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特開2022-112132衛生用マスクおよび衛生用マスク梱包体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112132
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】衛生用マスクおよび衛生用マスク梱包体
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220726BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20220726BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A41D13/11 H
B65D85/07
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007808
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】507192781
【氏名又は名称】株式会社アライブテック
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 只康
【テーマコード(参考)】
2E185
3E068
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC36
3E068AA13
3E068AB03
3E068AB07
3E068AC07
3E068BB09
3E068CC04
3E068CE02
3E068CE05
3E068EE02
(57)【要約】
【課題】衛生用マスクを積み重ねた場合であっても生地または耳掛け紐を損傷または変形させることを防ぐことができる衛生用マスクおよび衛生用マスク梱包体を提供する。
【解決手段】衛生用マスク100は、マスク本体部101の左右の側部から延びる耳掛け紐102に耳掛け部調整具104が設けられている。耳掛け部調整具104は、2つの耳掛け紐102が貫通する筒状に形成されている。この場合、耳掛け部調整具104は、マスク本体部101の側辺の上側および下側からそれぞれ延びる2つの耳掛け紐102の太さ(外径)の合算値よりも小さい内径の円筒状に形成されている。また、耳掛け部調整具104は、径方向に弾性変形可能かつ軸方向に直交する方向に屈曲可能なチューブ状に形成されている。また、耳掛け部調整具104は、内周面および両端面が滑らかな平滑面で構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面における少なくとも口を覆う大きさのシート状に形成されたマスク本体部と、
前記マスク本体部の左右の側部の上側および下側からそれぞれ紐状に延びて使用者の耳が貫通した状態で掛けられる環状の耳掛け部を形成する耳掛け紐と、
前記上側および前記下側からそれぞれ延びる2つの耳掛け紐が通されて前記耳掛け部の大きさを増減させる耳掛け部調整具とを備えた衛生用マスクであって、
前記耳掛け紐は、
径方向に弾性変形する弾性体で構成されており、
前記耳掛け部調整具は、
前記2つの耳掛け紐の太さの合算値よりも小さい内径の筒状に形成されていることを特徴とする衛生用マスク。
【請求項2】
請求項1に記載した衛生用マスクにおいて、
前記耳掛け部調整具は、
前記2つの耳掛け紐の太さの合算値よりも小さい外径の筒状に形成されていることを特徴とする衛生用マスク。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した衛生用マスクにおいて、
前記耳掛け部調整具は、
径方向および軸方向に柔軟に弾性変形可能に構成されていることを特徴とする衛生用マスク。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した衛生用マスクにおいて、
前記耳掛け部調整具は、
内周面および両端面が滑らかな平滑面で構成されていることを特徴とする衛生用マスク。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した衛生用マスクにおいて、
前記耳掛け部調整具は、
外周部および内周部の各断面形状が円形状に形成されていることを特徴とする衛生用マスク。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載した衛生用マスクにおいて、
前記耳掛け部調整具は、
