す状態からさらに1分後(午前10時17分)の待ち行列編成データ(案内順データ)のデータ構造を示している。整理券番号8番の利用者の到着が10分早まり,かつ回転時間が4分短縮されたことに起因する案内順再決定処理後の待ち行列である。
図10において整理券番号4,12,10および13番の利用者は到着までの移動時間が15分以内であり案内順は維持される。
【0084】
到着時間の変動および回転時間の変動によって案内順再決定処理が実行される。整理券番号8番の利用者の到着時間が早まることによって整理券番号8番の利用者の案内順が整理券番号14番の利用者の案内順の前に変更されている。
【0085】
上述した実施例では,スマートフォン10を用いて整理券の発行が要求され(
図5のステップ61),スマートフォン10の待ち行列画面(
図2)に案内順が画面表示される例を説明したが,これに代えてまたは加えて,利用施設に設置される発券機を用いて紙の整理券を発行してもよい。発券機を用いて整理券が発行される場合も,その発行要求は発券機から整理券発行/順番管理サーバ20に送信されて,上述した案内順処理の対象とされる。発券機を用いて整理券を発行した利用者については,既に利用施設に到着しているので移動時間は「0」とされる。待ち行列画面は利用施設に設置される表示装置に表示すればよい。
【符号の説明】
【0086】
1 ネットワーク
10 スマートフォン
20 整理券発行/順番管理サーバ
21a 整理券発行部
21b 回転時間取得部
21c 所要移動時間算出部
21d 案内枠管理部
21e 待ち行列画面作成部