肉厚が1mm以下に形成されていることを特徴とする衛生用マスク。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載した衛生用マスクと、
複数の前記衛生用マスクを積み重ねた状態で収納するマスク収納体とを備えていることを特徴とする衛生用マスク梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面における口を覆うように装着される衛生用マスクおよびこの衛生用マスクを詰めた衛生用マスク梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、顔面における口を覆うように装着されて飛沫の拡散または吸引を防止する衛生用マスクがある。例えば、下記特許文献1には、マスクの左右方向に延びる耳かけ紐に耳かけ紐の長さを調整するための円筒状のパイプからなる調整装置が設けられた衛生用マスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3170683号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載した衛生用マスクにおいては、調整装置が剛体であるパイプ状に形成されているため、複数の衛生用マスクを積み重ねて梱包した際に調整装置が衛生用マスクの生地または耳かけ紐に押し付けられて生地または耳かけ紐を損傷または変形させる恐れがあった。特に、1回しか使用しない所謂使い捨ての衛生用マスクにおいては、50枚以上の大量の衛生用マスクを圧縮して積み重ねてパッケージしているため、調整装置が強く押し付けられて衛生用マスクの生地または耳かけ紐を損傷または変形させ易いという問題があった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、衛生用マスクを積み重ねた場合であっても生地または耳掛け紐を損傷または変形させることを防ぐことができる衛生用マスクおよび衛生用マスク梱包体を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、顔面における少なくとも口を覆う大きさのシート状に形成されたマスク本体部と、マスク本体部の左右の側部の上側および下側からそれぞれ紐状に延びて使用者の耳が貫通した状態で掛けられる環状の耳掛け部を形成する耳掛け紐と、前記上側および前記下側からそれぞれ延びる2つの耳掛け紐が通されて耳掛け部の大きさを増減させる耳掛け部調整具とを備えた衛生用マスクであって、耳掛け紐は、径方向に弾性変形する弾性体で構成されており、耳掛け部調整具は、前記2つの耳掛け紐の太さの合算値よりも小さい内径の筒状に形成されていることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、衛生用マスクは、耳掛け紐が径方向に弾性変形する弾性体で構成されているとともに、耳掛け部調整具が2つの耳掛け紐の太さの合算値よりも小さい内径の筒状に形成されているため、耳掛け部調整具の両端部直前部分の耳掛け紐の外形が膨らむことで耳掛け部調整具が他の物体に接触することが防止される。これにより、本発明に係る衛生用マスクは、複数の衛生用マスクを重ねた場合であっても耳掛け部調整具がマスク本体部または耳掛け紐に直接接触することが防止されるため、マスク本体部または耳掛け紐を損傷または変形させることを防ぐことができる。なお、耳掛け部調整具の内径は、筒の内周部の大きさを意味しており円筒形のみを意味するものではなく断面形状が三角形、方形または五角形などの多角形のほか、異形形状も含むものである。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記衛生用マスクにおいて、耳掛け部調整具は、前記2つの耳掛け紐の太さの合算値よりも小さい外径の筒状に形成されていることにある。
【0009】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、衛生用マスクは、2つの耳掛け紐の太さの合算値よりも小さい外径の筒状に形成されているため、耳掛け部調整具の両端部直前の耳掛け紐の外形が耳掛け部調整具の外径よりも確実に膨らむことでマスク本体部または耳掛け紐に接触して損傷または変形させることを防ぐことができる。なお、耳掛け部調整具の外径は、筒の外周部の大きさを意味しており円筒形のみを意味するものではなく断面形状が三角形、方形または五角形などの多角形のほか、異形形状も含むものである。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記衛生用マスクにおいて、耳掛け部調整具は、径方向および軸方向に柔軟に弾性変形可能に構成されていることにある。
【0011】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、衛生用マスクは、耳掛け部調整具の径方向および軸方向に柔軟に弾性変形可能に構成されているため、耳掛け部調整具は他の物体に接触した場合に柔軟に変形することができマスク本体部または耳掛け紐が損傷または変形することを効果的に防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記衛生用マスクにおいて、耳掛け部調整具は、内周面および両端面が滑らかな平滑面で構成されていることにある。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、衛生用マスクは、耳掛け部調整具の内周面および両端面が滑らかな平滑面で構成されているため、耳掛け部調整具を耳掛け紐の長手方向に沿って容易に往復動させることができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、衛生用マスクにおいて、耳掛け部調整具は、外周部および内周部の各断面形状が円形状に形成されていることにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、衛生用マスクは、耳掛け部調整具の外周部および内周部の各断面形状が円形状に形成されているため、耳掛け部調整具がマスク本体部、耳掛け紐または人の肌などの他の物体に接触した場合であってもこれらの損傷または変形することを効果的に防ぐことができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記衛生用マスクにおいて、耳掛け部調整具は、肉厚が1mm以下に形成されていることにある。
【0017】
このように構成した本発明の特徴によれば、衛生用マスクは、耳掛け部調整具の肉厚が1mm以下に形成されているため、耳掛け部調整具を小型化して他の物体への接触を防止できるとともに、耳掛け紐の軽量化および耳掛け部調整具を視覚的に耳掛け紐に一体化して美観を向上させることができる。
【0018】
また、本発明は、衛生用マスクの発明として実施できるばかりでなく衛生用マスク梱包体の発明としても実施できるものである。
【0019】
具体的には、衛生用マスク梱包体は、請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載した衛生用マスクと、複数の衛生用マスクを積み重ねた状態で収納するマスク収納体とを備えているとよい。これによれば、衛生用マスク梱包体は、上記衛生用マスクと同様の作用効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る衛生用マスクの外観構成の概略を示す左半分拡大平面図である。
図2図1に示す衛生用マスクの耳掛け紐に装着されている耳掛け部調整具の外観構成の概略を示す斜視図である。
図3図1に示す衛生用マスクの耳掛け紐に装着されている耳掛け部調整具の装着状態を示す断面図である。
図4図1に示す衛生用マスクの耳掛け紐に装着されている耳掛け部調整具の装着状態を示す部分拡大平面図である。
図5】耳掛け部調整具を耳掛け紐に装着するための装着装置の構成を模式的に示す側面図である。
図6】積み重ねた衛生用マスクを梱包材に収容する様子を示した斜視図である。
図7】衛生用マスクを積み重ねる際の耳掛け紐の状態を示す斜視図である。
図8】積み重ねた衛生用マスクにおける耳掛け部調整具の状態を模式的に示す一部拡大側面図である。
図9】耳掛け部調整具が曲がった状態を模式的に示す一部拡大側面図である。
図10】耳掛け部調整具が折れた状態を模式的に示す一部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る衛生用マスクの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る衛生用マスク100の外観構成の概略を示す左半分拡大平面図である。この衛生用マスク100は、使用者の口、鼻およびそれらの周辺部分を覆うように装着されて使用者の飛沫の飛散および吸引を防止するための衛生用具である。
【0022】
(衛生用マスク100の構成)
衛生用マスク100は、マスク本体部101を備えている。マスク本体部101は、使用者(図示せず)の顔面における口、鼻およびこれらの周囲を覆う部品であり、使用者における口、鼻およびこれらの周囲を覆うことができる大きさに形成されている。本実施形態においては、マスク本体部101は、左右方向の長さが170mm、上下方向の長さが90mm、厚さが1mmの平面視で長方形状に形成されている。
【0023】
このマスク本体部101は、ポリプロピレン樹脂などの樹脂線維からなる白色の不織布を3枚重ねた3層構造で構成されている。すなわち、本実施形態においては、マスク本体部101は、数回の使用を想定した所謂使い捨てマスク用である。なお、マスク本体部101は、飛沫の飛散または吸引を阻止できるシート状に形成されていればよく、化学繊維または自然素材線維からなる布で構成してもよいし、ウレタン樹脂フォームで構成することもできる。このマスク本体部101の左右両側の側辺には、耳掛け紐102がそれぞれ設けられている。
【0024】
耳掛け紐102は、使用者の耳に掛けられることでマスク本体部101を使用者の顔面に押し付けるための部品であり、紐状に延びて形成されている。この耳掛け紐102は、長手方向に伸縮自在に構成されているとともに径方向にも弾性変形可能なゴム紐状に形成されている。本実施形態においては、耳掛け紐102は、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂)線維とポリウレタン樹脂線維とで構成されている。
【0025】
この耳掛け紐102は、紐体の両端部における一方の端部がマスク本体部101の側辺の上端部に熱溶着によって連結されるとともに他方の端部がマスク本体部101の側辺の下端部に熱溶着によって連結されている。これにより、耳掛け紐102は、マスク本体部101の左右の各側辺との間に環状の耳掛け部103をそれぞれ形成する。耳掛け部103は、使用者の耳が入る環状の部分であり、マスク本体部101の左右の側辺の外側にそれぞれ形成されている。
【0026】
また、耳掛け紐102は、本実施形態においては、白色で構成されているが、黒色など他の色で構成されていても良いことは当然である。また、耳掛け紐102の断面形状は円形に形成されている。この場合、円形とは真円を意味するものではなく、厳密には異形形状であるが実質的には円、または円と同視できることを意味する。この左右の耳掛け紐102には、耳掛け部調整具104がそれぞれ設けられている。
【0027】
耳掛け部調整具104は、図2および図3にそれぞれ示すように、耳掛け部103の大きさを調整するための部品であり、2つの耳掛け紐102が貫通する筒状に形成されている。より具体的には、耳掛け部調整具104は、マスク本体部101の側辺の上側および下側からそれぞれ延びる2つの耳掛け紐102の太さ(外径)の合算値よりも小さい内径の円筒状に形成されている。本実施形態においては、耳掛け部調整具104は、2mmの外径の耳掛け紐102に対して2mmの内径に形成されている。すなわち、耳掛け部調整具104は、1つの耳掛け紐102の外径と同じ内径であり、2つの耳掛け紐102の外径の合算値の半分の内径に形成されている。
【0028】
また、耳掛け部調整具104の外径は、前記2つの耳掛け紐102の外径の合算値よりも小さい外径に形成されている。本実施形態においては、耳掛け部調整具104は、2mmの外径の耳掛け紐102に対して3.6mmの外径に形成されている。すなわち、耳掛け部調整具104の肉厚は、0.8mmに形成されている。これにより、2つの耳掛け紐102は、図4に示すように、耳掛け部調整具104の両端部に隣接して外部に露出する貫通直前部102aが耳掛け部調整具104の外周部よりも張り出して外側に膨らんで形成されている。
【0029】
また、耳掛け部調整具104の軸方向の長さは、10mmに形成されている。なお、耳掛け部調整具104の軸方向の長さは、10mm以下または10mm以上に形成されていてもよいことは当然である。また、この耳掛け部調整具104は、ポリ塩化ビニル樹脂などの樹脂材によって径方向に弾性変形可能かつ軸方向に直交する方向に屈曲可能なチューブ状に形成されている。
【0030】
そして、この耳掛け部調整具104は、内周面および両端面が滑らかな平滑面で構成されている。なお、耳掛け部調整具104は、本実施形態においては、軸方向には略伸縮しないように構成されているが、伸縮するように構成されていてもよいことは当然である。
【0031】
(衛生用マスク100の製造方法)
次に、上記のように構成された衛生用マスク100の製造方法について簡単に説明する。この衛生用マスク100は、マスク本体部101および耳掛け紐102が公知の製法によって製造された後、左右の耳掛け紐102に耳掛け部調整具104がそれぞれ装着される。具体的には、作業者は、図5に示すように、挿通装置200を用いて耳掛け紐102の外側に耳掛け部調整具104を装着する。
【0032】
挿通装置200は、主として、ベース201、ストッパ202および挿通棒203を備えて構成されている。ベース201は、ストッパ202を支持するための部品であり、平面視で長方形状の金属板で構成されている。ストッパ202は、耳掛け部調整具104の変位を規制するための部品であり、ベース201上に起立する正面視で長方形状の金属板で構成されている。このストッパ202には、切欠き部202aおよび載置台202bがそれぞれ形成されている。
【0033】
切欠き部202aは、挿通棒203を挿通させつつ耳掛け部調整具104の挿通を阻止する部分であり、ストッパ202の上端部から下方に向かってU字状の切欠き部202aが形成されている。載置台202bは、耳掛け部調整具104を保持する挿通棒203の上下方向の位置を規定するための部分であり、切欠き部202a下方に台状に形成されている。
【0034】
挿通棒203は、耳掛け紐102を引っ掛けて耳掛け部調整具104内に案内するための部品であり、耳掛け部調整具104内を貫通する太さの金属製の棒体で構成されている。この挿通棒203の一方の先端部には耳掛け紐102を引っ掛けるために鉤状に形成された引掛け部203aが形成されている。
【0035】
作業者は、まず、耳掛け部調整具104内に挿通棒203を貫通させて挿通棒203の外周部に耳掛け部調整具104を保持させる。次に、作業者は、耳掛け部調整具104を保持した挿通棒203をストッパ202の切欠き部202aを貫通するように切欠き部202a内に配置して載置台202b上に載置する。次に、作業者は、挿通棒203の引掛け部203aに耳掛け紐102を耳掛け紐102の内側(耳掛け部103内側)から引っ掛ける。
【0036】
次に、作業者は、耳掛け部調整具104をストッパ202に押し付ける側(図示矢印方向)に挿通棒203を引く。これにより、挿通棒203は、ストッパ202によって位置が固定された耳掛け部調整具104内および切欠き部202a内をそれぞれ通過することで2つの耳掛け紐102を耳掛け部調整具104内に引き込んで耳掛け部調整具104内を貫通させる。この結果、耳掛け部調整具104は、2つの耳掛け紐102の外周部に装着される。
【0037】
次に、作業者は、耳掛け紐102を挿通棒203の引掛け部203aから取り外した後、左右の他方の耳掛け紐102について同様に耳掛け部調整具104の装着作業を行って耳掛け部調整具104の装着作業を終了する。なお、作業者は、挿通棒203の引掛け部203aに耳掛け紐102を引っ掛けた状態で切欠き部202a内の載置台202b上に挿通棒203を配置してもよいことは当然である。また、作業者は、耳掛け紐102に耳掛け部調整具104を装着した後に耳掛け部調整具104が装着された耳掛け紐102をマスク本体部101に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
(衛生用マスク100の梱包)
次に、このように構成した衛生用マスク100の梱包について説明する。衛生用マスク100は、多数の衛生用マスク100が梱包されて市場に出荷される。具体的には、衛生用マスク100は、図6に示すように、マスク本体部101上に他の衛生用マスク100のマスク本体部101が載置されて複数の衛生用マスク100が積み重ねられた状態で梱包材300内に収納される。
【0039】
この場合、複数の衛生用マスク100は、積み重ねられた複数の衛生用マスク100の各耳掛け紐102がまとめて最上部に位置する衛生用マスク100のマスク本体部101上に配置される。なお。この場合、複数の衛生用マスク100は、積み重ねられた複数の衛生用マスク100の各耳掛け紐102がまとめて最下部に位置する衛生用マスク100のマスク本体部101の下に配置することもできる。また、複数の衛生用マスク100は、積み重ねられた複数の衛生用マスク100の各耳掛け紐102がまとめて積み重ねられた衛生用マスク100の側方に配置することもできる。また、複数の衛生用マスク100は、図7に示すように、各衛生用マスク100ごとに耳掛け紐102がマスク本体部101上に配置された状態で積み重ねられてもよい。
【0040】
また、梱包材300は、上方が開口する箱状の収納本体301と、この収納本体301の開口部に対して開閉自在に設けられた蓋体302とで構成されている。なお、梱包材300は、本実施形態においては、紙製の箱体で構成したが、樹脂製のシートを袋状に形成した袋体で構成してもよいし、積み重ねられた衛生用マスク100を縛る荷造り紐で構成してもよい。
【0041】
したがって、作業者は、積み重ねられた衛生用マスク100を収納本体301内に収納して蓋体302を閉じる。この場合、作業者は、積み重ねられた衛生用マスク100を直接収納本体301内に収納してもよいし、積み重ねられた衛生用マスク100を図示しない袋またはシートで覆った状態で収納本体301内に収納してもよい。これらの場合、積み重ねられた衛生用マスク100は、積み重ね方向に強く圧迫された状態で収納本体301内に収納される。
【0042】
このように梱包された衛生用マスク100は、図8に示すように、耳掛け部調整具104に対してマスク本体部101または耳掛け紐102が隣接配置される。この場合、衛生用マスク100は、耳掛け紐102が径方向に弾性変形する弾性体で構成されているとともに、耳掛け部調整具104が2つの耳掛け紐102の太さの合算値よりも小さい内径の筒状に形成されているため、耳掛け部調整具104の両端部に隣接して外部に露出する貫通直前部102aが耳掛け部調整具104の外周部よりも張り出して外側に膨らんで形成される。
【0043】
このため、衛生用マスク100は、耳掛け部調整具104にマスク本体部101または耳掛け紐102が強く押し付けられることが防止される。この結果、衛生用マスク100は、マスク本体部101または耳掛け紐102を損傷または変形させることを防ぐことができる。また、衛生用マスク100は、耳掛け部調整具104が径方向に容易に弾性変形するとともに軸方向に直交する方向側に屈曲するチューブ状に形成されているため、耳掛け部調整具104にマスク本体部101または耳掛け紐102が強く押し付けられることがあったとしても図9および図10に示すように柔軟に変形することでマスク本体部101または耳掛け紐102を損傷または変形させることを防ぐことができる。
【0044】
(衛生用マスク100の使用)
次に、このように構成した衛生用マスク100の使用について説明する。使用者は、梱包材300内から衛生用マスク100を一つずつ取り出して顔面に取り付ける。具体的には、使用者は、使用者は、衛生用マスク100におけるマスク本体部101を自らの口および鼻の前方に配置した状態で左右一対の耳掛け紐102を左右の両耳にそれぞれ引っ掛ける。
【0045】
この場合、使用者は、耳掛け部103の大きさが大きいまたは小さい場合(換言すれば、耳掛け部103の長さが長いまたは短い場合)には、耳掛け部調整具104を耳掛け紐102に対してスライドさせて耳掛け紐102上での位置を変化させることで耳掛け部103の長さを長くまたは短く調整することができる。この耳掛け部調整具104の調整作業は、耳掛け紐102を耳に掛けた状態または外した状態で行うことができる。この場合、衛生用マスク100は、耳掛け部調整具104の内周面および両端面がそれぞれ滑らかな平滑面で構成されているため、耳掛け部調整具104を耳掛け紐102の長手方向に沿って円滑に往復動させることができるとともにスライドによって耳掛け紐102を損傷することも防止できる。
【0046】
これにより、衛生用マスク100は、マスク本体部101が使用者の顔面における口および鼻の周囲を覆った状態で装着される。また、衛生用マスク100は、耳掛け部調整具104が径方向に容易に弾性変形するとともに軸方向に直交する方向側に屈曲するチューブ状に形成されているため、耳に装着した状態においても耳に対する背後からの圧迫を抑えて不快感を軽減することができる。
【0047】
なお、使用者は、耳掛け部調整具104が不要の場合には、耳掛け部調整具104を耳掛け紐102から引き抜いて除去することもできる。
【0048】
次に、使用者は、衛生用マスク100の使用を中断する際には、衛生用マスク100を顔面から取り外す。具体的には、使用者は、両耳からそれぞれ耳掛け紐102を外すことで衛生用マスク100を顔面から取り外すことができる。顔面から取り外した衛生用マスク100は、使い捨てであるため廃棄することになるが、数回程度であれば再度使用することもできる。
【0049】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、衛生用マスク100は、耳掛け紐102が径方向に弾性変形する弾性体で構成されているとともに、耳掛け部調整具104が2つの耳掛け紐102の太さの合算値よりも小さい内径の筒状に形成されているため、耳掛け部調整具104の両端部直前部分の貫通直前部102aが耳掛け紐102の外周部よりも盛り上がって膨らむことで耳掛け部調整具104が他の物体に接触することが防止される。これにより、本発明に係る衛生用マスク100は、複数の衛生用マスク100を重ねた場合であっても耳掛け部調整具104がマスク本体部101または耳掛け紐102に直接接触することが防止されるため、マスク本体部101または耳掛け紐102を損傷または変形させることを防ぐことができる。
【0050】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態においては、耳掛け部調整具104は、柔軟に変形するチューブ状に形成した。しかし、耳掛け部調整具104は、剛体であるパイプ状に形成することもできる。
【0052】
また、上記実施形態においては、耳掛け部調整具104は、内周面および両端面を滑らかな平滑面に構成した。しかし、耳掛け部調整具104は、内周面および両端面に凹凸または突起を設けて耳掛け紐102に対する摺動抵抗を大きくすることもできる。また、耳掛け部調整具104は、両端面のうちの少なくとも一方に切込みを設けて耳掛け紐102を咬ますことで位置ズレを防止することもできる。
【0053】
また、上記実施形態においては、耳掛け部調整具104は、2つの耳掛け紐102の外径の合算値の半分の内径に形成されている。しかし、耳掛け部調整具104の内径は、左右の耳掛け紐102のうちの一方の2つの耳掛け紐102の外径の合算値以下の大きさに形成されていればよい。したがって、耳掛け部調整具104の内径は、1つの耳掛け紐102の外径以下に形成してもよいし、1つの耳掛け紐102の外径よりも大きくかつ2つの耳掛け紐102の外径の合算値以下の大きさに形成することもできる。
【0054】
また、上記実施形態においては、耳掛け部調整具104は、2つの耳掛け紐102の外径の合算値よりも小さい外径に形成されている。しかし、耳掛け部調整具104は、2つの耳掛け紐102の外径の合算値と同じまたは同合算値よりも大きい外径に形成することもできる。この場合、耳掛け部調整具104は、外力に対して柔軟に変形するチューブ状に形成されているとよい。すなわち、耳掛け部調整具104は、外力に対して柔軟に変形するチューブ状に形成されることで外径を2つの耳掛け紐102の外径の合算値以上に形成できるとともに、内径を2つの耳掛け紐102の外径の合算値以下に形成することもできる。
【0055】
また、上記実施形態においては、耳掛け部調整具104は、断面形状を円形に形成した。しかし、耳掛け部調整具104は、筒状に形成されていればよい。したがって、耳掛け部調整具104は、断面形状を円形(だ円形を含む)以外の形状、例えば、三角形、方形または六角形などの多角形状に形成できるほか、異形形状に形成することもできる。
【0056】
また、上記実施形態においては、耳掛け部調整具104は、耳掛け紐102と同色で構成した。これにより、衛生用マスク100は、耳掛け部調整具104が視覚的に目立つことを防止することもできる。しかし、耳掛け部調整具104は、耳掛け紐102とは異なる色で構成することで耳掛け部調整具104を視覚的に判別し易くすることもできる。
【0057】
また、上記実施形態においては、耳掛け部調整具104は、肉厚を0.8mmに形成した。このように衛生用マスク100は、耳掛け部調整具104の肉厚を1mm以下に形成することで耳掛け部調整具104を小型化して他の物体への接触を防止できるとともに、耳掛け紐102の軽量化および耳掛け部調整具104を視覚的に耳掛け紐102に一体化して美観を向上させることができる。しかし、耳掛け部調整具104は、肉厚を1mm以上の厚さに形成することもできる。
【0058】
また、上記実施形態においては、耳掛け部調整具104は、樹脂材で構成した。しかし、耳掛け部調整具104は、樹脂材以外の材料、例えば、ゴム材、金属材料または木材などで構成することもできる。
【0059】
また、上記実施形態においては、衛生用マスク100は、使い捨てマスクで構成した。しかし、衛生用マスク100は、マスク本体部101を布材またはウレタン樹脂フォームで構成することで洗浄して繰り返し使用できるマスクとして構成することもできる。
【0060】
また、上記実施形態においては、マスク本体部101は、使用者の口、鼻およびこれらの周囲を覆う大きさに形成した。しかし、マスク本体部101は、顔面における少なくとも口およびその周囲を覆う大きさのシート状に形成されていればよい。したがって、マスク本体部101は、例えば、口呼吸しか行わないのであれば、鼻が露出する大きさおよび形状に形成することもできる。
【符号の説明】
【0061】
100…衛生用マスク、101…マスク本体部、102…耳掛け紐、102a…貫通直前部、103…耳掛け部、104…耳掛け部調整具、
200…挿通装置、201…ベース、202…ストッパ、202a…切欠き部、202b…載置台、203…挿通棒、203a…引掛け部、
300…梱包材、301…収納本体、302…蓋体。
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